JP2009244698A - 電子写真用受像シート及びその製造方法並びに画像形成方法 - Google Patents

電子写真用受像シート及びその製造方法並びに画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温でのトナー定着性及びトナーの耐接着性に優れ、高光沢で高画質なトナー画像を形成することができる電子写真用受像シートを提供する。
【解決手段】基材上の画像受像層が、ガラス転移温度Tgが60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂と、融点Tmが80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂とを含有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用受像シート及びその製造方法、並びにこれを用いた画像形成方法に関する。
電子写真法は、ドライ処理が可能で印字速度が速く、普通紙や上質紙等の汎用紙などに出力できることから、コピー機やパソコン等の出力機器として広く利用されている。このような電子写真法には、トナーを受像可能なトナー受像層が設けられた電子写真用受像シートが用いられており、このトナー受像層は各種の方法によって形成されている。
例えば、トナー受像層は、原紙等の支持体に、熱可塑性樹脂を溶融押出等によって形成する方法や熱可塑性樹脂を含有する溶液を塗工する方法などが提案されている。
このトナー受像層における熱可塑性樹脂は、一般にガラス転移温度(Tg)が、環境温度よりも高く、トナー定着可能な温度より数十℃低い温度域にあるポリマーが用いられている。従来より、電子写真法により高画質画像を得ようとするため、トナーが受像層中に埋め込まれるように、受像層には熱可塑性樹脂のTg低下が試みられてきた。ところが、Tgが低くなると柔らかくなるためにブロッキング(耐接着性)やクッツキが悪化する傾向にあることから、Tgや分子量を高めて装置側の処理温度を高める等が行なわれていた。これにより、トナーの層中への埋め込みは促進されるが、低温定着は行なえない。
上記に関連して、例えば、120℃以上で溶融する微粒子を含有し、画像受像層中の熱可塑性樹脂の軟化点が50℃以上120℃以下である画像受像層を有する電子写真用転写紙が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、微粒子として無機又は有機微粒子のいずれも使用でき、これらの微粒子が定着時に溶融しないため、トナーが押しつぶされて高光沢部が得られるとされている。
また、トナーにより形成されたトナー像の定着画像を形成するイメージングシート画像の形成方法において、融点40℃乃至120℃の低軟化点物質とガラス転移点が−10乃至80℃である熱可塑性樹脂とを含有する表面コート層を有する積層シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
上記以外にさらに、線状の非晶性ポリマーと線状の結晶性ポリマーとの混合物を含み、線状の非晶性ポリマーのガラス転移温度が40〜120℃であり、かつ、線状の結晶性ポリマーの融点が100〜200℃であるトナー受像層を有する電子写真用受像シートが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−58118号公報 特許第3563920号 特開2005−181181号公報
しかしながら、上記の電子写真用転写紙ではトナー像の低温定着が行なえず、また、上記のイメージングシート画像の形成に用いる積層シートでは、低軟化点物質としてワックスなどを熱可塑性樹脂と併用するが、両者間の相溶性が悪いと耐接着性は得られても充分な光沢(高画質)は得られず、低温定着性も劣る。また、トナー受像層に線状の非晶性ポリマー及び結晶性ポリマーの混合物を用いた上記の電子写真用受像シートによっても、必ずしも充分な低温定着性と耐接着性は得られず、高い光沢を有する高画質なトナー画像の形成には未だ課題があった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、低温でのトナー定着性及びトナーの耐接着性に優れ、高光沢で高画質なトナー画像を形成することができる電子写真用受像シート及びその製造方法、並びに画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、単にポリエステル樹脂を用いるのみならず、ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種をガラス転移温度Tgが所定温度以上の芳香族系から選択し、他の少なくとも1種を融点Tmが所定の温度範囲にある脂肪族系から選択して併用することが、耐接着性を向上(すなわち層中へのトナーの埋込)すると同時に、トナー像の低温定着性までも向上させるのに有効であり、しかも樹脂間に相溶性が保たれるので光沢向上にも寄与するとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 基材上に、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂と、融点(Tm)が80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂とを含有する画像受像層を有する電子写真用受像シートである。
<2> 前記脂肪族ポリエステル樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であることを特徴とする前記<1>に記載の電子写真用受像シートである。
<3> 前記脂肪族ポリエステル樹脂の粒子径が0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載の電子写真用受像シートである。
<4> 前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、前記芳香族ポリエステル樹脂の含有量に対して、10質量%以上90質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の電子写真用受像シートである。
<5> 前記画像受像層が、離型剤を更に含有することを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の電子写真用受像シートである。
<6> 潜像担体上に潜像を形成する潜像形成工程と、形成された前記潜像を、電子写真用現像剤を用いて現像し、前記潜像担体上にトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担体上に形成された前記トナー像を、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の電子写真用受像シート上に転写する転写工程と、電子写真用受像シート上に転写された前記トナー像を加熱圧着して定着させる定着工程と、を有する画像形成方法である。
<7> 前記定着工程は、前記加熱圧着を前記電子写真用受像シートの被転写面の温度を70℃以上130℃以下の範囲で行なうことを特徴とする前記<6>に記載の画像形成方法である。
<8> 前記電子写真用現像剤は、粒径2〜8μmの乾式トナーであることを特徴とする前記<6>又は前記<7>に記載の画像形成方法である。
<9> 前記定着工程は、オイルレス定着を行なうことを特徴とする前記<6>〜前記<8>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<10> 基材上に、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂の水分散物と、融点(Tm)が80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂の水分散物とを用いて調製した調製液を付与して画像受像層を形成する電子写真用受像シートの製造方法である。
本発明によれば、低温でのトナー定着性及びトナーの耐接着性に優れ、高光沢で高画質なトナー画像を形成することができる電子写真用受像シート及びその製造方法並びに画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明の電子写真用受像シート及びその製造方法、並びにこれを用いた画像形成方法について詳細に説明する。
<電子写真用受像シート及びその製造方法>
本発明の電子写真用受像シートは、少なくとも、基材と、該基材上に設けられた画像受像層とを設けて構成されたものであり、必要に応じて更に、適宜選択した他の層、例えば、保護層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを設けて構成することができる。これらの各層は、単層構造又は積層構造のいずれであってもよい。
[画像受像層]
本発明における画像受像層は、ガラス転移温度Tg(以下、単にTgと略記することがある。)が60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂の少なくとも1種と、融点Tm(以下、単にTmと略記することがある。)が80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂の少なくとも1種とを含んでなり、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。この画像受像層は、外部から付与される黒色トナーやカラートナーを受容し、画像を形成するための層であり、例えば後述するように、転写工程で(静)電気、圧力等によりトナーを受容し、定着工程で熱、圧力等にてトナーを固定化する機能を有する。
本発明においては、画像受像層に特定の異種のポリエステルを組み合わせた構成にすることで、樹脂間の相溶性が保たれ、高い光沢性が得られると共に、該ポリエステルについて、芳香族ポリエステル樹脂のTgを60℃以上とし、この際に所定温度範囲のTmを持つ脂肪族ポリエステル樹脂を共存させるようにするので、トナーが層中へ埋め込まれてトナー画像の剥がれ等が防止(耐接着性向上)され、しかも低温でのトナー定着性をも向上させることができる。これより、技術上互いに相反する関係にあるトナー画像の低温定着処理と形成画像の耐接着性向上とを両立することができる。
−ポリエステル樹脂−
芳香族ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上であれば、芳香環を有する公知のポリエステル樹脂の中から適宜選択することができる。Tgが60℃未満であると、ブロッキングが生じ、画像受像層に形成された画像の耐接着性が不充分となり、シート同士がくっつき易くなる。また、低温定着性も低下する。
また、Tg≧60℃のポリエステル樹脂として芳香族系を選択することで、耐接着性を低下させることなく、光沢を向上させる効果がある。
芳香族ポリエステル樹脂として、芳香族多塩基酸成分を含むものを示す。
芳香族ポリエステル樹脂を構成する、芳香族多塩基酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール等を挙げることができる。具体的には、前記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。前記脂環族グリコールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記エーテル結合含有グリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、更にはビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記Tgは、耐接着性と光沢の点で、60〜85℃の範囲内が好ましい。
