JP2009209769A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸気通路に燃料を噴射するポート燃料噴射式エンジンにおいて、ターボチャージャによる過給時のような高負荷時には(S80)、バルブオーバーラップ時を除くその前後に分割して燃料噴射するよう燃料噴射時期を制御する(S120)。
【選択図】図2
Description
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、バルブオーバーラップ時の燃料の排気通路への吹き抜けを抑制し、内燃機関の運転状態に応じた燃料噴射量を確保できる内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
なお、本発明における所定負荷以上の運転領域とは、過給により吸気側の圧力が高くなる場合、大気圧や脈動の影響等で吸気側よりも排気側の圧力が低くなる場合等を含む。
また、請求項3の発明では、内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射手段と、内燃機関の所定負荷以上の運転領域において、燃料噴射開始時期が吸気弁及び排気弁の双方が開弁するバルブオーバーラップ時の後に設定されるように、燃料噴射手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3の内燃機関の燃料噴射装置によれば、バルブオーバーラップ時の後に燃料噴射開始時期が設定されるので、吸気通路の圧力が排気通路の圧力より高くとも、燃料が排気通路に流出することを抑制できる。また、吸気行程に燃料が噴射されるので、燃料がスムーズに筒内に導かれ、効率的な筒内への燃料供給が可能となる。
図1は、本発明に係る燃料噴射装置を備えたエンジン(内燃機関)1の概略構成図である。
本実施形態のエンジン1は、ターボチャージャ(過給機)2を備えたポート燃料噴射式の4サイクルガソリンエンジンである。
更に、シリンダヘッド3には、電磁式の燃料噴射弁(燃料噴射手段)20が設けられており、該燃料噴射弁20は図示しない燃料タンクから供給された燃料を吸気ポート5内に噴射する機能を有する。
ターボチャージャ2は、吸気管15に介装されたコンプレッサ23と、排気浄化触媒22より上流側の排気管21に介装されたタービン24と、を含んで構成されており、エンジン1の排気によって駆動されたタービン24の回転力を利用して、コンプレッサ23を駆動して吸気を圧縮することで、吸気流量を増加させて、エンジン1の出力を向上させる機能を有している。
ECU(電子コントロールユニット:制御手段)40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。ECU40の入力側には、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ41、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ42等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
ステップS10では、燃料噴射弁20の必要駆動時間Tinjを算出する。詳しくは、アクセル開度等から演算した上述の燃料噴射量を、1行程当たりの量に換算する。そして、燃料噴射弁20の単位時間当たりの燃料噴射量で除算し、1行程当たりに必要な燃料噴射弁20の必要駆動時間Tinjを算出する。そして、ステップS20に進む。
ステップS30では、噴射開始時期θstartを決定する。具体的には、噴射開始時期θstartを例えば排気行程の開始時期に設定すればよい。そして、ステップS40に進む。
ステップS40では、修正前の噴射終了時期θendを算出する。詳しくは、次式(1)に示すように、ステップS30にて決定した噴射開始時期θstartに、ステップS20にて算出した必要駆動時間Tinjに相当するクランク角θinjを加算して、噴射終了時期θendを算出する。そして、ステップS50に進む。
θend=θstart+θinj・・・(1)
θol=θec−θio・・・(2)
ステップS60では、ステップS50において算出されたバルブオーバーラップ量θolが所定値θ1未満であるか否かを判別する。所定値θ1は、バルブオーバーラップ時に燃料が排気通路側に吹き抜けないあるいは吹き抜けても問題のない程度のバルブオーバーラップ量に設定すればよい。バルブオーバーラップ量θolが所定値θ1未満でない、即ちバルブオーバーラップ量θolが所定値θ1以上である場合は、ステップS70に進む。
ステップS80では、ステップS70にて演算されたエンジン運転負荷Lが所定値L1未満であるか否かを判別する。所定値L1は、バルブオーバーラップ時に燃料が排気通路側に吹き抜けないあるいは吹き抜けても問題のない程度の吸気側と排気側との圧力差となるようなエンジン運転負荷に設定すればよい。エンジン運転負荷Lが所定値L1未満でない、即ちエンジン運転負荷Lが所定値L1以上である場合は、ステップS90に進む。
