JP2009222217A - サーモバルブ及び該サーモバルブを備えた熱媒体回路 - Google Patents

サーモバルブ及び該サーモバルブを備えた熱媒体回路 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単、低コスト、軽量、コンパクトな構成でありながら、低圧力損失を達成しつつ熱媒体の流れを最適に制御することができるサーモバルブ及び当該サーモバルブを備えた熱媒体回路を提供する。
【解決手段】 熱媒体が流れる熱媒体回路に介装されるサーモバルブ(1、100、200、300)であって、熱媒体の流れに沿った方向に動作される弁体と、熱媒体の温度に応じた熱応動動作を利用して前記弁体を熱媒体の流れに沿った方向に開閉駆動する感温可動部(2)と、を備え、熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御するものにおいて、前記弁体を、前記感温可動部(2)の熱応動動作に連動して伸縮することによる巻線部の間隙変化によって熱媒体の流路の通過断面積が増減されて開閉動作されるコイルスプリング弁体(3、103、203、230、303)により構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関などを冷却するために循環している熱媒体(以下、場合によって「冷却液」、「温水」とも言う。)を利用して熱交換したり、ボイラー等の熱源から熱媒体を流通させて熱交換する端末装置(自動車用ヒーターコアや建物の暖房用ラジエータコアなど)を含む熱媒体回路内に配置され、熱媒体の温度に応じて進退移動する感温可動部(「サーモペレット」、「サーモエレメント」などとも呼ばれる)の熱応動を利用して、熱媒体の流れを制御するサーモバルブ(弁機構)及び熱媒体回路に関する。
近年、環境技術の進展に伴い、自動車用のエンジン冷却系システムには、エンジンの冷却(保温)のための主たる冷却液回路以外に、冷却液と熱交換する端末装置(ヒーターコアなど)を含む冷却液回路が多数組み合わされるようになってきた。
車室暖房用のヒーター回路はその古典的な一例であるが、近年では、例えば、エンジンオイルを温め保温するためのもの、ミッションオイルを温め保温するためのもの、EGRガス冷却のためのもの、排気熱を回収するためのもの、排熱を蓄熱するためのもの等が組合されるようになってきた。
このような技術の進展を背景に、エンジン冷却系システムの冷却液と熱交換する端末装置(ヒーターコアなど)を含む冷却液回路内に配置され、当該回路における流路の開(流量を増大させる)又は閉(流量を減少させる)制御が可能な弁機構或いはそれを配置してあるエンジン冷却系システムなどが提案されてきている。
例えば、特許文献1には、冷却水の温度が低温側から高温側に変化するに従って開度を減少させる機械式の弁機構及びその様な弁機構を備えたエンジン冷却系システムが開示されている。
また、特許文献2には、冷媒の温度が高温の場合に開度を大きくし、前記冷媒の温度が低温の場合に開度を小さくする機械式の制御弁機構及びその様な弁機構を備えたエンジン冷却系システムが開示されている。
特許文献3には、シリンダヘッド側から排出される冷却水をヒータコアを経てシリンダブロック側へ戻すヒータ通路における前記ヒータコアの下流側に直列に変速機用熱交換器を設け、該変速機用熱交換器と前記ヒータコアとの間で分岐し該変速機用熱交換器の下流側で合流するバイパス通路を設けると共に、該バイパス通路への流量分配を制御する弁機構を備え、前記ヒータコアへの冷却水流量を相対的に大として前記変速機用熱交換器への冷却水流量を相対的に小とする第1状態と、前記ヒータコアへの冷却水流量を相対的に小として前記変速機用熱交換器への冷却水流量を相対的に大とする第2
状態と、のいずれかを必要に応じて確保することができるエンジン冷却系システムが開示されている。
例えば、特許文献4には、特許文献3と同様のヒータ通路を確保した上で、必要に応じて、ヒータ通路6のヒータコア13下流から分流させた冷却水を変速機用熱交換器14を経てシリンダブロック1a側へ戻す暖機用流通経路(特許文献4の図1のY1参照)と、シリンダブロック1a内の冷却水を変速機用熱交換器14を経てシリンダブロック1a側へ戻す冷却用流通経路(特許文献4の図2のY2参照)と、のいずれかを確保する切替手段としての弁機構を含むエンジン冷却系システムが開示されている。
特許文献1乃至特許文献4などが説明するように、以上に例示したようなエンジン冷却系システム等において、熱媒体(=冷却液、例えば「冷却水」)の温度に応じて進退移動する感温可動部の熱応動を利用した、流路の開(流量を増大させる)又は閉(流量を減少させる)制御や、流路の分岐における流量分配比制御、流路の合流における混合比制御、流路の切替制御等が可能な弁機構(サーモバルブ)が有用なものであることがわかる。
これらの弁機構(サーモバルブ)は、弁を「閉」とした時に、熱媒体の流路を完全に閉止し少しのリークも許さないというものではない。少しの流量を残して「閉」状態とすることを許すものである。特に、該弁機構(サーモバルブ)が熱媒体の温度に応じて進退移動する感温可動部の熱応動を利用して流量を増大させたり減少させたりする弁機構(サーモバルブ)であれば、少しの流量を残して「閉」状態とすることが、感温可動部の感温性能確保のために必要なことである。
上記のような、熱媒体の温度に応じて進退移動する感温可動部の熱応動を利用して流量を増大させたり減少させたりする従来の弁機構(例えば、特許文献1、特許文献2に示されるような弁機構(サーモバルブ))は、特許文献5に示されるような、エンジン冷却装置の外部に設けた制御手段(電子制御回路や温度センサを含む)によって開閉制御されるものに比べれば、熱媒体の温度に応じた流量制御を比較的簡単な構成で実現し得るものである。
また、ボイラーやヒートポンプ、コージェネレーションシステムなどの熱源により暖められた熱媒体(例えば温水)を用いた床暖房システムや室内暖房システム等において、熱を求める複数の熱媒体回路(複数の部屋の床暖房や空調のシステムに熱を供給する熱媒体回路)に熱媒体を分配供給するため、各々の分岐口に開閉弁を設けたヘッダー(分岐金具)や、その戻り側のヘッダーが組み合わされた暖房用ヘッダー装置が公知となっている。
熱源の熱を複数の熱媒体回路へ分配供給するヘッダー装置により、複数の部屋の床暖房や空調のシステムに適宜温められた熱媒体を供給しようとすると、ある稼働中の熱媒体回路に熱媒体の供給が集中し、別の稼働中の熱媒体回路への熱媒体の供給が不足して、求められる暖房能力を発揮できなくなる惧れがある。過剰な暖房は有害であるし、暖房を必要とする際に、暖房能力が欠如することは、特に問題が大きい。
そこで、このような暖房用の複数の熱媒体回路へ熱媒体が適正に配分されるように、流量が予め設定されている定流量弁をヘッダーに組り付けるもの(特許文献6参照)や、供給側のヘッダーと戻り側のヘッダーの圧力の差を一定の範囲に保つように、供給側のヘッダーと戻り側のヘッダー間にバイパス回路を設けて、該バイパス回路に差圧制御弁を配置するもの(特許文献7参照)が開示されている。
このような複数の熱媒体回路へ熱媒体の適正分配ができるシステムは、施工現場における、とても煩わしいとされる、人手の作業による流量設定を不要なものとすることができる。
以上のように、熱源により暖められた熱媒体を用いた床暖房システムや室内暖房システム等において、複数の熱媒体回路に対して、要求に応じて適正に流量分配することができる弁機構が有用なものであることがわかる。
特開2007−120380号公報 特開2007−205197号公報 特開2007−224821号公報 特開2007−224819号公報 特開2002−235544号公報 特開平9−210380号公報 特開2000−266298号公報
ここで、自動車用のエンジン冷却系システムにおいては、従来、上述のような弁機構(サーモバルブ)は、車室暖房用のヒーター回路ではコスト面などの考慮から省略されていることも多い。サーモバルブを新たにヒーター回路に採用したり、近年増えてきた新たな複数の回路に採用するには、これらを採用したことによる効果(価値)が大きいものであることに加え、価格が安価で軽量なものでなければならない。この点に照らすと、上述の従来のサーモバルブ(例えば、特許文献1、特許文献2に示されるようなサーモバルブ)では、構造が複雑で部品点数も多く高コストなものである。
