JP2009238736A - 発光素子、発光装置および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】印加電圧や温度変化による発光スペクトルの変化が少なく、安定して白色の光を放出することのできる発光素子、このような発光素子を備えた信頼性の高い発光装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】発光素子1は、陽極3と、陰極9と、陽極3と陰極9との間に設けられ第1の発光材料を含む第1の主発光層62と、陽極3と第1の主発光層62との間に設けられ正孔輸送性材料と第1の発光材料とを含む第1の副発光層61と、陰極9と第1の主発光層62との間に設けられ第2の発光材料を含む第2の主発光層63と、陰極9と第2の主発光層63との間に設けられ電子輸送性材料と第2の発光材料とを含む第2の副発光層64とを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子、発光装置および電子機器に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光性有機層を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界を印加することにより、発光層に陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような発光素子としては、例えば、陰極と陽極との間に、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に対応する3層の発光層を積層し、白色発光させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような白色発光する発光素子は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色が画素ごとに塗り分けられたカラーフィルタと組み合わせて用いることで、フルカラー画像を表示することができる。
しかしながら、特許文献1にかかる発光素子は、印加電圧や、発光素子の温度が変化した際に発光素子中の電流密度が変化することにより、放出される光の発光スペクトルが変化する。このような場合、発光素子から安定して一定の白色光を得ることが難しく、発光素子の信頼性が高いものとならない。
特開2005−56866号公報
本発明の目的は、印加電圧の変化や温度変化による発光スペクトルの変化が少なく、安定して一定の色の光を放出することのできる発光素子、このような発光素子を備えた信頼性の高い発光装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の発光素子は、陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられ、第1の発光材料を含む第1の主発光層と、
前記陽極と前記第1の主発光層との間に前記第1の主発光層と接合して設けられ、前記陰極側への正孔の輸送を促進する正孔輸送性材料と前記第1の発光材料とを含む第1の副発光層と、
前記陰極と前記第1の主発光層との間に前記第1の主発光層と接合して設けられ、第2の発光材料を含む第2の主発光層と、
前記陰極と前記第2の主発光層との間に前記第2の主発光層と接合して設けられ、前記陽極側への電子の輸送を促進する電子輸送性材料と前記第2の発光材料とを含む第2の副発光層とを有することを特徴とする。
これにより、印加電圧の変化や温度変化による発光スペクトルの変化が少なく、安定して一定の色の光を放出することのできる発光素子を提供することができる。
本発明の発光素子では、前記第1の主発光層の平均厚さは、1〜30nmであり、
前記第2の主発光層の平均厚さは、1〜30nmであることが好ましい。
これにより、第1の主発光層および第2の主発光層の発光バランスが特に変化しにくいものとなる。
本発明の発光素子では、前記第1の副発光層は、前記第1の主発光層よりも平均厚さが大きいものであり、
前記第2の副発光層は、前記第2の主発光層よりも平均厚さが大きいものであることが好ましい。
これにより、発光部での電流密度が変化した場合であっても、発生した励起子のエネルギーをより確実に発光部内で発光のエネルギーとして用いることができ、発光素子は、より安定して一定の色の光を放出することができる。
本発明の発光素子では、前記正孔輸送性材料の前記第1の副発光層中における含有量は、3〜30wt%であることが好ましい。
これにより、第1の副発光層に注入された正孔をより効率よく第1の主発光層に輸送できるとともに、正孔輸送性材料が多すぎて第1の副発光層の発光量が減少することを確実に防止することができる。
本発明の発光素子では、前記電子輸送性材料の前記第2の副発光層中における含有量は、3〜30wt%であることが好ましい。
これにより、第1の副発光層に注入された正孔をより効率よく第1の主発光層に輸送できるとともに、正孔輸送性材料が多すぎて第1の副発光層の発光量が減少することを確実に防止することができる。
本発明の発光素子では、前記第1の主発光層、前記第1の副発光層、前記第2の主発光層および前記第2の副発光層は、それぞれ、各層に含まれる発光材料を担持するホスト材料を含むことが好ましい。
これにより、発光部での電流密度が変化した場合であっても、各発光層間での発光強度のバランスが変化することがより確実に防止され、発光素子は、より安定して一定の色の光を放出することができる。
本発明の発光素子では、前記第1の主発光層、前記第1の副発光層、前記第2の主発光層および前記第2の副発光層は、前記ホスト材料として、共通の材料を含むものであることが好ましい。
これにより、発光素子は、電流密度が変化した場合であっても、放出される光のスペクトルの変化が特に少ないものとなる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、アントラセン系材料であることが好ましい。
これにより、発光素子は、電流密度が変化した場合であっても、放出される光のスペクトルの変化が特に少ないものとなる。
本発明の発光素子では、前記正孔輸送性材料は、前記第1の副発光層に含まれるホスト材料よりも正孔を輸送する機能が高いものであることが好ましい。
これにより、第1の副発光層に注入された正孔は、より効率よく第1の主発光層に輸送される。
本発明の発光素子では、前記電子輸送性材料は、前記第2の副発光層に含まれるホスト材料よりも電子を輸送する機能が高いものであることが好ましい。
これにより、第2の副発光層に注入された電子は、より効率よく第2の主発光層に輸送される。
本発明の発光素子では、前記電子輸送性材料は、アルミキノリノール系材料であることが好ましい。
このような化合物は、電子の輸送性に特に優れており、陰極側から注入された電子を特に効率よく第1の主発光層および第2の主発光層に輸送することができる。
本発明の発光素子では、前記正孔輸送性材料は、アミン系材料であることが好ましい。
このような化合物は、正孔の輸送性に特に優れており、陽極側から注入された正孔を特に効率よく第1の主発光層および第2の主発光層に輸送することができる。
本発明の発光素子では、前記第1の発光材料は、スチリルアミン系材料であることが好ましい。
これにより、正孔と電子との再結合をより第1の主発光層および第2の主発光層に集中させることができ、発光素子は、より安定して一定の色の光を放出することができるものとなる。
