JP2009251267A - プラズマディスプレイ装置およびプラズマディスプレイパネルの駆動方法 - Google Patents

プラズマディスプレイ装置およびプラズマディスプレイパネルの駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマディスプレイパネルの表示画像に生じる不自然な輝度変化を防止し、画像表示品質を向上させる。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルと、サブフィールド毎に設定された輝度重みにもとづき設定された数の維持パルスを維持期間に表示電極対に交互に印加する維持パルス発生回路と、プラズマディスプレイパネルの全放電セルに対する点灯させるべき放電セルの割合を点灯率としてサブフィールド毎に検出する点灯率検出回路とを備え、維持パルス発生回路は、現サブフィールドにおいて、輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から、点灯率検出回路が検出した現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とに応じた数の維持パルスを削減して維持パルスを発生する。
【選択図】図9

Description

本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイ装置およびプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁とがそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
パネルを駆動する方法としては一般にサブフィールド法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。サブフィールド法では、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドで各放電セルを発光または非発光させることにより階調表示を行う。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
初期化期間では、各走査電極に初期化波形を印加し、各放電セルで初期化放電を発生させる。それにより、各放電セルにおいて、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成する。
書込み期間では、走査電極に順次走査パルスを印加(以下、この動作を「走査」とも記す)するとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルスを印加する(以下、これらの動作を総称して「書込み」とも記す)。それにより、走査電極とデータ電極との間で選択的に書込み放電を発生させ、選択的に壁電荷を形成する。
続く維持期間では、表示させるべき輝度に応じた所定の数の維持パルスを走査電極と維持電極とからなる表示電極対に交互に印加する。それにより、書込み放電による壁電荷形成が行われた放電セルで選択的に放電を起こし、その放電セルを発光させる。これにより画像表示を行う。
複数の走査電極は走査電極駆動回路により駆動され、複数の維持電極は維持電極駆動回路により駆動され、複数のデータ電極はデータ電極駆動回路により駆動される。
このようなパネルを組み込んだプラズマディスプレイ装置では、その消費電力を削減するため、様々な消費電力削減技術が提案されている。
消費電力を削減する技術の一つとして、パネルが容量性の負荷であることに着目し、インダクタを構成要素に含む共振回路によってそのインダクタとパネルの負荷容量とをLC共振させ、パネルの負荷容量に蓄えられた電力を電力回収用のコンデンサに回収し、回収した電力をパネルの駆動に再利用する、いわゆる電力回収回路が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
この技術では、例えば、維持期間における走査電極および維持電極への維持パルス電圧の印加にパネルから回収した電力を再利用し、維持期間に消費される電力を削減することで、消費電力の削減を実現することができる。
一方、プラズマディスプレイ装置においては、画像を明るく表示して見やすくすることも重要であり、画像の明るさを制御するために、維持期間の維持パルスの発生数を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。1回の維持放電によって生じる発光の明るさ(発光輝度)は、各放電セルでほぼ同じであるが、その発光期間が短いため、一定期間(例えば、1フィールド期間)内に発生する発光の回数が多い放電セルほど明るく発光しているように見える。そして、特許文献3に記載された技術では、この原理を利用して画像の明るさを制御する。
例えば、1フィールドを第1サブフィールド(第1SF)から第8サブフィールド(第8SF)の8つのサブフィールドで構成し、第1SFから第8SFの各サブフィールドに、(1、2、4、8、16、32、64、128)という数値を割り当てる(以下、この各サブフィールドへの割り当てを「輝度重み」と呼称する)。そして、第1SFから第8SFの各サブフィールドにおける維持パルスの発生数を、輝度重みと同数にした1倍モード、輝度重みの2倍の(2、4、8、16、32、64、128、256)にした2倍モード、輝度重みの3倍の(3、6、12、24、48、96、192、384)にした3倍モード、輝度重みの4倍の(4、8、16、32、64、128、256、512)にした4倍モードと変化させる。このように、各サブフィールドにおける維持パルスの発生数を、輝度重みの1倍から2倍、3倍、4倍と変化させる(以下、輝度重みに乗算する倍率のことを「輝度倍率」と呼称する)ことによって維持期間における発光の回数を制御して画像の明るさを調整する。この技術を用いれば、例えば、画像信号の平均輝度レベル(APL:Average Picture Level)を検出し、検出されたAPLにもとづいて輝度倍率を切換え、APLが低い場合に輝度倍率を上げることで、暗い画像をより明るく表示する、といったことが可能となる。
また、輝度倍率を整数だけでなく小数点以下を有する数値についても設定できるようにし、明るさの変化をより滑らかにした技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2006−18298号公報 特公平7−109542号公報 特開平8−286636号公報 特開平11−231833号公報
近年においては、パネルの大画面化、高精細化が進められており、それにともないプラズマディスプレイ装置におけるさらなる表示品質の向上が望まれている。
一方、パネルの大画面化、高精細化により、パネルにおける電極間容量や電極線のインピーダンスが増大し、パネルの駆動インピーダンスは増大する傾向にある。パネルの駆動インピーダンスが増大すると、点灯率(点灯すべき放電セルの割合)の変化により生じる駆動インピーダンスの変動が大きくなるため、パネルの駆動回路から発生させる駆動波形に変動が生じやすくなる。
例えば、維持パルス発生回路においては、駆動インピーダンスが下がると維持パルスの立ち上がりが急峻になり、駆動インピーダンスが上がると維持パルスの立ち上がりが緩やかになる傾向にある。
そして、維持パルスの立ち上がりが急峻になると、維持パルスの立ち上がりが緩やかなときと比較して、強い維持放電が発生しやすい。強い維持放電が発生すると、弱い維持放電が発生したときよりも発光輝度が高くなる。そのため、点灯率が低いときと点灯率が高いときとで発光輝度に差が生じ、同じ階調値であるのにもかかわらず表示輝度に差が生じることがある。そして、このような表示輝度の差は、「階調飛び」と呼ばれる不自然な輝度変化を発生させ、画像表示品質を劣化させる一因となる。
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、サブフィールド毎に点灯率を検出し、現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とにもとづき、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を制御することで、表示画像に生じる不自然な輝度変化を防止し、画像表示品質を向上させることが可能なプラズマディスプレイ装置およびパネルの駆動方法を提供することを目的とする。
