JP2009209026A - ガラス溶解窯及び溶融ガラスの製造方法並びにガラス製品の製造方法 - Google Patents

ガラス溶解窯及び溶融ガラスの製造方法並びにガラス製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】均質性の高いガラス製品を製造するため、対流を制御して高い均質性を実現するガラス溶解窯を提供する。このために、循環流を維持して敷居体付近の停滞域をなくす。
【解決手段】溶融ガラスの原料投入部から溶融ガラスの導出部への方向を長手方向とするガラス溶解窯1において、ガラス溶解窯1の底部5に前記長手方向に対して直交する幅方向に横断し、かつその高さが溶融ガラス2の上層表面Sよりも下方にある敷居体7であって、敷居体7の底部に前記長手方向に貫通する空洞Fを有する敷居体7と、敷居体7の前記長手方向の上流側の底部5にあり、前記幅方向に横断するバブラー6と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラスの溶解技術に関し、より詳細には主にガラス溶解窯の構造に関する。
従来、ガラス製品を製造する方法は、主に原材料を溶解して溶融ガラスを得る溶解工程、溶融ガラスを所定のガラス製品の形状に成形する成形工程及びガラス製品の内部歪みを除去しつつ徐々に冷却する徐冷工程により構成される。なお、ここでは溶融ガラスから泡を取除くことと均質化することは溶解工程に含める。
建築用ガラスシート、自動車用ガラスシート、ディスプレイ用ガラスシート等のガラス製品の製造工程において、より一層の高品質化と低コスト化が求められている。高品質化を妨げる要因はいくつかあるが、溶融ガラスから発生する気泡の残存と溶融ガラスの不均質性が問題となることが多い。気泡や不均質部分のない高品質なガラス製品を製造するためには、上記の工程中の溶解工程が重要である。溶解工程は、珪砂、石灰石やソーダ灰等の原材料をガラス製品の組成に合わせて調合、混合されたバッチをガラス溶解窯に投入し、ガラスの種類に応じて約1400℃以上に加熱溶融して溶融ガラスを得る工程である。例えば、公知のガラス溶解窯内に窯の一端からバッチを投入し、重油を燃焼して得られる火炎をこの投入したバッチに吹きつけて、あるいは天然ガスを空気と混合して燃焼して得られる火炎を吹きつけて、約1550℃以上に加熱してバッチを溶かすことによって溶融ガラスを得る。
高品質化のために、溶解工程での溶融ガラスから気泡や不均質部分を除去する方法の一つとしては、単位時間当たりの溶解量(プル)を下げて、気泡が溶融ガラスから排出する時間を確保し、溶融ガラスの循環性を向上する方法がある。しかしながら、プルを下げると当然ながら、生産性が低下しコストアップの要因となる。プルをある程度維持して気泡の排出(清澄)と均質化との効果を得るためには、窯の構造によって溶融ガラスの対流の特性(対流構造)を変えることが行われる。
例えば、特許文献1には、ガラス溶解窯の原料投入部から溶融ガラスの導出部への流れ方向を長手方向、それに直交する方向を幅方向とし、窯内部の底部幅方向に横断して、底部に溶融ガラス内に泡を発生させ主に上向きの対流を形成するためのバブラーと、溶融ガラスの上層表面(液面)より下方にある敷居体を設けた場合の対流について開示されている。
特開平09−124323号公報
特許文献1には、敷居体の下流側面の底部付近において、その他の領域と異質で温度が低く、流速が小さい溶融ガラスの帯域(以下「停滞域」という)が発生し、これが欠陥の原因となる問題を指摘している(段落[0045])。図10に、従来技術でのガラス溶解窯の長手方向の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す。図中のD領域が、上記の問題の停滞域である。特許文献1では、この停滞域を敷居体の下流側面付近の底部に設けた加熱手段によって解決している。しかしながら、特許文献1の段落[0046]には、この加熱が的確に制御されなければならないと記載されている。このように、加熱手段のような余分の補助装置を設けることや、製造条件のパラメータが増加し、加熱の制御に手間がかかることは、窯の構造や操業上望ましくない。
