JP2009197257A - ローラーめっき法、ローラーめっき装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、金属基材の表面に形成されるめっき膜を均一に形成することができるローラーめっき法及びローラーめっき装置を提供することにある。
【解決手段】金属基材18の両面を挟持する一対のめっきロール10を回転させるとともにめっきロール10にめっき液12を給液し、金属基材18を鉛直方向に移動させながら金属基材18の両面に電気めっきを施すローラーめっき法であって、めっきロール10へのめっき液12の給液は、めっきロール10の少なくとも一部をめっき槽14内に収容されためっき液12に浸漬させるか又はめっきロール10に隣接するロールの少なくとも一部をめっき槽14内に収容されためっき液12に浸漬させ、前記隣接するロールを回転させることにより行われる。
【選択図】図1
【解決手段】金属基材18の両面を挟持する一対のめっきロール10を回転させるとともにめっきロール10にめっき液12を給液し、金属基材18を鉛直方向に移動させながら金属基材18の両面に電気めっきを施すローラーめっき法であって、めっきロール10へのめっき液12の給液は、めっきロール10の少なくとも一部をめっき槽14内に収容されためっき液12に浸漬させるか又はめっきロール10に隣接するロールの少なくとも一部をめっき槽14内に収容されためっき液12に浸漬させ、前記隣接するロールを回転させることにより行われる。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属基材に対するローラーめっき法及び金属基材にローラーめっきするローラーめっき装置の技術に関する。
金属基材に導電性、耐食性等を付与するために、金属基材にめっき処理等をして、めっき膜を形成する場合がある。一般的に、めっき膜の形成方法として、次のような方法が知られている。まず、金属基材にめっき膜を形成すべき領域のみが露出するように、金属基材にマスキングを施す。そして、金属基材をめっき液に浸漬(どぶ漬け)させ陰極とし、陽極には他の金属を用いて、陽極と陰極との間に電流を流すことによって、金属基材上へめっき膜を形成する方法である。しかし、このように金属基材をめっき液にどぶ漬けするようなめっき処理では、金属基材にめっき膜を形成すべき領域以外にマスキングを施す必要があるため、作業工程が煩雑となる。
例えば、燃料電池用セパレータでは、他部材との電気的接触部(例えば、燃料電池用セパレータ上に形成される凸部)にめっき処理をする必要があるため、電気的接触部である凸部以外の場所にマスキングを施さなければならず(例えば、特許文献1参照)、めっき処理の作業工程が煩雑となる。また、多孔質体のような金属基材では、その表面のみにめっき膜を形成しようとしても、多孔質体をめっき液にどぶ漬けした際に、多孔質体内部にまでめっき液が侵入し、多孔質体表面以外にもめっき膜が形成されてしまう。その結果、めっき液の使用量が増え、製造コストが高くなる。
金属基材の表面にめっき膜を形成する方法としては、ローラーめっき法がある。例えば、特許文献2,3には、金属基材の両面を挟持する一対のロールを回転させるとともに該ロールにめっき液を給液することにより、金属基材を移動させながら金属基材の両面に電気めっきを施すローラーめっき法が開示されている。このようなローラーめっき法を用いれば、効率的に金属基材の表面にめっき膜を形成することができる。
しかし、特許文献2のローラーめっき法では、金属基材の両面を挟持する一対のロールの一方は、ロールの芯側よりめっき液が給液されるものであり、特許文献3のローラーめっき法では、金属基材の両面を挟持する両方のロールとも、ロールの芯側よりめっき液が給液されるものであるため、ロール表面に付着しためっき液の厚さにムラができ、金属基材の表面に形成されるめっき膜の厚さにもムラができ易い。
本発明は、金属基材の表面に形成されるめっき膜を均一に形成することができるローラーめっき法及びローラーめっき装置を提供することにある。
本発明は、金属基材の両面を挟持する一対のめっきロールを回転させるとともに、前記めっきロールにめっき液を給液し、前記金属基材を鉛直方向に移動させながら前記金属基材の両面に電気めっきを施すローラーめっき法であって、前記めっきロールへのめっき液の給液は、前記めっきロールの少なくとも一部をめっき槽内に収容されためっき液に浸漬させるか又は前記めっきロールに隣接するロールの少なくとも一部をめっき槽内に収容されためっき液に浸漬させ、前記隣接するロールを回転させることにより行われる。
また、前記ローラーめっき法において、前記めっきロールを前記金属基材の厚さ方向に移動させて、前記めっきロールとの接触部における前記金属基材に掛かる荷重を調整することが好ましい。
