JP2009204548A - 皮膚の色素沈着度合評価用具及び評価方法 - Google Patents

皮膚の色素沈着度合評価用具及び評価方法 Download PDF

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麻美 輪竹
Yoshinobu Morimoto
佳伸 森本
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Abstract

【課題】皮膚の色素沈着の度合を、客観的なパラメーターで定量的に評価し得ることはもとより、対比照合が容易で携帯性にも優れる皮膚の色素沈着度合評価用具及び方法の提供。
【解決手段】彩度および/または色相が固定され、かつ明度が異なる複数の色見本を、当該各明度を表わす記号と共に、各明度毎にそれぞれ各別のカードに表示して成る色見本カードを複数枚積層すると共に、当該色見本カード積層体の一端部を扇子様に拡開可能に枢着せしめた皮膚の色素沈着度合評価用具;前記の皮膚の色素沈着度合評価用具を扇状に拡開して、皮膚の色素沈着部位と色見本カードを対比照合することにより、当該皮膚の色素沈着部位に最も近似した色見本を選定し、この選定した色見本の明度を当該部位の皮膚の色素沈着評価値とする皮膚の色素沈着度合評価方法。
【選択図】図3

Description

本発明は皮膚の色素沈着度合を簡便かつ的確に評価することができる用具及び方法に関する。
皮膚色は皮膚の状態を示す指標の1つである。皮膚は正常の状態でも、個々人あるいは部位によって様々な色を示す。もちろん病的な状態では皮膚色はダイナミックに変化していく。従来皮膚科領域では、これらの皮膚色の状態の評価は、肉眼的に観察し、皮膚所見として言葉で記述し、さらに写真によって記録する方法によって行なわれてきた。しかしこの方法では評価者の主観的な側面が強いこと、定量化することが困難であることなどの問題があった。
そこで皮膚色を客観的なパラメーターで定量的に評価することが試みられてきている。従来の皮膚色の測定として次の二種の方法がよく用いられている。
第一は、分光光度計によって広域もしくはある範囲の波長域の可視光の吸収率及び反射率を測定する方法である。皮膚科領域ではナロウバンドスペクトロフォトメータ(Derma Spectrometer, Cortex Technology, Denmark)がしばしば用いられている。
第二は、皮膚表面からの反射光を分析する方法であり、色彩色差計(Minolta Chroma Meter)が有名である。
その他ビデオマイクロスコープとコンピューターを組み合わせて、紅斑・色素沈着・皮膚腫瘍の色調を定量的に評価する試みも報告されている。
しかしながら、これらの方法には高額な特殊機器を必要とするため、使用できる施設が限られてしまうのが実状であった。
そこで、本発明者らは従来にはない簡便性に優れた評価用具を開発し、先に特許出願した。因に、その内容は既に公開されている(特許文献1参照)。
然るところ、この評価用具は、一枚の短冊状の支持体に、通常10種以上の色見本を縦方向に順に表示して構成されているため、勢い長尺のスケール状とならざるを得ない結果、対比照合に難があると共に、携帯には不向きと云う問題があった。
特開2006−204901号公報
本発明は、上記の如き従来の問題に鑑みてなされたもので、皮膚の色素沈着の度合を、客観的なパラメーターで定量的に評価し得ることはもとより、対比照合が容易で、携帯性にも優れる皮膚の色素沈着度合評価用具及びそれを用いた評価方法を提供することを課題としている。
本発明は、彩度および/または色相が固定され、かつ明度が異なる複数の色見本を、当該各明度を表わす記号と共に、各明度毎にそれぞれ各別のカードに表示して成る色見本カードを複数枚積層すると共に、当該色見本カード積層体の一端部を扇子様に拡開可能に枢着せしめたことを特徴とする皮膚の色素沈着度合評価用具により前記課題を解決したものである。
また、本発明は、上記の皮膚の色素沈着度合評価用具を扇状に拡開して、皮膚の色素沈着部位と色見本カードを対比照合することにより、当該皮膚の色素沈着部位に最も近似した色見本を選定し、この選定した色見本の明度を当該部位の皮膚の色素沈着評価値とすることを特徴とする皮膚の色素沈着度合評価方法により前記課題を解決したものである。
本発明によれば、高額な特殊機器を用いることなく、対象部位と対応する色見本を1個選定することにより、皮膚の色素沈着度合を評価することができる。また、色見本の色は、彩度、色相、明度を各々数値で表すことができるため、本発明により、評価者の主観に左右されず、客観的な数値で定量的に、しかも簡便かつ的確に皮膚の色素沈着度合を評価することができる。
従ってまた、本発明によれば、肝斑・老人性色素斑(日光性黒子)・雀卵斑・色素性母斑・扁平母斑・炎症後色素沈着など種々の色素性病変の診断、あるいはそれらの色素性病変に対する美白剤による改善効果やレーザーなどによる治療効果の判定を、投与前後あるいは治療処置前後の数値比較により、容易にしかも客観的に行なうことができるので、本発明は特に医療分野や医薬品の開発分野において有用性に優れるものである。
しかも、本発明によれば、複数の色見本カードが、扇子様に拡開可能に積層枢着されているので、従来の長尺スケールタイプに比し、不使用時にはコンパクトで携帯性に優れると共に、対比照合に際しては、明度毎に各別のカードに表示された色見本カードを扇状に拡開して照合し得るので、最も近似した色見本の選定をよりスムース、かつ的確に行なうことができる。特に、上記色見本の選定に際し、扇状に拡開した状態の対比照合により、一旦近似性の高い色見本カードを2枚程度選択し、更に当該色見本カード毎に個別に対比照合して最も近い明度の色見本を選定すれば、より的確に色素沈着の度合を評価することができる。