本発明の発光素子では、前記第2の発光材料は、ルブレン系材料であることが好ましい。
これにより、正孔と電子との再結合をより第1の主発光層および第2の主発光層に集中させることができ、発光素子は、より安定して一定の色の光を放出することができるものとなる。
本発明の発光装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
これにより、印加電圧の変化や温度変化による発光スペクトルの変化が少なく、安定して一定の色の光を放出することのできる発光素子を備えた信頼性の高い発光装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする。
これにより、印加電圧の変化や温度変化による発光スペクトルの変化が少なく、安定して一定の色の光を放出することのできる発光素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供することができる。
本発明の発光素子の縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 本発明の実施例1の発光素子が放出した光の発光スペクトルである。 本発明の実施例2の発光素子が放出した光の発光スペクトルである。 本発明の比較例の発光素子が放出した光の発光スペクトルである。
以下、本発明の発光素子、発光装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
<発光素子>
まず、本発明の発光素子の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の発光素子の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)1は、基板2上に設けられた陽極3と、陰極9と、陽極3と陰極9との間に、陽極3側から順に、正孔注入層4と、正孔輸送層5と、複数色の発光層からなる発光部6と、電子輸送層7と、電子注入層8とを積層してなる積層体15とを有し、その全体がシール材11を介して封止部材10で封止され、発光素子1が封止部材10側から取り出すトップエミッション型の発光素子である。そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材10で封止されている。
このような発光素子1にあっては、発光部6に対し、陰極9側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、発光部6では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。これにより、発光素子1は、発光する。
基板2は、発光素子1の支持体となるものである。発光素子1は、封止部材10側から光を取り出す構成(トップエミッション型)であるため、基板2および陽極3は、それぞれ、透光性を要求されない。
このような基板2の構成材料としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子1が基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)の場合、基板2には、上述したようなもののうち、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)なものが選択される。
陽極3は、後述する正孔注入層4に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、Au、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、30〜150nm程度であるのがより好ましい。
一方、陰極9は、後述する電子注入層8に電子を注入する電極である。この陰極9の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極9の構成材料としては、例えば、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Alのような金属またはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極9の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、MgAl等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極9の構成材料として用いることにより、陰極9の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
このような陰極9の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nm程度であるのが好ましく、10〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態のように、トップエミッション型の場合、陰極9は、仕事関数の小さい材料、またはこれらを含む合金を5〜20nm程度とし、透過性を持たせ、さらにその上面にITO等の透過性の高い導電材料を100〜500nm程度の厚さで形成する積層体で構成することもできる。
陽極3上には、正孔注入層4が設けられている。
正孔注入層4は、陽極3からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。
この正孔注入層4の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N‐フェニル‐3‐メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N, N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン、銅フタロシアニン、フタロシアニン、芳香族ジアミン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、5〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、この正孔注入層4は、省略することができる。
正孔注入層4上には、本実施形態では、正孔輸送層5が設けられている。正孔輸送層5は、正孔注入層4を介して注入された正孔を、発光部6まで輸送する機能を有するものである。
正孔輸送層5の構成材料としては、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を用いることができ、例えば、銅フタロシアニン、フタロシアニン、芳香族ジアミン、テトラアリールベンジジンおよびその誘導体、テトラアリールジアミノフルオレンまたはその誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、この正孔輸送層5は、省略することができる。
正孔輸送層5上には、発光部(有機発光部)6が設けられている。この発光部6には、後述する電子輸送層7から電子が、また、前記正孔輸送層5から正孔がそれぞれ供給(注入)される。そして、発光部6内では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)が放出(発光)される。
本発明では、この発光部6の構成に特徴を有している。この点については、後に詳述する。
