JP2009257732A - ソーラーシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 太陽光が入射面に垂直に入射する姿勢で同一平面上に並べられた方形板状の複数のフレネルレンズF1〜F9が、保持枠71で保持されている。各フレネルレンズF1〜F9は、入射側が平坦面2であって出射側が凸面となっている多数のプリズム部11,12が同一平面上に並べられ、フレネルレンズ全体として一つのレンズ作用を為す。フレネルレンズF1〜F9において、光軸Aに近い側に位置する第一の群のプリズム部11における凸面は、第一の面3に達した光が第一の面3で屈折して出射するすることでレンズ作用を為し、光軸Aから遠い側に位置する第二の群のプリズム部12における凸面は、第一の面3に達した光が第一の面3で全反射した後、第二の面4で屈折して出射することでレンズ作用を為す。
【選択図】 図5
Description
現在、フレネルレンズを使用したソーラーシステムが検討されている。図8は、一般的なフレネルレンズの構造を示した正面断面概略図である。
フレネルレンズは、通常のレンズを多数のプリズム状のセグメントに分割し、セグメントを平面上に並べることでシート状又はプレート状に変換した光学部品である。したがって、フレネルレンズは、プリズム部1を同一平面上に多数並べて設けたものとなっている。このようなフレネルレンズは、一方の側の面が平坦面2で、他方の側の面がプリズム部
1によって形成される凹凸面である場合が多い。
フレネルレンズの効率を高くするには、非レンズ面102の部分で光の損失がないようにすることが重要である。非レンズ面102での損失を無くすには、ドラフト角をゼロにすれば良い。ドラフト角は、非レンズ面102が平坦面2の法線に対して成す角である(図8にθdで示す)。しかしながら、ドラフト角θdがゼロであると、フレネルレンズを成型法で製作する際の離型が難しいという問題がある。離型とは、成型後に製品を型から引き離すことを指す。このため、多少のドラフト角θdをつけた設計とされることが多い。
このようなことから、一般的には、凹凸面を出射側にするよりも入射側にした設計や配置の方が、ドラフト角を多少つけても光の利用効率が高くできると言われており、凹凸面を入射側にする方が好ましいとされている。
高い板を使用しても光の吸収等はあり、ロスの発生は避けられない。このようなことから、ソーラーシステム用のフレネルレンズは、入射側を平坦面とした設計が行われる。
光軸に近い位置のプリズム部では、立ち上がり角θuはそれほど大きくしなくて済むので、光軸に近い位置にだけプリズム部を配置し、臨界角を超えないようにすることも考えられる。しかしながら、プリズム部の数が少なくなり、全体として小さいフレネルレンズにならざるを得ず、集光量が少なくなってしまう問題が生ずる。
本願の発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、大型のソーラーシステムであってもより焦点距離を短くすることができるようにした意義を有するものである。
各フレネルレンズは、入射側が平坦面であり出射側が凸面となっているプリズム部を同一平面上に多数並べた構造のフレネルレンズであり、多数のプリズム部は、平坦面から入射した光が最初に到達する第一の面と、第一の面とは別の第二の面とを有しており、
複数のフレネルレンズは一つの共通した光軸に対して配置されていて、各フレネルレンズの各プリズム部は、全体として一つのレンズ作用を為すよう形成されており、
複数のフレネルレンズのうちの一つは、前記光軸上に配置されており、他のフレネルレンズは、光軸上に配置されたフレネルレンズの周囲に配置されており、
前記光軸上に配置されたフレネルレンズは、第一の面に達した光が第一の面で屈折して出射するすることで前記レンズ作用を為すよう形成されたプリズム部の群を有しており、
前記周囲に配置されたフレネルレンズは、第一の面に達した光が第一の面で全反射した後、第二の面で屈折して出射することで前記レンズ作用を為すよう形成されたプリズム部の群を有している。
図1は、第一の例に係るフレネルレンズの断面概略図である。図1に示すフレネルレンズは、入射側が平坦面2であり、出射側が凸面となっているプリズム部11,12を同一平面上に多数並べた構造のフレネルレンズである。各凸面は、断面が三角形状を成しており、第一の面3と第二の面4とから成っている。第一の面3は、平坦面2が入射した光が最初に到達する面である。各プリズム部11,12において、第一の面3は光軸Aから遠い側にあり、第二の面4は光軸Aに近い位置にある。
尚、図1は、光軸Aの右側の部分のみを示しており、且つ説明に必要な部分のみを抜粋して概略的に示している。各プリズム部11,12は円周状に延びており、光軸Aを中心として同心上に配置されている。
このうち、第一の群のプリズム部11は、第一の面3が、平凸レンズの凸面に等価となっており、各第一の面3をつなげてくと平凸レンズの凸面に近似する面を形成するようになっている。
出射した光が、第一の群の各プリズム部11から出射した光と同じ位置(即ち、焦点)に集まるよう構成されている。
