JP2009202495A - 金属−硬化樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高周波領域における優れた伝送特性や微細配線形成性を発現する金属−硬化樹脂積層体すなわちQ値が高く且つ粗度の小さい金属層と硬化樹脂層との密着性にも優れた金属−硬化樹脂積層体を提供する。
【解決手段】 金属層と硬化共役ジエンポリマー層とを有する金属−硬化樹脂積層体であって、金属層の、硬化共役ジエンポリマー層との接着面の粗度(Rz)が2,500nm以下で、金属層と硬化共役ジエンポリマー層との密着強度が0.5kN/m以上である金属−硬化樹脂積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子回路配線基板を含む多層配線基板等に好適な金属−硬化樹脂積層体とその製造方法に関する。
回路基板は、一般に誘電体層と導体層とから構成される。近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波に動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これらの高周波化時代の回路基板は、高周波におけるノイズや伝送ロスを極限まで軽減する必要があり、(1/誘電正接)で表わされるQ値の高い誘電体材料の選定と平滑な導体層形成が重要な課題となってきている。
誘電体材料については、従来の低周波(K〜MHz領域)で用いられる回路基板ではQ値が通常10〜30程度のエポキシ樹脂が用いられていた。しかしながら、GHz領域で用いられる周波回路基板においては、Q値が小さいと回路基板の性能や信頼性が十分でなく、従来に対して数倍〜10倍以上、具体的にはQ値が100以上、好ましくは300以上、より好ましくは500以上の材料が求められてきている。
導体層表面については、従来から導体層(金属)と誘電体層(有機材料)との密着性が悪いために、誘電体材料との物理密着(アンカー効果)を形成させるように大きく粗化して用いられていた。例えば、市販の銅箔としては、厚さ9〜18μmの銅箔の片表面に7〜8μm程度の粒状突起を数多く形成させた電解銅箔が用いられている。しかしながら、高周波領域における情報伝送は、導体層全体ではなく導体層表面だけで行われるため、導体層表面が荒れていると伝送遅延やノイズ発生の原因となる。そのために表面を粗化していない導体層を用いると、導体層と誘電体層の密着が一層とれない問題が起こっている。特に、上記Q値の高い誘電材料は、Q値を高めるためにエポキシ樹脂等にある極性基を極限まで低減してきているので、この平滑な導体層との密着がいっそう難しくなる大きな問題が生じていた。
Q値の高い誘電材料としては、室温で液状の分子量5,000未満である1,2−ポリブタジエン、固体ポリマーであるスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックポリマー等の熱可塑性ブロックコポリマー、ジクミルパーオキシドやt−ブチルパーオキシヘキシン−3などの架橋剤、ジビニルベンゼンや多官能アクリレート等の架橋助剤、多量のシランカップリング剤で表面処理された充填材などを混合してスラリーとして繊維強化材に含浸させた後に溶媒除去してプリプレグを作製し、次いで2枚の銅箔間に複数枚のプリプレグを積層し、硬化して積層体を作製することが開示されている。ここで開示される金属−硬化樹脂積層体の誘電損失は1〜10GHzで測定されたQ値が169.5〜285.7であること、及び、通常の銅箔との接着強度が2.1〜5.0pli(0.37〜0.88kN/m)の範囲であることが示されている。しかしながら、ここで開示される金属−硬化樹脂積層体の製造方法では、平滑な銅箔を用いると密着が取れない問題がある。
一方、特許文献2には、ポリブタジエンやポリイソプレン樹脂等の硬化樹脂層と金属層との間にエチレン−プロピレン−ジエンエラストマーなどの接着促進エラストマー層を配置して硬化樹脂と金属とを接着する技術を開示している。銅箔としては0.5〜1オンスのYates FoilのTAX箔、TWX箔、CotechのTAX箔、Circuit FoilのNT−TOR箔、NT−TWS箔、Mitsuiの3EC箔などの、粗度(Rz)は通常5〜10μmの範囲のものが用いられ、該銅箔と硬化樹脂との密着強度は、エチレン−プロピレン−ジエンエラストマーなどの接着促進エラストマー層を介在させないと3〜4pli(0.53〜0.70kN/m)程度だが、接着促進エラストマー層を介在させることで5〜7pli(0.88〜1.23kN/m)程度まで改善されることが開示されている。しかしながら、接着促進エラストマー層を設けると10GHzの誘電定数は3.457が3.449と下がるが、Q値が271から222と悪くなってしまう問題や銅箔の粗度を小さくするとこの方法でも十分に接着できない問題がある。
特開平8−208856号公報 特表2005−502192号公報
本発明の目的は、高周波領域における優れた伝送特性や微細配線形成性を発現する金属−硬化樹脂積層体すなわちQ値が高く且つ粗度の小さい金属層と硬化樹脂層との密着性にも優れた金属−硬化樹脂積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み硬化共役ジエン樹脂層と粗度の小さい金属層との密着を高める方法について鋭意検討の結果、粗度が小さい金属層表面をラジカル反応性の炭素−炭素不飽和基を有するシランカップリング剤で処理し、次いで共役ジエンポリマーと硬化剤とを含む硬化性樹脂組成物層を該金属層表面に形成した後に加熱硬化すると、Q値が高く且つ粗度の小さい金属層と硬化樹脂層との密着性が高い金属−硬化樹脂積層体が初めて得られることを見出した。また、この方法によれば、金属層の厚みや粗度を極限まで小さくしても0.5kN/m以上の密着強度が可能であることを見出した。さらに、本発明で得られるQ値が高く且つ低粗度の金属層との密着性に優れる金属−硬化樹脂積層体を用いるとL/S=20μm以下の回路基板が容易に製造できること、また、マイクロストリップライン等の回路基板を作製し1〜10GHzにおける伝送ロスを測定すると極めて少ない値であることがわかった。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、金属層と硬化共役ジエン樹脂層とからなる金属−硬化樹脂積層体であって、金属層接着表面の粗度(Rz)が2,500nm以下で、金属層と硬化共役ジエン樹脂層との密着強度が0.5kN/m以上である金属−硬化樹脂積層体が提供される。
