JP2009238975A - プリント配線板及びその検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁不良が発生したプリント配線板、又は将来絶縁不良を引き起こすであろう僅かな絶縁欠陥を有するプリント配線板において、その絶縁不良個所や絶縁欠陥箇所を容易に特定できるプリント配線板及びその検査方法を提供する。
【解決手段】基材10上に導体配線11,12と絶縁層13とが形成されてなるプリント配線板において、絶縁層13がマイクロカプセル15,16で封入されたエレクトロクロミック材料を含むように構成したり、プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内にエレクトロクロミック材料が存在するように構成することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリント配線板及びその検査方法に関し、特に配線間の絶縁不良個所や絶縁欠陥箇所を特定できるプリント配線板及びその検査方法に関する。
近年の技術の発展に伴い、携帯型電子機器に見られる装置の小型化が進んできた。装置の小型化のため、半導体装置やプリント配線板の小型化・高密度化が進み、特にプリント配線板では高密度化のために狭い配線幅と配線間隙が求められてきている。さらに、携帯されて使用される携帯型電子機器にとっては、様々な使用環境が想定されるため、プリント配線板の絶縁信頼性に対して厳しい条件が要求される。一方、据え置き型の装置についても、コスト削減と高機能化の影響から、多ピンBGAを少ない層数の安価な貫通基板に実装するために、プリント配線は狭い配線幅と配線間隙で引き回すことを求められてきており、絶縁信頼性に対しては厳しい条件となっている。
しかし、プリント配線板に形成された回路に絶縁不良がある場合、その絶縁不良箇所の特定は、絶縁不良が進んで基板表面が焼損したり、またエレクトロケミカルマイグレーションの進行により目視可能な量の金属析出等の現象が発生したりする等、顕著に進行した不良箇所でない限り困難である。
上記のような回路の絶縁性を維持するための保守管理に対して、例えば特許文献1では、電気ケーブルアセンブリに関し、電気ケーブルの最外周にサーモクロミック材料を被覆した構造が提案されている。この構造では、絶縁体に異常が発生して温度が上昇するとサーモクロミック材料が変色し、異常発生箇所が肉眼で観察できるとされている。
また、特許文献2では、プリント配線板と台との間にエレクトロクロミック素子シートを挿入して導通検査を行い、エレクトロクロミック素子シートの変色箇所からプリント配線板の構成回路の導通不良箇所を検出することが提案されている。
特表平10−509550号公報(図1) 特開昭61−221680号公報(第1図)
しかしながら、上記特許文献1で提案された構造をプリント配線板にそのまま応用した場合、いくつかの問題がある。例えば、故障欠陥を表示するサーモクロミック材料層がプリント配線板の導体配線を覆う絶縁材料の更にその上に形成されることになるため、導体配線近傍の絶縁材料に絶縁不良が発生しても、その上の絶縁材料で影響が緩和されるため、更にその上にあるサーモクロミック材料は反応しにくい。また、故障欠陥を表示するサーモクロミック材料を最外周に配置しており、組立時の環境の影響、また外部要因による影響のどちらによる影響によっても故障欠陥を表示するサーモクロミック材料は発現しうるため、電気ケーブル内部の発熱による劣化と外部要因による劣化との区別が付かないという問題がある。
また、上記特許文献2で提案された構造は、回路欠陥による導通不良を検出するには適すると考えられるが、将来起こりうる絶縁不良を無くすための絶縁層の僅かな欠陥を検出することは難しい。
本発明の目的は、絶縁不良が発生したプリント配線板、又は、将来絶縁不良を引き起こすであろう僅かな絶縁欠陥を有するプリント配線板において、その絶縁不良個所や絶縁欠陥箇所を、特別な観察用補助機器を用いずとも目視により容易に特定できるプリント配線板及びその検査方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の第1の観点に係るプリント配線板は、基材上に導体配線と絶縁層とが形成されてなるプリント配線板において、前記絶縁層がエレクトロクロミック材料を含んでいることを特徴とする。
この本発明の好ましい態様は、前記エレクトロクロミック材料がマイクロカプセルで封入されているように構成し、前記エレクトロクロミック材料がマイクロカプセルで封入されているように構成し、乃至は、前記プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内に、前記エレクトロクロミック材料が存在するように構成する。