本発明は、以上に鑑みてなされたもので、上記の加熱手段のような余分の補助装置を設けることなく、溶融ガラスの対流を一部変えて、高い均質性を実現可能なガラス溶解窯、並びにこれを利用した溶融ガラスの製造方法及びガラス製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、敷居体に空洞を設け、バブラーの効果と相まって清澄と均質化に対して効果のある上流部循環流と下流部循環流に影響を与えることなく、問題となる停滞域に存在する異質な溶融ガラスを上流部に移動させ、さらにその溶融ガラスを再溶融、再清澄でき、均質性を向上できることを見出した。
即ち、本発明は、溶融ガラスの原料投入部から溶融ガラスの導出部への流れ方向を長手方向とするガラス溶解窯において、前記ガラス溶解窯の底部に前記長手方向に対して直交する幅方向に横断し、かつその高さが前記溶融ガラスの上層表面よりも下方にある敷居体であって、該敷居体の底部に前記長手方向に貫通する空洞を有する敷居体と、前記敷居体の前記長手方向の上流側の前記底部にあり、前記幅方向に横断するバブラーと、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、溶融ガラスの製造方法において、上記ガラス溶解窯によってガラス原料を溶解することを特徴とする。
さらに、本発明は、ガラス製品の製造方法において、上記ガラス溶解窯によってガラス原料を溶解する溶解工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、加熱手段のような補助装置を設けなくても、溶融ガラスの上流部と下流部での大きな対流の構造を変えることなく、敷居体付近の停滞域をなくして高い均質性が得られる。また、停滞域の溶融ガラスを再溶融、再清澄することによって、より高い均質性に加えて清澄性も向上できる。さらに、本発明に係るガラス溶解窯による溶融ガラスの製造方法及び溶解工程からなるガラス製品の製造方法によって、高い均質性を有するガラス製品が得られる。
以下、図面(図1〜9)に従って、本発明に係るガラス溶解窯について、その構造を中心に説明する。図1は、実施の形態のガラス溶解窯の長手方向の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す。なお、以下の説明において、ガラスとして建築用ガラスシートや自動車用ガラスシートの材料であるソーダライムガラスを例として挙げるが、本発明におけるガラスはこのソーダライムガラスに限られるものではない。溶融ガラスの温度等の条件はガラスの種類により変わりうるものであり、下記の条件に限られるものではない。
本発明のガラス溶解窯1は、図左から原料投入部3、バブラー6、敷居体7、溶融ガラス導出部4を有する。本発明に係るガラス溶解窯1を利用したガラス製品の製造方法は、ガラス溶解窯1を用いて原料を原料投入部3から投入し溶解して溶融ガラス2にする溶解工程、溶解後に溶融ガラス導出部4から出た溶融ガラス2を製品形状にする成形工程、成形後のガラス製品中に歪を残留させないための徐冷工程を有する。
成形工程は、公知技術としてフロート法、ロールアウト法があるがいずれか、あるいはその他の方法であってもよい。以下、フロート法を例に説明すると、成形工程では、溶融錫浴に溶融ガラスをガラス溶解窯1下流部から導入し、溶融錫上に溶融ガラスを浮かせて進行させガラスリボンに成形する。成形工程では、溶融ガラスの平衡厚みよりも薄いガラスリボンを成形するために、進行方向の直交する幅方向の両端部に、トップロールと呼ばれる回転するロールを押圧し、幅方向に張力を印加して、溶融錫上のガラスリボンが縮幅するのを抑制しつつ進行方向にも引き伸ばす。続く徐冷工程は、成形後にリフトアウトロールによって、ガラスリボンを溶融錫から引き出した後の工程である。徐冷は、ガラスリボンの搬送機構としての金属ロールと、ガラスリボンの温度を徐々に下げるための機構を備える徐冷炉で行う。徐々に温度を下げる機構は、燃焼ガス又は電気ヒータにより、その出力が制御された熱量を、炉内の必要位置に供給してガラスリボンを常温に近い温度域までゆっくり冷却する。これによって、ガラスリボンに内在する残留応力をなくすことができる。溶解工程以外の工程は、本発明のガラス溶解窯1を使用することによって製造条件に特別の影響を受けない。