ポリエステル樹脂のTg(ガラス転移温度)は、ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、示差定査熱量(DSC)測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて、昇温速度を10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の最初の折曲点の値である。
また、芳香族ポリエステル樹脂の数平均分子量は、耐接着性と光沢の点で、2000〜30000が好ましく、より好ましくは3000〜20000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーション分析((株)島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型、及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求められる。
脂肪族ポリエステル樹脂は、融点(Tm)が80℃以上120℃未満の範囲内にあれば、公知の脂肪族系のポリエステル樹脂の中から適宜選択することができる。Tmは、80℃未満であると画像受像層が流動する等で好ましくない画像形成となり、120℃以上であると、トナーが付与された際に画像受像層中に埋め込まれにくく、光沢が悪化し、画像を(例えば加熱圧着して)熱定着する場合に低温(例えば120℃未満の温度範囲)での定着が良好に行なえない。また、耐接着性も低下する。
中でも、Tmの好ましい範囲は、80〜110℃である。
また、80℃≦Tm<120℃のポリエステル樹脂として脂肪族系を選択するので、 トナーが付与された際に画像受像層中に埋め込まれやすくなり光沢に効果がある。
ポリエステル樹脂のTm(融点)は、ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、示差定査熱量(DSC)測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定を行い、得られた結晶に由来するピークのうち、昇温時のピークトップ温度である。
脂肪族ポリエステル樹脂として、脂肪族多塩基酸成分を含むものを示す。
脂肪族ポリエステル樹脂を構成する、脂肪族多塩基酸成分としては、例えば、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和の脂肪族ジカルボン酸類などが挙げられる。アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール等を挙げることができる。具体的には、前記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。前記脂環族グリコールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記エーテル結合含有グリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、更にはビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル樹脂は、水分散物ないしエマルションとして用いることが好ましく、画像受像層形成用の調製液(例えば塗布液)を水系に調製することができる。この場合、脂肪族ポリエステル樹脂の粒子径としては、耐接着性、光沢に影響する造膜性の点で、0.1μm以上5.0μm以下の範囲が好ましく、0.2μm以上1.0μm以下の範囲がより好ましい。
ここで、粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(日機装(株)製)により得られる値であり、D50(個数粒径分布の50%累積値)を粒子径とする。マイクロトラック粒径分布測定器による測定においては、測定レンジ=0.12〜704μm、測定時間=30秒、媒体=イオン交換水の条件とする。
脂肪族ポリエステル樹脂の酸価としては、20mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは23〜50mgKOH/gである。酸価が前記範囲内であると、画像受像層形成用の調製液を水系に調製する場合に用いる脂肪族ポリエステル樹脂の水分散物を安定化することができ、塗布液組成物の調整に有効である。
ここで、酸価は、樹脂1g中の遊離酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数であり、例えばJIS K0070に記載の方法に基づき測定することができる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量は、耐接着性、光沢に影響する造膜性の点で、2000〜20000が好ましく、より好ましくは4000〜10000である。
ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーション分析((株)島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型、及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求められる。
芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との好ましい組み合わせ態様としては、低温でのトナー定着性及び耐接着性、光沢を向上させる観点から、脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、芳香族ポリエステル樹脂に対して、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、芳香族ポリエステル樹脂に対して、20質量%以上85質量%以下であることが好ましく、脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、芳香族ポリエステル樹脂に対して、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
−離型剤−
本発明における画像受像層は、離型剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。離型剤をさらに含有することで、画像受像層のオフセットを防ぐことができる。
離型剤は、定着する際の温度で融解し、画像受像層の表面に析出して層表面に偏在し、更に冷却・固化されることによって画像受像層の表面に離型剤の層を形成できるものであれば、その種類は限定されない。
このような離型剤としては、例えば、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス、及びマット剤から選択することができる。離型剤は、これらを1種単独であるいは2種以上を併用することができる。好ましくは、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、及びシリコーン粒子、並びにポリエチレンワックス粒子からなる群より選択される少なくとも1種の離型剤である。
前記離型剤としては、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号各公報に記載のトナーに用いられている、シリコーン系化合物、フッ素化合物又はワックスも好ましく用いることができる。また、これら化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
具体的には、前記シリコーン系化合物としては、シリコーンオイルとして、無変性シリコーンオイル(具体的には、ジメチルシロキサンオイルや、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、市販品として信越化学工業社製KF−96、KF−96L、KF−96H、KF−99、KF−50、KF−54、KF−56、KF−965、KF−968、KF−994、KF−995、HIVAC F−4、F−5;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH200、SH203、SH490、SH510、SH550、SH710、SH704、SH705、SH7028A、SH7036、SM7060、SM7001、SM7706、SH7036、SH8710、SH1107、SH8627;東芝シリコーン社製TSF400、TSF401、TSF404、TSF405、TSF431、TSF433、TSF434、TSF437、TSF450シリーズ、TSF451シリーズ、TSF456、TSF458シリーズ、TSF483、TSF484、TSF4045、TSF4300、TSF4600、YF33シリーズ、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3804、YF−3807、YF−3897、XF−3905、XS69−A1753、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSW831、など)、アミノ変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業社製KF−857、KF−858、KF−859、KF−861、KF−864、KF−880、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SF8417、SM8709、東芝シリコーン社製TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TEX150、TEX151、TEX154など)、カルボキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製BY16−880、東芝シリコーン社製TSF4770、XF42−A9248など)、カルビノール変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン社製XF42−B0970など)、ビニル変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン社製XF40−A1987など)、エポキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SF8411、SF8413;東芝シリコーン社製TSF3965、TSF4730、TSF4732、XF42−A4439、XF42−A4438、XF42−A5041、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464、TEX170など)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業社製KF−351(A)、KF−352(A)、KF−353(A)、KF−354(A)、KF−355(A)、KF−615(A)、KF−618、KF−945(A);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH3746、SH3771、SF8421、SF8419、SH8400、SF8410;東芝シリコーン社製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4453、TSF4460など)、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SF8427、SF8428、東芝シリコーン社製TSF4750、TSF4751、XF42−B0970など)、アルキル変