本発明によれば、Q値が高く且つ粗度の小さい金属層との密着性に優れる金属−硬化樹脂積層体を容易に得ることができる。また、本発明の金属−硬化積層体は、Q値が高く且つ粗度の小さい金属層との密着に優れるため通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に使用することができる。また、発明の金属−熱硬化積層体は、粗度の小さい金属層との密着に優れるため、L/Sが小さくでき、Q値が高く且つ小型の回路基板とすることが可能となる。
本発明に使用される硬化共役ジエンポリマーとしては、公知の共役ジエンポリマーの硬化物を格別な限定なく用いることができ、通常は共役ジエンポリマーと硬化剤とを含む硬化性樹脂組成物を硬化したものが用いられる。
(共役ジエンポリマー)
本発明に使用される共役ジエンポリマーとしては、少なくとも共役ジエン単位を含むポリマーであれば格別に限定はされないが、共役ジエンホモポリマーと共役ジエン共重合ポリマーとからなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。これらの合成方法は特に限定されない。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ペンタジエンなどが挙げられ、好ましくはブタジエンやイソプレンで、より好ましくはブタジエンである。
共役ジエンホモポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリシアノブタジエン、ポリペンタジエンなどが挙げられ、好ましくはポリブタジエン、ポリイソプレン、より好ましくはポリブタジエンである。
共役ジエン共重合ポリマーとしては、少なくとも共役ジエン単位を含む共重合ポリマーであれば格別な限定はなく、例えば、ランダム共重合ポリマーやブロック共重合ポリマーを用いることができる。共役ジエン共重合ポリマーを用いると、硬化共役ジエンポリマー層に強化繊維を含む場合は、強化繊維への硬化樹脂の含浸性と得られる金属−硬化樹脂積層体の密着強度、機械的強度、靭性等の特性が高度にバランスされ好適である。
共役ジエン共重合ポリマーにおいて、共役ジエンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、シアノ基含有ビニル、アミノ基含有ビニル、ピリジル基含有ビニル、アルコキシル基含有ビニル、芳香族ビニルなどが挙げられ、これらの中でもシアノ基含有ビニルや芳香族ビニルが好ましく、特に芳香族ビニルが好ましい。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができ、これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
共役ジエン共重合ポリマーの共役ジエン単位と共重合可能なモノマー単位との割合は、使用目的に応じて適宜選択され、共役ジエン単位/共重合可能なモノマー単位の重量比で、通常95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは80/20〜20/80の範囲であり、この範囲の時に、金属−硬化樹脂積層体の密着強度、機械的強度及び靭性の特性が高度にバランスされ好適である。
共役ジエンブロック共重合ポリマーの結合様式は、2ブロック共重合体、3ブロック共重合体、4ブロック共重合体、5ブロック共重合体等、使用目的に応じて適宜選択されるが、3ブロック共重合体が金属との積層性と機械的強度との関係が高度にバランスされ好適である。具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレンブロックポリマーなどが挙げられ、好ましくはスチレン−ブタジン−スチレンブロックポリマーである。
本発明に使用される共役ジエンポリマーの共役ジエン部のビニル結合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、赤外分光光度計を用いてハンプトン法(R.Hampton,Anal.Chem.,21,923(1949))により測定される値で、通常5モル%、好ましくは40モル%以上、より好ましくは60モル%以上、最も好ましくは80モル%以上である。ビニル結合量がこの範囲である時に、金属−硬化樹脂積層体の密着強度と機械強度を高度に向上させることができ好適である。
本発明に使用される共役ジエンポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜選択できるが、ゲルパーミエーションクロモトグラフィー(ポリスチレン換算 トルエン溶離液)で測定される重量平均分子量で、通常500〜5,000,000、好ましくは1,000〜1,000,000の範囲である。
本発明においては、上記共役ジエンポリマーは、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができるが、共役ジエンホモポリマーと共役ジエン共重合ポリマーを組み合わせることで金属−硬化樹脂積層体の密着強度、機械的特性、強靭性の特性が高度にバランスされ好適である。
