JP2009256112A - マグネシアセメント発泡硬化体の製造法、その製造法によって得られる発泡硬化体およびその硬化体を含む成形物 - Google Patents

マグネシアセメント発泡硬化体の製造法、その製造法によって得られる発泡硬化体およびその硬化体を含む成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】発泡体として密度を低くしても、強度の低下が小さい、マグネシアセメント発泡硬化体の製造法、その製造法によって得られる発泡硬化体およびその硬化体を含む成形物を提供する。
【解決手段】塩化マグネシウムの水溶液を調製し、この水溶液に減水剤および酸化マグネシウムを混合し、次いで発泡剤を投入し撹拌して水性スラリーを調製し、得られる水性スラリーを硬化して、マグネシアセメント発泡硬化体を製造するに際して、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとをモル比で7〜13:1の割合で用い、減水剤として、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを重量比で1:5から2:1の割合で用いることにより、密度を低くしても、強度の低下が小さい、マグネシアセメント発泡硬化体を製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、マグネシアセメント発泡硬化体の製造法、その製造法によって得られる発泡硬化体およびその硬化体を含む成形物に関する。より詳しくは、塩化マグネシウムと酸化マグネシウムとを特定配合比で用い、減水剤として、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを特定重量比で用いて、気泡のサイズが均一で小さく、密度が低くても寸法安定性、強度、吸水量などにおいて優れたマグネシアセメント発泡硬化体を得ることができるマグネシアセメント発泡硬化体の製造法、その製造法によって得られる発泡硬化体およびその硬化体を含む成形物に関する。
従来より、土木建設業等において、コンクリートやモルタルの主原料としてセメントが広く一般的に用いられており、現在ではその用途に応じて数多くの種類のセメントが開発されている。そして、このようなセメントとしては、最も代表的なポルトランドセメントとともにマグネシアセメント(別名、マグネシウムオキシクロライドセメントとも呼ばれる)が知られている。このマグネシアセメントは、ポルトランドセメントと比較して、強度が強く、他の物質との粘着性が強く、さらに、発塵性が少ないなどの特徴を有しており、建設用パネルやレンガ、壁材や床材などの建築用に広く一般的に利用されている。
マグネシアセメントの用途を更に広げるために、これまで耐水性の向上や(特許文献1)、発泡体の製造(特許文献2)など種々の検討がなされてきている。
マグネシアセメントに限らず、セメントは一般的に石膏や木、繊維系材料と比較して、曲げ強度等の強度は高いが、密度が大きいという欠点があった。密度を小さくするために発泡体とすると、脆く壊れやすくなるという問題点があった。さらに、発泡体とすると、吸水量が多くなるという問題点があった。
従って、発泡して密度を低くしても強度の低下が小さいマグネシアセメントの開発が望まれていた。
特開昭56−26755号公報 特許昭53−12927号公報
従って、本発明の課題は、発泡体として密度を低くしても、強度の低下が小さく、吸水量の少ない、マグネシアセメント発泡硬化体の製造法、その製造法によって得られる発泡硬化体およびその硬化体を含む成形物を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、塩化マグネシウムと酸化マグネシウムとを特定配合比で用い、減水剤として、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを特定重量比で用いて、マグネシアセメント発泡硬化体を製造することにより、気泡のサイズが均一で小さく、密度が低くても寸法安定性、強度、吸水量などにおいて優れたマグネシアセメント発泡硬化体が得られることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、マグネシアセメント発泡硬化体の製造法であって、塩化マグネシウムの水溶液を調製し、この水溶液に減水剤および酸化マグネシウムを混合し、次いで発泡剤を投入し撹拌して水性スラリーを調製し、得られる水性スラリーを硬化して、マグネシアセメント発泡硬化体を製造するに際して、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとをモル比で7〜13:1の割合で用い、減水剤として、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを重量比で1:5から2:1の割合で用いて、気泡のサイズが均一で小さい硬化体を得ることを特徴とする、マグネシアセメント発泡硬化体の製造法に関する。
更に本発明は、上記製造法によって得られる、マグネシアセメント発泡硬化体に関する。
更に本発明は、上記マグネシアセメント発泡硬化体を含む成形物に関する。
本発明では、塩化マグネシウムと酸化マグネシウムとを特定配合比で用い、減水剤として、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを特定重量比で用いて、マグネシアセメント発泡硬化体を製造することにより、気泡のサイズが均一で小さく、硬化体の密度が低くても、寸法収縮率が小さく寸法安定性に優れ、また強度が高く、さらに吸水量の少ない、優れたマグネシアセメント発泡硬化体が得られる。このマグネシアセメント発泡硬化体は、ボード状、シート状、柱状、ブロック状などに成形することにより、建築材料などに広く用いることができる。
