JP2009250817A - 偽造品検出方法、偽造品検出に用いられる識別タグ、偽造品検出装置、識別タグを備えるインクカートリッジ、および偽造品検出装置を用いる印刷装置 - Google Patents
偽造品検出方法、偽造品検出に用いられる識別タグ、偽造品検出装置、識別タグを備えるインクカートリッジ、および偽造品検出装置を用いる印刷装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】偽造品検出装置100の発光手段110が励起光Lを照射すると、識別タグ200の液晶性化合物202が偏光蛍光Pを放射する。偏光蛍光Pは、液晶性化合物202の分子の長軸方向の偏光成分のみを有する。偏光蛍光Pは、透過軸の方向が互いに異なる複数の偏光板121および122に入射する。偏光板121を透過した透過光T1は比較的強い光であるが、偏光板122を透過した透過光T2は比較的弱い光となる。複数の光検出手段がこれらを検出し、制御手段140はそれぞれの光の強度に応じて識別タグ200の真贋を判定する。
【選択図】図1
Description
ICチップを用いる場合、ICチップに外部の偽造品検出装置との通信機能を持たせておき、ICチップが特定のデータを偽造品検出装置に対して送信し、偽造品検出装置がこれに応じて真贋判定を行う。
特殊な図形や画像等を印刷したタグを用いる場合、偽造品検出装置が特殊な印刷を読み取って真贋判定を行うか、または肉眼で特殊な印刷を検査して真贋判定を行う。
たとえば、ICチップを用いた識別タグでは、ICチップに含まれる電子回路の製造のために高コストが要求され、また、製造過程で発生する廃棄物等のため環境保護も困難である。また、特殊な印刷を用いる識別タグでは、印刷技術を模倣することによって容易に識別タグの偽造が可能である。
偏光蛍光を放射する材料は、液晶性化合物であってもよい。
液晶性化合物が下記一般式(1e')で表される長い直線的共役部分を持つ分子構造を持つ化合物であってもよい。
さらに、この発明に係る偽造品検出装置は、外部の識別タグに励起光を照射する発光手段と、透過軸の方向が互いに異なる複数の偏光板であって、励起光の照射に応じて識別タグから放射される偏光蛍光を受ける、複数の偏光板とを備える。
識別タグは格子状に配列された複数の領域を備え、複数の領域の一部は第1の蛍光領域であり、複数の領域の他の一部は第2の蛍光領域であってもよい。
偽造品検出装置は、複数の偏光板のそれぞれを透過した透過光を検出する、複数の光検出手段と、複数の光検出手段による検出結果を所定のデータと比較し、比較結果に応じて、偽造品を検出したか否かを判定する制御手段とを備えてもよい。
偽造品検出装置において、光検出手段による検出結果および所定のデータは、それぞれ光の強度を表す情報を含むか、それぞれ光の波長を表す情報を含むか、またはそれぞれ光のパターンを表す情報を含んでもよい。
さらに、この発明に係る印刷装置は、インクの供給のためにインクカートリッジを用いる印刷装置であって、上述の偽造品検出装置を用いてインクカートリッジの偽造品を検出する。
また、本発明に係る印刷装置は、少なくとも前記識別タグと、該識別タグで偽造品検出のために用いた照射光が透過可能な透明部位を有するインクカートリッジを備え、前記識別タグで用いた光源を用いて前記透明部位に光を照射し、インクカートリッジ内を透過した透過光を検出することにより、インクカートリッジのインク残量を検出する。
また、本発明に係る印刷装置は、少なくとも上述の識別タグと、該識別タグで偽造品検出のために用いた照射光が透過可能な透明部位を有するインクカートリッジを備え、前記識別タグで用いた光源を用いて前記透明部位に光を照射し、透明部位からの反射光を検出することにより、インクカートリッジのインク残量を検出する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る偽造品検出方法の概要を示す。本方法は、偽造品検出装置100を用いて識別タグ200を検査し、これによって識別タグ200が付された物品が真正品であるか偽造品であるかを判定するものである。偽造品検出装置100はたとえばインクカートリッジを用いる印刷装置に備えられ、識別タグ200はたとえばこの印刷装置にインクを供給するためのインクカートリッジに取り付けられる。すなわち、この印刷装置は、偽造品検出装置100を用いてインクカートリッジの偽造品を検出するものである。なお、インクカートリッジとは、たとえば、印刷装置による印刷に使用される塗料を収容する容器または装置を意味する。
