JP2009199018A - 光導波路素子 - Google Patents

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慎介 菅野
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Abstract

【課題】
光導波路上に形成された膜体による戻り光を抑制可能な光導波路素子を提供すること。
【解決手段】
電気光学効果を有する材料で構成された基板と、該基板上に形成された光導波路2と、該光導波路上に形成され、該光導波路と接するように配置された膜体3とを有する光導波路素子において、該光導波路上に位置する該膜体3の光導波路を跨ぐ端面の内、少なくとも一つは、該端面の基板側の端面ライン31と該光導波路2を伝搬する光波の進行方向cとのなす角度θが、90°以外となるように設定されていることを特徴とする。
好ましくは、該角度θが90°から±5°以上傾いていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、光導波路素子に関し、特に、基板上に形成された光導波路と接するように配置された膜体を有する光導波路素子に関する。
光通信や光計測の分野において、ニオブ酸リチウムなどの電気光学効果を有する基板を利用した光導波路素子が利用されている。
しかも、これらの光導波路素子は、高機能化を図るため基板上に形成された光導波路上に種々の膜体が形成されている。
例えば、特許文献1においては、光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極をAC電極とDC電極とに分離し、AC電極と基板との間にはスパッタリングで形成したバッファ層を、DC電極と基板との間には蒸着で形成したバッファ層を各々設けることが開示されている。このような構成により、AC電極に係るマイクロ波損失を抑制しながら、DC電極に係るDCドリフトも抑制可能な光導波路素子が提供される。
特開2002−196297号公報
また、特許文献2においては、光導波路を伝搬する光波の偏波面を調整するため、光導波路上に接する金属装荷型偏光子を配置することが開示されている。
特開2000−266951号公報
さらに、特許文献3においては、光導波路の上部に光検出手段を配置し、該光検出手段に光導波路を伝搬する光波の一部を導出するため、光導波路上に高屈折率膜を配置することが開示されている。
特願2006−268493号(出願日:2006年9月29日)
これらのように、種々の膜体を光導波路上に配置する場合に、光導波路と接する膜体の端面において伝搬する光波の一部(例えば、エバネッセント波)が反射され、該光導波路を逆行する、所謂、戻り光が発生し易い。このような戻り光は、光導波路を伝搬する光波と干渉し光導波路素子の動作の不安定化や、信号ノイズの原因となる。また、光源の半導体レーザに再入射すると、レーザ発振動作が不安定化するという問題も生ずる。
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、光導波路上に形成された膜体による戻り光を抑制可能な光導波路素子を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電気光学効果を有する材料で構成された基板と、該基板上に形成された光導波路と、該光導波路上に形成され、該光導波路と接するように配置された膜体とを有する光導波路素子において、該光導波路上に位置する該膜体の光導波路を跨ぐ端面の内、少なくとも一つは、該端面の基板側の端面ラインと該光導波路を伝搬する光波の進行方向とのなす角度が、90°以外となるように設定されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光導波路素子において、該角度は、90°から±5°以上傾斜していることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の光導波路素子において、前記角度が設定された端面は、該光導波路に対して入射側の端面であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路素子において、該光導波路は、一つの光導波路が分岐する分岐部や複数の導波路が結合する結合部を有し、前記角度が設定された端面は、該分岐部の入射側又は該結合部の出射側の光導波路上に配置される端面であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該膜体は、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極と該基板との間に設けられたバッファ層であることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該膜体は、該光導波路上に設けられた金属装荷型偏光子であることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該膜体は、該光導波路上に設けられ、該基板より高屈折率な膜体であることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、電気光学効果を有する材料で構成された基板と、該基板上に形成された光導波路と、該光導波路上に形成され、該光導波路と接するように配置された膜体とを有する光導波路素子において、該光導波路上に位置する該膜体の光導波路を跨ぐ端面の内、少なくとも一つは、該端面の基板側の端面ラインと該光導波路を伝搬する光波の進行方向とのなす角度が、90°以外となるように設定されているため、膜体の端面ラインで反射され該光導波路に逆行する戻り光を抑制でき、信号ノイズ等の発生を防止した光導波路素子を提供することができる。
