JP2009228470A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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洋平 西出
Kazuhiro Kosho
和宏 古庄
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2210/00Fluid
    • F04C2210/26Refrigerants with particular properties, e.g. HFC-134a
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

【課題】分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒を用いるスクロール圧縮機において、吐出ポート周辺で冷媒が高温になるのを抑制し、圧縮機の信頼性を向上させる。
【解決手段】各スクロール(75,76)のラップ(75a,76a)における巻き始め部分に、外壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する外円弧部(75d,76d)と、内壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する内円弧部(75e,76e)と、外円弧部(75d,76d)と内円弧部とを繋ぐ湾曲部(75f,76f)とを形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関するものである。
従来より、例えば冷凍装置等に用いられ、冷媒等の流体を圧縮するスクロール圧縮機が広く知られている。
特許文献1には、この種のスクロール圧縮機が開示されている。このスクロール圧縮機は、いわゆる非対称渦巻き構造の圧縮機構を備えている。この圧縮機構は、固定スクロール及び可動スクロールの各ラップが噛合することで、流体の圧縮室が形成されている。圧縮室は、可動スクロールのラップの外周面に臨む第1圧縮室と、可動スクロールのラップの内周面に臨む第2圧縮室とに区画されている。
また、圧縮機構には、その外周面側に流体を各圧縮室へ導くための吸入口が形成され、その中央部に各圧縮室で圧縮された流体を外部(吐出空間)へ吐出させるための吐出ポートが形成されている。このスクロール圧縮機構では、固定スクロールに対して可動スクロールが偏心回転運動する。その結果、各圧縮室は、圧縮機構の外周側から内周側へ徐々に移動してその容積が減少し、各圧縮室内で流体が圧縮される。
また、近年、オゾン層の破壊への影響が懸念されているため、環境負荷の少ない冷媒を用いることが推奨されている。例えば、塩素原子や臭素原子を含まず、オゾン層の破壊への影響が小さい冷媒として、特許文献2に示すような、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒が知られている。
特開平9−170574号公報 特開平4−110388号公報
しかしながら、従来のスクロール圧縮機を空気調和装置に適用した場合には、可変速運転や空調負荷変動によって冷媒の吸入圧力と吐出圧力が変化し、実際の圧縮比と設定圧縮比との間の差によって不足圧縮や過圧縮運転が生じてしまう。このような不足圧縮が生じると、吐出空間の高圧冷媒ガスが吐出ポートから圧縮室に間欠的に逆流して、吐出ポート周辺が高温となる。さらに、吸入口から吸入された冷媒は、固定スクロール及び可動スクロールにより圧縮されながら渦巻き形状の圧縮室内を通過することで、この圧縮過程における吸入加熱により冷媒が高温状態となる。
ここで、前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、熱安定性が悪く高温環境下で分解されてしまうため、上述したように、冷媒の逆流等によって吐出ポート周辺が高温となった場合には、冷媒の分解が促進されて圧縮機における冷媒の圧縮効率が著しく低下するおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒を用いるスクロール圧縮機において、吐出ポート周辺で冷媒が高温になるのを抑制し、圧縮機の信頼性を向上させることにある。
上述した目的を達成するため、本発明は、各スクロールのラップにおける巻き始め部分に、内壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する内円弧部を形成するようにした。
具体的に、本発明は、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒、又は該冷媒を含む混合冷媒を圧縮する圧縮機構(82)を備え、
前記圧縮機構(82)は、固定スクロール(75)と、該固定スクロール(75)に対して偏心回転運動を行う可動スクロール(76)とを有し、両スクロール(75,76)の渦巻き状のラップ(75a,76a)同士が噛合することで圧縮室(73)が形成されたスクロール圧縮機を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、前記各スクロール(75,76)のラップ(75a,76a)における巻き始め部分には、外壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する外円弧部(75d,76d)と、内壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する内円弧部(75e,76e)と、該外円弧部(75d,76d)と該内円弧部とを繋ぐ湾曲部(75f,76f)とが形成されていることを特徴とするものである。
第2の発明は、第1の発明において、
前記圧縮機構(82)に対して冷媒を吸入するための吸入管(57)を備え、
前記固定スクロール(75)の鏡板(75b)には、その外縁部に形成されて前記圧縮室(73)と連通する吸入ポート(98)が設けられ、
