JP2009254119A - 車載電子制御装置、及び、モータ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両に搭載されたモータが車両の衝突の影響により損傷を受けたか否かを適切に検知し、その後のモータ駆動システムの機能を可能な限り維持することのできる車載電子制御装置及びモータ制御方法を提供する。
【解決手段】モータ4を駆動する車載電子制御装置1であって、モータ4の各相電流または相電圧に基づいて、モータ4の回転状態が適正であるか否かを判別する基準データが記憶された記憶部11と、モータ4の各相電流または相電圧に基づいて算出したデータと、記憶部11に記憶された基準データを比較して、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを判別する衝突判別部121としての判別処理と、判別処理121により異常が発生したと判別する場合にモータ4の駆動を停止する非常停止制御部122としての停止制御処理を実行する制御部12とで構成されている。
【選択図】図3
【解決手段】モータ4を駆動する車載電子制御装置1であって、モータ4の各相電流または相電圧に基づいて、モータ4の回転状態が適正であるか否かを判別する基準データが記憶された記憶部11と、モータ4の各相電流または相電圧に基づいて算出したデータと、記憶部11に記憶された基準データを比較して、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを判別する衝突判別部121としての判別処理と、判別処理121により異常が発生したと判別する場合にモータ4の駆動を停止する非常停止制御部122としての停止制御処理を実行する制御部12とで構成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、指令値に基づいて、モータを駆動する車載電子制御装置に関する。
エンジンからの排気ガスによる大気汚染対策やエンジンによる騒音対策の観点から、電気自動車の実用化へ向けての開発が進みつつある。
また、電気自動車等の車両では、衝突時に、二次災害防止のための制御を行なう所謂フェールセーフ処理を実行するために、衝突を検知する手段として専用のセンサが使用されている。
例えば、特許文献1には、専用のセンサとしての加速度センサ(Gセンサ)で大きな加速度を検出したことにより車両の衝突が検知されたときに、エンジンコンピュータ及び発電機コントローラへの電力供給を遮断して、エンジンの駆動及び発電機への界磁電流の供給を停止させることで、感電事故の発生を防止することができる電気自動車用エンジン駆動発電機の制御装置が開示されている。
また、特許文献2には、電源からの電力を車両駆動用の電動機に給電する給電経路に設けられた遮断リレーと、給電経路に生じた電圧及び/または電流が車両の衝突を示す所定の波形からなるときまたは車両の衝突を示す所定のレベルに達したとき、給電経路を遮断するように遮断リレーを制御する制御回路とを備えることで、電源から電動機へ電力を供給する給電系における車両の衝突による短絡を正確に検知して、電源を迅速に保護することができる車両用モータ装置が開示されている。
特開平6−245323号公報
特開2006−14541号公報
しかし、Gセンサが車両の前部に搭載されている場合に、車両の後部から追突されたとき等には、Gセンサで衝突が確実に検出されるとは限らない。
例えば、車両の衝突発生時に、モータが搭載されている箇所への衝撃が強くモータは損傷したが、Gセンサが搭載されている箇所への衝撃は弱くGセンサが衝突を検知しなかった場合、Gセンサの検知によるフェールセーフ処理が実行されずに、モータの発熱等により火災等の二次的災害の発生の虞がある。
逆に、車両の衝突発生時に、Gセンサが搭載されている箇所への衝撃が強くGセンサは衝突を検知したが、モータが搭載されている箇所への衝撃は弱くモータへの損傷が無いまたは軽微である場合、Gセンサの検知によりモータへのフェールセーフ処理が実行されてしまい、その後のモータの駆動による退避走行等が不可能となってしまう虞がある。
モータとGセンサが異なる箇所に搭載されていることから生じるこれらの問題を防止するために、モータにGセンサを設けることが考えられるが、一般に車両には複数のモータが搭載されており、全てのモータにGセンサを設けると、コスト高になってしまう。
また、特許文献2の車両用モータ装置では、衝突による電源から電動機(モータ)への給電経路の短絡のみを検出し、モータの異常を検出する訳ではない。このような短絡の検出は、例えば、給電経路に生じた電圧や電流が所定レベル以上または以下であるか否かによって行なわれる。