本発明のプラズマディスプレイ装置は、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設けるサブフィールド法により駆動され、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたパネルと、維持期間に、サブフィールド毎に設定された輝度重みにもとづき設定された数の維持パルスを表示電極対に交互に印加する維持パルス発生回路と、パネルの全放電セルに対する点灯させるべき放電セルの割合を点灯率としてサブフィールド毎に検出する点灯率検出回路とを備え、維持パルス発生回路は、現サブフィールドにおいて、輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から、点灯率検出回路が検出した現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とに応じた数の維持パルスを削減して維持パルスを発生させることを特徴とする。
これにより、現サブフィールドの点灯率とその直前のサブフィールドの点灯率とに応じて維持パルスの発生数を制御し、表示輝度の調整を行うことができるようになるので、表示画像に生じる不自然な輝度変化を防止して画像表示品質を向上させることが可能となる。
また、このプラズマディスプレイ装置において、維持パルス発生回路は、点灯率検出回路が検出した現サブフィールドの点灯率が所定の値よりも小さいときに、現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率との差が大きいほど、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を少なくすることを特徴とする。これにより、表示輝度の調整を、より精度よく行うことができるようになる。
また、このプラズマディスプレイ装置において、維持パルス発生回路は、点灯率検出回路が検出した現サブフィールドの点灯率が所定の値よりも小さいときに、現サブフィールドの点灯率が小さくなるほど、かつ現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率が大きくなるほど、現サブフィールドにおける維持パルスの削減数を多くすることを特徴とする。これにより、表示輝度の調整を、より精度よく行うことができるようになる。
また、このプラズマディスプレイ装置において、維持パルス発生回路は、現サブフィールドにおいて維持パルスの発生数を削減する制御を行うときには、同一フィールドにおける現サブフィールドよりも輝度重みの大きいサブフィールドにおいても、輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から、現サブフィールドで維持パルスを削減するのと同じ割合で維持パルスの発生数を削減して維持パルスを発生してもよい。これにより、表示輝度の調整を、さらに精度よく行うことができるようになる。
また、このプラズマディスプレイ装置において、維持パルス発生回路は、1フィールド期間に発生させるサブフィールドを輝度重みの小さい第1のサブフィールド群と輝度重みの大きい第2のサブフィールド群とに分け、第2のサブフィールド群においてのみ維持パルスの発生数を削減する制御を行う構成としてもよい。発光輝度に与える影響は輝度重みの大きいサブフィールドの方がより大きいので、このような構成であっても、表示輝度を調整する効果を十分に得ることができる。
また、本発明のパネルの駆動方法は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたパネルを、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設け、維持期間に、サブフィールド毎に設定された輝度重みにもとづき設定された数の維持パルスを表示電極対に交互に印加して駆動するパネルの駆動方法であって、パネルの全放電セルに対する点灯させるべき放電セルの割合を点灯率としてサブフィールド毎に検出するとともに、現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とに応じて、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を、輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から削減することを特徴とする。
これにより、現サブフィールドの点灯率とその直前のサブフィールドの点灯率とに応じて維持パルスの発生数を制御し、表示輝度の調整を行うことができるようになるので、表示画像に生じる不自然な輝度変化を防止して画像表示品質を向上させることが可能となる。
本発明によれば、サブフィールド毎に点灯率を検出し、現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とにもとづき、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を制御することで、表示画像に生じる不自然な輝度変化を防止し、画像表示品質を向上させることが可能なプラズマディスプレイ装置およびパネルの駆動方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、パネルの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料から形成されている。
背面板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン分圧を約10%とした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
図2は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に延長されたn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に延長されたm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がパネル10の表示領域となる。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について図3を用いて説明する。なお、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち1フィールド期間を時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドに輝度重みをそれぞれ設定し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行うものとする。
このサブフィールド法では、例えば、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)で構成し、各サブフィールドはそれぞれ、例えば(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)の輝度重みを有する構成とすることができる。そして、各サブフィールドでは、この輝度重みに、あらかじめ設定された輝度倍率を乗じた数の維持パルスを発生させる。これにより、維持期間における発光の回数を制御して画像の明るさを調整する。また、複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては全ての放電セルに初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間においては直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うことで、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させることが可能である。