前記吸入管(57)を前記吸入ポート(98)に接続して、該吸入管(57)を流通する冷媒が該吸入ポート(98)を通って前記圧縮室(73)に直接吸入されるダイレクト吸入路(99)を形成するようにしたことを特徴とするものである。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記固定スクロール(75)の鏡板(75b)には、その中央部に形成されて前記圧縮室(73)の冷媒を吐出空間(100)へ吐出する吐出ポート(93)が設けられ、
前記吐出ポート(93)には、前記圧縮室(73)と前記吐出空間(100)との差圧に応じて該吐出ポート(93)を開閉自在な開閉機構(94,110)が設けられていることを特徴とするものである。
第4の発明は、第3の発明において、
前記開閉機構(94)は、前記圧縮室(73)と前記吐出空間(100)との差圧に応じて撓むことで開閉動作を行うリード弁(94)で構成されていることを特徴とするものである。
第5の発明は、第3の発明において、
前記開閉機構(110)は、前記吐出ポート(93)を閉塞する蓋部材(111)と、該蓋部材(111)を該吐出ポート(93)を閉塞する方向に付勢する付勢バネ(112)とを備え、前記圧縮室(73)と前記吐出空間(100)との差圧に応じて該付勢バネ(112)の付勢力に抗して該蓋部材(111)を開放するように構成されていることを特徴とするものである。
第6の発明は、第1乃至第5の発明のうち何れか1つにおいて、
前記両スクロール(75,76)は、前記ラップ(75a,76a)の厚さが該ラップ(75a,76a)の中心側から外周側に向かうに連れて薄くなるように形成されていることを特徴とするものである。
第7の発明は、第1乃至第6の発明のうち何れか1つにおいて、
前記両スクロール(75,76)は、前記ラップ(75a,76a)の高さが該ラップ(75a,76a)の中心側から外周側に向かうに連れて段階的又は連続的に高くなるように形成されていることを特徴とするものである。
第8の発明は、第1乃至第7の発明のうち何れか1つにおいて、
前記圧縮機構(82)は、前記固定スクロール(75)のラップ(75a)と前記可動スクロール(76)のラップ(76a)とで巻き数が相違した非対称渦巻き構造に形成されていることを特徴とするものである。
第9の発明は、第1乃至第8の発明のうち何れか1つにおいて、
前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンであることを特徴とするものである。
第10の発明は、第1乃至第9の発明のうち何れか1つにおいて、
前記冷媒は、前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒と、ジフルオロメタンとを含む混合冷媒であることを特徴とするものである。
第11の発明は、第1乃至第9の発明のうち何れか1つにおいて、
前記冷媒は、前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒と、ペンタフルオロエタンとを含む混合冷媒であることを特徴とするものである。
第1の発明によれば、各スクロール(75,76)のラップ(75a,76a)における巻き始め部分に、外円弧部(75d,76d)、内円弧部(75e,76e)、及び湾曲部(75f,76f)を形成したから、圧縮直後において、可動スクロール(76)のラップ(76a)の外円弧部(75d,76d)が、固定スクロール(75)のラップ(75a)の内円弧部(75e,76e)と湾曲部(75f,76f)との接点Aを超えると、冷媒の流速が速くなるとともに、外円弧部(75d,76d)と固定スクロール(75)の内壁面との間が広くなるため、吐出通路を増大させることができ、増大した吐出通路と連通した圧縮室(73)から圧縮された冷媒を吐出ポート(93)から素早く吐出させることができる。このため、吐出ポート(93)周辺が高温状態になっていた場合でも、冷媒が分解される温度まで昇温することを抑制でき、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保してスクロール圧縮機の信頼性を向上できる。
さらに、圧縮直後に外円弧部(75d,76d)と固定スクロール(75)の内壁面との間が広くなり、吐出通路が増大するから、冷媒の吐出量を十分に確保しつつ吐出ポート(93)の孔径を小さくできる。これにより、両スクロール(75,76)の径方向の面積を小さくしてスクロール圧縮機(30)を小型化することができる。
また、圧縮直後に外円弧部(75d,76d)と固定スクロール(75)の内壁面との間を広くすることで、熱膨張時に両ラップ(75a,76a)の巻き始め部分同士が引っ掛かりにくくなり、圧縮機構(82)のスムーズな回転運動を実現できる。
第2の発明によれば、吸入管(57)を吸入ポート(98)に接続することで、吸入管(57)を流通する冷媒が吸入ポート(98)を通って圧縮室(73)に直接吸入されるようなダイレクト吸入路(99)を形成するようにしたから、低温状態の冷媒を圧縮室(73)内に直接吸入することができ、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保してスクロール圧縮機の信頼性を向上できる。
具体的に、吸入管(57)から吸入される冷媒をクランク室等の貯留空間に貯留させ、この貯留空間を介して吸入ポート(98)に冷媒を吸入するようにした構成のスクロール圧縮機では、冷媒が貯留空間に貯留されている間に冷媒の温度が高くなってしまう。また、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、熱安定性が悪く高温環境下で分解されてしまうため、吸入時の温度が高い状態の冷媒を圧縮すると、吐出ポート(93)から吐出されるまでの間に冷媒の分解が促進されて圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率が著しく低下するおそれがある。
これに対し、本発明では、低温状態の低圧冷媒をダイレクト吸入路(99)を介して圧縮室(73)内に直接吸入するようにしたから、圧縮過程において冷媒が高温になったとしても、冷媒が分解される温度まで昇温することを抑制でき、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保してスクロール圧縮機の信頼性を向上できる。