しかし、特許文献2の車両用モータ装置では、給電経路の短絡以外は検出されない。つまり、衝突により給電経路の短絡は生じなかったが電動機が損傷した場合に、給電経路の電圧や電流が所定レベル以上または以下となることはないので、給電経路の短絡は検出されることはなく、電動機の発熱等により火災等の二次的災害の発生の虞があるのである。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、車両に搭載されたモータが車両の衝突の影響により損傷を受けたか否かを適切に検知し、その後のモータ駆動システムの機能を可能な限り維持することのできる車載電子制御装置及びモータ制御方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による車載電子制御装置の特徴構成は、指令値に基づいて、モータを駆動する車載電子制御装置であって、前記指令値に基づいた前記モータの各相電流または相電圧に基づいて、前記モータの回転状態が適正であるか否かを判別する基準データが記憶された記憶部と、前記モータの各相電流または相電圧を検出する検出部からの入力値に基づいて、算出したデータと、前記記憶部に記憶された基準データを比較して、前記モータに衝突による異常が発生したか否かを判別する判別処理と、前記判別処理により異常が発生したと判別する場合に、当該モータの駆動を停止する停止制御処理を実行する制御部とで構成されている点にある。
上述の構成によれば、判別処理では、モータの各相電流または相電圧に基づいて算出したデータと、記憶部に記憶された基準データが比較され、モータに衝突による異常が発生したか否かが判別される。つまり、Gセンサ等ではなくモータ自身の特性に基づいてモータの異常の発生の有無が判別される。
また、上述の構成によれば、車両の衝突によるモータの異常の判別のためにGセンサを使用しないので、車両に搭載された複数のセンサの夫々にGセンサを設ける必要がない。
更に、上述の構成によれば、判別処理では、短絡による電圧レベルの変動といった電圧レベル自体ではなく、モータの各相電流または相電圧に基づいて算出したデータと基準データの相違によって、モータの異常発生の有無が判別される。つまり、判別処理では、モータの各相電流や相電圧のレベルが所定レベル以上または以下とならなくても、モータの各相電流または相電圧に基づいて算出したデータと基準データの相違の程度によっては、モータの異常であると判断されるのである。
以上説明した通り、本発明によれば、車両に搭載されたモータが車両の衝突の影響により損傷を受けたか否かを適切に検知し、その後のモータ駆動システムの機能を可能な限り維持することのできる車載電子制御装置を提供することができるようになった。
以下に、本発明による車載電子制御装置及びモータ制御方法を、車両としての電気自動車の走行用モータの制御に用いた実施形態について説明する。図1は、本発明による車載電子制御装置1によってモータを制御する場合のブロック構成図である。図1では、電源2がインバータ3を介してモータ4と接続されている。
電源2は、例えば、複数の電池セルが一体化されたモジュールを複数直列に接続したリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の組電池で構成されており、直流電力をインバータ3へ供給する。
電源2とインバータ3は、リレー5、電源2から出力される直流電圧を平滑化するコンデンサC1、コンバータ6、及び電源2から出力される直流電圧を平滑化するコンデンサC1等を介して接続されている。
リレー5では、コイル5Aに電流が供給されるとスイッチ5Bがオンされ、コイル5Aの電流が停止されるとスイッチ5Bがオフされる。
コイル5Aに対する電流の供給の有無は、車載電子制御装置1によって制御される。例えば、車両のスタータースイッチのオンによって、または、スタートボタン等の始動部が操作されることによって、コイル5Aに電流が供給される。コイル5Aへの電流の供給の停止は、例えば、予め設定された所定値以上の加速度で車両が加速していることの加速度センサ(Gセンサ)16による検出、或は、電源2からモータ4へ電力を供給する給電ラインの天絡または地絡の電流センサ11による検出等によって実行される。
尚、Gセンサは、車両のエンジンルーム等に搭載されており、電流センサ11は、給電経路に設けられている。
