JP2009214386A - 真空rtm成形方法 - Google Patents

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浩司 小谷
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Abstract

【課題】繊維体積含有率が高く、樹脂欠損の無い、高品質のFRP成形品を効率よく確実に製造できる真空RTM成形方法を提供する。
【解決手段】成形型上に強化繊維プリフォームを配置し、バッグ材で覆って、内部を吸引により減圧する減圧工程A、所定温度T0において、強化繊維プリフォームに液状熱硬化性樹脂を注入し、強化繊維プリフォームに含浸させた後に、注入を閉止する樹脂注入工程B、温度T0よりも高い所定の温度T1まで昇温する第1の昇温工程C、温度T1において、樹脂含浸強化繊維プリフォーム内の余剰な樹脂を吸引・排出するブリード工程D、温度T1よりも高い所定の温度T2まで昇温する第2の昇温工程E、温度T2において樹脂を硬化させる硬化工程Fを有することを特徴とする真空RTM成形方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、真空RTM成形方法(Vacuum assisted Resin Transfer Molding、以下、VaRTM成形方法と略称することもある。)に関し、とくに、繊維体積含有率が高く優れた品質のFRP(繊維強化プラスチック)成形品を効率よくより確実に製造するための真空RTM成形方法に関する。
成形型上に、例えば強化繊維基材の積層体からなる強化繊維プリフォームを配置し、その上に樹脂拡散媒体を配置し、全体をバッグ材で覆って内部を吸引により減圧し、樹脂拡散媒体を介して液状の熱硬化性樹脂を注入し、強化繊維プリフォームに含浸させ、しかる後に加熱により樹脂を硬化させてFRP成形品を得るようにしたVaRTM成形方法が知られている(例えば特許文献1、2)。
このようなVaRTM成形方法において、以下のような手法で余剰な樹脂を除去するようにすることは知られている(例えば特許文献3)。
(1)樹脂を注入後、余剰な樹脂を吸引した後、昇温して樹脂を硬化させる。
(2)吸引を継続しながら、硬化温度まで昇温し、樹脂を硬化させる。
しかしながら、後述の本発明のような、余剰な樹脂を吸引・排出するブリード工程中またはブリード工程後に昇温ステップを設ける公知例は、見当たらない。
上記のような従来の余剰な樹脂の吸引・排出のためのブリード工程には、以下のような問題がある。
上記(1)の手法では、樹脂注入中に樹脂が反応し、粘度が上昇して流動性が低下するため、余剰な樹脂を効率的に吸引・排出できず、最終的な成形品の品質が低下する(とくに、繊維体積含有率が低下する)。
また、上記(2)の手法では、昇温中に、熱硬化性樹脂の粘度が一旦急激に低下することが多いため、強化繊維プリフォーム内に含浸した樹脂まで吸引されることがあり、それによって最終的な成形品の品質が低下する(とくに、樹脂の欠損部位が発生する)。
米国特許第5,052,906号明細書 特開2003−025346 特開2002−192535
そこで本発明の課題は、上述のような従来技術における問題点に着目し、繊維体積含有率が高く、樹脂欠損の無い、高品質のFRP成形品を効率よく確実に製造することが可能な真空RTM成形方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る真空RTM成形方法は、以下のAからFの工程を有することを特徴とする方法からなる。
A.成形型上に強化繊維プリフォームを配置し、バッグ材で覆って、内部を吸引により減圧する減圧工程
B.所定温度T0において、前記強化繊維プリフォームに液状熱硬化性樹脂を注入し、強化繊維プリフォームの全体に含浸させた後に、注入を閉止する樹脂注入工程
C.前記温度T0よりも高い所定の温度T1まで、樹脂含浸強化繊維プリフォームの温度を昇温する第1の昇温工程
D.前記温度T1において、前記樹脂含浸強化繊維プリフォーム内の余剰な樹脂を吸引・排出するブリード工程
E.前記温度T1よりも高い所定の温度T2まで、樹脂含浸強化繊維プリフォームの温度を昇温する第2の昇温工程