また、上記従来のサーモバルブ(特許文献1、特許文献2に示されるようなサーモバルブ)は、その主弁体が円盤状の形態をとっており、流通する冷却液の流れに対面するように配置されている。そのため、サーモバルブの入口側開口部から出口側開口部に向けた冷却液の流通に対して、主弁体が障害物となるように立ち塞がり、開弁状態においても(わずかな故意の感温用リーク孔による流通を除いて)冷却液の主要なる部分は、主弁体の外形部分を迂回して流通することとなり、流れの効率が悪く流路抵抗(圧力損失)が大きいといった実情がある。
このような従来のサーモバルブでは、流路抵抗(圧力損失)を根本的に小さくするには、主弁サイズの大型化が必要でサーモバルブ全体が大きなものとなってしまい、低コスト化・軽量化と相容れない。また、流量のきめ細かな制御が困難になるといった惧れもある。
更に、従来のサーモバルブでは、冷却液の主要なる部分が主弁体の外形部分を迂回して流通するので、円盤状の主弁体の中心軸付近に配置された感温可動部から冷却液の流線は遠ざけられ、感温可動部周辺の冷却液の流速を確保し難くいと共に、感温可動部周辺は澱みになりがちで流通中の冷却液と接触し難くなるので、流通中の冷却液の温度を素早く正確に捉えることができないという面がある。
また、近年の自動車冷却系システムにおいては、上述の通り、多数の冷却液回路が組み合わされるようになってきており、各冷却液回路が冷却液を奪い合うような状態になっている面があるが、特定の冷却液回路に必要以上に冷却液を流入させることなく、他の回路にも冷却液を適当に分配できるようにすることが望ましい。すなわち、各冷却液回路の冷却需要と熱需要に応じて、或いは優先順位などによって最適に分配するべきである。
より詳しく述べると、例えば、自動車冷却系システムにおけるヒーターコアを含む冷却液回路は、車室内暖房のために熱需要がある場合には、最も優先的にエンジンにより温められた冷却液を流通させるべき回路といえる。しかし、熱需要がないときはもとより、熱需要があっても必要以上の流量(熱量)をヒーター回路に送る必要はない。十分な流量が得られる条件が整った条件(例えば、ウォーターポンプが結合されたエンジンの回転数が一定回転数を越えている条件)では、ヒーター回路に供給される流量を制限して、他の冷却液回路の熱需要・冷却需要に応えることができるように冷却液の分配を行えることが望ましく、このような要求に応えることができるサーモバルブが求められる。
ところで、熱媒体(例えば温水)を用いた床暖房システムや室内暖房システム等においても、各熱媒体回路の熱需要に応じて、或いは優先順位などによって最適に分配するべきである。そこで、熱媒体の温度に応じて、熱媒体の流量を減少させたり増大させたりする制御が可能なサーモバルブが有益であるが、複数の熱媒体回路にサーモバルブを設置しようとする場合、サーモバルブは低コストであることが求められる。しかし、従来のサーモバルブ(例えば、特許文献1、特許文献2に示されるようなサーモバルブ)では、構造が複雑で部品点数も多く高コストなものである。
また、熱媒体(たとえば温水)を用いた床暖房システムや室内暖房システム等においては、特許文献6に開示されるように、各熱媒体回路への流量設定が必要であり、流量が予め設定されている定流量弁がヘッダーの各分岐口にユニット化されるものがある。しかし、特許文献6の図3に示されるような定流量弁は圧力損失が大きく、各熱媒体回路に熱媒体を十分に送り込むには、大きなポンプの動力が必要となり電力消費を通じたエネルギー消費が大きくなるといった惧れがある。また、システムに大型のポンプが必要となり高コスト、設置自由度の低下などを招くといった惧れもある。
更に、特許文献6が開示する定流量弁(及びシステム)では、各熱媒体回路への流量を予め設定するのみで、各熱媒体回路に備え付けられた端末装置(床暖房用のパネルや、室内暖房用ラジエータコア等)それぞれの熱需要の大小により、バランスよく熱媒体を分配する機能はない。すなわち、各端末装置の熱需要が変動することを前提に、熱需要の少ない端末装置には少流量を、熱需要の多い端末装置にはなるべく多くの流量をその時々の状態に最適なバランスで分配する機能はない。
同様に、特許文献7が開示するシステムでは、供給ヘッダーと戻りヘッダーの差圧を常に一定化することにより、各熱媒体回路の流量を他の熱媒体回路の使用状況に関わりなく安定にすることができるのであるが、このシステムでも各熱媒体回路に備え付けられた端末装置(床暖房用のパネルや、室内暖房用ラジエータコア等)それぞれの熱需要の大小により、バランスよく熱媒体を分配する機能はない。すなわち、各端末装置の熱需要が変動することを前提に、熱需要の少ない端末装置には少流量を、熱需要の多い端末装置にはなるべく多くの流量をその時々の状態に最適なバランスで分配する機能はない。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、簡単、低コスト、軽量、コンパクトな構成でありながら、低圧力損失を達成しつつ熱媒体の流れを最適に制御することができるサーモバルブ及び当該サーモバルブを備えた熱媒体回路を提供することを目的とする。
このため、本発明に係るサーモバルブは、
熱媒体が流れる熱媒体回路に介装されると共に、
熱媒体の流路に沿った方向に動作される弁体と、熱媒体の温度に応じた熱応動動作を利用して前記弁体を熱媒体の流路に沿った方向に開閉駆動する感温可動部と、を備え、
熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御するサーモバルブであって、
前記弁体が、前記感温可動部の熱応動動作に連動して伸縮することによる巻線部の間隙変化により熱媒体の流路の通過断面積が増減されて開閉動作されるコイルスプリング弁体により構成されることを特徴とする。
また、本発明に係るサーモバルブは、
熱媒体が流れる熱媒体回路に介装され、熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御するサーモバルブであって、
熱媒体の温度に応じた熱応動動作を利用して、弁体を開閉駆動する感温可動部と、
熱媒体が流れる流路を有すると共に、当該流路の内側に突き出し前記感温可動部の一部を支持固定する支持部を有する第1ハウジングと、
熱媒体が流れる流路を有すると共に、当該流路の内側に突き出し前記感温可動部の進退移動部分を支持案内する案内部を有する第2ハウジングと、
前記支持部と前記案内部の中間位置に形成される弁室に配置され、前記感温可動部の熱応動動作に連動して伸縮されることによる巻線部の間隙変化により熱媒体の流路の通過断面積が増減されて開閉動作されるコイルスプリング弁体と、
を含んで構成されることを特徴とする。
これにより、本発明に係るサーモバルブは、コイルスプリング弁体を採用したことから、極めて簡単な構成とすることができる。従来のサーモバルブよりも部品点数が少なくて済み、組立て工数も削減できるので、低コスト化を図ることができる。
また、例えば、特許文献1、特許文献2に示されるような従来のサーモバルブでは、円盤状の弁体を感温可動部の可動部へ固定・一体化するための部品が必要であると共に、その組み立てが必要となる。特許文献1に示されるサーモバルブでは、例えばスプリングにより付勢される弁体を軸に対して位置規制するためのスナップリング、或いは「リテーナ」と称される部品(特許文献1の図3の符号228等参照)などが必要である。これに対し、本発明に係るサーモバルブでは、コイルスプリング弁体を採用したことから、これらスナップリングやリテーナ等を省略することができる。
また、進退移動する感温可動部の進退移動部分の初期位置(原位置)への復帰動作は、スプリング等の付勢手段により付勢することで確実なものとなるので、感温可動部の熱応動を利用したサーモバルブは感温可動部の進退移動部分の初期位置への復帰動作のための付勢手段が通常必要とされるが、本発明に係るサーモバルブは、弁体がコイルスプリングであるので、弁体が付勢手段(リターンスプリング)を兼ねることができる。これにより、部品点数の削減に貢献することができる。
