JP2009198482A - センサ薄膜、その製造方法、および変形センサ - Google Patents

センサ薄膜、その製造方法、および変形センサ Download PDF

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一之助 前田
Ayumi Kida
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Abstract

【課題】 塗料化したセンサ形成材料から、部材、部位の変形や荷重を検出可能なセンサ薄膜を製造する方法を提供する。また、得られたセンサ薄膜を用いて変形センサを提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に球状の導電性フィラーが分散されてなるセンサ塗料を、基材20表面に塗布、乾燥して、センサ薄膜21を製造する。製造されたセンサ薄膜21は、該熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に略単粒子状態でかつ高充填率で配合されている該導電性フィラーと、を有し、弾性変形可能であって、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加する。変形センサ2は、基材20と、基材20表面に配置されたセンサ薄膜21と、センサ薄膜21に接続され、電気抵抗を出力可能な電極22a、22bと、を備えてなる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、部材の変形等を検出可能なセンサに用いられるセンサ薄膜、その製造方法、および変形センサに関する。
例えば、部材の変形や部材に作用する荷重の大きさ、分布を検出する手段として、感圧導電性樹脂や感圧導電性エラストマーを用いたセンサが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。感圧導電性樹脂等は、母材となる樹脂やエラストマー中に導電性フィラーを分散させて構成されている。感圧導電性樹脂等は、変形すると電気抵抗が減少するという特性を有する。つまり、変形前は、導電性フィラー同士が離れているため電気抵抗が大きい。圧縮等により変形すると、導電性フィラー同士が接触して一次元的な導電パスが形成されるため、電気抵抗が減少する。
特開平9−5014号公報 特開平4−56008号公報 特開平4−349301号公報
上記特許文献に記載されているように、従来のセンサでは、変形時に導電性フィラーが接触して導通し電気抵抗が減少することを利用して、変形を検出している。したがって、圧縮等により、導電性フィラーがある程度の接触状態になると、電気抵抗の変化が小さくなる。このため、測定レンジが狭い。また、導電性フィラーの配合割合等によって、感度が大きく異なる。
これに対して、本発明者は、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加するという、極めて特異なセンサ材料を開発した。開発したセンサ材料は、母材のエラストマー中に導電性フィラーが所定の状態で充填されてなる。このセンサ材料では、荷重が印加されていない状態(以下、適宜「無荷重状態」と称す)、言い換えると、変形していない自然状態で、導電性フィラー同士の接触により、三次元的な導電パスが形成されている。このため、無荷重状態において高い導電性を有する。一方、センサ材料が弾性変形すると、導電性フィラー同士の接触状態が変化する。このため、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加する。
上記センサ材料は、母材にエラストマーを使用するため、通常、原料の混練→成形→架橋という三工程を経て製造される。このため、各々の工程を行うための装置や加熱のためのエネルギーが必要になる。この点、架橋する必要がない熱可塑性樹脂を母材とした場合でも、加熱溶融して成形する工程が必要であるため、そのための装置やエネルギーが必要である。加えて、複雑な形状に成形する場合には、特殊な金型や成形方法を採用する必要があるため、製造コストや労力が大きくなる。また、金型を用いた成形によると、センサ材料を薄膜化することは難しい。また、成形したセンサ材料からセンサを作製する場合には、センサ材料に電極、導線等の部品を取り付ける必要がある。各々の部品を集積化するのは煩雑であり、例えば、部品の接合に接着剤を使用すると、接合界面における信頼性が問題となる場合がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、塗料化したセンサ形成材料から、部材、部位の変形や荷重を検出可能なセンサ薄膜を製造する方法を提供することを課題とする。また、得られたセンサ薄膜を用いた変形センサを提供することを課題とする。
(1)本発明のセンサ薄膜は、熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に球状の導電性フィラーが分散されてなるセンサ塗料を、基材表面に塗布、乾燥して得られ、該熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に略単粒子状態でかつ高充填率で配合されている該導電性フィラーと、を有し、弾性変形可能であって、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加することを特徴とする(請求項1に対応)。