また、本発明の第2の観点に係るプリント配線板は、基材上に導体配線と絶縁層とが形成されてなるプリント配線板において、該プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内に、エレクトロクロミック材料が存在することを特徴とする。
上記第1,2の観点に係る本発明のプリント配線板の好ましい態様として、(1)前記絶縁層がソルダーレジストであるように構成し、(2)前記エレクトロクロミック材料がスピロオキサジンラジカル誘導体であるように構成し、乃至は、(3)前記プリント配線板が、電子部品を搭載する前又は後の、フレキシブル基板、リジッド基板又はリジッドフレキシブル基板であるように構成する。
上記課題を解決するため本発明の第1の観点に係るプリント配線板の検査方法は、基材上に導体配線と絶縁層とが形成され、エレクトロクロミック材料が前記絶縁層に含まれてなるプリント配線板を準備する工程と、前記導体配線に電圧を印加して前記絶縁層の色の変化を検査する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の第2の観点に係るプリント配線板の検査方法は、基材上に導体配線と絶縁層とが形成されたプリント配線板であって該プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内にエレクトロクロミック材料が存在するプリント配線板を準備する工程と、前記導体配線に電圧を印加して前記絶縁層の色の変化を検査する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の第1,2の観点に係るプリント配線板によれば、導体配線を覆う絶縁層がエレクトロクロミック材料を含むように構成し、また、エレクトロクロミック材料がプリント配線板の周囲及び前記絶縁層内に存在するように構成したので、導体間に電圧印加したとき、導体配線間の絶縁層に絶縁劣化した箇所が存在したり、絶縁劣化する可能性のある微細な欠陥箇所が存在した場合、その箇所のエレクトロクロミック材料が変色し、不良個所や不良進展箇所を直接確認することができる。
本発明の第1,2の観点に係るプリント配線板の検査方法によれば、前記本発明に係るプリント配線板を準備する工程と、その導体配線に電圧を印加して前記絶縁層の色の変化を検査する工程とを有するので、プリント配線板を構成する導体配線間の絶縁層に絶縁劣化した箇所が存在したり、絶縁劣化する可能性のある微細な欠陥箇所が存在したりする場合、その箇所のエレクトロクロミック材料が変色し、不良個所や不良進展箇所を直接確認することができる。その結果、絶縁不良がなく、また絶縁劣化する可能性のある微細な欠陥箇所もないプリント配線板を、特別な観察用補助機器を用いずとも目視により容易に特定できる。
次に、本発明のプリント配線板、その製造方法及びその検査方法に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[プリント配線板]
図1は、本発明の第1実施形態であるプリント配線板を示す説明図であり、(A)は斜視図であり、(B)は「S1」の拡大断面図である。このプリント配線板1は、基材10上に導体配線11,12と絶縁層13とが形成されてなるものであり、その絶縁層13がエレクトロクロミック材料を含んでいる。
基材1と、その基材1上に設けられる導体配線11,12は、プリント配線板の構成材料として従来から一般的に用いられているものを適用でき、特に限定されない。例えば、基材としては、FR4材、FR5材、BTレジン材、テフロン(登録商標)材等からなるリジッド基板でも、それらを複合させた複合リジッド基板でもよいし、また、ポリイミドフィルム上に銅パターンが形成された片面フレキシブル基板でも両面フレキシブル基板でも多層フレキシブル基板でもよいし、また、それらを組み合わせたフレックスリジッド基板であってもよい。なお、導体配線11,12としては、通常、銅パターンが形成されるが、本発明のプリント配線板は、近年の狭ピッチ対応で形成された導体配線11,12に対してより好ましいものである。
絶縁層13は、基材1上の導体配線11,12を覆うように設けられている。絶縁層13は、その全面を覆うものであってもよいし、任意の領域を覆うものであってもよく、通常、ソルダーレジストとして機能するものとして好ましく設けられる。この絶縁層13には、エレクトロクロミック材料が含まれる。エレクトロクロミック材料は、通常、マイクロカプセル内に封入されており、そのマイクロカプセルが絶縁層13内に均一に分散した態様となっている。なお、エレクトロクロミック材料は、電気的に引き起こされる可逆的な酸化還元反応によって着色したり消えたりする材料のことである。