発光部6上には、陰極9からの注入された電子を発光部6に輸送する電子輸送層7が設けられている。このような電子輸送層7を有することで、発光部6に効率よく電子を輸送することができる。
電子輸送層7の構成材料(電子輸送性材料)としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アントラセン骨格材料、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層7の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.5〜100nm程度であるのがより好ましく、1〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、この電子輸送層7は、省略することができる。
電子輸送層7上には、陰極9からの電子注入効率を向上させる機能を有する電子注入層8が設けられている。
この電子注入層8の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層8を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜100nm程度であるのが好ましく、0.1〜50nm程度であるのがより好ましく、0.1〜10nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、この電子注入層8は、省略することができる。
封止部材10は、発光素子1(陽極3、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光部6、電子輸送層7、電子注入層8および陰極9)を覆うように、シール材11を介して設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。
このような封止部材10を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材10の構成材料としては、例えば、Al、Cr、Nbまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。
なお、封止部材10の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、シール材11としては、絶縁性に優れるものを用いるのが好ましい。
このようなシール材11としては、例えば、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂等で構成されるものを好適に用いることができる。
次に、正孔輸送層5と電子輸送層7との間に設けられた発光部6の構成について説明する。
発光部6は、4層の発光層からなるものであり、陽極3側から陰極9側へ、第1の副発光層61と、第1の主発光層62と、第2の主発光層63と、第2の副発光層64がこの順で順次積層して構成されている。また、第1の副発光層61および第1の主発光層62は、ともに第1の発光材料を含み、第2の主発光層63および第2の副発光層64は、ともに第2の発光材料を含むものである。なお、本実施形態では、第1の発光材料は、発光部6に電圧が印加されることにより青色の光を放出するものであり、第2の発光材料は、発光部6に電圧が印加されることにより黄色の光を放出するものである。また、発光部6に電圧が印加されることにより、青色の光と黄色の光が合せて放出され、結果としてこれらの光が合わさった白色の光が放出される。
発光部6にある4層の発光層のうち、陽極3側にある第1の副発光層61は、陽極3から注入される正孔の輸送を促進する正孔輸送性材料を含む。このため、第1の副発光層61に注入された正孔の大部分は、第1の主発光層62および第2の主発光層63に輸送される。
一方で、陰極9側にある第2の副発光層64は、陰極9から注入される電子の輸送を促進する電子輸送性材料を含む。このため、第2の副発光層64に注入された電子の大部分は、第1の主発光層62および第2の主発光層63に輸送される。
このように、発光部6に注入された電子および正孔の大部分が第1の主発光層62および第2の主発光層63に到達することにより、第1の主発光層62および第2の主発光層63において電子および正孔が再結合し、大量の励起子が発生する。第1の主発光層62および第2の主発光層63において発生した励起子のエネルギーは、主に、第1の主発光層62および第2の主発光層63において発光に用いられる。また、励起子のエネルギーの一部は、第1の副発光層61および第2の副発光層64に移動し、発光に用いられる。
特に、後述するように、第1の主発光層62および第2の主発光層63の平均厚さがそれぞれ比較的小さいものである場合、第1の主発光層62および第2の主発光層63で発生した励起子のエネルギーは、その一部が第1の主発光層62および第2の主発光層63間で十分に拡散しつつ発光に用いられる。このため、第1の主発光層62および第2の主発光層63の発光バランスが特に変化しにくいものとなる。
以上のように、発光素子1は、発光部6内での電子と正孔との再結合が起こる領域を、発光部6の中央付近の発光層に集中させ、これらの発光層で発生した励起子のエネルギーを発光部6にある各発光層に振り分けて各発光層から各色の光を放出させるものである。このため、発光部6内で電流密度が変化した場合であっても、電子と正孔とが再結合する領域が発光部6の中央付近となり、各発光層から放出される各色の光の強度のバランスが変化しにくいものとなり、発光部6から放出される光の波長スペクトルが変化しにくいものとなる。すなわち、発光素子1は、発光素子1にかかる印加電圧や発光素子1自体の温度が変化して、発光部6内の電流密度が変化した場合であっても、安定して一定の色の光を放出できるものとなる。
以下、発光部6を構成する各発光層について詳細に説明する。
(第1の副発光層)
第1の副発光層61は、発光部6の最も陽極3側に設けられている。
第1の副発光層61は、青色に発光する第1の発光材料と、正孔輸送性材料と、第1の発光材料および正孔輸送性材料を担持するホスト材料とを含んで構成されている。
第1の発光材料は青色に発光するものであり、第1の副発光層61と第1の主発光層62とに共通して含まれる材料である。
第1の副発光層61に用いることのできる第1の発光材料としては、特に限定されず、各種青色蛍光材料、青色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、ジスチリル系材料、スチリルアミン系材料、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。より具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
上述した中でも、第1の発光材料は、スチリルアミン系材料であることが好ましく、下記化1で示されるジスチリルジアミンであることがより好ましい。第1の副発光層61および第1の主発光層62は、スチリルアミン系材料を含むことにより、特に効率よく発光することができる。また、スチリルアミン系材料は、正孔の輸送性に優れている成分である。このため、第1の副発光層61に注入された正孔は、より発光部6の中央付近まで移動しやすいものとなる。
Figure 2009238736
また、第1の副発光層61中における第1の発光材料の含有率(ドープ量)は、0.1〜15wt%であることが好ましく、1〜10wt%であることがより好ましい。これにより、発光素子1に一定量の電流を流した際に、第1の副発光層61の発光量をより大きいものとすることができる。