コンバータ6は、リアクトルL1と、互いに直列に接続されたnpnトランジスタQ1、Q2と、ダイオードD1、D2とを備えて構成されており、電源2から入力された電圧を昇圧する。例えば、コンバータ6は、電源2から入力された電圧(例えば201.6(V))を、所定の電圧(例えば500(V))までの範囲の電圧に昇圧する。
インバータ3は、三相のスイッチング回路31、32、33で構成されており、各スイッチング回路31、32、33は互いに直列接続された二個のnpnトランジスタQ3〜Q8を備えて構成されている。各npnトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ端子からコレクタ端子へ電流を流すダイオードD3〜D8が接続されている。
各スイッチング回路31、32、33の直列接続された二個のnpnトランジスタの中間点は、モータ4の各相(U相、V相、W相)に接続されている。
モータ4は、例えば、図2(a)、(b)に示すように、永久磁石が表面に配置され、または、永久磁石が埋め込まれた回転子(以下、ロータと記す。)41と、ロータ41の外周に配置され巻線された複数の固定子(以下、ステータと記す。)42で構成された三相の永久磁石式同期モータであり、前記巻線に交流電流を流すことでモータ4内に回転磁界が発生し、ロータ41に配置された永久磁石が回転磁界に引かれることでトルクが発生する。尚、図2では、モータ4は、三個のステータ42を備えているが、ステータ42は三個に限らない。
尚、本実施形態において、モータ4は、車載電子制御装置1が搭載されている車両の走行用モータ、換言すると車両を走行させるためのモータである。
車載電子制御装置1は、CPUと、CPUで実行される制御プログラムが格納されたROM及び/またはEEPROMと、ワーキングエリアとして使用されるRAMと、入出力回路等で構成されている。
後述する車載電子制御装置1の記憶部11はRAM及び/またはEEPROMで構成されている。また、以下で説明する車載電子制御装置1によるモータ制御機能、及び、後述する車載電子制御装置1の制御部12の機能は、CPUが制御プログラムを実行することで実現されている。
車載電子制御装置1は、指令値に基づいてインバータ3を制御することにより、モータ4を所定の回転速度で駆動するように構成されている。つまり、車載電子制御装置1は、指令値に基づいて、モータを駆動するように構成されている。
ここで、指令値は、図1に示すように、電圧センサ12によって検出された電源2の出力電圧、電圧センサ14によって検出されたコンバータ6の出力電圧、電流センサ13U、13V、13Wによって検出されたモータ4の各相電流、電圧センサ13UV、13VW、13WUによって検出されたモータ4の各相電圧、モータ4に付設されている角度センサとしてのレゾルバ15によって検出されたモータ4の位置、目標トルク、及び目標モータ回転数等である。尚、モータ4の位置検出は、レゾルバ15によって行なわれる構成に限らず、例えばエンコーダによって行なわれる構成であってもよい。
目標トルク及び目標モータ回転数は、シフトポジション、アクセル開度、及びモータ4に流れている各相電流等に基づいて、車載電子制御装置1で演算される値、または、当該車両に搭載された他の電子制御装置で演算されて車載電子制御装置1に入力される値である。
車載電子制御装置1は、ユーザにより、アクセル17やブレーキ18を操作され、その操作量に基づき、モータ4が目標トルク及び目標モータ回転数で駆動するように、モータ4に流れる各相電流等に基づいて、npnトランジスタQ3〜Q8をスイッチングさせるためのPWM信号を生成し、インバータ3に出力する。
また、車載電子制御装置1は、モータ回転数等に基づいて、目標電圧値を演算する。そして、車載電子制御装置1は、コンバータ6の出力電圧が目標電圧値となるように、目標電圧値、電源2の出力電圧、及びコンバータ6の出力電圧に基づいて、npnトランジスタQ1、Q2をスイッチングさせるためのPWM信号を生成し、コンバータ6に出力する。
車載電子制御装置1は、図3に示すように、指令値に基づいたモータ4の各相電流に基づいて、モータ4の回転状態が適正であるか否かを判別する基準データが記憶された記憶部11と、モータ4の各相電流を検出する検出部としてのセンサ13U、13V、13Wからの入力値、つまりモータ4の各相電流に基づいて算出したデータ(以下、特性データと記す。)と、記憶部11に記憶された基準データを比較して、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを判別する判別処理を実行する衝突判別部121と、衝突判別部121により異常が発生したと判別する場合に、当該モータ4の駆動を停止する停止制御処理を実行する非常停止制御部122を備えた制御部12とで構成されている。