F.前記温度T2において、樹脂含浸強化繊維プリフォーム内の樹脂を硬化させる硬化工程
このVaRTM成形方法においては、所定温度T0において、強化繊維プリフォームに液状熱硬化性樹脂を注入し、全体に含浸させた後に、注入を閉止する。前述した従来手法においては、樹脂の注入中に、樹脂は反応により増粘し、流動性が低下する。また、吸引を継続して、硬化温度まで昇温した場合には、樹脂の粘度が急激に低下して、樹脂欠損が生じる。本発明においては、樹脂は温度が高くなると粘度が低くなる特性を利用して、樹脂の流動が可能な所定の温度T1まで、強化繊維プリフォームの温度を昇温する第1の昇温工程を設け、温度T1において、強化繊維プリフォーム内の余剰な樹脂を吸引・排出する。余剰な樹脂の吸引・排出を行った後、樹脂の吸引を閉止し、所定の温度T2まで昇温する第2の昇温工程を実行し、その温度T2において、樹脂を硬化させる。温度T1は、温度T0と温度T2の間の温度であり、樹脂の反応により樹脂の粘度が上昇しすぎない、つまり粘度上昇により樹脂の流動性が低下しすぎない温度で、かつ、昇温により樹脂の粘度が急激に低下し始める温度よりは低い温度、つまり粘度の急激な低下により樹脂の流動性が高くなりすぎない温度に設定される。このような中間の所定温度T1への昇温工程Cと該温度T1でのブリード工程Dを設けることにより、樹脂の粘度(流動性)が低すぎずかつ高すぎない最適な条件にて、余剰な樹脂が吸引・排出されることになり、余剰な樹脂は適切な量だけ効率よく吸引・排出されて、最終的な成形品の樹脂量および樹脂の含浸分布状態が目標とする量および状態に容易に調節される。その結果、成形品の繊維体積含有率が目標とする高い値に制御され、かつ、樹脂欠損部位の無い、極めて優れた品質の成形品が得られることになる。
このような本発明に係るVaRTM成形方法においては、上記ブリード工程Dにおいて、上記第2の昇温工程の前に、吸引を完全に閉止することが好ましい。例えば、吸引口が複数設けられている場合には、全ての吸引口を閉止することが好ましい。第2の昇温工程の前には、余剰な樹脂が実質的に全て吸引・排出された状態にあるから、吸引の完全閉止により、それ以上の樹脂の吸引・排出は行わず、第2の昇温工程中には専ら樹脂の強化繊維プリフォーム内への均一な含浸、分布をより確実に達成できるようにすることができる。したがって、樹脂硬化前に、樹脂は、目標とする高い繊維体積含有率および樹脂欠損のない状態の優れた成形品品質を達成するために最適な含浸、分布状態となり、その状態で硬化工程Fにて硬化されることになる。
また、本発明に係るVaRTM成形方法は、上記温度T0における注入樹脂の注入後所定経過後の粘度、例えば1時間経過後の粘度が、初期粘度に対して所定の倍率以上に高い、例えば初期粘度の2倍以上である熱硬化性樹脂を用いる場合、とくに高い効果が得られる。すなわち、樹脂の粘度上昇が所定以上に速い場合、樹脂注入、含浸後、樹脂の粘度が、吸引が困難になるまで上昇している場合があるため、温度を上昇し、樹脂の粘度を下げてブリード工程Dに移行することで、本発明の高い効果を得ることができる。また、液状熱硬化性樹脂の注入、含浸後、注入が閉止されて樹脂が均一に拡散、含浸するための時間が設けられるが、この時に増粘の程度が高い樹脂に対しては、ブリード工程Dのために昇温する第1の昇温工程Cにおける昇温温度T1を適切に低い温度に設定しておくことにより、温度T1に到達後の樹脂の粘度が高くなりすぎないようにすることが可能になり、それによって増粘し易い樹脂に対しても、望ましい流動性を持たせた状態にて、ブリード工程Dに移行することが可能になる。その結果、このような樹脂に対しても、ブリード工程Dにおいて、上述の如き最適な条件での樹脂の吸引・排出が可能になる。
上記温度T1は温度T0に対して以下の範囲にあることが好ましい。
T0+10℃≦T1≦T0+40℃
このような温度範囲内にT1を設定することにより、前述した、粘度上昇により樹脂の流動性が低下しすぎない温度で、かつ、昇温時の粘度の急激な低下により樹脂の流動性が高くなりすぎない温度に設定することが可能になる。
また、上記温度T2は温度T1に対して以下の範囲にあることが、つまり、温度T2と温度T1との関係を以下のような関係に設定することが好ましい。
T1+10℃≦T2≦T1+60℃