前記一般式(1a)〜(1g)中のR1又はR2の前記アルコキシ基としては、一般式CnH2n+1O−で表される式中のnが3〜20の整数であることが好ましい。特に、アルコキシ基が一般式CH3−(CH2)x−CH(CH3)−(CH2)y−CH2−O−(式中、xは0〜7の整数、yは0〜7の整数を示す)で表される分岐状のアルコキシ基の場合は、各種溶媒への溶解性を向上させることができるので好ましい。
また、R1とR2の基の組合せがアルキル基とアルコキシ基の場合において特に各種溶媒への溶解性を更に向上させることができる。
また、前記一般式(1a)〜(1g)中のAとしては、下記式(3a)〜(3e)の基が挙げられる。
また、前記液晶性化合物の他、用いることができる偏光蛍光を放射する材料としては、例えば、共役ポリマーまたはその誘導体が挙げられる。共役ポリマー及びその誘導体としては、例えばポリ(フェニレンビニレン)(「PPV」)、ポリ(2−メトキシ−5(2'−エチル)ヘキシルオキシフェニレン−ビニレン)(「MEH−PPV」)、PPV誘導体(例えばジ−アルコキシまたはジ−アルキル誘導体)、ポリフルオレン、或いはポリフルオレンセグレント、PPV、MEH−PPV又はPPV誘導体のコポリマーを含むもの等が挙げられる。前記ポリフルオレンセグメントを含む高分子化合物としては、例えばフルオレン−ビチオフェン共重合体、フルオレン−フェノチアジン共重合体が挙げられる。
本発明において、これら偏光蛍光を放射する材料の中、特に下記一般式(1e')で表さる長い直線的共役部分を持つ分子構造を持つ化合物が耐久性の観点から特に好ましい。
液晶性化合物202は、特定の波長を有する光の照射を受けると、これに応じて分子の長軸方向の偏光成分のみを有する偏光蛍光を放射する性質を有する。蛍光領域210にはこの液晶性化合物202が互いに平行に配列されている。たとえば図1は液晶性化合物202の分子がそれぞれの長軸を垂直方向に向けて配列された状態を示す。なお、説明の便宜上、分子を模式的に図示しているが、これは必ずしも実際の分子の構造およびサイズを表すものではない。以下の図についても同様である。
なお、この蛍光領域210の製造方法については後述する。
最初に、印刷装置の使用者が、印刷装置にインクカートリッジを取り付ける。ここで、印刷装置に備えられる偽造品検出装置100の形状、インクカートリッジの形状、およびこれらの位置関係は、励起光Lが識別タグ200の蛍光領域210に向けて照射されるように、かつ、第1の偏光板121および第2の偏光板122がそれぞれ偏光蛍光Pを受けるように、設計されているものとする。また、印刷装置の内部は外部から遮蔽されており、識別タグ200、第1の光検出手段131、第2の光検出手段132の周囲に外部からの光は侵入しない。
インクカートリッジが真正品である場合について説明する。真正品のインクカートリッジには識別タグ200が取り付けられている。
印刷装置の制御手段は、インクカートリッジが取り付けられたことを検出すると、偽造品検出装置100の制御手段140としての動作を開始する。
偏光蛍光Pの他の一部は第2の偏光板122に入射する。第2の偏光板122の透過軸は水平方向であり、偏光蛍光Pの偏光方向と直交するので、偏光蛍光Pは第2の偏光板122をまったく透過しないか、またはほとんど透過しない。このように第2の透過光T2は存在しないか、または比較的弱い光となり、その強度は第2の閾値以下(基準値の30%以下)となる。