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SF8416、東芝シリコーン社製TSF410、TSF411、TSF4420、TSF4421、TSF4422、TSF4450、XF42−334、XF42−A3160、XF42−A3161など)、フッ素変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製FS1265、東芝シリコーン社製FQF501など)、シリコーンゴムやシリコーン微粒子(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH851U、SH745U、SH55UA、SE4705U、SH502UA&B、SRX539U、SE6770U−P、DY38−038、DY38−047、トレフィルF−201、F−202、F−250、R−900、R−902A、E−500、E−600、E−601、E−506、BY29−119;東芝シリコーン社製トスパール105、120、130、145、240、3120など)、シリコーン変性樹脂(具体的には、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂などやこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した化合物など、市販品として大日精化社製ダイアロマーSP203V、SP712、SP2105、SP3023;日本油脂社製モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770;東亜合成化学社製サイマックUS−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450、レゼダGP−705、GS−30、GF−150、GF−300;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH997、SR2114、SH2104、SR2115、SR2202、DCI−2577、SR2317、SE4001U、SRX625B、SRX643、SRX439U、SRX488U、SH804、SH840、SR2107、SR2115;東芝シリコーン社製YR3370、TSR1122、TSR102、TSR108、TSR116、TSR117、TSR125A、TSR127B、TSR144、TSR180、TSR187、YR47、YR3187、YR3224、YR3232、YR3270、YR3286、YR3340、YR3365、TEX152、TEX153、TEX171、TEX172など)、反応性シリコーン化合物(具体的には、付加反応型や、過酸化物硬化型、紫外線硬化型があり、市販品として東芝シリコーン社製TSR1500、TSR1510、TSR1511、TSR1515、TSR1520、YR3286、YR3340、PSA6574、TPR6500、TPR6501、TPR6600、TPR6702、TPR6604、TPR6700、TPR6701、TPR6705、TPR6707、TPR6708、TPR6710、TPR6712、TPR6721、TPR6722、UV9300、UV9315、UV9425、UV9430、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−A3075、XS56−A3969、XS56−A5730、XS56−A8012、XS56−B1794、SL6100、SM3000、SM3030、SM3200、YSR3022など)などが挙げられる。
前記フッ素化合物としては、フッ素オイル(市販品としてダイキン工業社製ダイフロイル#1、#3、#10、#20、#50、#100、ユニダインTG−440、TG−452、TG−490、TG−560、TG−561、TG−590、TG−652、TG−670U、TG−991、TG−999、TG−3010、TG−3020、TG−3510;トーケムプロダクツ社製MF−100、MF−110、MF−120、MF−130、MF−160、MF−160E;旭硝子社製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145;三井フロロケミカル社製FC−430、FC−431など)、フッ素ゴム(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン社製LS63Uなど)、フッ素変性樹脂(市販品として日本油脂社製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035;大日精化社製ダイアロマーFF203、FF204;旭硝子社製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100;トーケムプロダクツ社製EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601、TFE、TFEA、TFEMA、PDFOH;住友3M社製THV−200Pなど)、フッ素スルホン酸化合物(市販品としてトーケムプロダクツ社製EF−101、EF−102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、EF−135M、EF−305、FBSA、KFBS、LFBSなど)、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物や塩(具体的には無水フッ酸、稀フッ酸、ホウフッ酸、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化ニッケル、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化銅、ケイフッ酸、フッ化チタン酸カリウム、パーフルオロカプリル酸、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなど)、無機フッ化物(具体的にはフッ化アルミニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化亜鉛4水和物、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化錫、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、六フッ化リン酸アンモニウム、六フッ化リン酸カリウムなど)などが挙げられる。
前記ワックスとしては、例えば、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、天然ワックスなどが挙げられる。
ワックスである前記合成炭化水素としては、例えば、ポリエチレンワックス(市販品として中京油脂社製ポリロンA、393、H−481、三洋化成社製サンワックスE−310、E−330、E−250P、LEL−250、LEL−800、LEL−400Pなど)、ポリプロピレンワックス(市販品として三洋化成社製ビスコール330−P、550−P、660−P)、フィッシャートロプシュワックス(市販品として日本精鑞社製FT100、FT−0070など)など、酸アミド化合物あるいは酸イミド化合物(具体的には、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなど、市販品として中京油脂社製セロゾール920、B−495、ハイミクロンG−270、G−110、ハイドリンD−757など)などが挙げられる。
前記変性ワックスとしては、例えば、アミン変性ポリプロピレン(市販品として三洋化成社製QN−7700)、アクリル酸変性やフッ素変性、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス(市販品として日本精鑞社製NPS−6010、HAD−5090など)、アルコール型ワックス(市販品として日本精鑞社製NPS−9210、NPS−9215、OX−1949、XO−020Tなど)などが挙げられる。
前記水素化ワックスとしては、例えば、硬化ひまし油(市販品として伊藤製油社製カスターワックスなど)、ヒマシ油誘導体(市販品として伊藤製油社製の脱水ヒマシ油DCO、DCO Z−1、DCO Z−3、ヒマシ油脂肪酸CO−FA、リシノレイン酸、脱水ヒマシ油脂肪酸DCO−FA、脱水ヒマシ油脂肪酸エポキシエステルD−4エステル、ヒマシ油系ウレタンアクリレートCA−10、CA−20、CA−30、ヒマシ油誘導体MINERASOL S−74、S−80、S−203、S−42X、S−321、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸MINERASOL RC−2、RC−17、RC−55、RC−335、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸エステルMINERASOL LB−601、LB−603、LB−604、LB−702、LB−703、#11、L−164、など)、ステアリン酸(市販品として伊藤製油社製の12−ヒドロキシステアリン酸など)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸(市販品として伊藤製油社製のセバシン酸など)、ウンデシレン酸(市販品として伊藤製油社製のウンデシレン酸など)、ヘプチル酸(市販品として伊藤製油社製のヘプチル酸など)、マレイン酸、高度マレイン化油(市販品として伊藤製油社製のHIMALEIN DC−15、LN−10、00−15、DF−20、SF−20など)、吹込油(市販品として伊藤製油社製のセルボノール#10、#30、#60、R−40、S−7など)、シクロペンタジエン化油(市販品として伊藤製油社製のCPオイル、CPオイル−Sなど)などの合成ワックスなどが挙げられる。
前記天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスから選択される少なくともいずれかが好ましい。
前記植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス(市販品として日本精鑞社製EMUSTAR−0413、中京油脂社製セロゾール524など)、ヒマシ油(市販品として伊藤製油社製の精製ヒマシ油など)、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点で、融点が70〜95℃のカルナバワックスが特に好ましい。
前記動物系ワックスとしては、例えば、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋、等が挙げられる。
前記鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシン、脂肪酸エステル(市販品として新日本理化社製サンソサイザーDOA、AN−800、DINA、DIDA、DOZ、DOS、TOTM、TITM、E−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H、TCP、C−1100など)、等が挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点で、融点が70〜95℃のモンタンワックスが特に好ましい。