このように温度T2と温度T1との関係を設定することにより、相対的に温度T1を、前述した、粘度上昇により樹脂の流動性が低下しすぎない温度で、かつ、昇温時の粘度の急激な低下により樹脂の流動性が高くなりすぎない温度に設定しやすくなるとともに、樹脂硬化のための温度T2についても、ブリード工程Dを考慮した上で、用いる樹脂にとって最適な硬化温度に容易に設定できるようになる。
本発明に係るVaRTM成形方法においては、成形型については特に限定されないが、例えば成形型が温度調節機能を有しており、該成形型の温度調節により、上記所定温度T0、T1、T2に制御することができれば、本発明における各工程の温度が精度良くかつ容易に所望の温度に制御できるようになる。
また、本発明に係るVaRTM成形方法においては、樹脂の均一で迅速な拡散、含浸をより確実に達成するために、樹脂拡散媒体を配置することもできる。例えば、上記減圧工程Aにおいて、成形型上に配置された強化繊維プリフォーム上に樹脂拡散媒体を配置し、上記樹脂注入工程Bにおいて、注入樹脂を樹脂拡散媒体を介して拡散させつつ強化繊維プリフォームに含浸させるようにすることができる。このような樹脂拡散媒体を用いることにより、注入されてきた樹脂は、強化繊維プリフォームよりもはるかに樹脂流動抵抗の低い樹脂拡散媒体中を所望の領域全体にわたって迅速に拡散しつつ、拡散中におよび拡散後に強化繊維プリフォーム中へと含浸していくことができ、より迅速で均一な含浸が可能になる。
また、本発明に係るVaRTM成形方法においては、使用する強化繊維プリフォームの形態や種類は特に限定されないが、強化繊維プリフォームが強化繊維基材の積層体からなる場合、とくに、樹脂を含浸させていくべき該積層体の厚み方向に高い樹脂流動抵抗を有する場合が多くなるので、従来手法では、樹脂を所望の状態で含浸させて高い繊維体積含有率を実現すること、余剰樹脂を適切に吸引・排出して樹脂欠損の発生を防止することが、より難しくなる。したがって、本発明に係る方法は、このように強化繊維プリフォームが強化繊維基材の積層体からなる場合にとくに好適な方法であり、高い効果を奏することが可能である。
さらに、上記のように強化繊維プリフォームが強化繊維基材の積層体からなる場合には、積層される強化繊維基材が、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料が表面に付与された基材からなることが好ましい。このような樹脂材料が表面に付与されていることにより、強化繊維基材同士が、プリフォーム全体としての必要な賦形性を維持しつつ、互いに接着されることが可能になるので、プリフォーム全体としての形態保持性や取り扱い性が向上される。そして、このような利点を得つつ、昇温により、各基材表面に付与されている熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料の変形量が大きくなるので、強化繊維基材同士がより近接することが可能になり、強化繊維プリフォームの嵩が小さくなるため、余剰注入樹脂の吸引・排出をより効率よく行うことが可能になる。したがって、本発明を適用した場合の効果の度合いが、より大きくなる。
このように、本発明に係る真空RTM成形方法によれば、とくに一連の工程中に第1の昇温工程Cとブリード工程Dを設けることにより、繊維体積含有率が高く、樹脂欠損の無い、高品質のFRP成形品を効率よくしかも確実に製造することが可能になる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明において、強化繊維プリフォームとは、強化繊維を含み、予め所定の形状に賦形された、マトリックス樹脂を含まない、最終成形品としてのFRPを成形するための素材としての部材のことを言う。強化繊維プリフォームは、強化繊維により構成された板状やブロック状の部材に形成でき、通常、強化繊維を含むシート状の強化繊維基材の積層体に構成される。強化繊維基材の形態としては、強化繊維の織物や編み物、組み物、不織布、強化繊維が一方向に引き揃えられたシート材等が挙げられる。用いる強化繊維としては、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維等が挙げられ、これらは単独種で用いてもよく複数種の併用形態としてもよい。
