JP2009195451A - 操作機構及び該操作機構を備える医療用器具 - Google Patents

操作機構及び該操作機構を備える医療用器具 Download PDF

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Abstract

【課題】指が太い操作者や細い操作者であっても確実に操作することができ、汎用性の高い操作機構及び該操作機構を備える医療用器具を提供する。
【解決手段】マニピュレータのトリガーレバー32は、指を当てて引き方向及び押し方向に操作する操作機構であって、前記引き方向に操作する際に指を当てる引込部101と、前記押し方向に操作する際に指を当てる押出部102とを有する。押出部102は、中心軸に対して偏心した外形を有する軸部材106を備え、該軸部材106が回転され所定の回転位置で停止されることにより、前記引込部101と押出部102との間で指を入れる指入れ部である孔部100の距離Wを変更する。
【選択図】図7

Description

本発明は、指を当てて引き方向及び押し方向に操作する操作機構及び該操作機構を備える医療用器具に関する。
内視鏡下外科手術(又は腹腔鏡下手術とも呼ばれる。)においては、患者の腹部等に複数の孔を開け、器具の通過ポートとしてトラカール(筒状の器具)を挿入した後、シャフトを有する鉗子器具(医療用器具)の先端部をトラカールを通じて体腔内に挿入して患部の手術を行っている。鉗子器具の先端部には、作業部として、生体組織を把持するためのグリッパや、鋏、電気メスのブレード等が取り付けられている。
鉗子器具による内視鏡下外科手術は、作業空間である体腔内が狭くしかもトラカールを支点として鉗子器具を操作するため、一定のトレーニングが必要となる。また、従来使用されている鉗子では先端の作業部に関節が無いため、自由度が小さく、先端作業部はシャフトの延長線上での動作しか行うことができない。従って、通常のトレーニングで実施可能な症例には限度があり、他の様々な症例に対して適用するためには相当に高度なトレーニング及び習熟が必要になる。
このような観点から、従来の鉗子器具を改良し、作業部に複数の関節を有する鉗子の開発が行われている(例えば、引用文献1参照)。このような鉗子、いわゆるマニピュレータでは、従来の鉗子器具のような制約や不自由がなく、手技が容易となり、適用可能な症例が多くなる。
一方、医療用マニピュレータをロボットアームにより駆動する医療用ロボットシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような医療用ロボットシステムでは、ジョイスティックやマスターアーム等からなる操作部による遠隔操作が可能であると共に、プログラム制御により様々な動作が可能となる。 医療用ロボットシステムでは、複数のロボットアームが設けられており、手技に応じてこれらのロボットアームを使い分けることができる。ロボットアームのうち1台には内視鏡が設けられ、体腔内を所定のモニタで確認することができる。
特開2002−102248号公報 米国特許第6331181号明細書
上記のようなマニピュレータを含む鉗子器具等の医療用器具の開発では、先端作業部の開発はもとより、対応する操作部の開発が重要である。なぜなら、先端作業部での正確且つ迅速な動作を確保するため、さらには、マニピュレータのように作業部の自由度が増すとそれだけ操作部に設けられる入力部の数も増えて操作が複雑となるため、操作部の操作性向上が必須であるからである。同様に、ロボットアームを駆動してマニピュレータを操作する医療用ロボットシステムにおいても操作部の操作性を向上させることが必須である。
このような操作部の操作性について、例えば、鉗子器具の操作部には指を入れるための孔部が設けられているが、当該孔部は、指の太い医師等にも対応可能なように比較的大きな寸法に設定されている。従って、指の細い医師等が当該操作部を操作して、例えば、引いたり押したりする場合には、前記孔部内で指が前後左右にずれてしまうため迅速且つ直感的な操作が難しい場合がある。もちろん、指の細い医師等に対応させた寸法とした場合には、指の太い医師等が使用不可となることになり、汎用性に欠ける。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、指が太い操作者や細い操作者であっても確実に操作することができ、汎用性の高い操作機構及び該操作機構を備える医療用器具を提供することを目的とする。
