JP2009199855A - 導電性酸化物の製造方法、導電性酸化物膜の製造方法、導電性酸化物、導電性酸化物膜、および導電性酸化物の分散液 - Google Patents

導電性酸化物の製造方法、導電性酸化物膜の製造方法、導電性酸化物、導電性酸化物膜、および導電性酸化物の分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便に、短時間で、かつ少ないエネルギー消費で製造する導電性酸化物、または導電性酸化物膜の製造方法と、その方法により得られた導電性酸化物や導電性酸化物膜、および導電性酸化物の分散液を提供すること。
【解決手段】加熱により導電性酸化物となる固体状の非導電性酸化物に、マイクロ波を照射して導電性酸化物を作製する導電性酸化物の製造方法。前記非導電性酸化物は膜を形成した後、マイクロ波を照射して導電性酸化物膜を作製しても良い。前記非導電性酸化物としては、酸化インジウム粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子と亜鉛化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とマグネシウム化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、または酸化錫粒子と5価となり得る元素の化合物粒子との混合物等を用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性酸化物の製造方法、及び導電性酸化物膜の製造方法、並びに導電性酸化物、導電性酸化物膜、及び導電性酸化物の分散液に関する。
ITO(錫ドープ酸化インジウム)を主とする導電性酸化物粒子末の利用分野として、透明導電性膜への利用が盛んになっている。
導電性酸化物粒子末を透明導電性膜とするには、例えば一次粒子径が約0.1μm以下の導電性酸化物粒子末を、溶媒とバインダ樹脂からなる溶液中に分散させ、これをガラス、プラスチック等の基材に塗布、印刷、浸漬、スピンコート或いは噴霧などの手段で塗工し、乾燥することによって、透明導電性膜を基材上に形成することができる。
こうして作製した透明導電性膜は、ガラス、プラスチック等の帯電防止や、ほこりの付着防止に有効であり、ディスプレーや計測器の窓ガラスの帯電防止や、ほこりの付着防止用として利用されている。
さらに、ICパッケージ回路形成材、クリーンルーム内装材、各種ガラスやフィルム等の帯電防止やほこりの付着防止、塗布型透明電極、あるいは赤外線遮蔽材料等の用途に利用もしくは検討が行われており、今後の需要の伸びが期待されている。
従来、導電性が良好なIn含有酸化物微粒子末を得るための一般的な製造方法として、2種以上の遷移金属イオンを含有する水溶液(例、ITO粒子末の場合にはSnとInを塩化物または硝酸塩として溶解した水溶液)をアルカリ水溶液と反応させて、前記金属の水酸化物を共沈させ、この共沈水酸化物を出発原料として、これを大気中で加熱処理して酸化物に変換させる方法がある(特許文献1)。
前記特許文献1では、さらに、導電性を高めるために、焼成雰囲気の酸素分圧を制御したり、あるいは還元性の気流で焼成したりすることも述べられている。加えて、不活性ガスの加圧下、密閉して焼成する等の工夫をして低抵抗化を図ることも提案されている(特許文献2)。
しかし、このような水溶液から製造するビルドアップ的な方法では、プロセスが複雑であり、しかもコストがかかるという問題点がある。
一方、2種類以上の酸化物原料を混合し、焼成して反応させた後に、粒子を粉砕して微粒子を得るというブレークダウンの方法も知られているが、この方法では、導電性と超微粒子化を両立させる事が難しい。本発明者らは、先に、それを解決するために、この微粒子を不活性ガス下または還元雰囲気の状態で加熱処理する方法を見出している(特許文献3)。
しかしながら、上記方法においても、酸化物原料を用いたときには、十分反応を進ませるために高温が必要であり、通常の電気炉ではエネルギー消費が大きく、かつ昇温、冷却に長時間かかるという問題があった。
特開平7−188593号公報 特許第3367149号公報 特開2007−119289号公報
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、簡便に、短時間で、かつ少ないエネルギー消費で製造する導電性酸化物、または導電性酸化物膜の製造方法と、その方法により得られた導電性酸化物や導電性酸化物膜、および導電性酸化物の分散液を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、加熱により導電性酸化物となる非導電性酸化物に、マイクロ波を照射して急速に自己発熱させ、導電性酸化物に変換することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
1.加熱により導電性酸化物となる、一又は複数種類の固体状の非導電性酸化物に、マイクロ波を照射して導電性酸化物を作製することを特徴とする導電性酸化物の製造方法。
2.加熱により導電性酸化物となる、一又は複数種類の非導電性酸化物を用いて膜を形成し、前記膜にマイクロ波を照射して導電性酸化物膜を作製することを特徴とする導電性酸化物膜の製造方法。