FRP成形用のマトリックス樹脂としては、特に限定されるものではないが、その初期の粘度は、含浸性の観点から、注入温度において、400mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましい。注入温度における1時間経過後の粘度が、初期の粘度の2倍以上となるマトリックス樹脂である場合、樹脂の粘度が高く、ブリード工程で樹脂を排出する効率が悪くなるため、本発明による効果(樹脂の粘度を下げて、樹脂の排出を効率的にする)がより大きくなり、好ましい。注入温度は、100℃以下であると設備が簡易なものにできるため好ましい。本発明では、マトリックス樹脂として、注入前には常温で液状である熱硬化性樹脂が使用され、該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が使用可能である。更にエラストマー、ゴム、硬化剤、硬化促進剤、触媒等を添加したものも使用可能である。マトリックス樹脂を、一方向性強化繊維基材に含浸させる場合、マトリックス樹脂の粘度が低いと含浸時間が短くできる。
繊維強化プリフォームの形成に用いられる強化繊維基材としては、基材の少なくとも片表面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を有していることが好ましい。樹脂材料を有していることにより、基材を積層する際に、基材同士のタック性(接着性)、基材の適度なコシがもたらされる。樹脂材料を有している強化繊維基材を用いて本発明に係る方法を適用した場合、本発明においては、従来技術におけるよりは高い温度で樹脂の排出(ブリード)を実施するため、この高温での樹脂材料の変形量が大きくなり(プリフォームの嵩が小さくなり、繊維体積含有率が高くなる)、本発明による効果の程度がより大きくなる。
また、強化繊維基材表面に付着している樹脂の付着量としては特に限定されないが、できるだけ多い方が本発明の効果が大きい。この強化繊維基材表面に付着している樹脂は、熱可塑性樹脂を主成分とするが、熱硬化性樹脂等との混合物であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボナート、ポリアセターアル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフイド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、酪酸セルロースなどである。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などである。
本発明において、上記樹脂材料の形態は、特に限定されないが、例えば、粒子、短繊維、連続繊維を単一方向に引き揃えたもの、織物、編み物、不織布、穴あきフィルムが挙げられ、中でも、粒子の形態であると、強化繊維上に均一分布させることができるため好ましい。そして、この接着用樹脂が付着した強化繊維基材を積層し、温度が(Tg−20℃)〜(Tg+50℃)の範囲内でかつ、圧力が1.0MPa以下でかつ3時間以内にて処理し、強化繊維基材同士を接着させて、プリフォームを製作する。なお、ここでいうTgとは示差走査熱量分析計DSC(Differential scanning calorimetry)により測定した値をいう。
図面を参照して説明するに、図1は、本発明の一実施態様に係る真空RTM成形方法を説明するための、真空RTM成形装置の一例を示す概略構成図である。図1において、1は真空RTM成形装置全体を示しており、2は、金型等からなる成形型を示している。本実施態様では、成形型2自体で加熱、温度制御できるようになっている。本実施態様に係る真空RTM成形方法においては、成形型2上に、平板状に賦形された強化繊維プリフォーム3を配置し、その上に、成形後剥離用のピールプライ4を介してシート状の樹脂拡散媒体5を配置し、これら全体をバッグ材としてのバッグフィルム6で、周囲をシール材7でシールした状態にて覆い、内部に設けられた吸引口8を通して真空ポンプ9によって吸引することにより、バッグフィルム6で覆われた内部を減圧する(減圧工程A)。
