JP2009235255A - 光拡散用樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

光拡散用樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】照明カバーやディスプレイなど光拡散用途に広く用いられる光拡散板用樹脂組成物及び高輝度、高光拡散性を有する光拡散板関する。
【解決手段】マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)90〜99.8wt%と、熱可塑性樹脂(A)と溶け合うことのない完全非相溶系の熱可塑性樹脂からなる分散相を形成する分散相樹脂(B)0.2〜10wt%及びシリコーンオイル50〜2,000ppmを含む材料を溶融混合してなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)が、芳香族ビニル樹脂、芳香族ビニル化合物と不飽和カルボン酸エステル化合物又は不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合樹脂であり、分散相樹脂(B)のずり剪断粘度の粘度比率が3〜6の範囲である光拡散板用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、照明カバーやディスプレイなど光拡散用途に広く用いられる光拡散板用樹脂組成物及び光拡散板に関する。
ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂など透明性樹脂は光拡散性を有する拡散剤を添加し、シート若しくは板状に加工することで、均一な輝度面が得られることから、照明カバー、内部照明式看板、透過型ディスプレイなどの用途に広く用いられている。特に近年では、液晶ディスプレイあるいは液晶テレビの直下型バックライト用の面光源体として光拡散用途の需要は大きく伸びている。
上記の光拡散機能を好適に発現させるためには、光線をできる限り直進させることなく散乱させるとともに、できる限り光透過損失を抑えることが求められる。
このような要求特性を発現させるために、光拡散板は、従来、透明性樹脂に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機系粒子を添加する方法が提案されている。また、有機系ビーズとしてスチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子などの部分的に架橋したポリマー微粒子を添加する方法、あるいはこれらを併用する方法によって光を散乱させる手法が提案されている(特許文献1)。
また、均一な輝度になるような拡散性、優れた透明性を持ち、明るい拡散光の得られる光拡散シートを作製するために、マトリックス相となるアクリル系樹脂やスチレン系樹脂などの透明な樹脂に、マトリックス相樹脂との親和性が良好な分散相としてメタアクリル酸エステル系樹脂、非晶質環状オレフィン系樹脂などのポリマーを高温・高圧下にて一旦相溶させ、常温・常圧下にて相分離させてサブミクロンオーダーの微細な海島構造を形成させる方法が提案されている(特許文献2、3、4、5)。
更に、屈折率の異なるポリマーの組合せを用いて、フィルムを延伸し、アスペクト比を大きくすることで効率的に光拡散性を向上させる方法が提案されている(特許文献6)。また、本発明者らはマトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(A)と溶け合うことのない完全非相溶系の熱可塑性樹脂からなる分散相を形成する分散相樹脂を用いることによって拡散性に優れた樹脂組成物を提供する方法を提案したが、局所的に分散相樹脂の凝集が発生し、液晶ディスプレイあるいは液晶テレビの直下型バックライト用の面光源体としての拡散性能は十分ではない場合があった(特許文献7)。
特許第3195543号公報 特開2005‐181825号公報 特開平10‐111402号公報 特開2001‐31774号公報 特開2002−228806号公報 特開平11‐002706号公報 国際公開2008/013143号公報
液晶ディスプレイあるいは液晶テレビは近年大画面化が進み、これに伴ってバックライト用拡散板も大型化している。このため、比重の大きな無機系粒子を使用する場合は重量が増加し、また有機系ビーズと比較して性能が劣ること、更には加工時に無機物特有の硬さのため加工装置が磨耗するなどの問題があることから、現在では有機系ビーズを用いた材料に置き換わってきている。
また、有機系ビーズは懸濁重合などによって微粒子を架橋反応によって合成するため、粒度分布が比較的揃っており、粒子径の品揃えも豊富であることから、光拡散性材料の添加剤として主流となっている。しかしながら、より高輝度化を達成するためには粒子径が8μm以上のビーズを多量に添加する必要があり、分散粒子の二次凝集による機械的強度の低下の問題や大幅なコストアップになるといった問題がある。
