JP2009223987A - 磁気抵抗効果素子の評価方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気抵抗効果素子の評価を従来よりも適切に行う。
【解決手段】ハード膜が第1の方向に着磁されている磁気抵抗効果素子に対して、第1の方向とは反対の第2の方向に外部磁場を印加し、磁場を初期磁界から測定最大印加磁界まで変化させたときの抵抗の最大値を求める工程(ステップS16、S18)を、測定最大印加磁界を段階的に変化させて行う(ステップS26)ので、磁場がある値になった時点で、それよりも小さな磁場における特性(抵抗値)が変化するような現象が発生しても、その特性変化を認識することができる。これにより、磁気抵抗効果素子の適切な評価を実現することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は磁気抵抗効果素子の評価方法に関し、特にハードディスクドライブの再生ヘッド等に用いられる磁気抵抗効果素子の評価方法に関する。
従来より、磁気抵抗効果素子の磁場印加出力特性を測定する方法の1つとして、QST(quasi-static)が用いられている。従来、QSTでは、ディスク媒体に対して磁気ヘッド(再生素子)を浮上させた状態と同等の状態を維持しつつ、ハード膜のバイアス方向に垂直な方向(媒体磁場方向)に磁場を印加することにより、磁場印加出力特性の測定を行うこととしていた。
これに対し、最近においては、上記測定では確認することができなかった再生ヘッド(再生素子)の磁気特性を確認するために、水平方向に磁場を印加する検査方法が出現してきている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の方法は、ハード膜のバイアス方向に磁場を印加し、その磁場を漸次増加又は減少させつつ抵抗値を測定して、その測定結果に基づいて磁気抵抗効果型ヘッドを検査する、というものである。
特開平10−124825号公報
しかるに、上記特許文献1に記載の方法では、素子の耐性についての正確な測定を行うことができない場合がある。これは、例えば、磁場を初期磁界(例えば0[Gauss])から所定磁界(例えば3000[Gauss])まで徐々に(漸次)大きくして、その都度抵抗値を求めることとすると、磁場が所定磁界(3000[Gauss])になった時点で、それよりも小さな磁場(例えば1000[Gauss])における特性(抵抗値)が変化したとしても、それを認識することができないからである。
また、上記特許文献1に記載の検査方法で得られる測定結果だけでは、評価可能な磁気特性の種類も限られている。例えば、ピン層、フリー層及びハード膜を含む強磁性層のバランスなどの評価を行うのは困難である。
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、磁気抵抗効果素子を適切に評価することが可能な磁気抵抗効果素子の評価方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本明細書開示の第1の磁気抵抗効果素子の評価方法は、磁気抵抗効果素子をコア幅の第1の方向に着磁する工程と、測定する最大印加磁界を段階的に大きくし、前記各段階で前記磁気抵抗効果素子の抵抗の最大値を測定する抵抗測定工程とを有し、前記抵抗測定工程は、前記各段階で、前記第1の方向とは反対の第2の方向に磁場を印加して、前記磁場を初期磁界から前記測定最大印加磁界まで変化させたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗の最大値を求めることを特徴とする。
これによれば、第1の方向とは反対の第2の方向に磁場を印加し、磁場を初期磁界から測定最大印加磁界まで変化させたときの磁気抵抗効果素子の抵抗の最大値を求める工程を、測定最大印加磁界を段階的に変化させて行うので、従来のように磁場を初期磁界から変化させつつ抵抗値を求める場合には測定することができなかった抵抗値の変化を測定することが可能となる。例えば、従来のように磁場を徐々に(漸次)大きくして、その都度抵抗値を求める場合には、磁場が所定値になった時点で、それよりも小さな磁場での磁気抵抗効果素子の特性(抵抗値)変化を認識することはできなかったが、本明細書開示の磁気抵抗効果素子の評価方法では、各段階において、磁場を初期磁界から測定最大印加磁界まで変化させつつ抵抗値の最大値を測定するので、上記のような磁気抵抗効果素子の特性変化を認識することができる。したがって、この特性変化を用いることにより、素子の評価を従来よりも適切に行うことが可能となる。