原料投入部3はガラス溶解窯1の最上流に配され、溶融ガラス2の上部領域に設けた開口を有し、ここから原料を先に溶融している溶融ガラス2の上層に投入する。溶融ガラス導出部4はガラス溶解窯1の最下流に配され、溶融ガラス2の上層部がガラス溶解窯1から導出可能に開口している。これらの構造については、原料が投入でき、溶融ガラス2が導出できれば、どのような構造でもよい。
溶解にあたっては、図示しないが原料を溶解するために、ガラス溶解窯1の内部の原料投入部3に近い溶融ガラス2上方の空間に設置したバーナーによって、溶融ガラス2を1400℃以上に加熱する。また、溶融のためにガラス溶解窯1の側面上方にも、図示しないがバーナー等を配置して加熱してもよい。溶融ガラス2の温度は、原料投入部から溶融ガラス導出部の間で1650℃から1000℃程度まで低下する。溶融ガラス2は、原料投入部3から対流と循環によって溶融ガラス導出部4まで移動し、ガラス溶解窯1から排出される。ガラス溶解窯1の底部5、側面部の内面は、溶融ガラスによる侵食を少なくし、長寿命とするために、耐火煉瓦等を組み立て構築する。耐火煉瓦は、耐熱性、長寿命だけでなく、煉瓦から発生する気泡を低減する観点から、アルミナ系電鋳煉瓦、ジルコニア系電鋳煉瓦、緻密質クロム系煉瓦等の材料からなる。
敷居体7は、上流部循環流Aと下流部循環流Bを分け、溶融ガラス2が上層を通って溶融ガラス導出部4に移動するために、底部5にガラス溶解窯1の幅方向を横断し、かつその高さが溶融ガラス2の上層表面(液面)Sよりも下方に配される。敷居体7には、図2と図3の実施の形態の敷居体の長手方向の断面図及びそれに直交する断面図に示すように、底部5から長手方向に貫通する空洞Fを設ける。この空洞Fを通って、問題となる停滞域の熱的にも組成的にも不均質な溶融ガラスが上流側に戻ることによって、この部分の不均質性が解消される。
バブラー6は、ガラス溶解窯1の底部5に幅方向に横断して設けられ、窯の底部付近から気泡を発生させて、溶融ガラス2に主に上向きの対流を形成させるものである。バブラー6は、敷居体7よりも上流側に配置される。バブラー6と敷居体7によって、その間に中間部循環流C、Cが形成される。下側の循環流Cは、時計回りとなる。この回転方向は、空洞Fによって遡上する溶融ガラスの流れJの方向と同じである。このため、遡上する流れJは、下側の循環流Cの流れを乱すことなく、この循環流Cに取り込まれ、再加熱、再清澄、再均質化がなされる。また、この空洞Fによって、敷居体7の上流付近の停滞域にあった不均質な溶融ガラス(従来技術の図10のE)も解消する。敷居体7の空洞による効果は、以上のようにバブラー6による中間部循環流Cがない場合には、敷居体7の空洞の底部付近において上流部循環流Aの前進流(下流方向の流れ)と下流部循環流Bの後進流(上流側への流れ)とがぶつかって得られにくくなる。
即ち、図1に示すように、敷居体7に空洞を設けても、上流部循環流Aと下流部循環流Bを明確に分断し、上流部循環領域においてバブラー6を多用して上流部循環流Aを旺盛化できる。また、本発明に係る敷居体7の空洞Fによって、敷居体7の近傍において停滞部D、E(図10参照)を消失させることができ、しかも中間部循環流Cを乱すことがなく、上流部循環流Aと下流部循環流Bの大きな循環流に影響を及ぼさない。さらに、空洞Fがない場合と同様に、敷居体7により上流部循環領域から下流部循環領域へ移動する溶融ガラス2の対流速度を低減でき、良い清澄性も得られる。
敷居体7は、ガラス溶解窯のその他の部分と同じく耐火煉瓦を組み立てて構築すればよい。敷居体7の耐火煉瓦の材料は、その他の部分と同じもので構成すればよい。
敷居体7の空洞Fは、図4の実施の別形態の敷居体の長手方向に直交する方向の断面図に示すように、幅方向に2箇所以上あってもよい。この実施形態の場合には、空洞が複数になり、柱状部分10で敷居体上部を支えられるので、構造上安定し、空洞が一箇所の場合に比べて敷居体を形成しやすい。また、敷居体7の空洞Fは、図5の実施の別形態の敷居体の長手方向に直交する方向の断面図に示すように、図3のような略矩形の断面ではなく、楕円の半分のような曲線からなる断面であってもよく、さらにこれらの空洞が図4のように複数個あってもよい。