エレクトロクロミック材料をマイクロカプセルに封入させる理由は、エレクトロクロミック材料を絶縁層形成用の樹脂材料に混ぜる必要があり、エレクトロクロミック材料を樹脂材料中に安定して存在させるためである。また、マイクロカプセルで封入することで、紫外光など他の外部環境による影響でエレクトロクロミック材料が異性化し、発色することを防止することもできる。エレクトロクロミック材料としては、各種のものを挙げることができるが、この第1実施形態のようにエレクトロクロミック材料をマイクロカプセルに封入することを考慮すると、酸化タングステン等の無機エレクトロクロミック材料が適当である。
マイクロカプセルは、エレクトロクロミック材料を封入でき、さらに例えばソルダーレジストとして機能する絶縁層形成材料であるエポキシ材料と結合し安定している必要があることから、MMA(メチルメタアクリレート)又はポリ乳酸等を好ましく用いることができる。さらに、UV光に対して遮光性を持つ材料であれば更に望ましい。こうしたマイクロカプセルは、芯物質上に重合反応で形成、成長させる等、従来公知の一般的な方法で作製することができる。
エレクトロクロミック材料を封入したマイクロカプセルは、絶縁層形成用の液状の樹脂材料中に混合され、一般的な絶縁層形成プロセスによって形成された絶縁層13中に均一に分散される。
図2は、形成された絶縁層の絶縁劣化部が発色する態様を示す説明図であり、(A)は絶縁層の発色態様を示す断面図であり、(B)は「S2」の拡大断面図である。図2では、導体配線11,12を保護し且つ絶縁している絶縁層13が劣化し、その絶縁層13が含有しているマイクロカプセル22と、微小な亀裂17の様子を示している。
図2(B)に示すように、配線12の縁部から亀裂17が発生し、その亀裂17が絶縁層13中を伝播し、成長し、その亀裂17が他の配線11に連絡したところへ外部環境による吸湿等の影響が加わると、電圧印加環境下において、絶縁層13中の不純物イオン等を伴って絶縁不良が発生し、微小な電気が流れる。導体配線11,12間に絶縁不良による電気導通が生じると、電気導通した箇所のマイクロカプセル(エレクトロクロミック材料を含む)16はエレクトロクロミック材料が異性化して発色し、発色部分14を特定できる。異性化したエレクトロクロミック材料は逆電位をかけ放電させる等により異性化を元に戻さない限り発色した状態で安定しているため、電圧印加を停止した後も発色した状態が維持され、発色部分14によって示された不良個所を直接特定できる。なお、図2(B)中の符号15は、亀裂17に関わらない部位の非発色のマイクロカプセルである。
図3は、本発明の第2実施形態であるプリント配線板の製造プロセスを示す説明図であり、(A)はプロセスの斜視図であり、(B)は得られたプリント配線板の「S3」の拡大断面図である。このプリント配線板2は、基材10上に導体配線11,12と絶縁層18とが形成されてなるものであり、プリント配線板2の周囲に及び絶縁層18内に、エレクトロクロミック材料が存在する態様をなすものである。なお、基板10、絶縁層形成材料、エレクトロクロミック材料は、上記第1実施形態において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略する。
この第2実施形態のプリント配線板2は、図3(A)に示すように、導体配線11,12が形成された基材10上に、その導体配線11,12を覆うように絶縁層18が形成され、また、電子部品23,24も実装されたプリント配線板2を準備し、そのプリント配線板2を、エレクトロクロミック材料を含む有機溶媒中に浸漬して得られる。こうして得られたプリント配線板2の周囲にはエレクトロクロミック材料が存在し、さらに絶縁層18内にも、エレクトロクロミック材料が存在する。
エレクトロクロミック材料としては、上記第1実施形態の欄で説明したものと同様のものを用いることができるが、有機溶媒に溶解する性質を有するさらに他のエレクトロクロミック材料を用いてもよい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン等のように、既に実装された電子部品23,24に影響を及ぼさない有機溶媒を好ましく用いることができる。有機溶媒中へのエレクトロクロミック材料の配合量も特に限定されないが、一例として挙げれば有機溶媒に対して例えば0.2mmol/L程度であればよい。