また、本明細書開示の第2の磁気抵抗効果素子の評価方法は、磁気抵抗効果素子をコア幅方向の第1の方向に着磁した後、第1の方向とは反対の第2の方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第1の磁界を測定する工程と、前記磁気抵抗効果素子をコア幅方向の第2の方向に着磁した後、第1の方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第2の磁界を測定する工程と、前記第1の磁界と前記第2の磁界とを比較することで、固定層の固定角度及び強磁性層のバランスを評価する工程と、を含むことを特徴とする。
これによれば、前磁気抵抗効果素子を第1の方向に着磁した後、第2の方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第1の磁界と、第2の方向に着磁した後、第1の方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第2の磁界とを比較して、固定層の固定角度及び強磁性層のバランスを評価することにより、着磁方向及び外部磁場方向の違いを考慮した固定層の固定角度評価、及び強磁性層のバランスの評価を行うことができるので、磁気抵抗効果素子の評価を適切に行うことが可能となる。
本明細書に開示の磁気抵抗効果素子の評価方法は、磁気抵抗効果素子の評価を適切に行うことができるという効果を奏する。
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図8に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の磁気抵抗効果素子の評価方法の実施に好適な、磁気抵抗効果素子としての磁気ヘッド100の要部断面図である。
本第1の実施形態の磁気ヘッド100は、磁気ディスクに情報を記録する記録部と情報を再生する再生部とからなる複合型の磁気ヘッドであるが、図1では再生部のみを示している。図1は、この再生部を、磁気ディスク表面に平行な面で切断した断面図である。
磁気ヘッド100は、非磁性の基板24、当該基板24上に順次形成された下部シールド層22及び下部絶縁層20、下部絶縁層20上に形成された磁気抵抗効果膜30、磁気抵抗効果膜30を両側から挟むように形成された左右一対の磁区制御層(ハード膜)18、ハード膜18上に形成された左右一対の電極16、電極16と磁気抵抗効果膜30の上側に形成された上部絶縁層14、及び上部絶縁層14上に形成された上部シールド層12を備えている。上部シールド層12上には、前述した不図示の記録ヘッドが形成されている。
基板24は、例えば、アルミナチタンカーバイド(Al23−TiC)からなる基材上にSi膜又はSiO2膜を形成したものである。
下部シールド層22及び上部シールド層12は、例えば、FeN等の軟磁性材料からなる層であり、磁気抵抗効果膜30に不必要な外部磁界が印加されないように磁気シールドするものである。
下部絶縁層20及び上部絶縁層14は、例えば、アルミナ(Al23)等の絶縁材料からなる層であり、磁気抵抗効果膜30、ハード膜18、電極16からの電流のリークを防止するためのものである。
ハード膜18は、例えば、Co−Pt合金、Co−Cr−Pt合金等の硬磁性を示す材料からなる層であり、磁気抵抗効果膜30に静磁界および交換相互作用などによるバイアス磁界を印加するためのものである。
電極16は、例えば、Ta/(Ti−W)/Taという、2つのTa層とこれらのTaの間に挟まれたTi−W合金との多層膜などの導電性材料からなるものであり、ハード膜18を介して磁気抵抗効果膜30にセンス電流を印加するものである。この一対の電極16によって再生信号が取り出される。
磁気抵抗効果膜30は、スピンバルブタイプの磁気抵抗効果膜であり、磁気ヘッド100の情報再生の機能を担う部分である。すなわち、磁気抵抗効果膜30は、磁気ディスクの各1ビット領域の磁化から発生する磁界に応じて抵抗が変化するので、磁気抵抗効果膜30に対して電極16から印加されているセンス電流の電流値の変化に基づいて、各1ビット領域の磁化の方向によって担持された情報を取り出すことができる。
ここで、磁気抵抗効果膜30の具体的な構造について図2(a)、図2(b)に基づいて説明する。
磁気抵抗効果膜30は、図2(a)に示すように、下部絶縁層20上に形成された反強磁性層(AFM)38と、反強磁性層38上に形成されたピン層36,34と、ピン層34上に形成されたフリー層32と、を有している。