そして、本実施の形態では、第1SFの初期化期間では全セル初期化動作を行い、第2SF〜第10SFの初期化期間では選択初期化動作を行うものとする。これにより、画像の表示に関係のない発光は第1SFにおける全セル初期化動作の放電にともなう発光のみとなり、維持放電を発生させない黒表示領域の輝度である黒輝度は全セル初期化動作における微弱発光だけとなって、コントラストの高い画像表示が可能となる。また、各サブフィールドの維持期間においては、それぞれのサブフィールドの輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24のそれぞれに印加する。
なお、本発明は、本実施の形態のように、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
図3は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。
なお、図3には、書込み期間において最初に走査を行う走査電極SC1、書込み期間において最後に走査を行う走査電極SCn(例えば、走査電極SC1080)、維持電極SU1〜維持電極SUn、およびデータ電極D1〜データ電極Dmの駆動波形を示す。
また、図3には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち全セル初期化動作を行うサブフィールド(「全セル初期化サブフィールド」と呼称する)の第1サブフィールド(第1SF)と、選択初期化動作を行うサブフィールド(「選択初期化サブフィールド」と呼称する)の第2サブフィールド(第2SF)とを示す。なお、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形は、維持期間における維持パルスの発生数が異なる以外は第2SFの駆動電圧波形とほぼ同様である。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中から画像データにもとづき選択された電極を表す。
まず、全セル初期化サブフィールドである第1SFについて説明する。
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜データ電極Dm、維持電極SU1〜維持電極SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、0(V)から放電開始電圧以下の電圧Vi1を印加し、さらに電圧Vi1から、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧(以下、「上りランプ波形」と呼称する)L1を印加する。
この上りランプ波形L1が上昇する間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜データ電極Dm上部および維持電極SU1〜維持電極SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える負の電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下り傾斜波形電圧(以下、「下りランプ波形」と呼称する)L2を印加する。
この間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜維持電極SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜データ電極Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。以上により、全ての放電セルに対して初期化放電を行う全セル初期化動作が終了する。
続く書込み期間では、走査電極SC1〜走査電極SCnに対しては順次走査パルス電圧を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmに対しては発光させるべき放電セルに対応するデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加して、各放電セルに選択的に書込み放電を発生させる。
この書込み期間では、まず維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を、走査電極SC1〜走査電極SCnに電圧Vc(Vc=Va+Vscn)を印加する。
そして、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜データ電極Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。このときデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。また、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を印加しているため、維持電極SU1上と走査電極SC1上との電圧差は、外部印加電圧の差である(Ve2−Va)に維持電極SU1上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。このとき、電圧Ve2を、放電開始電圧をやや下回る程度の電圧値に設定することで、維持電極SU1と走査電極SC1との間を、放電には至らないが放電が発生しやすい状態にすることができる。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電を発生させることができる。こうして、発光させるべき放電セルに書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作を行う。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜データ電極Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させる。
この維持期間では、まず走査電極SC1〜走査電極SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜維持電極SUnにベース電位となる接地電位、すなわち0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。
そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極SC1〜走査電極SCnにはベース電位となる0(V)を、維持電極SU1〜維持電極SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを交互に印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
そして、維持期間の最後には、維持電極SU1〜維持電極SUnを0(V)に戻した後、ベース電位となる0(V)から放電開始電圧を超える電圧Versに向かって上昇する傾斜波形電圧(以下、「消去ランプ波形」と呼称する)L3を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する。すると、維持放電を起こした放電セルの維持電極SUiと走査電極SCiとの間で微弱な放電(以下、「消去放電」と呼称する)が発生する。この消去放電で発生した荷電粒子は、維持電極SUiと走査電極SCiとの間の電圧差を緩和するように、維持電極SUi上および走査電極SCi上に壁電荷となって蓄積されていく。これにより、データ電極Dk上の正の壁電荷を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧は、走査電極SCiに印加した電圧と放電開始電圧の差、すなわち(電圧Vers−放電開始電圧)の程度まで弱められる。
その後、走査電極SC1〜走査電極SCnを0(V)に戻し、維持期間における維持動作が終了する。
第2SFの初期化期間では、第1SFにおける初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加する。すなわち、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve1を、データ電極D1〜データ電極Dmに0(V)をそれぞれ印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnに放電開始電圧以下となる電圧(例えば、0(V))から負の電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下りランプ波形L4を印加する。