本発明のセンサ薄膜は、センサ塗料(液状のセンサ形成材料)を基材表面に塗布、乾燥して製造される。このため、用途に応じて様々な形状、大きさのセンサ薄膜を容易に得ることができる。また、金型による成形と比較して薄膜化が容易である。よって、その分、材料費、加工費等を低減することができ、より安価で小型のセンサを実現することができる。また、センサ塗料は、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を母液とする。したがって、センサ塗料の塗布後は、溶剤を揮発させるために乾燥させればよく、加熱して化学反応(硬化)させる必要はない。これより、硬化のための装置やエネルギーを削減することができる。
また、本発明のセンサ薄膜によると、センサとして必要な部品の集積化が容易になる。例えば、基材表面に予め電極、導線等を印刷しておき、その上にセンサ塗料を塗布することにより、センサ素子を容易に製造することができる。また、センサ素子を薄膜化することで、複数のセンサ素子を積層することも可能である。
本発明のセンサ薄膜において、導電性フィラーは、熱可塑性樹脂中に略単粒子状態で、かつ高充填率で配合されている。「略単粒子状態」とは、導電性フィラーの全重量を100重量%とした場合の50重量%以上が、凝集した二次粒子としてではなく、単独の一次粒子の状態で存在していることをいう。また、「高充填率」とは、導電性フィラーが最密充填に近い状態で配合されていることをいう。
本発明のセンサ薄膜では、上述したセンサ材料と同様に、導電性フィラー同士の接触により、三次元的な導電パスが形成される。したがって、本発明のセンサ薄膜は、無荷重状態で高い導電性を有すると共に、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加する。なお、「弾性変形」には、圧縮、伸張、曲げ等による変形がすべて含まれる。このメカニズムは、次のように考えられる。図1、図2に、本発明のセンサ薄膜の、荷重の印加前後における導電パスの変化をモデルで示す。ただし、図1、図2に示すのは、センサ薄膜の一例であり、導電性フィラーの充填状態、形状等を何ら限定するものではない。
図1に示すように、センサ薄膜100において、導電性フィラー102の多くは、熱可塑性樹脂101中に一次粒子の状態(略単独の状態)で存在している。また、導電性フィラー102の充填率は高く、最密充填に近い状態で配合されている。これにより、無荷重状態において、センサ薄膜100には、導電性フィラー102による三次元的な導電パスPが形成されている。よって、無荷重状態では、センサ薄膜100の電気抵抗は小さい。一方、図2に示すように、センサ薄膜100に荷重が印加されると、センサ薄膜100は弾性変形する(図2中の点線枠は、図1の無荷重状態を示している。)。ここで、導電性フィラー102は最密充填に近い状態で配合されているため、導電性フィラー102が移動できるスペースはほとんどない。よって、センサ薄膜100が弾性変形すると、導電性フィラー102同士が反発し合い、導電性フィラー102同士の接触状態が変化する。その結果、三次元的な導電パスPが崩壊し、電気抵抗が増加する。
したがって、本発明のセンサ薄膜を用いたセンサによると、電気抵抗の増加に基づいて、対象となる部材、部位に作用する荷重、および部材、部位の様々な変形を検出することができる。
(2)本発明のセンサ薄膜の製造方法は、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に略単粒子状態でかつ高充填率で配合されている球状の導電性フィラーと、を有し、弾性変形可能であって、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加するセンサ薄膜の製造方法であって、該熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に、該導電性フィラーを混合してセンサ塗料を調製するセンサ塗料調製工程と、該センサ塗料を基材表面に塗布、乾燥する塗布工程と、を有することを特徴とする(請求項7に対応)。
本発明の製造方法によれば、上述した本発明のセンサ薄膜を簡便かつ低コストに製造することができる。センサ塗料を基材表面に塗布、乾燥することにより、センサ薄膜の膜厚をより均一化することができる。また、塗布方法により、センサ薄膜の膜厚を極めて薄くすることも可能である。
(3)本発明の変形センサは、基材と、該基材表面に配置された上記(1)の本発明のセンサ薄膜と、該センサ薄膜に接続され、電気抵抗を出力可能な電極と、を備えてなることを特徴とする(請求項9に対応)。
本発明のセンサ薄膜を備えた本発明の変形センサは、電極から出力されるセンサ薄膜の電気抵抗の増加に基づいて、対象となる部材、部位に作用する荷重、および部材、部位の様々な変形を検出することができる。また、様々な形状、大きさのセンサ薄膜を用いることにより、部材、部位の広い領域における荷重、変形を検出することができる。また、センサ薄膜の膜厚を薄くすることにより、変形センサの小型化、積層化が可能になる。