第3の発明によれば、圧縮室(73)と吐出空間(100)との差圧に応じて吐出ポート(93)を開閉自在な開閉機構(94,110)を設けたから、吐出空間(100)から圧縮室(73)への冷媒の逆流を防止することができ、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保してスクロール圧縮機の信頼性を向上できる。
具体的に、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、熱安定性が悪く高温環境下で分解されてしまうため、冷媒の逆流によって吐出ポート(93)周辺が高温となった場合には、冷媒の分解が促進されて圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率が著しく低下するおそれがある。
これに対し、本発明では、開閉機構(94,110)を設けて冷媒の逆流を防止するようにしたから、吐出ポート(93)周辺が高温となることを抑制して冷媒が分解されるのを抑えることで、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保できる。
第4の発明によれば、可撓性を有するリード弁(94)を吐出ポート(93)に設けて、圧縮室(73)と吐出空間(100)との差圧に応じて吐出ポート(93)を開閉自在としたから、比較的簡単な構成で開閉機構(94)を構成することができ、コスト低減に有利となる。
第5の発明によれば、吐出ポート(93)を閉塞する蓋部材(111)と、蓋部材(111)を吐出ポート(93)を閉塞する方向に付勢する付勢バネ(112)とで開閉機構(110)を構成し、圧縮室(73)と吐出空間(100)との差圧に応じて付勢バネ(112)の付勢力に抗して蓋部材(111)を開放するようにしたから、付勢バネ(112)の付勢力により吐出ポート(93)を確実に閉塞でき、吐出空間(100)から圧縮室(73)への冷媒の逆流をより確実に防止することができる。
第6の発明によれば、ラップ(75a,76a)の厚さ(歯厚)が外周側へ向かうに連れて薄くなっているため、ラップの巻き数及び外径を同じとした場合、従来のようにラップの厚さ(歯厚)が均一なスクロールと比べて、特に最外周に形成される圧縮室(73)の容積を大きく稼ぐことができる。したがって、所定の圧縮室(73)の容積を稼ぐために必要なラップ(75a,76a)の外径を従来よりも小さくすることができる。
さらに、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、単位体積当たりの冷凍能力が低いため圧縮室(73)の必要容積が増大するが、スクロール(75,76)の径が大きくなるのを抑制することができる。その結果、スクロール圧縮機(30)の小型化を図ることができる。
第7の発明によれば、ラップ(75a,76a)の高さが外周側へ向かうに連れて高くなっているため、ラップの巻き数及び外径を同じとした場合、従来のようにラップの高さ(歯高さ)が均一なスクロールと比べて、特に最外周に形成される圧縮室(73)の容積を大きく稼ぐことができる。所定の圧縮室(73)の容積を稼ぐために必要なラップ(75a,76a)の外径を一層小さくすることができる。よって、スクロール圧縮機(30)を一層小型にすることができる。
第8の発明によれば、圧縮機構(82)を、固定スクロール(75)のラップ(75a)と可動スクロール(76)のラップ(76a)とで巻き数が相違した非対称渦巻き構造に形成したから、十分な圧縮能力を確保するのに必要なラップ(75a,76a)の巻き数を、対称渦巻き構造に形成した場合に比べて少なくできる。これにより、スクロール径を小さくすることができ、圧縮機構(82)全体を小型化する上で有利となる。
第9の発明によれば、冷媒として、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンから成る単一冷媒又はこの単一冷媒を含む混合冷媒が用いられる。このため、冷媒回路(10)での理論上のCOPを向上させることができる。
第10の発明によれば、前記分子式で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒に、いわゆる高圧冷媒であるジフルオロメタンが加えられている。このため、冷媒の圧力損失がスクロール圧縮機(30)の圧縮効率に与える影響を小さくすることができる。
第11の発明によれば、前記分子式で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒に難燃性の冷媒であるペンタフルオロエタンが加えられている。従って、冷媒が燃えにくくすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機を備えた空気調和装置の概略構成を示す冷媒回路図である。図1に示すように、この空気調和装置(20)は、室外機(22)と3台の室内機(23)とを備えている。なお、室内機(23)の台数は特に限定するものではなく、単なる例示である。
前記空気調和装置(20)は、冷媒を充填されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。冷媒回路(10)は、室外機(22)に収容される室外回路(9)と、各室内機(23)に収容される室内回路(17)とを備えている。これらの室内回路(17)は、液側連絡配管(18)及びガス側連絡配管(19)によって室外回路(9)に接続されている。これらの室内回路(17)は、互いに並列に接続されている。
本実施形態の冷媒回路(10)には、冷媒として2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(以下、「HFO−1234yf」という。)の単一冷媒が充填されている。なお、HFO−1234yfの化学式は、CF−CF=CHで表される。
<室外回路の構成>
前記室外回路(9)には、圧縮機(30)、室外熱交換器(11)、室外膨張弁(12)、及び四路切換弁(13)が設けられている。
前記圧縮機(30)は、例えば運転容量が可変なインバータ式の圧縮機として構成されている。圧縮機(30)には、インバータを介して電力が供給される。圧縮機(30)は、吐出側が四路切換弁(13)の第2ポート(P2)に接続され、吸入側が四路切換弁(13)の第1ポート(P1)に接続されている。なお、圧縮機(30)についての詳細は後述する。