上述のように、コイルスプリング弁体が付勢手段を兼ねるようにすれば、単なる付勢手段としてのコイルスプリングを廃止できるので、熱媒体(冷却液)が単なる付勢手段としてのコイルスプリングの線間を横切ったり近辺を通過することによって、渦流や流線の乱れを発生させ流通抵抗(圧力損失)を発生させることを抑制することができる。
なお、コイルスプリング弁体が開弁状態において、熱媒体はコイルスプリング弁体のスプリング線材間を流れることができる。
これにより、特許文献1や特許文献2に示されるような従来のサーモバルブのように、主弁体が円盤状の形態をとっており、流通する熱媒体の流れを遮るように配置されていて、入口側開口部から出口側開口部に向けた熱媒体の流通に対して、主弁体が障害物となるように立ち塞がり、開弁状態においても(わずかな感温用リーク孔による流通を除いて)、熱媒体の流れの主要なる部分は、主弁体の外形部分を迂回して流通しなければならないということがないので、熱媒体はよりスムーズに直線的な流れとなり、熱媒体の流通の抵抗(=圧力損失)を低減する効果を奏することができる。
この効果は、特許文献1や特許文献2に示されるようなサーモバルブの入口側開口部から主弁体を経て出口側開口部までを直線的に配置する場合にもっとも効果の度合いが大きいが、入口側開口部の軸線と出口側開口部の軸線が屈曲していて、直線的な関係でなくても、同様の効果を得ることができる。
熱媒体の流れの主要なる部分が主弁体の外形部分を迂回して流通しなければならない従来のサーモバルブは、主弁体の外側に熱媒体の通過スペースを確保しなければならず大型化するが、本発明に係るコイルスプリング弁体を用いたサーモバルブは、よりコンパクトな設計を可能とする。
よって、本発明に係るサーモバルブは、コンパクトな設計を可能とするうえに、低圧力損失なサーモバルブとすることができる。よって、幅広く採用の可能性を広げることができ、また、低圧力損失性能は熱媒体回路の配管流路の小径化や熱媒体送出ポンプの小型化等を通じて装置全体の軽量化・小型化、延いてはコスト低減に貢献できる。
また、本発明に係るサーモバルブにおいて、前記第1ハウジングが、熱媒体が流れる流路と、当該流路の内壁から伸びるアームと、当該アームに支持され前記感温可動部の一部を支持固定する支持部と、が一体成形により形成され、
前記第2ハウジングが、熱媒体が流れる流路と、当該流路の内壁から伸びるアームと、当該アームに支持され前記感温可動部の進退移動部材を支持案内する支持案内部と、が一体成形により形成されることを特徴とすることができる。
このように、熱媒体が流れる流路と、前記アームと、前記支持部と、を有する第1ハウジングを射出成形等により一体成形する一方、
熱媒体が流れる流路と、前記アームと、前記支持案内部と、を有する第2ハウジングと、を射出成形等により一体成形するものとすれば、製造容易であると共に組立容易であり、低コスト化を図ることができ、以って本発明に係るサーモバルブの採用可能性を高めることができる。
さらに、本発明において、コイルスプリング弁体は、所定に圧縮され潰れた状態において、渦巻状に密着するテーパーコイルスプリング(略円錐台形状にスプリング線材を巻回したもの)で構成することができる。
かかる構成とすれば、コイルスプリング弁体の中心軸付近に配置された感温可動部周辺は澱みになり難くなり、感温可動部周辺の熱媒体の流速を確保し易くなって、流通中の熱媒体と感温可動部との接触がし易くなるので、流通中の熱媒体の温度を素早く正確に捉えることができるようになる。特に、コイルスプリング弁体が全開状態から最大絞り状態へ向かう時、コイルスプリング弁体を構成するテーパーコイルスプリングは大径側から潰れて行くことで流量を制御するので、流量が絞られて流量が少なくなるにも拘わらず、小径側(=感温可動部の付近)の流速は確保されるようにでき、以って感温可動部が流通中の熱媒体の温度を素早く正確に捉えることができるようになる。従って、高精度で応答性の良いサーモバルブとすることができる。
なお、本発明に係るサーモバルブは、前記感温可動部の進退移動部分を原位置へ復帰させるよう付勢するリターンスプリングを備えたことを特徴とすることができる。
また、本発明に係るサーモバルブにおいて、前記弁室を形成する前記第1ハウジング或いは第2ハウジングに、熱媒体回路の分岐或いは合流箇所が形成され、
前記弁室内には、前記感温可動部の熱応動動作に連動して開閉動作する他のコイルスプリング弁体が備えられ、
前記感温可動部により複数のコイルスプリング弁体を開閉駆動して、熱媒体の分岐の分配比或いは合流の混合比を制御可能に構成されたことを特徴とすることができる。
これにより、本発明に係るサーモバルブは、熱媒体回路における流路の分岐(熱媒体の分配)、流路の合流(熱媒体の混合)、更には流路の切替の機能を併せ持つことができる。
また、1つの感温可動部によって複数のコイルスプリング弁体を制御することも可能となるので、低コストを維持したまま、より最適に、熱媒体の流れを、熱媒体の温度に応じて制御することができる。
また、本発明に係るサーモバルブは、
前記コイルスプリング弁体を通過する熱媒体の瞬間流量が閾値を越えた場合に、該コイルスプリング弁体が定流量弁として機能するように、前後差圧に応じて前記感温可動部の熱応動とは独立に伸縮動作することを特徴とすることができる。
これにより、熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御するサーモバルブに、流量のハイカットという機能を追加部品なしに追加することができる。よって、低コストを維持したまま、より最適に、熱媒体の流れを、熱媒体の温度や差圧に応じて制御することができる。
本発明に係るサーモバルブは、低コストでありながら、高精度で応答性良く、熱媒体の流れを、熱媒体の温度や差圧に応じて制御することができるので、本発明に係るサーモバルブを利用することで、低コストでありながら、高精度で応答性良く、熱媒体の流れを、熱媒体の温度や差圧に応じて良好に制御することができる熱媒体循環システム(熱媒体回路)を提供することができる。
なお、熱媒体を流通させて熱交換する端末装置の下流側に、本発明に係るサーモバルブを備えることで、該サーモバルブは、前記端末装置の熱需要や冷却需要の程度を測れるようになる。
すなわち、例えば、エンジン冷却のための冷却系メイン回路の冷却液の温度は、暖機終了後はサーモスタット等により略一定の安定温度に制御されている。従って、そこから分岐された冷却液回路に供給される冷却液温度は予め予測可能である。それに対しその冷却液が流入し、該冷却液と熱交換する端末装置の下流側の冷却液温度は、熱交換の結果により変化する。端末装置がたくさんの熱を必要としていれば、それだけ該端末装置の下流側の冷却液温度は供給される冷却液温度よりも低い温度となる。逆に端末装置がたくさんの冷却(冷却液への熱の放出)を必要としていれば、それだけ該端末装置の下流側の冷却液温度は供給される冷却液温度よりも高い温度となる。このため、本発明に係るサーモバルブを端末装置の下流側に配設し、端末装置の下流側で冷却液の温度を感温するようにすれば、当該端末装置の熱需要・冷却需要の程度を測ることができるようになり、端末装置の熱需要・冷却需要の変動に応じた熱媒体の分配制御が可能となる。
また、本発明に係るサーモバルブを、例えば、建物の暖房用の熱媒体回路に適用する場合も同様である。各熱媒体回路に備え付けられた端末装置(床暖房用のパネルや、室内暖房用ラジエータコア等)の下流側で熱媒体の温度を感温することができるようにすれば、当該端末装置の熱需要の程度を測ることができるようになり、端末装置の熱需要の変動に応じた熱媒体の分配制御が可能となる。
このように、本発明に係るサーモバルブを用いることで、各端末装置の熱需要・冷却需要が変動することを前提に、熱媒体の流量を、熱需要・冷却需要の少ない端末装置には少流量に、熱需要・冷却需要の多い端末装置にはなるべく多くの流量に、そして、流量ハイカット機能(=定流量弁機能)を備えることで必要以上の分配をすることなく、その時々の状態に最適なバランスで熱媒体を分配することができるシステムを、簡単かつ安価な構成で、複雑な制御系を必要とせずに実現することができる。