反強磁性層38は、例えば、Pd−Pt−Mn合金等の反強磁性材料からなる層である。この反強磁性層38は、上記ピン層36,34に交換結合に伴う交換バイアス磁界を印加する。
ピン層36、34は、軟磁性を示す層である。なお、不図示ではあるが、これらピン層36,34の間には、各ピン層の磁化を互いに逆向きに結合するピン結合層が設けられている。ピン層36,34は、例えば、Co−Fe−B合金からなる層であり、ピン層36は、磁化が、反強磁性層38によって印加された交換バイアス磁界によって、図2(b)の矢印A方向に固定される。一方、ピン層34は、上述したピン結合層(不図示)によって、その磁化が、ピン層36の磁化とは逆方向(矢印B方向)に向くように固定される。このように、本実施形態では、ピン層36の磁化とピン層34の磁化とが、互いに逆方向に向いて固定されるため、ピン層36とピン層34とを含む全体では、磁化の大きさが小さくなっている。このため、ピン層36とピン層34とを含む全体の磁化は、外部からの磁界によって影響を受けにくく、磁化が安定してピン止めされ、また、磁気ディスクからの信号磁界を乱す反磁界が小さく抑えられる。
フリー層32は、例えば、Co−Fe−B合金等の軟磁性材料からなる層であり、磁化がピン止めされていない。このため、その磁化は、磁気ディスクの各1ビット領域の磁化からの磁界に応じてその層の面内で回転する。磁気抵抗効果膜30のシート抵抗は、いわゆる巨大磁気抵抗効果により、このフリー層32の磁化とピン層36,34の固定された磁化とがなす角度に応じて大きく変化する。例えば、この抵抗は、フリー層32の磁化方向がピン層34の磁化方向と逆方向となる場合に最大値をとり、フリー層32の磁化方向がピン層34の磁化方向と同一方向となる場合に最小値をとる。
次に、上述した磁気ヘッド100の評価方法について、図3、図4のフローチャートに沿って、その他の図面を適宜参照しつつ説明する。なお、この評価方法は、磁気ヘッド100に対して任意の外部磁場をかけることができ、かつ外部磁場をかけたときの磁気抵抗効果膜30の抵抗値を検出することが可能な評価装置(ヘッド磁気特性評価装置)によって実行される。
この磁気ヘッド100の評価に際しては、まず、図3のステップS10において、ハード膜18を高磁場(例えば3000[Gauss])にて着磁する。この場合、図5(a)(左図)に示すように、ハード膜18が紙面内左方向(+X方向)に着磁されたものとし、ピン層34は、前述したように図2(b)の矢印B方向(図5(a)の+Y方向)に固定されているものとする。また、フリー層32の磁化方向(図5(a)において示す点線矢印方向)は、ハード膜18とピン層34の磁化の影響により、図5(a)においてX軸とY軸に交差する方向を向いている。以下においては、図5(a)におけるフリー層32の磁化方向を、初期磁化方向と呼ぶものとする。
次いで、図3のステップS12では、測定最大印加磁界を初期値Pに設定する。ここでは、例えば初期値Pが100[Gauss]であるものとする。
次いで、ステップS14では、磁場印加回数nを0に設定する。
次いで、ステップS16では、ハード膜の着磁方向とは逆向き(−X方向)に、(初期磁界+n×M)[Gauss]の外部磁場を印加する。ここで、初期磁界としては、例えば、0[Gauss]や−5000[Gauss]などを採用することができる(本実施形態では、初期磁界として0[Gauss]を採用している)。また、Mは、測定する外部磁場間隔を意味し、例えば4[Gauss]などを採用することができる。なお、図5(a)のグラフでは、フリー層32が初期磁化方向を向いている状態での抵抗値を0(ベースライン(Base Line))とし、それよりも抵抗値が高い場合をポジティブ(Positive)、低い場合をネガティブ(Negative)と記載している。
次いで、ステップS18では、外部磁場(初期磁界+0×M)[Gauss]を印加した状態での出力(抵抗値)を取得し、次のステップS20において、nを1インクリメント(n←n+1)した後に、ステップS22に移行する。
ステップS22では、(初期磁界+n×M)[Gauss]が、ステップS12において設定した測定最大印加磁界P(100[Gauss])よりも大きいか否かを判断する。ここでは、まだ、(初期磁界+n×M)=(0+1×4)=4[Gauss]であるので判断は否定され、ステップS16に戻る。
その後は、(初期磁界+n×M)の値が測定最大印加磁界P(=100[Gauss])よりも大きくなるまでステップS16、S18、S20、S22を実行することにより、M[Gauss]間隔(0→4→8→…→100[Gauss])で外部磁界を大きくしながら、抵抗値を取得する。この場合の抵抗値の取得結果は、図5(b)に示すようなグラフとなる。