請求項2に係る発明により、端面ラインと光波の進行方向とのなす角度が、90°から±5°以上傾斜しているため、ほぼ完全に戻り光の発生を抑制することが可能となる。
請求項3に係る発明により、前記角度が設定された端面は、光導波路に対して入射側の端面であるため、戻り光などの反射が発生し易い入射側の端面での戻り光の発生を効果的に抑制することが可能となる。
請求項4に係る発明により、光導波路は、一つの光導波路が分岐する分岐部や複数の導波路が結合する結合部を有し、前記角度が設定された端面は、該分岐部の入射側又は該結合部の出射側の光導波路上に配置される端面であるため、分岐した光導波路を伝搬する光波より多くの光波が集中する部分で、光波の反射を抑制することが可能となり、より戻り光の発生量を少なくすることができる。
請求項5に係る発明により、膜体は、光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極と該基板との間に設けられたバッファ層であるため、バッファ層による戻り光の発生を効果的に抑制することが可能となる。
請求項6に係る発明により、膜体は、光導波路上に設けられた金属装荷型偏光子であるため、金属装荷型偏光子による戻り光の発生を効果的に抑制することが可能となる。
請求項7に係る発明により、膜体は、光導波路上に設けられ、基板より高屈折率な膜体であるため、光導波路上に高屈折率な膜体を形成した場合でも、該膜体による戻り光の発生を効果的に抑制することが可能となる。
以下、本発明を好適例を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の光導波路素子の第1の実施例を示す図である。
本発明の光導波路素子は、電気光学効果を有する材料で構成された基板1と、該基板上に形成された光導波路2と、該光導波路上に形成され、該光導波路と接するように配置された膜体3とを有する光導波路素子において、該光導波路上に位置する該膜体の光導波路を跨ぐ端面の内、少なくとも一つは、該端面の基板側の端面ライン31と該光導波路を伝搬する光波の進行方向cとのなす角度が、90°以外となるように設定されていることを特徴とする。
尚、該角度が90°以外とは、導波路を跨ぐ端面ラインがR形状の場合も含むものである。
図1の膜体3は光導波路上に形成されているが、光導波路と膜体との配置関係を明確にするため、光導波路2を実線で表示している。また、矢印aは、光導波路素子に入射する光波を、矢印bは光導波路素子から出射する光波を示している。
図2は、図1の矢印Aで示した部分の拡大図を示しており、矢印cは光導波路2を伝搬する光波の進行方向を示す。角度θは、光波の進行方向と端面ラインとのなす角度を示している。
本発明の光導波路素子では、端面ラインと光波の進行方向とのなす角度が、90°から±5°以上(例えばθが85°以下又は95°以上)であることが好ましい。このように傾きθが90°から±5°以上である場合には、膜体の端面ライン31で反射した光波は、光導波路2を逆方向に伝搬せず、大半が光導波路2外に導出されるため、ほぼ完全に戻り光の発生が抑制され、信号ノイズ等の発生を防止した光導波路素子を提供することができる。
電気光学効果を有する基板1としては、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、及び石英系の材料及びこれらの組み合わせが利用可能である。特に、電気光学効果の高いニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム(LT)結晶が好適に利用される。
光導波路の形成方法としては、Tiなどを熱拡散法やプロトン交換法などで基板表面に拡散させることにより形成することができる。また、特許文献4のように基板1の表面に光導波路の形状に合わせてリッジを形成し、光導波路を構成することも可能である。
特開平6−289341号公報
光導波路上に形成する膜体としては、バッファ層、金属装荷型偏光子、高屈折率膜、電極など種々の膜体が利用可能である。特に、光導波路上に直接形成することが可能な膜体であり、該膜体の存在により光導波路を伝搬する光波が反射される可能性がある膜体であるなら、いずれの膜体に対しても本発明を適用することが可能である。
図3は本発明の光導波路素子の第2の実施例を示す図である。