これにより直前のサブフィールド(図3では、第1SF)の維持期間で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCi上部および維持電極SUi上部の壁電圧が弱められ、データ電極Dk(k=1〜m)上部の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。一方、前のサブフィールドで維持放電が起こらなかった放電セルについては放電することはなく、前のサブフィールドの初期化期間終了時における壁電荷の状態がそのまま保たれる。このように第2SFにおける初期化動作は、直前のサブフィールドの維持期間で維持動作を行った放電セルに対して初期化放電を行う選択初期化動作となる。
第2SFの書込み期間においては、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmに対して第1SFの書込み期間と同様の駆動波形を印加する。
第2SFの維持期間においては、第1SFの維持期間と同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとにあらかじめ定められた数の維持パルスを交互に印加する。これにより、書込み期間において書込み放電を発生させた放電セルで維持放電を発生させる。
また、第3SF以降のサブフィールドでは、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmに対して、維持期間における維持パルスの発生数が異なる以外は第2SFと同様の駆動波形を印加する。
以上が、パネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。図4は、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置1の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、点灯率検出回路47および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路41は、パネル10の画素数に応じて、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。なお、本実施の形態における画像信号処理回路41には、あらかじめ設定されたサブフィールド構成(1フィールド期間のサブフィールド数および各サブフィールドの輝度重み)と、プラズマディスプレイ装置1において設定された最小階調値(例えば、「0」)から最大階調値(例えば、「255」)までの階調値と、各階調値のそれぞれに設定されたコーディングデータ(各サブフィールドにおける点灯/非点灯を表すデータ)とがまとめられたテーブル(以下、「コーディングテーブル」と記す)が設定されており、そのコーディングテーブルにもとづき、画像信号sigが画像データに変換されるものとする。
データ電極駆動回路42は、サブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換し、タイミング信号にもとづいて各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
点灯率検出回路47は、サブフィールド毎の画像データにもとづき、全放電セル数に対する点灯させるべき放電セル数の割合、すなわち点灯率をサブフィールド毎に検出する。そして、検出した点灯率をあらかじめ定めた複数の点灯率しきい値(詳細は、後述する)と比較し、その結果を表す信号をタイミング発生回路45に出力する。なお、点灯率検出回路47は、内部にメモリ48を備えており、検出した点灯率をメモリ48に記憶することで、現サブフィールドの点灯率とその直前のサブフィールドの点灯率とをタイミング発生回路45に送信することができる。
タイミング発生回路45は、水平同期信号H、垂直同期信号Vおよび点灯率検出回路47からの出力にもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロック(画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44)へ供給する。なお、タイミング発生回路45は、現サブフィールドの点灯率とその直前のサブフィールドの点灯率とに応じて、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を、輝度重みにもとづきあらかじめ設定された維持パルスの発生数から削減する制御をあわせて行う。そして、この制御に用いるルックアップテーブル(図示せず)を内部に備えているが、このルックアップテーブルの詳細は図9を用いて後述する。
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形を発生するための初期化波形発生回路(図示せず)、複数の走査ICを備え書込み期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生するための走査パルス発生回路(図示せず)、維持期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路50を有する。そして、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜走査電極SCnをそれぞれ駆動する。
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路60および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路(図示せず)を備え、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
なお、本実施の形態における維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60は、維持期間において発生させる維持パルスの数を、点灯率検出回路47において検出された点灯率にもとづき変更している。これにより、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置1では、表示輝度を制御して表示画像の不自然な輝度変化を防止し、画像表示品質の向上を実現しているが、この詳細については後述する。
次に、維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の詳細とその動作について説明する。図5は、本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の回路図である。なお、図5にはパネル10の電極間容量をCpとして示し、走査パルスおよび初期化電圧波形を発生させる回路は省略している。
維持パルス発生回路50は、電力回収回路51とクランプ回路52とを備えており、電力回収回路51およびクランプ回路52は、走査パルス発生回路(維持期間中は短絡状態となるため図示せず)を介してパネル10の電極間容量Cpの一端である走査電極SC1〜走査電極SCnに接続されている。
電力回収回路51は、電力回収用のコンデンサC10、スイッチング素子Q11、スイッチング素子Q12、逆流防止用のダイオードD11、逆流防止用のダイオードD12、共振用のインダクタL10を有している。そして、電極間容量CpとインダクタL10とをLC共振させて維持パルスの立ち上がりおよび立ち下がりを行う。このように、電力回収回路51は電源から電力を供給されることなくLC共振によって走査電極SC1〜走査電極SCnの駆動を行うため、理想的には消費電力が0となる。なお、電力回収用のコンデンサC10は電極間容量Cpに比べて十分に大きい容量を持ち、電力回収回路51の電源として働くように、電圧値Vsの半分の約Vs/2に充電されている。
クランプ回路52は、走査電極SC1〜走査電極SCnを電圧Vsにクランプするためのスイッチング素子Q13、走査電極SC1〜走査電極SCnをベース電位である0(V)にクランプするためのスイッチング素子Q14を有している。そして、スイッチング素子Q13を介して走査電極SC1〜走査電極SCnを電源VSに接続して電圧Vsにクランプし、スイッチング素子Q14を介して走査電極SC1〜走査電極SCnを接地して0(V)にクランプする。したがって、クランプ回路52による電圧印加時のインピーダンスは小さく、強い維持放電による大きな放電電流を安定して流すことができる。