また、5〜200μmの薄いフィルム用途で溶融粘度の違いにより5μm前後の分散粒子を形成する方法が提案されているが、この方法では0.1μm〜0.5μmの微粒子の生成が避けられず、この粒子径範囲での紫外線付近の周波数をもった光の吸収が大きく、大幅に全光線透過率は低下し、結果として拡散性能は大幅に低下する。
更に、高温・高圧下で相溶し、常温・常圧下で非相溶系のポリマーの組合せによって微粒子を生成させて拡散性能を発現させる手法が提案されているが、この方法でも同様に0.5μm以下の微粒子が生成するため、光透過性が大幅に低下し、光拡散性能としては不十分である。
また、屈折率の異なるポリマー組成物を押出シートによって延伸させ、アスペクト比を大きくして拡散効率を高くする手法が提案されているが、この方法では意図的に延伸によって分散粒子を引き伸ばすため、短径側の0.5μm以下の比率が増加し、光透過性が著しく低下するため、光拡散性能としては不十分である。
更に、ポリメタクリル酸メチル及びポリカーボネート系の材料は吸湿の問題があり、大型化が進むに従い反りの問題が大きくなる。また、ポリカーボネート系樹脂は、アクリル系樹脂やスチレン系樹脂と比較して高価であるといった問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高輝度、高光拡散性、軽量、高強度の光拡散性を有し、且つ低吸湿で反りが発生し難い光拡散板及びそれに使用される樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、マトリックス樹脂相と混ざることのない特定の樹脂を分散相として溶融混合することによって、0.5μm以下の低粒子径の分散相生成を抑え、安定した粒子径を有する分散相を形成させ、同時にシリコーン系オイルを添加使用することで分散相樹脂を安定して分散させることで、使用する分散相樹脂の量を低減でき光拡散性能が優れる拡散板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)90〜99.8wt%と、熱可塑性樹脂(A)と溶け合うことのない完全非相溶系の熱可塑性樹脂からなる分散相を形成する分散相樹脂(B)0.2〜10wt%を含む樹脂成分と、樹脂成分に対し50〜2,000wtppmのシリコーンオイルを溶融混合してなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)が、芳香族ビニル化合物単位が40〜100wt%、不飽和カルボン酸エステル単位の含有量が0〜60wt%、不飽和カルボン酸単位の含有量が0〜15wt%である芳香族ビニル系樹脂を1種以上含む樹脂であり、分散相樹脂(B)のずり剪断粘度の粘度比率(0.1Hzのときの剪断粘度/1Hzのときの剪断粘度)が3〜6の範囲であり、シリコーンオイルの50wt%以上が、25℃での動粘度10〜10,000mm2/sのシリコーンオイルであることを特徴とする光拡散板用樹脂組成物である。
ここで、熱可塑性樹脂(A)としては、重量平均分子量が80,000〜400,000のポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合樹脂又はこれらの混合物が適する。
また、分散相樹脂(B)の少なくとも一部が、重量平均分子量が100,000以上の高分子量の高密度ポリエチレン、又は重量平均分子量が80,000以上の低密度ポリエチレンであることが好ましい。
また、本発明は、上記の樹脂組成物を成形して得られる光拡散板において、0.5μm以下の粒子径をもつ分散相樹脂(B)の割合が、分散相の粒度分布換算で5.0%以下であり、且つ板の厚さが0.5〜5mmであることを特徴とする光拡散板である。
上記光拡散板は、吸水率が、0.3%以下であること、又は2.0mm厚での全光線透過率を55%としたときのヘイズが、80%以上であることのいずれか又は両方を満足することが好ましい。
本発明に係る光拡散板用樹脂組成物は、0.5μm以下の微粒子の生成が極めて少なく、且つ拡散性能を低減させる大粒子が少なく、粒径分布が小さい分散相樹脂の粒子を形成させることができ、効率的に光拡散性機能を発現させることができる。
本発明の光拡散板用樹脂組成物は、マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)に、分散相を形成する分散相樹脂(B)が分散されてなる。
マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)は、芳香族ビニル系樹脂であり、これらの樹脂は単独であっても、2種以上を混合して使用してもよい。芳香族ビニル系樹脂としては、芳香族ビニル化合物を重合して得られる芳香族ビニル樹脂、又は芳香族ビニル化合物と不飽和カルボン酸化合物を共重合して得られる芳香族ビニル系共重合樹脂がある。ここで、不飽和カルボン酸化合物は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル又は両者をいう。