3.前記非導電性酸化物として、酸化インジウム粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子と亜鉛化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とマグネシウム化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とニッケル化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化亜鉛粒子と13族元素化合物粒子との混合物、または酸化錫粒子と5価となり得る元素の化合物粒子との混合物、を用いる上記1に記載の導電性酸化物の製造方法。
4.前記非導電性酸化物として、酸化インジウム粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子と亜鉛化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とマグネシウム化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とニッケル化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化亜鉛粒子と13族元素化合物粒子との混合物、または酸化錫粒子と5価となり得る元素の化合物粒子との混合物、を用いた上記2に記載の導電性酸化物膜の製造方法。
5.前記マイクロ波照射は、不活性ガスまたは還元性雰囲気下で行う上記1又は3に記載の導電性酸化物の製造方法。
6.前記マイクロ波照射は、不活性ガスまたは還元性雰囲気下で行う上記2又は4に記載の導電性酸化物の製造方法。
7.上記1、3又は5に記載の導電性酸化物の製造方法により作製されてなる導電性酸化物。
8.上記2、4又は6に記載の導電性酸化物膜の製造方法により作製されてなる導電性酸化物膜。
9.10MPaの加圧下での電気伝導度が0.001S/cm以上である上記7に記載の導電性酸化物。
10.粒子状であり、かつ粒径が1μm以下である上記7又は9に記載の導電性酸化物。
11.上記7、9又は10に記載の導電性酸化物が粒子状であり、かつ前記導電性酸化物を分散させてなる分散液。
12.上記11に記載の分散液を用いて形成された導電性酸化物膜。
マイクロ波を用いて非導電性酸化物に急速な自己発熱をさせて反応を起こし、簡便に、短時間で、かつ少ないエネルギー消費で製造する導電性酸化物、または導電性酸化物膜の製造方法と、その方法により得られた導電性酸化物や導電性酸化物膜、および導電性酸化物の分散液を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性酸化物の製造方法において使用する原料の固体状の非導電性酸化物は、例えば、粉状、微粒子状、粒子状、薄片状、または針状の非導電性酸化物である。
これら非導電性酸化物としての大きさは、用途により最適な大きさが異なるが、例えば、透明導電性用途に用いるのであれば、1〜1000nmが好ましく、5〜100nmであることがより好ましく、10〜70nmであることがさらに好ましい。この粒径が1000nmを超えて大きくなると、光の散乱が激しくなり、逆に1nm未満になると、凝集しやすく、取り扱いが難しいなどの課題が生じる。また導電性フィラーとしての用途であれば100nm〜1000μmが好ましく、200nm〜100μmであればより好ましく、200nm〜10μmが特に好ましい。この粒径が1000μmを超えて大きくなると、製品表面が荒れる課題が生じ、逆に100nm未満になると、原料に使用される樹脂との混合が難しくなったり、凝集するなどの課題が生じる。
本発明の前記製造方法は、原料として誘電損失が大きく発熱しやすい酸化インジウム、酸化亜鉛などの非導電性酸化物原料を用い、マイクロ波によって自己発熱による温度上昇を利用して、組合せ原料の場合には、異種原料と反応させて導電性酸化物粒子を製造する点に特徴がある。
本発明の製造方法に採用される原料としての前記非導電性酸化物としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化チタンなどが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、組み合わせても良い。
このような組合せの例としては、酸化インジウム粒子とを主とし、これと錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子と亜鉛化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とマグネシウム化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とニッケル化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化亜鉛粒子と13族元素化合物粒子との混合物、または酸化錫粒子と5価となり得る元素の化合物粒子との混合物、等を挙げることができる。
ここで、13族元素化合物としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびタリウム等が例示される。また、5価となり得る元素の化合物としては、 バナジウム、ニオブ、タンタル、砒素、アンチモン、およびビスマス等が例示される。