本発明の変形センサでは、センサ薄膜に使用する熱可塑性樹脂の種類、導電性フィラーの構成、充填率等を調整することにより、無荷重状態における電気抵抗値を所定の範囲に設定することができる。このため、検出可能な荷重、弾性変形量の範囲、つまり、検出レンジを大きくすることができる。加えて、弾性変形量に対する電気抵抗の増加挙動を調整することができるため、所望の応答感度を実現することができる。
また、本発明の変形センサは、無荷重状態において高い導電性を有する。つまり、本発明の変形センサは、無荷重状態において導電状態にある。このため、無荷重状態において、導電性の低いセンサ(例えば、従来の感圧導電性樹脂等を用いたセンサ)と比較して、作動診断が容易である。すなわち、無荷重状態において導電性の低いセンサの場合、無荷重状態のままでは、正常なのか異常なのか(例えば回路に断線等が生じているのか)判別し難い。このため、導電性が低いセンサに、敢えて、比較的高い電圧を印加して、通電させてみる必要がある。あるいは、センサを試験的に作動させて通電状態をチェックする必要がある。したがって、作動診断が煩雑である。これに対して、本発明の変形センサの場合、無荷重状態において高い導電性を有している。このため、無荷重状態のままで、正常、異常の判別がし易い。したがって、作動診断が容易である。
以下、本発明のセンサ薄膜、その製造方法、および変形センサについて、それぞれ詳細に説明する。
<センサ薄膜>
本発明のセンサ薄膜は、熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に球状の導電性フィラーが分散されてなるセンサ塗料を、基材表面に塗布、乾燥して得られる。したがって、本発明のセンサ薄膜の母材となる熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶な可溶性樹脂から選択される。ここで、可溶性樹脂は、50℃以下の温度で5重量%以上の濃度で溶剤に溶解可能な樹脂をいう。なかでも、特別に加熱、冷却を行わず、常温(20〜30℃)付近で5重量%以上の濃度で溶解するものが望ましい。また、できるだけ高濃度で溶解するものが望ましい。
溶剤に可溶であれば、使用する熱可塑性樹脂の分子量は大きい方がよい。分子量が小さいと、分子鎖の末端が多くなる。分子鎖の末端は振動しやすいため、温度の上昇により体積膨張しやすくなる。母材が体積膨張すると、導電性フィラー同士の間隔が大きくなる。このため、無荷重状態において導電性フィラーの三次元的な導電パスが形成されにくくなる。よって、高温下において、無荷重状態におけるセンサ薄膜の導電性が低下してしまう。また、三次元的な導電パスが減少することにより、変形に対して所望の電気抵抗の増加挙動を得にくくなる。例えば、重量平均分子量が1000〜数万のものを用いるとよい。
また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用する温度範囲の上限値よりも高いことが望ましい。熱可塑性樹脂は、Tgを超える温度下では分子運動が活性化するため、弾性率が低下して体積膨張しやすい。つまり、Tgを境にして、変形に対する電気抵抗の増加挙動が変化する。したがって、温度に対する電気抵抗変化を小さくするという観点から、使用環境に応じて、好適なTgを有する熱可塑性樹脂を選択するとよい。
溶剤は熱可塑性樹脂との組み合わせにより、適宜選択すればよい。なかでも、比較的沸点が低く揮発しやすいものが望ましい。例えば、沸点が250℃以下のものを用いるとよい。
樹脂溶液を構成する熱可塑性樹脂および溶剤としては、例えば次の(a)〜(d)の組み合わせが挙げられる。
(a)熱可塑性樹脂:N−メトキシメチル化ナイロン等のポリアミド。例えば、ナガセケムテックス社製「トレジン(登録商標)」、鉛市社製「ファインレジン」等。
溶剤:メタノール、エタノール等のアルコール。
(b)熱可塑性樹脂:非晶質フッ素樹脂。例えば、東亞合成社製「ザフロン(登録商標)」、旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)」等。
溶剤:石油系混合溶剤、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、酢酸ブチル等。
(c)熱可塑性樹脂:非晶質ポリエステル樹脂。例えば、東洋紡社製「バイロン(登録商標)」等。
溶剤:メチルエチルケトン、トルエン等。
(d)熱可塑性樹脂:フェノキシ樹脂。例えば、東都化成社製「フェノトート」、In Chem Corp.製「PKHB」、「PKHC」、「PKHH」、「PKHJ」等。
溶剤:ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤。
なお、センサ塗料の調製および塗布、乾燥については、以下の本発明のセンサ薄膜の製造方法において説明する。
導電性フィラーは、導電性を有する球状の粒子であれば、特に限定されるものではない。例えば、炭素材料、金属等の微粒子が挙げられる。これらのうち、一種を単独で、あるいは二種以上を併せて用いることができる。また、「球状」には、真球、略真球状は勿論、楕円球状、長円球状(一対の対向する半球を円柱で連結した形状)、部分球状、部分毎に半径の異なる球状、水滴形状等が含まれる。例えば、導電性フィラーのアスペクト比(短辺に対する長辺の比)は、1以上2以下の範囲が望ましい。アスペクト比が2より大きくなると、導電性フィラー同士の接触により一次元的な導電パスが形成され易いからである。特に、熱可塑性樹脂中における導電性フィラーの充填状態をより最密充填状態に近づけるという観点から、導電性フィラーとして、真球あるいは極めて真球に近い形状(略真球状)の粒子を採用するとよい。