本発明に係る操作機構は、指を当てて引き方向及び押し方向に操作する操作機構であって、前記引き方向に操作する際に指を当てる引込部と、前記押し方向に操作する際に指を当てる押出部とを有し、前記引込部と押出部との間の距離を変更する調整機構を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る医療用器具は、操作機構と、前記操作機構が設けられる筐体部から延在するシャフトと、前記シャフトの先端に設けられ、前記操作機構が操作されることにより動作する先端動作部とを備えることを特徴とする。この場合、前記操作機構での操作が、少なくとも一部に電動機構を有する駆動部を介して前記先端動作部へと伝達されるマニピュレータとすることもできる。
このような構成によれば、前記引込部と押出部との間の距離を変更する調整機構を備えたことにより、指の太さの異なる操作者に対して、それぞれに対応して適切な寸法の指入れ部を簡便に得ることができ、当該操作機構を引き方向及び押し方向へと容易に且つ正確に操作させることができるため、操作機構及びこれを適用した医療用器具等での操作性や汎用性を向上させることができる。
この場合、当該操作機構は、人手によって把持されるグリップハンドルに対して進退可能なトリガーレバーとしてもよい。
また、少なくとも前記引込部又は前記押出部のいずれか一方は、前記引き方向及び前記押し方向と交差する方向に回転軸を有し、該回転軸に対して偏心した外形からなる軸部材を備えると、前記回転軸を中心とした軸部材の回転動作によって引込部と押出部との間の距離を調整する構成により、軸部材が操作方向(引き方向や押し方向)に移動することを防止できるため、予め設定した指入れ部の適切な寸法が当該操作機構の操作時に変化してしまうことを確実に防止できる。
さらに、前記回転軸を中心として前記軸部材を回転した場合に、該軸部材を所定の回転位置で停止させるインデックス機構を備えると、軸部材を適切な回転位置に容易に保持することができ、引込部と押出部との間の距離を容易に設定することができる。
この場合、前記軸部材の外形が多角柱とされ、前記軸部材が前記インデックス機構により所定の回転位置で停止された状態では、前記多角柱の角部以外の外側面が、前記引込部と押出部との間で指を入れる指入れ部の内壁面を構成するようにすると、軸部材の角部に指が当たった状態で操作することがないため一層良好な操作感を得ることができる。
また、前記軸部材の外形が多角柱とされ、前記インデックス機構は、前記軸部材の外側面の数に対応する停止位置を有していると、指入れ部に対して確実に軸部材の外側面を設定することが可能となる。
本発明によれば、指を当てて引き方向及び押し方向に操作する操作機構において、指入れ部として機能する引込部と押出部との間の距離を変更する調整機構を備えたことにより、指の太さの異なる操作者に対して、それぞれに対応して適切な寸法の指入れ部を簡便に得ることができ、当該操作機構を引き方向及び押し方向へと容易に且つ正確に操作させることができる。このため、操作機構及びこれを適用したマニピュレータ等の医療用器具等での操作性や汎用性を向上させることができる。
以下、本発明に係る操作機構及び該操作機構を備える医療用器具について実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る医療用器具としてのマニピュレータ10は、先端動作部12に生体の一部又は湾曲針等を把持して所定の処置を行うための医療用であり、通常、把持鉗子やニードルドライバ(持針器)等とも呼ばれる。
マニピュレータ10は、人手によって把持及び操作される基端部の操作指令部14と、該操作指令部14に対して着脱自在な作業部16とを有する。
以下の説明では、図1における幅方向をX方向、高さ方向をY方向及び、連結シャフト48の延在方向をZ方向と規定する。また、右方をX1方向、左方をX2方向、上方向をY1方向、下方向をY2方向、前方をZ1方向、後方をZ2方向と規定する。さらに、特に断りのない限り、これらの方向の記載はマニピュレータ10が基準姿勢(中立姿勢)である場合を基準として表すものとする。これらの方向は説明の便宜上のものであり、マニピュレータ10は任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることはもちろんである。