前記室外熱交換器(11)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。室外熱交換器(11)の近傍には、室外ファン(14)が設けられている。室外熱交換器(11)では、室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(11)は、一端が四路切換弁(13)の第3ポート(P3)に接続され、他端が室外膨張弁(12)に接続されている。また、四路切換弁(13)の第4ポート(P4)は、ガス側連絡配管(19)に接続されている。
前記室外膨張弁(12)は、室外熱交換器(11)と室外回路(9)の液側端との間に設けられている。室外膨張弁(12)は、開度可変の電子膨張弁として構成されている。
前記四路切換弁(13)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通して第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通して第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とが切り換え自在に構成されている。
<室内回路の構成>
前記室内回路(17)には、そのガス側端から液側端へ向かって順に、室内熱交換器(15)と、室内膨張弁(16)とが設けられている。
前記室内熱交換器(15)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。室内熱交換器(15)の近傍には、室内ファン(21)が設けられている。室内熱交換器(15)では、室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。また、室内膨張弁(16)は、開度可変の電子膨張弁として構成されている。
<圧縮機の構成>
前記圧縮機(30)は、例えば全密閉の高低圧ドーム型のスクロール圧縮機として構成されている。圧縮機(30)の構成を図2〜図4に従って説明する。
前記圧縮機(30)は、いわゆる縦型で円筒形の密閉容器を形成するケーシング(70)を備えている。ケーシング(70)の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構(82)と、圧縮機構(82)を駆動する電動機(85)とが収納されている。この電動機(85)は、圧縮機構(82)の下方に配置され、回転軸であるクランク軸(90)を介して圧縮機構(82)に連結されている。
前記電動機(85)は、ステータ(83)とロータ(84)とを備えている。ステータ(83)は、ケーシング(70)の胴部に固定されている。一方、ロータ(84)は、ステータ(83)の内側に配置され、クランク軸(90)が連結されている。
前記圧縮機構(82)は、可動スクロール(76)と固定スクロール(75)とを備えている。可動スクロール(76)は、略円板状の可動側鏡板(76b)と、渦巻き状の可動側ラップ(76a)とを備えている。可動側ラップ(76a)は、可動側鏡板(76b)の前面(上面)に立設されてインボリュート曲線で形成され、その巻き始め部分には、外壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に滑らかに連続する外円弧部(76d)と、内壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に滑らかに連続する内円弧部(76e)と、外円弧部(76d)の端点及び内円弧部(76e)の端点とを繋ぐ湾曲部(76f)とが形成されている。
また、前記可動側鏡板(76b)の背面(下面)には、クランク軸(90)の偏心部が挿入された円筒状の突出部(76c)が立設されている。可動スクロール(76)は、オルダムリング(79)を介して、可動スクロール(76)の下側に配置されたハウジング(77)に支持されている。
一方、前記固定スクロール(75)は、略円板状の固定側鏡板(75b)と、渦巻き状の固定側ラップ(75a)とを備えている。固定側ラップ(75a)は、固定側鏡板(75b)の前面(下面)に立設されてインボリュート曲線で形成され、その巻き始め部分には、外壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に滑らかに連続する外円弧部(75d)と、内壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に滑らかに連続する内円弧部(75e)と、外円弧部(75d)の端点と内円弧部(75e)の端点とを繋ぐ湾曲部(75f)とが形成されている。
そして、前記圧縮機構(82)では、固定側ラップ(75a)と可動側ラップ(76a)とが互いに噛み合うことによって、両ラップ(75a,76a)の接触部の間に複数の圧縮室(73)が形成されている。
なお、本実施形態の圧縮機(30)では、いわゆる非対称渦巻き構造が採用されており、固定側ラップ(75a)と可動側ラップ(76a)とで巻き数(渦巻きの長さ)が相違している。具体的に、固定側ラップ(75a)の巻数は、可動側ラップ(76a)の巻数に対して1/2巻分多く(長く)している。
前記複数の圧縮室(73)は、固定側ラップ(75a)の内周面と可動側ラップ(76a)の外周面との間に構成される第1圧縮室(73a)と、固定側ラップ(75a)の外周面と可動側ラップ(76a)の内周面との間に構成される第2圧縮室(73b)とから構成されている。
前記圧縮機構(82)では、固定スクロール(75)の外縁部に吸入ポート(98)が形成されている。吸入ポート(98)には、ケーシング(70)の頂部を貫通する吸入管(57)が接続されている。これにより、吸入管(57)を流通する冷媒が吸入ポート(98)を通って圧縮室(73)に直接吸入されるようなダイレクト吸入路(99)が形成される。
前記吸入ポート(98)は、可動スクロール(76)の公転運動に伴って、第1圧縮室(73a)と第2圧縮室(73b)のそれぞれに間欠的に連通する。また、吸入ポート(98)には、圧縮室(73)から吸入管(57)へ戻る冷媒の流れを禁止する吸入逆止弁が設けられている(図示省略)。