有機溶媒中にエレクトロクロミック材料を配合した混合溶液中に、部品実装を含む製造を完了した後のプリント配線板2を浸すことで、プリント配線板2の表層の絶縁層18中にエレクトロクロミック材料を浸透させることができ、また、プリント配線板2の表層にもエレクトロクロミック材料を吸着させることができる。エレクトロクロミック材料を浸透又は吸着させた後のプリント配線板を、常温、減圧中で乾燥させることにより、エレクトロクロミック材料をプリント配線板を構成する絶縁層18内に存在させることができる。
こうした方法は、プリント配線板の製造プロセス中の熱やUV照射処理等の工程によってエレクトロクロミック材料が異性化したり分解(破壊)したりする可能性を回避できるので、特に好ましい。そして、この第2実施形態で作製したプリント配線板2は、エレクトロクロミック材料をマイクロカプセルに封入せずに絶縁層18内に直接分散できるため、マイクロカプセルで封入した場合に比べ、早い段階での不良発生を検知できる。
図4は、形成された絶縁層の絶縁劣化部が発色する態様を示す説明図であり、(A)は絶縁層の発色態様を示す断面図であり、(B)は「S4」の拡大断面図である。図4では、導体配線11,12を保護し且つ絶縁している絶縁層18が劣化し、その絶縁層18に生じた微小な亀裂22と、その亀裂の近傍での発色部分を示している。
図4(B)に示すように、配線12の縁部から亀裂22が発生し、その亀裂22が絶縁層18中を伝播し、成長し、その亀裂22が他の配線11に連絡したところへ外部環境による吸湿等の影響が加わると、電圧印加環境下において、絶縁層18中の不純物イオン等を伴って絶縁不良が発生し、微小な電気が流れる。導体配線11,12間に絶縁不良による電気導通が生じると、電気導通した亀裂周囲に存在するエレクトロクロミック材料が異性化して発色し、発色部分21を特定できる(図4(A)参照)。したがって、電圧印加を停止した後も発色した状態が維持され、発色部分21によって示された不良個所を直接特定できる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係るプリント配線板1によれば、導体配線11,12を覆う絶縁層13がエレクトロクロミック材料を含むように構成し、また、第2実施形態に係るプリント配線板2によれば、エレクトロクロミック材料がプリント配線板の周囲に及び絶縁層18内に存在するように構成したので、導体間に電圧印加したとき、導体配線間の絶縁層に絶縁劣化した箇所が存在したり、絶縁劣化する可能性のある微細な欠陥箇所が存在した場合、その箇所のエレクトロクロミック材料が変色し、不良個所や不良進展箇所を直接確認することができる。
[エレクトロクロミック材料の一例]
次に、本発明のプリント配線板に好ましく用いることができるエレクトロクロミック材料の一例について詳しく説明する。下記化学式は、エレクトロクロミック材料として使用できるスピロオキサジンラジカル誘導体の一般式である。
Figure 2009238975
前記化学式において、Xは、カルコゲン元素(酸素、硫黄、セレン、テルル等)、アルキリデン基(エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン等)、又はその環状構造からなるシクロアルキリデン基である。Xは、カルコゲン元素(酸素、硫黄、セレン、テルル等)である。R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アリール基(フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル等)、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基又はハロゲン原子である。また、隣り合う炭素原子にあるR〜R11が互いに結合して置換基を有することのある、芳香環あるいは複素環を形成していてもよい。なお、化学式中のnは0又は1である。
こうしたスピロオキサジンラジカル誘導体は、電子授受に寄与する安定ラジカル基と、識別のためのクロミズム特性を示すスピロオキサジン化合物とを併せ持つ。
ここで、スピロオキサジンラジカル誘導体を構成するスピロオキサジン化合物と、クロミック化合物として知られているスピロピラン化合物とを比較する。スピロピラン化合物は、ピラン環内に発色団として機能する炭素−炭素二重結合部(−C=C−)があり、この結合部位は一重項酸素による自動酸化反応が発生しやすい構造であるため、可逆的異性化の耐久性を保持する期間が短いとされている。これに対し、スピロオキサジンラジカル誘導体を構成するスピロオキサジン化合物は、スピロピラン化合物のピラン環をオキサジン環に置き換えた構造であり、スピロピラン化合物のピラン環と同様にオキサジン環上の発色団である炭素−窒素二重結合部(−C=N−)が一重項酸素の攻撃を受けた際、炭素−炭素二重結合(−C=C−)に比較して一重項酸素との結合が困難であるとされる。こうしたスピロオキサジン化合物で構成されたスピロオキサジンラジカル誘導体は、自動酸化劣化が発生しにくく、このため異性化の耐久性が向上する。