正孔輸送性材料は、陽極3から注入された正孔の第1の主発光層62への輸送を促進する機能を有する。
また、正孔輸送性材料は、第1の副発光層61中に含まれる後述するホスト材料よりも正孔を輸送する機能が高いものである。このような正孔輸送性材料によって、第1の副発光層61に注入された正孔は、より効率よく第1の主発光層62に輸送される。
正孔輸送性材料としては、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を用いることができ、例えば、アミンを構造に有する化合物(アミン系材料)、スチリルアリーレン系材料等を用いることができる。このようなアミン系材料としては、例えば、芳香族アミン系材料が挙げられ、より具体的には、ベンジジン系アミン化合物およびその誘導体、テトラアリールジアミノフルオレンまたはその誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン等が挙げられる。
上述した中でも、正孔輸送性材料は、アミン系材料であることが好ましく、ベンジジン系アミン化合物であることがより好ましく、下記化2に示すベンジジン系アミン化合物であることがさらに好ましい。このような化合物は、正孔の輸送性に特に優れており、陽極3側から注入された正孔を特に効率よく第1の主発光層62に輸送することができる。
Figure 2009238736
また、正孔輸送性材料の第1の副発光層61中における含有量は、3〜30wt%であるのが好ましく、5〜25wt%であるのがより好ましい。これにより、第1の副発光層61に注入された正孔をより効率よく第1の主発光層62に輸送できるとともに、正孔輸送性材料が多すぎて第1の副発光層61の発光量が減少することを確実に防止することができる。
ホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、発光材料を励起する機能を有する。この場合、例えば、ゲスト材料である第1の発光材料および正孔輸送性材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、特に限定されないが、第1の発光材料が蛍光材料である場合、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、ビスp−ビフェニルナフタセン等のナフタセン系材料、下記化3に示すような化合物等のアントラセン系材料、ビス−オルトビフェニリルペリレン等のペリレン誘導体、テトラフェニルピレンなどのピレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチルベン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、カルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、コロネン誘導体、アミン化合物、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
Figure 2009238736
また、第1の発光材料が燐光材料である場合、ホスト材料としては、例えば、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム等のキノリノラト系金属錯体、N−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン、ポリ(9−ビニルカルバゾール)、4,4’,4’’−トリス(9−カルバゾリル)トリフェニルアミン、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチルビフェニル等のカルバリゾル基含有化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、ホスト材料としては、第1の副発光層61、第1の主発光層62、第2の主発光層63、第2の副発光層64に含まれるホスト材料がともに、同一の材料であることが好ましい。
これにより、発光部6に注入された正孔および電子は、それぞれ、第1の副発光層61および第2の副発光層64から、第1の主発光層62、第2の主発光層63により効率よく輸送される。また、第1の主発光層62および第2の主発光層63において、電子と正孔とが再結合して生成した励起子のエネルギーは、発光部6内で好適に拡散し、よりバランスよく各発光層が発光することができる。このため、発光素子1は、電流密度が変化した場合であっても、放出される光のスペクトルの変化が特に少ないものとなる。これは、各発光層のホスト材料を共通のものとすることにより、各発光層間での励起子のエネルギー、電子、正孔等の移動時における障壁が小さくなったためだと考えられる。
また、このような場合、ホスト材料としては、アントラセン系材料を用いることが好ましく、前記化3に示すようなアントラセン系材料を用いることがより好ましい。このような材料をホスト材料として用いることで、電子と正孔とが再結合した励起子が生成しやすくなるとともに、第1の主発光層62および第2の主発光層63で生成した励起子のエネルギーは、発光部6内で好適に拡散しながら各発光層の発光に用いられる。このため、発光素子1は、電流密度が変化した場合であっても、放出される光のスペクトルの変化が特に少ないものとなる。
また、第1の副発光層61の平均厚さは、第1の主発光層62の平均厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、第1の主発光層62および第2の主発光層63で発生した励起子のエネルギーを発光部6内で発光に用いるエネルギーとしてより確実に消費することができる。このため、発光部6での電流密度が変化した場合であっても、発生した励起子のエネルギーをより確実に発光部6内で発光のエネルギーとして用いることができ、発光素子1は、より安定して一定の色の光を放出することができる。
第1の副発光層61の平均厚さは、特に限定されないが、3〜100nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのがより好ましく、7〜30nmであることがさらに好ましい。これにより、第1の主発光層62および第2の主発光層63で発生した励起子のエネルギーを発光部6内でより確実に発光に用いることができる。
(第1の主発光層)
第1の主発光層62は、第1の副発光層61に接合して設けられている。
第1の主発光層62は、上述したような第1の発光材料と、第1の発光材料を担持するホスト材料とを含んで構成されている。
第1の発光材料は、上述した第1の副発光層61に含まれる第1の発光材料と同一の材料である。
また、第1の主発光層62中における第1の発光材料の含有率(ドープ量)は、0.1〜15wt%であることが好ましく、1〜10wt%であることがより好ましい。これにより、発光素子1に一定量の電流を流した際に、第1の主発光層62の発光量をより大きいものとすることができる。
また、第1の主発光層62に含まれるホスト材料としては、前述したような第1の副発光層61と同様のホスト材料を用いることができる。