また、これらの混合物の混合割合は、例えば、導電性酸化物として知られるSn含有In23(ITO)、Zn含有In23(IZO)、In23の共置換化合物(4価元素と2価元素を3価のInに置換した酸化物)、Sb含有SnO2(ATO)、ZnO、Al含有ZnO(AZO)、Ga含有ZnO(GZO)の組成になるように2種以上を組み合わせて、十分な時間混合し、固体状混合物を得る。
導電性酸化物を製造するときには、前記の固体状混合物を、そのままマイクロ波を照射しても良いし、導電性酸化物膜を製造するときには、これらの固体状混合物を適当な分散媒に分散させて分散液を得て、この分散液を用いて膜を形成し、その後、マイクロ波を照射して加熱してもよい。
かかる場合に、マイクロ波を照射する前、又はマイクロ波の照射と同時に上記膜を加熱することが好ましい。
誘電損失は温度依存性があり、温度が高いほど誘電損失が大きくなり、マイクロ波を吸収し易くなるからである。
加熱温度は、100℃以上、基板の溶解温度以下であることが好ましい。
前記分散媒としては、水、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
固体状非導電性酸化物を分散させるときには、必要に応じて、分散剤や界面活性剤などを併用しても良い。前記分散剤としては、ポリアクリル酸塩等が例示され、界面活性剤としては、通常のアニオン性、カチオン性、および両性界面活性剤等が例示される。
また、前記膜の形成は、前記分散液に適当なバインダを添加して、適当な基材上に塗布、浸漬、スピンコート、或いは噴霧等の方法により塗膜を形成し、次いでマイクロ波を照射すれば導電性酸化物膜が形成される。
ここで、前記の溶媒に可溶なバインダとしては、耐久性に優れた被膜を形成し得るものであれば特に制限されるものではなく、例えば、有機性バインダとして、メタクリル樹脂等のアクリル系樹脂、ポリアセチレン系樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキッド樹脂等のポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリアミンスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリチオフェン系樹脂、ポリアニリン系樹脂、ポリアセチレン系樹脂、紫外線硬化樹脂、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロース等のセルロース誘導体等を例示することができ、これらのバインダを1種又は2種以上用いることができる。
また、無機バインダとして、珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物又はオルガノシラザンが利用できる。
導電性塗料中における各成分の配合割合も、特に制限されるものでなく、例えば、導電性酸化物材料微粒子が1〜80重量%、バインダが1〜25重量%、溶媒が残部となる配合割合を例示できる。この配合割合で、表面抵抗値1×1010Ω/cm2以下、全光線透過率80%以上、ヘーズ値15%以下の透明導電性膜を容易に得ることができる。
本発明の製造方法に使用するマイクロ波としては、周波数1GHz〜1THzのものである。このうち、最も一般的なマイクロ波の周波数は、2.45GHzもしくは、工業炉などでは28GHzである。このような周波数を有するマイクロ波照射装置としては、市販の装置を使用することができ、例えば、高砂工業社製のマイクロ小型バッチ炉や、島田理化工業社製のバッチ式マイクロ波加熱装置等を例示することができる。
製造したい導電性酸化物の組成比によって最適照射条件が異なるが、一般的には、マイクロ波の照射投入電力は0.1〜10kW程度、照射時間は1〜60分程度とする。なお、この照射時間は、後述のマイクロ波処理温度に到達するまでの昇温時間を言う。
マイクロ波を前記溶液又は分散液中の非導電性酸化物に照射すると、酸化物インジウムや酸化亜鉛粒子のように誘電損失の大きい物質では、マイクロ波が吸収されて熱を発生し、近くに存在する異種元素化合物と容易に反応できるようになる。また、前記非導電性酸化物は、一般にマイクロ波高速応答性能を有しているので、加熱時間や出力調整によって必要な温度への制御を容易に行うことができる等のメリットがある。
酸化物インジウム、酸化錫、および酸化亜鉛粒子のように誘電損失の大きい物質(誘電損失がアルミナ以上、すなわち、室温で0.001以上のものであれば、実用上問題ならない時間内でのマイクロ波照射で温度の上昇があるので、適用可能である)は、短時間の照射で高温に達し、脱酸素や異種成分との反応により導電性を発現させることができる。
さらに、マイクロ波では、照射された非導電性酸化物が自己発熱するために、通常の電気炉に比較して、周囲の雰囲気温度を高める必要がないという利点があり、短時間で加熱が可能であると共に、粒子の成長を抑えることができるため、特に粒径が1μm以下の酸化物超微粒子の製造方法に好適である。
マイクロ波を照射する雰囲気としては、大気中でも可能であるが、より高い導電性とするためには、不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気とすることがより好適である。