そして、維持パルス発生回路50は、タイミング発生回路45から出力されるタイミング信号によりスイッチング素子Q11、スイッチング素子Q12、スイッチング素子Q13、スイッチング素子Q14の導通と遮断とを切換えることによって電力回収回路51とクランプ回路52とを動作させ、維持パルス波形を発生させる。なお、図5では、タイミング信号の信号経路の詳細は省略する。
例えば、維持パルス波形を立ち上げる際には、スイッチング素子Q11をオンにして電極間容量CpとインダクタL10とを共振させ、電力回収用のコンデンサC10からスイッチング素子Q11、ダイオードD11、インダクタL10を通して走査電極SC1〜走査電極SCnに電力を供給する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧が電圧Vsに近づいた時点で、スイッチング素子Q13をオンにして、走査電極SC1〜走査電極SCnを駆動する回路を電力回収回路51からクランプ回路52に切換え、走査電極SC1〜走査電極SCnを電圧Vsにクランプする。
逆に、維持パルス波形を立ち下げる際には、スイッチング素子Q12をオンにして電極間容量CpとインダクタL10とを共振させ、電極間容量CpからインダクタL10、ダイオードD12、スイッチング素子Q12を通して電力回収用のコンデンサC10に電力を回収する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧が0(V)に近づいた時点で、スイッチング素子Q14をオンにして、走査電極SC1〜走査電極SCnを駆動する回路を電力回収回路51からクランプ回路52に切換え、走査電極SC1〜走査電極SCnをベース電位である0(V)にクランプする。
このようにして、維持パルス発生回路50は、維持パルスを発生させる。なお、これらのスイッチング素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の一般に知られた素子を用いて構成することができる。
維持パルス発生回路60は、維持パルス発生回路50とほぼ同様の構成であり、電力回収用のコンデンサC20、スイッチング素子Q21、スイッチング素子Q22、逆流防止用のダイオードD21、逆流防止用のダイオードD22、共振用のインダクタL20を有し維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動するときの電力を回収して再利用するための電力回収回路61と、維持電極SU1〜維持電極SUnを電圧Vsにクランプするためのスイッチング素子Q23および維持電極SU1〜維持電極SUnを接地電位(0(V))にクランプするためのスイッチング素子Q24を有するクランプ回路62とを備えており、パネル10の電極間容量Cpの一端である維持電極SU1〜維持電極SUnに接続されている。なお、維持パルス発生回路60の動作は維持パルス発生回路50と同様であるので説明を省略する。
また、図5には、電圧Ve1を発生する電源VE1、電圧Ve1を維持電極SU1〜維持電極SUnに印加するためのスイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27、電圧ΔVeを発生する電源ΔVE、逆流防止用のダイオードD30、電圧Ve1に電圧ΔVeを積み上げるためのチャージポンプ用のコンデンサC30、電圧Ve1に電圧ΔVeを積み上げて電圧Ve2とするためのスイッチング素子Q28、スイッチング素子Q29を示している。
例えば、図3に示した電圧Ve1を印加するタイミングでは、スイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27を導通させて維持電極SU1〜維持電極SUnにダイオードD30、スイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27を介して正の電圧Ve1を印加する。なお、このときスイッチング素子Q28を導通させ、コンデンサC30の電圧が電圧Ve1になるように充電しておく。また、図3に示した電圧Ve2を印加するタイミングでは、スイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27は導通させたまま、スイッチング素子Q28を遮断させるとともにスイッチング素子Q29を導通させてコンデンサC30の電圧に電圧ΔVeを重畳し、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧(Ve1+ΔVe)、すなわち電圧Ve2を印加する。このとき、逆流防止用のダイオードD30の働きにより、コンデンサC30から電源VE1への電流は遮断される。
なお、電圧Ve1、電圧Ve2を印加する回路については、図5に示した回路に限定されるものではなく、例えば、電圧Ve1を発生させる電源と電圧Ve2を発生させる電源とそれぞれの電圧を維持電極SU1〜維持電極SUnに印加するための複数のスイッチング素子とを用いて、それぞれの電圧を必要なタイミングで維持電極SU1〜維持電極SUnに印加する構成とすることもできる。
次に、維持期間における駆動電圧波形の詳細について説明する。図6は、本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の動作を説明するためのタイミングチャートである。図6では、維持パルスの繰り返し周期の1周期分をT1〜T6で示した6つの期間に分割し、それぞれの期間について説明する。この繰り返し周期(「維持周期」と記す)とは、維持期間において表示電極対に繰り返し印加される維持パルスの間隔のことであり、例えば、期間T1〜期間T6によって繰り返される周期のことを表す。
なお、以下の説明においてスイッチング素子を導通させる動作を「オン」、遮断させる動作を「オフ」と表記し、図面にはスイッチング素子をオンさせる信号を「ON」、オフさせる信号を「OFF」と表記する。また、図6では、正極の波形を用いて説明をするが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、負極の波形における実施の形態例は省略するが、以下の説明の正極の波形において「立ち上がり」と表現しているものを、負極の波形においては「立ち下がり」に、正極の波形において「立ち下がり」と表現しているものを、負極の波形においては「立ち上がり」に読みかえることで、負極の波形であっても同様の効果を得ることができるものである。
(期間T1)
時刻t1でスイッチング素子Q12をオンにする。すると、走査電極SC1〜走査電極SCn側の電荷はインダクタL10、ダイオードD12、スイッチング素子Q12を通してコンデンサC10に流れ始め、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧が下がり始める。インダクタL10と電極間容量Cpとは共振回路を形成しているので、共振周期(ここでは、2000nsecに設定)の1/2の時間経過後の時刻t2において走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は0(V)付近まで低下する。しかし共振回路の抵抗成分等による電力損失のため、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は0(V)までは下がらない。
なお、この間、スイッチング素子Q24はオンに保持し、維持電極SU1〜維持電極SUnは0(V)にクランプしておく。
(期間T2)
そして、時刻t2でスイッチング素子Q14をオンにする。すると、走査電極SC1〜走査電極SCnはスイッチング素子Q14を通して接地電位に接続されるため、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は接地電位である0(V)にクランプされる。
さらに、時刻t2でスイッチング素子Q21をオンにする。すると、電力回収用のコンデンサC20からスイッチング素子Q21、ダイオードD21、インダクタL20を通して維持電極SU1〜維持電極SUnへ電流が流れ始め、維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧が上がり始める。インダクタL20と電極間容量Cpとは共振回路を形成しているので、共振周期(ここでは、2000nsecに設定)の1/2の時間経過後の時刻t3において維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vs付近まで上昇する。しかし、駆動回路の出力インピーダンスや駆動負荷の影響で、電圧Vsまでは上昇しない。
