JP2009192654A - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents

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邦啓 美馬
Minoru Takeda
実 武田
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Abstract

【課題】書込み放電を安定に発生させることができ、画像表示品質のよいプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、サブフィールドに発光させる放電セルを選択するための書込み期間および選択された放電セルの表示電極に輝度重みに応じた回数の維持パルスを交互に印加して維持放電を発生させる維持期間とを設けてパネルを駆動する駆動手段を備え、少なくとも1つのサブフィールドの維持期間において、維持パルスを第1の維持パルスと、この第1の維持パルスに比べて立ち上がり回収期間が長いとともに立ち下がり回収期間が短い第2の維持パルスとを設け、維持期間の後部においては前記第2の維持パルスを表示電極に印加するように構成した。
【選択図】図4

Description

本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイ装置に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁とがそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスが封入されている。ここで表示電極とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
パネルを駆動する方法としては、サブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般に用いられている。
各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成するとともに、書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生させる。書込み期間では、表示を行うべき放電セルに選択的に書込みパルス電圧を印加して書込み放電を発生させ壁電荷を形成する(以下、この動作を「書込み」とも記す)。そして維持期間では、走査電極と維持電極とからなる表示電極に交互に維持パルス電圧を印加し、書込み放電を起こした放電セルで維持放電を発生させ、対応する放電セルの蛍光体層を発光させることにより画像表示を行う。
また、サブフィールド法の中でも、緩やかに変化する電圧波形を用いて初期化放電を行い、さらに維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を行うことで、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させた駆動方法が開示されている。
具体的には、複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては全ての放電セルに初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間においては直前の維持期間で維持放電を行った放電セルにのみ初期化放電を発生させる選択初期化動作を行う。このように駆動することによって、画像の表示に関係のない発光に依存して変化する黒表示領域の輝度(以下、「黒輝度」と略記する)は全セル初期化動作における微弱発光だけとなり、コントラストの高い画像表示が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
また、上述の特許文献1には、維持期間における最後の維持パルスのパルス幅を他の維持パルスのパルス幅よりも短くし、表示電極間の壁電荷による電位差を緩和する、いわゆる細幅消去放電についても記載されている。この細幅消去放電によって、続くサブフィールドの書込み期間における書込み動作を安定させ、コントラスト比の高いプラズマディスプレイ装置を実現することができる。
特開2000−242224号公報
近年、パネルの高精細化にともない放電セルのさらなる微細化が進んでいる。この微細化された放電セルでは、壁電荷が失われる電荷抜けと呼ばれる現象が生じやすいことが確認されており、この電荷抜けが発生すると、放電不良が発生して画像表示品質を劣化させたり、あるいは、放電の発生に必要な印加電圧が上昇する等の問題が生じる。
電荷抜けが発生する主な原因の1つに書込み動作時の放電ばらつきがある。例えば、書込み動作時の放電ばらつきが大きく、書込み放電が強く発生してしまうと、発光させる放電セルと非発光の放電セルとが隣接したところで、発光させる放電セルが非発光の放電セルから壁電荷を奪ってしまうことがあり、電荷抜けが発生する。
したがって、書込み放電をできるだけ安定に発生させることが、電荷抜けを防止するためには重要である。