エレクトロクロミック材料として好ましく使用するためには、電子授受による異性化に関してはラジカル基の可逆反応が安定していることが必要である。このスピロオキサジンラジカル誘導体では、スピロオキサジン化合物のオキサジン環に対してスピロ環を形成している、ピロリジン環、ピペリジン環、オキサゾリジン環、オキサジン環、チアゾリジン環、チアジン環、セレナゾリジン環、セレナジン環などの環内に、安定なラジカル種であるニトロキシラジカル部位(>N−O・)を持っているので、上記要求は十分に満たしている。
このスピロオキサジンラジカル誘導体は、クロミック化合物として一般に知られたスピロオキサジン化合物中のスピロ炭素に隣接する窒素原子をヒドロキシルアミン化した後、脱水するなどのプロセスにより、前記窒素原子に酸素ラジカルを付加し、生成することができる。
[プリント配線板の検査方法]
本発明のプリント配線板の検査方法は、上記第1,第2実施形態に係るプリント配線板1,2を検査する方法である。第1の検査方法は、第1実施形態に係るプリント配線板1を検査する方法であり、基材10上に導体配線11,12と絶縁層13とが形成され、具体的にはマイクロカプセル15,16に封入された態様のエレクトロクロミック材料が絶縁層13に含まれてなるプリント配線板を準備する工程と、導体配線11,12に電圧を印加して絶縁層13の色の変化を検査する工程とを有する方法である。一方、第2の検査方法は、第2実施形態に係るプリント配線板2を検査する方法であり、基材10上に導体配線11,12と絶縁層18とが形成されたプリント配線板であってそのプリント配線板の周囲及び絶縁層18内にエレクトロクロミック材料が存在するプリント配線板2を準備する工程と、導体配線11,12に電圧を印加して絶縁層18の色の変化を検査する工程とを有する方法である。
こうした検査方法によれば、プリント配線板1,2を構成する導体配線11,12間の絶縁層(13,18)に絶縁劣化した箇所が存在したり、絶縁劣化する可能性のある微細な欠陥箇所が存在したりする場合、その箇所のエレクトロクロミック材料が変色し、不良個所や不良進展箇所を直接確認することができる。その結果、絶縁不良がなく、また絶縁劣化する可能性のある微細な欠陥箇所もないプリント配線板を、特別な観察用補助機器を用いずとも目視により容易に特定できる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。以下の実施例は、エレクトロクロミック材料の一例として、上記化学式のスピロオキサジンラジカル誘導体を用いた場合である。なお、本発明のプリント配線板は、以下のエレクトロクロミック材料を用いた場合のみに限定されない。
上記した化学式に示すスピロオキサジンラジカル誘導体において、Xがイソプロピリデン、Xが酸素、RとRがメチル基、R〜Rは水素原子、nが0、からなる化合物を合成した。
先ず、2−メチレン−3,3,5,5−テトラメチルピロリジン3mmol(417mg)と2−ニトロソフェノール3mmol(369mg)を脱水メタノール溶媒40mlに溶解し、加熱還流した後、溶媒を減圧留去した。得られた残留反応物をシリカゲルカラムで展開分離し(展開溶媒:酢酸エチル/ノルマルヘキサン混合溶媒)、得られた溶液から溶媒を減圧留去して除去した。精製された化合物0.61mmol(150mg)を脱水エーテル中にて、過酸化水素水を過剰量滴下し、前駆体化合物を得た。この前駆体化合物0.50mmol(130mg)を脱水エーテル30ml中に加え、氷冷にて酸化銀(I)0.50mmol(116mg)を加えて十分に攪拌した。無水硫酸ナトリウムを加えて、吸引ろ過し、得られたろ液をロータリーエバポレーターにより2分の1の体積まで減圧濃縮した。残分をエタノールとドライアイス混合物などにより低温冷却(−78℃)し、前記した置換基を有したスピロオキサジンラジカル誘導体を得た。
なお、得られたスピロオキサジンラジカル誘導体のラジカルの発生は電子スピン共鳴分析(ESR)により確認できた。また、その構造等は、H−NMRの測定結果(溶媒:CDC1、基準:TMS)と元素分析結果等により確認した。
また、同様にして、Xがイソプロピリデン、Xが酸素、Rがメチル基、Rがニトロ基、R、R、R、R、Rが水素原子、nが0で、RとRとが高いに結合して芳香族6員環を形成しているスピロオキサジンラジカル誘導体も合成した。