印刷装置は、この判定に基づいて、通常の印刷処理を開始する。また、印刷装置は、インクカートリッジが真正品であると判定されたことを使用者に対して表示してもよい。
インクカートリッジが真正品ではない、すなわち偽造品である場合について説明する。偽造品のインクカートリッジには、偏光ではない蛍光を発する偽造識別タグが取り付けられているものとする。
印刷装置の制御手段は、インクカートリッジが取り付けられたことを検出すると、偽造品検出装置100の制御手段140としての動作を開始する。
印刷装置は、この判定に基づいて、インクカートリッジが偽造品であると判定されたことを使用者に対して表示するとともに、印刷処理を停止する。
例えば、本発明で好ましい化合物として用いられる下記一般式(4)の
図2〜図5に、液晶性化合物202として用いられ得る分子の蛍光スペクトルの測定結果を示す。
図2および図3は、次の分子式:
図4および図5は、次の分子式:
蛍光領域210には、上述の液晶性化合物202が互いに平行に配列されている。この蛍光領域210は、ラビング配向、ノンラビング配向等の公知のどのような技術を用いて製造されてもよいが、具体例を挙げれば以下の(i)〜(iiii)のいずれかの方法を用いて製造することができる。
(製造方法i)配向膜による製造方法
ラビング等で分子配向方向を決めたポリイミド、ポリビニルアルコール等の液晶配向膜上に液晶性化合物202を塗り、次に流動性の高い液晶状態となる温度以上に昇温し液晶性化合物202の液晶分子配列を形成させ、蛍光領域210を形成する。
(製造方法ii)斜方真空蒸着による製造方法
図6は、斜方真空蒸着による蛍光領域210の製造方法を示す。真空中に液晶性化合物202のプールを準備し(202a)、その上方に基板201を傾けて配置する。液晶性化合物202を蒸発させると、その長軸を垂直方向にして真空中を上方に移動し(202b)、基板201に付着して固定化され蛍光領域210を形成する。
液晶性化合物202の分子は、一端にアルコキシ基を有し他端にシアノ基を有するので両端の電子吸引力が異なり、分子全体として磁化率異方性を示す。この方法では磁化率異方性を利用する。
図7は、磁場配行による蛍光領域210の製造方法を示す。基板201上に液晶性化合物202を塗布し、これを加熱するとともに一方向に磁場を発生させる。ここで、加熱は液晶性化合物202が液晶状態となる温度、たとえば200〜250℃になされる。磁場は図7の矢印Aの向きとする。液晶性化合物202の分子は上述のように磁化率異方性を有するので、液晶状態となった分子はその長軸が磁場の向きAと平行になるよう整列する。
ここで、上述のように液晶性化合物202はアルコキシ基の長さが異なる複数種類の分子を含むので、単一種類の分子を用いる場合と比較して、より低温域まで液晶状態を維持する。すなわち、分子の配列を乱す要素となる分子運動がより小さくなる状態まで液晶状態を維持する。たとえば実施の形態1ではn=10である分子とn=15である分子とを含むが、この場合は120℃付近まで液晶状態である。このため、液晶性化合物を単一の分子から構成する場合と比較して、長軸を磁場の向きAと平行にして結晶化する分子の割合が高まり、分子がより整列しやすい。すなわち、図1の偏光蛍光Pを、より理想的な偏光とすることができる。
液晶性化合物202の分子は、上述のように両端の電子吸引力が異なり、分子全体として電気的異方性を示す。この方法では電気的異方性を利用する。
上記(iii)の磁場配行による製造方法(図7)と同様にして、基板201上に液晶性化合物202を塗布し、これを200〜250℃に加熱するとともに矢印Aの向きに電場を発生させる。液晶性化合物202の分子は上述のように電気的異方性を有するので、液晶状態となった分子はその長軸が電場の向きAと平行になるよう整列する。
ここで、従来の偽造品検出方法には、ICチップを含む識別タグを使用するものや、特定のマーク等が印刷された識別タグを使用するもの等がある。しかしながら、ICチップは多数の半導体素子を含むので製造が困難かつ高コストとなり、マーク等の印刷によるものは偽造が比較的簡単である。本発明の実施の形態1に係る識別タグ200は、上述の(i)〜(iiii)に説明するように比較的低コストで製造でき、かつ特殊な材料を要するので偽造が困難である。