敷居体7の内周である空洞Fの外周は、白金又は白金からなる合金で覆うことが好ましい。これらの金属は、溶融ガラスに対する耐食性及び耐熱性があるので、溶融ガラスが空洞Fを流れることによる煉瓦の侵食を防止し、ガラス溶解窯の寿命を長くできる。
敷居体7の位置は、図6の実施の形態の位置関係を説明するための断面図に示したガラス溶解窯の長手方向の内面全長をL、原料投入部の内面から敷居体7のバブラー側の面までの距離をLとした場合、上流部循環領域を確保する観点から、0.30≦L/L≦0.50が好ましい。同様の観点から、0.33≦L/L≦0.47がより好ましい。
また、敷居体7の高さは、図7の実施の形態の敷居体の高さを説明するための断面図に示したガラス溶解窯の底部から溶融ガラスの上層表面迄の高さをH、ガラス溶解窯の底部5から敷居体7の上端部迄の高さをHとした場合、上流部循環流Aと下流部循環流Bとを分ける観点から、0.55≦H/H≦0.75が好ましい。同様の観点から、0.58≦H/H≦0.73がより好ましい。
さらに、敷居体7の空洞Fのガラス溶解窯の底部5からの最大高さHは、敷居体の下流の停滞域の溶融ガラスを上流に移動する観点から、0.1≦H/H≦0.4が好ましい。同様の観点から、0.13≦H/H≦0.37がより好ましい。なお、最大高さHは、空洞Fの断面が図3のような略矩形状の場合ではなく、図5のように曲線で囲まれた場合の空洞の高さの最大値に対応する。
さらにまた、敷居体7の空洞Fの幅は、図8の実施の形態の敷居体の幅を説明するための断面図に示した敷居体7の幅W、空洞Fの幅をWとした場合、停滞域の上流部への移動の観点から、0.1≦W/W≦1.0が好ましく、より効率よく停滞域をなくすためには0.5≦W/W≦0.8がより好ましい。ただし、空洞の面積が大きすぎると、下流部循環流Bからの溶融ガラスの移動が多くなり、上流部循環流Aの温度が低下する。空洞の幅は、図4のように空洞が複数領域に分かれる場合は、各空洞の幅を合計したものをWとすればよい。
敷居体7の奥行き(ガラス溶解窯の長手方向の長さ)は、循環流を分けられればよいので、ガラス溶解窯の長手方向の内面全長Lに対する比を0.010〜0.033とすることが好ましい。同様の観点から、0.013〜0.030とすることがより好ましい。
バブラーの位置は、図6に示した原料投入部の内側面からバブラーまでの距離をLとした場合、上流部循環流Aと下流部循環流Bとの間の中間部循環流Cを形成する観点から、0.20≦L/L≦0.40が好ましい。同様の観点から、0.23≦L/L≦0.37がより好ましい。泡の排出量は、窯の構造によって適宜選択できる。
本発明に係る敷居体に空洞を設ける構造において、操業開始時の溶解開始時等に、上流部循環流Aと下流部循環流Bが形成されておらず、空洞Fを通って上流部又は下流部を行き来する溶融ガラスの流れが発生する。これは、循環流が安定化するまでは望ましくない。このため、二つの循環流が安定していない少なくとも操業開始時においては、空洞Fを塞ぐことが好ましい。空洞Fを塞ぐ手段としては、一時的に空洞を塞げばよいので、例えばガラスカレットを空洞Fに充填しておけば、少なくとも操業開始時において空洞を塞ぐことができ、溶融ガラスの温度が上がってくれば、カレットが溶解して空洞が開放される。空洞が開放される時間を調整したい場合は、カレットの充填量や、利用するカレットの充填方法を適宜選択すればよい。あるいは、別の実施形態として、白金又は白金からなる合金等で作られた板状体を一時的に敷居体に固定する構造を設け、操業開始時又は素地替え時に空洞を塞ぎ、上流部循環流Aと下流部循環流Bとが安定した時点で開放することもできる。この板状体は、溶融ガラスに対する耐食性及び耐熱性が求められる。
敷居体の空洞部分を形成する敷居体の表面のうちコーナー部や柱状部においては、溶融ガラスの流れに停滞を起こさないために、各部を面取りをすること(Round形状にすること)が好ましい。特に空洞を複数設ける場合には、各空洞間の底部から形成される柱状の部分については、面取りをするだけでなく、その断面を流線型にすることがこの部分の流れの抵抗を少なくする上で好ましい。
なお、本発明に係る別の実施形態として、図1の窯の断面以外に、図9の実施の別形態の敷居体の位置を説明するための断面図のように、敷居体7及びバブラー6がステージ部8の上、すなわち、窯の底部5が部分的に底上げされた場合も本発明の範囲である。またバブラー6は、敷居体7の上流側にあるステップ9の上、すなわち、窯の底部5が底上げされた場合も本発明の範囲である。このように、この実施形態においては、ステージ部やステップを底部とみなす。