この場合、図5(b)の左図に示すように、100[Gauss]の外部磁場を印加しても、フリー層32の磁化方向は、わずかに+Y方向に近づくのみであるから、抵抗値も、図5(b)のグラフに示すように、フリー層の磁化方向が反時計回りに回転するにつれて、徐々に上昇するのみである。
次いで、ステップS24では、図5(b)のグラフから、出力(抵抗値)の最大値と最小値を取得する。この場合、図5(b)のグラフに示す最大値Max1と最小値Min1(=0)を取得することになる。
次いで、ステップS26では、測定最大印加磁界Pをpだけ増加させる。ここで、pは、例えば100[Gauss]であるものとする。次いで、ステップS28では、測定最大印加磁界Pが試験上限磁界(例えば、5000[Gauss])を超えたか否かについて判断するが、ここでは、まだP=200[Gauss]であるので、判断は否定され、ステップS14に戻る。
その後は、ステップS14〜ステップS28を繰り返すことにより、測定最大印加磁界を段階的に上げながら(100→200→300→…→4900→5000[Gauss])、初期磁界(0[Gauss])から測定最大印加磁界までの抵抗値の測定を行い、それらの抵抗値のうち、最大値と最小値を取得する。
この場合、例えば、測定最大印加磁界が800[Gauss]である場合には、図5(c)の左図に示すように、フリー層32の磁化方向がピン層34の磁化方向(矢印B)に近づいている段階であるので、図5(c)のグラフに示すように抵抗値も上昇し続ける。この場合の抵抗値の最大値がMax2で、最小値がMin2(=0)であるものとする。
また、測定最大印加磁界が1200[Gauss]である場合には、図6(a)の左図に示すように、フリー層32の磁化方向がピン層34の磁化方向(矢印B)とほぼ合致するので、図6(a)のグラフに示すように、抵抗値はほぼピークに達する。この場合の抵抗値の最大値がMax3で、最小値がMin3(=0)であるものとする。
また、測定最大印加磁界が1800[Gauss]である場合には、図6(b)の左図に示すように、フリー層32の磁化方向は、ピン層34の磁化方向(矢印B)を超えて、ピン層の初期磁化方向とほぼ左右対称な方向(ピン層34の磁化方向に関して初期磁化方向と同角度)を向くようになる。このような場合、抵抗値は、磁化方向が初期磁化方向を向いている場合と同値(すなわち0)となる。したがって、測定最大印加磁界が1800[Gauss]である場合には、図6(b)のグラフに示すように、外部磁場が初期磁場(0[Gauss])から上昇するにつれて抵抗値も上昇し、外部磁場1200[Gauss]前後をピークに、抵抗値が下降を開始し、外部磁場1800[Gauss]前後で、抵抗値がほぼ0になる。この場合の抵抗値の最大値がMax4で、最小値がMin4であるものとする。
また、測定最大印加磁界が2500[Gauss]である場合には、図6(c)の左図に示すように、外部磁場がおよそ1800[Gauss]を超えた段階で、フリー層32の磁化方向が初期磁化方向と対称な方向から−X方向に近づくように回転するので、初期状態よりも抵抗値が小さくなる(抵抗値がネガティブ側に移行する)。この場合の抵抗値の最大値がMax5で、最小値がMin5であるものとする。
また、測定最大印加磁界が3000[Gauss]に近くなると、図7(a)に示すように、ハード膜18の磁場と同強度の外部磁場がかけられることとなるので、ハード膜18の磁場が劣化して、ハード膜磁界が機能しない状態になる。この場合、フリー層32はピン層34によって固定される(図6(b)の角度よりも+X方向には回らなくなる)。したがって、図7(a)のグラフに示すように、初期磁界から外部磁場を上げていっても、抵抗値はネガティブの値しか示さなくなるため、これまで出力されていたポジティブ側のピークが消失する。なお、この場合の抵抗値の最大値がMax6で、最小値がMin6であるものとする。
また、測定最大印加磁界を3000[Gauss]以上にすると、図7(b)に示すように、ハード膜18は外部磁場と同一方向に着磁する(着磁方向が反転する)。この場合、外部磁場を上げていくと、限りなく、ハード膜18の着磁方向(−Y方向)に近づくので、抵抗値も、図7(b)のグラフに示すようになる。この場合の抵抗値の最大値がMax7で、最小値がMin7であるものとする。
以上のようにして、図3のステップS14〜ステップS28を繰り返し、測定最大印加磁界Pが試験上限磁界(5000[Gauss])を超えると、ステップS28の判断が肯定され、次のステップS30に移行する。