芳香族ビニル樹脂としては、ポリスチレンが好ましく挙げられる。芳香族ビニル系共重合樹脂としては、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸−メチル−メタアクリル酸共重合体などを挙げることができる。
熱可塑性樹脂(A)は、相互に完全相溶する樹脂であれば、複数の樹脂からなっていてもよい。
芳香族ビニル樹脂与える芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α‐メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジンなどが挙げられる。中でも、スチレン、α‐メチルスチレンが好ましく用いられる。これらの芳香族ビニル化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ビニル系共重合樹脂を得るために使用する芳香族ビニル化合物も、上記と同様である。
また、芳香族ビニル系共重合樹脂を得るために使用する芳香族ビニル化合物としては、上記と同様な芳香族ビニル化合物が使用される。芳香族ビニル化合物と共重合させる不飽和カルボン酸化合物としては、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸エステルである。
不飽和カルボン酸としては、メタクリル酸、アクリル酸が挙げられ、好ましくはメタクリル酸である。不飽和カルボン酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。このうち、好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸t−ブチルであり、特に好ましくはメタクリル酸メチルである。これら不飽和カルボン酸化合物は1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合、不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸エステルのいずれかを2種以上使用してもよく、両者を1以上使用してもよい。
熱可塑性樹脂(A)となる樹脂としては、上記芳香族ビニル樹脂、芳香族ビニル系共重合樹脂があるが、好ましくはポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(MS樹脂)とスチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合樹脂(SMM樹脂)である。芳香族ビニル系単位の含有量としては40〜100wt%である。40wt%以下だと屈折率が低く、十分な拡散性能が得られない。好ましくは60〜90wt%である。芳香族ビニル系単位が100wt%に近い場合、耐候性、耐熱性に劣る場合があるため、不飽和カルボン酸エステル単位、不飽和カルボン酸単位が共重合されていることが好ましい。また、吸湿性の観点から中の不飽和カルボン酸エステルに由来する単位(不飽和カルボン酸エステル単位)の含有量は60wt%以下であり、30%以下が好ましく、また、不飽和カルボン酸に由来する単位(不飽和カルボン酸単位)含有量は15wt%以下であり、10%以下が好ましい。
熱可塑性樹脂(A)となる樹脂は、公知の方法により重合して製造することができる。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、80,000〜400,000であることが好ましい。80,000未満であると流動性が高くなり、脆くなるため加工時に割れなどが発生しやすい。好ましい樹脂は、上記重量平均分子量を有するポリスチレン、MS樹脂、SMM樹脂又はスチレン−メタクリル酸共重合樹脂である。また、これらの樹脂の2以上を混合した樹脂も好ましい。
分散相を形成する分散相樹脂(B)は、マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)と完全非相溶の熱可塑性樹脂であり、その好ましい組み合わせは熱可塑性樹脂(A)の種類によって異なる。分散相樹脂(B)は、ずり剪断粘度の粘度比率(以下、ずり剪断粘度比率という。)が3〜6の範囲にある。ここで、剪断粘度比率は、分散相樹脂(B)単独について、周波数0.1Hzで測定したずり剪断粘度V0.1と、周波数1Hzで測定したずり剪断粘度V1との比(V0.1/V1)をいう。ずり剪断粘度比率が3より小さいと分散粒子径が細かくなりすぎ、光を吸収することで全光線透過率が低下するので好ましくなく、6より大きいと分散粒子径が大きくなりすぎ材料強度などの機械的特性を損なうため好ましくない。具体的にはずり剪断粘度比率が3より小さい分散相は0.5μm以下の粒子の生成が避けられず、拡散性能が低下する。