次いで、所定温度T0(例えば、70℃)において、バッグフィルム6で覆われた内部に設けられた樹脂注入口10から、上記樹脂拡散媒体5を通して、強化繊維プリフォーム3に液状熱硬化性樹脂11を注入し、注入樹脂11を強化繊維プリフォーム3の全体にわたって含浸させた後に、注入を閉止する(樹脂注入工程B)。この樹脂注入工程Bには、例えば約60分程度を要する。
次いで、上記温度T0よりも高い所定の温度T1(例えば、80〜90℃)まで、樹脂が含浸された強化繊維プリフォーム3の温度を昇温する(第1の昇温工程C)。このとき、樹脂種にもよるが、温度T1は、前述の如く、
T0+10℃≦T1≦T0+40℃
の範囲内にあることが好ましい。
次いで、上記温度T1において、樹脂含浸強化繊維プリフォーム3内の余剰な樹脂を吸引により排出する(ブリード工程D)。このとき、吸引口8が複数ある場合には、全ての吸引口8を閉じ、吸引を完全に閉止することが好ましい。この余剰な樹脂を吸引・排出するブリード工程Dには、例えば約30分程度を要する。
次いで、上記温度T1よりも高い所定の温度T2(例えば、130℃)まで、樹脂含浸強化繊維プリフォーム3の温度を昇温する(第2の昇温工程E)。このとき、樹脂種にもよるが、温度T2は、前述の如く、
T1+10℃≦T2≦T1+60℃
の範囲内にあることが好ましい。
次いで、主としてこの温度T2において、樹脂含浸強化繊維プリフォーム3内の樹脂を硬化させる(硬化工程F)。樹脂硬化後には、ピールプライ4を樹脂拡散媒体5とともに剥離除去し、所望形状に形成されたFRP成形品を脱型する。
前述の如く、液状の熱硬化性樹脂の注入中に樹脂の粘度が高くなるため、例えば図3に示すように、70℃で注入中に、約60分で樹脂の粘度が約2倍あるいは2倍強まで上昇する。従来手法のように、そのまま樹脂をブリードしても、粘度が高くて、余剰な樹脂を効率的に吸引できないため、最終的な成形品の繊維体積含有率が上がらないという問題があった。また、樹脂の硬化温度まで吸引を継続して樹脂を硬化させる場合、継続して硬化温度まで昇温すると、昇温途中で樹脂の粘度が急激に低下することがあるため、余剰ではない強化繊維プリフォーム内の樹脂まで吸引されてしまい、成形品に樹脂欠損が生じるという問題があった。
そこで本発明では、とくに前記実施態様では、例えば図2に示すように、70℃で樹脂を注入し、注入口を閉止した後に、第1の昇温工程で、例えば90℃まで昇温し、この中間温度T1にて、ブリード工程で樹脂をブリードし、樹脂のブリードを閉止した後に、130℃まで昇温して、樹脂を硬化させるようにした。
また、従来のオーブン加熱では、昇温速度が遅く、昇温中に粘度が上がってしまう問題があったが、成形型を例えば熱媒で直接加熱する温調機能を付与することにより、昇温速度が速くなり、上記のような昇温ステップを有する本発明の実施が可能となった。
このような本発明に係る方法における挙動を、従来技術と比較しながら、図2〜図3に示す。
図3に示すように、従来技術においては、初期温度T0にて樹脂注入から吸引による樹脂排出まで行い、そこから一挙に樹脂硬化温度T2まで昇温するようにしていたが、本発明においては、初期温度T0での樹脂注入後、中間温度T1に昇温して温度T1にて余剰樹脂の排出を行い、余剰樹脂排出後に、樹脂硬化温度T2まで昇温して樹脂を硬化させるようにしている。このような中間温度T1でのブリード工程を設けることにより、例えば図5に示すように、温度T1への昇温により注入、含浸されている樹脂の粘度(初期粘度を1とした場合の粘度変化率で表示)の上昇を抑え低粘度に保つことが可能になり、その低粘度による良好な樹脂流動特性を発現させて、円滑で効率のよい樹脂の吸引・排出を実現している。余剰樹脂を適切な量、確実に排出することにより、成形品において目標とする高い繊維体積含有率を実現することが可能になる。
また、ブリード工程で余剰樹脂を適切な量、確実に排出した後、吸引を完全に閉止し、しかる後に樹脂硬化温度T2まで昇温して樹脂を硬化させるようにしているので、この温度T2への昇温過程では、もはや樹脂は吸引・排出されず、この昇温過程でたとえ樹脂の粘度が急激に低下することがあったとしても、成形品の樹脂欠損にはつながらず、むしろ、強化繊維プリフォーム中での樹脂分布のさらなる均一化に寄与するだけである。