なお、偏光蛍光を放射する材料として高分子系のものを用いる場合には、熱処理を行いながら延伸処理するか、或いは流動性のある状態で該化合物を一定方向に塗ったり、或いは擦る等の処理を行うことにより、発光構造部分の長軸方向を並べ偏光蛍光を発光させることができる。
上述の実施の形態1では、第1の偏光板121の透過軸は垂直方向に向けられ、第2の偏光板122の透過軸は水平方向に向けられる。変形例として、透過軸が互いに直交する方向であれば垂直および水平以外の方向に向けられてもよい。また、透過軸は互いに直交せずともよく、第1の光検出手段131および第2の光検出手段132が強度の差を検出し得る角度であればどのような角度をなしてもよい。
また、液晶性化合物202は次の分子式のような構造を有する分子を含んでもよい。
さらに、光検出手段は分光器であってもよく、制御手段140は、透過光のスペクトルにおいて、励起光Lの波長、液晶性化合物202が放射する蛍光の波長、およびその他の波長の分布を測定し、この測定結果に基づいて判定してもよい。
これらの場合において、偽造品検出装置100は第1の光検出手段131および第2の光検出手段132を含まないものであってもよい。その場合は、第1の透過光T1および第2の透過光T2を肉眼によって確認することを想定して偽造品検出装置100が設計されてもよい。
実施の形態1では、液晶性化合物202は識別タグ200上に単一の方向に沿って配列される。実施の形態2は、斜方真空蒸着を複数回行って、液晶性化合物202の配列の方向を複数とするものである。以下、実施の形態1との相違点を説明する。
図8は、実施の形態2に係る偽造品検出方法の概要を示す。図8において、図1と同一の参照符号は実施の形態1と同一の構成要素を示す。本方法は、印刷装置である偽造品検出装置300を用いて、インクカートリッジに取り付けられた識別タグ400を検査し、インクカートリッジの偽造品を検出するものである。
このような構成により、第1の蛍光領域410は第1の方向成分すなわち垂直方向の成分を含む偏光蛍光を放射し、第2の蛍光領域420は第2の方向成分すなわち水平方向の成分を含む偏光蛍光を放射する。また、第1の蛍光領域410と第2の蛍光領域420に発光蛍光の極大波長の異なる材料をそれぞれ使用することで、発光蛍光波長の違いによる識別の機能を更に加えることができる。
まず図9(a)に示すように、基板401に1回目の斜方真空蒸着を行う。この際、開口部451aを有する遮蔽部材451を基板401に取り付けた状態で処理を行い、基板401上で開口部451aに対応する領域にのみ液晶性化合物202が蒸着されるようにする。このようにして、開口部451aと同一のパターンを持つ第1の蛍光領域410が形成される。
なお、説明の便宜上、図9(a)(b)では基板と遮蔽部材とを離隔して示しているが、これらは実際には重ねて配置される。
インクカートリッジが真正品である場合について説明する。真正品のインクカートリッジには識別タグ400が取り付けられている。
インクカートリッジが印刷装置に取り付けられると、実施の形態1と同様にして発光手段110から励起光Lが照射され、基板401に固定された液晶性化合物202が偏光蛍光P’を放射する。ここで、液晶性化合物202は分子の長軸方向の偏光成分のみを有する偏光蛍光を放射するので、偏光蛍光P’は第1の蛍光領域410と同一のパターンを持つ垂直方向の偏光成分と、第2の蛍光領域420と同一のパターンを持つ水平方向の偏光成分とを含む。
これらのパターンはそれぞれ第1の光検出手段331および第2の光検出手段332によって検出され、制御手段340に出力される。ここで、第1の透過光T3のパターンは第1のテンプレートと一致し、かつ第2の透過光T4のパターンは第2のテンプレートと一致するので、制御手段340は識別タグ400および識別タグ400が取り付けられたインクカートリッジを真正品であると判定する。