作業部16は、作業を行う先端動作部12と、操作指令部14のアクチュエータブロック30に対して接続される接続部15と、これらの先端動作部12と接続部15とを連接する長尺で中空の連結シャフト48とを有する。作業部16は、アクチュエータブロック30における所定の操作によって操作指令部14から離脱可能であって、洗浄、滅菌及びメンテナンス等を行うことができる。
先端動作部12及び連結シャフト48は細径に構成されており、患者の腹部等に設けられた円筒形状のトラカール20から体腔22内に挿入可能であり、操作指令部14の操作により体腔22内において患部切除、把持、縫合及び結紮等の様々な手技を行うことができる。
筐体部を構成する操作指令部14は、人手によって把持されるグリップハンドル26と、該グリップハンドル26の上部から延在するブリッジ28と、該ブリッジ28の先端に接続されたアクチュエータブロック30とを有する。
図2に示すように、操作指令部14のグリップハンドル26は、ブリッジ28の端部からY2方向に向かって延在しており、人手によって把持されるのに適した長さであり、該グリップハンドル26の近傍には先端動作部12の動作等に供される入力手段が設けられている。すなわち、このような入力手段として、グリップハンドル26に近接したZ1方向にトリガーレバー(操作機構)32及びスイッチ36が設けられ、Y1方向に複合入力部34及び作動スイッチ35が設けられている。
作動スイッチ35のZ1方向でブリッジ28の上面における視認しやすい箇所にはLED29が設けられている。グリップハンドル26の下端部には調圧機構として機能する複数の通気孔41が設けられている。グリップハンドル26の下端には、コントローラ45に接続されるケーブル62が設けられている。グリップハンドル26とケーブル62とはコネクタにより接続されていてもよい。
図1及び図2を参照して、接続部15及びアクチュエータブロック30の構成及び作用について説明する。
接続部15は、樹脂のカバー37に覆われており、従動回転するプーリ50a、50b及び50cを回転自在に保持している。プーリ50a、プーリ50b及びプーリ50cには、それぞれ図示しないワイヤが巻き掛けられており、連結シャフト48の中空部分を通って先端動作部12まで延在している。
アクチュエータブロック30には先端動作部12が有する3自由度の機構に対応してモータ40、42及び44が接続部15の延在方向に沿って並列して設けられている。モータ40、42及び44は、プーリ50a、プーリ50b及びプーリ50cに係合する。アクチュエータブロック30は、操作指令部14のZ1方向端部の下方に設けられており、モータ40、42及び44は、操作指令部14やトリガーレバー32の操作に基づき、コントローラ45の作用下に回転をする。これにより、電動機構であるモータ40、42及び44で発生した駆動力が、駆動部であるプーリ50a、50b及び50cから前記ワイヤを介して先端動作部12へと伝達され、当該先端動作部12を動作させることができる。
図2に示すように、アクチュエータブロック30は、さらに作業部16の接続部15を保持する2つの独立した係合部210と、該接続部15の位置決め機能及び保持機構を有する3本のアライメントピン212とを有する。
アライメントピン212は、接続部15側に設けられた嵌合孔206に対向する位置で、例えば3本設けられ、それぞれY1方向に延在している。このように、アライメントピン212は3本設けられていることから、接続部15は3点で支持され、簡便且つ確実に位置決めを行うことができる。
従って、接続部15をアクチュエータブロック30に接続する際には、3つの嵌合孔206にアライメントピン212が挿入されるようにしてY2方向に移動させる。これにより、係合部210が先端のテーパ形状によってやや外方向に押されて変位して、接続部15側の係合片207に対して摺動した後、係合し、接続部15をアクチュエータブロック30に装着することができる。なお、接続部15を取り外す際には、係合片207を開方向に操作して接続部15をY1方向に持ち上げればよい。