次のステップS30では、前述したステップS24において得られた抵抗値の最大値と最小値の変化を表した図8に示すグラフを用いて、磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)の評価を行うサブルーチンを実行する。なお、図8のグラフは、横軸が測定最大印加磁界、縦軸が抵抗値を示している。
まず、図4のステップS40では、図8のグラフに基づいて、抵抗値の最大値のピークを求め、そのピークを示す測定最大印加磁界h1に基づいて、固定層の固定角、すなわちフリー層32のバイアス角(初期磁化方向とピン層34の磁化方向との間の角度)を求める。ここで、抵抗値の最大値のピークを示す測定最大印加磁界h1は、測定最大印加磁界が大きくなるにつれて増加する傾向にあった抵抗が最大となる測定最大印加磁界を言うものとする。図8では、測定最大印加磁界h1は、最大値Max3に対応する磁界1200[Gauss]となっている。
次いで、ステップS42では、図8のグラフに基づいて、略一定の値にあった抵抗の最大値が減少を開始して所定値以下となるとともに、抵抗値の最小値が最も落ち込む測定最大印加磁界h2を求め、当該測定最大印加磁界h2を、ハード膜18の耐性磁場とする。ここで、所定値としては、0を採用することとしても良いが、本実施形態では、抵抗の最大値が0になる直前にハード膜18の着磁方向が変わると考えられるので(図7(a)参照)、0よりもやや大きい値を採用することとしている。図8では、測定最大印加磁界h2は、3000[Gauss]となっている。
そして、ステップS44では、ステップS40で取得したフリー層32のバイアス角と、ステップS42で取得したハード膜18の耐性磁場とに基づいて、磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)が良品であるか、不良品であるかを、予め定められた磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)の設計値(閾値)等に基づいて判断する。
このようにして、図4のサブルーチンを終了することにより、図3のフローチャートの全工程が終了する。
以上、説明したように、本第1の実施形態によると、ハード膜18の着磁方向とは反対方向に外部磁場を印加し、外部磁場を初期磁界(0[Gauss])から測定最大印加磁界Pまで変化させたときの抵抗の最大値を求める工程(ステップS16〜ステップS24)を、測定最大印加磁界Pを段階的に変化させつつ行うので(ステップS26)、従来のように外部磁場を初期磁界から漸次変化させつつ抵抗値を求める場合には測定することができなかった抵抗値の変化を測定することが可能となる。すなわち、従来のように外部磁場を漸次大きくして、その都度抵抗値を求める場合には、外部磁場がハード膜磁場と同強度になった時点で生じる、それよりも小さな磁場における特性(抵抗値)の変化(図7(a)における抵抗値のポジティブ側のピークの消失)を認識することはできないが、本実施形態では、各測定最大印加磁界ごとに、磁場を初期磁界(0[Gauss])から測定最大印加磁界まで変化させつつ抵抗値の最大値を測定するので、上記のような特性変化(ピークの消失)を認識することができる。したがって、本実施形態によると、当該特性変化を利用して磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)の評価(ハード膜18の外部磁場耐性などの評価)を適切に行うことが可能である。
なお、上記第1の実施形態では、抵抗値の最大値と最小値とを取得して、フリー層32のバイアス角と、ハード膜18の耐性磁場とを求めることとしたが、これに限らず、例えば、図8に示すように、抵抗値の最大値のピークと、最大値が0になる点のみからも、フリー層32のバイアス角とハード膜18の耐性磁場を求めることができるので、抵抗値の最小値は取得しなくても良い。これにより、処理すべき情報量を低減することが可能である。
なお、上記第1の実施形態では、外部磁場を初期磁界からM[Gauss](例えば4[Gauss])ずつ段階的に大きくして、その都度抵抗値を取得する場合について説明したが、これに限らず、外部磁場を初期磁界から連続的に大きくし、外部磁場を大きくしている間、抵抗値を常時モニタすることとしても良い。これにより、抵抗値をより詳細に取得することが可能である。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について、図9〜図13に基づいて説明する。なお、本第2の実施形態は、磁気ヘッド100の評価方法が異なるのみであり、磁気ヘッド100の構成等については上記第1の実施形態と同一である。したがって、以下においては、磁気ヘッド100の評価方法を中心に説明するものとする。