インクカートリッジが偽造品である場合について説明する。偽造品のインクカートリッジには、偏光ではない蛍光を発する蛍光領域が、図8の第1の蛍光領域410および第2の蛍光領域420を合わせた形状に形成されているものとする。
第1の光検出手段331および第2の光検出手段332は、それぞれ第1の透過光T3および第2の透過光T4のパターンを検出し、検出結果を制御手段340に出力する。いずれのパターンも対応するテンプレートと一致しないので、制御手段340はこの偽造識別タグおよびインクカートリッジを偽造品であると判定する。
以上のケースに説明されるようにして、偽造品検出装置300は、インクカートリッジの偽造品を検出することができる。
実施の形態2において、基板401は分子の長軸方向が異なる2つの蛍光領域のみを有するが、これは3つ以上の蛍光領域を有するものであってもよい。また、これに対応して3つ以上の偏光板および光検出手段が設けられてもよい。
図10は、このような変形例に係る基板401’の構成を示す。基板401’は、図8の基板401と同様に、液晶性化合物202の分子が垂直方向(0度の方向とする)に配列される第1の蛍光領域410と、分子が水平方向(すなわち90度の方向)に配列される第2の蛍光領域420とを有する。基板401’は、さらに、分子が45度の方向に配列される第3の蛍光領域430と、分子が135度の方向に配列される第4の蛍光領域440とを有する。
図10のような基板401’に対応して、4枚の偏光板が、それぞれの透過軸を4つの蛍光領域410〜440の配列方向に一致させて配置される。また、4つの光検出手段が、4枚の偏光板から透過する光のパターンをそれぞれ検出し、制御手段は4つの検出されたパターンを評価して偽造品を検出する。
蛍光領域の数は、パターンの評価の精度等に応じて適宜決定されればよく、たとえば60度おきの角度に対応して3つの蛍光領域が設けられてもよいし、30度おきの角度に対応して6つの蛍光領域が設けられてもよい。
制御手段340によるパターンの評価方法は、上述のものに限らず、パターンの特徴的部分を抽出する方法や、フーリエ変換を用いる方法等、一般的な画像処理技術を用いることができる。また、制御手段340が記憶するテンプレートは外部からの操作に応じて変更可能であってもよい。また、制御手段340は、パターンの評価に加えて、実施の形態1のように、透過光の強度やスペクトルを基準とする評価を行ってもよい。
実施の形態3は、実施の形態2と同様に、液晶性化合物202の配列の方向を複数とするものである。ただし、実施の形態2とは異なり、実施の形態3では磁場配行によって識別タグの蛍光領域を形成する。偽造品検出装置の構成および動作は実施の形態2と同一であり、基板上の蛍光領域の構成および形成方法のみが異なるので、実施の形態3については基板上の蛍光領域の構成および形成方法のみ以下に説明する。
まず、実施の形態1の(製造方法i〜iiii)と同様にして、基板501上に第1の蛍光領域510を形成する。この時点では、基板501の全面が第1の蛍光領域510となっている。
次に、基板501を磁場の方向に対して90度だけ回転させる。液晶性化合物202はすでに冷却され固定されているので、分子の方向は変化しない。
次に、第2の蛍光領域520を形成すべき位置を選択的に加熱する。この加熱はたとえばレーザの照射によって行われ、液晶性化合物202が液晶状態となる温度、たとえば200〜250℃にまでなされる。上述のように液晶性化合物202の分子は磁化率異方性を有するので、加熱された位置で液晶状態となった分子は磁場に応じて流動し、その長軸は磁場の方向と平行となる。その後加熱を停止すると冷却され分子が固定される。ここで、磁場の方向は第1の蛍光領域510における分子の長軸の方向とは直交する方向となっているので、第1の蛍光領域510と第2の蛍光領域520とでは分子の長軸の方向が直交することになる。