共役ジエンホモポリマーと共役ジエン共重合ポリマーを組み合わせる場合の、共役ジエンホモポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算 トルエン溶離液)で測定される重量平均分子量で、通常500〜500,000、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000の範囲である。組み合わせる場合の、共役ジエン共重合ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算 トルエン溶離液)で測定される重量平均分子量で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共役ジエンホモポリマーと共役ジエン共重合ポリマーの分子量がこの範囲である時に、金属−硬化樹脂積層体の密着強度と機械強度及び強化繊維を使用した場合の密着強度と機械強度が高度にバランスされ好適である。
共役ジエンホモポリマーと共役ジエン共重合ポリマーを組み合わせる場合の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、共役ジエンホモポリマー/共役ジエン共重合ポリマーの重量比で、通常10/90〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは70/30〜85/15の範囲である。両者の割合がこの範囲にあるときに、金属−硬化樹脂積層体の密着強度、機械的特性、強靭性の特性が高度にバランスされ好適である。
(硬化剤)
本発明に使用される硬化剤としては、上記共役ジエンポリマーを架橋させるものであれば格別な制限はないが、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。特にQ値を高度に高め且つ導体層との密着性も高める上では、非極性ラジカル発生剤が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;などが挙げられる。中でも、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
本発明に使用される硬化剤がラジカル発生剤の場合の1分半減期温度は、ラジカル発生剤の種類及び使用条件により適宜選択されるが、通常、50〜350℃、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
これらの硬化剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化剤の使用量は、共役ジエンポリマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、上記共役ジエンポリマーと硬化剤とを必須成分として、必要に応じて、充填材、老化防止剤、硬化助剤、強化繊維及びその他の配合剤などを添加することができる。
本発明においては、硬化性樹脂組成物に充填材を配合することで、金属−硬化樹脂積層体の耐熱性がより高度化され好適である。充填材としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機充填材や有機充填材のいずれも用いることができが、好適には無機充填材である。
無機充填材としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。
有機充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等の粒子化合物が挙げられる。
この中でも、Q値を高することができ、好ましいものは無機酸化物粒子であり、具体的には、シリカ、アルミナ、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどチタン酸塩粒子がある。これらの充填材は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、共役ジエンポリマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。
本発明においては、硬化性樹脂組成物に老化防止剤として、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン老系化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を加えることにより、硬化反応を阻害しないで、得られる金属−硬化樹脂積層体の耐熱性を高度に向上させることができ好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤が特に好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、共役ジエンポリマー100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明においては、硬化性樹脂組成物に硬化助剤を加えることで、金属−硬化樹脂積層体の密着強度と機械強度を高度にバランスさせることができ好適である。硬化助剤としては、一般的に用いられるものを格別な限定なく使用でき、例えば、炭素−炭素不飽和結合を2つ有する2官能性硬化助剤、炭素−炭素不飽和結合を3つ以上有する多官能硬化助剤などを挙げることができる。