分散相樹脂(B)は、熱可塑性樹脂(A)とは完全に非相溶である熱可塑性樹脂であり、分散相樹脂(B)を単独で測定したずり剪断粘度比が3〜6の範囲にある。分散相樹脂(B)としては、屈折率差、吸水性、非相溶性の観点から、例えば熱可塑性樹脂(A)が芳香族ビニル樹脂又はMS樹脂である場合、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、高分子量化が容易なポリエチレンが好ましい。直鎖状のポリエチレンである高密度ポリエチレン(HDPE)の場合、分子量(Mw)は100,000以上が好ましく、側鎖の分岐数が多い低密度ポリエチレン(LDPE)では分子量80,000以上が好ましい。HDPE及びLDPEの分子量が上記より小さいとずり剪断粘度比が3以下となり、溶融混合時での組成物が形成される際に微粒子の発生によって十分な光拡散性能が発揮できないため好ましくない。
分散相樹脂(B)は複数の樹脂からなってもよく、例えば、HDPE又はLDPEを2種類以上配合してなる樹脂であってもよい。この場合、相互に完全相溶する樹脂であれば、相溶した状態で上記分散相樹脂(B)の特性を備えればよい。また、相溶しない場合は、それぞれが上記分散相樹脂(B)の特性を備えるか、配合する全ての分散相樹脂の剪断粘度比の算術平均が上記数値の範囲にある必要がある。
ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの他のポリマーも使用できるが、市販されている分子量が最も高いポリプロピレンでの剪断粘度比は3以下であり、また市販されている分子量が最も高い直鎖状低密度ポリエチレンでの剪断粘度比も3以下であり、所望の剪断粘度比を示す樹脂の入手が困難という問題が別にある。
マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)と分散相樹脂(B)とシリコーンオイルの配合割合は、所望される全光線透過率によって異なるが、本発明の樹脂組成物を2mm厚の板状の試験片に加工したとき、その全光線透過率が78〜82%となるように定めた場合、熱可塑性樹脂(A)90〜99.8wt%、分散相樹脂(B)0.2〜10wt%、好ましくは0.5〜5wt%であり、これらの樹脂の合計に対しシリコーンオイル50〜2,000wtppm(wt)、好ましくは100〜500ppmの範囲である。
シリコーンオイルは、25℃での動粘度10〜10,000mm2/sの範囲のシリコーンオイル(油状のシリコーン化合物)を50wt%以上含む。有利には、シリコーンオイル全体として、25℃での動粘度10〜10,000mm2/sの範囲である。粘度が10mm2/sより低いと異物量低減効果が無いと共に、拡散板の透過率が低くならない。また、10,000mm2/sを越えると拡散板が黄色に着色し色再現性が悪くなる。好ましくは100〜5,000mm2/sである。シリコーンオイルは複数の油状のシリコーン化合物からなってもよく、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイル、側鎖や末端にポリエーテル、アラルキル、フロロアルキル、長鎖アルキル、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、フェニルなどの有機基を導入した変性シリコーンオイルなどを用いることができる。中でも、シリコーン系オイルはジメチルシリコーンオイルを50wt%以上、有利には70wt%以上含むことがよい。
シリコーンオイルの添加は分散相の粒径分布を小さくできるので拡散性能を維持したまま分散相樹脂(B)の使用量を低減できる。すなわち、完全非相溶系にみられる加工時の割れ等を最小限に留める効果がある。
本発明の光拡散板用樹脂組成物を成形することにより本発明の光拡散板が得られる。本発明の光拡散板は、板の厚さが0.5〜5mmであり、平均粒子径が0.5μm以下の粒子径を持つ分散相樹脂(B)の割合が分散相の粒度分布換算で5.0%以下であり、好ましくは3.0%以下である。また、分散相の算術平均粒子径は、0.8μm以上であることが好ましく、これより低下した場合、0.5μm以下の微粒子の生成が避けられず拡散性能は大幅に低下する。また、平均粒子径が500μmを超えた場合は、材料強度などの機械特性に支障がでるため好ましくない。
本発明の光拡散板は、2mm厚の板状の試験片に加工したときの全光線透過率が50〜60%、好ましくは53〜58%になるように調整し、55%とした時のヘイズは80%以上、好ましくは85%以上であることがよい。ヘイズが80%未満の場合、所望の全光線透過率に調整した際、バックライト光源から発した透過光にムラが生じやすい。なお、全光線透過率は、樹脂組成物に添加する分散相樹脂(B)の量やその屈折率と分散粒子径によって異なるので、これらを調整することにより制御される。また拡散板に要求される全光線透過率が異なる場合は、分散相樹脂(B)の量等はそれによっても変化する。