また、第1の主発光層62の平均厚さは、1〜30nmであることが好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。このように、第1の主発光層62は、所定以上の平均厚さを有することにより、第1の主発光層62内において、電子と正孔とが再結合しやすいものとなる。また、第1の主発光層62が十分に薄いことにより、第1の主発光層62で電子と正孔とが再結合して生成した励起子のエネルギーは、隣接する第1の副発光層61および第2の主発光層63に効率よく移動しやすいものとなる。この結果、発光部6の各発光層がよりバランスよく発光しやすいものとなる。また、発光部6の電流密度が変化した場合であっても、発光部6の各発光層の発光強度のバランスが特に変化しにくいものとなる。
これに対し、第1の主発光層62の平均厚さが前記下限値未満だと、各発光層の構成によっては、第1の主発光層62にて電子と正孔との再結合が起きにくいものとなり、発光部6内の電流密度が変化した場合に、電子と正孔とが再結合する領域が移動しやすいものとなる場合がある。このような場合、発光素子1は、安定して一定の色を放出することが困難になり、第1の主発光層62の発光強度が十分なものとならない。一方、第1の主発光層62の平均厚さが前記上限値を超えると、各発光層の構成によっては、再結合によって生成した励起子のエネルギーが、十分に隣接する発光層に移動することができない場合がある。このような場合、発光素子1は、安定して一定の色の光を放出することが困難になる。
(第2の主発光層)
第2の主発光層63は、第1の主発光層62と第2の副発光層64との間に、それぞれの層に接合して設けられている。
第2の主発光層63は、第2の発光材料と、第2の発光材料を担持するホスト材料とを含んでいる。
第2の発光材料は黄色に発光するものであり、第2の副発光層64と第2の主発光層63とに共通して含まれる材料である。
第2の発光材料としては、特に限定されず、各種黄色蛍光材料、黄色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができ、例えば、ルブレン系材料等のナフタセン骨格を有する化合物であって、ナフタセンにアリール基(好ましくはフェニル基)が任意の位置で任意の数(好ましくは2〜6)置換された化合物、モノインデノペリレン誘導体等を用いることができる。
上述した中でも、第2の発光材料は、ルブレン系材料であることが好ましく、下記化4で示されるルブレン系材料であることがより好ましい。第2の主発光層63および第2の副発光層64は、ルブレン系材料を含むことにより、特に効率よく発光することができる。また、ルブレン系材料は、電子の輸送性に優れている成分である。このため、発光部6に注入された電子は、発光部6の中央付近までより効率よく移動しやすいものとなる。
Figure 2009238736
また、第2の発光材料として、モノインデノペリレン誘導体を用いた場合、第2の主発光層63および第2の副発光層64は、特に効率よく発光することができる。
また、第2の発光材料は、例えば、緑色と赤色の発光材料を混合させたものであってもよい。
また、第1の発光材料が蛍光材料である場合、第2の発光材料は蛍光材料であることが好ましい。また、第1の発光材料が燐光材料である場合、第2の発光材料は燐光材料であることが好ましい。このように、第1の発光材料と第2の発光材料とで、発光の機構を同様のものとすることにより、各発光層において生じた励起子のエネルギーは、隣接する層により容易に移動することができる。
また、第2の主発光層63中における第2の発光材料の含有率(ドープ量)は、0.1〜15wt%であることが好ましく、1〜10wt%であることがより好ましい。これにより、発光素子1に一定量の電流を流した際に、第2の主発光層63の発光量をより大きいものとすることができる。
また、第2の主発光層63に含まれるホスト材料としては、前述したような第1の副発光層61と同様のホスト材料を用いることができる。
また、第2の主発光層63の平均厚さは、1〜30nmであることが好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。このように、第2の主発光層63は、このように所定以上の平均厚さを有することにより、第2の主発光層63内において、電子と正孔とが再結合しやすいものとなる。また、第2の主発光層63が十分に薄いことにより、第2の主発光層63で電子と正孔とが再結合して生成した励起子のエネルギーは、隣接する第2の副発光層64および第1の主発光層62に効率よく移動しやすいものとなる。この結果、発光部6の各発光層がよりバランスよく発光しやすいものとなる。また、発光部6の電流密度が変化した場合であっても、発光部6の各発光層の発光強度のバランスが特に変化しにくいものとなる。
これに対し、第2の主発光層63の平均厚さが前記下限値未満だと、各発光層の構成によっては、第2の主発光層63にて電子と正孔との再結合が起きにくいものとなり、発光部6内の電流密度が変化した場合に、電子と正孔とが再結合する領域が移動しやすいものとなる場合がある。このような場合、発光素子1は、安定して一定の色を放出することが困難になり、第2の主発光層63の発光強度が十分なものとならない。一方、第2の主発光層63の平均厚さが前記上限値を超えると、各発光層の構成によっては、再結合によって生成した励起子のエネルギーが、十分に隣接する発光層に移動することができない場合がある。このような場合、発光素子1は、安定して一定の色の光を放出することが困難になる。
(第2の副発光層)
第2の副発光層64は、発光部6の最も陰極9側に、第2の主発光層63と接合して設けられている。
第2の副発光層64は、第2の発光材料と、電子輸送性材料と、第2の発光材料および電子輸送性材料を担持するホスト材料とを含んで構成されている。
第2の発光材料は、上述した第2の主発光層63に含まれる第2の発光材料と同一の材料である。
また、第2の副発光層64中における第1の発光材料の含有率(ドープ量)は、0.1〜15wt%であることが好ましく、1〜10wt%であることがより好ましい。これにより、発光素子1に一定量の電流を流した際に、第2の副発光層64の発光量をより大きいものとすることができる。
電子輸送性材料は、陰極9側から注入された電子の第2の主発光層63への輸送を促進する機能を有する。
また、電子輸送性材料は、第2の副発光層64中に含まれるホスト材料よりも電子を輸送する機能が高いものである。このような電子輸送性材料によって、第2の副発光層64に注入された電子は、より効率よく第2の主発光層63に輸送される。
第2の副発光層64に用いることのできる電子輸送性材料としては、特に限定されないが、8−キノリノールないしその誘導体を配位子とするアルミ錯体であるアルミノキノリノール系材料等のキノリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、アントラセン骨格材料、ジフェニルテトラセン等のテトラセン誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ルブレン誘導体等が挙げられる。
上述した中でも、電子輸送性材料は、キノリン誘導体であることが好ましく、アルミノキノリノール系材料であることがより好ましく、下記化5に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)であることがさらに好ましい。このような化合物は、電子の輸送性に特に優れており、陰極9側から注入された電子を特に効率よく第2の主発光層63に輸送することができる。
Figure 2009238736
また、電子輸送性材料の第2の副発光層64中における含有量は、3〜35wt%であるのが好ましく、10〜30wt%であるのがより好ましい。これにより、第2の副発光層64に注入された電子をより効率よく第2の主発光層63に輸送できるとともに、電子輸送性材料が多すぎて第2の副発光層64の発光量が減少することを確実に防止することができる。