一方、近年ではパネルのさらなる大画面化、高精細化が進められており、それにともないパネルの駆動インピーダンスは増大する傾向にある。そして、駆動インピーダンスが増大すると、パネルの駆動回路から発生される駆動波形にリンギング等の波形歪が生じやすくなる。上述の細幅消去放電は、続くサブフィールドの書込み動作を安定させることを目的としたものであるが、例えば、この細幅消去放電を発生させるための駆動波形に波形歪が生じると、細幅消去放電そのものが強く発生してしまう恐れがあり、そのような場合には、続く書込み放電を安定に発生させることは難しいといった課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、書込み放電を安定に発生させることができ、画像表示品質のよいプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために本発明は、走査電極と維持電極とからなる表示電極を有する放電セルを複数備えたパネルと、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、サブフィールドに発光させる放電セルを選択するための書込み期間および選択された放電セルの表示電極に輝度重みに応じた回数の維持パルスを交互に印加して維持放電を発生させる維持期間とを設けてパネルを駆動する駆動手段とを備え、少なくとも1つのサブフィールドの維持期間において、維持パルスを第1の維持パルスと、この第1の維持パルスに比べて立ち上がり回収期間が長いとともに立ち下がり回収期間が短い第2の維持パルスとを設け、維持期間の後部においては前記第2の維持パルスを表示電極に印加するように構成したものである。
本発明によれば、消去ランプ波形電圧を発生させる直前に、立ち上がりが急峻であり、かつ立ち下がりが緩やかな維持パルスを印加して適切な壁電圧を形成することができるので、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、書込み放電を発生させるために必要な電圧を高くすることなく安定に書込み放電を発生させることができ、画像表示品質のよいプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。図1において、ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、パネルの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料から形成されている。
背面板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン分圧を約10%とした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
図2は、本発明の実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。なお、図1、図2に示したように、走査電極SCiと維持電極SUiとは互いに平行に対をなして形成されているために、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間に大きな電極間容量Cpが存在する。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。
本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行う。それぞれのサブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
各サブフィールドにおいて、初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する。加えて、放電遅れを小さくし書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生させるという働きを持つ。このときの初期化動作には、全ての放電セルで初期化放電を発生させる全セル初期化動作と、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルだけで選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作とがある。
書込み期間では、後に続く維持期間において発光させるべき放電セルで選択的に書込み放電を発生し壁電荷を形成する。そして維持期間では、輝度重みに比例した数の維持パルスを表示電極24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させる。このときの比例定数を「輝度倍率」と呼ぶ。
本実施の形態では、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)で構成し、各サブフィールドはそれぞれ、例えば(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)の輝度重みを持つものとする。そして、第1SFの初期化期間では全セル初期化動作を行い、第2SF〜第10SFの初期化期間では選択初期化動作を行うものとする。これにより、画像の表示に関係のない発光は第1SFにおける全セル初期化動作の放電にともなう発光のみとなり、維持放電を発生させない黒表示領域の輝度である黒輝度は全セル初期化動作における微弱発光だけとなって、コントラストの高い画像表示が可能となる。また、各サブフィールドの維持期間においては、それぞれのサブフィールドの輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極24のそれぞれに印加する。
しかし、本実施の形態は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
図3は、パネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図3には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち全セル初期化動作を行うサブフィールド(以下、「全セル初期化サブフィールド」と呼称する)と、選択初期化動作を行うサブフィールド(以下、「選択初期化サブフィールド」と呼称する)とを示しているが、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形もほぼ同様である。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中から画像データにもとづき選択された電極を表す。