また、前記圧縮機構(82)では、固定側鏡板(75b)の中央部に吐出ポート(93)が形成されている。吐出ポート(93)は、可動スクロール(76)の公転運動に伴って、第1圧縮室(73a)と第2圧縮室(73b)のそれぞれに間欠的に連通する。吐出ポート(93)は、固定スクロール(75)の上側に形成されたマフラー空間(96)に開口している。
前記マフラー空間(96)における固定側鏡板(75b)の上面には、開閉機構としてのリード弁(94)が設けられている。このリード弁(94)は、吐出ポート(93)の開口部を開閉自在に構成されている。すなわち、リード弁(94)は、可撓性を有する板状体で形成されており、圧縮室(73)の圧力とマフラー空間(96)の圧力との差圧に応じて撓むことで開閉動作を行うように構成されている。
すなわち、前記圧縮機構(82)では、圧縮途中の圧縮室(73)内の圧力が所定値未満の場合、リード弁(94)が閉状態となり、圧縮室(73)内の圧力が所定値以上になると、リード弁(94)が開状態となる。そして、リード弁(94)が開状態になると、圧縮室(73)内の冷媒が吐出ポート(93)を通ってマフラー空間(96)へ排出される。
このような構成とすれば、マフラー空間(96)及び吐出空間(100)から圧縮室(73)への冷媒の逆流を防止し、吐出ポート(93)周辺が高温となることを抑制して冷媒が分解されるのを抑えることで、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保できる。
前記ケーシング(70)内は、円盤状のハウジング(77)によって、上側の吸入空間(101)と下側の吐出空間(100)とに区画されている。吸入空間(101)は、連通ポート(102)を通じて、吸入ポート(98)に連通している。このため、吸入空間(101)は、吸入ポート(98)から吸入された冷媒で満たされる低圧空間となる。
前記吐出空間(100)は、固定スクロール(75)とハウジング(77)とに亘って形成された連絡通路(103)を通じて、マフラー空間(96)に連通している。運転中の吐出空間(100)は、吐出ポート(93)から吐出された冷媒がマフラー空間(96)を通じて流入するので、圧縮機構(82)で圧縮された冷媒で満たされる高圧空間となる。吐出空間(100)には、ケーシング(70)の胴部を貫通する吐出管(56)が開口している。
本実施形態の圧縮機(30)のケーシング(70)内には、有機材料によって構成された部品として、ステータ(83)の巻き線の絶縁被覆材料、絶縁フィルム、及び圧縮機構(82)のシール材料が用いられている。これらの部品には、高温高圧の冷媒に接触した場合でも、冷媒により物理的や化学的に変性を受けない物質で、特に耐溶剤性、耐抽出性、熱的・化学的安定性、耐発泡性を有する物質が用いられている。
具体的に、ステータ(83)の巻き線の絶縁被覆材料は、ポリビニルフォルマール、ポリエステル、THEIC変性ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミドのうちから選ばれる1種類又は複数種類の物質が用いられている。なお、好ましいのは、上層がポリアミドイミド、下層がポリエステルイミドの二重被覆線である。また、前記物質以外に、ガラス転移温度が120℃以上のエナメル被覆を用いてもよい。
また、絶縁フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテフタレート(PBT)の何れかが用いられている。なお、絶縁フィルムに、発泡材料が冷凍サイクルの冷媒と同じ発泡フィルムを用いることも可能である。また、インシュレーター等の巻き線を保持する絶縁材料には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)の何れかが用いられている。ワニスには、エポキシ樹脂が用いられている。また、シール材料には、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド繊維やNBRからなるパッキン、パーフルオロエラストマーパーフルオロエラストマー、シリコンゴム、水素化NBRゴム、フッ素ゴムの何れかが用いられている。
また、前記ケーシング(70)の底部には、冷凍機油が貯留される油溜まりが形成されている。また、クランク軸(90)の内部には、油溜まりに開口する第1給油通路(104)が形成されている。また、可動側鏡板(76b)には、第1給油通路(104)に接続する第2給油通路(105)が形成されている。この圧縮機(30)では、油溜まりの冷凍機油が第1給油通路(104)及び第2給油通路(105)を通じて低圧側の圧縮室(73)に供給される。
<スクロール圧縮機の運転動作>
前記スクロール圧縮機(30)の運転動作について図4を用いて説明する。まず、クランク軸(90)を回転駆動させると、その回転駆動力が可動スクロール(76)に伝達される。そして、可動スクロール(76)が、クランク軸(90)の回転中心の周りで公転動作することで、固定スクロール(75)と可動スクロール(76)との間に形成された圧縮室(73)の容積が変化する。
前記圧縮室(73)では、前記容積変化に伴って吸入ポート(98)から低圧の冷媒が吸引されるとともに、両スクロール(75,76)の中心に向かって移動しながらその容積を減少させて冷媒を圧縮する。このとき、両スクロール(75,76)の中心においては、可動スクロール(76)の外円弧部(76d)が、固定側ラップ(75a)の内壁面に沿って、内壁面のインボリュート曲線の巻き始め点Bまで移動する(図4(a))。そして、可動スクロール(76)の外円弧部(76d)が固定スクロール(75)の内円弧部(75e)に沿って移動する(図4(b))。
その後、固定スクロール(75)の内円弧部(75e)と固定スクロール(75)の湾曲部(75f)との接点Aにおいて(図4(c))、可動スクロール(76)の外円弧部(76d)が固定側ラップ(75a)の内壁面から離れる(図4(d))。これにより、第1圧縮室(73a)と吐出ポート(93)とが連通することになり、圧縮された冷媒が吐出ポート(93)から吐出される。