硬化助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの2官能硬化助剤、トリイソプロペニルベンゼン、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能架硬化剤等が挙げられる。中でも、トリイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、m−ジイソプロペニルベンゼンがより好ましい。
これらの硬化助剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化助剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、共役ジエンポリマー100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。
本発明においては、硬化性樹脂組成物に強化繊維を含むことが、金属−硬化樹脂積層体の機械的強度及び靭性を高度に改善でき好適である。強化繊維としては、格別な制限はないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリパラベンゾオキサゾール繊維、フッ素樹脂繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、NCRガラス、Hガラス等の繊維が好適に用いることができる。
これらの強化繊維は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、共役ジエンポリマー/強化繊維の重量比で、通常10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30の範囲であり、この範囲にあるときに金属−硬化樹脂組成物のQ値と機械的強度が高度にバランスされ好適である。
その他の配合剤としては、難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤などを挙げることができる。難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムや水酸化マウグネシウムなどの金属水酸化物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の添加剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
(金属層)
本発明に使用される金属層は、その硬化共役ジエンポリマー層との接着表面の粗度が、JIS B0601−1994に基づき測定される十点平均粗さ(Rz)で、2,500nm以下である。本発明によれば、粗度の小さい金属層を用いて高い密着性を有するの金属−硬化樹脂積層体が与えられる。金属層の硬化共役ジエンポリマー層との接着表面の粗度(Rz)は、好ましくは2,000nm以下、より好ましくは1,800nm以下、最も好ましくは1,000nm以下である。一方、粗度の下限は、格別な限定はないが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。金属層の粗度が過度に大きいと、高周波伝送に於けるノイズ、遅延、伝送ロス等の原因となり好ましくない。
金属層の材質としては、回路基板で一般的に用いられるものを格別な制限なく用いることができ、通常金属箔、好ましくは銅箔が用いられる。
本発明に使用される金属層の厚さは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1〜50μm、好ましくは3〜30μm、より好ましくは5〜20μm、最も好ましくは5〜15μmの範囲である。金属層の厚さが過度に大きい場合は、回路基板のL/Sを小さくすることができず、逆に、過度に小さい場合は、安定した回路形成が難しくなることがある。
(金属−硬化樹脂積層体)
本発明の金属−硬化樹脂積層体は、上記粗度の小さい金属層表面に前記硬化共役ジエン樹脂層を形成してなり、高いQ値と高い金属層と硬化共役ジエン樹脂層との密着性を有する。
本発明の金属−硬化樹脂積層体の硬化共役ジエンポリマー層の誘電率は、使用目的に応じて適宜選択されるが、5GHzで測定される値で、通常1.5〜15、好ましくは2〜10、より好ましくは2.5〜7.5の範囲である。
本発明の金属−硬化樹脂積層体の硬化共役ジエン樹脂層のQ値は、5GHzで測定される誘電正接の逆数(1/tanδ)で、通常100以上、好ましくは300以上、より好ましくは500以上である。Q値が過度に小さいと、高周波回路の損失、信頼性に欠け好ましくない。
本発明の金属−硬化樹脂積層体の金属層と硬化共役ジエン樹脂層との密着強度が、0.50kN/m以上、より好ましくは0.55kN/m以上、より好ましくは0.60kN/m以上である。また、上限としては、格別な限定はなく、金属層の厚さおよび粗度等により定まるが、通常5.0kN/m以下、好ましくは3.0kN/m以下、より好ましくは2.0kN/m以下である。特に、金属層の厚さが5〜15μmの範囲にあるときの密着強度が0.50〜5.0k以下、好ましくは0.55〜3.0kN/m、より好ましくは0.60〜2.0kN/mの範囲であるときに、回路基板のL/Sを小さくでき且つ伝送ロス、遅延、ノイズ等の問題を極限まで小さくでき好適である。
本発明の金属−硬化樹脂積層体の製造方法は、格別な限定はないが、式(1)R MXn(MはSi,Ti,AlまたはZrを表わし、Rは不飽和結合を有する炭化水素基を表し、Rは酸素、窒素、リン、イオウ、ハロゲンを含んでもよい炭化水素基を表し、Xはアルコキシル基、アセトキシ基、ハロゲン基、アミノ基、水酸基、または水素を表わす。mは1以上の整数を表わし、kは0以上の整数を表わしnは1以上の整数を表わす。m+n+kはMがSi,TiまたはZrのときは4であり、MがAlのときは3である。)で表される化合物またはその縮合物(以下、「ラジカル反応性処理剤」という場合がある。)で表面処理した金属層表面に、共役ジエンポリマーと硬化剤とを含んでなる硬化性樹脂組成物層を形成し、次いで該硬化性樹脂組成物を硬化することで容易に行なうことができる。金属層及び硬化性樹脂組成物については、前記と同様なものを用いることができる。