このようにして基板501上に第1の蛍光領域510および第2の蛍光領域520が形成される。
なお、第2の蛍光領域520すなわちレーザ加熱を行う部分はスポット状である必要はなく、線状等の任意の形状とすることができる。また、実施の形態3には、上述の実施の形態2と同様の変形を施すことができる。
実施の形態4は、実施の形態2および3と同様に、液晶性化合物202の配列の方向を複数とするものである。ただし、実施の形態2および3とは異なり、実施の形態4では電場配行によって識別タグの蛍光領域を形成する。偽造品検出装置の構成および動作は実施の形態2と同一であり、基板上の蛍光領域の構成および形成方法のみが異なるので、実施の形態4については基板上の蛍光領域の構成および形成方法のみ以下に説明する。
まず、基板601上に液晶状態の液晶性化合物202を塗布し、複数の蛍光領域を形成する。蛍光領域は図12のようにそれぞれ正方形であり、格子状に配列される。この時点では液晶性化合物202の分子は整列していない。
次に、塗布された液晶性化合物202を保温または加熱して液晶状態に維持しつつ、それぞれの蛍光領域に異なる方向の電場を発生させる。これは、蛍光領域のそれぞれに対応して電極を一組ずつ配置することで行われる。
また、第2の蛍光領域620に対しては、水平方向に延びる対向する辺の組、すなわち辺620aおよび辺620bに沿って電極を配置する。辺620aに沿って延びる陽極と、辺620bに沿って延びる陰極との間に電場を発生させることによって、液晶性化合物202の分子の長軸を垂直方向に向けて整列させる。このようにして第2の蛍光領域620が形成される。
なお、電極間に印加する電圧は、分子を十分に整列させることができる程度であり、この値は当業者が実験等によって適宜決定することが容易である。
また、第1の蛍光領域610および第2の蛍光領域620が形成され実際に使用された後であっても、電場中で加熱することによって液晶性化合物202を再び液晶状態にして再形成を行うことができるので、同様の方法で異なるパターンを形成することができ、基板601の再利用または蛍光領域のパターンの変更が容易である。
なお、第1の蛍光領域610および第2の蛍光領域620の配列は、必ずしも格子状である必要なく、形成すべき画像に応じて適宜配列されてもよい。また、1つの蛍光領域の形状は、必ずしも正方形である必要はなく、長方形または円形等、形成が容易な形状または用途に応じて決定される形状であってもよい。
本発明の実施の形態5にかかる印刷装置は、少なくとも前記偽造品検出に使用する識別タグと、該識別タグに偽造品検出のために用いた照射光が透過可能な透明部分を有するインクカートリッジを備え、該透明部分を透過する光を検出することにより、インクの残量の情報を検出する手段を備える。
従って、本発明の実施の形態5によれば、インクカートリッジの偽造防止の検出手段に加え、インクの残量の情報を検出する手段を備える。
実施の形態5ではインク液を保持体を用いずにそのままインクカートリッジに格納するタイプのものに対して好適に利用できる。
図13は、本発明の実施の形態5の印刷装置を示す概略図である。
本発明の実施の形態5では、少なくとも発光手段110と、インクカートリッジ700に取り付けられた識別タグ200、光の検出手段540を備え、更にインクカートリッジ700は識別タグ200に照射される光を透過できる対向する1対の透明部分(K1、K2)を有する。発光手段110から放射される光は、偽造品検出ために備えられた識別タグ200と透明部分K1に照射される。透明部分K1に入射した光Lは、インクカートリッジ700内を通過して透明部分K2から放出され、光の検出手段540に到達し検出される。
インクカートリッジ700内の透明部分K1と透明部分K2間にインク701が十分に満されている場合には、入射した光Lはインク701内を透過し透明部分K2に到達するまでに減衰し、減衰した光L5が光の検出手段540で無到達又は到達して検出される。従って、透過光L5の強度を検出し、予め設定された閾値以下であれば少なくともインク701の残量がある状態を示す。一方、透過光L5の強度が閾値以上であればインク701の残量が少ない状態を示す。前記光の検出手段540としては、たとえばフォトダイオードであり、透過光L5の強度に応じた電流を発生させる。