以上のように、本実施形態に係るスクロール圧縮機(30)によれば、各スクロール(75,76)のラップ(75a,76a)における巻き始め部分に、外円弧部(75d,76d)、内円弧部(75e,76e)、及び湾曲部(75f,76f)を形成したから、圧縮直後において、可動スクロール(76)のラップ(76a)の外円弧部(75d,76d)が、固定スクロール(75)のラップ(75a)の内円弧部(75e,76e)と湾曲部(75f,76f)との接点Aを超えると、冷媒の流速が速くなるとともに、外円弧部(75d,76d)と固定スクロール(75)の内壁面との間が広くなるため、吐出通路を増大させることができ、増大した吐出通路と連通した圧縮室(73)から圧縮された冷媒を吐出ポート(93)から素早く吐出させることができる。このため、吐出ポート(93)周辺が高温状態になっていた場合でも、冷媒が分解される温度まで昇温することを抑制でき、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保してスクロール圧縮機(30)の信頼性を向上できる。
<空気調和装置の運転動作>
前記空気調和装置(20)の運転動作について説明する。この空気調和装置(20)は、冷房運転と暖房運転とが実行可能になっており、四路切換弁(13)によって冷房運転と暖房運転との切り換えが行われる。
−冷房運転−
冷房運転時には、四路切換弁(13)が第1状態に設定される。この状態で、圧縮機(30)の運転が行われると、圧縮機(30)から吐出された高圧冷媒が、室外熱交換器(11)において室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(11)で凝縮した冷媒は、各室内回路(17)へ分配される。各室内回路(17)では、流入した冷媒が、室内膨張弁(16)で減圧された後に、室内熱交換器(15)において室内空気から吸熱して蒸発する。一方、室内空気は冷却されて室内へ供給される。
前記各室内回路(17)で蒸発した冷媒は、他の室内回路(17)で蒸発した冷媒と合流して、室外回路(9)へ戻ってくる。室外回路(9)では、各室内回路(17)から戻ってきた冷媒が、圧縮機(30)で再び圧縮されて吐出される。なお、冷房運転中は、各室内膨張弁(16)の開度が、室内熱交換器(15)の出口における冷媒の過熱度が一定値(例えば5℃)になるように過熱度制御される。
−暖房運転−
暖房運転時には、四路切換弁(13)が第2状態に設定される。この状態で、圧縮機(30)の運転が行われると、圧縮機(30)から吐出された高圧冷媒が、各室内回路(17)へ分配される。各室内回路(17)では、流入した冷媒が室内熱交換器(15)において室内空気へ放熱して凝縮する。一方、室内空気は加熱されて室内へ供給される。室内熱交換器(15)で凝縮した冷媒は、室内膨張弁(16)で減圧された後に、他の室内回路(17)を通過した冷媒と合流し、室外回路(9)へ戻ってくる。
前記室外回路(9)では、各室内回路(17)から戻ってきた冷媒が、室外熱交換器(11)において室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(11)で蒸発した冷媒は、圧縮機(30)で再び圧縮されて吐出される。なお、暖房運転中は、各室内膨張弁(16)の開度が、室内熱交換器(15)の出口における冷媒の過冷却度が一定値(例えば5℃)になるようにサブクール制御される。
<変形例1>
本実施形態の変形例1では、吐出ポート(93)を閉塞する開閉機構(110)として、図5に示すような構成のものを用いている。図5に示すように、固定スクロール(75)の固定側鏡板(75b)の上面で且つ略中央位置には、鏡板凹部(75c)が形成されている。この鏡板凹部(75c)内には、吐出ポート(93)を開閉自在な開閉機構(110)が配設されている。
前記開閉機構(110)は、吐出ポート(93)を閉塞する蓋部材(111)と、蓋部材(111)を吐出ポート(93)を閉塞する方向に付勢する付勢バネ(112)と、付勢バネ(112)の上部を押圧して付勢バネ(112)に付勢力を付与する押圧部材(113)とを備えている。この押圧部材(113)は、板状体で形成され、その外周縁部が鏡板凹部(75c)の内周面に埋め込まれている。
そして、前記開閉機構(110)は、圧縮室(73)とマフラー空間(96)との差圧に応じて付勢バネ(112)の付勢力に抗して蓋部材(111)を開放するように構成されている。すなわち、圧縮機構(82)では、圧縮途中の圧縮室(73)内の圧力が所定値未満の場合、蓋部材(111)が閉状態となり、圧縮室(73)内の圧力が所定値以上になると、蓋部材(111)が開状態となる。そして、蓋部材(111)が開状態になると、圧縮室(73)内の冷媒が吐出ポート(93)を通ってマフラー空間(96)へ排出される。
このような構成とすれば、マフラー空間(96)及び吐出空間(100)から圧縮室(73)への冷媒の逆流を防止して吐出ポート(93)周辺が高温となることを抑制し、冷媒が分解されるのを抑えることで、圧縮機構(82)における冷媒の圧縮効率を十分に確保して圧縮機(30)の信頼性を向上できる。
また、前記付勢バネ(112)の付勢力により蓋部材(111)を吐出ポート(93)側に押圧して吐出ポート(93)を確実に閉塞できるため、吐出空間(100)から圧縮室(73)への冷媒の逆流をより確実に防止することができる。
<変形例2>
図6は本変形例2に係る圧縮機構における固定スクロールの構成を示す平面図、図7は圧縮機構の縦断面図である。図6及び図7に示すように、固定スクロール(75)及び可動スクロール(76)の各ラップ(75a,76a)の厚さ(歯厚)及び高さ(歯高さ)が変化している。
具体的に、各ラップ(75a,76a)の厚さ(歯厚)は、巻き始め側(ラップ(75a,76a)の中心側)から巻き終り側(ラップ(75a,76a)の外周側)に向かうに連れて次第に薄くなるように形成されている。
このような構成とすれば、ラップ(75a,76a)の厚さ(歯厚)が外周側へ向かうに連れて薄くなっているため、ラップの巻き数及び外径を同じとした場合、従来のようにラップの厚さ(歯厚)が均一なスクロールと比べて、特に最外周に形成される圧縮室(73)の容積、すなわち閉じ込み容積を大きく稼ぐことができる。したがって、所定の圧縮室(73)の容積を稼ぐために必要なラップ(75a,76a)の外径を従来よりも小さくすることができる。
また、前記ラップ(75a,76a)の中心側に向かうほどラップ(75a,76a)の厚さが増すため、その中心側ほどラップ(75a,76a)の強度が増すこととなる。したがって、圧縮室(73)の圧力はラップ(75a,76a)の中心側に向かうに連れて増大するが、ラップ(75a,76a)の強度不足は起こらない。