まず、図9のステップS50では、ハード膜設計方向に関する評価を行う。ここで、ハード膜設計方向に関する評価とは、ハード膜を、設計された方向(+X方向とする)に着磁した状態で行う評価を意味し、基本的には、第1の実施形態と同様の測定及び評価を行う。具体的には、抵抗値の測定により、第1の実施形態と同様、図8のようなグラフを得ることができるので、そのグラフから測定最大印加磁界h1,h2を求め、フリー層32のバイアス角とハード膜18の耐性磁場を求める。
次いで、ステップS52では、ハード膜逆方向に関する評価を行う。ここで、ハード膜逆方向に関する評価とは、ハード膜18を、設計された方向とは逆方向(−X方向)に着磁した状態で行う評価を意味し、ハード膜18の着磁方向を逆方向にする以外は、第1の実施形態と同様の測定及び評価を行う。具体的には、図10(a)〜図10(d)、図11(a)〜図11(d)に示すように、ハード膜18を−X方向に着磁し、その状態から+X方向の外部磁場をかけている間に取得される抵抗値の最大値(Max1’〜Max7’)、最小値(Min1’〜Min7’)を求め、それらから図12のようなグラフを得る。そして、図12のグラフから、測定最大印加磁界(h1’,h2’)を求め、ハード膜逆方向に関するフリー層32のバイアス角とハード膜18の耐性磁場を求めることとする。
次いで、図9のステップS54では、ステップS50、S52の評価を比較するとともに、図8のグラフと図12のグラフの一致度を評価する。この場合、ステップS50、S52で求められたフリー層32のバイアス角が略一致し、ステップS50、S52で求められたハード膜18の耐性磁場が略一致する場合(磁界h1とh1’、磁界h2とh2’が略一致する場合)や、図8と図12のようにグラフが略一致する場合には、ピン層34、フリー層32及びハード膜18の磁化状態のバランス(以下、「強磁性層のバランス」と呼ぶ)が良好であると評価することができる。
これに対し、ステップS50、S52で求められたフリー層32のバイアス角や、ステップS50、S52で求められたハード膜18の耐性磁場の一致度が低い場合(磁界h1とh1’の一致度や、磁界h2とh2’の一致度が低い場合)や、ハード膜逆方向に関する評価において得られたグラフが図13に示すようなグラフであり、図8のグラフとの一致度が低いような場合には、強磁性層のバランスが不良であると評価することができる。
そして、次のステップS56では、フリー層32のバイアス角とハード膜18の耐性磁場の比較結果(一致しているか否か)、及び強磁性層のバランスの評価結果と、予め定められた磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)の設計値(閾値)等とに基づいて、磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)が良品であるか、不良品であるかを判断する。
以上説明したように、本第2の実施形態によると、ハード膜設計方向とハード膜逆方向に関して第1の実施形態と同様の評価を行い、それらの評価を比較した結果を用いて、磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)の評価を行うので、強磁性層のバランス等を考慮した適切な評価を行うことが可能である。
なお、上記実施形態では、ハード膜設計方向の評価において得られたグラフとハード膜逆方向に関する評価において得られたグラフの一致度、フリー層32のバイアス角の比較結果、及びハード膜18の耐性磁場の比較結果(一致しているか否か)に基づいて、強磁性層のバランスを評価することとしたが、これに限らず、それらのうちの少なくとも1つに基づいて、評価することも可能である。例えば、フリー層32のバイアス角の比較結果のみに基づいて強磁性層のバランスを評価することとしても良い。具体的には、図9のステップS50、S52の結果、図8、図12のようなグラフを得た場合において、磁界h1と磁界h1’とを比較するとともに、磁界h2と磁界h2’とを比較する。この場合、各磁界はほぼ一致しているので、強磁性層のバランスが良好であると評価することができる。これに対し、図9のステップS50、S52の結果、図8、図13のようなグラフを得た場合には、磁界h1と磁界h1”とを比較し、磁界h2と磁界h2”とを比較すると、図8と図12を比較した場合よりも差異が大きいことから、強磁性層のバランスが不良であると評価することができる。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について、図14,図15に基づいて説明する。なお、本第3の実施形態も、上記第2の実施形態と同様、磁気ヘッド100の評価方法に特徴を有している。したがって、以下においては、磁気ヘッド100の評価方法を中心に説明するものとする。