まず、全セル初期化サブフィールドである第1SFについて説明する。
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜Dm、維持電極SU1〜SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する第1の傾斜波形電圧(以下、「上りランプ波形電圧」と呼称する)を印加する。
この上りランプ波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上部および維持電極SU1〜SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜Dmには0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧(以下、「下りランプ波形電圧」と呼称する)を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。以上により、全ての放電セルに対して初期化放電を行う全セル初期化動作が終了する。
なお、図3の第2SFの初期化期間に示したように、初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加してもよい。すなわち、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve1を、データ電極D1〜Dmに0(V)をそれぞれ印加し、走査電極SC1〜SCnに電圧Vi3’から電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下りランプ波形電圧を印加する。これにより前のサブフィールドの維持期間で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCi上部および維持電極SUi上部の壁電圧が弱められる。また直前の維持放電によってデータ電極Dk(k=1〜m)上部に十分な正の壁電圧が蓄積されている放電セルでは、この壁電圧の過剰な部分が放電され書込み動作に適した壁電圧に調整される。
一方、前のサブフィールドで維持放電を起こさなかった放電セルについては放電することはなく、前のサブフィールドの初期化期間終了時における壁電荷がそのまま保たれる。このように前半部を省略した初期化動作は、直前のサブフィールドの維持期間で維持動作を行った放電セルに対して初期化放電を行う選択初期化動作となる。
続く書込み期間では、まず維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を、走査電極SC1〜SCnに電圧Vcを印加する。
そして、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。このときデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。
また、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を印加しているため、維持電極SU1上と走査電極SC1上との電圧差は、外部印加電圧の差である(Ve2−Va)に維持電極SU1上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。このとき、電圧Ve2を、放電開始電圧をやや下回る程度の電圧値に設定することで、維持電極SU1と走査電極SC1との間を、放電には至らないが放電が発生しやすい状態とすることができる。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電を発生させることができる。こうして、発光させるべき放電セルに書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、まず走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜SUnにベース電位となる接地電位、すなわち0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。
そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極SC1〜SCnにはベース電位となる0(V)を、維持電極SU1〜SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを印加し、表示電極24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
そして、維持期間の最後には、走査電極SC1〜SCnに、ベース電位となる0(V)から電圧Versに向かって緩やかに上昇する第2の傾斜波形電圧(以下、「消去ランプ波形電圧」と呼称する)を印加する。これにより、微弱な放電を持続して発生させ、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧の一部または全部を消去している。以下、この消去ランプ波形電圧によって発生させる維持期間の最後の放電を「消去放電」と呼称する。
続くサブフィールドの動作は、維持期間の維持パルスの数を除いて上述の動作とほぼ同様であるため説明を省略する。
次に、本実施の形態における駆動電圧波形について説明する。図4は、本発明の実施の形態における消去ランプ波形電圧を印加する直前の維持パルス波形の概略を示す波形図である。
図4に示すように、本実施の形態では、維持パルスを第1の維持パルスと、この第1の維持パルスに比べて立ち上がり回収期間が長いとともに立ち下がり回収期間が短い第2の維持パルスとを設け、維持期間の後部においては前記第2の維持パルスを表示電極に印加するように構成している。