このような不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が、また、還元性ガスとしては、水素ガス、アンモニアガス等が例示される。
これらの不活性ガスや還元性ガスの供給速度は、試料量とマイクロ波炉の容量に応じて決めれば良いが、例えば、0.5〜5L/分程度とする。
不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気でマイクロ波を照射する際には、排出ガス中に酸素ガスがほとんど検出されない(例えば1体積%以下)状態になるまで、予め、これらのガスを供給しておく。
マイクロ波処理温度、すなわち非導電性酸化物の照射温度は、原料種にも依存するが、通常、300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上とする。この照射温度となるように、マイクロ波出力および照射時間を制御することが望ましい。
例えば、ITO組成の導電性粒子を作製する場合は、雰囲気にもよるが、不活性ガス雰囲気では300℃以上で酸化インジウムと酸化錫の反応が開始する。400℃以上とすることでより反応がさらに進んで導電性が発現し、さらに、500℃以上では、粒子成長が顕著になり、一層導電性が向上する。
このときの処理温度が高いほど導電性は向上するが、温度が高くなりすぎると、導電性は飽和傾向になり、エネルギーが無駄になるだけでなく、粒子同士が焼結をし始めて数十μmの大粒径となってしまので、導電性微粒子を作製する場合には、目的には適さなくなる。
従って、照射温度の上限は、焼結が過度に進み過ぎない温度と、粒子の導電性が高くなりすぎてマイクロ波を吸収しなくなる温度で決まるが、例えば1400℃程度としてマイクロ波を照射することが好ましい。
マイクロ波を所定時間照射して、非導電性酸化物が導電性酸化物に変換されたら、マイクロ波の照射を中止する。不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気では、これらの不活性ガスや還元性ガスを供給しながら、一定温度、例えば、100℃以下に冷却する。こうして、導電性酸化物粒子や導電性酸化物膜が得られる。
本発明により、導電性酸化物粒子が製造される場合には、その粒径は1μm以下のものとなる。また、この導電性酸化物粒子は、10MPaの加圧下での電気伝導度が0.001S/cm以上という性能を示す。この電気伝導度が0.001S/cm以上であると、帯電防止用途に、十分適用可能となる。
この導電性酸化物粒子は、そのまま製品化しても良いし、また、分散媒を使用して、前記導電性酸化物粒子を分散させた分散液の形にしても良い。その際に使用する分散媒や、必要により添加する分散剤や界面活性剤としては、前述のものを使用することができる。さらに、バインダを添加した導電性酸化物粒子含有分散液では、バーコーター等を用いて適当な基材上に塗布し、乾燥することにより、導電性酸化物膜が簡単に製造できるという利点が得られる。しかも、本発明発明の製造方法によれば、製造に伴う廃液処理などの問題はない。
以下に本発明の実施例、および比較例を掲げて、さらに本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で使用した導電性酸化物粒子の製造装置として使用した高周波加熱炉を図1に示す。
図1に示した高周波加熱炉は高砂工業株式会社製で、室内中央部の断熱材(石英板)4上に非導電性酸化物を含む試料粉1が置かれ、室内の左右壁側にマイクロ波発生装置(図示せず)と回転羽2が設けられ、かつ、その上面には、放射温度センサー3と不活性ガス入口5および排気口6が設けられている。図1中、矢印はマイクロ波を示す。
なお、本実施例と比較例で用いられた測定方法は、以下の通りである。
粒径:BET法(一点法)による比表面積(m2/g)から求めた。
電気伝導度σ:粉体抵抗測定システム((株)ダイアインスツルメント製)を用い、加圧しながら抵抗を測定し、圧力―電気伝導度のグラフから10MPaにおける電気伝導度を読み取り、電気伝導度とした。
粒子組成比: エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP(誘導結合プラズマ)を使用した。
実施例1
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)78.65gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)21.35gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。この混合粉体100gを図1に示した断熱材(アルミナ)の上におき、周囲をアルミナの断熱材で覆って前記高周波加熱炉の中央においた。窒素(純度99.9%)を2L/分の流速で流し、出口ガス中の酸素濃度が1体積%以下になったときに、マイクロ波を出力2.4kWにて照射した。1000℃まで約7.5分間で昇温させた後、照射を停止し、試料温度が100℃にまで冷却されたときにガスの供給を停止し、試料を取り出した。
得られた粉体は灰青色であった。
10MPaの加重をかけた時の電気伝導度は70S/cmであり、良好な電気導電性を有すことが明らかになった。また比表面積から得られた粒径は803nmであり、微粒子の導電性粉体が得られた。
またICP(誘導結合プラズマ)により、焼成後の粒子の組成比を測定した。