本発明によれば、簡単、低コスト、軽量、コンパクトな構成でありながら、低圧力損失を達成しつつ、熱媒体の流れを最適に制御することができるサーモバルブ及び当該サーモバルブを備えた熱媒体回路を提供することができる。
以下に、本発明に係るサーモバルブの実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施例により、本発明が限定されるものではない。
本発明の実施例1に係るサーモバルブ1について、図1、図2に基づいて説明する。
本実施例に係るサーモバルブ1は、内燃機関などを冷却するために循環している熱媒体を流通させて熱交換したり、ボイラー等の熱源で温められた熱媒体を流通させて熱交換する端末装置(自動車用ヒーターコアや建物の暖房用ラジエータコアなど)を含む熱媒体回路内に配設されることができる。
図1に示すように、サーモバルブ1は、熱媒体の温度に応じて進退移動する感温可動部(熱応動部)2を含んで構成されると共に、当該感温可動部2を収容する第1ハウジン部10と第2ハウジング20を有して構成されている。
感温可動部2は、熱媒体の温度を感知して膨張収縮するワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部2B延いてはその延在部2C(これらが進退移動部分に相当)を備え、この温度感知部2Bから、当該温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体の熱膨張収縮に応じて図1(A)中上下方向に沿って伸縮するピストンロッド2Aが突出している。
第1ハウジング10は、図1(A)や図1(D)に示すように、熱媒体回路に接続される開口部11を有し、内壁から伸びるアーム12に略一体的に取り付けられ前記感温可動部2のピストンロッド2Aの先端部を支持する支持部13を備えて構成されている。
第2ハウジング20は、図1(A)や図1(C)に示すように、熱媒体回路に接続される開口部21を有し、内壁から伸びるアーム22に略一体的に取り付けられ前記感温可動部2の温度感知部2Bの延在部2Cを摺動自在に支持しピストンロッド2Aの伸縮に応じて図1(A)中上下方向に沿って移動する当該温度感知部2Bの延在部2Cを移動自在にガイドするガイド部(案内部)23を備えて構成されている。
ここで、図1(A)等に示すように、延在部2Cの外周には、スプリング線材(巻線)が略円錐台形状に巻回されたコイルスプリング弁体3が挿通されており、コイルスプリング弁体3は、感温可動部2の温度感知部2Bの比較的大径な部分と、比較的小径の延在部2Cと、の接続部の段差部分である段部2Dと、コイルスプリング弁体3の小径側と、が当接するように配設されている。
一方、コイルスプリング弁体3の大径側は、第2ハウジング20に設けられる段差部分である段部24で支持されるように配設されている。
従って、スプリング弁体3は、温度感知部2Bの熱膨張収縮に応じてピストンロッド2Aが伸長して、温度感知部2B及び延在部2Cが図1(A)中下方向に移動される際に、小径側の段部2Dと、大径側の第2ハウジング20の段部24と、により圧縮されるようになっている。
なお、コイルスプリング弁体3は、圧縮されるに従いスプリング線材間の間隙が小さくなって閉弁状態へと移行し、かかる閉弁状態から伸びるに従いスプリング線材間の間隙が大きくなって開弁状態へと移行するように機能する。
ここにおいて、本実施例に係るサーモバルブ1は、例えば、以下のようにして組み立てられることができる。
すなわち、例えば、第2ハウジング20にコイルスプリング弁体3を挿入して収容させ、コイルスプリング弁体3の大径側を第2ハウジング20の段部24に載置しておく。
そして、感温可動部2の延在部2Cの図2中下方部を、コイルスプリング弁体3の小径側、更には第2ハウジング20のガイド部23に挿通させ、かかる状態で第1ハウジング10を蓋をするように持ち来し、第1ハウジング10の接合フランジ部14と、第2ハウジング20の接合ハウジング部25と、を接合することで、サーモバルブ1は組み立てられることができる。
但し、組み立て方法及び手順は、上記に限らず、適宜変更可能である。
なお、第1ハウジング10や第2ハウジング20は、例えば、樹脂成型品とすることができ、接着剤による接合、超音波溶着、レーザー溶着による接合などの適宜の接合方法を採用することができるものである。
ところで、本実施例では、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを別体で構成し、内装する各要素を組み込んだ後にこれらを接合するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば第1ハウジング10と第2ハウジング20とを射出成形等により一体に成形し、熱媒体が流通する開口部の一方を、内装する各要素が通過可能な大きさに形成しておいて、当該開口部を介して外部から内装する各要素を内部に挿入し、これらをスナップリング等により所定位置に支持固定することでサーモバルブ1を組み立てるようにすることも可能である。
以上で説明したように、本実施例に係るコイルスプリング弁体3を利用したサーモバルブ1によれば、極めて簡単な構成とすることができる。従来のサーモバルブよりも部品点数が少なくて済み、組み立て工数も削減できるので、低コスト化を図ることができる。
ここで、図1(A)、図1(B)に基づいて、本実施例に係るサーモバルブ1の作動について説明する。
図1(A)は、熱媒体が比較的低温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は収縮して、ピストンロッド2Aも収縮している。このため、感温可動部2の段部2Dと、第2ハウジング20の段部24と、の図1(A)中上下方向における距離は比較的大きくなっており、この間に配設されているスプリング弁体3も伸びた状態となっているため、略円錐台形状に巻回されているスプリング弁体3のスプリング線材の間隙も所定に広がった状態となっている。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から熱媒体が流入しようとしている場合には、図1(A)に示すように、スプリング弁体3のスプリング線材の間隙を熱媒体が通過して、第2ハウジング20の開口部21から熱媒体が流出するように、サーモバルブ1は開弁作動することになる。
図1(B)は、熱媒体が比較的高温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は熱膨張して、ピストンロッド2Aが伸長している。このため、感温可動部2の段部2Dと、第2ハウジング20の段部24と、の図1(B)中上下方向における距離は比較的小さくなっており、この間に配設されているスプリング弁体3は所定に圧縮された状態となっているため、略円錐台形状に巻回されているコイルスプリング弁体3のスプリング線材の間隙は縮小され、例えば隣接する線材同士が所定に密着した状態となっている。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から熱媒体が流入しようとしている場合でも、図1(B)に示すように、コイルスプリング弁体3のスプリング線材の間隙を熱媒体が通過することは制限されるため、第2ハウジング20の開口部21からの熱媒体の流出が制限されるように、サーモバルブ1は閉弁作動することになる。
なお、かかる閉弁状態のときに、コイルスプリング弁体3のスプリング線材の間隙を熱媒体が所定量流れるように、例えば、スプリング線材の密着度合いや間隙を調整することができる。
ところで、図1(B)の高温状態(閉弁状態)から図1(A)の低温状態(開弁状態)へ移行する場合、温度低下に伴い感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内に封入されている熱膨張体は収縮するがピストンロッド2Aを縮める方向に作用する力は十分でないため、外部から感温可動部2を図1(B)中上方へ押し上げる力が必要となる。このため、例えば、感温可動部2の段部2Dと第2ハウジング20との間でこれらを離間させる方向に作用する所謂リターンスプリングを配設することが想定されるが、本実施例では、かかるリターンスプリングとしての機能をコイルスプリング弁体3に持たせるようにしている。これにより、部品点数の削減による軽量化、コンパクト化、低コスト化などをより一層促進することができることとなる。