次に、マニピュレータ10の先端動作部12を動作させる入力手段である操作指令部14について説明する。
作動スイッチ35は、マニピュレータ10の動作状態の有効又は無効を設定するための入力手段である。LED29は、マニピュレータ10の制御状態を示すインジケータであり、操作者が容易に認識可能な大きさであり、且つ操作に支障がない程度に十分に小型軽量である。LED29は、ブリッジ28の上面における略中央部で、視認性のよい位置に設けられており、作動スイッチ35と並んで配置されていることから、例えば、作動スイッチ35によるON操作に同期して点灯等をするため、操作者は作動スイッチ35の操作をしながらその入力状態をLED29により確実に認識することができる。
複合入力部34は、先端動作部12に対してロール方向(軸回転方向)及びヨー方向(左右方向)の回転指令を与える複合的な入力手段である。
図3に示すように、複合入力部34は、正面視で円形で、グリップハンドル26の上端部とブリッジ28との接続部の平面部39に設けられており、図4から明らかなように、親指による操作が容易な位置に配置されている。平面部39は、複合入力部34の径よりもやや大きい径の略円環形であり、複合入力部34の操作をしないときには親指を当てておき、複合入力部34に触れることなくグリップハンドル26を確実に保持することができる。平面部39及び複合入力部34の表面部は、その法線がZ2方向とY1方向の略中間の方向を指向しており、親指の腹部Tを自然に当てることができる。
複合入力部34は、シャトルリング99と、該シャトルリング99の内周側に設けられ、外部へと突出したパッド132とを有する(図2参照)。
シャトルリング99は、左右対称位置に設けられた指当て部であるノブ109a、109bを有し、先端動作部12に対してロール方向の回転指令を与える入力手段であり、シャトルリング99の操作量が大きいほど、先端動作部12の回転速度が速まるように設定されている。また、シャトルリング99の非操作時には、先端動作部12はロール方向に関して停止している。
シャトルリング99は、リング幅が親指を当てるのに適した幅、例えば5mmに設定されると共に、リング外径が、例えば35mmに設定されている。ノブ109a、109bは、親指の腹部Tを当てるのに適するように外方にやや膨出した形状であって、例えば、高さを1mm〜5mm、周方向長さを3mm〜10mmに設定するとよい。
シャトルリング99の動作範囲は、基準位置(中立位置、原点位置)を基準として、例えば±10°に設定されている。シャトルリング99の動作範囲は、操作性を考慮して(例えば、微妙な操作が可能なように)ある程度の移動距離を確保すると共に、無理なく操作可能なように腹部Tの動作範囲に収めることが好ましい。このような観点から、シャトルリング99の動作範囲は±5°〜±20°のいずれかに設定されているとよく、より好ましくは、±5°〜±10°のいずれかに設定されているとよい。
一方、パッド132は、先端動作部12に対してヨー方向の傾動指令を与える入力手段であり、パッド132の操作量が大きいほど、先端動作部12の傾動速度が速まるように設定されている。また、パッド132の非操作時には、先端動作部12はヨー方向に関して停止している。パッド132は、正面視で上面及び下面が平行で左右両端が円弧形状の突起である。左右の円弧形状はシャトルリング99の内面に対応した径に設定されている(図3参照)。
パッド132は、左右端面132a、132bを指で操作することにより、左右押し込み方向に容易に傾動可能である。また、パッド132は、非操作時には、図示しない弾性部材の弾性力により基準位置に自動的に復帰可能である。
このようなシャトルリング99及びパッド132による入力操作は、操作指令部14の筐体内部に設けられた図示しない感圧センサ等によって検出され、これにより、図示しない基板等の制御手段を介してモータ40やプーリ50aを駆動し、先端動作部12を動作させることができる。
次に、本実施形態に係る操作機構であるトリガーレバー32の構成及び作用について説明する。
図2及び図4に示すように、トリガーレバー32は、ブリッジ28のやや下方でZ1方向にやや突出したレバーであり、人差し指による操作が容易な位置に設けられている。