この実施形態においても、図1の場合と同様に、上流部循環流Aと下流部循環流Bとを明確に分断し、上流部循環領域においてバブラー6を多用して上流部循環流Aを旺盛化し、敷居体7の近傍において停滞部D、E(図10参照)を消失させ、しかも中間部循環流Cを乱さない効果が得られる。
本発明に係るガラス溶解窯の断面構造での均質性の向上に対する有効性を確認するために、本発明のガラス溶解窯の対流について数値解析を行った。対流の解析は、差分法に基づくプログラムによって、溶融ガラスを非圧縮流体として温度と粘性との関係を考慮し、窯操作条件、窯形状、炉材構成を入力条件として行った。本プログラムは3次元形状を対象として、溶融ガラスの上部燃焼空間の伝熱解析と溶融ガラスの熱対流解析をしている。上部燃焼空間の伝熱解析においては輻射量の伝熱比率を決定する角関係(形態係数)、上部輻射、対流伝熱を算出し溶融ガラス表面に与える伝熱量を計算する。熱対流解析においては、速度と温度に関する連成方程式を解き、速度と温度を計算する。
解析は、自社開発のプログラムで実施したが、溶融ガラスの対流の数値解析が可能なソフトウエア、例えば商標名GFM(開発・販売:グラスサービス社、チェコ)や商標名GTM−X(開発・販売:TNO、オランダ)等によって、各窯の構造を反映しガラスの物性によれば同様の計算が可能で、定性的に同様の結果が得られる。
窯の構造に関する主な解析条件は、空洞の断面が一つの矩形状からなる場合で、L/Lが0.31、L/Lが0.41、H/Hが0.62、H/Hが0.27、W/Wが0.75である。なお、解析は、ソーダライムガラスを対象とし、すべてのガラス溶解窯でのプルを同じ(500トン/日)にした。また、L/Hを30、W/Lを0.29、Lに対する敷居体の奥行きの比を0.02、Hを1.5mとした。Hは、0.5mから2mの範囲であれば、ほぼ同様の効果が得られる。
計算結果のうち、ガラス溶解窯の長手方向の概略断面での長手方向の流速分布を図11と図12にグレースケールで示す。図11は、本発明に係る敷居体に空洞を有する実施の形態で実施例である。図12は、従来技術である敷居体に空洞を有しないもので、空洞がないことを除いて図11と同じ解析条件での比較例である。図の左側が上流側を、右側が下流側を示す。図11及び図12において、上流部循環流(前進流)がA1の領域、上流部循環流(後進流)がA2の領域、下流部循環流(前進流)がB1の領域、下流部循環流(後進流)がB2の領域を表す。
比較例である図12において、敷居体7の下流付近に停滞域Dがあることがわかる。これに対して、実施例である図11において、敷居体7の下流付近に停滞域がないことがわかる。これは、停滞域Dにある溶融ガラスが空洞Fを通って中間部循環流Cに合流するためである。しかも、上流部循環流A1、A2、下流部循環流B1、B2、及び中間部循環流Cは、比較例の流速分布とほぼ同様であり、敷居体7に空洞Fを設けることによってこれらの循環流A、B、及びCが乱されていないことがわかる。
以上より、本発明に係るガラス溶解窯の敷居体構造の断面を特徴とする溶解工程からなる溶融ガラスの製造方法及びガラス製品の製造方法が、均質性の向上に効果があることがわかった。得られる高い均質性は、その分プルの増加も可能にして、生産性の向上も可能となる。
本発明は、種々の組成からなるガラスの溶解及びそのガラスからなるガラス製品の製造方法に好適である。
実施の形態のガラス溶解窯の長手方向の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す図である。 実施の形態の敷居体の長手方向の断面図である。 実施の形態の図2の敷居体の長手方向に直交する方向の断面図である。 実施の別形態の敷居体の長手方向に直交する方向の断面図である。 実施の別形態の敷居体の長手方向に直交する方向の断面図である。 実施の形態の位置関係を説明するための断面図である。 実施の形態の敷居体の高さを説明するための断面図である。 実施の形態の敷居体の幅を説明するための断面図である。 実施の別形態の敷居体の位置を説明するための断面図である。 従来技術でのガラス溶解窯の長手方向の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す図である。 実施の形態でのガラス溶解窯の長手方向の概略断面での長手方向の流速分布図である(実施例)。 従来技術でのガラス溶解窯の長手方向の概略断面での長手方向の流速分布図である(比較例)。