ここで式(1)においてRとして具体的には、アルケニル基、アルキニル基またはアルケニル基を置換基として有するシクロアルキル基もしくはアリール基などが挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、デセニル基、ノルボルニル基、シクロヘキセニル基、スチリル基などが挙げられ、好ましくはスチリル基である。
として具体的には、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基などアルキル基、フェニル基、ナフチル基などアリール基、チオール基、メルカプト基、エーテル基、アミド基などが挙げられ、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基などアルキル基、フェニル基アリール基が好ましい。
Xとして具体的には、メトキシ基、エトキシ基などアルコキシル基、アセトキシ基、クロロ基などハロゲン基、アミノ基、水酸基、水素などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基などアルコキシル基、アセトキシ基、クロロ基などハロゲン基、水酸基、水素が好ましく、メトキシ基、エトキシ基などアルコキシル基、クロロ基などハロゲン基、アミノ基が特に好ましく、メトキシ基、エトキシ基などアルコキシル基が最も好ましい。
式(1)で示される化合物は具体的には、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、n−デセニルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリエトキシシラン、ノルボルニルトリクロロシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
式(1)で示される化合物の縮合物は、式(1)で示される化合物の2分子以上が、Xの位置で縮合した構造を有するものである。具体的には、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザンなどのシラザン類や、シロキサン類が挙げられる。
これらのラジカル反応性処理剤として好ましくは、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルトリクロロシランなどである。
かかるラジカル反応性処理剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、金属層表面を蛍光X線分析により測定されるX線強度で、通常0.100〜0.800kcps、好ましくは0.200〜0.500kcpsの範囲である。ラジカル反応性処理剤の使用量が過度に少ないと密着強度が十分でなく、逆に、過度に多いとQ値が悪くなる場合がある。
ラジカル反応性処理剤の金属層表面の処理は、常法に従えばよく、例えば、ラジカル反応性処理剤含有水溶液を用いて金属層表面を処理することができる。
ラジカル反応性処理剤含有水溶液のラジカル反応性処理剤濃度は、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲である。ラジカル反応性処理剤濃度が過度に薄いと、密着性改善効果が劣り、逆に、過度に濃いと、加水分解縮合が進むものがあり好ましくない。
ラジカル反応性処理剤含有水溶液は、界面活性剤を含ませることにより、ラジカル反応性処理剤の均一分散が可能となり好適である。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができ、なかでもノニオン界面活性剤が回路基板としてのイオンマイグレーションを抑制でき好適である。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンセカンドアルキルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、アルキルカルボニルオキシポリオキシエチレン類、脂肪族多価アルコールエステル類、脂肪族多価アルコールポリオキシエチレン類、脂肪族ショ糖エステル類などを挙げることができる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、ラジカル反応性処理剤含有水溶液中の界面活性剤濃度で、通常0,0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲である。
ラジカル反応性処理剤含有水溶液のpHは、使用する処理剤の種類に応じて適宜選択されるが、通常1〜10、好ましくは2〜7、より好ましくは3〜5の範囲である。ラジカル反応性処理剤のpHがこの範囲であるときに、ラジカル反応性処理剤の縮合反応を抑えることができ、通常は酢酸、蟻酸、シュウ酸、クエン酸、酪酸などの有機酸やアンモニア水などで調整できる。
ラジカル反応性処理剤含有水溶液の金属層表面への処理方法は、常法に従えばよく、例えば、金属層をラジカル反応性処理剤含有水溶液に浸漬後に引き上げて乾燥させる方法、金属層表面にロールコーター、ダイコーター、グラビアコーターなどの塗工装置を用いてラジカル反応性処理剤含有水溶液を塗布し次いで乾燥させる方法、金属層表面に噴霧装置を用いてラジカル反応性処理剤含有水溶液を噴霧し乾燥する方法などが挙げることができる。ラジカル反応性処理剤含有水溶液処理後の乾燥は、通常100〜200℃、1〜60分間の条件で行なわれる。