トリガーレバー32は、グリップハンドル26に対してアーム98により接続されており、該グリップハンドル26に対してZ方向に進退するように構成されている。アーム98はグリップハンドル26内で図示しないセンサに接続されており、トリガーレバー32の進退量が該センサによって計測されてコントローラ45に供給される。トリガーレバー32は、先端動作部12のグリッパ60(図2参照)の開閉指令を与える入力手段である。
すなわち、トリガーレバー32は、指入れ部である孔部100内に指を入れ、グリップハンドル26の方向(引き方向、Z2方向)に向かって引き込む操作と、グリップハンドル26から押し出す方向(押し方向、Z1方向)に押し出す操作とが可能に構成され、これにより、グリッパ60へと開閉指令を与えることができる。
なお、トリガーレバー32のY2方向に設けられたスイッチ36は、オルタネート式であって、該スイッチ36を操作することによりトリガーレバー32により所定の開閉状態とされたグリッパ60の状態、例えば、閉じ状態を保持しておくことができる。
図5Aは、トリガーレバー32を拡大した一部切欠分解斜視図であり、図5Bは、トリガーレバー32の斜視図である。
図2及び図5Aに示すように、トリガーレバー32は、側面視(図2参照)で略半円状に形成され、前記引き方向(Z2方向)への引き操作を行う際に指を当てる引込部101と、該引込部101と対向する位置に設けられ、前記押し方向(Z1方向)への押し操作を行う際に指を当てる押出部102とを有する。
引込部101は、人差し指をかけやすい円弧形状であり、人差し指若しくは中指の第2関節(中央の関節)よりも先端側の腹部を自然に当てることができる。引込部101を手前側(Z2側)に引き寄せることにより、引き寄せ量に応じて先端動作部12のグリッパ60は閉じるように動作する。押出部102は、人差し指で押し出し易い棒形状であり、人差し指若しくは中指の第2関節(中央の関節)よりも先端側の背部(爪部)を自然に当てることができる。押出部102を奥側(Z1側)に押し出すことにより、押し出し量に応じて先端動作部12のグリッパ60は開くように動作する。押出部102にも引込部101と同様な円弧形状の凹部を形成し、指をより自然に当てるように構成してもよい。
図5Aに示すように、引込部101は、Z1側の端部近傍にY方向に貫通した一対の取付孔104a、104bを有し、Y1側の取付孔104aの内周面には、X方向及びZ方向に対応した4個の小径半球状の凹部105が形成されている。
押出部102は、Y方向の回転軸(中心軸)CLから偏心した外側面を有する多角柱(本実施形態の場合、4角柱)からなる軸部材106と(図6A参照)、該軸部材106の上下端面から突出した段付き円柱状の一対の取付部108a、108bとを有する。取付部108a、108bにはそれぞれ環状溝110が形成されている。
Y1側の取付部108aにおいて、環状溝110の下方(Y2側)の外周面には、前記凹部105に係合可能な4個の小径半球状の凸部112が形成されている。凸部112は、その内部に設けられた図示しない弾性部材により出没自在であり、所定の外力が付与されると取付部108aの外周面と面一の位置まで没する一方、通常時には前記外周面から半球状に突出するボールプランジャである。
従って、図5Bに示すように、各取付部108a、108bが各取付孔104a、104bに孔部100の内側から挿通され、取付孔104a、104bから外に出た各環状溝110にそれぞれEリング等の留め具114が係合されることにより、押出部102が引込部101に対して中心軸CLを中心として回転自在な状態で係合支持される。
この際、押出部102の各凸部112が、引込部101の各凹部105に係合されることにより、軸部材106は所定の回転位置に回転を規制された状態で固定される。この状態から、軸部材106を所定の回転方向に所定の外力で回転させようとすると、凸部112が前記弾性部材の付勢力に抗して埋没し、当該軸部材106を回転軸CLを中心として円滑に回転させることができ、凸部112を所定の凹部105に係合させることにより、軸部材106を再び固定することができる。