また、導電性フィラーの充填率は、センサ薄膜の全体の体積を100vol%とした場合の30vol%以上であることが望ましい。30vol%未満の場合には、導電性フィラーが最密充填に近い状態で配合されにくく、所望の導電性が発現しない。また、センサ薄膜の弾性変形に対する電気抵抗の変化が緩慢になり、電気抵抗の増加挙動を制御することが難しくなる。35vol%以上であるとより好適である。反対に、導電性フィラーの充填率は、センサ薄膜の全体の体積を100vol%とした場合の65vol%以下であることが望ましい。65vol%を超えると、樹脂溶液への混合が困難となり、塗膜を形成しにくくなる。また、センサ薄膜が弾性変形しにくくなる。55vol%以下であるとより好適である。
熱可塑性樹脂において、導電性フィラーは、できるだけ凝集せず一次粒子の状態で存在することが望ましい。よって、導電性フィラーを選択する際には、平均粒子径や熱可塑性樹脂との相溶性等を考慮するとよい。例えば、一次粒子の状態で存在する導電性フィラーの平均粒子径は、0.05μm以上100μm以下であることが望ましい。0.05μm未満の場合には、凝集して二次粒子を形成し易い。0.5μm以上、さらには1μm以上であると好適である。反対に、平均粒子径が100μmを超えると、弾性変形による導電性フィラーの並進運動(平行運動)が、粒子径に比べて相対的に小さくなり、弾性変形に対する電気抵抗の変化が緩慢となる。また、センサ薄膜の膜厚を薄くしにくくなる。60μm以下、さらには30μm以下であると好適である。なお、平均粒子径としては、導電性フィラーの累積粒度曲線において積算重量が50%となる粒子径(D50)を採用する。
また、導電性フィラーの粒度分布は狭い方が望ましい。例えば、D90/D10の値が1以上30以下であることが望ましい。D90/D10の値が10以下であるとより好適である。ここで、D90は、累積粒度曲線において積算重量が90%となる粒子径であり、D10は、同積算重量が10%となる粒子径である。D90/D10の値が30を超えると、粒度分布がブロードになるため、弾性変形量に対する電気抵抗の増加挙動が不安定になりやすい。
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンビーズが好適である。具体的には、大阪ガスケミカル社製のメソカーボンマイクロビーズ[MCMB6−28(平均粒子径約6μm)、MCMB10−28(平均粒子径約10μm)、MCMB25−28(平均粒子径約25μm)]、日本カーボン社製のカーボンマイクロビーズ:ニカビーズ(登録商標)ICB、ニカビーズPC、ニカビーズMC、ニカビーズMSB[ICB0320(平均粒子径約3μm)、ICB0520(平均粒子径約5μm)、ICB1020(平均粒子径約10μm)、PC0720(平均粒子径約7μm)、MC0520(平均粒子径約5μm)]、日清紡社製のカーボンビーズ(平均粒子径約10μm)等が挙げられる。
本発明のセンサ薄膜の膜厚は、センサの用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、センサの小型化、薄型化、積層化等の観点から、膜厚を10μm以上500μm以下とすることが望ましい。
<センサ薄膜の製造方法>
本発明のセンサ薄膜の製造方法は、センサ塗料調製工程と塗布工程とを有する。以下、各工程を順に説明する。
(1)センサ塗料調製工程
本工程は、熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に、導電性フィラーを混合してセンサ塗料を調製する工程である。熱可塑性樹脂、溶剤、導電性フィラーについては、上述した通りである。樹脂溶液における熱可塑性樹脂の濃度は、塗膜形成の容易さ、導電性フィラーの配合量等を考慮して適宜調整すればよい。例えば、熱可塑性樹脂の濃度を10〜50重量%程度とするとよい。また、導電性フィラーの配合量は、所望の充填率になるように、適宜調整すればよい。樹脂溶液には、導電性フィラーの他、各種添加剤を混合してもよい。添加剤としては、例えば、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。樹脂溶液に導電性フィラー、必要に応じて添加剤を投入し、攪拌、混合してセンサ塗料を調製する。
(2)塗布工程
本工程は、調製したセンサ塗料を基材表面に塗布、乾燥する工程である。基材の材質は、センサ塗料の塗膜が形成できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、絶縁性が高いポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム等を用いることができる。
センサ塗料の塗布方法は、既に公知の種々の方法を採用することができる。例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、リソグラフィー等の印刷法の他、ディップ法、スプレー法、バーコート法等が挙げられる。例えば、印刷法を採用すると、塗布する部分と塗布しない部分との塗り分けを、容易に行うことができる。また、大きな面積、細線、複雑な形状の印刷も容易である。さらに、センサ薄膜、電極、導線を同様の方法で形成することができるため、センサ部品を集積化しやすい。印刷法の中でも、高粘度の塗料も使用可能であり、塗膜厚さの調整が容易であるという理由から、スクリーン印刷法が好適である。