さらに、本変形例2では、ラップ(75a,76a)の高さを途中で変化させるようにしている。具体的に、固定スクロール(75)の固定側ラップ(75a)は、図6の境界位置Xにおいて高さが変化しており、巻き始め側(中心側)よりも巻き終り側(外周側)が高くなっている。可動スクロール(76)の可動側ラップ(76a)も同様に、境界位置Xにおいて高さが変化しており、巻き始め側(中心側)よりも巻き終り側(外周側)が高くなっている。
このような構成とすれば、ラップの高さ(歯高さ)が均一に形成された場合と比べて、ラップ(75a,76a)の外周側に形成される圧縮室(73)の容積を稼ぐことができる。つまり、ラップ(75a,76a)の外径を大きくすることなく、またラップ(75a,76a)の巻き数を増やすことなく、外周側の圧縮室(73)の容積を増大させることができる。
ここで、本発明で用いられる冷媒「HFO−1234yf」は単位体積当たりの冷凍能力が低いため、同様の冷凍能力を確保するためには圧縮室(73)に取り込む冷媒量を増やす必要がある。つまり、最外周の圧縮室(73)の容積(閉じ込み容積)を増やす必要がある。その場合でも、本発明によれば、ラップ(75a,76a)の外径が大きくなるのを抑制しつつ、最外周の圧縮室(73)の容積を大きく稼ぐことができる。その結果、スクロール(75,76)の外径を小さくすることができ、スクロール圧縮機(30)の小型化を図ることができる。
なお、ラップ(75a,76a)の高さは低い方がラップ(75a,76a)の剛性が増す。したがって、本変形例2のように圧縮室(73)の圧力が高くなる中心側のラップ(75a,76a)の高さを低くすることで、強度的にも満足しやすくなる。
また、本変形例2では、ラップ(75a,76a)の途中に段差を1箇所だけ設けて高さを変えるようにしたが、段差を複数設けて、中心側から外周側へ向かって複数段階にラップ(75a,76a)の高さを高くするようにしてもよい。
また、中心側から外周側へ向けて段階的ではなく連続的にラップ(75a,76a)の高さを高くするようにしてもよい。つまり、ラップ(75a,76a)の高さが中心側から外周側へいくに従って次第に高くなる。
<その他の実施形態>
前記実施形態は、以下のように構成してもよい。
前記実施形態では、冷媒回路(10)の冷媒として、前記分子式で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒のうちHFO−1234yf以外の冷媒の単一冷媒を用いてもよい。具体的には、1,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン(「HFO−1225ye」といい、化学式はCF−CF=CHFで表される。)、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(「HFO−1234ze」といい、化学式はCF−CH=CHFで表される。)、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(「HFO−1234ye」といい、化学式はCHF−CF=CHFで表される。)、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(「HFO−1243zf」といい、化学式はCF−CH=CHで表される。)、1,2,2−トリフルオロ−1−プロペン(化学式はCH−CF=CFで表される。)、2−フルオロ−1−プロペン(化学式はCH−CF=CHで表される。)等を用いることができる。
また、前記実施形態について、前記分子式で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,2,2−トリフルオロ−1−プロペン、2−フルオロ−1−プロペン)に、HFC−32(ジフルオロメタン)、HFC−125(ペンタフルオロエタン)、HFC−134(1,1,2,2―テトラフルオロエタン)、HFC−134a(1,1,1,2―テトラフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−161、HFC−227ea、HFC−236ea、HFC−236fa、HFC−365mfc、メタン、エタン、プロパン、プロペン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、ビス−トリフルオロメチル−サルファイド、二酸化炭素、ヘリウムのうち少なくとも1つを加えた混合冷媒を用いてもよい。
例えば、HFO−1234yfとHFC−32の2成分からなる混合冷媒を用いてもよい。この場合は、78.2質量%のHFO−1234yfと、21.8質量%のHFC−32とからなる混合冷媒を用いることができる。また、HFO−1234yfの割合が77.6質量%でHFC−32の割合が22.4質量%の混合冷媒を用いることができる。なお、HFO−1234yfとHFC−32の混合冷媒は、HFO−1234yfの割合が70質量%以上94質量%以下でHFC−32の割合が6質量%以上30質量%以下であればよく、好ましくは、HFO−1234yfの割合が77質量%以上87質量%以下でHFC−32の割合が13質量%以上23質量%以下であればよく、さらに好ましくは、HFO−1234yfの割合が77質量%以上79質量%以下でHFC−32の割合が21質量%以上23質量%以下であればさらに好ましい。
また、HFO−1234yfとHFC−125の混合冷媒を用いてもよい。この場合は、HFC−125の割合が10質量%以上であるのが好ましく、さらに10質量%以上20質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、HFO−1234yfとHFC−32とHFC−125の3成分からなる混合冷媒を用いてもよい。この場合は、52質量%のHFO−1234yfと、23質量%のHFC−32と、25質量%のHFC−125とからなる混合冷媒を用いることができる。
また、前記実施形態について、圧縮機(30)が、横型であってもよい。