すなわち、基準となる第1の維持パルスと、第1の維持パルスよりも立ち上がりを緩やかにするとともに、第1の維持パルスよりも立ち下がりを急峻にした第2の維持パルスとをそれぞれ切換えて発生させる構成とし、消去ランプ波形電圧を印加する直前には第2の維持パルスを連続して発生させている。この第2の維持パルスを印加させた時の維持放電の特徴は、立ち上がりが緩やかであるために維持放電が弱まり、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧を抑えることができることである。また、立ち下がりが急峻であるために、立ち上がりで生じた走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧が過度にある場合、その壁電圧のみで放電が生じるのを促す。以下、この時に生じる放電を「自己消去放電」と呼称する。この自己消去放電によって過剰な壁電荷が消滅するため、壁電圧を減少させることができる。
もし、第1の維持パルスを印加させて過剰な壁電圧を保ったまま消去動作に入ると、消去ランプ波形電圧では微弱な放電しか生じないため、過剰な壁電圧を適度な電圧まで減らすことができない。この状態で、次の書込み動作を行った場合は、書込み放電が強く発生してしまって、発光させる放電セルと非発光の放電セルとが隣接したところで、発光させる放電セルが非発光の放電セルから壁電荷を奪って正常な放電ができなくなり、不灯が発生する(以下、「電荷抜け」と呼称する)。
しかし、第2の維持パルスを印加させることで、消去動作および書込み動作に入る前の壁電圧を低く抑えることができるため、書込み放電が強くなることを防ぎ、電荷抜けを無くすことができる。
そして、本発明者らは、第2の維持パルスを連続して印加することで、消去放電をさらに安定に発生させることができることを実験的に確認した。その一方で、連続印加回数を多くすると、維持放電を連続して生じさせるための壁電荷が不足して、維持放電が中断することもあわせて確認した。この連続印加回数は、維持放電は保持されたままで、かつ、上述した効果が十分に得られる範囲に設定することが望ましく、本実施の形態では、サブフィールドの最終の維持パルスから2発以上20発以下の維持パルスは、第2の維持パルスに設定することが望ましい。これは、維持パルスの総数が比較的少ない維持期間においては第2の維持パルスを連続して印加する回数を少なくすることで、残像現象(静止画像等を長時間表示させた後で輝度の高い画像を表示した場合、その静止画像が残像として認識される現象)を低減する効果が得られることが実験的に確認されたためである。
また、消去ランプ波形電圧の直前に印加する維持パルスの立ち下がりを急峻にした時に自己消去放電が生じて過剰な壁電圧を減少させることができるが、逆にこの放電時に発生した電荷によって、微弱放電であるはずの消去放電が必要以上に強めることになり、消去放電を不安定に発生させる恐れがあることが分かった。これに対して、維持期間の最終の維持パルスにおいて、立ち下がりを緩やかにすることで自己消去放電を無くし、消去放電をさらに安定に発生させることが可能となることを実験的に確認した。
以上説明したように、本実施の形態によれば、消去ランプ波形電圧を発生させる直前に、立ち上がりが急峻であり、かつ、立ち下がりが緩やかな維持パルスを印加して適切な壁電圧を形成することができるので、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、書込み放電を発生させるために必要な電圧を高くすることなく安定に書込み放電を発生させることができ、画像表示品質を向上させることが可能となる。
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の駆動手段部分の構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、維持パルス数カウンタ46、比較回路47、メモリ48および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路41は、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路42はサブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dmを駆動する。
タイミング発生回路45は水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vからの出力をもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜SCnに印加する初期化波形電圧を発生するための初期化波形発生回路(図示せず)、維持期間において走査電極SC1〜SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路(図示せず)、書込み期間において走査電極SC1〜SCnに印加する走査パルス電圧を発生するための走査パルス発生回路(図示せず)を有し、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜SCnをそれぞれ駆動する。維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路(図示せず)および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路を備え、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnを駆動する。また、維持パルス数カウンタ46でタイミング信号より各サブフィールドで印加される維持パルスをカウントし比較回路47に出力する。