また、このように、コイルスプリング弁体3がリターンスプリングとしての機能を兼ねるようにすれば、単なるリターンスプリングを省略することができるため、単なるリターンスプリングの存在によって熱媒体(冷却液)の流れが阻害されるようなことがなく、渦流や流線の乱れなどによる流通抵抗(圧力損失)の増加を抑制することができる。
なお、本実施例では、熱媒体の流れ方向を図1中上方から下方へ向かうものとして例示したが、これに限定されるものではなく、熱媒体の流れ方向を図1中下方から上方へ向かうようにサーモバルブ1を配設することも可能である。
更に、例えば、特許文献1、特許文献2に示されるような従来のサーモバルブでは、円盤状の弁体を感温可動部の可動部へ固定・一体化するための部品が必要であり、その組み立てが必要である。特許文献1に示されるサーモバルブでは、「リテーナ」と呼ばれる部品も必要である。これに対し、本実施例に係るサーモバルブ1のようにコイルスプリング弁体3を用いた構成とすれば、これらを不要なものとすることができる。
本発明の実施例2に係るサーモバルブ100について、図3に基づいて説明する。
本実施例2に係るサーモバルブ100も、実施例1と同様に、内燃機関などを冷却するために循環している熱媒体を流通させて熱交換したり、ボイラー等の熱源で温められた熱媒体を流通させて熱交換する端末装置(自動車用ヒーターコアや建物の暖房用ラジエータコアなど)を含む熱媒体回路内に配設されることができる。
本実施例においては、図3(A)が低温状態(閉弁状態)を示し、図3(B)は高温状態(開弁状態)を示している。
図3(B)を用いてサーモバルブ100の構成について説明する。ここでは、実施例1と異なる部分について説明し、同様の部分については同一の符号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
本実施例では、第1ハウジング10、第2ハウジング20、感温可動部2の構造及び取り付け配置などについては実施例1と同様とすることができ、略円錐台形状に巻回されたコイルスプリング弁体103が、図3(B)に示すように、第1ハウジング10の段部15と、感温可動部2の温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部と、の間に、略円錐台形状の小径側が温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部に対面し大径側が段部15に対面するように配設されている。
また、実施例1においてコイルスプリング弁体3が配設されていた位置に、リターンスプリング130が配設されている。このリターンスプリング130は、図3(B)に示す高温状態から図3(A)に示す低温状態にサーモバルブ100が復帰する際(熱媒体が低温となって温度感知部2Bに封入されている熱膨張体が収縮した場合)に、温度感知部2Bを図3(B)中上方(ピストンロッド2Aの縮む方向)に押圧付勢してピストンロッド2Aを初期位置まで縮ませる(初期位置へ復帰させる)ように作用する。
実施例1のようにコイルスプリング弁体3がリターンスプリング(付勢手段)としての機能を兼ねることも可能であるが、本実施例では、コイルスプリング弁体103を構成するスプリング線材(バネ用鋼)のねじり応力限界等を考慮して、付勢手段を別個に備える構成として、コイルスプリング弁体103に要求される性能を達成可能とすると共に、耐久性の向上等を図るものである。
ここにおいて、本実施例に係るサーモバルブ100は、例えば、以下のようにして組み立てられることができる。
すなわち、例えば、第2ハウジング20にリターンスプリング130を挿入して収容させ、リターンスプリング130の大径側を第2ハウジング20の段部24に載置しておく。
そして、感温可動部2の延在部2Cの図3中下方部を、リターンスプリング130の小径側、更には第2ハウジング20のガイド部23に挿通させ、かかる状態でコイルスプリング弁体103を感温可動部2の上に載置すると共に、第1ハウジング10を蓋をするように持ち来し、第1ハウジング10の接合フランジ部14と、第2ハウジング20の接合ハウジング部25と、を接合することで、サーモバルブ1は組み立てられることができる。
但し、組み立て方法及び手順は、上記に限らず、適宜変更可能である。第1ハウジング10の接合フランジ部14と第2ハウジング20の接合ハウジング部25の接合方法等については、実施例1と同様とすることができる。
ここで、図3(A)、(B)に基づいて、本実施例に係るサーモバルブ100の作動について説明する。
図3(A)は、熱媒体が比較的低温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は収縮していると共に、温度感知部2Bはリターンスプリング130により図3(A)中上方に押圧付勢されているため、ピストンロッド2Aも収縮している。このため、第1ハウジング10の段部15と、感温可動部2の温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部と、の間に配設されているコイルスプリング弁体103は圧縮され、そのスプリング線材の間隙は所定に狭められて閉弁状態となっている。
なお、かかる閉弁状態であっても、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2Cが熱媒体の温度を感知することができるように、温度感知部2B及びその延在部2Cの方向への所定量の熱媒体の通過は許容されることができる。
図3(B)は、熱媒体が比較的高温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は熱膨張してリターンスプリング130を図3(B)中下方に圧縮し、ピストンロッド2Aが伸長する。このため、第1ハウジング10の段部15と、感温可動部2の温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部と、の間に配設されているコイルスプリング弁体103は伸長され、そのスプリング線材の間隙は所定に広がることとなって開弁状態となる。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から熱媒体が流入しようとしている場合には、図3(B)に示すように、コイルスプリング弁体103のスプリング線材の間隙を熱媒体が通過して、第2ハウジング20の開口部21から熱媒体が流出するように、サーモバルブ100は開弁作動することになる。
ところで、本実施例では、熱媒体の流れ方向を図3中上方から下方へ向かうものとして例示したが、これに限定されるものではなく、熱媒体の流れ方向を図3中下方から上方へ向かうようにサーモバルブ100を配設することも可能である。
本発明の実施例3に係るサーモバルブ200について、図4に基づいて説明する。
本実施例に係るサーモバルブ200は三方弁であるが、実施例1と同様、内燃機関などを冷却するために循環している熱媒体を流通させて熱交換したり、ボイラー等の熱源で温められた熱媒体を流通させて熱交換する端末装置(自動車用ヒーターコアや建物の暖房用ラジエータコアなど)を含む熱媒体回路内に配設されることができる。
本実施例においては、図4(A)が低温状態(閉弁状態)を示し、図4(B)は高温状態(開弁状態)を示している。
図4(B)を用いてサーモバルブ200の構成について説明する。ここでは、実施例1、2と異なる部分について説明し、同様の部分については同一の符号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