前記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(市販品として日本精鑞社製パラフィンワックス155、150、140、135、130、125、120、115、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−14G、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、NPS−8070、NPS−L−70、OX−2151、OX−2251、EMUSTAR−0384、EMUSTAR−0136、中京油脂社製セロゾール686、428、651−A、A、H−803、B−460、E−172、866、K−133、ハイドリンD−337、E−139、日石三菱石油社製125°パラフィン、125°FD、130°パラフィン、135°パラフィン、135°H、140°パラフィン、140°N、145°パラフィン、パラフィンワックスMなど)、マイクロクリスタリンワックス(市販品として日本精鑞社製Hi−Mic−2095、Hi−Mic−3090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、EMUSTAR−0001、EMUSTAR−042X、中京油脂社製セロゾール967、M、日石三菱石油社製155マイクロワックス、180マイクロワックスなど)、ペトロラタム(市販品として日本精鑞社製OX−1749、OX−0450、OX−0650B、OX−0153、OX−261BN、OX−0851、OX−0550、OX−0750B、JP−1500、JP−056R、JP−011Pなど)などが挙げられる。
前記ワックスの前記画像受像層(表面)における含有量は、0.1〜4g/mが好ましく、0.2〜2g/mがより好ましい。含有量は、0.1g/m以上であると耐オフセット性、耐接着性が充分であり、4g/m以下であるとワックス量が多過ぎて光沢を失う等の画質を損なうことがなく、画質の良好な画像が得られる。
前記ワックスの融点(℃)としては、耐オフセット性及び通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子と有機粒子とに分類できる。
無機マット剤の材料としては、具体的には、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)及びガラスが挙げられる。
無機マット剤としては、例えば、西独特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
前記有機マット剤の材料には、デンプン、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート)、セルロースエーテル(例えば、エチルセルロース)及び合成樹脂が含まれる。合成樹脂は、水不溶性又は水難溶性であることが好ましい。水不溶性又は水難溶性の合成樹脂の例には、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、ポリスチレン、ベンゾグアナミン樹脂、ホルムアルデヒド縮合ポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール及びポリ塩化ビニリデンが含まれる。
以上のポリマーに使用されるモノマーを組み合わせたコポリマーを用いてもよい。
前記コポリマーの場合、少量の親水性の繰り返し単位が含まれていてもよい。親水性の繰り返し単位を形成するモノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンスルホン酸が含まれる。
有機マット剤としては、例えば、英国特許1055713号、米国特許1939213号、同2221873号、同2268662号、同2322037号、同2376005号、同2391181号、同2701245号、同2992101号、同3079257号、同3262782号、同3443946号、同3516832号、同3539344号、同3591379号、同3754924号、同3767448号の各明細書、特開昭49−106821号公報、特開昭57−14835号公報に記載されたものが挙げられる。
また、二種類以上の固体粒子を併用してもよい。固体粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μmが好ましく、4〜30μmがより好ましい。前記固体粒子の使用量は、0.01〜0.5g/mが好ましく、0.02〜0.3g/mがより好ましい。
画像受像層には離型剤として、これらの誘導体や、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
前記離型剤の融点としては、特に耐オフセット性及び通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
また、離型剤としては、特に、画像受像層を構成する熱可塑性樹脂として、水系の熱可塑性樹脂を用いた場合の相溶性等の点で、水分散型の離型剤が好ましい。
離型剤の画像受像層中における含有量としては、画像受像層の全固形分質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜25質量%がより好ましく、1.0〜20質量%が更に好ましい。
−他の成分−
画像受像層には、前記成分以外に、画像受像層の熱力学的特性を改良する目的で、各種添加剤、例えば、可塑剤、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電調整剤などの他の成分を用いることができる。
<可塑剤>
可塑剤としては、画像受像層に付与されたトナーを定着するときの熱及び/又は圧力によって、画像受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有するものであり、公知の樹脂用の可塑剤を制限なく使用することができる。
前記可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究 下」(高分子化学協会編)、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
前記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類等;アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類等)、エーテル類、アルコール類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類、などが挙げられる(特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、特開平2−235694号の各公報等参照)。なお、可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
前記可塑剤としては、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。この場合、可塑剤の分子量としては、可塑化される樹脂の分子量より低いものが好ましく、分子量は15000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。
また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべき樹脂と同種のポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。
更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
上記に挙げた化合物以外にも市販品として、例えば、旭電化工業社製アデカサイザーPN−170、PN−1430;C.P.HALL社の製品PARAPLEX−G−25、G−30、G−40;理化ハーキュレス社の製品エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン4851、FK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテックスLC、クリスタレックス3085等が挙げられる。
可塑剤は、トナー粒子が画像受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性などの物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分などの物質収支による歪み等)を緩和するために任意に使用することができる。
前記可塑剤は、画像受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と充分に混合溶解した状態でもよい。
前記可塑剤の画像受像層中における含有量としては、0.001〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。
前記可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
<着色剤>
着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物であり、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学社製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
前記白色顔料としては、後述するフィラーの項の無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム他)を用いることができる。
前記有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等)、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。例えば、水不溶性染料の例として、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料;C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料;C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55等の油溶性染料、などが挙げられる。
なお、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
着色剤の画像受像層における含有量としては、0.1〜8g/mが好ましく、0.5〜5g/mがより好ましい。着色剤の含有量は、0.1g/m以上であると画像受像層における光透過率が抑えられ、8g/m以下であるとひび割れ、耐接着性等の取扱い性が良好である。
<フィラー>
前記フィラーとしては、有機又は無機のフィラーが挙げられ、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。
フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、前記フィラーとして、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらのフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、画像受像層の表面が粗面化し易い。
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。なお、前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。前記アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。アルミナは、多孔質であるのが好ましい。多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/g程度が好ましい。
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