また、本発明は、金属基材の両面を挟持する一対のめっきロールと、前記めっきロールに給液されるめっき液を収容するめっき槽と、を有し、前記めっきロールにめっき液を給液し、前記めっきロールの回転により前記金属基材を鉛直方向に移動させながら前記金属基材の両面に電気めっきを施すローラーめっき装置であって、前記めっきロールへのめっき液の給液は、前記めっきロールの少なくとも一部を前記めっき槽内に収容されためっき液に浸漬させるか又は前記めっきロールに隣接する給液ロールを備え、前記給液ロールの少なくとも一部を前記めっき槽内に収容されためっき液に浸漬させ、前記給液ロールを回転させることにより行われる。
また、前記ローラーめっき装置において、前記めっきロールは、前記金属基材の厚さ方向に移動させることができ、前記めっきロールとの接触部における前記金属基材に掛かる荷重を調整することができるものであることが好ましい。
本発明によれば、金属基材の表面に形成されるめっき膜を均一に形成することができるローラーめっき法及びローラーめっき装置を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るローラーめっき装置の構成の一例を示す模式断面図である。図1に示すように、ローラーめっき装置1は、一対のめっきロール10と、めっき液12を収容するめっき槽14と、電源16とを備える。また、電源16とめっきロール10、めっき膜が形成される金属基材18と電源16とは、導線20によって接続され、めっきロール10は陽極、金属基材18は陰極となる。
めっきロール10は、駆動機構(不図示)によって所定速度で回転し、金属基材18を移動させることができる。めっきロール10の回転速度は、駆動機構によって自在に制御できる。めっきロール10の少なくとも一部が、めっき槽14内のめっき液12に浸漬されることにより、めっきロール10にめっき液12が給液され、めっきロール10の回転により、めっきロール10表面に所定の厚さのめっき液層が形成される。
めっきロール10の表面に形成されためっき液層が、金属基材18に接触したときに、めっきロール10と金属基材18間にめっき液層を介して電流が流れると、金属基材18上にめっき膜が形成される。本実施形態では、金属基材18を挟持する一対のめっきロール10の表面にめっき液層が形成されるため、金属基材18の両面にめっき膜を一度に形成することができ、片面ずつめっき処理する方法よりめっき処理時間を短縮することができる。また、めっきロール10へのめっき液12の給液は、めっきロール10の一部をめっき液12に浸漬させることにより行われるため、めっきロール10表面には均一なめっき液層が形成され易い。その結果、金属基材18上にも均一なめっき膜が形成され易くなる。このような本実施形態に係るローラーめっき装置(及びローラーめっき法)は、金属基材の表面にめっき膜を形成する場合、例えば、燃料電池用セパレータに形成される凹凸部(ガス流路)のうちの凸部の頂面にめっき膜を形成するような場合、多孔質体の表面にめっき膜を形成するような場合に用いることが好ましい。
めっきロール10の表面にめっき液層が形成されてからめっきロール10上のめっき液層が金属基材18に接触するまでの間において、図1に示すように、めっきロール10と所定の間隔を介して配置される補助ロール22を設けても良い。めっきロール10と補助ロール22との間隔を調整することにより、めっきロール10表面のめっき液層の量、厚み等を調整することができるため、金属基材18に形成されるめっき膜の厚みを調整することができる。
めっきロール10の回転による金属基材18の移動方向は、鉛直方向である。ここで鉛直方向とは、垂直方向又は略垂直方向である。したがって、金属基材18は、下から上へ向かう垂直方向若しくは略垂直方向、又は上から下へ向かう垂直方向若しくは略垂直方向に移動する。また、めっきロール10の回転方向(例えば図1に示す矢印)は、時計回り、反時計回り等特に制限されるものではない。金属基材18を鉛直方向に移動させることによって、金属基材18の両面に均等にめっき膜を形成することができる。
本実施形態に用いられる金属基材18は特に制限されるものではなく、例えば、SUS316、SUS304等のステンレス、Ti、Al、又はこれらの合金等が挙げられる。特に、ステンレスは、耐熱性、耐食性、耐強度性等の点で優れているため、車輌部品、食器、燃料電池用セパレータ等、種々な分野で使用される。
陽極となるめっきロール10は、金属等の導電性材料から構成されている。また、めっきロール10は、その表面に樹脂繊維からなる多孔質シート等を被せ、めっきロール10の表面にめっき液を付着し易くしたものであってもよい。補助ロール22は、使用するめっき液12に対して耐食性を有するものであれば、その材料は特に制限されるものではない。