実施例2
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)94.6gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)5.4gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は灰青色であった。
実施例3
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)64.21gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)23.24gと、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製、第一種)12.55gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は灰青色であった。
実施例4
試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は薄い灰青色であった。
実施例5
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)34.87gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)37.86gと、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製、第一種)27.26gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は灰青色であった。
実施例6
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)68.56gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)24.81gと、酸化マグネシウム(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)6.63gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は灰青色であった。
実施例7
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)64.88gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)23.48gと、酸化ニッケル(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)11.64gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は灰青色であった。
実施例8
酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製、第一種)96.64gと、酸化インジウム(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)3.36gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は薄青色であった。
実施例9
酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製、第一種)98.74gと、酸化アルミニウム(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)1.26gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は薄青色であった。
実施例10
酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)97.86gと、酸化アンチモン(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)2.14gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。試料温度と加熱時間を表1に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた粉体は青色であった。
比較例1
モトヤマ社製電気炉を用い、実施例1と同様に作製した酸化インジウム、酸化第二錫 、
および酸化亜鉛の混合粉をアルミナルツボに入れ、窒素(純度99.9%)を2L/分で流し、酸素濃度が1体積%以下になった時から昇温させた。1000℃に到達したときに加熱炉の電源を切り、100℃まで冷却したときに試料を取り出し、実施例1と同様に評価した。
1000℃になるのに59分間かかり、かつ室温から1000℃昇温までの加熱炉の平均出力は5.8kWであり、本発明の高周波炉に比較して、長時間を要し、かつ必要エネルギーも大きなものであった。また生成した粒子は実施例1に比較して粒成長が激しいものであり、微粒子製造の目的には不利であることが明らかになった。
比較例2〜10
実施例2〜10と同様の非伝導性酸化物混合物をこれら実施例と同様に作製し、加熱温度と加熱時間を表1記載の通りに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