フィラーの画像受像層中における含有量としては、画像受像層の樹脂成分の乾燥質量100質量部に対して5〜2000質量部が好ましい。
<架橋剤>
架橋剤は、画像受像層の保存安定性や熱可塑性等を調整するために配合することができる。架橋剤としては、反応基としてエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物を用いることができる。
これとは別に、前記架橋剤として、水素結合、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の例としては、クロロシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤などが挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
<帯電調整剤>
画像受像層には、トナーの転写や付着等を調整したり、画像受像層の帯電接着を防止するために、帯電調整剤を含有させることが好ましい。
前記帯電調整剤としては、従来から公知の各種帯電調整剤を使用することができる。例えば、カチオン界面活性剤や、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等のほか、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩や、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
画像の形成に用いるトナーが負電荷を有する場合、画像受像層に用いられる帯電調整剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO等を挙げることができる。これらの導電性金属酸化物は、単独で使用してもよく、これらの複合酸化物で使用してもよい。また、前記金属酸化物は、異種元素を更に含有させてもよく、例えば、ZnOに対して、Al、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnOに対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
画像受像層に用いることができる材料には、出力画像の安定性改良や画像受像層自身の安定性改良のために各種添加剤を含めることができる。該添加剤としては、種々の公知の酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防カビ剤、等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が挙げられる。なお、酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが適当である。また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好ましく用いられる。
なお、画像受像層に使用できる材料には、上記のように公知の写真用添加剤を必要に応じて添加することができる。写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
Figure 2009244698
画像受像層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましい。
画像受像層は、白色度が高いことが好ましい。前記白色度としては、JIS P 8123に規定される方法で測定して、85%以上が好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内であることが好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内であることがより好ましい。
また、前記白色度としては、具体的には、CIE 1976(L)色空間において、L値は80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また、白色の色味はできるだけニュートラルであるのが好ましい。前記白色色味としては、L空間において、(a+(bの値は50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
画像受像層としては、光沢性が高いことが好ましい。具体的には光沢度として、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、75度光沢度が60以上であることが好ましく、75以上であることがより好ましく、90以上であることが更に好ましい。一方、光沢度の上限値は、110以下が好ましい。上限値が110を超えると、金属光沢のようになり画質として好ましくない。
なお、前記光沢度は、JIS Z8741に基づいて測定することができる。
画像受像層は、平滑性が高いことが好ましい。具体的には平滑度として、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均粗さ(Ra)が3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
なお、前記算術平均粗さは、JIS B0601、JIS B0651、JIS B0652に基づいて測定することができる。
画像受像層は、1×10〜1×1015Ω/cmの範囲(25℃、65%RHの条件にて)の表面電気抵抗を有することが好ましい。表面電気抵抗は、1×10Ω/cm以上であると画像受像層にトナーが転写される際のトナー量が充分に確保でき、高い濃度のトナー画像が得られ、1×1015Ω/cm以下であると転写時に必要以上の電荷が発生せず、トナーが充分に転写されて高い画像濃度が得られ、電子写真用受像シートの取り扱い中に静電気を帯びて塵埃が付着も抑えられ、また、複写時にミスフィード、重送、放電マーク、トナー転写ヌケ等が発生するのを回避できる。
前記表面電気抵抗の測定は、JIS K6911に準拠し、サンプルを温度20℃、湿度65%の環境下に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定することで得られる。
なお、後述する基材においては、画像受像層が形成された側と反対側の面の表面電気抵抗は、5×10〜3.2×1013Ω/cmの範囲が好ましく、1×10〜1×1012Ω/cmの範囲がより好ましい。
[基材]
本発明の電子写真用受像シートを構成する基材としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられる。これらの基材は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。中でも、平滑光沢性及び伸縮性の点で、片面又は両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したラミネート紙が好ましい。
−原紙−
原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
原紙の材料としては、電子写真用受像シートに使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて各種の材料から適宜選定することができ、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製の合成パルプ、或いは天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)等を使用することもできる。
前記パルプの叩解には、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド、などが挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩;カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)などに記載のものを用いることができる。
表面サイズ処理に使用される処理液には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、染料、蛍光増白剤などが含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類;ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
原紙は、剛性及び寸法安定性(カール性)の向上を図る点で、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)が1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。Ea/Eb値が前記範囲内であると、記録材料の剛性やカール性が良好であり、ひいては搬送時の走行性を良好にすることができる。
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なることが分かっており、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用し、これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率を下記の式より求めることができる。
E=ρc(1−n
上記式において、Eは、動的弾性率を表し、ρは密度を表し、cは紙中の音速を表し、nはポアソン比を表す。
通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記の式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc
すなわち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。上式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
原紙には、表面に所望の中心線平均粗さを付与するために、例えば、特開昭58−68037号公報に記載されているように、繊維長分布(例えば、24メッシュスクリーン残留分と、42メッシュスクリーン残留分との合計が、例えば、20〜45質量%であり、かつ24メッシュスクリーン残留分が5質量%以下)のパルプ繊維を使用するのが好ましい。また、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加えて表面処理することにより、中心線平均粗さを調整することができる。
原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、50〜250g/mが好ましく、100〜200g/mがより好ましい。
−合成紙−
合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙であり、前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
−合成樹脂シート(フィルム)−
合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレン、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどが挙げられる。
−コート紙−
コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが適当である。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の(イ)〜(チ)の熱可塑性樹脂を例示することができる。