本発明で用いる、塩化マグネシウム(MgCl)としては、塩化マグネシウム・6水和物が好ましい。塩化マグネシウムは、その50重量%までを、硫酸マグネシウムで置換してもよい。硫酸マグネシウムとしては、硫酸マグネシウム・7水和物が好ましい。本発明の製造法では、先ず、塩化マグネシウムの水溶液を調製する。この時の水溶液の濃度は、塩化マグネシウムの固形分濃度が、10重量%〜20重量%であるのが好ましい。
この水溶液に、減水剤を混合する。減水剤としては、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを重量比で1:5から2:1の割合で、好ましくは、1:4から3:2の割合で用いる。カルボン酸系減水剤としては、例えば、ポリカルボン酸類(例えば、ポリカルボン酸エーテル系化合物など)、オキシカルボン酸類(例えば、オキシカルボン酸ナトリウムなど)などが挙げられる。スルホン酸系減水剤としては、例えば、リグニンスルホン酸類(例えば、リグニンスルホン酸カルシウムなど)、芳香族スルホン酸類(例えば、ナフタレンスルホン酸ナトリウム−ホルマリン縮合物など)、メラミンスルホン酸類(例えば、メラミン樹脂スルホン酸ナトリウム−ホルマリン縮合物など)などが挙げられる。
更に、塩化マグネシウム水溶液に、酸化マグネシウムを混合する。酸化マグネシウムとしては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどを高温で焼成して得られる、活性度の高い活性マグネシウムが好ましい。本発明では、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとをモル比で7〜13:1の割合で、好ましくは、9〜13:1の割合で用いる。酸化マグネシウムとともに、整泡剤を混合してもよい。整泡剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸バリウムなどが挙げられる。また、ガラス繊維、炭素繊維、合成樹脂繊維などの補強繊維や、マイクロファイバーなどの充填剤などを一緒に混合してもよい。
塩化マグネシウム水溶液には、更に、リン酸またはリン酸化合物を混合してもよい。リン酸化合物としては、例えば、リン酸アンモニウム、ポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩などが挙げられる。このようなリン酸またはリン酸化合物を用いることにより、マグネシアセメント硬化前に調製される水性スラリーの湿潤強度を向上させ、粘度を上げることができる。
本発明では、上記した各種成分を、塩化マグネシウム水溶液に混合後によく攪拌し、次いで、発泡剤を添加する。発泡剤としては、過酸化水素水(濃度35重量%が好ましい)、炭酸ガスを発生する炭酸水素ナトリウム(発泡時に塩酸などの酸と反応させる)などや、金属アルミニウム粉などが挙げられる。
発泡剤を混合後に、よく撹拌することにより得られる水性スラリーは、その固形分濃度が、50重量%〜65重量%で、残りが水分であるのが好ましい。また、水性スラリー中における固形分中の各成分の量は、例えば、塩化マグネシウムと酸化マグネシウムとの合計量が90重量%〜95重量%、減水剤が0.5重量%〜5重量%、リン酸またはリン酸化合物が0.1重量%〜5重量%、整泡剤が0.1重量%から5重量%であるのが好ましい。また、発泡剤は、各成分を混合後の塩化マグネシウム水溶液に対して、1重量%〜3重量%の量で加えるのが好ましい。その後、水性スラリーをよく攪拌し、適当な型枠に流し込んで、室温で、あるいは必要に応じて、30℃〜40℃程度に加温して放置し、乾燥することによって、目的とするマグネシアセメント発泡硬化体を得ることができる。
本発明の製造法によって得られるマグネシアセメント発泡硬化体中の気泡は、そのサイズが均一であり小さく、通常、気泡の長径が0.2mm〜2mmであって、長径と短径の差が小さく、通常、0.3mm以下である。このような気泡が硬化体中に形成されることにより、硬化体の密度が低くても、寸法収縮率が小さく寸法安定性に優れ、また強度が高く、吸水量の少ない、優れたマグネシアセメント発泡硬化体が得られる。
本発明のマグネシアセメント発泡硬化体の製造法においては、上記した補強繊維や充填剤以外にも、必要に応じて、各種の添加剤を混合することができる。例えば、断熱性を増すために、ガラス、ビーズ類、軽量骨材、樹脂系発泡ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーン、膨張バーミキュライト等の無機軽量化フィラー類を混合することもできる。更に、可撓性や耐水性を増すために、マグネシアセメントの防火性を極度に低下しない範囲でラテックスや、例えば、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの有機系樹脂を添加することもできる。また、通常使用される難燃剤、着色剤、離型剤、防錆剤、凍結防止剤、耐寒剤などを混合することもできる。