平坦面2に垂直に入射するので、第一の面3への光の入射角θiは、第一の面3が平坦面2と平行な面に対して成す角(立ち上がり角θu)に等しい。したがって、第一の群の各プリズム部11は、立ち上がり角θuが42度を超えないようになっている。
尚、第一の群の各プリズム部11は、この例では、ドラフト角ゼロとなっている。即ち、第二の面4は、平坦面2に対して垂直である。これは、前述したように、ドラフト角をつけると損失が生じるためである。
第二の群の各プリズム部12では、第二の面4から出射する光が第一の群の各プリズム部11からの光と同じ位置(焦点)に結ぶことと、第一の面3の立ち上がり角θuが臨界角より大きいことの二つを条件とする以外、本質的に制限はない。したがって、これら二つの条件を満たすよう第一第二の各面3,4を設計すればよい。
出射角θeは、第一群最外周部11における出射角θeから僅かに小さいのみであり、出射角θeの漸次減少がシームレスにつながるようになっている。
制限されることなく、フレネルレンズを大型化することが可能である。また、第二の群のプリズム部12において、凸面hの高さを漸増させているので、ケラレの問題を防止でき、光の利用効率が低下することもない。
図2は、第二の例に係るフレネルレンズの断面概略図である。図2に示すフレネルレンズも、図1に示すものと同様、光軸Aに近い第一の群のプリズム部11は、第一の面3が屈折によりレンズ作用を為す構成となっており、光軸Aから遠い第二の群のプリズム部12では、第一の面3で全反射して第二の面4で屈折することでレンズ作用を為す構成となっている。
第二の点は、第二の群の各プリズム部12の凸面が、第一の群の各プリズム部11の凸面に比べて、平坦面2に近くなっていることである。即ち、平坦面2と各凸面との間の部分を、「肉厚部分」と呼ぶと、第二の群の各プリズム部12における肉厚部分は、第一の群の各プリズム部11に比べ薄くなっている。
先端カットの目的はいくつかあるが、まず第一に、先端部分の欠けを防止するためである。第二の群のプリズム部12では、前述した通り、第一の面3が全反射面となるよう立ち上がり角θuが大きく設定される。したがって、第二の群のプリズム部12は、第一の群のプリズム部11に比べて凸面の頂角がより鋭利なものとなる。頂角が鋭利であると、フレネルレンズの搭載等の際に欠け易く、欠けによって、性能が低下することもあり得る。このため、性能に影響しない範囲で予め先端をカットした形状としている。
施形態のように先端をカットした構成としておけば、刃先の幅が鋭利なバイトを使用する必要はなく、耐久性の高いバイトを使用して生産コストを低くして型を作ることができる。
第三の面5の幅は、5〜50μmであることが望ましい。5μmより小さいと、鋭利なものになってくるので、上記効果が得られなくなる。50μmより大きいと、この第三の面5が光学特性に与える影響が無視できなくなり、集光性能が低下したり、光の利用効率が低下したりする問題が生ずる。
図3に示すように、この実施形態では、第二の群のプリズム部12において、肉厚部分の厚さが、光軸Aから遠ざかるに従って漸次減少したものととなっている。前述したように、ケラレを防止するには、光軸Aから遠ざかるに従って徐々に高さhを高くすることが望ましい。したがって、全体の高さHを抑えるには、この実施形態のように、肉厚部分を漸次減少させることが好適である。
図4は、第三の例に係るフレネルレンズの断面概略図である。図4に示すフレネルレンズも、図1に示すものと同様、光軸Aに近い第一の群のプリズム部11は、第一の面3が屈折によりレンズ作用を為す構成となっており、第二の群のプリズム部12では、第一の面3で全反射して第二の面4で屈折することでレンズ作用を為す構成となっている。
幅pを狭くする構成であっても良い。
また、第二の群の各組みのプリズム部12は互いに同じ構成でない場合もある。各組みにおいて、光軸Aから遠い方のプリズム部12において出射角θeが小さくなるように設計する場合もある。
いずれにしても、本願の各実施形態のフレネルレンズによれば、光軸Aに近い第一の群のプリズム部11では屈折を利用し、光軸Aから遠い第二の群のプリズム部12では全反射を利用しつつ、フレネルレンズ全体として一つのレンズ作用を得ているので、臨界角によって制限されることなくフレネルレンズを大型化することが可能である。
尚、フレネルレンズの材料には、PMMA樹脂の他、MS(アクリル・スチレン共重合)樹脂やPC(ポリカーボネード)樹脂等が使用されることがある。フレネルレンズの製作は、母材を一対の型で挟み込み、加熱加圧する熱間プレス法により行われることが多い。
ら入射する光を拡大させるレンズ作用を為すものであっても良い。
また、各プリズム部11,12が光軸に対して同心円周状であることは、本願発明にとって必須の要素ではない。例えば、各プリズム部11,12が直線状に延びるものであっても、本願発明は実施可能であり、大型のフレネルレンズが得られる効果は同様である。各プリズム部11,12が直線状である場合、集光レンズとして構成すると、光は直線上に集光されることになり、いわゆるリニアフレネルレンズの構成となる。