また、各サブフィールドにおける第1の維持パルスの数と第2の維持パルスの数を予め格納したメモリ48の信号を比較回路47に入力し、維持パルス数カウンタ46の信号と比較して、所定のタイミングで制御信号をタイミング発生回路45に出力する。これにより、維持期間の所定のタイミングで第1の維持パルスと第2の維持パルスを切り替えることができる。
次に、走査電極駆動回路43について説明する。図6は、本発明の実施の形態における走査電極駆動回路43の回路図である。走査電極駆動回路43は、維持パルスを発生させる維持パルス発生回路50、初期化波形および走査パルスを発生させる初期化波形・走査パルス発生回路53を備えている。
維持パルス発生回路50は、電力回収回路51とクランプ回路52とを備えている。電力回収回路51は、電力回収用のコンデンサC1、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、逆流防止用のダイオードD1、逆流防止用のダイオードD2、共振用のインダクタL1を有している。なお、電力回収用のコンデンサC1は電極間容量Cpに比べて十分に大きい容量を持ち、電力回収回路51の電源として働くように、電圧値Vsの半分の約Vs/2に充電されている。クランプ回路52は、走査電極SC1〜SCnを電圧Vsにクランプするためのスイッチング素子Q3、走査電極SC1〜SCnを0(V)にクランプするためのスイッチング素子Q4を有している。そして、タイミング発生回路45から出力されるタイミング信号にもとづき各スイッチング素子を切換えて維持パルス電圧Vsを発生させる。また、以下の説明においてスイッチング素子を導通させる動作を「オン」、遮断させる動作を「オフ」と表記し、スイッチング素子をオンさせる信号を「Hi」、オフさせる信号を「Lo」と表記する。
維持パルス発生回路50において、例えば、維持パルス波形を立ち上げる際には、スイッチング素子Q1をオンにして電極間容量CpとインダクタL1とを共振させ、電力回収用のコンデンサC1からスイッチング素子Q1、ダイオードD1、インダクタL1を通して走査電極SC1〜SCnに電力を供給する。そして、走査電極SC1〜SCnの電圧がVsに近づいた時点で、スイッチング素子Q3をオンにして、走査電極SC1〜SCnを電圧Vsにクランプする。なお、スイッチング素子Q12がオフであっても、MOSFETには、スイッチング動作を行う部分に対してボディダイオードと呼ばれる寄生ダイオードが逆並列(スイッチング動作を行う部分に対して並列に、かつスイッチング動作により電流が流れる方向とは逆方向が順方向となるよう)に生成されるため、スイッチング素子Q3をオンにすれば、このボディダイオードを介して走査電極SC1〜SCnを電圧Vsにクランプすることができる。
逆に、維持パルス波形を立ち下げる際には、スイッチング素子Q2をオンにして電極間容量CpとインダクタL1とを共振させ、電極間容量CpからインダクタL1、ダイオードD2、スイッチング素子Q2を通して電力回収用のコンデンサC1に電力を回収する。そして、走査電極SC1〜SCnの電圧が0(V)に近づいた時点で、スイッチング素子Q4をオンにして、走査電極SC1〜SCnを0(V)にクランプする。
初期化波形・走査パルス発生回路53は、初期化期間においては初期化電圧を発生させ、書込み期間において走査電極SC1〜SCnに印加する走査パルス電圧Vaを順次発生させる。なお、初期化波形・走査パルス発生回路53は、維持期間では維持パルス発生回路50の電圧波形をそのまま出力する。
なお、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q12、スイッチング素子Q13には非常に大きな電流が流れるために、これらのスイッチング素子にはFET、IGBT等を複数並列接続して用いインピーダンスを低下させている。
次に、維持電極駆動回路44について説明する。図7は、本発明の実施の形態における維持電極駆動回路44の回路図である。なお、図7にはパネル10の電極間容量をCpとして示している。
維持電極駆動回路44の維持パルス発生回路60は、走査電極駆動回路43の維持パルス発生回路50とほぼ同様の構成であり、維持電極SU1〜SUnを駆動するときの電力を回収して再利用するための電力回収回路61と、維持電極SU1〜SUnを電圧Vsおよび0(V)にクランプするためのクランプ回路62とを備えており、パネル10の電極間容量Cpの一端である維持電極SU1〜SUnに接続されている。
電力回収回路61は、電力回収用のコンデンサC30、スイッチング素子Q31、スイッチング素子Q32、逆流防止用のダイオードD31、ダイオードD32、共振用のインダクタL30を有している。そして、電極間容量CpとインダクタL30とをLC共振させて維持パルスの立ち上がりおよび立ち下がりを行う。クランプ回路62は、維持電極SU1〜SUnを電圧Vsにクランプするためのスイッチング素子Q33、維持電極SU1〜SUnを0(V)にクランプするためのスイッチング素子Q34を有している。そして、スイッチング素子Q33を介して維持電極SU1〜SUnを電源VSに接続して電圧Vsにクランプし、スイッチング素子Q34を介して維持電極SU1〜SUnを接地して0(V)にクランプする。
また、維持電極駆動回路44は、電圧Ve1、Ve2を発生させるためのVe1・Ve2発生回路63を備えており、図3に示した電圧Ve1、Ve2を印加するタイミングで、維持電極SU1〜SUnにそれぞれ電圧Ve1、Ve2を印加できる。
次に、維持期間における駆動電圧波形の詳細について説明する。
図8は、本発明の実施の形態における走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。まず維持パルスの繰り返し周期の1周期分をT1〜T6で示した6つの期間に分割し、それぞれの期間について説明する。この繰り返し周期とは、維持期間において表示電極に繰り返し印加される維持パルスの間隔のことであり、例えば、期間T1〜T6によって繰り返される周期のことを表す。