光導波路2に接触するように膜体4を形成している。膜体は、Alなどの金属膜を利用する場合には金属装荷型偏光子の機能を有する。また、膜体として、基板より高屈折率な膜体を用いる場合には、光導波路2を伝搬する光波の一部を図3の図示した平面に対して垂直方向に導出し、図3の光導波路2から該垂直方向に離れて配置された光検出手段で、該導出光を検知することが可能なように設定できる。
図3においては、光導波路を伝搬する光波の進行方向cと入射側の端面ライン41とのなす角度θが90°から±5°以上だけ傾いているが、出射側の端面ライン42についても同様に90°から所定角度傾けることも可能である。これは、戻り光を生じる反射は入射側の端面で発生するだけでなく、出射側の端面でも同様に発生する可能性があるためである。
図4は、本発明の光導波路素子の第3の実施例を示す図である。
図4は、特許文献1に示したように、光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極をAC電極とDC電極とに分離し、AC電極(不図示)と基板1との間にはSiOなどのバッファ層をスパッタリングで形成したバッファ層6を、DC電極(不図示)と基板との間には蒸着で形成したバッファ層7を各々設けたものである。本発明は、バッファ層に限らず、例えば図4のように、基板上の異なる領域に異なる種類の膜体を形成する場合には、好適に適用可能である。
図5は、図4の矢印Dが示す部分の拡大図であり、特に、光導波路2上に位置する2つのバッファ層6,7の境界面61の形状を示すものである。
図5に示すように境界面61の形状は、光波の進行方向cに対し90°から所定の角度傾くように配置されている。なお、境界面61は、バッファ層6にとっては出射側の端面ラインと一致し、バッファ層7にとっては入射側の端面ラインとなる。
なお、本発明における端面ラインとは、図6に示すように、基板1に形成された光導波路2上に位置する膜体8において、該膜体の光導波路2を跨ぐ端面であり、該端面の基板1側のラインLを「端面ライン」と呼んでいる。
また、本発明においては、光導波路が分岐する光導波路や結合する光導波路を有する場合には、上述のような角度が設定された端面ラインは、分岐前の光導波路(分岐部の入射側の光導波路)又は結合後の光導波路(結合部の出射側の光導波路)上に配置することが好ましい。これは、分岐した光導波路を伝搬する光波より、より多くの光波が集中する部分で、光波の反射を抑制する方が、戻り光の発生量をより少なくすることができるためである。
本発明によれば、光導波路上に形成された膜体による戻り光を抑制可能な光導波路素子を提供することが可能となる。
本発明の光導波路素子の第1の実施例を示す概略図である。 図1の実施例の一部の拡大図である。 本発明の光導波路素子の第2の実施例を示す概略図である。 本発明の光導波路素子の第3の実施例を示す概略図である。 図4の実施例の一部の拡大図である。 本発明の「端面ライン」を説明する図である。
符号の説明
1 基板
2 光導波路
3,4,6,7,8 膜体
31,41,42,61,L 端面ライン

Claims (7)

  1. 電気光学効果を有する材料で構成された基板と、
    該基板上に形成された光導波路と、
    該光導波路上に形成され、該光導波路と接するように配置された膜体とを有する光導波路素子において、
    該光導波路上に位置する該膜体の光導波路を跨ぐ端面の内、少なくとも一つは、該端面の基板側の端面ラインと該光導波路を伝搬する光波の進行方向とのなす角度が、90°以外となるように設定されていることを特徴とする光導波路素子。
  2. 請求項1に記載の光導波路素子において、該角度は、90°から±5°以上傾斜していることを特徴とする光導波路素子。
  3. 請求項1又は2に記載の光導波路素子において、前記角度が設定された端面は、該光導波路に対して入射側の端面であることを特徴とする光導波路素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路素子において、該光導波路は、一つの光導波路が分岐する分岐部や複数の導波路が結合する結合部を有し、前記角度が設定された端面は、該分岐部の入射側又は該結合部の出射側の光導波路上に配置される端面であることを特徴とする光導波路素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該膜体は、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極と該基板との間に設けられたバッファ層であることを特徴とする光導波路素子。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該膜体は、該光導波路上に設けられた金属装荷型偏光子であることを特徴とする光導波路素子。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該膜体は、該光導波路上に設けられ、該基板より高屈折率な膜体であることを特徴とする光導波路素子。
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