以上説明したように、本発明は、分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒を用いるスクロール圧縮機において、吐出ポート周辺で冷媒が高温になるのを抑制し、圧縮機の信頼性を向上させることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機を備えた空気調和装置の概略構成を示す冷媒回路図である。 圧縮機の構成を示す縦断面図である。 圧縮機における圧縮機構の構成を示す横断面図である。 各スクロールの動作を示す概略断面図である。 変形例1に係る圧縮機構の構成を示す縦断面図である。 変形例2に係る圧縮機構における固定スクロールの構成を示す平面図である。 変形例2に係る圧縮機構の構成を示す縦断面図である。
符号の説明
30 圧縮機(スクロール圧縮機)
57 吸入管
73 圧縮室
75 固定スクロール
75a 固定側ラップ
75b 固定側鏡板
75d 外円弧部
75e 内円弧部
75f 湾曲部
76 可動スクロール
76a 可動側ラップ
76d 外円弧部
76e 内円弧部
76f 湾曲部
82 圧縮機構
93 吐出ポート
94 リード弁(開閉機構)
98 吸入ポート
99 ダイレクト吸入路
100 吐出空間
110 開閉機構
111 蓋部材
112 付勢バネ

Claims (11)

  1. 分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒、又は該冷媒を含む混合冷媒を圧縮する圧縮機構(82)を備え、
    前記圧縮機構(82)は、固定スクロール(75)と、該固定スクロール(75)に対して偏心回転運動を行う可動スクロール(76)とを有し、両スクロール(75,76)の渦巻き状のラップ(75a,76a)同士が噛合することで圧縮室(73)が形成されたスクロール圧縮機であって、
    前記各スクロール(75,76)のラップ(75a,76a)における巻き始め部分には、外壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する外円弧部(75d,76d)と、内壁側のインボリュート曲線の巻き始め点に連続する内円弧部(75e,76e)と、該外円弧部(75d,76d)と該内円弧部とを繋ぐ湾曲部(75f,76f)とが形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    前記圧縮機構(82)に対して冷媒を吸入するための吸入管(57)を備え、
    前記固定スクロール(75)の鏡板(75b)には、その外縁部に形成されて前記圧縮室(73)と連通する吸入ポート(98)が設けられ、
    前記吸入管(57)を前記吸入ポート(98)に接続して、該吸入管(57)を流通する冷媒が該吸入ポート(98)を通って前記圧縮室(73)に直接吸入されるダイレクト吸入路(99)を形成するようにしたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、
    前記固定スクロール(75)の鏡板(75b)には、その中央部に形成されて前記圧縮室(73)の冷媒を吐出空間(100)へ吐出する吐出ポート(93)が設けられ、
    前記吐出ポート(93)には、前記圧縮室(73)と前記吐出空間(100)との差圧に応じて該吐出ポート(93)を開閉自在な開閉機構(94,110)が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項3において、
    前記開閉機構(94)は、前記圧縮室(73)と前記吐出空間(100)との差圧に応じて撓むことで開閉動作を行うリード弁(94)で構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項3において、
    前記開閉機構(110)は、前記吐出ポート(93)を閉塞する蓋部材(111)と、該蓋部材(111)を該吐出ポート(93)を閉塞する方向に付勢する付勢バネ(112)とを備え、前記圧縮室(73)と前記吐出空間(100)との差圧に応じて該付勢バネ(112)の付勢力に抗して該蓋部材(111)を開放するように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項1乃至5のうち何れか1項において、
    前記両スクロール(75,76)は、前記ラップ(75a,76a)の厚さが該ラップ(75a,76a)の中心側から外周側に向かうに連れて薄くなるように形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項1乃至6のうち何れか1項において、
    前記両スクロール(75,76)は、前記ラップ(75a,76a)の高さが該ラップ(75a,76a)の中心側から外周側に向かうに連れて段階的又は連続的に高くなるように形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  8. 請求項1乃至7のうち何れか1項において、
    前記圧縮機構(82)は、前記固定スクロール(75)のラップ(75a)と前記可動スクロール(76)のラップ(76a)とで巻き数が相違した非対称渦巻き構造に形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  9. 請求項1乃至8のうち何れか1項において、
    前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンであることを特徴とするスクロール圧縮機。
  10. 請求項1乃至9のうち何れか1項において、
    前記冷媒は、前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒と、ジフルオロメタンとを含む混合冷媒であることを特徴とするスクロール圧縮機。
  11. 請求項1乃至9のうち何れか1項において、
    前記冷媒は、前記分子式:C(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒と、ペンタフルオロエタンとを含む混合冷媒であることを特徴とするスクロール圧縮機。
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