なお、図8では、正極の波形を用いて説明をするが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、負極の波形における実施の形態例は省略するが、以下の説明の正極の波形において「立ち上がり」と表現しているものを、負極の波形においては「立ち下がり」に、正極の波形において「立ち下がり」と表現しているものを、負極の波形においては「立ち上がり」に読みかえることで、負極の波形であっても同様の効果を得ることができるものである。また、図面にはスイッチング素子をオンさせる信号を「ON」、オフさせる信号を「OFF」と表記する。
(期間T1)
時刻t1でスイッチング素子Q2をオンにする。すると走査電極SC1〜SCn側の電荷はインダクタL1、ダイオードD2、スイッチング素子Q2を通してコンデンサC1に流れ始め、走査電極SC1〜SCnの電圧が下がり始める。なお、この間、スイッチング素子Q34はオンに保持する。
(期間T2)
そして時刻t2でスイッチング素子Q4をオンにする。すると走査電極SC1〜SCnはスイッチング素子Q4を通して直接に接地されるため、走査電極SC1〜SCnの電圧は強制的に0(V)に低下する。
さらに、時刻t2でスイッチング素子Q31をオンにする。すると、電力回収用のコンデンサC30からスイッチング素子Q31、ダイオードD31、インダクタL30を通して電流が流れ始め、維持電極SU1〜SUnの電圧が上がり始める。
(期間T3)
そして時刻t3でスイッチング素子Q33をオンにする。すると維持電極SU1〜SUnはスイッチング素子Q33を通して直接に電源VSへ接続されるため、維持電極SU1〜SUnの電圧は強制的にVsまで上昇する。すると、書込み放電を起こした放電セルでは走査電極SCi−維持電極SUi間の電圧が放電開始電圧を超え維持放電が発生する。
(期間T4〜T6)
走査電極SC1〜SCnに印加される維持パルスと維持電極SU1〜SUnに印加される維持パルスとは同じ波形であり、期間T4から期間T6までの動作は、期間T1から期間T3までの動作を走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとを入れ替えて駆動する動作に等しいので説明を省略する。
なお、スイッチング素子Q2は時刻t2以降、時刻t5までにオフすればよく、スイッチング素子Q31は時刻t3以降、時刻t4までにオフすればよい。また、スイッチング素子Q32は時刻t5以降、次の時刻t2までにオフすればよく、スイッチング素子Q1は時刻t6以降、次の時刻t1までにオフすればよい。また、維持パルス発生回路50、60の出力インピーダンスを下げるために、スイッチング素子Q34は時刻t2直前に、スイッチング素子Q3は時刻t1直前にオフにすることが望ましく、スイッチング素子Q4は時刻t5直前に、スイッチング素子Q33は時刻t4直前にオフにすることが望ましい。
維持期間においては、以上の期間T1〜T6の動作を、必要なパルス数に応じて繰り返す。このようにして、ベース電位となる0(V)から維持放電を発生させる電位である電圧Vsに変位する維持パルス電圧を、表示電極24のそれぞれに交互に印加して放電セルを維持放電させる。
次に、維持パルスの立ち上がりおよび立ち下がりを制御する方法について説明する。立ち上がりを緩やかにする場合は、図8中の期間T2および期間T5を長くすることで電圧値Vsにクランプするタイミングを遅らせて、立ち上がりを緩やかにすることができる。また、立ち下がりを急峻にする場合は、図8中の期間T1および期間T4を短くすることで0(V)にクランプするタイミングを早めて、立ち下がりを急峻にすることができる。以下、期間T2および期間T5を「立ち上がり回収期間」、期間T1および期間T4を「立ち下がり回収期間」と呼称する。
具体的には、基準となる維持パルスである第1の維持パルスは、立ち上がり回収期間を約500nsecにし、立ち下がり回収期間を約700nsecにして発生させる。また、第2の維持パルスは、立ち上がり回収期間を第1の維持パルスよりも短い約800nsecにして第1の維持パルスよりも立ち上がりを緩やかにするとともに、立ち下がり回収期間を第1の維持パルスよりも長い約450nsecにして第1の維持パルスよりも立ち下がりを急峻にしている。また、第2の維持パルスは6発挿入している。
なお、本発明者は、実験的に第2の維持パルスの立ち上がり回収期間は、電極間容量とインダクタとの共振周期に対して43%以上の期間とし、立ち下がり回収期間は、電極間容量とインダクタとの共振周期に対して40%以下の期間に設定することによって、大きな効果が得られることを確認した。
これは、維持放電を弱めるためには、電圧値Vsにクランプされる前の走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn間の電圧差が低い状態で維持放電を行う必要がある。ここで、インダクタL30と電極間容量Cpとは共振回路を形成しているので、共振周期の1/2の時間経過後に電圧差はVs付近まで緩やかに上昇するが、共振回路の抵抗成分等による電力損失のためVsまでは上がらない。そのため、立ち上がり回収期間は共振周期の1/2程度の期間にすることで立ち上がり回収期間で放電開始電圧を超えることができ、かつ、電圧値Vsより低い電圧で放電させることができる。その上、放電電流が流れ出すと、インダクタL30による高インピーダンスにより出力電圧が低下する。