(イ)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。また、市販品としては、東洋紡社製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王社製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ社製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学社製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業社製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂、等が挙げられる。
(ハ)ポリウレタン樹脂等。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等。
(ホ)ポリスルホン樹脂等。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
また、前記熱可塑性樹脂樹脂には、蛍光増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
−ラミネート紙−
ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
前記高密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
なお、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行なってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
基材の厚みとしては、25〜300μmが好ましく、50〜260μmがより好ましく、75〜220μmが更に好ましい。
また、基材の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
[その他の層]
本発明の電子写真用受像シートには、その他の層として、例えば、表面保護層、バック層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等をさらに設けることができる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
前記表面保護層は、前記画像受像層の表面に設けることができ、電子写真用受像シートにおける表面の保護、保存性の改良、取扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等することができる。表面保護層は、1層であってもよいし、2層以上の層からなっていてもよい。
この表面保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、前記画像受像層と同種の樹脂を用いるのが好ましい。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、画像受像層と同じである必要はなく、各々最適化することができる。
前記表面保護層には、画像受像層に使用可能な既述の各種の添加剤を配合することができる。特に、表面保護層には、既述の離型剤と共に他の添加剤、例えばマット剤等を配合することができる。なお、マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。
電子写真用受像シートにおける最表面の層(例えば、表面保護層が形成されている場合には表面保護層)としては、定着性の点で、トナーとの相溶性がよいのが好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば0〜40度であることが好ましい。
前記バック層は、基材の画像受像層が設けられる側と反対側に好適に設けることができ、電子写真用受像シートにおいて、裏面の出力適性付与、裏面の出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等を図ることができる。
バック層の色としては、特に制限はないが、電子写真用受像シートが裏面にも画像を形成する両面出力型の受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。また、両面出力適性改良のため、バック層の構成が画像受像層側と同様であってもよい。バック層には、上記で説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、特にマット剤や、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、単層構成であってもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラ等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
前記密着改良層は、電子写真用受像シートにおいて、支持体及び画像受像層の密着性を改良する目的で形成することができる。密着改良層には、既述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、密着改良層及び画像受像層の間に更にクッション層等を設けるのが好ましい。
前記中間層は、例えば、基材と密着改良層との間、密着改良層とクッション層との間、クッション層と画像受像層との間、画像受像層と保存性改良層との間等に形成することができる。基材、画像受像層、及び中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、中間層は例えば基材と画像受像層との間に存在させることができる。
なお、電子写真用受像シートの厚みには、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
本発明の電子写真用受像シートは、上記した芳香族ポリエステル樹脂及び脂肪族ポリエステル樹脂並びに必要に応じて離型剤や他の成分を含有する画像形成層を形成するための溶剤系もしくは水系の調製液(例えば塗布液)を調製し、これを所望の基材上に付与(例えば塗布)、乾燥させて所定の厚みの画像形成層を形成することによって作製することができる。前記調製液は、環境上の点から水系に調製されることが好ましく、芳香族ポリエステル樹脂や脂肪族ポリエステル樹脂をそれぞれ分散物ないしエマルション化して用いることが好ましい。
本発明においては、電子写真用受像シートの作製は、ガラス転移温度Tgが60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂の水分散物と、融点Tmが80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂の水分散物とを用いて水系の調製液(例えば塗布液)を調製し、基材上に調製した調製液を付与することにより画像受像層を形成する工程を設けて好適に行なうことができる。画像形成層を構成する芳香族ポリエステル樹脂及び脂肪族ポリエステル樹脂は、それぞれ水分散物を用いて含有されるので、任意の割合で混合することができる。
なお、芳香族ポリエステル樹脂及び脂肪族ポリエステル樹脂の詳細及び好ましい態様については、既述の通りである。
画像形成層形成用の調製液(例えば塗布液)は、例えば、芳香族ポリエステル樹脂の水分散物及び脂肪族ポリエステル樹脂の水分散物と必要に応じて離型剤や界面活性剤等の他の成分とを混合し、撹拌して調製することができる。
本発明の電子写真用受像シートを構成する画像受像層は、塗布により形成することができる。好ましくは、画像形成層形成用の調製液は、塗布液として塗布により基材上に付与される。このとき、塗布は、例えば、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ローラコータ、リバースローラコータ、バーコーター、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、ツーローラあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、ゲートローラコータ等を用いた公知の塗布方法により行なうことができる。
塗布による場合、塗布厚は画像受像層の厚みが既述の範囲となる範囲が好ましく、例えば、塗布乾燥後の塗布質量が1〜20g/mである範囲が好ましく、4〜15g/mである範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像担体上に潜像を形成する潜像形成工程と、潜像担体上に形成された潜像を、電子写真用現像剤を用いて現像し、前記潜像担体上にトナー像を形成する現像工程と、潜像担体上に形成されたトナー像を、既述の本発明の電子写真用受像シート上に転写する転写工程と、電子写真用受像シート上に転写されたトナー像を加熱圧着する定着工程と、を設けて構成したものである。本発明の画像形成方法においては、既述の本発明の電子写真用受像シートを用いるので、定着工程でのトナー画像の定着を低温で行ないつつ、しかもトナーが層中へ埋め込まれ、トナー画像の剥がれ等が抑制された耐接着性に優れた画像を形成することができる。
−潜像形成工程−
潜像形成工程では、所望の潜像担体上に、電子写真用受像シートに形成しようとする画像の画像情報に基づいて潜像を形成する。潜像担体には、例えば、感光性を有する(例えばロール状の)感光体を用いることができる。感光体の表面を帯電後、画像情報に基づいて感光体表面に光照射を行なうことにより所望の潜像が得られる。
−現像工程−
現像工程では、前記潜像形成工程で潜像担体上に形成された潜像を、電子写真用現像剤を用いて現像し、前記潜像担体上にトナー像を形成する。所望の色のトナーが与えられると、形成された潜像様にトナーが付着してトナー像が得られる。
前記電子写真用現像剤としては、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、必要に応じて離型剤、その他の成分を含有するものを用いることができる。本発明においては、乾式トナーが好ましい。以下、乾式トナーを構成する成分について略記する。
前記結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミドなどのビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸などのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体やその共重合体、更には各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの樹脂の中では、前記画像受像層に用いた樹脂と同系統の樹脂を用いることが好ましい。
前記着色剤としては、通常トナーに用いられているものを制限なく使用できる。例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどの種々の顔料、並びに、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料、などが挙げられる。これら着色剤は、1種単独で使用してもよいし、複数種を併せて使用してもよい。
着色剤の乾式トナーにおける含有量は、2〜8質量%が好ましい。着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることがなく、8質量%以下であれば透明性が損なわれることがない。
前記離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスの分子量は1000以下が好ましく、300〜1000がより好ましい。
また、乾式トナーを構成する上記以外の成分として、特開2005−181881号公報の段落番号[0111]〜[0115]に記載のものを用いることができる。