以下に、本発明の実施例と、従来技術による比較例とについて、表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料が付与された強化繊維基材の積層体および樹脂材料が付与されていない強化繊維基材の積層体からなる両種の強化繊維プリフォームに関して試験した結果を説明する。
この試験においては、強化繊維基材として、引張強さが5800MPa、引張弾性率が290GPaのフィラメント数が24,000本の炭素繊維をたて糸に、また、よこ糸としてガラス繊維”ECE225 1/0”を用い、たて糸密度が2.1本/cm、よこ糸密度が3.0本/cmである、炭素繊維の重量が190g/m2 の織物を製織した。そして、この織物を製織する過程において、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合樹脂を粉砕した樹脂材料の粉体(平均粒径120μm)を織物表面に散布した後、200℃に加熱することによって熱融着させることにより織物基材が積層された炭素繊維基材を得た。なお、この炭素繊維維基材における樹脂材料の付着量は、18g/m2 (8重量%)であり、ガラス転移温度は75℃であった。
マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂組成物(エポキシ主剤(I)100重量部、硬化剤(II)40重量部の配合物)を用いた。
エポキシ主剤(I):“アラルダイト”(登録商標)MY−721(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)40重量部に、“JER”(登録商標)630(ジャパンエポキシレジン社製)を25重量部、“Epon”(登録商標)825(ジャパンエポキシレジン社製)を35重量部加え、70℃で1時間撹拌した後、25℃に冷却したもの。
エポキシ硬化剤(II):“JERキュア”(登録商標)W(ジャパンエポキシレジン社製)27重量部に3,3’−DAS(三井化学ファイン社製)を12重量部加え、100℃で1時間撹拌し、70℃まで降温した後、硬化促進剤としてTBC(宇部興産社製)1重量部を加え、更に70℃で30分間撹拌しTBCを均一溶解させた後、25℃に冷却したもの。
各水準において、図1のとおり、幅500mm、長さ500mmの成形型2上に、幅300mm、長さ300mmの強化繊維プリフォーム3を配置した。次に、強化繊維プリフォーム3の全体を覆うナイロン製のピールプライ4を配置した。更にその上に樹脂拡散媒体5を配置した。樹脂拡散媒体5の端部には、樹脂注入口10として高さ10mm、幅10mm、長さ800mm、厚み2mmのアルミチャンネルを配置した。他方には、吸引口8としてアルミチャンネルを配置した。強化繊維プリフォーム3の全体を、ナイロン製のバッグフィルム6で覆い、周囲をシーラント7で密閉して、内部を減圧吸引した。
つぎに、強化繊維プリフォーム3全体が70℃になるように金型を加熱した。マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂を70℃に保温した後、樹脂注入口から注入した。マトリックス樹脂は樹脂拡散媒体5を通じて、強化繊維プリフォーム3全体に拡散し、約60分で強化繊維プリフォーム3全体に含浸を完了したため、樹脂注入口10を閉止した。
従来技術による比較例は、樹脂注入が完了した後、約30分間、強化繊維プリフォーム3全体が70℃の状態で吸引口8からの吸引を継続し、過剰に注入されたマトリックス樹脂を排出させた後、吸引口8を閉止した。
一方、本発明の実施例は、強化繊維プリフォーム3全体が90℃になるまで2℃/分の速度で昇温した後、吸引口8から約30分間吸引を継続し、過剰に注入されたマトリックス樹脂を排出させた後、吸引口8を閉止した。
ブリードが完了した後、金型の温度を130℃に上げて、マトリックス樹脂を硬化させた。硬化した繊維強化プラスチックを成形型から脱型して取り出した。
各水準の繊維強化プラスチックにおいて、マイクロメータを用いて、板厚を測定して、強化繊維体積含有率を求めた。測定個所は、1辺あたり100mm間隔で3点測定し、全体で計12点測定した。厚みから強化繊維体積含有率Vfを算出して求めた結果を表1に示す。