これにより、放電時の電圧がより低い状態になり、更に壁電圧を低下させることができる。また、自己消去放電を促すためには、立ち下がりを急峻にしてより強く放電させる必要がある。ここで、インダクタL1と電極間容量Cpとは共振回路を形成しているので、共振周期の1/2の時間経過後に0(V)付近まで低下する。そのため、共振周期1/2よりも短い期間で立ち下がり回収期間を設定する。これにより、共振回路で0(V)付近まで緩やかに減少する前に、0(V)にクランプすることで出力電圧を急峻に変化させることができる。ここでの共振周期とは、電力回収回路51のインダクタL1とパネル10の電極間容量CpとのLC共振の共振周期、および電力回収回路61のインダクタL30と同電極間容量CpとのLC共振の共振周期のことであり、インダクタL1、インダクタL30のインダクタンスをそれぞれLとすれば、計算式「2π√(LCp)」によって求めることができる。
なお、本実施の形態では、消去ランプ波形の直前に第2の維持パルスを連続して発生させる構成を説明したが、第2の維持パルスの立ち上がりが緩やかで維持放電が弱くなるため、輝度が低くなる。そのため、第2の維持パルスを印加させる前に、第1の維持パルスの立ち上がりより急峻な第3の維持パルスを印加させて、第1の維持パルスより維持放電が強く発光強度が高くすることで、輝度低下を防ぐことができる。第3の維持パルスを第2の維持パルスより前に印加させる理由は、第2の維持パルスを連続して印加させて壁電圧を低く調整している途中で、立ち上がりが急峻な第3の維持パルスが印加されて壁電圧を増加させることを防ぐためである。具体的には第3の維持パルスの立ち上がり回収期間は500nsに設定し、第2の維持パルス群の前に4発の第3の維持パルスを挿入している。
以上、説明したように、維持パルスの立ち上がり回収期間、立ち下がり回収期間を切り替えて維持パルスの立ち上がりおよび立ち下がりを急峻または緩やかに設定することができるので、消去ランプ波形電圧を発生させる直前に、立ち上がりが急峻であり、かつ、立ち下がりが緩やかな維持パルスを印加して消去放電を安定に発生させることができる。よって、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、書込み放電を発生させるために必要な電圧を高くすることなく安定に書込み放電を発生させることができ、画像表示品質を向上させることが可能となる。
ところで、パネル10の温度が高くなると、高温抜けといわれる不具合が発生し、画像品質を低下させることが分かった。これは、パネル10が高温になることによって、壁電圧が低い状態でも書込み放電が生じやすくなるためで、これは放電セル内の温度が上昇することで放電開始電圧が低下するためである。
そのため、書込み期間で走査パルス電圧Vaを印加しない状態でも、微小な放電が生じて壁電荷が減少する場合がある。これを高温抜けと呼称する。高温抜けが生じると、壁電荷が減少するために安定した書込みができず、画像品質を低下させる。これを防ぐためには、書込み期間に移行する前に立ち上がりが急峻な維持パルスを消去動作の前に印加して多くの壁電圧を形成させて、高温抜けによって壁電圧が多少減少しても、安定した書込み放電を行えるようにすることが重要である。
ここで、上述した電荷抜けについては、パネル10が高温になったとしても、同様に電荷抜けによって壁電荷が減少して書込み放電が不安定になるが、一方で、上述のように高温によって壁電圧が低い状態でも放電が生じやすくなる。結局、書込み放電の安定性から見れば、高温状態である方が電荷抜けによる不具合は生じにくくなる。
図9は、パネル10の温度に応じて、消去ランプ波形電圧を印加する直前の維持パルス波形を制御する一例を示す波形図である。図9に示すように、常温時は、上記実施の形態で説明したように、維持期間の後部において、第1の維持パルスに比べて立ち上がり回収期間が長いとともに立ち下がり回収期間が短い第2の維持パルスを表示電極に印加し、パネル10の温度が予め設定した温度以上の高温になった場合に、第1の維持パルスに比べて立ち上がり回収期間が短いとともに立ち下がり回収期間が長い第4の維持パルス、すなわち立ち上がりを急峻にして壁電圧を多くする第4の維持パルスに切り替えて印加するように構成したものである。
これによって、常温時には壁電圧を抑えることで電荷抜けを防ぎ、高温時には壁電圧を多く生成させることで高温抜けを防ぐことができる。なお、具体的には、第4の維持パルスの立ち上がり回収期間は500nsと設定している。
図10はこの駆動制御を実現するためのプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、図5に示した実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置に、パネル温度検出回路49を加えた構成としている。なお、本実施の形態は、パネル温度検出回路49における検出結果にもとづき、第2の維持パルスと第4の維持パルスを切り替える構成としており、その他の動作や各回路の構成等は実施の形態1と同様であるため、ここではその異なる点について説明する。
パネル温度検出回路49は、パネル10の温度またはその温度を類推できるものの温度を検出する。そして、検出したパネル温度をあらかじめ定めたしきい値と比較し、その判定の結果を表す信号をタイミング発生回路45に出力する。これによって、第2の維持パルスと第4の維持パルスを切り替えるようにタイミング発生回路45から走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44へ信号を出力する。ここで、切り替えを行うパネル温度のしきい値は48℃としている。
なお、本実施の形態において、第4の維持パルスを第3の維持パルスと同様の立ち上がり回収期間に設定しても、同様の効果が得られる。
以上説明したように、消去ランプ波形電圧を発生させる直前の維持パルスの立ち上がり、立ち下がりをパネル温度によって制御することによって、書込み放電を安定に発生させることができる。よって、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、書込み放電を発生させるために必要な電圧を高くすることなく安定に書込み放電を発生させることができるので、画像表示品質を向上させることが可能となる。