基準データは、モータ4の回転軸の偏心または軸ズレにより発生する波形歪または位相ズレの有無を判別するデータである。
例えば、基準データは、モータ4が正常に回転する場合の各相電流の理論値(図4(a)に例示する正弦波)である。尚、図4(a)では、三相の電流のうち一つの相のみを記している。当該理論値に基づいて、各位相に対する各相電流の値がマップデータとして記憶部に記憶される。
また、基準データは、モータ4が正常に回転する場合の各相電流の理論値の変化率であってもよい。変化率は、例えば、図4(a)に示す理論値を微分することで得られる図4(b)に示すような波形で示される。尚、図4(b)も図4(a)と同様、三相の電流のうち一つの相のみを記している。当該波形に基づいて、各位相に対する電流の変化率がマップデータとして記憶部に記憶される。
また、基準データは、各相電流をdq変換した図4(c)に例示すような電流値を記憶部に記憶したマップデータであってもよい。ここで、dq変換は、モータ4が正常に回転している場合の位相及び当該位相の場合の各相電流の値を数1〜数3に代入することによって行なわれる。数1〜数3において、iU、iV、iWは各相電流であり、id,iqはd軸電流、q軸電流であり、θは各相電流の位相(rad)である。
特性データは、例えば、実際に回転しているモータ4の各相電流を、電流センサ13U、13V、13Wで検出した値である。
また、特性データは、実際に回転しているモータ4の各相電流の変化率であってもよい。変化率は、電流センサ13U、13V、13Wで検出した値の所定時間に対する変化値である。
また、特性データは、実際に回転しているモータ4の各相電流と位相の値を数1〜数3に代入することによって算出されるd軸電流及びq軸電流であってもよい。
以下に、衝突判別部121について詳述する。車両が衝突した際、モータ4の軸と垂直に力が加わった場合には、図5(a)に矢印で示すように、モータ4の回転軸の偏心が生じる。一方、モータ4の軸と平行に力が加わった場合には、図5(b)に矢印で示すように、モータ4の回転軸の軸ズレが生じる。
その結果、図6(a)に例示するようなモータ4の各相電流の波形歪みや、図6(b)に例示するようなモータ4の各相電流の位相ずれが生じる。また、各相電流の波形歪みや位相ずれによって、図6(c)に例示するようなモータ4のd軸電流及びq軸電流の波形歪み等が生じる。
衝突判別部121は、現在の位相に対応する特性データと基準データとを比較して、特性データの値が基準データの値に対して予め設定された所定値以上乖離していれば、車載電子制御装置1が搭載されている車両の衝突によって、モータ4に異常が発生したと判断する。
例えば、衝突判別部121が、各相電流の変化率に基づいて異常発生の有無を判断する構成である場合、以下のような手順で異常発生の有無を判断する。つまり、図7(a)に示すように、前記所定値が「A」であるときには、時刻t1で特性データが基準データから「A1」だけ乖離しているが「A1」は「A」より小さいので、衝突判別部121は、モータ4に異常が発生したと判断しない。その後、前記乖離が大きくなっていき、時刻t2の時点で「A」だけ乖離すると、衝突判別部121は、モータ4に異常が発生したと判断する。尚、図7(a)では、三相の電流のうち一つの相のみを記しているが、少なくとも何れかの相で、所定値以上乖離していれば、衝突判別部121は、モータ4に異常が発生したと判断する。
別の例として、衝突判別部121が、d軸電流及びq軸電流に基づいて異常発生の有無を判断する構成である場合、図7(b)に示すように、前記所定値が「B」であるときには、時刻t3で特性データが基準データから「B1」だけ乖離しているが「b1」は「B」より小さいので、衝突判別部121は、モータ4に異常が発生したと判断しない。その後、前記乖離が大きくなっていき、時刻t4の時点で「B」だけ乖離すると、衝突判別部121は、モータ4に異常が発生したと判断する。尚、図7(b)では、d軸電流のみを記しているが、少なくとも何れかの軸で、所定値以上乖離していれば、衝突判別部121は、モータ4に異常が発生したと判断する。
尚、衝突判別部121によるモータ4の異常発生の有無を判断は、特性データの基準データに対する乖離に基づいて行なわれる方法とは限らない。例えば、衝突判別部121は、特性データと基準データのゼロクロスタイミングが予め設定された所定値以上ずれているか否かによって、モータ4の異常発生の有無を判断するように構成されていてもよい。