本実施例では、第2ハウジング220が2つの第1開口部221、第2開口部222を有しているが、第1ハウジング10、感温可動部2の構造及び取り付け配置などについては実施例1、実施例2と同様であり、また実施例2と同様に、略円錐台形状に巻回されたコイルスプリング弁体203が、図4(B)に示すように、第1ハウジング10の段部15と、感温可動部2の温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部と、の間に、略円錐台形状の小径側が温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部に対面し大径側が段部15に対面するように配設されている。
更に、本実施例では、実施例1、2においてコイルスプリング弁体3、リターンスプリング130が配設されていた位置に、コイルスプリング弁体230が配設されている。なお、このコイルスプリング弁体230は、リターンスプリングとして機能し、図4(B)に示す状態から図4(A)に示す状態に復帰する際には、温度感知部2Bを図4(A)中上方(ピストンロッド2Aの縮む方向)に押圧付勢してピストンロッド2Aを縮ませるように作用することができるようになっている。
ここで、図4に基づいて、本実施例に係るサーモバルブ200の作動について説明する。
図4(A)は、熱媒体が比較的低温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は収縮していると共に、温度感知部2Bはリターンスプリングとして機能するコイルスプリング弁体230により図4(A)中上方に押圧付勢されているため、ピストンロッド2Aは収縮している。このため、第1ハウジング10の段部15と、感温可動部2の温度感知部2Bのピストンロッド2A側の端部と、の間に配設されているコイルスプリング弁体203は圧縮され、そのスプリング線材の間隙は所定に狭められて閉弁状態となっている。一方、コイルスプリング弁体230は開弁状態となっている。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から流入しようとする熱媒体と、第2ハウジング220の第1開口部221から流入しようとする熱媒体と、がある場合(合流の場合)、第1ハウジング10の開口部11からの流入は制限され、第2ハウジング220の第1開口部221から流入する熱媒体が第2ハウジング220の第2開口部222側へ主に流れるように、サーモバルブ200は作動することになる。
或いは、例えば、第2ハウジング220の第2開口部222から熱媒体が流入して、第1ハウジング10の開口部11側と、第2ハウジング220の第1開口部221側と、に流れを分けるように配設されている場合(分流の場合)は、熱媒体は、第1ハウジング10の開口部11側への流出は制限され、第2ハウジング220の第1開口部221側へ主に流れるように、サーモバルブ200は作動することになる。
図4(B)は、熱媒体が比較的高温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は熱膨張してコイルスプリング弁体230を図4(B)中下方に圧縮し、ピストンロッド2Aが伸長する。このため、コイルスプリング弁体203は伸長され、そのスプリング線材の間隙は所定に広がることとなって開弁状態となる。一方、コイルスプリング弁体230は閉弁状態となる。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から流入しようとする熱媒体と、第2ハウジング220の第1開口部221から流入しようとする熱媒体と、がある場合(合流の場合)、第2ハウジング220の第1開口部221からの流入は制限され、第1ハウジング10の開口部11から流入する熱媒体が第2ハウジング220の第2開口部222側へ主に流れるように、サーモバルブ200は作動することになる。
或いは、例えば、第2ハウジング220の第2開口部222から熱媒体が流入して、第1ハウジング10の開口部11側と、第2ハウジング220の第1開口部221側と、に流れを分けるように配設されている場合(分流の場合)は、熱媒体は、第2ハウジング220の第1開口部221側への流出は制限され、第1ハウジング10の開口部11側へ主に流れるように、サーモバルブ200は作動することになる。
すなわち、本実施例に係るサーモバルブ200は、熱媒体の温度状態に応じて、異なる通路(流路)から流入する熱媒体をサーモバルブ200の下流側で合流させる際にその配分を調節したり、合流させる熱媒体を切り替えたりすることができると共に、一の通路(流路)からサーモバルブ200に流入する熱媒体を二つの異なる通路(流路)に流出させる際に、その配分を調節したり、流出させる熱媒体を切り替えたりすることができる。
従って、本実施例に係るサーモバルブ200は、熱媒体の温度状態に応じて熱媒体を合流させる場合の混合比を制御可能な制御弁、或いは熱媒体の温度状態に応じて流路を切り換える流路切換弁、或いは熱媒体の温度状態に応じて熱媒体を分岐させる場合の分配比を制御可能な制御弁などとして利用することができる。
また、本実施例に係るサーモバルブ200によれば、一つの感温可動部2により複数のコイルスプリング弁体を駆動制御することができるため、低コストを維持したまま、熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御可能である。
本発明の実施例4に係るサーモバルブ300について、図5に基づいて説明する。
本実施例4に係るサーモバルブ300も、実施例1と同様に、内燃機関などを冷却するために循環している熱媒体を流通させて熱交換したり、ボイラー等の熱源で温められた熱媒体を流通させて熱交換する端末装置(自動車用ヒーターコアや建物の暖房用ラジエータコアなど)を含む熱媒体回路内に配設されることができる。
本実施例においては、図5(A)が低温低差圧状態(開弁状態)を示し、図5(B)が低温高差圧状態(定流量流調状態:サーモバルブを通過する熱媒体の流量がある一定の流量となるように、コイルスプリング弁体303の開度が調整され熱媒体の流量が調整制御されている状態)を示し、図5(C)は高温状態(閉弁状態)を示している。
図5(A)を用いてサーモバルブ300の構成について説明する。ここでは、他の実施例と異なる部分について説明し、同様の部分については同一の符号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
本実施例では、感温可動部2の温度感知部2Bの延在部2Cとの接合部付近に設けられている段部2Dの図5(A)中下側に、更に、小径の段部2Eが設けられている。
また、第2ハウジング20の段部24に加え、その図5(A)中下側に、更に、小径の段部26が設けられている。
そして、略円錐台形状に巻回されたコイルスプリング弁体303が、図5(A)に示すように、感温可動部2の段部2Eと、第2ハウジング20の段部26と、の間に、略円錐台形状の小径側が段部2Eに対面し大径側が段部26に対面するように配設されている。
また、コイルスプリング弁体303の外周側に配設される略円錐台形状に巻回されたリターンスプリング330が、図5(A)に示すように、感温可動部2の段部2Dと、第2ハウジング20の段部24と、の間に、略円錐台形状の小径側が段部2Dに対面し大径側が段部24に対面するように配設されている。
ここで、図5(A)、図5(B)、図5(C)に基づいて、本実施例に係るサーモバルブ300の作動について説明する。
図5(A)は、熱媒体が比較的低温で、かつ熱媒体の供給圧力が低い場合(コイルスプリング弁体303の前後における熱媒体の差圧が小さい場合)を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は収縮していると共に、温度感知部2Bはリターンスプリング330により図5(A)中上方に押圧付勢されているため、ピストンロッド2Aも収縮している。このため、段部2Eと、段部26と、の間に配設されているコイルスプリング弁体303は伸長されており、そのスプリング線材の間隙は所定に広げられて開弁状態となっている。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から熱媒体が流入しようとしている場合には、図5(A)に示すように、コイルスプリング弁体303のスプリング線材の間隙を熱媒体が通過して、第2ハウジング20の開口部21から熱媒体が流出するように、サーモバルブ300は開弁作動することになる。