このようにトリガーレバー32では、凸部112及び凹部105の係合作用下に、軸部材106を回転軸CLを中心として所定角度回転させることができ、しかも当該軸部材106を所定の回転位置で容易に停止(固定)することができるインデックス機構を備えている。凸部112及び凹部105は、Y1側の取付部108a及び取付孔104aに代えて、Y2側の取付部108b及び取付孔104bに形成してもよく、又は両方に形成してもよい。
図6A〜図6Dは、インデックス機構により軸部材106を所定の回転位置で停止させた場合の孔部100周辺の状態を説明するための説明図である。
図6Aから諒解されるように、本実施形態の場合、前記インデックス機構を構成する凸部112と凹部105との係合位置にそれぞれ対応するように、各外側面111a〜111dが設けられている。各外側面111a〜111dはそれぞれ回転軸CLから異なる距離に設定されており、回転軸CLから各外側面111a〜111dへの距離(直線距離)La〜Ldは、La>Lb>Lc>Ld、と設定されている。
そこで、トリガーレバー32では、指入れ部である孔部100のZ方向での内壁面間の距離(幅)W(外側面111a等と引込部101の内壁面との間の距離。図2参照)を、軸部材106の回転位置(90°刻み)に応じて4通りに変更することができる。
前記距離Wは、外側面111aが孔部100の内壁面を構成するように設定された場合には、最も狭い距離Waとなり(図6A参照)、外側面111bが孔部100の内壁面を構成するように設定された場合には、2番目に狭い距離Wbとなり(図6B参照)、外側面111cが孔部100の内壁面を構成するように設定された場合には、2番目に広い距離Wcとなり(図6C参照)、外側面111dが孔部100の内壁面を構成するように設定された場合には、最も広い距離Wdとなる(図6D参照)。
つまり、トリガーレバー32は、前記インデックス機構による軸部材106の回転規制作用により、トリガーレバー32の孔部100の距離Wの大きさをWa〜Wdまでの4段階(Wd>Wc>Wb>Wa)に変更可能な調整機構を備えている。
なお、トリガーレバー32はグリップハンドル26に対して押し方向及び引き方向のいずれにも弾性付勢されていない。一般的なトリガーレバーは押出方向に弾性付勢されているが、このような弾性付勢をしないことにより、トリガーレバー32を引き方向及び押し方向に対して自然な操作が可能となると共に、長時間の操作でも疲れにくい。また、トリガーレバー32の触れ方については、癖や指の形状の個人差等があることから上記の操作に限定されないことはもちろんである。
以上のように、本実施形態によれば、トリガーレバー32の指入れ部である孔部100のZ方向(引き方向及び押方向)に係る距離Wの大きさを変更する調整機構を備えたことにより、孔部100の大きさ(寸法)を容易に調整することができる。このため、指の太さの異なる操作者に対して、それぞれに対応して適切な指入れ部を簡便に得ることができる。
すなわち、インデックス機構による軸部材106の回転規制作用下に、例えば、指の太い操作者が使用する場合には、外側面111dが孔部100の内壁面を構成する位置(図6D参照)となるように軸部材106の回転位置を設定する。これにより、指の太い操作者であっても、孔部100内で指先が窮屈に感じることなく、良好且つ正確な操作が可能となる(図7B参照)。一方、指の細い操作者が使用する場合には、外側面111aが孔部100の内壁面を構成する位置(図6A参照)となるように軸部材106の回転位置を設定する。これにより、指の細い操作者であっても、孔部100内で指先が余分な隙間によるガタツキを生じることなく、良好且つ正確な操作が可能となる(図7A参照)。もちろん、操作者の指の太さや使用感に応じて、軸部材106の回転位置を図6Bや図6Cに示す位置にも適宜変更可能である。
このように、トリガーレバー32では、操作者の指の太さや使用感等の個人差や手技の種類により適切に対応するように孔部100の距離Wを調整できるため、当該トリガーレバー32の操作性及び汎用性を向上させることができ、例えば、指のサイズに応じた各サイズのトリガーレバーを準備する必要がない。しかも、トリガーレバー32では、回転軸CLを中心とした軸部材106の回転動作によって距離Wを調整可能としているため、軸部材106が操作方向(Z方向)に移動することがなく、予め適切な寸法に設定した距離Wが当該トリガーレバー32の操作時に変化してしまうことがない。