得られた誘導体をエレクトロクロミック材料として使用し、MMA(メチルメタアクリレート)でマイクロカプセル化し、そのマイクロカプセルを、エポキシ樹脂溶液中に分散混合し、得られた混合溶液を、導体配線11,12が形成されたプリント配線板1の表面に塗布してソルダーレジストとして機能する絶縁層13を形成し、第1実施形態に係るプリント配線板1を作製した。
また、同様の混合溶液を用い、その混合溶液19中に、導体配線11,12上に絶縁層18が形成され且つ電子部品23,24が搭載されたプリント配線板2をその混合溶液19中に浸漬し、第2実施形態に係るプリント配線板2を作製した。
このように、スピロオキサジンラジカル誘導体は上記第1実施形態や第2実施形態のプリント配線板で用いるエレクトロクロミック材料として用いることができる。そして、スピロオキサジンラジカル誘導体は、長期にわたり安定したエレクトロクロミック特性を得ることができるという利点があり、こうしたスピロオキサジンラジカル誘導体を本発明に係るプリント配線板を構成する絶縁層中に含有させれば、絶縁不良を起こす又は起こす虞のある絶縁欠陥部を特定でき、さらに経時的に徐々に進行する欠陥の発生についても長期間にわたって保守管理することができるという効果がある。
本発明のプリント配線板及びその検査方法によれば、プリント配線板の絶縁劣化による不良個所の特定を容易に行うことができ、保全及び修理の用途に適用できる。
本発明の第1実施形態であるプリント配線板を示す説明図であり、(A)は斜視図であり、(B)は「S1」の拡大断面図である。 絶縁層の絶縁劣化部が発色する態様を示す説明図であり、(A)は絶縁層の発色態様を示す断面図であり、(B)は「S2」の拡大断面図である。 本発明の第2実施形態であるプリント配線板の製造プロセスを示す説明図であり、(A)はプロセスの斜視図であり、(B)は得られたプリント配線板の「S3」の拡大断面図である。 絶縁層の絶縁劣化部が発色する態様を示す説明図であり、(A)は絶縁層の発色態様を示す断面図であり、(B)は「S4」の拡大断面図である。
符号の説明
1,2 プリント配線板
10 基材
11,12 導体配線
13 絶縁層
14 発色部分
15 マイクロカプセル(非発色)
16 マイクロカプセル(発色)
17 亀裂(欠陥)
18 絶縁層
19 エレクトロクロミック材料が溶解した溶液
20,21 発色部分
22 亀裂(欠陥)
23,24 電子部品

Claims (9)

  1. 基材上に導体配線と絶縁層とが形成されてなるプリント配線板において、前記絶縁層がエレクトロクロミック材料を含んでいることを特徴とするプリント配線板。
  2. 前記エレクトロクロミック材料がマイクロカプセルで封入されている、請求項1に記載のプリント配線板。
  3. 前記プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内に、前記エレクトロクロミック材料が存在する、請求項1又は2に記載のプリント配線板。
  4. 基材上に導体配線と絶縁層とが形成されてなるプリント配線板において、該プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内に、エレクトロクロミック材料が存在することを特徴とするプリント配線板。
  5. 前記絶縁層がソルダーレジストである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント配線板。
  6. 前記エレクトロクロミック材料がスピロオキサジンラジカル誘導体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント配線板。
  7. 前記プリント配線板が、電子部品を搭載する前又は後の、フレキシブル基板、リジッド基板又はリジッドフレキシブル基板である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板。
  8. 基材上に導体配線と絶縁層とが形成され、エレクトロクロミック材料が前記絶縁層に含まれてなるプリント配線板を準備する工程と、
    前記導体配線に電圧を印加して前記絶縁層の色の変化を検査する工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の検査方法。
  9. 基材上に導体配線と絶縁層とが形成されたプリント配線板であって該プリント配線板の周囲及び前記絶縁層内にエレクトロクロミック材料が存在するプリント配線板を準備する工程と、
    前記導体配線に電圧を印加して前記絶縁層の色の変化を検査する工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の検査方法。
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