センサ塗料を塗布した後、常温あるいは加熱により乾燥させて溶剤を除去すればよい。このようにして、上記本発明のセンサ薄膜、すなわち、所定の熱可塑性樹脂中に球状の導電性フィラーが略単粒子状態でかつ高充填率で配合されており、弾性変形可能であって、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加するセンサ薄膜を製造することができる。
<変形センサ>
上記本発明のセンサ薄膜を用いて、変形センサを構成することができる。以下、本発明のセンサ薄膜を用いた変形センサ、すなわち本発明の変形センサの実施形態について説明する。
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の変形センサの構成について説明する。図3に、変形センサの正面図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。説明の便宜上、図3では、カバーフィルムの右半分を除去して示す。また、図4では、導線を省略して示す。図3、図4に示すように、変形センサ2は、基材20と、センサ薄膜21と、電極22a、22bと、絶縁フィルム23と、カバーフィルム24と、を備えている。
基材20は、PET製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。基材20の右端には、コネクタ25が取り付けられている。絶縁フィルム23はアクリル樹脂製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。絶縁フィルム23は、基材20の表面を覆っている。絶縁フィルム23の幅方向(上下方向)中央には、左右方向に延びてセンサ薄膜21に対応する長孔230が開設されている。
センサ薄膜21は、左右方向に延びる帯状を呈している。センサ薄膜21の膜厚は約70μmである。センサ薄膜21は、絶縁フィルム23の長孔230に収容された状態で、基材20の表面に固定されている。センサ薄膜21は、N−メトキシメチル化ナイロンにカーボンビーズ(導電性フィラー)が略単粒子状態でかつ高充填率で配合されてなる。カーボンビーズの充填率は、センサ薄膜21の体積を100vol%とした場合の約49vol%である。
電極22aはセンサ薄膜21の左端に、電極22bはセンサ薄膜21の右端に、各々取り付けられている。詳しく説明すると、電極22a、22bは、共に、上下に延びる短冊状を呈しており、センサ薄膜21と基材20との間、および絶縁フィルム23と基材20との間に、介装されている。電極22aとコネクタ25とは導線26aにより、電極22bとコネクタ25とは導線26bにより、各々、結線されている。
カバーフィルム24は、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム24は、絶縁フィルム23およびセンサ薄膜21の表面を覆っている。
次に、変形センサ2の動きについて説明する。図3中紙面奥側(前方)から変形センサ2の左右方向中央付近に荷重が加わると、基材20を介してセンサ薄膜21は後方に撓む。つまり、センサ薄膜21は前方に開口するC字状に湾曲変形する。無荷重状態においては、前出図1に示すように、導電性フィラー102は、最密充填に近い状態で充填されている。このため、多数の導電パスPが形成されている。したがって、検出される電極22a、22b間の電気抵抗値は、比較的小さい。これに対して、荷重が加わった後においては、前出図2に示すように、導電性フィラー102同士が反発し合う。このため、導電パスPが崩壊してしまう。したがって、検出される電極22a、22b間の電気抵抗値は、無荷重状態に対して、大きくなる。
次に、本実施形態の変形センサ2の作用効果について説明する。本実施形態の変形センサ2では、センサ薄膜21が弾性変形すると、電気抵抗が増加する。このため、電極22a、22bから出力されるセンサ薄膜21の電気抵抗の増加に基づいて、対象部材、部位に作用する荷重や、対象部材、部位の圧縮、曲げ等の様々な変形を検出することができる。
また、センサ薄膜21は、N−メトキシメチル化ナイロンを溶剤に溶解した樹脂溶液にカーボンビーズを分散させたセンサ塗料を、基材20表面に塗布、乾燥して製造されている。このため、変形センサ2の製造工程が簡素化され、製造コストを低減することができる。また、変形センサ2は弾性変形可能であるため、曲面形状を持つ部材にも配置可能である。また、センサ薄膜21の膜厚は薄いため、変形センサ2を積層化することもできる。
また、センサ薄膜21の母材(熱可塑性樹脂)の種類、導電性フィラーの構成、充填率等を調整することにより、無荷重状態における電気抵抗値を所定の範囲に設定することができる。このため、検出可能な荷重、弾性変形量の範囲、つまり、検出レンジを大きくすることができる。加えて、弾性変形量に対する電気抵抗の増加挙動を調整することができるため、所望の応答感度を実現することができる。
また、本実施形態の変形センサ2は、変形していない自然状態で、導電状態にある。よって、変形センサ2が組み込まれている回路に電流を流すことにより、変形センサ2が作動可能か否かの自己診断を容易に行うことができる。
(2)第二実施形態