図5(B)は、熱媒体が比較的低温で、かつ熱媒体の供給圧力が高い場合(例えば瞬間的に熱媒体流量が増加したような場合で、コイルスプリング弁体303の前後における熱媒体の差圧が大きい場合))を示しており、かかる場合には、熱媒体の高い差圧(流れによる差圧)をスプリング線材が受けることで、図5(B)に示したように、感温可動部2の動作から独立して動作し、コイルスプリング弁体303は段部26方向へ圧縮され、コイルスプリング弁体303のスプリング線材の間隙は所定に狭められて定流量流調状態となる。
従って、例えば、第1ハウジング10の開口部11から熱媒体が流入しようとしている場合には、図5(B)に示すように、コイルスプリング弁体303のスプリング線材の間隙を熱媒体が通過することが所定に制限され、第2ハウジング20の開口部21からの熱媒体の流出が制限され、サーモバルブ300は低温状態であっても閉弁方向に作動され、定流量流調状態となる。すなわち、本実施例に係るサーモバルブ300によれば、定流量弁(ハイカットバルブ)として機能させることができる。
図5(C)は、熱媒体が比較的高温である場合を示しており、かかる場合には、感温可動部2の温度感知部2B及びその延在部2C内の熱膨張体は熱膨張してリターンスプリング330を図5(C)中下方に圧縮し、ピストンロッド2Aが伸長する。このため、コイルスプリング弁体303のスプリング線材の間隙は所定に狭められて閉弁状態となる。
ところで、本実施例においては、コイルスプリング弁体303を通過する熱媒体の瞬間流量が閾値を越えた場合に、コイルスプリング弁体303を定流量弁(ハイカット弁)として機能するように、前後差圧に応じて前記感温可動部2の熱応動とは独立にコイルスプリング弁体303が伸縮動作可能に隣接するスプリング線材間の隙間等が設定されることができるが、その設定の仕方の一例としては、以下のようにすることができる。
すなわち、コイルスプリング弁体303の前後差圧がある一定値を越えた場合には、コイルスプリング弁体303の各巻線間の隙間による通過孔面積Sと、コイルスプリング弁体3を境にした流体の差圧の平方根ΔP1/2と、の積がほぼ一定になるように設定することができるものである。
ここにおいて、上述した各実施例に係るサーモバルブ1、100、200、300において、弁体としてコイルスプリング弁体3、103、203、303を用いることで、以下のような作用効果を奏することができる。
例えば、特許文献1や特許文献2に開示されるような従来のサーモバルブは、主弁体が熱媒体の流れ方向に略対面して配設される円盤状の形態を採っているが、かかる構成では、流通する熱媒体の流れを遮るように弁体が配置されており、入口側開口部から出口側開口部に向けた熱媒体の流通に対して、主弁体が障害物となるように立ち塞がることになる。このため、開弁状態においても、熱媒体流れの主要なる部分(弁体に開口され温度感知用に温度感知部に熱媒体を供給するための微小な感温用リーク孔を介した流れは除く)は、円盤状の主弁体の外形部分を迂回して流通しなければならず、熱媒体の流通の抵抗(=圧力損失)が大きいといった実情がある。
しかしながら、上述した各実施例に係るコイルスプリング弁体3、103、203、303を採用した場合には、熱媒体はスプリング線材間をスムーズに直線的に流れることができるため、熱媒体の流通の抵抗(=圧力損失)を低減する効果を奏することができる。
かかる効果は、特許文献1や特許文献2に開示されるようなサーモバルブの入口側開口部から主弁体を経て出口側開口部までを直線的に配置する場合にもっとも効果の度合いが大きいが、入口側開口部の軸線と出口側開口部の軸線が屈曲していて、直線的な関係でなくても、同様の効果を得ることができる。
また、上述した各実施例に係るコイルスプリング弁体3、103、203、303は、略円筒状にスプリング線材を巻回して構成することもできるが、上記各実施例で説明したように、所定に圧縮され潰れた状態において、スプリング線材が渦巻状に密着するように、略円錐台形状にスプリング線材を巻回して構成することができる。このようにすると、コイルスプリング弁体が開弁状態において、スプリング線材を通過する前後における熱媒体の流れ方向の変化が小さく熱媒体の流れを円滑なものとすることができると共に、閉弁状態においてコンパクト化を促進することができる。
ところで、スプリング線材の断面形状は、耐久性、熱媒体の通過抵抗等の要求に応じて、円形状、楕円形状、三角形状、矩形状、楔形状、台形状その他の多角形状など適宜の形状とすることができる。
なお、熱媒体の流れの主要なる部分が円盤状の主弁体の外形部分(外形の外側)を迂回して流通しなければならない特許文献1や特許文献2に開示される従来のサーモバルブは、主弁体の外側に熱媒体の通過スペースを確保しなければならず大型化するが、上記各実施例に係るコイルスプリング弁体を用いたサーモバルブによれば、よりコンパクトな設計を可能とする。
よって、上記各実施例に係るコイルスプリング弁体を用いたサーモバルブ1、100、200、300は、コンパクトな設計を可能とするうえに、低圧力損失なサーモバルブとすることができる。このため、幅広く採用の可能性を広げることができ、また、低圧力損失性能は熱媒体回路の配管流路の小径化や熱媒体送出ポンプの小容量化等を通じて装置全体の軽量化・小型化、延いてはコスト低減に貢献できる。
さらに、上記各実施例のように、コイルスプリング弁体を、圧縮され潰された状態において、スプリング線材が渦巻状に密着するように略円錐台形状にスプリング線材を巻回して構成すると、隣接するスプリング線材の間隙は小径側から大径側まで存在するため、コイルスプリング弁体の中心付近に配置された感温可動部2(温度感知部2B、延在部2C)周辺にも熱媒体は流入することになるから、従来のような円盤状の弁体を用いた場合のように円盤状の弁体の外形部分を熱媒体が迂回するようにして通過するものに比べて、温度感知部2B周辺の熱媒体が澱むことなく温度感知部2B周辺の熱媒体の流速を確保することができるため、流通中の熱媒体が温度感知部2Bと良好に接触することができ、以って温度感知部2Bでは流通中の熱媒体の温度を素早く正確に捉えることができる。
なお、かかる作用効果は、コイルスプリング弁体を略円錐台形状にスプリング線材を巻回した場合に限らず、略円筒状に巻回して形成した場合においても奏されるものであり、従来のような円盤状の弁体を用いたものに比べて、温度感知部2B周辺の熱媒体が澱むことなく温度感知部2B周辺の熱媒体の流速を確保することができ、以って流通中の熱媒体が温度感知部2Bと良好に接触することができ、延いては温度感知部2Bでは流通中の熱媒体の温度を素早く正確に捉えることができるものである。
特に、コイルスプリング弁体が全開状態から最大絞り状態へ向かう時、コイルスプリング弁体を構成する略円錐台形状に巻回されたスプリング線材は大径側から圧縮されて潰れて行くことで、通過する熱媒体の流量を制御するので、熱媒体の流量が絞られて少なくなるにも拘わらず、小径側(=温度感知部2Bの付近)の流速は確保されることになるため、熱媒体の流量が絞られた状態においても、温度感知部2Bが流通中の熱媒体の温度を素早く正確に捉えることができることになる。
すなわち、上記各実施例に係るコイルスプリング弁体を用いたサーモバルブ1、100、200、300によれば、十分な熱媒体の流量がある場合は勿論、低流量領域においても高精度で応答性の良いサーモバルブを実現することができる。
上記各実施例に係るサーモバルブ1、100、200、300は、低コストでありながら、高精度で応答性良く、熱媒体の流量を、熱媒体の温度や差圧に応じて制御することができるので、以下のような熱媒体循環システムが提案できる。
上記各実施例に係るサーモバルブ1、100、200、300の何れかを、1つ又は複数の熱媒体回路内の端末装置(自動車用ヒーターコアや建物の暖房用ラジエータコアなど)の下流側に備え、当該箇所の熱媒体の温度を感温可動部2に感知させることで、端末装置の熱需要・冷却需要の変動に応じた熱媒体の分配制御が可能な熱媒体循環システムを提供することができる。