(期間T3)
そして、時刻t3でスイッチング素子Q23をオンにする。すると維持電極SU1〜維持電極SUnはスイッチング素子Q23を通して電源VSへ接続されるため、維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vsにクランプされ強制的に電圧Vsまで上昇する。この期間T3では維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vsに保たれる。
(期間T4〜期間T6)
走査電極SC1〜走査電極SCnに印加される維持パルスと維持電極SU1〜維持電極SUnに印加される維持パルスとは同じ波形形状であり、期間T4から期間T6までの動作は、期間T1から期間T3までの動作を走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとを入れ替えて行う動作に等しいので説明を省略する。
なお、スイッチング素子Q12は時刻t2以降、時刻t5までにオフすればよく、スイッチング素子Q21は時刻t3以降、時刻t4までにオフすればよい。また、スイッチング素子Q22は時刻t5以降、次の時刻t2までにオフすればよく、スイッチング素子Q11は時刻t6以降、次の時刻t1までにオフすればよい。また、維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の出力インピーダンスを下げるために、スイッチング素子Q24は時刻t2直前に、スイッチング素子Q13は時刻t1直前にオフにすることが望ましく、スイッチング素子Q14は時刻t5直前に、スイッチング素子Q23は時刻t4直前にオフにすることが望ましい。
維持期間においては、以上の期間T1〜期間T6の動作を、必要なパルス数に応じて繰り返す。このようにして、ベース電位である0(V)から電圧Vsに変位する維持パルス電圧を、表示電極対24のそれぞれに交互に印加して放電セルを維持放電させる。
なお、電力回収回路51のインダクタL10とパネル10の電極間容量CpとのLC共振の周期、および電力回収回路61のインダクタL20と同電極間容量CpとのLC共振の周期(「共振周期」と記す)は、インダクタL10、インダクタL20のインダクタンスをそれぞれLとすれば、計算式「2π√(LCp)」によって求めることができる。そして、本実施の形態では、電力回収回路51、電力回収回路61における共振周期が2000nsecになるようにインダクタL10、インダクタL20を設定している。
次に、維持放電による発光輝度と点灯率との関係について説明する。図7は、本発明の一実施の形態における発光輝度の変化と点灯率との関係の一例を示す特性図である。図7において、横軸は点灯率を表し、縦軸は放電セルにおける発光輝度の変化を表す。なお、縦軸の発光輝度の変化は、点灯率100%のときの発光輝度を基準とし、その発光輝度と比較してどの程度発光輝度が変化したかを百分率で表したものである。
放電セルにおける発光輝度は、点灯率によって変化する。例えば、図7に示す特性では、点灯率が30%よりも小さくなると発光輝度は上昇し始め、点灯率が5%以下になると、点灯率100%のときの発光輝度よりも10%以上も発光輝度が上昇する。これは、次のような理由によるものと考えられる。
上述したように、電力回収回路の出力インピーダンスはクランプ回路の出力インピーダンスと比較して大きいため、点灯率に応じて駆動時の負荷が変化すると、維持パルスの立ち上がりの波形形状に変化が生じやすい。例えば、駆動時の負荷が増加すると立ち上がりの波形形状は緩やかになり、逆に駆動時の負荷が減少すると立ち上がりの波形形状は急峻になる。維持パルスの立ち上がりが急峻になると、放電セルに印加される電圧の変化が大きい状態で維持放電が発生するため、立ち上がりが緩やかで放電セルに印加される電圧の変化が比較的小さい状態で発生する維持放電よりも、強い維持放電が発生する。このように、維持放電の放電強度は、維持パルスの立ち上がりの波形形状によって変化する。そして、強い維持放電が発生すると、弱い維持放電が発生したときと比較して、発光輝度は高くなる。
すなわち、点灯率が下がることで、駆動時の負荷が小さくなり、その結果、維持パルスの立ち上がりの波形形状が急峻になって、強い維持放電が発生することが、点灯率が低いときに発光輝度が高くなる理由と考えられる。
そのため、サブフィールド毎の点灯率の差が大きく、サブフィールドによって発光強度に差が生じるような画像を表示しているときには、表示画像に不自然な輝度変化が発生することがある。
図8は、本発明の一実施の形態における表示輝度と入力画像信号のレベルとの関係の一例を概略的に示す特性図である。図8において、横軸は入力画像信号(R信号、またはG信号、またはB信号)のレベルを表し、縦軸は1フィールド期間で表示される輝度の大きさを表す。
入力された画像信号に応じて画像を表示するためには、入力画像信号の大きさに応じて、表示輝度も一様に変化する(いわゆる、ガンマ特性や黒レベル調整といった表示画像のコントラスト調整は除く)ことが望ましい。しかし、輝度重みの大きいサブフィールドのみ点灯率が低く、それよりも輝度重みの小さいサブフィールドでは点灯率が比較的高くなるような画像を表示したときに、輝度重みの大きいサブフィールドでのみ発光輝度が上昇し、図8の実線に示すように、表示輝度に「階調飛び」と呼ばれる不自然な輝度変化が生じることがある。このように、画像信号では階調が滑らかに変化しているにもかかわらず表示画像に不自然な輝度変化が発生すると、不自然な表示画像として認識され、画像表示品質の劣化の一因となる。
サブフィールド法では、単位期間(例えば、1フィールド期間)内における維持放電の発生回数を制御することで、表示輝度を制御する。したがって、上述したような不自然な「階調飛び」を防止するには、発光輝度の上昇が予想されるサブフィールドにおいて、あらかじめ設定された維持パルスの発生数から、発光輝度の上昇分に相当する数の維持パルスを削減して、維持パルスを発生させればよい。例えば、発光輝度が10%上昇すると予想されるサブフィールドでは、維持パルスの発生数を、あらかじめ設定された維持パルスの発生数から10%削減すれば、表示画像における不自然な輝度変化を防止することができる。
なお、サブフィールド毎の点灯率の差が小さくサブフィールド毎の発光強度に差が少ないとき、例えば、全てのサブフィールドにおいて点灯率が高くなるような画像を表示するときには、図8に破線で示すように、表示輝度に不自然な変化は発生しない。これは、全てのサブフィールドにおいて点灯率が低くなるような画像を表示するときも同様である。したがって、このような場合は、維持パルスの発生数を、あらかじめ設定された維持パルスの発生数から変更する必要はない。
そこで、本実施の形態では、サブフィールド毎に点灯率を検出し、現サブフィールドの点灯率と、現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とにもとづき、現サブフィールドにおいて発光輝度の上昇が発生するかどうかを推測し、現サブフィールドにおいて発光輝度の上昇が予想されるときには、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を、あらかじめ設定された維持パルスの発生数から削減するものとする。これにより、表示輝度の不自然な上昇を抑え、「階調飛び」の発生を防止することが可能となる。
図9は、本発明の一実施の形態における点灯率と維持パルスの削減数との関係の一例を示す図である。図9において、縦軸は現サブフィールドの点灯率を表し、横軸は現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率を表す。また、各欄の中に記載された数値は、現サブフィールドにおいて削減させる維持パルスの割合(あらかじめ設定された維持パルスの発生数に対する、削減させる維持パルスの割合)を表す。例えば、「7.0%」と記載された欄では、あらかじめ設定された維持パルスの発生数が、例えば80であれば、その80から7%を削減した74の維持パルスを発生(本実施の形態では、削減させる維持パルスを算出するときに、小数点以下は四捨五入するものとする)させるものとする。