以上の実施例1〜10、および比較例1〜10で得られた結果を表1に示す。
Figure 2009199855
・加熱時間は目的温度への昇温時間。目標温度に到達後、すぐに加熱電源をとめた。
・比較例の加熱出力は目的温度への昇温の際の電源出力の平均値
実施例11
酸化インジウム粉末(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)94.6gと、酸化第二錫(フルウチ化学(株)製、純度99.99%)5.4gとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルで6時間混合した。
この試料を1gとり、水40gと分散剤0.1g(東亞合成(株)製、ポリアクリル酸塩)に混合し、ビーズミル(アイメックス社製)を用い、2650rpmで3時間攪拌して分散液を作製した。これにアクリルバインダー水溶液(日本純薬(株)製、FC−60)1gを加えて撹拌溶解して塗布溶液を作製した。この塗布溶液を、バーコーター(番手6、12、20)により石英基材上に塗布し、3種類の膜圧の異なる試料を作製した。これを乾燥させ、マイクロ波照射用原料とした。
塗布した石英基材3枚をアルミナ発泡断熱材の上におき、断熱材ごと乾燥機に入れて200℃まで加熱した。200℃で1時間放置後、これをマイクロ波炉の中央に置き、大気下でマイクロ波を5分間の照射後に、100℃まで冷却し、試料を取り出した。
得られた膜は透明性が高く、表面抵抗が89000Ω/cm2(バーコーター6番手)、42000Ω/cm2(バーコーター6番手)、15000Ω/cm2(バーコーター6番手)と小さな値であった。また図2に示すように、赤外線吸収能もあることがわかった。なお、図2における数字はバーコーターの番手を示している。
本発明では、簡便、担持間、かつ少ないエネルギー量で非導電性酸化物から導電性酸化物を製造することができる。こうして製造された導電性酸化物は、透明導電性薄膜、酸化物電極、赤外線・紫外線遮断材料、導電性塗料等の機能性塗料、帯電防止などのプラスチック添加材等として有用である。
実施例で使用された高周波加熱炉を示す図 実施例11における透過率と波長との関係を示す図
符号の説明
1 試料粉
2 回転羽
3 放射温度センサー
4 断熱材
5 不活性ガス入口
6 排気口

Claims (12)

  1. 加熱により導電性酸化物となる、一又は複数種類の固体状の非導電性酸化物に、マイクロ波を照射して導電性酸化物を作製することを特徴とする導電性酸化物の製造方法。
  2. 加熱により導電性酸化物となる、一又は複数種類の非導電性酸化物を用いて膜を形成し、前記膜にマイクロ波を照射して導電性酸化物膜を作製することを特徴とする導電性酸化物膜の製造方法。
  3. 前記非導電性酸化物として、酸化インジウム粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子と亜鉛化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とマグネシウム化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とニッケル化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化亜鉛粒子と13族元素化合物粒子との混合物、または酸化錫粒子と5価となり得る元素の化合物粒子との混合物、を用いる請求項1に記載の導電性酸化物の製造方法。
  4. 前記非導電性酸化物として、酸化インジウム粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子と亜鉛化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とマグネシウム化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化インジウム粒子とニッケル化合物粒子と錫化合物粒子との混合物、酸化亜鉛粒子と13族元素化合物粒子との混合物、または酸化錫粒子と5価となり得る元素の化合物粒子との混合物、を用いる請求項2に記載の導電性酸化物膜の製造方法。
  5. 前記マイクロ波の照射は、不活性ガスまたは還元性雰囲気下で行う請求項1又は3に記載の導電性酸化物の製造方法。
  6. 前記マイクロ波の照射は、不活性ガスまたは還元性雰囲気下で行う請求項2又は4に記載の導電性酸化物の製造方法。
  7. 請求項1、3又は5に記載の導電性酸化物の製造方法により作製されてなる導電性酸化物。
  8. 請求項2、4又は6に記載の導電性酸化物膜の製造方法により作製されてなる導電性酸化物膜。
  9. 10MPaの加圧下での電気伝導度が0.001S/cm以上である請求項7に記載の導電性酸化物。
  10. 粒子状であり、かつ粒径が1μm以下である請求項7又は9に記載の導電性酸化物。
  11. 請求項7、9又は10に記載の導電性酸化物が粒子状であり、かつ前記導電性酸化物を分散させてなる分散液。
  12. 請求項11に記載の分散液を用いて形成された導電性酸化物膜。
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