また、第2の副発光層64に含まれるホスト材料としては、前述したような第1の副発光層61と同様のホスト材料を用いることができる。
第2の副発光層64の平均厚さは、第2の主発光層63の平均厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、第2の主発光層63で発生した励起子のエネルギーを発光部6内でより確実に発光に用いるエネルギーとして消費することができる。このため、発光部6での電流密度が変化した場合であっても、発生した励起子のエネルギーをより確実に発光部6内で発光のエネルギーとして用いることができ、発光素子1は、より安定して一定の色の光を放出することができる。
第2の副発光層64の平均厚さは、特に限定されないが、3〜100nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのがより好ましく、7〜30nmであることがさらに好ましい。これにより、第1の主発光層62および第2の主発光層63で発生した励起子のエネルギーを発光部6内でより確実に発光に用いることができる。
また、発光部6の平均厚さは、5〜80nmであることが好ましく、15〜70nmであることがより好ましい。これにより、発光部6における電流密度が変化した場合であっても、発光部6内での電子と正孔とが結合する領域が変化しにくいものとなる。また、発光素子1に印加する電圧が比較的低い場合であっても、発光素子1の発光効率を十分に高いものとすることができ、発光素子1の発光寿命を十分に長いものとすることができる。
なお、このような発光素子1は、封止部材10側から光を取り出すトップエミッション型のものであるが、本発明の発光素子は、基板2側から光を取り出すボトムエミッション型の発光素子にも適用することができる。
以上のような発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極3上に正孔注入層4を形成する。
正孔注入層4は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔注入層4は、例えば、正孔注入材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔注入層形成用材料を、陽極3上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
正孔注入層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、正孔注入層4を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面には、酸素およびまたはアルゴンプラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素およびまたはアルゴンプラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度とするのが好ましい。
[3] 次に、正孔注入層4上に正孔輸送層5を形成する。
正孔輸送層5は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔輸送性材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔輸送層形成用材料を、正孔注入層4上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[4] 次に、正孔輸送層5上に、発光部6を形成する。
発光部6は、構成する各発光層(第1の副発光層61、第1の主発光層62、第2の主発光層63、第2の副発光層64)を陽極側から順に形成していくことで得られる。
各発光層は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[5] 次に、発光部6上に電子輸送層7を形成する。
電子輸送層7は、例えば、真空蒸着により形成することができる。
[6] 次に、電子輸送層7上に、電子注入層8を形成する。
電子注入層8の構成材料として無機材料を用いる場合、電子注入層8は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセス、無機微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
[7] 次に、電子注入層8上に、陰極9を形成する。
陰極9は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
最後に、得られた発光素子1を覆うように、シール材11を介在させた状態で封止部材10を被せ、シール材11を硬化することにより基板2に接合する。
このような発光素子1は、例えば光源等として使用することができる。また、複数の発光素子1をマトリックス状に配置し、配置した発光素子1上をカラーフィルタで覆うことにより、ディスプレイ装置(本発明の発光装置)を構成することができる。
なお、ディスプレイ装置の駆動方式としては、特に限定されず、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリックス方式のいずれであってもよい。
次に、本発明の発光装置(表示装置)を適用したディスプレイ装置の一例について説明する。
図2は、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図2に示すディスプレイ装置100は、基板21と、サブ画素100R、100G、100Bに対応して設けられた複数の発光素子1R、1G、1Bおよびカラーフィルタ19R、19G、10Bと、各発光素子1R、1G、1Bをそれぞれ駆動するための複数の駆動用トランジスタ24とを有している。ここで、ディスプレイ装置100は、トップエミッション構造のディスプレイパネルである。
基板21上には、複数の駆動用トランジスタ24が設けられ、これらの駆動用トランジスタ24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスタ24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
平坦化層上には、各駆動用トランジスタ24に対応して発光素子1R、1G、1Bが設けられている。
発光素子1Rは、平坦化層22上に、反射膜32、腐食防止膜33、陽極3、積層体15、陰極9、陰極カバー34がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1R、1G、1Bの陽極3は、画素電極を構成し、各駆動用トランジスタ24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている。また、各発光素子1R、1G、1Bの陰極9は、共通電極とされている。
なお、発光素子1G、1Bの構成は、発光素子1Rの構成と同様である。また、図2では、図1と同様の構成に関しては、同一符号を付してある。また、反射膜32の構成(特性)は、光の波長に応じて、発光素子1R、1G、1B間で異なっていてもよい。
隣接する発光素子1R、1G、1B同士の間には、隔壁31が設けられている。また、これらの発光素子1R、1G、1B上には、これらを覆うように、エポキシ樹脂で構成されたエポキシ層35が形成されている。