ステップS100では、ステップS30において決定された噴射開始時期θstartが、ステップS90において読み込まれた排気弁閉時期θecより後であるか否かを判別する。噴射開始時期θstartが排気弁閉時期θecより後でない場合、即ち噴射開始時期θstartが排気弁閉時期θec以前である場合は、ステップS110に進む。
ステップS120では、1サイクルで2回の燃料噴射が行われるように、修正後の燃料噴射時期を算出する。詳しくは、1回目の噴射終了時期θend1と、2回目の噴射開始時期θstart2及び噴射終了時期θend2を算出する。具体的には、1回目の噴射終了時期θend1を吸気弁開時期θioに、2回目の噴射開始時期θstart2を排気弁閉時期θecに設定する。また、2回目の噴射終了時期θend2を、次式(3)により算出する。
そして、本ルーチンを終了する。
なお、ステップS60においてバルブオーバーラップ量θolが所定値θ1未満であると判定した場合、ステップS80においてエンジン運転負荷Lが所定値L1未満であると判定した場合、ステップS100において噴射開始時期θstartが排気弁閉時期θecより後であると判定した場合、またはステップS110において噴射終了時期θendが吸気弁閉時期θioより前であると判定した場合には、本ルーチンを終了する。
上記のフローチャートにより演算した燃料噴射時期に制御することで、例えばエンジン運転負荷Lが所定値L1以上の高負荷であって、図3(A)に示すように、噴射終了時期θendが吸気行程に達してしまう程クランク角θinjが長い場合には、同図(B)に示すように、1サイクルでバルブオーバーラップ時を除いて2回の燃料噴射が実施される。
そして、排気行程での噴射で燃料噴射量が足りない場合には、吸気行程でも燃料噴射が行われ、燃料噴射量を大きく確保することができる。特に過給時には大量の燃料を必要とするとともに吸気通路の圧力が上昇していることから吹き抜けが起こりやすい状況にあるが、このような状態であっても、本実施形態の燃料噴射装置によって、燃料噴射量の確保と吹き抜けの抑制を両立させることができる。
図4は、第2の実施形態における吸気弁7及び排気弁8の開度と燃料噴射時期との関係を示すタイミングチャートである。
第2の実施形態は、エンジン1の負荷が所定値L2以上である場合に実施される。所定値L2は、第1の実施形態における所定値L1より大きな値に設定すればよい。第2の実施形態における燃料噴射時期は、図4に示すように、燃料噴射時期がバルブオーバーラップ時を除いて前後のサイクルにおける燃料噴射と連続して行われるよう設定される。なお、燃料噴射量の細かな調整は、バルブオーバーラップ前の燃料噴射終了時期θend3を前後に制御することで行えばよい。
次に、図5を用いて本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、ECU40において、図5に示すように、燃料噴射時期をバルブオーバーラップを除く吸気行程のみに設定する。このように燃料噴射時期を設定した第3の実施形態では、燃料噴射量を多く確保することは困難であるが、バルブオーバーラップ時における燃料の吹き抜けは抑制される。更に、本実施形態では吸気行程に燃料が噴射されるので、燃料がスムーズに筒内に導かれ、効率的な筒内への燃料供給が可能となる。
また、以上の実施形態のエンジン1はターボチャージャ2を備えているが、本発明はこれに限定するものではなく、自然吸気エンジンでも適用することができる。自然吸気エンジンであっても、大気圧の変動や脈動効果等によりバルブオーバーラップ時に燃料が吹き抜ける虞のある場合には、本発明を適用することで燃料の吹き抜けを抑制するといった効果を得ることができる。
2 ターボチャージャ
7 吸気弁
8 排気弁
20 燃料噴射弁
40 ECU
Claims (4)
- 内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
前記内燃機関の所定負荷以上の運転領域において、吸気弁及び排気弁の双方が開弁するバルブオーバーラップの前後に分割して燃料噴射するように、前記燃料噴射手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記制御手段は、前記内燃機関の前記所定負荷以上の運転領域において、前記バルブオーバーラップ時を除いた前後のサイクルと連続して燃料が噴射するように、前記燃料噴射手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
- 内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
前記内燃機関の所定負荷以上の運転領域において、燃料噴射開始時期が吸気弁及び排気弁の双方が開弁するバルブオーバーラップ時の後に設定されるように、前記燃料噴射手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記内燃機関は過給機を備え、
前記所定負荷以上の運転領域は、前記過給機による過給領域であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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