トナーの製造は、特に制限されないが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合し、前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程を含む方法が好ましい。
上記の中でも、本発明における電子写真用現像剤としては、粒径が体積平均粒子径で2〜8μmの乾式トナーが好ましい。該体積平均粒子径は、2μm以上であるとトナーのハンドリング性(補給性、クリーニング性、流動性等)が良好であり、また、粒子生産性に支障がなく、8μm以下であると粒状性、転写性に優れ、良好な画質、解像度が得られる。
前記乾式トナーは、前記体積平均粒子径の範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)が1.3以下であることが好ましい。また、前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は、0.95以上が好ましい。
また、乾式トナーは、前記体積平均粒子径の範囲を満たし、かつ下記式で表される形状係数の平均値が1.00〜1.50の範囲であることが好ましい。
形状係数=(π×L)/(4×S)
〔式中、Lはトナー粒子の最大長を表し、Sはトナー粒子の投影面積を表す。〕
上記の形状係数を満たす場合、画質、特に粒状性、解像度の向上に有効であり、また、転写に伴なう画像抜けやブラーが生じにくく、粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響がでにくくなる。
なお、乾式トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の点で適当である。
−転写工程−
転写工程では、前記現像工程で潜像担体上に形成されたトナー像を、既述の本発明の電子写真用受像シート上に転写する。この場合、例えば、潜像担体上に形成されたトナー像を直接電子写真用受像シートに転写する直接転写方式と、潜像担体上に形成されたトナー像を一旦中間転写ベルト等に一次転写した後、電子写真用受像シートに再転写する中間転写ベルト方式とがある。環境安定性及び高画質化の点から、中間転写ベルト方式が好ましい。
中間転写ベルト方式による場合、無端形状のベルト部材が用いられ、このベルト部材を(好ましくは支軸ローラにより張架した状態で回転させながら)前記潜像担体(例えばロール状の感光体)のトナー像形成面に当接させて(前記ベルト部材と同速度で回転させて)トナー像を一旦ベルト部材に転写した後、転写後のベルト部材と電子写真用受像シートとを、ベルト部材のトナー像形成面と電子写真用受像シートの画像形成面とが向き合うように、互いに圧接するローラ対の間を通過させることにより、トナー像は電子写真用受像シートの画像形成層上に転写形成される。
−定着工程−
定着工程では、トナー像を電子写真用受像シートに定着させるために、電子写真用受像シート上に転写されたトナー像を加熱圧着する。加熱圧着は、画像形成層上の少なくともトナー画像を加熱及び加圧可能なロール材や板材等を用いて行なえる。例えばロール材による場合、少なくとも一方のローラが加熱された互いに圧接するローラ対の間を通過させることにより加熱圧着できる。
具体的には、この定着工程に使用可能な定着装置として、接触型熱定着装置が挙げられ、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した熱定着ローラと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ローラとからなる熱ローラ定着装置や、このようなローラとローラとの組み合わせ以外にも、2つの部材のいずれかが加熱及び/又は加圧機能を有するローラとベルトとの組み合わせ、また、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置を使用することができる。
定着工程について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成方法の定着工程に用いることができる定着装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示す定着装置は、加熱部110と加圧部120とを備える。加熱部110は、回転可能な定着ロール111及び熱源(ヒータ)112を備えている。定着ロール111は、円筒状のコア111aとその外周面を被覆する弾性層111bとからなり、コア111a内にはヒータ112が挿通している。コア111aの材質としては、アルミニウム,鉄,ステンレス鋼(SUS),銅等の熱伝導率の高い金属又は合金などが用いられる。弾性層111bは、その表面が耐熱性及び離型性に優れた材料で形成され、例えばシリコーンゴム等の下地層をシリコーンゴムやテトラフルオロエチレン樹脂等のコート層で被覆したものが好ましい。ヒータ112として、ハロゲンランプ,赤外線ランプ等各種の熱源を利用することができる。また、加熱部110には、温度センサ114が配置され、定着ロール111表面の温度を計測する。そして、温度センサ114の計測信号により、図示しない温度コントローラによってヒータ112がフィードバック制御され、ロール111表面を適切な温度に調節するようになっている。定着ロール111の表面温度、すなわち定着温度は、使用するトナーや記録シートの種類によっても異なるが、120〜200℃の間に設定される。
加圧部120は、無端ベルト121,弾性部材123,そのベースプレート124等を備えた加圧部材からなる。加圧部材は、無端ベルト121を定着ロール111に押圧させて、無端ベルト121と定着ロール111の間にニップ部を形成すると共に、無端ベルト121を走行可能とするための部材である。無端ベルト121の材質としては、テトラフルオロエチレン樹脂やポリイミド樹脂等の耐熱性に優れる材料が用いられる。また、無端ベルト121をテンションフリーとした場合、テンション部材が不要であるばかりでなく、無端ベルト121が損傷する恐れがなく、かつウォームアップ時間が短縮される。弾性部材123は、加重をかけた時に自体の弾性力により、既述のように無端ベルト121を直接押圧して定着ロール111とニップ部を形成すると同時に、無端ベルト121を走行可能とするために用いられる。その材質としては、弾性と耐熱性等が必要であり、シリコーンゴムやフッ素ゴム,これらのブレンドゴム等が挙げられる。充分な定着を行えるだけの弾性と画像定着装置の小型化を確保するためには、弾性部材123の厚さは2〜10mmの範囲にあることが好ましい。
定着ロール111の軸方向に延設されたベースプレート124は、弾性部材123を載置・固定する。上面が開口した台形断面をなすベースプレート124は、用紙Pの出口側の側壁124aが入口側に位置する側壁124bより高くなっており、側壁124aの上端から外面上部にかけてアールを施している。また、弾性部材123も、同様に用紙Pの出口側の肉厚を厚く入口側を薄くして、上面を傾斜させている。すなわち、加圧部材を定着ロール111の中心方向に押圧したとき、側壁124aの上端が前記弾性層111bに喰い込むようにニップを形成して、定着時の用紙Pの剥離性を向上させている。そのため、定着ロール111のニップ部出口側に剥離爪を必ずしも設ける必要はない。
ベースプレート124に一体的に垂下する連結部材の下端には、無端ベルト121に沿って円弧状に湾曲したベルト案内部材125が配置されている。このベルト案内部材125は、通常無端ベルト121と非接触ではあるが、定着時にテンションフリーの状態で走行する無端ベルト121を案内(誘導)する機能を持たせている。
定着工程では、加熱圧着を電子写真用受像シートの被転写面(例えば、画像形成層表面、又は画像形成層上に更に他の層が積層されているときは基材から最も離れた最外の層表面)の温度を70℃以上130℃以下の範囲で行なうことが好ましい。加熱圧着時の前記温度は、70℃以上であるとトナー定着性が良好であり、130℃以下であるとアンチオフセット性が良好である。中でも、好ましくは80℃以上125℃以下である。
このとき、前記被転写面の温度は、例えば、非接触式表面温度計、感熱性フイルムの発色濃度測定等により測定することができる。
定着工程における具体的な方法については、例えば、特開2007−58118号公報の段落番号[0070]〜[0085]及び図1〜図3に記載の方法などを参照することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び[%]は、質量基準である。
(実施例1)
−基材の調製−
LBKP(広葉樹の漂白パルプ)からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300ccまで叩解した。このパルプ材料に、該パルプ材料100部に対して、カチオン性澱粉を1.0部、アルキルケテンダイマー0.5部、エポキシ化脂肪酸アミド0.5部、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン0.3部、高級脂肪酸エステル0.03部、及びコロイダルシリカ0.02部を添加し、長網抄紙機により、坪量165/mの原紙を、カレンダーを用いて厚みが155〜175μm(密度1.06〜0.94)の範囲になるように調整し、基紙を得た。
得られた基紙を毎分150m/分で走行させ、ウラ面にコロナ放電処理を施した後、低密度ポリエチレン(密度0.924g/cm、MI 3g/10min)10部と高密度ポリエチレン(密度0.966g/cm、MI 11g/10min)90部とからなる層、及び低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm、MI 5g/10min)50部と高密度ポリエチレン(密度0.970g/10min、MI 20g/10分)50部とからなる層とを、コートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出により形成し、基紙(ウラ面)上に該表面から順に10μm厚の層、15μm厚の最外層を設けた。
次に、基紙のオモテ面にコロナ放電処理を施した後、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm、MI 5g/10min)37.6部にTiO60部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ10部と青味顔料を練りこんだマスターバッチ4部と低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm、MI 8g/10min)86部とからなる層、及び低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm、MI 5g/10min)37.6部にTiOを練りこんだマスターバッチ33部と蛍光増白剤を練りこんだマスターバッチ5部と青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部とからなる層を、コートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出により形成し、基紙(オモテ面)上に該表面から順に14μm厚の層、16μm厚の最外層を設け、支持体とした。
続いて、反応性乳化剤(アデカリアソープSE−10N、旭電化工業(株)製)の存在下で、芳香族系エチレン性不飽和単量体であるスチレン62部、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体であるグリシジルメタクリレート5部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体であるアクリル酸3部、及び他のエチレン性不飽和単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシル30部を乳化重合し、スチレン/アクリル酸エステルの水分散体を得た。