実施形態のソーラーシステムは、上述したいずれかの例のフレネルレンズを使用したシステムである。実施形態のソーラーシステムは、太陽光を集光してエネルギー密度を高くした上で利用することが想定されており、このような利用の仕方が望ましい分野に用途に好適に適用されるものである。
図5に示すソーラーシステムは、同一平面上に並べられた複数のフレネルレンズF1〜F9と、各フレネルレンズF1〜F9を保持する保持枠71と、各フレネルレンズF1〜F9の姿勢を制御する姿勢制御装置とを備えている。
各フレネルレンズF1〜F9が並べられた平面は、太陽光の入射方向に垂直である。したがって、太陽光は各フレネルレンズF1〜F9に垂直に入射する。
各フレネルレンズF1〜F9は、1100×1100mm程度の大きなものである。保持枠71全体としては3300×3300mm程度の大きなものであり、受光面の大きさが10m2程度のシステムとなっている。
また、支柱74は、回転台77の上に固定されている。経度追従制御機構73は、この回転台77を鉛直な回転軸の周りに回転させる機構となっている。この回転軸も、保持枠71の中心を通る位置である。
尚、このソーラーシステムは、複数のフレネルレンズによる太陽光の集光位置に、受光部(不図示)を備えている。受光部の構成は、集光された太陽光をどのように利用するかによって異なる。本実施形態では、集光された太陽光の高いエネルギーを利用して試料の加工を行うことが想定されており、試料を入れる容器が受光部として採用されている。
実施形態のソーラーシステムは、複数のフレネルレンズF1〜F9が全体として一つのレンズと等価になるような構成である。光軸Aは、中央のフレネルレンズF1の中心を通り、各フレネルレンズF1〜F9が並べられた平面に対して垂直な方向に設定されている。中央のフレネルレンズF1では、各プリズム部は光軸Aを中心とする同心円周状であり
、自身の中心と同心である。一方の周辺のフレネルレンズF2〜F9では、各プリズム部が同じ光軸Aに対して同心円周状となっており、自身の中心とは同心ではない(いわゆるオフアクシス)。言い換えると、フレネルレンズF2〜F9では、各プリズム部は光軸Aを中心とする円弧状である。
前述したように、第一の群のプリズム部11は光軸Aに近い位置に位置するものであり、第二の群のプリズム部12は光軸Aから遠い位置に位置するものである。この場合、複
数のフレネルレンズにおける区分けは、二つのパターンがある。
数のフレネルレンズを用いているので、一枚のフレネルレンズの場合に比べてより大きな領域で太陽光を受光して集光することができ、よりエネルギー密度を高くすることができる。
尚、中央のフレネルレンズF1は全て第一の群のプリズム部11とし、周囲のフレネルレンズF4,F8は全て第二の群のプリズム部12とすることもあり得る。
尚、上述したように複数のフレネルレンズを光軸に垂直な同一平面上に配置する構成は、「フレネルレンズ組立体」の発明として捉えることができる。このようなフレネルレン
ズ組立体は、上記ソーラーシステムの用途以外にも使用することができる。
この実施例では、光軸Aから半径約560mmの位置が境界線6となっており、560mmまでのプリズム部11については屈折系(第一の群のプリズム部)となっている。560mmを超えると、第一の面3において臨界角を超えてしまうので、それより外側は全反射系(第二の群のプリズム部)となっている。つまり、光軸Aから1866個めまでのプリズム部11は屈折系で構成し、1867個め以降を全反射系で構成している。
このようにして出射する光は、距離1000mmの焦点に集光する。スポット径は直径50mm程度である。このようなフレネルレンズを用いて太陽光を集光すると、良く晴れた日の場合、集光点の温度は1500℃程度以上に達する。
12 第二の群のプリズム部
2 平坦面
3 第一の面
4 第二の面
5 第三の面
6 境界線
71 保持枠
72 高度追従制御機構
73 経度追従制御機構
Claims (1)
- 太陽光エネルギーを利用するソーラーシステムであって、太陽光が入射面に垂直に入射する姿勢で同一平面上に並べられた方形板状の複数のフレネルレンズと、各フレネルレンズを保持する保持枠とを備えており、
各フレネルレンズは、入射側が平坦面であり出射側が凸面となっているプリズム部を同一平面上に多数並べた構造のフレネルレンズであり、多数のプリズム部は、平坦面から入射した光が最初に到達する第一の面と、第一の面とは別の第二の面とを有しており、
複数のフレネルレンズは一つの共通した光軸に対して配置されていて、各フレネルレンズの各プリズム部は、全体として一つのレンズ作用を為すよう形成されており、
複数のフレネルレンズのうちの一つは、前記光軸上に配置されており、他のフレネルレンズは、光軸上に配置されたフレネルレンズの周囲に配置されており、
前記光軸上に配置されたフレネルレンズは、第一の面に達した光が第一の面で屈折して出射するすることで前記レンズ作用を為すよう形成されたプリズム部の群を有しており、
前記周囲に配置されたフレネルレンズは、第一の面に達した光が第一の面で全反射した後、第二の面で屈折して出射することで前記レンズ作用を為すよう形成されたプリズム部の群を有していることを特徴とするソーラーシステム。
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