なお、各サブフィールドにおける維持パルスの発生数は、入力画像信号sigおよび画像信号処理回路41内に設定されたコーディングテーブルにもとづき、画像信号処理回路41において決定されるものとする。そして、各サブフィールドの維持パルスの発生数は画像信号処理回路41からタイミング発生回路45に送信されるものとする。このようにして決定された維持パルスの発生数が、上述した「あらかじめ設定された維持パルスの発生数」である。
そして、タイミング発生回路45では、点灯率検出回路47から出力される現サブフィールドの点灯率およびその直前のサブフィールドの点灯率により図9に示すルックアップテーブルから得られる維持パルスの削減数と、画像信号処理回路41から送信される各サブフィールドの維持パルスの発生数とから、現サブフィールドにおける維持パルスの最終的な発生数を決定し、その発生数に応じたタイミング信号を維持パルス発生回路50および維持パルス発生回路60に送信するものとする。
本実施の形態では、点灯率検出回路47が検出した現サブフィールドの点灯率が所定の値(例えば、20%)よりも小さいときに、現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率との差が大きいほど、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を少なくするものとする。すなわち、点灯率検出回路47が検出した現サブフィールドの点灯率が所定の値(例えば、20%)よりも小さいときに、現サブフィールドの点灯率が小さくなるほど、かつ現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率が大きくなるほど、現サブフィールドにおける維持パルスの削減数を多くするものとする。
例えば、図9に示す例では、現サブフィールドの点灯率が16%以上20%未満のときには、直前のサブフィールドの点灯率が20%以上のときに、現サブフィールドにおいて、あらかじめ定められた維持パルスの発生数から2%を削減するものとする。ただし、直前のサブフィールドの点灯率が20%未満であれば、現サブフィールドにおいて、維持パルスの発生数の削減は行わないものとする。
また、現サブフィールドの点灯率が14%以上16%未満のときには、直前のサブフィールドの点灯率が18%以上20%未満のときにあらかじめ設定された維持パルスの発生数から2%の維持パルスを削減し、直前のサブフィールドの点灯率が20%以上のときに3.9%の維持パルスを削減するものとする。ただし、直前のサブフィールドの点灯率が18%未満であれば、現サブフィールドにおいて、維持パルスの発生数の削減は行わないものとする。
また、現サブフィールドの点灯率が12%以上14%未満のときには、直前のサブフィールドの点灯率が16%以上18%未満のときにあらかじめ設定された維持パルスの発生数から2%の維持パルスを削減し、直前のサブフィールドの点灯率が18%以上20%未満のときに3.1%の維持パルスを削減し、直前のサブフィールドの点灯率が20%以上のときに5.5%の維持パルスを削減するものとする。ただし、直前のサブフィールドの点灯率が16%未満であれば、現サブフィールドにおいて、維持パルスの発生数の削減は行わないものとする。
また、現サブフィールドの点灯率が10%以上12%未満のときには、直前のサブフィールドの点灯率が14%以上16%未満のときにあらかじめ設定された維持パルスの発生数から2%の維持パルスを削減し、直前のサブフィールドの点灯率が16%以上18%未満のときに3.1%の維持パルスを削減し、直前のサブフィールドの点灯率が18%以上20%未満のときに4.7%の維持パルスを削減し、直前のサブフィールドの点灯率が20%以上のときに7%の維持パルスを削減するものとする。ただし、直前のサブフィールドの点灯率が14%未満であれば、現サブフィールドにおいて、維持パルスの発生数の削減は行わないものとする。
以降、同様に、現サブフィールドの点灯率が小さくなるほど、かつ現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率が大きくなるほど、現サブフィールドにおいて維持パルスの削減数を多くしていく。ただし、現サブフィールドの点灯率が所定の値(図9では、20%)以上であれば、直前のサブフィールドの点灯率にかかわらず、維持パルスの削減は行わないものとする。
このように、発光輝度の上昇が予想されるサブフィールドにおいて、発光輝度の上昇分だけ、維持パルスの発生数を、あらかじめ設定された維持パルスの発生数から削減することで、表示輝度の不自然な上昇を抑え、「階調飛び」の発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、サブフィールド毎に点灯率を検出し、現サブフィールドの点灯率と、現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とにもとづき、現サブフィールドにおいて発光輝度の上昇が発生するかどうかを推測し、現サブフィールドにおいて発光輝度の上昇が予想されるときには、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数をあらかじめ設定された維持パルスの発生数から削減するものとする。これにより、表示画像の不自然な輝度変化を抑え、「階調飛び」の発生を防止することができるので、プラズマディスプレイ装置における画像表示品質を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、現サブフィールドにおいて維持パルスの発生数を削減するときには、同一フィールドにおける現サブフィールドよりも輝度重みの大きいサブフィールドにおいても、あらかじめ設定された維持パルスの発生数から、現サブフィールドで維持パルスを削減するのと同じ割合で維持パルスの発生数を削減して維持パルスを発生する構成としてもよい。例えば、第8SFで維持パルスを7%削減するときには、第9SF、第10SFにおいても同様に維持パルスを7%削減してもよい。これにより、表示輝度の調整を、さらに精度よく行うことができるようになる。これは、第1SF〜第10SFの各サブフィールドの輝度重みが昇順になっていない場合(例えば、各サブフィールドに(1、3、11、30、60、2、6、18、44、80)の輝度重みが割り当てられているような場合)であっても、同様である。このような場合、例えば、第4SF(輝度重み30)で維持パルスを7%削減するときには、第5SF(輝度重み60)、第9SF(輝度重み44)、第10SF(輝度重み80)においても同様に維持パルスを7%削減する構成としてもよい。
なお、輝度重みの大きいサブフィールドは、維持パルスの発生数も多く、表示画像の明るさに与える影響が大きいため、発光輝度の上昇が発生したときに表示画像に与える影響も大きい。一方、輝度重みの小さいサブフィールドは、維持パルスの発生数が少ないため、発光輝度の上昇が発生したときに表示画像に与える影響も比較的小さい。そこで、1フィールド期間に発生させるサブフィールドを輝度重みの小さい第1のサブフィールド群(例えば、第1SF〜第6SF)と輝度重みの大きい第2のサブフィールド群(例えば、第7SF〜第10SF)とに分け、より効果の大きい第2のサブフィールド群においてのみ、維持パルスの発生数を制御する構成としてもよい。このような構成であっても、表示輝度を調整する効果を十分に得ることができる。しかし、本発明は何らこの構成に限定されるものではなく、全てのサブフィールドで維持パルスの発生数を制御する構成としてもよい。
なお、本実施の形態では、現サブフィールドにおいて維持パルスの発生数をあらかじめ設定された維持パルスの発生数から削減するときに、その削減した維持パルスの数と同数の維持パルスを、同一フィールドにおける現サブフィールドよりも輝度重みの小さいサブフィールドにおいてあらかじめ設定された維持パルスの発生数から増加させる構成としてもよい。このとき、維持パルスを増加させるサブフィールドでは、輝度重みの比率に応じて維持パルスを増加させることが望ましい。例えば、1フィールドを8サブフィールドで構成し、各サブフィールドの輝度重みが(1、2、4、8、16、32、64、128)であって、第7SF、第8SFの両サブフィールドで総数31の維持パルスを削減したときには、第1SFから第6SFにおいて、順に(0、1、2、4、8、16)の数の維持パルスを増加させることが望ましい。