非常停止制御部122は、衝突判別部121によって異常発生が判断されると、例えば、リレー5のコイル5Aへの電流供給を停止してモータ4への給電を停止することで、モータ4の駆動を停止する。
給電経路の地絡や天絡を検出するために、モータ4に流れる電流値を所定の閾値と比較する方法では、車両の衝突によるモータ4の回転軸の偏心や軸ズレに起因して波形歪みや位相ずれが生じても、それによって電流値が大きく変動しない場合には、モータ4の異常を検出することはできない。
しかし、上述の構成によれば、モータ4が正常な場合の波形、つまり理論値との乖離等に基づいて、モータ4の異常を検出するので、上記のように電流値が大きく変動しない場合であっても、車両の衝突によるモータ4の回転軸の偏心や軸ズレといった異常を検出することができる。
以下、車載電子制御装置1による車両衝突時の処理について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、図8では、基準データが、モータ4が正常に回転する場合の各相電流の理論値の変化率である場合について説明する。
モータ4の駆動中に(S1)、衝突判別部121は、電流センサ13U、13V、13Wからモータ4の各相電流を所定時間毎に読み取り(S2)、電流の変化率を算出する(S3)。電流の変化率は、例えば、今回読み取った各相電流から前回読み取った各相電流を減じた値を、前回各相電流を読み取ってから今回読み取るまでの経過時間で除算することによって算出される。
衝突判別部121は、例えば、今回読み取った各相電流の値に基づいて、或は、過去に各相電流を読み取った時の位相とその時からの経過時間とに基づいて、現在の各相電流の位相を導出する(S4)。そして、ステップS4で算出した位相で、記憶部11にマップデータとして記憶された基準データを検索して、当該位相に対する各相電流の理論値の変化率を導出する(S5)。
衝突判別部121は、ステップS3で算出した電流の変化率、つまり特性データと、ステップS5で導出した各相電流の理論値の変化率、つまり基準データとを比較する(S6)。
衝突判別部121は、特性データの値が基準データの値に対して予め設定された所定値以上乖離していれば、車載電子制御装置1が搭載されている車両の衝突によって、モータ4に異常が発生したと判断する(S7)。その場合、非常停止制御部122は、モータ4の駆動を停止制御する(S8)。
一方、特性データの値が基準データの値に対して予め設定された所定値以上乖離していない場合(S6)、衝突判別部121は、モータ4が駆動中であれば(S1)、所定時間経過後に、電流センサ13U、13V、13Wからモータ4の各相電流を読み取る(S2)。
以下、モータ4が正常に停止する(S1)、または、モータ4が衝突判別部121によって異常と判断され(S6、S7)、非常停止制御部122によって停止制御されるまで(S8)、上述したステップS2〜S6が繰り返される。
以上説明したとおり、本発明によるモータ制御方法は、指令値に基づいて、モータ4を駆動するモータ制御方法であって、モータ4の各相電流または相電圧を検出する検出部としてのセンサ13U、13V、13Wから入力されたモータ4の各相電流または相電圧に基づいてデータを算出し(図8のステップS2、S3)、モータ4の回転状態が適正であるか否かを判別する基準データと前記データを比較して、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを判別し(図8のステップS4〜S6)、異常が発生したと判別する場合に、当該モータ4の駆動を停止する(図8のステップS8)方法である。
換言すると、指令値に基づいてインバータ3を制御することにより、モータ4を所定の回転速度で駆動するモータ制御方法であって、センサ13U、13V、13Wから入力されたモータ4の各相電流に基づいて特性データを算出し(図8のステップS2、S3)、モータ4の回転状態が適正であるか否かを判別する基準データと特性データを比較して、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを判別し(図8のステップS4〜S6)、異常が発生したと判別したときに(図8のステップS7)、当該モータ4の駆動を停止する(図8のステップS8)方法である。
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、特性データは、センサ13U、13V、13Wから入力されたモータ4の各相電流に基づいて算出される構成について説明したが、特性データは、モータ4の各相電流に基づいて算出されるデータに限らない。