従って、マニピュレータ10では、上記したトリガーレバー32を備えているため、操作者である医師等の指の太さや使用感等の違いに容易に対応することができ、さらに、操作者が手袋等をした状態であってもそれに応じた適切な距離Wに容易に設定変更することができる。このため、トリガーレバーの一層正確な操作が可能となり、先端動作部12をより正確に動作させることが可能となる。すなわち、マニピュレータ10によれば、指先を安定させ、細かい操作をすることができるため、先端動作部12のグリッパ60やはさみ等の開閉作業を正確に行うことができ、より正確な手技が可能となる。
なお、トリガーレバー32において、軸部材106は、上記した4角柱以外にも、例えば5角柱等、他の多角柱からなる外形であってもよく、要は回転軸CLから偏心した外形(外側面)を設定しておくことにより、孔部100の距離Wを調整可能であればよい。ここで、軸部材106を多角柱とする場合には、当該多角柱の角部以外の部分、すなわち軸部材106での外側面111a等が孔部100の内壁面を構成する位置に停止できるように、凸部112及び凹部105からなるインデックス機構を設定しておくことが好ましい。これにより、軸部材の角部が指に当たる状態となり、指先に過度な圧迫を生じることを有効に防止でき、一層良好な操作感を得ることができる。
図8に示すように、押出部102は、上記の多角柱以外の外形、例えば楕円形状(カム形状)からなる外形を有する軸部材120を備える押出部121とすることもできる。この場合には、凸部112及び凹部105の設置数を軸部材106の場合(図5A参照)よりも増加させ、例えば8ヶ所に設けることにより、一層細かな距離Wの調整が可能となる。
図9に示すように、凸部112及び凹部105からなるインデックス機構は、例えば、引込部101側にねじ孔122を設け、該ねじ孔122を介して止めねじ124によって軸部材106の回転を停止させるように構成することもできる。この場合、止めねじ124による螺合位置によって、軸部材106の回転位置を略無段階に設定することもできるが、使用時のすべり等の防止するために、軸部材106側に止めねじ124が係合される凹部125を複数設けておいてもよい。
図10に示すように、本実施形態に係るトリガーレバー32は、軸部材106及び引込部101に代えて、押出部126及び引込部128を有するトリガーレバー130として構成することもできる。
押出部126は、軸部材106と比較して、取付部108aと凸部112(図5A参照)を省略した取付部131とすると共に、取付部108bを省略してY2側端面にねじ孔136を形成した軸部材134を有する。
引込部128には、軸部材134が着座してZ方向に移動自在な一対の溝部140a、140bを有し、各溝部140a、140bの底部にはそれぞれ長孔142、143が貫通している。Y1側の長孔142には取付部131が挿通される一方、Y2側の長孔143には、ワッシャ145を介して外面側から止めねじ144が挿通され、ねじ孔136に螺合される。
従って、トリガーレバー130では、軸部材134を溝部140a、140bに沿ってZ方向に容易に移動させることができ、止めねじ144とねじ孔136との螺合作用下に、軸部材134をZ方向での所定位置にて固定することができ、これにより、孔部100の距離Wの調整機構を備え、孔部100の距離Wを容易に変更することができる。
図11A〜図11Cに示すように、押出部102を構成する取付部108aの取付孔104aへの装着は、例えば、取付孔104aの一側部に取付部108aの外径より狭幅の溝180を形成すると共に、該溝180を弾性的に拡幅可能に構成し(図11B参照)、取付部108aを取付孔104a内へと側方から嵌め込むように構成することもできる(図11C参照)。もちろん、取付部108b、131、取付孔104b及び長孔142とについても同様に構成可能である。この場合、押出部102を引込部101に対して簡便に着脱できるため、例えば、洗浄時や押出部102の他の外形のものへの交換時等に特に有効である。
図12に示すように、押出部102を構成する軸部材106は必ずしも両端支持である必要はなく、例えば押出部102は、下端側の取付部108bだけが引込部101で支持される軸部材182を有した押出部184として構成することもできる。もちろん、軸部材120、134についても同様である。この場合、軸部材182の上端と引込部101との間に隙間を設けることができ、該隙間を孔部100への指の出し入れに有効に利用することができ、取扱容易性を一層向上させることができる。