本発明の光拡散板は、光源からの光照射により拡散板自体の温度が上昇し、光照射側とその裏面の透過側での吸水膨張の差によって拡散板の反りが生じやすいため、低吸湿の材料であることが好ましい。光拡散板に要求される吸水率は、光拡散板の大きさによって異なるが、例えば15インチ以上の中型・大型光拡散板であれば、吸水率は0.3%以下が好ましく、更に好ましくは0.25%以下である。
本発明の樹脂組成物は上記熱可塑性樹脂(A)と分散相樹脂(B)とシリコーン系オイル(C)のみからなる場合であっても、これを成形して得られる光拡散板は、単独で高輝度、高拡散性を有することができる。しかし、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて第三成分として、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸エステル化合物系樹脂などからなる有機系拡散剤や無機系の拡散剤を含有してもよい。また、樹脂組成物中の樹脂100重量部に、1.0〜100μmの平均粒子径を有する有機系架橋ビーズ又は無機系ビーズを1種以上、0.001〜10重量部配合することも好ましい。
更に、樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、耐候助剤、内部潤滑剤、外部潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、光安定剤、蛍光増白剤等の添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
また、分散相の粒子に1μm以下の粒子が含まれた場合、透過光の色が黄色味と赤味を帯びることがあるので、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、透過光の調整剤として顔料、染料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤を1種又は2種以上含有してもよい。
本発明の光拡散性樹脂組成物の光拡散板への加工方法に特に制限はなく、射出成形、押出し成形、ブロー成形等により所定形状に成形することができる。
本発明の光拡散板の厚みは、延伸して製造されるフィルムなどの用途は分散粒子径が小さくなり易いことから、延伸の影響が少ない0.5mm以上である。但し、生産性などを無視して、延伸せずに0.5mm以下の拡散シートを作成する場合はこの限りではない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
光拡散板の物性評価は、以下の方法により行なった。
(1)全光線透過率、平行光線透過率、ヘイズ
JIS K7105のB法に準拠して行なった。但し、試験片は40mm×40mm×厚み2mmを適用した。
(2)粒度分布
熱可塑性樹脂相(A)、分散相樹脂(B)を及びシリコーンオイル(C)とを溶融混合して得られたサンプル2gをマトリックス相のみ溶解可能な溶媒20mlに溶解させ、(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて、分散相の粒度分布の測定を行った。使用した溶媒は分散相樹脂(B)がPMMA及びアクリルビーズを添加した系ではシクロヘキサンを用い、それ以外はメチルエチルケトンを用いてマトリックス相のみを溶解させた。その後、分散相の粒度分布は体積平均径にて測定を行ない分散相樹脂(B)の平均粒子径とその標準偏差を算出した。更に0.5μm以下の粒子の存在割合はレーザー計で検出される粒子の存在頻度の積算値を用いた。
(3)ずり剪断粘度の測定
レオロジカ インスツルメンツ製 回転型動的粘弾性測定装置 DAR−50を用いて、Φ25mm、厚さ2mmの試験片を25mmΦのパラレルプレート治具と加熱プレートで挟み、周波数0.01〜100Hzの範囲、温度240℃にてずり剪断粘度の測定を行ない、粘度が安定する周波数0.1Hzのときの剪断粘度と1Hzのときの剪断粘度比(すなわち、その傾きを算出することによって、非ニュートン流動性が比較できる)を算出した。
合成例1
原料モノマー及び重合開始剤を仕込み、反応温度120℃、5時間滞留条件下で、一槽型完全混合反応器と脱揮槽を連結した設備を用いて連続塊状重合、脱揮、ペレット化し、目的とする透明な共重合樹脂として、重量平均分子量が196,000、スチレン単位/メタクリル酸メチル単位/メタクリル酸単位の重量比(%)が83/11/6の組成の共重合体(MST−060)を得た。
合成例2