かかるラジカル反応性処理剤で処理した金属層表面への前記硬化性樹脂組成物層を形成させる方法は、常法に従えばよく、例えば、硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解または分散させて金属層表面に塗布し溶剤を乾燥させる方法、硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解または分散させて基材表面上に塗布し溶剤を乾燥させたシートまたは、硬化性組成物を溶剤に溶解または分散させて強化繊維中に含浸させ溶媒を乾燥させたプリプレグを金属層表面上に加圧積層する方法などで行なうことができる。
硬化性樹脂組成物を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、テルペンなどが挙げられ、特にキシレンが好適である。溶媒の使用量は、ポリマー量及び強化繊維の種類等により適宜選択でき、また、溶媒の乾燥は、硬化剤の反応が起こらない範囲で適宜選択される。
乾燥温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の範囲であり、特に、前記架橋剤がラジカル発生剤を用いる場合は、通常ラジカル発生剤の1分半減期温度以下、好ましくは1分半減期温度に対し10℃以下の温度、より好ましくは1分半減期温度以下に対し20℃以下の温度である。乾燥時間は適宜選択すればよいが、通常0.1〜120分間、好ましくは0.5〜60分間、より好ましくは1〜20分間の範囲である。
硬化方法は、常法に従えばよく、硬化剤の種類に応じて適宜選択されるが、通常は加熱硬化が行なわれる。硬化温度は、前記硬化剤の架橋の起こる温度であり、ラジカル発生剤を用いた場合は、1分半減期温度以上、好ましくは1分半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分半減期温度より10℃以上高い温度である。通常は、250℃以下、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜230℃の範囲である。硬化温度が過度に高いと金属層と硬化共役ジエン樹脂層との密着強度が劣る場合があり好ましくない。硬化時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜60分の範囲である。
本発明の金属−硬化樹脂積層体は、通常用いられる任意の方法でパターン形成をし、また通常用いられる任意の方法で受動部品・能動部品を実装し回路基板を作製することができる。このような回路基板は、用途は特に限定されないがアンテナ、サーバー、ルーター、テスターなど低伝送損失が要求される高周波回路などに好適に用いられる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1)表面粗さ:銅箔の表面粗さはJIS B0601−1994に従って、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
(2)Q値:ネットワークアナライザーを用いトリプレート共振法にて5GHzにおけるQ値(1/tanδ)を測定し、以下の基準で評価した。
A:Q値が、500以上のもの
B:Q値が、300以上500未満のもの
C:Q値が、300未満のもの
(3)密着強度:金属−硬化樹脂積層体における金属箔の引き剥がし強さをJIS C6481に基づいて測定し、以下の基準で評価した。
A:0.6kN/m以上
B:0.5kN/m以上、0.6kN/m未満
C:0.3kN/m以上、0.5kN/m未満
D:0.3kN/m未満
(4)微細配線形成性:金属−硬化樹脂積層体の金属箔をエッチングして、配線を形成し下記基準で評価した。ここで、配線形成ができなかったとは、エッチングした後の樹脂面に銅箔の残りが観測されることを表す。
A:25/25μmラインアンドスペース(L/S)の配線形成ができた。
B:30/30μmラインアンドスペース(L/S)の配線形成ができた。
C:40/40μmラインアンドスペース(L/S)の配線形成ができた。
D:配線ができなかった。
(5)伝送損失:金属−硬化樹脂積層体を用いてマイクロスストリップラインの回路基板を作製し、5GHzにおける伝送ロスを測定し、下記基準で評価した。
A:0.3dB/cm以下
B:0.3dB/cm超え、0.4dB/cm以下
C:0.4dB/cm超える
(6)ラジカル反応性処理剤量:金属層表面のラジカル反応性処理剤処理後の存在量は、蛍光X線測定装置によりX線強度を測定して求めた。
実施例1
<ラジカル反応性処理剤含有水溶液の調整>
ラジカル反応性処理剤含有水溶液としてp−スチリルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1403、信越シリコーン社製)をメタノールに濃度50%になるように溶解した溶液を界面活性剤としてポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル(商品名:HS−210、日本油脂社製)を0.06%含む水溶液に逐次的に滴下し、溶解させ、pHが4.0になるように酢酸で調整し、処理剤濃度が0.03%のラジカル反応性処理剤含有水溶液を得た。
<銅箔の表面処理>
厚さ12μmのF3銅箔(電解銅箔、粗度Rz=2,100nm、古河サーキットフォイル社製)に、上記得られたラジカル反応性処理液含有水溶液を、室温下で、バーコーターを用いて塗布厚が4μmになるように均一に塗布した。次いでこれを速やかに窒素気流下で120℃で5分間乾燥させることによって表面処理された銅箔を得た。銅箔上のラジカル反応性処理剤量は、0.339kcpsであった。
<金属−硬化樹脂積層体の製造>