そして、得られた水分散体14部と、スチレン−イソプレンAB型ブロック共重合体(スチレン/イソプレン=80/20、重量平均分子量:7500)をスルホン化(スルホン酸含量2mmol/g)し、水酸化ナトリウムで中和したナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物8部と、コロイド状シリカ6部と、メタノール20部とを混合し、さらに水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を調製した。
上記より得た支持体のウラ面をコロナ放電処理後、この水性の組成物塗布液をバーコーターを用いて塗布し、乾燥させて厚み0.25μmのバックコート層を設けた。次いで、支持体のオモテ面をコロナ放電処理後、このオモテ面上に250メッシュグラビアコーターを用いて下記組成aのゼラチンを主成分とした組成物を塗布し、乾燥させて厚み0.06μmの下塗り層を設け、基材とした。
<組成a>
・水 …67.5部
・ゼラチン(#683、新田ゼラチン(株)製) …2.5部
・ポリスチレンスルホン酸Na(分子量 約70万) …0.02部
・苛性ソーダ …0.02部
・メチルアルコール …30部
−電子写真用受像シートの作製−
上記より得た基材の下塗り層上に、ワイヤーコーターにて、下記組成のトナー受像層用塗布液を塗布し、90℃で2分間乾燥させて、乾燥質量が7.5g/mのトナー受像層(画像受像層)を形成し、本発明の電子写真用受像シートを作製した。
<トナー受像層用塗布液の組成>
・芳香族ポリエステル水分散物(固形分30%) …70部
〔エリーテルKA−3556、ユニチカ(株)製(Tg=80℃の芳香族ポリエステル樹脂A)を含有〕
・下記の脂肪族ポリエステル水分散物(T−1;固形分30%) …30部
・水 …22部
・カルナバワックス水分散物 …20部
(セロゾール524、中京油脂(株)製;離型剤)
・ポリエチレンオキサイド …5部
(アルコックスR1000、明成科学(株)製)
・アニオン系界面活性剤(ラピゾールA90、日本油脂(株)製) …3部
〜脂肪族ポリエステル水分散物(T−1)の調製〜
ドデカン二酸253.6g、エチレングリコール95.2g、トリメチロールプロパン0.7g、及びテトラ−n−ブチルチタネート0.11gを、攪拌機を備えた耐熱耐圧ガラス容器中に採り、235℃にて3時間加熱してエステル化反応を行った。次いで、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。3時間後に系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸10.4gを添加し、1.5時間攪拌して、解重合反応を行い、脂肪族ポリエステル樹脂を合成した(Tm=80℃、酸価24mgKOH/gの脂肪族ポリエステル樹脂B)。
次いで、3リットルの3口丸底フラスコ内に、前記脂肪族ポリエステル樹脂B200g、メチルエチルケトン467gを採り、60℃の湯浴に浸漬して攪拌機を用いて透明な液になるまで溶解した。加熱攪拌を維持しながらトリエチルアミン27gを加えた後、蒸留水653gを系の均一化に注意しながら少しづつ加えて転相乳化した。次に、これを85℃の湯浴に移し、冷却管を取り付け攪拌しながらメチルエチルケトンを水と共沸させて留出した。留出状況に応じて湯浴を昇温し、最終的に120℃とした。留出液の質量を測りながら680.3gに達した時点で加熱を止め、水浴で室温まで冷却した。次いで、28%のアンモニア水2.6gを添加して攪拌した後、フラスコ内の液状成分を600メッシュのフィルターで濾過を行い、自己分散型の脂肪族ポリエステル水分散物(T−1)を調製した。
−画像形成−
次に、カラーレーザープリンター DocuPrint C3250(富士ゼロックス株式会社製)に、上記より得た電子写真用受像シートを装填し、トナー画像を形成した。静電潜像の現像には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの標準トナー(体積平均粒径(公称)5.8μm、富士ゼロックス株式会社製)を用い、転写工程では電子写真用受像シートに黒ベタ状のトナー画像を複写した。トナー画像が複写された各電子写真用受像シートは、加熱された互いに圧接するローラ対を通過することにより、トナー画像を110〜120℃、ニップ圧0.3MPaにて加熱圧着し(オイルレス定着)、トナー画像を定着した。
(実施例2〜8)
実施例1において、トナー受像層用塗布液の調製に用いた芳香族ポリエステル樹脂A及び脂肪族ポリエステル樹脂Bをそれぞれ、下記表2に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の電子写真用受像シートを作製し、トナー画像を形成した。
なお、表2中のT−2、T−3(脂肪族ポリエステル樹脂B)は、実施例1の「脂肪族ポリエステル水分散物(T−1)の調製」において、ドデカン二酸253.6g、エチレングリコール95.2g、及びトリメチロールプロパン0.7gを、コハク酸170.0g、アジピン酸23.4g、及びテトラメチレングリコール187.6g(T−2)、又はコハク酸188.8g及びテトラメチレングリコール187.6g(T−3)に代えたこと以外は、T−1と同様にして調製したものである。
(比較例1〜8)
実施例1において、トナー受像層用塗布液の調製に用いた芳香族ポリエステル樹脂A及び/又は脂肪族ポリエステル樹脂Bをそれぞれ、下記表2に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較の電子写真用受像シートを作製し、トナー画像を形成した。
なお、表2中のT−4、T−5(脂肪族ポリエステル樹脂B)は、実施例1の脂肪族ポリエステル水分散物(T−1)の調製において、ドデカン二酸253.6g、エチレングリコール95.2g、トリメチロールプロパン0.7gを、コハク酸188.8g及び1,4−ブタンジオール158.8g(T−4)、又はコハク酸188.8g及び1,4−ブタンジオール232.4g(T−5)に代えたこと以外は、T−1と同様にして調製したものである。
(評価)
上記の各実施例及び各比較例にて作製した電子写真用受像シートを用いて、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。
−トナー定着性−
上記のように各電子写真用受像シート上に形成されたトナー画像の画像部分(黒ベタ部分)に対し、セロテープ(登録商標)を貼り付け、剥離する試験を行ない、セロテープ(登録商標)剥離前後でのトナー画像の剥離状態を目視で観察し、トナー定着性を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、本発明では「△」以上が許容範囲である。
[評価基準]
◎:トナー画像の剥離がほとんど起こらなかった。
○:トナー画像の剥離がやや起こった。
△:トナー画像の剥離が1/4未満発生した。
×:トナー画像の剥離が1/4以上発生した。
−耐接着性の評価−
各電子写真用受像シートを所定の環境(40℃、80%RH)下に24時間放置して調温調湿した後、5×5cmサイズに裁断した各電子写真用受像シートのサンプル片のトナー受像層面同士を対向させて重ね合わせ、2kgの加重を加え、同一環境下で48時間放置した。その後、サンプル片を引き離した際の状態を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、本発明では「△」以上が許容範囲である。
[評価基準]
◎:引き離した際の剥離音、接着音はいずれもなかった。
○:引き離した際、軽微な剥離音や接着跡があった。
△:引き離した際、接着跡が1/4未満残った。
×:引き離した際、接着跡が1/4以上残った。
−画質(光沢性)の評価−
上記のようにカラーレーザープリンター DocuPrint C3250(富士ゼロックス株式会社製)を用いて形成したトナー画像全体の光沢性を目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。なお、本発明では「△」以上が許容範囲である。
[評価基準]
◎:画像内の光沢差はほとんどなかった。
○:画像内の光沢差は小さかった。
△:画像内の光沢差がやや目立った。
×:画像内の光沢差が大きかった。
Figure 2009244698
前記表2に示すように、実施例では、トナーの低温定着性に優れ、しかも形成画像の耐接着性も効果的に向上させることができた。また、画像の光沢も良好であった。これに対し、比較例では、トナーの低温定着性を満たしつつ、耐接着性、光沢性をも向上させることは困難であった。
定着工程に用いられる定着装置の一例を示す概略構成図である。

Claims (10)

  1. 基材上に、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂と、融点(Tm)が80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂とを含有する画像受像層を有する電子写真用受像シート。
  2. 前記脂肪族ポリエステル樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用受像シート。
  3. 前記脂肪族ポリエステル樹脂の粒子径が0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真用受像シート。
  4. 前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、前記芳香族ポリエステル樹脂の含有量に対して、10質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真用受像シート。
  5. 前記画像受像層が、離型剤を更に含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真用受像シート。
  6. 潜像担体上に潜像を形成する潜像形成工程と、
    形成された前記潜像を、電子写真用現像剤を用いて現像し、前記潜像担体上にトナー像を形成する現像工程と、
    前記潜像担体上に形成された前記トナー像を、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真用受像シート上に転写する転写工程と、
    電子写真用受像シート上に転写された前記トナー像を加熱圧着して定着させる定着工程と、
    を有する画像形成方法。
  7. 前記定着工程は、前記加熱圧着を前記電子写真用受像シートの被転写面の温度を70℃以上130℃以下の範囲として行なうことを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記電子写真用現像剤は、粒径2〜8μmの乾式トナーであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成方法。
  9. 前記定着工程は、オイルレス定着を行なうことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  10. 基材上に、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上である芳香族ポリエステル樹脂の水分散物と、融点(Tm)が80℃以上120℃未満である脂肪族ポリエステル樹脂の水分散物とを用いて調製した調製液を付与して画像受像層を形成する電子写真用受像シートの製造方法。
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