図14のステップS110では、まず高磁場にてハード膜18を第1の方向(例えばハード膜設計方向(+X方向))に着磁し、次のステップS112では、磁場印加回数を0に設定する。
次いで、ステップS114では、着磁方向の逆方向に、外部磁場(初期磁界+n×M)を印加する。ここで、上記第1、第2の実施形態と同様、初期磁界は0[Gauss]であり、Mは4[Gauss]であるものとする。そして、次のステップS116において、ステップS114において外部磁場をかけたときの磁気抵抗効果膜30の抵抗値を取得する。
次いで、ステップS118では、nを1インクリメント(n←n+1)し、次のステップS120では、外部磁場(初期磁界+n×M)が測定最大印加磁界を越えているか否かを判断する。ここで、測定最大印加磁界は、例えば、2500[Gauss]とすることができる。このステップS120における判断が否定されると、ステップS114に戻る。
その後は、ステップS114、S116、S118,S120を繰り返すことにより、外部磁場を4[Gauss]間隔で増加させつつ、抵抗値を取得し、ステップS120の判断が肯定された段階で、次のステップS122に移行する。
次いで、ステップS122では、上記ステップS114〜S120を繰り返すことにより得られた抵抗値のグラフ(図15(a)参照)に基づいて、抵抗値が最大となる外部磁界(以下、「第1の磁界」と呼ぶ)H1を決定する。
次いで、ステップS124では、ハード膜18を第2の方向(ハード膜逆方向(−X方向))に着磁したか否かを判断する。ここでは、まだハード膜18を第1の方向に着磁したのみなので、判断は否定され、ステップS126に移行する。このステップS126では、高磁場にてハード膜18を第2の方向に着磁し、次のステップS112では、磁場印加回数を0に設定しなおす。
その後は、ステップS114〜S120を繰り返すことにより、第2の方向とは逆方向(第1の方向)に印加する外部磁場を徐々に大きくしながら、前述したのと同様にして、抵抗値及びそのグラフ(図15(b)参照)を取得する。
そして、ステップS122では、図15(b)の抵抗値のグラフに基づいて、抵抗値が最大となる外部磁界(以下、「第2の磁界」と呼ぶ)H2を決定する。
次いで、ステップS124では、ハード膜18を第2の方向(ハード膜逆方向)に着磁したか否かを判断するが、ここでは既にステップS126においてハード膜18を第2の方向に着磁したので、判断は肯定され、次のステップS128に移行する。
次のステップS128では、第1の磁界H1と第2の磁界H2の少なくとも一方から、フリー層32のバイアス角を求める。また、第1、第2の磁界H1,H2を比較して、両外部磁界の一致度を求め、これに基づいて、強磁性層のバランスを評価する。
その後、ステップS130では、上記ステップS128における評価結果に基づいて、磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)が良品であるか、不良品であるかを判断する。
以上、説明したように、本第3の実施形態によると、ハード膜18をハード膜設計方向に着磁した後、その逆方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第1の磁界H1を求め、ハード膜逆方向に着磁した後、その逆方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第2の磁界H2を求め、これらの磁界H1,H2を比較して、フリー層のバイアス角及び強磁性層のバランスを評価するので、着磁方向を考慮した、磁気抵抗効果膜30(磁気ヘッド100)の適切な評価を行うことが可能である。
なお、上記第3の実施形態では、第1の磁界H1と第2の磁界H2とを比較することにより、強磁性層のバランスを評価することとしたが、これに限らず、図15(a)のグラフ全体と、図15(b)のグラフ全体との一致度を算出し、当該算出結果に基づいて、強磁性層のバランスを評価することとしても良い。このような評価を行うことにより、より正確なバランス評価を行うことが可能である。
なお、上記第3の実施形態では、外部磁場を初期磁界からM[Gauss](例えば4[Gauss])ずつ段階的に大きくして、その都度抵抗値を取得する場合について説明したが、これに限らず、外部磁場を初期磁界から連続的に大きくし、外部磁場を大きくしている間、抵抗値を常時モニタすることとしても良い。これにより、抵抗値をより詳細に取得することが可能である。