本実施形態の変形センサと第一実施形態の変形センサとの相違点は、センサ薄膜、電極、導線、コネクタ、絶縁フィルム、カバーフィルムを、全て印刷法により形成した点である。したがって、ここでは主として相違点について説明する。
図5に、本実施形態の変形センサの正面図を示す。図6に、図5のVI−VI断面図を示す。図3、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図5では、説明の便宜上、カバーフィルムの右半分を除去して示す。図5、図6に示すように、変形センサ2は、基材20と、センサ薄膜21と、電極27a、27bと、絶縁フィルム28と、カバーフィルム24と、導線29a、29bと、コネクタ25と、を備えている。
電極27aはセンサ薄膜21の左端に、電極27bはセンサ薄膜21の右端に、各々配置されている。詳しく説明すると、電極27a、27bは、共に、長方形状を呈しており、センサ薄膜21と基材20との間に介装されている(図5中、点線で示す)。また、センサ薄膜21、電極27a、27b、絶縁フィルム28、カバーフィルム24、導線29a、29b、コネクタ25は、いずれもスクリーン印刷法により形成されている。以下、変形センサ2の製造方法を説明する。
まず、基材20の表面に、電極27a、27b、導線29a、29b、コネクタ25用の導線性塗料をスクリーン印刷して、硬化させる。続いて、印刷された電極27a、27b、導線29a、29b、コネクタ25以外の部分に、絶縁フィルム28用の塗料を印刷し、硬化させる。次に、センサ薄膜21用のセンサ塗料を印刷し、乾燥させる。最後に、表出している導線29a、29b、コネクタ25、センサ薄膜21を覆うように、カバーフィルム24用の塗料を印刷し、硬化させる。
本実施形態の変形センサ2は、第一実施形態の変形センサと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の変形センサ2によると、センサ薄膜21、電極27a、27b等のセンサ部品を全て印刷法で形成する。このため、製造工程を単純化することができる。また、製造時間を短縮することができる。従って、より低コストに変形センサ2を製造することができる。また、センサ部品の集積化が容易になるため、量産化しやすい。また、センサ部品の薄膜化が容易である。このため、変形センサ2を小型化、積層化しやすい。加えて、電気ノイズを除去するための導電性フィルム等、他の機能を有するセンサ部品を、さらに積層化させることも可能である。
(3)その他
以上、本発明の変形センサの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、基材、絶縁フィルム、カバーフィルムの材質は、絶縁材料であれば特に限定されるものではない。ここで、基材は、変形を検出する対象部材自体であってもよい。また、絶縁フィルムやカバーフィルムを配置しなくてもよい。また、電極の数、配置場所についても適宜設定すればよい。また、センサ薄膜側、つまり図3、図5中紙面手前側(後方)から、荷重が入力されてもよい。また、本発明の変形センサにおいても、上記本発明のセンサ薄膜の好適な態様を採用することが望ましい。
<実施例A>
まず、二種類の製造方法により、センサ薄膜を製造した。次に、製造したセンサ薄膜を用いて変形センサを製造し、変形に対する応答性を評価した。以下、順に説明する。
(1)センサ薄膜および変形センサの製造
(1−1)実施例の変形センサ
まず、可溶性ポリアミドであるN−メトキシメチル化ナイロンを、常温下20重量%の濃度でメタノールに溶解した樹脂溶液(ナガセケムテックス社製「トレジンM−20K」)100gに、カーボンビーズ(日本カーボン社製「ニカビーズICB0520」、平均粒子径約5μm、粒度分布におけるD90/D10=3.2)24gを添加して、攪拌、混合し、センサ塗料を調製した。調製したセンサ塗料を、PET製の基材表面にバーコート法にて塗布した(塗膜の長さ約80mm、膜厚約200μm)。乾燥する前に、塗膜の長手方向両端の表面に一対の銅電極を貼り付けた。電極間距離は70mmとした。その状態で乾燥器に入れ、80℃で2時間乾燥して、電極付きセンサ薄膜を得た。得られたセンサ薄膜の膜厚は約70μmであった。また、カーボンビーズの充填率は、センサ薄膜の体積を100vol%とした場合の49.3vol%であった。次に、電極付きセンサ薄膜を5mm幅に切り出し、縦110mm、横10mm、厚さ0.5mmのポリイミド製フィルムに貼り付けて変形センサとした。
また、カーボンビーズの配合量を20gに変更し、それ以外は上記同様にして電極付きセンサ薄膜を製造した。センサ薄膜におけるカーボンビーズの充填率は、センサ薄膜の体積を100vol%とした場合の45.5vol%であった。製造した電極付きセンサ薄膜を5mm幅に切り出し、上記同様に変形センサを製造した。製造した二種類の変形センサを、順に実施例A1、A2の変形センサとした。図7に、製造した変形センサの正面図を示す。
図7に示すように、変形センサ3は、基材30とセンサ薄膜31と一対の電極32a、32bとを備えている。センサ薄膜31は、基材30の表面に固定されている。センサ薄膜31の長手方向両端表面には、短冊状の一対の電極32a、32bが各々固定されている。なお、図示しないが、電極32a、32bには、各々導線が接続されている。
(1−2)参考例の変形センサ