ポリブタジエンB3000(日本曹達社製;分子量3000、1,2−ビニル結合量95モル%)100部、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー(スチレン含有量30%、分子量70,000)30部、臭素系難燃剤Saytex BT−93WFG(ALBEMARLE社製)31部、シリカを70部、硬化剤ジ−t−ブチルペルオキシド1.2部をキシレン中で混合し、硬化性組成物を得た。ついで、得られた硬化性組成物をガラスクロス#1080(旭シュエーベル社製 Eガラス)に含浸させ、加熱により溶媒を除去してプリプレグを作製した。プリプレグのガラス繊維含有量は40%であった。
次に、作製したプリプレグシートを5枚重ね、さらにその両面に上記で表面処理を行った電解銅箔を処理面がプリプレグシートと接するように重ね、これを200℃で10分間、3MPaにて加熱プレスを行い金属−硬化樹脂積層体を得た。得られた積層体のQ値、密着強度、微細配線成形性、伝送損失を評価しその結果を表1に示した。
Figure 2009202495
実施例2
銅箔として、厚さ12μmのF2銅箔(電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サーキットフォイル社製)を用いる以外は実施例1と同様に行ない金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価しその結果を表1に示した。
実施例3
銅箔として、厚さ12μmのF0銅箔(電解銅箔、粗度Rz=700nm、古河サーキットフォイル社製)を用いる以外は実施例1と同様に行い金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価してその結果を表1に示した。
実施例4
硬化剤として、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンを用い、硬化条件を220℃で60分間とする以外は実施例2と同様に行い金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価して表1にその結果を示した。
比較例1
処理剤として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いる以外は実施例1と同様に行ない金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価し、その結果を表1に示した。
比較例2
処理剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いる以外は実施例1と同様に行ない金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価し、その結果を表1に示した。
比較例3
ラジカル反応性処理剤で処理しない厚さ12μmのF3銅箔(電解銅箔、粗度Rz=2,100nm、古河サーキットフォイル社製)を用いる以外は実施例1と同様に行い金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価して表1にその結果を示した。
比較例4
ラジカル反応性処理剤で処理しない厚さ12μmのF2銅箔(電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サーキットフォイル社製)を用いる以外は実施例1と同様に行い金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価して表1にその結果を示した。
比較例5
未処理の厚さ12μmのF3銅箔を用い、該F3銅箔表面に特表2005−502192号公報に従って、エチレン−プロピレン−ジエンエラストマーの10%キシレン溶液を調整し、エチレン−プロピレン−ジエンエラストマー100部当たり5部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を加えた溶液を塗布量が5.9g/mになるように塗布し乾燥させたものを用いる以外は実施例1と同様に行い金属−硬化樹脂積層体を得、各特性を評価して表1にその結果を示した。
以上本発明によれば、Q値が高く、粗度の小さい銅箔との密着性が高い金属−硬化樹脂積層体が得られることが分かる。該金属−硬化樹脂積層体を用いると、回路基板を製造するときに微細配線を形成することが可能であり、得られる回路基板は伝送損失が小さいものとなる。

Claims (6)

  1. 金属層と硬化共役ジエンポリマー層とを有する金属−硬化樹脂積層体であって、金属層の、硬化共役ジエンポリマー層との接着面の粗度(Rz)が2,500nm以下で、金属層と硬化共役ジエンポリマー層との密着強度が0.5kN/m以上である金属−硬化樹脂積層体。
  2. 硬化共役ジエンポリマー層が、共役ジエンポリマーと硬化剤とを含んでなる硬化性組成物を硬化して形成されるものである請求項1記載の金属−硬化樹脂積層体。
  3. 金属層の厚さが、1〜50μmである請求項1または2記載の金属−硬化樹脂積層体。
  4. 硬化共役ジエンポリマー層の(1/誘電正接)で表わされるQ値が300以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の金属−硬化樹脂積層体。
  5. 金属層と硬化共役ジエンポリマー層とが直接積層されているものである、請求項1乃至4のいずれかに記載の金属−硬化樹脂積層体。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載の金属−硬化樹脂層積層板を含む電子回路基板。
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