カラーフィルタ19R、19G、19Bは、前述したエポキシ層35上に、発光素子1R、1G、1Bに対応して設けられている。
カラーフィルタ19Rは、発光素子1Rからの白色光Wを赤色に変換するものである。また、カラーフィルタ19Gは、発光素子1Gからの白色光Wを緑色に変換するものである。また、カラーフィルタ19Bは、発光素子1Bからの白色光Wを青色に変換するものである。このようなカラーフィルタ19R、19G、19Bを発光素子1R、1G、1Bと組み合わせて用いることで、フルカラー画像を表示することができる。
また、隣接するカラーフィルタ19R、19G、19B同士の間には、遮光層36が形成されている。これにより、意図しないサブ画素100R、100G、100Bが発光するのを防止することができる。
そして、カラーフィルタ19R、19G、19Bおよび遮光層36上には、これらを覆うように封止基板20が設けられている。
以上説明したようなディスプレイ装置100は、単色表示であってもよく、各発光素子1R、1G、1Bに用いる発光材料を選択することにより、カラー表示も可能である。
このようなディスプレイ装置100(本発明の表示装置)は、各種の電子機器に組み込むことができる。
図3は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図4は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図5は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、図3のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図4の携帯電話機、図5のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、前述した実施形態では、発光素子が4層の発光層を有するものについて説明したが、発光層が5層以上であってもよい。
また、発光層の発光色としては、前述した実施形態の青色、黄色に限定されない。
また、前述した実施形態では、第1の発光材料が青色発光材料、第2の発光材料が黄色発光材料であるとして説明したが、第1の発光材料が黄色発光材料、第2の発光材料が青色発光材料であってもよい。このような場合であっても、本発明の発光素子は、一定の安定した白色の光を放出することができる。
また、前述した実施形態では、発光素子は、全体として白色に発光するものとして説明したが、発光素子の発光色は目的に応じて適宜変更することができる。このような場合であっても、本発明の発光素子は、一定の色の光を安定して放出することができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.発光素子の製造
以下の各実施例および比較例において、発光素子を5個ずつ製造した。
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ:0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ:100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、ITO電極上に、下記化6に示す化合物を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:40nmの正孔注入層を形成した。
Figure 2009238736
<3> 次に、正孔注入層上に、前記化2に示すベンジジン系アミン化合物を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:20nmの正孔輸送層を形成した。
<4−1> 次に、正孔輸送層上に第1の副発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:15nmの第1の副発光層を形成した。第1の副発光層の構成材料としては、第1の発光材料(ドーパント)として前記化1に示すスチリルアミンを、正孔輸送性材料として前記化2に示すベンジジン系アミン化合物を、ホスト材料として前記化3に示すアントラセン系材料を用いた。また、第1の副発光層中の第1の発光材料および正孔輸送性材料の含有量(ドープ濃度)を、それぞれ、6.0wt%、15.0wt%とした。
<4−2> 次に、第1の副発光層上に、第1の主発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmの第1の主発光層を形成した。第1の主発光層の構成材料としては、第1の発光材料(ドーパント)として前記化1に示すスチリルアミンを、ホスト材料として前記化3に示すアントラセン系材料を用いた。また、第1の主発光層中の発光材料の含有量(ドープ濃度)を、6.0wt%とした。
<4−3> 次に、第1の主発光層上に、第2の主発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:5nmの第2の主発光層を形成した。第2の主発光層の構成材料としては、第2の発光材料(ドーパント)として前記化4に示すルブレン系材料を、ホスト材料として前記化3に示すアントラセン系材料を用いた。また、第2の主発光層中の第2の発光材料の含有量(ドープ濃度)を、4.0wt%とした。
<4−4> 次に、第2の主発光層上に、第2の副発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:15nmの第2の副発光層を形成した。第2の副発光層の構成材料としては、第2の発光材料(ドーパント)として前記化4に示すルブレン系材料を、電子輸送性材料として前記化5に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を、ホスト材料として前記化3に示すアントラセン系材料を用いた。また、第2の副発光層中の第2の発光材料および電子輸送性材料の含有量(ドープ濃度)を、それぞれ、4.0wt%、20.0wt%とした。
<5> 次に、第2の副発光層上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ:20nmの電子輸送層を形成した。
<6> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ:1nmの電子注入層を形成した。
<7> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ:150nmの陰極を形成した。
<8> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例2)
第1の副発光層、第1の主発光層、第2の主発光層、第2の副発光層の平均厚さを、それぞれ、5nm、15nm、15nm、5nmとした以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例)
発光部を下記に示すようにして形成し、発光部を青色の発光層と黄色の発光層との2層とした以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
まず、正孔輸送層上に青色の発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:20nmの青色の発光層を形成した。青色の発光層の構成材料としては、第1の発光材料(ドーパント)として前記化1に示すスチリルアミンを、ホスト材料として前記化3に示すアントラセン系材料を用いた。また、青色の発光層中の第1の発光材料の含有量(ドープ濃度)を、6.0wt%とした。