上記(1)にて調製したセンサ塗料(カーボンビーズの配合量24g)をシャーレに入れ、それを乾燥器に入れ、80℃で8時間乾燥して溶剤を除去した。固体化したセンサ形成材料を、縦80mm、横5mm、厚さ0.5mmの金型に充填し、長手方向両端に一対の銅電極を配置して(電極間距離70mm)、180℃で5分間プレス成形した。金型から、電極付きセンサ材料を取り出し、上記(1)と同様のポリイミド製フィルムに貼り付けて変形センサとした。センサ材料におけるカーボンビーズの充填率は、同材料の体積を100vol%とした場合の49.3vol%であった。製造した変形センサを参考例Aの変形センサとした。
(2)変形センサの応答性評価
実施例A1、A2および参考例Aの変形センサについて、変形に対する電気抵抗の変化を調べた。電気抵抗の測定は次のようにして行った。まず、各々の変形センサを、長手方向を上下にして配置した。変形センサの上方には、上下方向に往復動可能な押圧ジグを配置した。押圧ジグを下方に移動させると、変形センサは湾曲変形する。押圧ジグを30秒ごとに1mmずつ下方へ移動して変形センサを湾曲変形させ、電気抵抗の変化を測定した。測定は室温下で行い、押圧ジグの変位量は0〜5mmとした。各変形センサにおける変形に対する電気抵抗の測定結果を図8に示す。図8の縦軸の抵抗変化率は、初期(変位量0mm)の電気抵抗値(R)に対する、各変位量における電気抵抗値(R)の変化量の割合である[抵抗変化率(%)=(R−R)/R×100]。
図8に示すように、いずれの変形センサにおいても、変位量が大きくなるに従って、抵抗変化率は増加した。つまり、変形センサの変形量が大きくなるに従って、電気抵抗が増加した。実施例A1、A2の変形センサを比較すると、実施例A1の変形センサの方が、センサ薄膜におけるカーボンビーズの充填率が大きい。よって、実施例A2の変形センサと比較して、形成される導電パスが多くなり、変形による導電パスの崩壊の程度が小さい。このため、変形量の増加に対する抵抗増加率の増加が小さくなったと考えられる。このように、本発明の製造方法によると、センサ塗料を塗布、乾燥するだけで、プレス成形したものと同等の変形センサを簡単に製造することができる。
<実施例B>
(1)変形センサの製造
本実施例の変形センサとして、上記第二実施形態の変形センサ(前出図5、図6参照)を製造した。まず、樹脂溶液40gに、カーボンビーズ(同上)24gを添加して、攪拌、混合し、センサ塗料を調製した。樹脂溶液としては、可溶性フェノキシ樹脂を、常温下60重量%の濃度で、ブチルジグリコールおよびブチルグリコールアセテートに溶解した、昭和高分子社製の「BRS−781」を使用した。
次に、カバーフィルム用塗料を、次のようにして調製した。アクリルゴムポリマー(日本ゼオン社製「ニポール(登録商標)AR51」)100重量部と、加硫助剤のステアリン酸(花王社製「ルナック(登録商標)S30」)1重量部と、加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学社製「ノクセラー(登録商標)PZ」)2.5重量部、およびジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(大内新興化学社製「ノクセラーTTFE」)0.5重量部と、をロール練り機にて混合し、エラストマー組成物を調製した。調製したエラストマー組成物を、印刷用溶剤のエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート312重量部に溶解させた。
また、電極、導線、コネクタ用の導線性塗料には、藤倉化成社製「ドータイト(登録商標)FA−312」を使用した。絶縁フィルム用塗料には、太陽インキ製造社製「FC−HARD UVCF−535G」を使用した。
各々の塗料を、PET製の基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S56」、厚さ125μm)の表面にスクリーン印刷した。スクリーン印刷には、テーブルスライド式半自動印刷機(東海精機社製「SSA−PC660IP」)を使用した。
具体的には、まず、印刷機に、基材および版をセットした。版上に導電性塗料を載せた後、版上でスキージを走査させ、基材の表面に電極、導線、コネクタを印刷した。その後、基材を約140℃の乾燥炉内に約30分間静置して、塗膜を硬化させた。なお、本実施例では、電極等の酸化や腐食を防止するため、印刷された電極等の表面に、カーボン塗料(藤倉化成社製「ドータイトFC−404CA」)を上記同様に印刷した。印刷後、基材を約150℃の乾燥炉内に約30分間静置して、塗膜を硬化させた。続いて、印刷機に、電極等が形成された基材および版をセットした。版上に絶縁フィルム用塗料を載せた後、版上でスキージを走査させ、印刷された電極等を除いた基材の表面に、絶縁フィルムを印刷した。その後、基材を紫外線(UV)乾燥機(群翔社製「GUC−290M」)に入れ、塗膜を硬化させた。次に、印刷機に、電極等が形成された基材および版をセットした。版上にセンサ塗料を載せた後、版上でスキージを走査させ、印刷された電極、絶縁フィルムの表面に、センサ薄膜を印刷した(塗膜の長さ約80mm、幅約5mm、厚さ約70μm)。基材を約160℃の乾燥炉内に約30分間静置して、塗膜を乾燥させた。最後に、印刷機に、センサ薄膜等が形成された基材および版をセットした。版上にカバーフィルム用塗料を載せた後、版上でスキージを走査させ、印刷されたセンサ薄膜等の表面に、カバーフィルムを印刷した。その後、基材を約150℃の乾燥炉内に約30分間静置して、塗膜を硬化させた。このように製造した変形センサを、実施例Bの変形センサとした。センサ薄膜におけるカーボンビーズの充填率は、センサ薄膜の体積を100vol%とした場合の49.3vol%であった。