本発明の色見本カードは、彩度および/または色相が固定され、かつ明度が異なる複数の色見本を、当該各明度を表わす記号と共に、各明度毎にそれぞれ各別のカードに表示して構成されている。
本発明においては、斯かる色見本カードの形状としては特に限定されないが、枢着側端部とその反対側端部が弧状を呈していると共に、当該枢着側端部からその反対側端部に向って徐々に巾広の形状となっているものが、扇状への拡開し易さの点と、対比照合のし易さの点で望ましい。また、色見本カードの材質も色見本を表示し得るものであれば特に限定されず、例えば紙、合成樹脂等が使用される。
本発明の色見本カードとしては、枢着部側とは反対側の巾広部に、皮膚露出孔が形設されているものが、当該皮膚露出孔に対象となる皮膚の色素沈着部位を当てることにより、色見本カードとの対比照合をよりスムース、かつ的確に行なうことができるので、特に有利である。この皮膚露出孔の形状は特に限定されないが、円形状とするのが、色素沈着部位との対比照合のし易さの点で望ましい。
この色見本カードに表示される色見本の色相としては、対象とする人種等により適宜選定されるが、黄色人種たる日本人用としては1YR〜10YRから選ばれる1種が望ましい。因に、当該マンセル色相は、数字が小さいほど赤色(Red=R)に近い色相を呈し、数字が大きいほど黄色(Yellow=Y)に近い色相を呈する。
また、色見本の彩度としては、日本人の肌の平均的な彩度がC4であり、一般に肌の色の彩度はあまり大きく変化しないので、マンセル彩度のC3〜C5から選ばれる1種が望ましく、C4とするのが特に望ましい。
また、色見本の明度としては、一般的な肌の色の明度分布及び色素沈着例を考慮し、適宜選定されるが、日本人用としては、マンセル明度のV4.0〜V8.5の範囲にあるものを適宜数選択表示するのが望ましい。因に、当該マンセル明度は、数字が小さいほど暗く、数字が大きいほど明るくなる。
色見本カードは複数枚あれば皮膚の色素沈着度合を評価することができるが、その数としては、余りに多過ぎると、各色見本間の明度差が小さくなり肉眼では識別対応し得ず、皮膚の色素沈着部位との対比照合に困難が生じる一方、余りに少な過ぎると、色素沈着の度合を的確に評価し得なくなるので、10〜15枚程度とするのが好ましい。また、人が色見本と皮膚の色素沈着を対比照合するときに識別し得る最小の明度差はマンセル明度で0.24であるため、0.2以上0.5未満の範囲内、より好ましくは0.25の明度差で表示することにより、効率良く色素沈着の度合を評価することができる。特にマンセル明度V4.0〜V8.5の色見本を、明度差0.25間隔で各カードに表示するのが望ましく、就中マンセル明度V5.25〜V8.0の色見本を12枚のカードに各別に表示した色見本カードを、12枚明度順に積層枢着したものが、最も簡便に、かつ的確に色素沈着の度合を評価でき、特に良い結果が得られる。
本発明において、色見本のカードへの具体的表示方法は、カードへの直接表示あるいは色票貼合等その如何を問わない。
また、本発明においては、少なくとも各色見本の明度を表わす記号を色見本カードに表示することが必要であるが、更に当該色見本の色相及び彩度を表わす記号も色見本カードに表示するのが、色相・彩度を認識しつつ対比照合を行なうことができるので望ましい。
また、本発明においては、色見本カード積層体の最上層及び最下層に、色見本カードと同形状で、孔の存在しないカバーカードを枢着せしめるのが、色見本カードの汚れや破損を防止する上で望ましい。
以下実施例を挙げて本発明を更に説明する。
図1は、本発明の皮膚の色素沈着度合評価用具の概略斜視説明図、図2はその概略断面説明図、図3はその拡開状態を示す概略平面説明図である。
図1〜図3において、10は色見本カードで、各色見本カードには、明度が異なる色見本(彩度及び色相は共通)が、明度を表わす記号10aと共に、それぞれ1種ずつ表示されている。具体的には図3に示されるように、12枚の色見本カード10に、マンセル明度のV5.25〜V8.0までの色見本が、それぞれ明度差0.25間隔で表示されている。
これら12枚の色見本カード10は、明度順に積層されていると共に、当該積層体の一端部において、適宜軸40等を介して扇子様に拡開可能に枢着されている。
各色見本カード10は、その枢着側端部とその反対側端部において弧状を呈していると共に、当該枢着側端部からその反対側端部に向って徐々に巾広形状となっている。また、色見本カード10の巾広部には、円形状の皮膚露出孔20が形設されている。
30はカバーカードで、色見本カード10積層体の最上層及び最下層において、色見本カード10と一体的に枢着されている。このカバーカード30の形状は色見本カード10の形状と同一であるが、孔は形設されていない。
斯かる本発明の皮膚の色素沈着度合評価用具を用いれば、図3に示す如く、色見本カード10を扇状に拡開し、その皮膚露出孔20に皮膚の色素沈着部位を順次当てながら、露出した色素沈着部位と色見本カード10を対比照合し、最も近い明度の色見本を選定してその明度記号10aを読み取ることにより、その沈着度合を明度と云う客観的なパラメーターで定量的に評価することができる。
本発明評価用具の概略斜視説明図。 本発明評価用具の概略断面説明図。 本発明評価用具の拡開状態を示す概略平面図。
符号の説明
10:色見本カード
10a:明度記号
20:皮膚露出孔
30:カバーカード
40:軸