本発明を適用した場合の従来技術に対する効果は、主として強化繊維体積含有率の向上度合いで判定した。結果を表1に示す。表1に示すように、樹脂材料付着の場合、樹脂材料無しの場合のいずれの場合においても、従来技術に対し強化繊維体積含有率を向上できた。とくに、樹脂材料付着の場合には、樹脂材料無しの場合に比べ、本発明を適用することによる強化繊維体積含有率の向上効果の度合いがより大きいことが分かる。
Figure 2009214386
本発明に係る真空RTM成形方法は、真空RTM成形において成形品の繊維体積含有率の向上や樹脂欠損の防止が求められるあらゆる成形に適用可能である。
本発明の一実施態様に係る真空RTM成形方法を説明するための、真空RTM成形装置の一例を示す概略構成図である。 本発明と従来技術における各工程の挙動を示す時間と温度との関係図である。 本発明と従来技術との粘度変化特性の比較図である。
符号の説明
1 真空RTM成形装置
2 成形型
3 強化繊維プリフォーム
4 ピールプライ
5 樹脂拡散媒体
6 バッグ材としてのバッグフィルム
7 シール材
8 吸引口
9 真空ポンプ
10 樹脂注入口
11 注入樹脂

Claims (9)

  1. 以下のAからFの工程を有することを特徴とする真空RTM成形方法。
    A.成形型上に強化繊維プリフォームを配置し、バッグ材で覆って、内部を吸引により減圧する減圧工程
    B.所定温度T0において、前記強化繊維プリフォームに液状熱硬化性樹脂を注入し、強化繊維プリフォームの全体に含浸させた後に、注入を閉止する樹脂注入工程
    C.前記温度T0よりも高い所定の温度T1まで、樹脂含浸強化繊維プリフォームの温度を昇温する第1の昇温工程
    D.前記温度T1において、前記樹脂含浸強化繊維プリフォーム内の余剰な樹脂を吸引・排出するブリード工程
    E.前記温度T1よりも高い所定の温度T2まで、樹脂含浸強化繊維プリフォームの温度を昇温する第2の昇温工程
    F.前記温度T2において、樹脂含浸強化繊維プリフォーム内の樹脂を硬化させる硬化工程
  2. 前記ブリード工程Dにおいて、前記第2の昇温工程の前に、吸引を完全に閉止する、請求項1に記載の真空RTM成形方法。
  3. 前記温度T0における注入樹脂の注入後1時間経過後の粘度が、初期粘度の2倍以上である、請求項1または2に記載の真空RTM成形方法。
  4. 前記温度T1が以下の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
    T0+10℃≦T1≦T0+40℃
  5. 前記温度T2が以下の範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
    T1+10℃≦T2≦T1+60℃
  6. 前記成形型が温度調節機能を有しており、該成形型の温度調節により、前記所定温度T0、T1、T2に制御する、請求項1〜5のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
  7. 前記減圧工程Aにおいて、前記成形型上に配置された強化繊維プリフォーム上に樹脂拡散媒体を配置し、前記樹脂注入工程Bにおいて、注入樹脂を前記樹脂拡散媒体を介して拡散させつつ強化繊維プリフォームに含浸させる、請求項1〜6のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
  8. 前記強化繊維プリフォームが強化繊維基材の積層体からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
  9. 前記強化繊維基材が、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料が表面に付与された基材からなる、請求項8に記載の真空RTM成形方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113829648A (zh) * 2021-08-26 2021-12-24 中国航空制造技术研究院 一种复合材料叶片rtm成型方法

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