なお、上記の実施の形態で説明した走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44は一構成例を示したものに過ぎず、同様の動作を実現できるものであれば、どのような回路構成であってもかまわない。例えば、電圧Ve1、電圧Ve2を印加する回路については、電圧Ve1を発生させる電源と電圧Ve2を発生させる電源とそれぞれの電圧を維持電極SU1〜SUnに印加するための複数のスイッチング素子とを用いて、それぞれの電圧を必要なタイミングで維持電極SU1〜SUn印加する構成とすることもできる。また、消去ランプ波形電圧を発生させるための回路も一構成例を示したものに過ぎず、同様の動作を実現できる他の回路に置き換えることができる。
また、上記説明では、消去ランプ波形電圧を走査電極SC1〜SCnに印加する構成を説明したが、最後の維持パルスを印加する電極が走査電極SC1〜SCnの場合には、消去ランプ波形電圧を維持電極SU1〜SUnに印加する構成とすることもできる。しかし、本実施の形態においては、最後の維持パルスを印加する電極を維持電極SU1〜SUnにし、消去ランプ波形電圧を走査電極SC1〜SCnに印加する構成にする方が望ましい。
また、電力回収回路51、61において、維持パルスの立ち上がりと立ち下がりとで1つのインダクタを共通に用いる構成を説明したが、複数のインダクタを用い、維持パルスの立ち上がりと立ち下がりとで異なるインダクタを使用する構成としてもかまわない。また、その場合には、上述した電力回収回路51、電力回収回路61において共振周期が約1500nsecとなるようにインダクタを設定する構成は、立ち下がりに用いるインダクタに適用するものとする。また、立ち上がりに用いるインダクタに関しては、立ち下がりとは異なる共振周期、例えば約1200nsecとなるように設定してもよい。
以上のように本発明は、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、書込み放電を安定に発生させることができ、画像表示品質のよいプラズマディスプレイ装置として有用である。
本発明の実施の形態におけるパネルの構造を示す分解斜視図 同パネルの電極配列図 同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形図 本発明の実施の形態における維持期間の維持パルスの駆動電圧波形図 本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図 同装置における走査電極駆動回路の回路図 同装置における維持電極駆動回路の回路図 走査電極駆動回路および維持電極駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャート 本発明の他の実施の形態における維持期間の維持パルスの駆動電圧波形図 本発明の他の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図
符号の説明
10 パネル
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極
32 データ電極
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
50,60 維持パルス発生回路
51,61 電力回収回路
52,62 クランプ回路
Q1,Q2,Q3,Q4,Q31,Q32,Q33,Q34 スイッチング素子
C1,C30 コンデンサ
L1,L30 インダクタ

Claims (5)

  1. 走査電極と維持電極とからなる表示電極を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルと、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、サブフィールドに発光させる放電セルを選択するための書込み期間および選択された放電セルの表示電極に輝度重みに応じた回数の維持パルスを交互に印加して維持放電を発生させる維持期間とを設けてプラズマディスプレイパネルを駆動する駆動手段とを備え、少なくとも1つのサブフィールドの維持期間において、維持パルスを第1の維持パルスと、この第1の維持パルスに比べて立ち上がり回収期間が長いとともに立ち下がり回収期間が短い第2の維持パルスとを設け、維持期間の後部においては前記第2の維持パルスを表示電極に印加するように構成したことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  2. 駆動手段は、表示電極の電極間容量とインダクタとを共振させて維持パルスの立ち上がりまたは立ち下がりを行う電力回収回路と、前記維持パルスの電圧を電源電圧またはベース電位にクランプするクランプ回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ装置。
  3. 第2の維持パルスの立ち上がり回収期間は、電極間容量とインダクタとの共振周期の43%以上であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイ装置。
  4. 第2の維持パルスの立ち下がり回収期間は、電極間容量とインダクタとの共振周期の40%以下であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイ装置。
  5. サブフィールドの最終の維持パルスから2発以上20発以下の維持パルスは、第2の維持パルスであることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ装置。
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