すなわち、端末装置の下流側に上記各実施例に係るサーモバルブを備えることで、該サーモバルブは、端末装置の熱需要や冷却需要の程度を測ることができるようになる。
例えば、エンジン冷却のための冷却系メイン回路の冷却液(熱媒体)の温度は、暖機終了後は、サーモスタットにより略一定の安定温度に制御されている。従って、そこから分岐された冷却液回路に供給される冷却液温度は予め予測可能である。それに対しその冷却液が流入し、該冷却液と熱交換する端末装置の下流側の冷却液温度は、熱交換の結果により変化する。端末装置がたくさんの熱を必要としていれば、それだけ該端末装置の下流側の冷却液温度は供給される冷却液温度よりも低い温度となる。逆に端末装置がたくさんの冷却(冷却液への熱の放出)を必要としていれば、それだけ該端末装置の下流側の冷却液温度は供給される冷却液温度よりも高い温度となる。
このため、端末装置の下流側で冷却液の温度を感温するようにすれば、当該端末装置の熱需要・冷却需要の程度を測ることができるようになり、以って上記各実施例に係るサーモバルブを端末装置の下流側に配設することで端末装置の熱需要・冷却需要の変動に応じた熱媒体の分配制御が可能となる。
また、上記各実施例に係るサーモバルブを、例えば、建物の暖房用の熱媒体回路に適用した場合も同様である。各熱媒体回路に備え付けられた端末装置(床暖房用のパネルや、室内暖房用ラジエータコア等)の下流側で熱媒体の温度を感温するようにすれば、当該端末装置の熱需要の程度を測ることができるようになり、以って上記各実施例に係るサーモバルブを端末装置の下流側に配設することで端末装置の熱需要の変動に応じた熱媒体の分配制御が可能となる。
このように、上記各実施例に係るサーモバルブを用いることで、各端末装置の熱需要・冷却需要が変動することを前提に、熱媒体の流量を、熱需要・冷却需要の少ない端末装置には少流量に、熱需要・冷却需要の多い端末装置にはなるべく多くの流量に、そして、流量ハイカット機能(=定流量弁機能)を備えることで必要以上の分配をすることなく、その時々の状態に最適なバランスで熱媒体を分配するシステム(熱媒体回路)を、簡単かつ安価な構成で、複雑な制御系を必要とせずに実現することができる。
なお、本発明は上述した実施例で説明した構造に限定されるものではなく、サーモバルブ(熱応動弁)を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得るものである。
本発明の実施例1に係るサーモバルブの構成を示す図であり、(A)は低温状態(開弁状態)、(B)は高温状態(閉弁状態)を示す断面図であり、(C)は(A)中のA矢視図、(D)は(A)中のB矢視図である。 図1のサーモバルブの組み立て図である。 本発明の実施例2に係るサーモバルブの構成を示す図であり、(A)は低温状態(閉弁状態)、(B)は高温状態(開弁状態)を示す断面図である。 本発明の実施例3に係るサーモバルブの構成を示す図であり、(A)は低温状態、(B)は高温状態を示す断面図である。 本発明の実施例4に係るサーモバルブの構成を示す図であり、(A)は低温低差圧状態、(B)は低温高差圧状態、(C)は高温状態を示す断面図である。
符号の説明
1、100、200、300 サーモバルブ
2 感温可動部
2A ピストンロッド
2B 温度感知部
2C 延在部
3、103、203、230、303 コイルスプリング弁体
10 第1ハウジング
11 開口部
12 アーム
13 支持部
20、220 第2ハウジング
21 開口部
22 アーム
23 ガイド部
130、330 リターンスプリング
221 第1開口部
222 第2開口部

Claims (10)

  1. 熱媒体が流れる熱媒体回路に介装されると共に、
    熱媒体の流路に沿った方向に動作される弁体と、熱媒体の温度に応じた熱応動動作を利用して前記弁体を熱媒体の流路に沿った方向に開閉駆動する感温可動部と、を備え、
    熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御するサーモバルブであって、
    前記弁体が、前記感温可動部の熱応動動作に連動して伸縮することによる巻線部の間隙変化により熱媒体の流路の通過断面積が増減されて開閉動作されるコイルスプリング弁体により構成されたことを特徴とするサーモバルブ。
  2. 熱媒体が流れる熱媒体回路に介装され、熱媒体の温度に応じて熱媒体の流れを制御するサーモバルブであって、
    熱媒体の温度に応じた熱応動動作を利用して、弁体を開閉駆動する感温可動部と、
    熱媒体が流れる流路を有すると共に、当該流路の内側に突き出し前記感温可動部の一部を支持固定する支持部を有する第1ハウジングと、
    熱媒体が流れる流路を有すると共に、当該流路の内側に突き出し前記感温可動部の進退移動部分を支持案内する案内部を有する第2ハウジングと、
    前記支持部と前記案内部の中間位置に形成される弁室に配置され、前記感温可動部の熱応動動作に連動して伸縮されることによる巻線部の間隙変化により熱媒体の流路の通過断面積が増減されて開閉動作されるコイルスプリング弁体と、
    を含んで構成されたことを特徴とするサーモバルブ。
  3. 前記第1ハウジングが、熱媒体が流れる流路と、当該流路の内壁から伸びるアームと、当該アームに支持され前記感温可動部の一部を支持固定する支持部と、が一体成形により形成され、
    前記第2ハウジングが、熱媒体が流れる流路と、当該流路の内壁から伸びるアームと、当該アームに支持され前記感温可動部の進退移動部材を支持案内する支持案内部と、が一体成形により形成されることを特徴とする請求項2に記載のサーモバルブ。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のサーモバルブであって、
    前記コイルスプリング弁体が、所定に圧縮され潰れた状態において、スプリング線材が渦巻状に密着するように、略円錐台形状にスプリング線材を巻回して構成されたことを特徴とするサーモバルブ。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1つに記載のサーモバルブであって、
    前記感温可動部の進退移動部分を原位置へ復帰させるよう付勢するリターンスプリングを備えたことを特徴とするサーモバルブ。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1つに記載のサーモバルブであって、
    前記弁室を形成する前記第1ハウジング或いは第2ハウジングに、熱媒体回路の分岐或いは合流箇所が形成され、
    前記弁室内には、前記感温可動部の熱応動動作に連動して開閉動作する他のコイルスプリング弁体が備えられ、
    前記感温可動部により複数のコイルスプリング弁体を開閉駆動して、熱媒体の分岐の分配比或いは合流の混合比を制御可能に構成されたことを特徴とするサーモバルブ。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1つに記載のサーモバルブであって、
    前記コイルスプリング弁体を通過する熱媒体の瞬間流量が閾値を越えた場合に、該コイルスプリング弁体が定流量弁として機能するように、前後差圧に応じて前記感温可動部の熱応動とは独立に伸縮動作することを特徴とするサーモバルブ。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1つに記載のサーモバルブを備えたことを特徴とする熱媒体回路。
  9. 請求項8に記載の熱媒体回路であって、前記サーモバルブが、熱媒体を流通させて熱交換する端末装置の下流側に配設されたことを特徴とする熱媒体回路。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の熱媒体回路は、内燃機関の冷却系システム或いは建物の暖房システムにおける熱媒体回路であることを特徴とする熱媒体回路。
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