(2)変形センサの応答性評価
実施例Bの変形センサについて、変形に対する電気抵抗の変化を調べた。電気抵抗の測定は、上記実施例Aと同様に行った。実施例Bの変形センサの、変形に対する電気抵抗の測定結果を図9に示す。図9の縦軸の抵抗変化率は、図8の縦軸と同じである。また、図9中、上記実施例A1の変形センサの測定結果も併せて示す。
図9に示すように、実施例Bの変形センサは、実施例A1の変形センサと比較して、変位量に対する抵抗増加率の増加割合が小さかった。しかし、実施例Bの変形センサの変位量が大きくなるに従って、抵抗変化率は増加した。つまり、実施例Bの変形センサの変形量が大きくなるに従って、電気抵抗が増加した。
このように、センサ部品を全て印刷法により形成することにより、薄くて小型の変形センサを製造することができる。また、印刷法によると、製造工程が単純化され、製造時間の短縮が可能となる。よって、製造コストを低減することができる。また、印刷法によると、センサ部品の集積化が容易になる。よって、印刷法は、変形センサの量産化に好適である。
本発明のセンサ薄膜の荷重印加前の導電パスを示す模式図である。 同センサ薄膜の荷重印加後の導電パスを示す模式図である。 本発明の第一実施形態の変形センサの正面図である。 図3のIV−IV断面図である。 本発明の第二実施形態の変形センサの正面図である。 図5のVI−VI断面図である。 実施例Aで使用した変形センサの正面図である。 各変形センサにおける変形に対する電気抵抗の測定結果を示すグラフである(実施例A)。 実施例Bの変形センサの、変形に対する電気抵抗の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
2:変形センサ
20:基材 21:センサ薄膜 22a、22b:電極 23:絶縁フィルム
230:長孔 24:カバーフィルム 25:コネクタ 26a、26b:導線
27a、27b:電極 28:絶縁フィルム 29a、29b:導線
3:変形センサ 30:基材 31:センサ薄膜 32a、32b:電極
100:センサ薄膜 101:熱可塑性樹脂 102:導電性フィラー
P:導電パス

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に球状の導電性フィラーが分散されてなるセンサ塗料を、基材表面に塗布、乾燥して得られ、
    該熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に略単粒子状態でかつ高充填率で配合されている該導電性フィラーと、を有し、弾性変形可能であって、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加することを特徴とするセンサ薄膜。
  2. 前記溶剤の沸点は250℃以下である請求項1に記載のセンサ薄膜。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、前記溶剤に50℃以下の温度で5重量%以上の濃度で溶解可能である請求項1または請求項2に記載のセンサ薄膜。
  4. 前記導電性フィラーの充填率は、センサ薄膜の全体の体積を100vol%とした場合の30vol%以上65vol%以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセンサ薄膜。
  5. 前記導電性フィラーの平均粒子径は、0.05μm以上100μm以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセンサ薄膜。
  6. 膜厚が10μm以上500μm以下である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のセンサ薄膜。
  7. 熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に略単粒子状態でかつ高充填率で配合されている球状の導電性フィラーと、を有し、弾性変形可能であって、弾性変形量が増加するに従って電気抵抗が増加するセンサ薄膜の製造方法であって、
    該熱可塑性樹脂が溶剤に溶解された樹脂溶液に、該導電性フィラーを混合してセンサ塗料を調製するセンサ塗料調製工程と、
    該センサ塗料を基材表面に塗布、乾燥する塗布工程と、
    を有することを特徴とするセンサ薄膜の製造方法。
  8. 前記塗布工程において、前記センサ塗料を印刷法により塗布する請求項7に記載のセンサ薄膜の製造方法。
  9. 基材と、
    該基材表面に配置された請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のセンサ薄膜と、
    該センサ薄膜に接続され、電気抵抗を出力可能な電極と、
    を備えてなる変形センサ。
  10. さらに、前記電極と接続されている導線を備え、
    前記センサ薄膜、前記電極、および該導線は、印刷法により形成されている請求項9に記載の変形センサ。
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