本発明においては、上記した水性スラリーを硬化するに際に、得られる硬化体の用途に応じて、各種の形状の硬化体とすることができる。そのような形状としては、例えば、ボード状、シート状、柱状、筒状、ブロック状などが挙げられる。また、硬化体をそのような形状に成形することにより、得られる成形物をボード、壁材、内装材、外壁材などの建築材料等にそのまま使用することができ、また、他の建築材料と組み合わせて用いてもよい。例えば、適当な板の上にガラスクロスなどを引き揃え、その上に、上記の水性スラリーを流して、建築材料などのボードとすることもできる。また、押し出し成型や注型成型などの成型方法で柱状、ブロック状、球状、あるいはそれらを組み合わせた形状など種々の形状の成型物を得ることが出来る。
以下に、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1
塩化マグネシウム・6水和物146.3gを水216.0gに溶解させる。次に、この塩化マグネシウム水溶液にリン酸2.0gとカルボン酸系減水剤(株式会社エムエヌビー製レオビルドSP8SB LL)4.7gとスルホン酸系減水剤(第一製薬工業株式会社製セルフロー110)37.4gを混合した。次いで、予め酸化マグネシウム341.5gとステアリン酸亜鉛4.4gと補強繊維(日本電気硝子株式会社製耐アルカリガラス繊維)3.3gを混合した混合物を上述の塩化マグネシウム水溶液に投入・攪拌しスラリーを得た。更に得られたスラリーに過酸化水素20.9gを投入攪拌し、該スラリーを型(長さ220mm×幅220mm×40mm)に流し込んだ。
これを常温にて一昼夜放置し、さらに40℃の雰囲気中で12時間乾燥した後、型から抜き出し試験体を得た。
得られた試験体を用い、JIS A9511により圧縮強度、吸水量を測定した。測定結果などは表1に示した。
実施例2
塩化マグネシウム・6水和物を溶解させる水を221.0g、カルボン酸系減水剤(株式会社エムエヌビー製レオビルドSP8SB LL)9.4gとスルホン酸系減水剤(第一製薬工業株式会社製セルフロー110)28.2gとする以外は実施例1と同じようにして、試験体を得た。この試験体の圧縮強度等の測定結果などは表1に示した。
実施例3
塩化マグネシウム・6水和物を溶解させる水を225.0g、カルボン酸系減水剤(株式会社エムエヌビー製レオビルドSP8SB LL)14.0gとスルホン酸系減水剤(第一製薬工業株式会社製セルフロー110)18.7gとする以外は実施例1と同じようにして、試験体を得た。この試験体の圧縮強度等の測定結果などは表1に示した。
比較例1
塩化マグネシウム・6水和物を溶解させる水を211.0g、カルボン酸系減水剤(株式会社エムエヌビー製レオビルドSP8SB LL)は使用せず、スルホン酸系減水剤(第一製薬工業株式会社製セルフロー110)47.0gとする以外は実施例1と同じようにして、試験体を得た。この試験体の圧縮強度等の測定結果などは表1に示した。
比較例2
塩化マグネシウム・6水和物を溶解させる水を230.0g、カルボン酸系減水剤(株式会社エムエヌビー製レオビルドSP8SB LL)18.8gとスルホン酸系減水剤(第一製薬工業株式会社製セルフロー110)9.4gとする以外は実施例1と同じようにして、試験体を得た。この試験体の圧縮強度等の測定結果などは表1に示した。
Figure 2009256112
表1から明らかなように、本発明により得られるマグネシアセメント発泡硬化体は、気泡のサイズが小さく、長径と短径の差が小さく、また、密度が小さくとも圧縮強度に優れており、吸水量においても優れている。

Claims (12)

  1. マグネシアセメント発泡硬化体の製造法であって、塩化マグネシウムの水溶液を調製し、この水溶液に減水剤および酸化マグネシウムを混合し、次いで発泡剤を投入し撹拌して水性スラリーを調製し、得られる水性スラリーを硬化して、マグネシアセメント発泡硬化体を製造するに際して、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとをモル比で7〜13:1の割合で用い、減水剤として、カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを重量比で1:5から2:1の割合で用いて、気泡のサイズが均一で小さい硬化体を得ることを特徴とする、マグネシアセメント発泡硬化体の製造法。
  2. 気泡の長径が0.2mm〜2mmであって、長径と短径の差が0.3mm以下である、請求項1の製造法。
  3. 酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとをモル比で9〜13:1の割合で用いる、請求項1または2の製造法。
  4. カルボン酸系減水剤とスルホン酸系減水剤とを重量比で1:4から3:2の割合で用いる、請求項1から3のいずれかに記載の製造法。
  5. 塩化マグネシウムの水溶液にリン酸またはリン酸化合物を混合する、請求項1から4のいずれかに記載の製造法。
  6. 発泡剤とともに整泡剤を用いる、請求項1から5のいずれかに記載の製造法。
  7. 塩化マグネシウムの水溶液を調製するに際して、塩化マグネシウムの固形分濃度が、10重量%〜20重量%である、請求項1から6のいずれかの製造法。
  8. 水性スラリーの固形分濃度が、50重量%〜65重量%である、請求項1から7のいずれかの製造法。
  9. 塩化マグネシウムの50重量%までが硫酸マグネシウムで置換された塩化マグネシウムを用いる、請求項1から8のいずれかの製造法。
  10. 請求項1から9のいずれかの製造法によって得られる、マグネシアセメント発泡硬化体。
  11. 請求項10のマグネシアセメント発泡硬化体を含む成形物。
  12. 成形物がボードである、請求項11の成形物。
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