原料モノマー及び重合開始剤を仕込み、反応温度120℃、5時間滞留条件下で、一槽型完全混合反応器と脱揮槽を連結した設備を用いて連続塊状重合、脱揮、ペレット化し、透明な共重合樹脂(樹脂aとbの2種類)を得た。樹脂aは、重量平均分子量が185,000、スチレン単位/メタクリル酸メチル単位の組成比が50/50の共重合樹脂であり、樹脂bは、重量平均分子量が230,000、スチレン単位/メタクリル酸単位の組成比で92/8の共重合樹脂である。この樹脂aと樹脂bを50重量部/50重量部で混合し、二軸押出機にて混練、ペレット化して樹脂組成物(MS/ST−050)を得た。
使用した熱可塑性樹脂(A)及び分散相樹脂(B)を次に示す。
MS樹脂:新日鐵化学(株)製 MS‐200
MST−060:合成例1
MS/ST−050:合成例2
高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン(株)製 HB315R(Mw;200,000)
高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン(株)製 HF313(Mw;100,000)
高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン(株)製 HF560(Mw;40,000)
架橋アクリルビーズ:積水化成品工業(株)製 MBX−8
使用したシリコーンオイルを次に示す。
ジメチルシリコーンオイル:(信越化学工業(株)製KF‐96、25℃の動粘度 1,000cs)
田辺プラスチック機械(株)製40mmΦ単軸押出機を用いて、バレル温度190〜250℃の温度条件にて溶融混練を行い、ペレット化し、光拡散板用樹脂組成物を得た。
評価用試験片の作製
日精樹脂工業(株)製小型射出成形機HM−7(69kN、シリンダー温度240℃)を用いて、40mm×40mm×2mmの試験片を作製した。
実施例1〜5及び比較例1〜4
上記の樹脂組成物の調製及び評価用試験片の作製に従って、板状の試験片を得た。各種物性測定結果を表1と2に示す。剪断粘度比は分散相となる樹脂の数値である(ビーズを使用した場合は、ビーズを除く)。また、0.5μm以下粒子(%)は、分散相の粒度分布換算で求めた数値である。なお、リコンオイルの配合量は樹脂に対しての添加量である。
参考例1
100重量部のMS−200と、1.55重量部の8μmの架橋アクリルビーズMBX−8を使用して、実施例1と同様にして樹脂組成物を得て、次に試験片を得た。

Figure 2009235255
Figure 2009235255

Claims (6)

  1. マトリックス相を形成する熱可塑性樹脂(A)90〜99.8wt%と、熱可塑性樹脂(A)と溶け合うことのない完全非相溶系の熱可塑性樹脂からなる分散相を形成する分散相樹脂(B)0.2〜10wt%を含む樹脂成分と、樹脂成分に対し50〜2,000wtppmのシリコーンオイルを溶融混合してなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)が、芳香族ビニル化合物単位が40〜100wt%、不飽和カルボン酸エステル単位の含有量が0〜60wt%、不飽和カルボン酸単位の含有量が0〜15wt%である芳香族ビニル系樹脂を1種以上含む樹脂であり、分散相樹脂(B)のずり剪断粘度の粘度比率(0.1Hzのときの剪断粘度/1Hzのときの剪断粘度)が3〜6の範囲であり、シリコーンオイルの50wt%以上が、25℃での動粘度10〜10,000mm2/sのシリコーンオイルであることを特徴とする光拡散板用樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(A)が、重量平均分子量が80,000〜400,000のポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合樹脂又はこれらの混合物である請求項1に記載の光拡散板用樹脂組成物。
  3. 分散相樹脂(B)の少なくとも一部が、重量平均分子量が100,000以上の高分子量の高密度ポリエチレン又は重量平均分子量が80,000以上の低密度ポリエチレンである請求項1又は2に記載の光拡散板用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる光拡散板において、0.5μm以下の粒子径をもつ分散相樹脂(B)の割合が、分散相の粒度分布換算で5.0%以下であり、且つ板の厚さが0.5〜5mmであることを特徴とする光拡散板。
  5. 吸水率が、0.3%以下である請求項4に記載の光拡散板。
  6. 2.0mm厚での全光線透過率を55%としたときのヘイズが、80%以上である請求項4又は5に記載の光拡散板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016108376A (ja) * 2014-12-03 2016-06-20 三菱レイヨン株式会社 熱可塑性樹脂組成物、成形体及び住宅設備

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