符号の説明
1…ガラス溶解窯、2…溶融ガラス、3…原料投入部、4…溶融ガラス導出部、5…底部、6…バブラー、7…敷居体、8…ステージ部、9…ステップ、10…柱状部分、A…上流部循環流、A1…上流部循環流(前進流)、A2…上流部循環流(後進流)、B…下流部循環流、B1…下流部循環流(前進流)、B2…下流部循環流(後進流)、C…中間部循環流、D…停滞域(敷居体下流)、E…停滞域(敷居体上流)、F…空洞、J…空洞から上流に戻る流れ、H…底部から溶融ガラスの上層表面迄の高さ、H…底部から敷居体上端迄の高さ、H…敷居体の空洞の底部からの最大高さ、W…敷居体の幅、W…空洞の幅、L…窯の内面全長、L…原料投入部内側面からバブラー迄の距離、L…原料投入部内側面から敷居体のバブラー側の面迄の距離、S…溶融ガラスの上層表面(液面)

Claims (11)

  1. 溶融ガラスの原料投入部から溶融ガラスの導出部への流れ方向を長手方向とするガラス溶解窯において、
    前記ガラス溶解窯の底部に前記長手方向に対して直交する幅方向に横断し、かつその高さが前記溶融ガラスの上層表面よりも下方にある敷居体であって、該敷居体の底部に前記長手方向に貫通する空洞を有する敷居体と、
    前記敷居体の前記長手方向の上流側の前記底部にあり、前記幅方向に横断するバブラーと、
    を含むことを特徴とするガラス溶解窯。
  2. 前記空洞が、前記幅方向に2箇所以上である請求項1に記載のガラス溶解窯。
  3. 前記敷居体の内周である前記空洞の外周が、白金又は白金からなる合金で覆われている請求項1又は2に記載のガラス溶解窯。
  4. 前記敷居体が、前記ガラス溶解窯の長手方向の内面全長をL、前記原料投入部の内側面から前記敷居体の前記バブラー側の面までの距離をLとした場合、0.30≦L/L≦0.50を満足する位置にある請求項1〜3のいずれかに一つに記載のガラス溶解窯。
  5. 前記バブラーが、前記ガラス溶解窯の長手方向の内面全長をL、前記原料投入部の内側面からバブラーまでの距離をLとした場合、0.20≦L/L≦0.40を満足する位置にある請求項1〜4のいずれか一つに記載のガラス溶解窯。
  6. 前記敷居体が、ガラス溶解窯の底部から溶融ガラス上層表面迄の高さをH、ガラス溶解窯の底部から前記敷居体の上端部までの高さをHとした場合、0.55≦H/H≦0.75を満足する高さにある請求項1〜5のいずれか一つに記載のガラス溶解窯。
  7. 前記敷居体が、ガラス溶解窯の底部から上層表面迄の高さをH、前記空洞のガラス溶解窯の底部からの最大高さをHとした場合、0.1≦H/H≦0.4を満足する高さの空洞を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載のガラス溶解窯。
  8. 前記敷居体が、前記敷居体の幅をW、空洞Fの合計幅をWとした場合、0.1≦W/W≦1.0を満足する幅の空洞を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載のガラス溶解窯。
  9. 前記敷居体が、前記ガラス溶解窯の長手方向の内面全長をL、前記敷居体の奥行き(ガラス溶解窯の長手方向における長さ)をLとした場合、0.010≦L/L≦0.033を満足する奥行きを有する請求項1〜8のいずれか一つに記載のガラス溶解窯。
  10. 請求項1〜9のいずれか一つに記載のガラス溶解窯によってガラス原料を溶解することを特徴とする溶融ガラスの製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一つに記載のガラス溶解窯によってガラス原料を溶解する溶解工程を含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。
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