ローラーめっき装置(方法)により形成されるめっき膜は、使用される金属基材18の用途に応じて選択されればよい。例えば、燃料電池用セパレータの場合には、燃料電池用セパレータと他部材との接触抵抗を低減させるため、耐食性等を付与するために、金めっき膜、ニッケルめっき膜、亜鉛めっき膜等が形成される。また、例えば、食器関係等の場合には、ニッケルめっき膜等が形成される。
めっき液12の組成としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて公知のめっき液の組成の中から適宜選択することができる。めっき膜として金めっき膜を製造する場合、例えば、水溶性シアン化金塩と水溶性リン酸化合物とアルカリを含むめっき液(pH4.5〜6.5、約25℃)等を使用することができる。また、めっき膜としてニッケルめっき膜を製造する場合、例えば、硫酸ニッケル、ほう酸、サッカリンナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウムを含むめっき液(pH1〜3、約25℃)等を使用することができる。また、例えば、めっき膜として亜鉛めっき膜を製造する場合、例えば、硫酸亜鉛、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムを含むめっき液(pH1〜3、約25℃)等を使用することができる。
めっき処理条件は、特に制限されるものではないが、例えば、電流密度0.1A/dm2〜100A/dm2の範囲、好ましくは0.1A/dm2〜10A/dm2の範囲で且つ電解量0.01As/dm2以上、めっきロール10の回転速度1mm/s〜100mm/sとすることが好ましい。
金属基材18表面に形成されるめっき膜の量、厚みは、例えば、めっきロール10の回転速度、めっき液12の金属イオン濃度(0.5g/l〜20g/l)、めっきロール10上のめっき液層を介して流れる電流の電流密度、めっきロール10との接触部における金属基材18に掛かる荷重(すなわち、めっきロール10の押し付け圧力)、めっきロール10と補助ロール22との間隔等を調整することにより制御することができる。しかし、めっき膜は、めっきロール10上のめっき液層と金属基材18とが接触する際に形成されるものであるため、一度の接触で形成されるめっき膜の厚さは限られる。図2は、本発明の他の実施形態に係るローラーめっき装置の構成の一例を示す模式断面図である。図2に示すローラーめっき装置2は、図1に示すローラーめっき装置1を下から上へ向かう鉛直方向に複数重ねたものである。これにより、金属基材18のめっき処理回数を増やすことができ、金属基材18表面に形成されるめっき膜の厚みを厚くすることができる。また、図2に示すようなローラーめっき装置2では、例えば、金属基材18の一方の面に接触するめっきロール10aと他方の面と接触するめっきロール10bとの間で、電源16と接続するめっきロールの数を異ならせることにより、金属基材18の一方の面と他方の面とで異なる膜厚のめっき膜を形成することができる。例えば、金属基材18の一方の面に接触する全てのめっきロール10aと電源16とを接続させ、他方の面に接触するめっきロール10bにおいては、一つ置きに電源16と接続させることによって、一方の面に形成されるめっき膜を他方の面に形成されるめっき膜より厚くすることができる。
図3は、本発明の他の実施形態に係るローラーめっき装置の構成の一例を示す模式断面図である。図3に示すように、ローラーめっき装置3は、一対のめっきロール10と、給液ロール24と、めっき液12を収容するめっき槽14と、電源16とを備える。図3に示すローラーめっき装置3において、図1に示すローラーめっき装置1と同様の構成については、同一の符合を付し、その説明を省略する。
図3に示すように、給液ロール24は、一対のめっきロール10に隣接し、めっきロール10の回転に伴って回転するものである。また、給液ロール24の少なくとも一部が、めっき槽14内に収容されるめっき液12に浸漬されることにより、給液ロール24にめっき液12が給液される。給液ロール24が回転し、給液ロール24上のめっき液12がめっきロール10に接触することにより、めっきロール10にめっき液12が給液される。そして、上記同様にめっきロール10表面にめっき液層が形成される。このように、めっきロール10へのめっき液12の給液をめっきロール10に隣接する給液ロール24により行っても、めっきロール10表面には均一なめっき液層が形成される。また、上記同様にめっきロール10表面に形成されためっき液層が、金属基材18に接触したときに、めっきロール10と金属基材18間にめっき液層を介して電流が流れると、金属基材18の両面にめっき膜が形成される。