例えば、特性データは、電圧センサ13UV、13VW、13WUから入力されたモータ4の各相電圧に基づいて算出される構成であってもよい。
また、特性データは、レゾルバ15によって検出されたモータ4の位置であってもよい。
つまり、車載電子制御装置1は、モータ4の回転位置を検出するレゾルバ15の出力信号に基づいて、回転状態が適正であるか否かを判別する基準データが記憶部11にさらに記憶され、衝突判別部121はレゾルバ15から入力された出力信号に基づいて算出した特性データと、記憶部11に記憶された基準データを比較して、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを判別する構成であってもよい。
例えば、衝突判別部121は、所定インタバルでレゾルバ15によって検出されたモータ4の位置に基づいて、モータ4の所定時間の回転数を算出する。そして、算出された回転数の変動率が、予め設定された所定値を超えたときに、モータ4に車両の衝突による異常が発生したと判断する。
つまり、車両が衝突する直前または衝突した直後には、通常の運転で起こり得ない加速または減速が起こる虞がある。例えば、衝突前は前方に走行していた車両が、前方車両との衝突によって後方に跳ね返された場合、衝突の瞬間を境にして速度が急激に変化する。衝突判別部121は、このような加速または減速が発生したか否かで、モータ4に車両の衝突による異常が発生したと判断するのである。
上述の構成によれば、衝突判別部121は、各相電流等に基づいて算出した特性データ及び基準データによって、モータ4に衝突による異常が発生したか否かを適正に判別できない場合であっても、レゾルバ15の出力信号に基づいて算出した特性データ及び基準データによって、当該異常を適正に判別することができる。
上述の実施形態では、車載電子制御装置1は、一個のモータ4について、異常発生有無の判別と異常発生の場合の駆動停止とを実行する構成について説明した。
しかし、車載電子制御装置1は、以下のような構成であってもよい。つまり、図9に示すように、基準データ及び衝突判別部121が、車載された複数のモータ4(41〜4n)毎に設けられ、非常停止制御部122は衝突判別部121(1211〜121n)により異常が発生したと判断されたモータ4のみ駆動を停止する構成であってもよい。
以下に詳述する。例えば、車載電子制御装置1が搭載されている車両には、複数のモータ4(41〜4n)として、走行用モータの他に、パワーステアリング用モータ、冷却水循環用モータ、燃料供給用モータ、空気送付用モータ等が搭載されている。
各モータ4について設けられた衝突判別部121、例えば燃料供給用モータ42の異常を判別する衝突判別部1212によって、燃料供給用モータ42に車両の衝突による異常が発生したと判断されると、非常停止制御部122は、燃料供給用モータ42の駆動を停止する。この場合、パワーステアリング用モータ4n等の他のモータ4は、当該他のモータ4について設けられている衝突判別部121によって当該他のモータ4の異常発生と判断されない限り、非常停止制御部122によって駆動停止されることはない。
上述の構成によれば、衝突判別部121による各モータ4の異常検出の組合せによって、非常停止制御部122による対応を可変にすることができる。
例えば、非常停止制御部122は、一の衝突判別部121によって一個のモータ4のみが異常であると判断された場合には、当該モータ4のみを駆動停止するが、二以上の衝突判別部121によって二個以上のモータ4が異常であると判断された場合には、電源2による給電を遮断等することによって、全てのモータ4を駆動停止する構成とすることができる。
上述の実施形態では、本発明による車載電子制御装置1及びモータ制御方法を、電気自動車の走行用モータの制御に用いた実施形態について説明した。このような実施形態において、電気自動車は、二次電池を動力源とし充電や電池交換等により走行用の電力を得る構成に限らない。
例えば、電気自動車は、モータによって走行するものであれば、燃料電池車やソーラーカーであってもよい。尚、本発明による車載電子制御装置及びモータ制御方法を燃料電池車の走行用モータの制御に用いた場合、衝突判別部121によってモータの異常が検出されると、非常停止制御部122は、モータに供給する電力を生成する燃料電池に用いられる燃料を貯蔵している燃料タンクのバルブを閉鎖する構成とすることが好ましい。
また、本発明による車載電子制御装置及びモータ制御方法を用いる車両は電気自動車に限らない。例えば、エンジンとモータを併用して動力を得る所謂ハイブリッドカーのモータに、本発明による車載電子制御装置及びモータ制御方法を用いる構成であってもよい。