光の検出手段540は印刷装置の動作を制御する制御手段150に接続されている。この制御手段150は、印刷装置を制御する制御とは別に設けられるものであってもよい。また、前記偽造品検出装置の制御手段140と連携したものであってもよい。制御手段150は光の検出手段540による検出結果を受信する。
なお、実施の形態5の印刷装置において偽造防止システムは既に前述したとおりである。
図14は、本発明の実施の形態5に対する変形例を示す概略図である。
本発明の実施の形態5に対する変形例では、インクカートリッジ内にインクが十分満たされている状態(以下、「ケース1」)、インクカートリッジを交換するまでもないが、インク残量が少なくなってきている状態(以下、「ケース2」)、インク残量がほとんどなくインクカートリッジの交換の時期である状態(以下、「ケース3」を、少なくとも検出することができる。
前記光の検出手段540としては、たとえばフォトダイオードであり、透過光L5(a)とL5(b)の強度に応じた電流を発生させる。
光の検出手段540は印刷装置の動作を制御する制御手段150に接続されている。この制御手段150は、印刷装置を制御する制御とは別に設けられるものであってもよい。また、前記偽造品検出装置の制御手段140と連携したものであってもよい。制御手段150は光の検出手段540による検出結果を受信する。
また、予め、インク701が透明部分K1(a)とK1(b)間から透明部分K2(a)とK2(b)間に到達するインクの量を求め、インク701が透明部分K1(a)とK1(b)間へ到達以降の使用量とインクの残量の関係から随時、インクの残量の目安となる標識を制御手段150を介して、印刷装置に表示させてもよい。
なお、実施の形態5の印刷装置において偽造防止システムは既に前述したとおりである。
本発明の実施の形態6にかかる印刷装置は、少なくとも前記偽造品検出に使用する識別タグと、該識別タグに偽造品検出のために用いた照射光が透過可能な透明部分を有するインクカートリッジを備え、該透明部分から反射する反射光を検出することにより、インクの残量の情報を検出する手段を備える。
従って、本発明の実施の形態6によれば、インクカートリッジの偽造防止の検出手段に加え、インクの残量の情報を検出する手段を備える。
実施の形態6ではインク液をスポンジ或いは他の保持体に吸収させてインク液を保持するタイプのインクカートリッジやインク液を保持体を用いずにそのままインクカートリッジに格納するタイプのものに対しても好適に利用できる。
本発明の実施の形態6では、少なくとも発光手段110と、インクカートリッジ800に取り付けられた識別タグ200、光の検出手段640を備え、更にインクカートリッジ800は識別タグ200に照射される光を透過できる透明部分K3を有する。発光手段110から放射される光は、偽造品検出ために備えられた識別タグ200と透明部分K3に照射される。透明部分K3に入射した光Lは、インクカートリッジ800内のインク801により反射された反射光L6を光の検出手段640で検出する。
例えば、インク液をスポンジ或いは他の保持体に吸収させてインク液を保持するタイプのインクカートリッジ800の場合は、予めインク液が十分に保持されている場合の反射光の強度と、インク液の減少(使用による減少や、経時的な減少を含む)に応じた反射光の強度等の変化率の関係を求めておいて、例えば設定された閾値以下になったらインク残量が少ないと判定する。
従って、反射光の強度を検出し、予め設定された閾値以上であれば少なくともインクの残量があると判定する。一方、反射光L6の強度が閾値以下であればインク残量が少ないと判定する。前記光の検出手段640としては、たとえばフォトダイオードであり、反射光L6の強度に応じた電流を発生させる。