図1〜3に示すような本実施形態に係るローラーめっき装置では、めっきロール10との接触部における金属基材18に掛かる荷重(すなわち、めっきロール10の押し付け圧力)が大きいと、めっきロール10と金属基材18との接触部において、めっき液12の液切れによりスパークが発生したり、多孔質体の金属基材18では、多孔質体内部にまでめっき膜が形成される場合がある。また、金属基材18に掛かる荷重(又はめっきロール10の押し付け圧力)が小さいと、多孔質体の金属基材18では、めっき液層との接触面圧がばらつくおそれがあり、面内でめっき厚さがばらつく可能性がある。したがって、金属基材18を挟持する一対のめっきロール10は、金属基材18の厚さ方向に移動させることができ、めっきロール10との接触部における金属基材18に掛かる荷重を調整することができるものであることが好ましい。金属基材18に掛かる荷重を調整することができることにより、スパークの発生、多孔質体内部へのめっき膜の形成、めっき厚さのばらつきを抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係るローラーめっき装置及びローラーめっき法において、めっきロールの少なくとも一部をめっき槽内に収容されためっき液に浸漬させるか又はめっきロールに隣接する給液ロールの少なくとも一部をめっき槽内に収容されためっき液に浸漬させ、給液ロールを回転させることにより、めっきロールにめっき液を給液することにより、金属基材の表面に均一なめっき膜を形成することができる。
1〜3 ローラーめっき装置、10,10a,10b めっきロール、12 めっき液、14 めっき槽、16 電源、18 金属基材、20 導線、22 補助ロール、24 給液ロール。
Claims (4)
- 金属基材の両面を挟持する一対のめっきロールを回転させるとともに、前記めっきロールにめっき液を給液し、前記金属基材を鉛直方向に移動させながら前記金属基材の両面に電気めっきを施すローラーめっき法であって、
前記めっきロールへのめっき液の給液は、前記めっきロールの少なくとも一部をめっき槽内に収容されためっき液に浸漬させるか又は前記めっきロールに隣接するロールの少なくとも一部をめっき槽内に収容されためっき液に浸漬させ、前記隣接するロールを回転させることにより行われることを特徴とするローラーめっき法。 - 請求項1記載のローラーめっき法であって、前記めっきロールを前記金属基材の厚さ方向に移動させて、前記めっきロールとの接触部における前記金属基材に掛かる荷重を調整することを特徴とするローラーめっき法。
- 金属基材の両面を挟持する一対のめっきロールと、前記めっきロールに給液されるめっき液を収容するめっき槽と、を有し、前記めっきロールにめっき液を給液し、前記めっきロールの回転により前記金属基材を鉛直方向に移動させながら前記金属基材の両面に電気めっきを施すローラーめっき装置であって、
前記めっきロールへのめっき液の給液は、前記めっきロールの少なくとも一部を前記めっき槽内に収容されためっき液に浸漬させるか又は前記めっきロールに隣接する給液ロールを備え、前記給液ロールの少なくとも一部を前記めっき槽内に収容されためっき液に浸漬させ、前記給液ロールを回転させることにより行われることを特徴とするローラーめっき装置。 - 請求項3記載のローラーめっき装置であって、前記めっきロールは、前記金属基材の厚さ方向に移動させることができ、前記めっきロールとの接触部における前記金属基材に掛かる荷重を調整することができるものであることを特徴とするローラーめっき装置。
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JP2008037653A JP2009197257A (ja) | 2008-02-19 | 2008-02-19 | ローラーめっき法、ローラーめっき装置 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2010225360A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Honda Motor Co Ltd | 燃料電池用セパレータの製造方法 |
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2008
- 2008-02-19 JP JP2008037653A patent/JP2009197257A/ja active Pending
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