尚、上述した実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
1:車載電子制御装置
3:インバータ
4:モータ
11:記憶部
12:制御部
121:衝突判別部(判別処理)
122:非常停止制御部(停止制御処理)
3:インバータ
4:モータ
11:記憶部
12:制御部
121:衝突判別部(判別処理)
122:非常停止制御部(停止制御処理)
Claims (5)
- 指令値に基づいて、モータを駆動する車載電子制御装置であって、
前記指令値に基づいた前記モータの各相電流または相電圧に基づいて、前記モータの回転状態が適正であるか否かを判別する基準データが記憶された記憶部と、
前記モータの各相電流または相電圧を検出する検出部からの入力値に基づいて、算出したデータと、前記記憶部に記憶された基準データを比較して、前記モータに衝突による異常が発生したか否かを判別する判別処理と、前記判別処理により異常が発生したと判別する場合に、当該モータの駆動を停止する停止制御処理を実行する制御部とで構成されていることを特徴とする車載電子制御装置。 - 前記モータが、車両を走行させるためのモータであることを特徴とする請求項1記載の車両電子制御装置。
- 前記基準データは、前記モータの回転軸の偏心または軸ズレにより発生する波形歪または位相ズレの有無を判別するデータであることを特徴とする請求項1または2記載の車載電子制御装置。
- 前記基準データ及び前記判別処理が、車載された複数のモータ毎に設けられ、前記停止制御処理は前記判別処理により異常が発生したと判別されたモータのみ駆動を停止することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車載電子制御装置。
- 指令値に基づいて、モータを駆動するモータ制御方法であって、
前記モータの各相電流または相電圧を検出する検出部から入力された前記モータの各相電流または相電圧に基づいてデータを算出し、前記モータの回転状態が適正であるか否かを判別する基準データと前記データを比較して、前記モータに衝突による異常が発生したか否かを判別し、異常が発生したと判別する場合に、当該モータの駆動を停止することを特徴とするモータ制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008098900A JP2009254119A (ja) | 2008-04-07 | 2008-04-07 | 車載電子制御装置、及び、モータ制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008098900A Withdrawn JP2009254119A (ja) | 2008-04-07 | 2008-04-07 | 車載電子制御装置、及び、モータ制御方法 |
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JP (1) | JP2009254119A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014155234A (ja) * | 2013-02-05 | 2014-08-25 | Fuji Electric Co Ltd | 車両の走行モータ制御システム |
EP2826659A2 (en) | 2013-07-15 | 2015-01-21 | Jtekt Corporation | Onboard motor controller |
-
2008
- 2008-04-07 JP JP2008098900A patent/JP2009254119A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014155234A (ja) * | 2013-02-05 | 2014-08-25 | Fuji Electric Co Ltd | 車両の走行モータ制御システム |
EP2826659A2 (en) | 2013-07-15 | 2015-01-21 | Jtekt Corporation | Onboard motor controller |
US9680405B2 (en) | 2013-07-15 | 2017-06-13 | Jtekt Corporation | Onboard motor controller |
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