また、予め、インクの残量が少ないと判定された以降インクがなくなるまでのインクの量を求め、インク701が前記閾値以下になった以降の使用量とインクの残量の関係から随時、インクの残量の目安となる標識を制御手段150を介して、印刷装置に表示させてもよい。
なお、実施の形態6の印刷装置において偽造防止システムは既に前述したとおりである。
200,400 識別タグ、201,401,501,601 基板、202 液晶性化合物、210 蛍光領域、410,510,610 第1の蛍光領域、420,520,620 第2の蛍光領域、430 第3の蛍光領域、440 第4の蛍光領域、
540,640 光の検出手段、700,800 インクカートリッジ、K1,K2,K3、K1(a)、K2(a)、K1(b)、K2(b) 透明部分(透明部位)、L 励起光、L5、L5(a)、L5(b) 透過光、L6 反射光、P 偏光蛍光、T1,T3 第1の透過光、T2,T4 第2の透過光、F1 第1の透明領域、F2 第2の透明領域。
Claims (15)
- 偏光蛍光を放射する材料に励起光を照射して偏光蛍光を放射させるステップと、
前記偏光蛍光を、透過軸の方向が互いに異なる複数の偏光板に入射させるステップと
を含む、偽造品検出方法。 - 前記偏光蛍光を放射する材料が液晶性化合物である、請求項1に記載の偽造品検出方法。
- 偽造品検出に用いられる識別タグであって、励起光の照射を受けて偏光蛍光を放射する材料を含む、識別タグ。
- 前記偏光蛍光を放射する材料が液晶性化合物である、請求項4に記載の識別タグ。
- 外部の識別タグに励起光を照射する発光手段と、
透過軸の方向が互いに異なる複数の偏光板であって、前記励起光の照射に応じて前記識別タグから放射される偏光蛍光を受ける、複数の偏光板と
を備える、偽造品検出装置。 - 第1の方向成分の偏光を含む偏光蛍光を放射する第1の蛍光領域と、
第2の方向成分の偏光を含む偏光蛍光を放射する第2の蛍光領域と
を備える、請求項4に記載の識別タグ。 - 格子状に配列された複数の領域を備え、
前記複数の領域の一部は前記第1の蛍光領域であり、
前記複数の領域の他の一部は前記第2の蛍光領域である
請求項8に記載の識別タグ。 - 前記複数の偏光板のそれぞれを透過した透過光を検出する、複数の光検出手段と、
前記複数の光検出手段による検出結果を所定のデータと比較し、比較結果に応じて、偽造品を検出したか否かを判定する制御手段と
を備える、請求項7に記載の偽造品検出装置。 - 前記光検出手段による検出結果および前記所定のデータは、
それぞれ光の強度を表す情報を含むか、
それぞれ光の波長を表す情報を含むか、または
それぞれ光のパターンを表す情報を含む
請求項10に記載の偽造品検出装置。 - 印刷装置にインクを供給するためのインクカートリッジであって、請求項4に記載の識別タグを備えるインクカートリッジ。
- インクの供給のためにインクカートリッジを用いる印刷装置であって、
請求項10に記載の偽造品検出装置を用いて前記インクカートリッジの偽造品を検出する、印刷装置。 - インクの供給のためにインクカートリッジを用いる印刷装置であって、少なくとも請求項4に記載の識別タグと、該識別タグで偽造品検出のために用いた照射光が透過可能な透明部位を有するインクカートリッジを備え、前記識別タグで用いた光源を用いて前記透明部位に光を照射し、インクカートリッジ内を透過した透過光を検出することにより、インクカートリッジのインク残量を検出する、印刷装置。
- インクの供給のためにインクカートリッジを用いる印刷装置であって、少なくとも請求項4に記載の識別タグと、該識別タグで偽造品検出のために用いた照射光が透過可能な透明部位を有するインクカートリッジを備え、前記識別タグで用いた光源を用いて前記透明部位に光を照射し、透明部位からの反射光を検出することにより、インクカートリッジのインク残量を検出する、印刷装置。
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