なお、上記各実施形態において示した数値(初期磁界、測定最大印加磁界P、測定間隔Mなど)は一例であって、上記各実施形態の数値に限られるものではない。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
磁気ヘッドの要部断面図である。 磁気抵抗効果膜及びハード膜の構成を説明するための斜視図である。 第1の実施形態における磁気ヘッドの評価シーケンスを示すフローチャートである。 図3のステップ30を示すフローチャートである。 フリー層の磁化方向及び抵抗値の変化を測定最大印加磁界別に示す図(その1)である。 フリー層の磁化方向及び抵抗値の変化を測定最大印加磁界別に示す図(その2)である。 フリー層の磁化方向及び抵抗値の変化を測定最大印加磁界別に示す図(その3)である。 図5〜図7において測定された抵抗値の最大値と最小値の変化を示すグラフである。 第2の実施形態における磁気ヘッドの評価シーケンスを示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるフリー層の磁化方向及び抵抗値の変化を測定最大印加磁界別に示す図(その1)である。 第2の実施形態におけるフリー層の磁化方向及び抵抗値の変化を測定最大印加磁界別に示す図(その2)である。 図9のステップS52において取得される抵抗値の最大値と最小値の変化を示すグラフである。 強磁性層のバランスが悪い場合に、図9のステップS52において取得される抵抗値の最大値と最小値の変化を示すグラフである。 第3の実施形態における磁気ヘッドの評価シーケンスを示すフローチャートである。 第3の実施形態において取得される抵抗値の変化を示すグラフである。
符号の説明
18 ハード膜(強磁性層、固定層)
32 フリー層(強磁性層)
34 ピン層(固定層、強磁性層)
36 ピン層(固定層、強磁性層)
100 磁気ヘッド(磁気抵抗効果素子)

Claims (5)

  1. 磁気抵抗効果素子をコア幅の第1の方向に着磁する工程と、
    測定する最大印加磁界を段階的に大きくし、前記各段階で前記磁気抵抗効果素子の抵抗の最大値を測定する抵抗測定工程とを有し、
    前記抵抗測定工程は、前記各段階で、前記第1の方向とは反対の第2の方向に磁場を印加して、前記磁場を初期磁界から前記測定最大印加磁界まで変化させたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗の最大値を求めることを特徴とする磁気抵抗効果素子の評価方法。
  2. 前記抵抗測定工程は、前記各段階で、前記第1の方向とは反対の第2の方向に磁場を印加して、前記磁場を初期磁界から前記測定最大印加磁界まで変化させたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗の最小値を求めることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子の評価方法。
  3. 前記測定最大印加磁界が大きくなるにつれて増加する傾向にあった前記抵抗が最大となる測定最大印加磁界を求めることで、固定層の固定角度及び強磁性層のバランスを評価する工程を更に有する請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子の評価方法。
  4. 前記測定最大印加磁界が大きくなるにつれて増加する傾向にあった前記抵抗が最大となり、その後、所定値以下になる測定最大印加磁界を求めることで、強磁性層の外部磁場耐性を評価する工程を更に有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の評価方法。
  5. 磁気抵抗効果素子をコア幅方向の第1の方向に着磁した後、第1の方向とは反対の第2の方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第1の磁界を求める工程と、
    前記磁気抵抗効果素子をコア幅方向の第2の方向に着磁した後、第1の方向に磁場を印加して測定した抵抗が最大となる第2の磁界を求める工程と、
    前記第1の磁界と前記第2の磁界とを比較することで、固定層の固定角度及び強磁性層のバランスを評価する工程と、を含む磁気抵抗効果素子の評価方法。
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