また、図6に示したタイミングチャートは実施の形態における一例を示したものに過ぎず、何らこれらのタイミングチャートに限定されるものではない。
なお、本発明における実施の形態は、走査電極と走査電極とが隣り合い、維持電極と維持電極とが隣り合う電極構造、すなわち前面板21に設けられる電極の配列が、「・・・走査電極、走査電極、維持電極、維持電極、走査電極、走査電極、・・・」となる電極構造(「ABBA電極構造」と呼称する)のパネルにおいても、有効である。
なお、本実施の形態において示した具体的な各数値、例えば、点灯率の各しきい値や維持パルスの削減数等は、50インチ、表示電極対数1080対のパネルの特性にもとづき設定したものであって、実施の形態における一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではなく、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて最適に設定することが望ましい。また、これらの各数値は、上述した効果を得られる範囲でのばらつきを許容するものとする。
なお、本実施の形態では、消去ランプ波形L3を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する構成を説明したが、消去ランプ波形L3を維持電極SU1〜維持電極SUnに印加する構成とすることもできる。あるいは、消去ランプ波形L3ではなく、いわゆる細幅消去パルスにより消去放電を発生させる構成としてもよい。
本発明は、サブフィールド毎に点灯率を検出し、現サブフィールドの点灯率と現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とにもとづき、現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を制御することで、表示画像に生じる不自然な輝度変化を防止することができるので、画像表示品質を向上させることが可能となり、プラズマディスプレイ装置およびパネルの駆動方法として有用である。
本発明の一実施の形態におけるパネルの構造を示す分解斜視図 同パネルの電極配列図 同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形図 本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図 本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路の回路図 同維持パルス発生回路の動作を説明するためのタイミングチャート 本発明の一実施の形態における発光輝度の変化と点灯率との関係の一例を示す特性図 本発明の一実施の形態における表示輝度と入力画像信号のレベルとの関係の一例を概略的に示す特性図 本発明の一実施の形態における点灯率と維持パルスの削減数との関係の一例を示す図
符号の説明
1 プラズマディスプレイ装置
10 パネル(プラズマディスプレイパネル)
21 (ガラス製の)前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25,33 誘電体層
26 保護層
31 背面板
32 データ電極
34 隔壁
35 蛍光体層
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路
47 点灯率検出回路
48 メモリ
50,60 維持パルス発生回路
C10,C20,C30 コンデンサ
Q11,Q12,Q13,Q14,Q21,Q22,Q23,Q24,Q26,Q27,Q28,Q29 スイッチング素子
D11,D12,D21,D22,D30 ダイオード

Claims (6)

  1. 初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設けるサブフィールド法により駆動され、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルと、
    前記維持期間に、サブフィールド毎に設定された輝度重みにもとづき設定された数の維持パルスを前記表示電極対に交互に印加する維持パルス発生回路と、
    前記プラズマディスプレイパネルの全放電セルに対する点灯させるべき放電セルの割合を点灯率としてサブフィールド毎に検出する点灯率検出回路とを備え、
    前記維持パルス発生回路は、
    現サブフィールドにおいて、前記輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から、前記点灯率検出回路が検出した前記現サブフィールドの点灯率と前記現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とに応じた数の維持パルスを削減して前記維持パルスを発生することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  2. 前記維持パルス発生回路は、前記点灯率検出回路が検出した前記現サブフィールドの点灯率が所定の値よりも小さいときに、前記現サブフィールドの点灯率と前記現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率との差が大きいほど、前記現サブフィールドにおける維持パルスの発生数を少なくすることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
  3. 前記維持パルス発生回路は、前記点灯率検出回路が検出した前記現サブフィールドの点灯率が所定の値よりも小さいときに、前記現サブフィールドの点灯率が小さくなるほど、かつ前記現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率が大きくなるほど、前記現サブフィールドにおける前記維持パルスの削減数を多くすることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
  4. 前記維持パルス発生回路は、前記現サブフィールドにおいて前記維持パルスの発生数を削減する制御を行うときには、同一フィールドにおける前記現サブフィールドよりも輝度重みの大きいサブフィールドにおいても、前記輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から、前記現サブフィールドで前記維持パルスを削減するのと同じ割合で維持パルスの発生数を削減して前記維持パルスを発生することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
  5. 前記維持パルス発生回路は、1フィールド期間に発生させるサブフィールドを輝度重みの小さい第1のサブフィールド群と輝度重みの大きい第2のサブフィールド群とに分け、前記第2のサブフィールド群においてのみ前記維持パルスの発生数を削減する制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
  6. 走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルを、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設け、前記維持期間に、サブフィールド毎に設定された輝度重みにもとづき設定された数の維持パルスを前記表示電極対に交互に印加して駆動するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
    前記プラズマディスプレイパネルの全放電セルに対する点灯させるべき放電セルの割合を点灯率としてサブフィールド毎に検出するとともに、現サブフィールドの点灯率と前記現サブフィールドの直前のサブフィールドの点灯率とに応じて、前記現サブフィールドにおける前記維持パルスの発生数を、前記輝度重みにもとづき設定された維持パルスの発生数から削減することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
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