次に、青色の発光層上に、黄色の発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ:20nmの黄色の発光層を形成した。黄色の発光層の構成材料としては、第2の発光材料(ドーパント)として前記化4に示すルブレン系材料を、ホスト材料として前記化3に示すアントラセン系材料を用いた。また、黄色の発光層中の第2の発光材料の含有量(ドープ濃度)を、4.0wt%とした。
以上により、発光部を形成し、発光素子を形成した。
表1に、各発光素子の発光部の構成材料もあわせて示す。表中、「BD」は前記前記化1に示すスチリルアミンを、「YD」は前記化6に示すルブレン系材料を、「H」は前記化3に示すアントラセン系材料、「HT」は前記化2に示すベンジジン系アミン化合物、「ET」は前記化5に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)をそれぞれ示す。また、比較例2では、青色の発光層の構成を「第1の主発光層」の欄に、黄色の発光層の構成を「第2の主発光層」の欄に示した。
Figure 2009238736
2.評価
各実施例および比較例の発光素子に対して、それぞれ、陽極と陰極との間に直流電源より100mA/cmの電流を流し、各実施例および比較例の発光素子から放出された光の色度(x,y)、輝度、発光素子にかかる電圧、およびスペクトル(発光スペクトル)を測定した。なお、発した光が白色に近いと、光の色度(x,y)は、(0.33,0.33)に近いものとなる。
次に、陽極と陰極との間に流れる直流電流を100mA/cm、10mA/cm、1mA/cmと変化させ、このときの色度(x,y)の変化量を測定し、以下の3段階の基準に従い、評価した。
◎:電流の量を変化させた場合に、x,yのいずれも変化が0.04未満。
○:電流の量を変化させた場合に、x,yのうち、一方の変化が0.04以上、他方の変化が0.04未満。
×:電流の量を変化させた場合に、x,yのいずれも変化が0.04以上。
これらの結果を表2に示す。また、各実施例および比較例で得られた発光スペクトルを図6〜図8に示す。
Figure 2009238736
表2に示すように、各実施例の発光素子は、白色に近い光を放出しており、発光素子に流れる電流量を変化させた場合であっても、色度の変化が少なかった。また、図6、図7でも示すように、発光部を流れる電流の量が変化した場合であっても、発光スペクトルが変化しにくいものであった。特に、第1の主発光層および第2の主発光層が比較的薄い実施例1では、色度、発光スペクトルの変化が好適に抑制されていた。また、比較的低電圧で、十分に高い輝度の光を放出していた。
これに対し、比較例で製造した発光素子では、満足な結果が得られなかった。
1、1B、1G、1R……発光素子 2……基板 3……陽極 4……正孔注入層 5……正孔輸送層 6……発光部 61……第1の副発光層 62……第1の主発光層 63……第2の主発光層 64……第2の副発光層 7……電子輸送層 8……電子注入層 9……陰極 10……封止部材 11……シール材 15……積層体 19B、19G、19R……カラーフィルタ 100……ディスプレイ装置 100B、100G、100R……サブ画素 20……封止基板 21……基板 22……平坦化層 24……駆動用トランジスタ 241……半導体層 242……ゲート絶縁層 243……ゲート電極 244……ソース電極 245……ドレイン電極 27……配線 31……隔壁 32……反射膜 33……腐食防止膜 34……陰極カバー 35……エポキシ層 36……遮光層 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ

Claims (16)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられ、第1の発光材料を含む第1の主発光層と、
    前記陽極と前記第1の主発光層との間に前記第1の主発光層と接合して設けられ、前記陰極側への正孔の輸送を促進する正孔輸送性材料と前記第1の発光材料とを含む第1の副発光層と、
    前記陰極と前記第1の主発光層との間に前記第1の主発光層と接合して設けられ、第2の発光材料を含む第2の主発光層と、
    前記陰極と前記第2の主発光層との間に前記第2の主発光層と接合して設けられ、前記陽極側への電子の輸送を促進する電子輸送性材料と前記第2の発光材料とを含む第2の副発光層とを有することを特徴とする発光素子。
  2. 前記第1の主発光層の平均厚さは、1〜30nmであり、
    前記第2の主発光層の平均厚さは、1〜30nmである請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記第1の副発光層は、前記第1の主発光層よりも平均厚さが大きいものであり、
    前記第2の副発光層は、前記第2の主発光層よりも平均厚さが大きいものである請求項1または2に記載の発光素子。
  4. 前記正孔輸送性材料の前記第1の副発光層中における含有量は、3〜30wt%である請求項1ないし3のいずれかに記載の発光素子。
  5. 前記電子輸送性材料の前記第2の副発光層中における含有量は、3〜30wt%である請求項1ないし4のいずれかに記載の発光素子。
  6. 前記第1の主発光層、前記第1の副発光層、前記第2の主発光層および前記第2の副発光層は、それぞれ、各層に含まれる発光材料を担持するホスト材料を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の発光素子。
  7. 前記第1の主発光層、前記第1の副発光層、前記第2の主発光層および前記第2の副発光層は、前記ホスト材料として、共通の材料を含むものである請求項6に記載の発光素子。
  8. 前記ホスト材料は、アントラセン系材料である請求項7に記載の発光素子。
  9. 前記正孔輸送性材料は、前記第1の副発光層に含まれるホスト材料よりも正孔を輸送する機能が高いものである請求項6ないし8のいずれかに記載の発光素子。
  10. 前記電子輸送性材料は、前記第2の副発光層に含まれるホスト材料よりも電子を輸送する機能が高いものである請求項6ないし9のいずれかに記載の発光素子。
  11. 前記電子輸送性材料は、アルミキノリノール系材料である請求項1ないし10のいずれかに記載の発光素子。
  12. 前記正孔輸送性材料は、アミン系材料である請求項1ないし11のいずれかに記載の発光素子。
  13. 前記第1の発光材料は、スチリルアミン系材料である請求項1ないし12のいずれかに記載の発光素子。
  14. 前記第2の発光材料は、ルブレン系材料である請求項1ないし13のいずれかに記載の発光素子。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする発光装置。
  16. 請求項15に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015201498A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 セイコーエプソン株式会社 発光素子、発光装置、表示装置および電子機器

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