Claims (11)

  1. 彩度および/または色相が固定され、かつ明度が異なる複数の色見本を、当該各明度を表わす記号と共に、各明度毎にそれぞれ各別のカードに表示して成る色見本カードを複数枚積層すると共に、当該色見本カード積層体の一端部を扇子様に拡開可能に枢着せしめたことを特徴とする皮膚の色素沈着度合評価用具。
  2. 色見本カードに、皮膚露出孔が形設されていることを特徴とする請求項1記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  3. 色見本カードが、マンセル明度の明度差0.25間隔で明度順に積層されていることを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  4. 色見本カードの明度が、マンセル明度のV4.0〜V8.5の範囲にあるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  5. 色見本カードの彩度が、マンセル彩度のC3〜C5から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  6. 色見本カードの色相が、マンセル色相の1YR〜10YRから選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  7. 色見本カードが12枚で、マンセル明度のV5.25〜V8.0までの色見本がそれぞれマンセル明度差0.25間隔で表示されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  8. 色見本カードが、その枢着側端部とその反対側端部において弧状を呈していると共に、当該枢着側端部からその反対側端部に向って徐々に巾広形状となっていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  9. 色見本カード積層体の最上層及び最下層に、色見本カードと同形状で、孔の存在しないカバーカードが枢着されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具。
  10. 請求項1〜9の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具を扇状に拡開して、皮膚の色素沈着部位と色見本カードを対比照合することにより、当該皮膚の色素沈着部位に最も近似した色見本を選定し、この選定した色見本の明度を当該部位の皮膚の色素沈着評価値とすることを特徴とする皮膚の色素沈着度合評価方法。
  11. 請求項2〜9の何れか1項記載の皮膚の色素沈着度合評価用具の皮膚露出孔を皮膚の色素沈着部位に当てて、色見本カードとの対比照合を行なうことを特徴とする請求項10記載の皮膚の色素沈着度合評価方法。
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