本実施形態に係る操作機構は、マニピュレータ以外、例えば、電動機構を有さない従来構成の鉗子器具にも適用することができる。
図13に示すように、医療用器具である鉗子150は、支点152を基準として先端動作部であるグリッパ154を操作部(操作機構)156の開閉操作により開閉動作させることができるものであり、すなわち、操作部156にはトリガーレバー32(130)と同様な機構である引込部101(126)及び押出部102(128)が設けられている。これにより、鉗子150においても、操作者の指の太さや使用感等の個人差に適切に対応するように孔部100の距離Wを調整でき、当該鉗子150の操作性及び汎用性を向上させることができる。
同様に、図14に示すように、医療用器具である鉗子170は、連結シャフト172内を通過するワイヤ174を介して先端動作部であるグリッパ176を操作部(操作機構)178の開閉操作により開閉動作させることができるものである。この場合にも、操作者の指の太さや使用感等の個人差に適切に対応するように孔部100の距離Wを調整でき、当該鉗子170の操作性及び汎用性を向上させることができる。
上記実施形態は、例えば図15に示すような医療用ロボットシステム300に適用してもよい。
医療用ロボットシステム300は、多関節型のロボットアーム302と、コンソール304とを有し、作業部306はロボットアーム302の先端に接続されている。ロボットアーム302の先端には前記のマニピュレータ10と同様な機構を有するマニピュレータ308が設けられている。ロボットアーム302は、作業部306を移動させる手段であればよく、据置型に限らず、例えば自律移動型でもよい。コンソール304は、テーブル型、制御盤型等の構成を採りうる。
ロボットアーム302は、独立的な6以上の関節(回転軸やスライド軸等)を有すると、作業部306の位置及び向きを任意に設定できて好適である。先端のマニピュレータ308は、ロボットアーム302の先端部310と一体化している。マニピュレータ308は、前記のアクチュエータブロック30(図1参照)の代わりに、基端側が前記先端部310に連結されると共に、内部にモータ40、42及び44(図15では図示せず)を収納したアクチュエータブロック312を有する。
ロボットアーム302は、コンソール304の作用下に動作し、プログラムによる自動動作や、コンソール304に設けられたジョイスティック314に倣った操作、及びこれらの複合的な動作をする構成にしてもよい。コンソール304は、前記のコントローラ45(図1参照)の機能を含んでいる。作業部306には、前記の先端動作部12が設けられている。
コンソール304には、操作指令部としての2つのジョイスティック314と、モニタ316が設けられている。図示を省略するが、2つのジョイスティック314により、2台のロボットアーム302を個別に操作が可能である。2つのジョイスティック314は、両手で操作しやすい位置に設けられている。モニタ316には、内視鏡による画像等の情報が表示される。
ジョイスティック314は、上下動作、左右動作、捻り動作、及び傾動動作が可能であり、これらの動作に応じてロボットアーム302を動かすことができる。ジョイスティック314はマスターアームであってもよい。ロボットアーム302とコンソール304との間の通信手段は、有線、無線、ネットワーク又はこれらの組合わせでよい。
このようなジョイスティック314はロボットアーム302及びマニピュレータ308を操作する操作機構を構成し、当該ジョイスティック314には、トリガーレバー32(130)と同様な機構、すなわち、引込部101(128)及び押出部102(126)を備えるトリガーレバー320が設けられている。該トリガーレバー320を操作することにより、先端動作部12を動作させることができる。従って、このような医療用ロボットシステム300においても、操作者の指の太さや使用感等の個人差に適切に対応するようにトリガーレバー320を構成する孔部100の距離Wを調整でき、ジョイスティック314の操作性及び汎用性が向上し、ロボットアーム302及びマニピュレータ308の一層正確な操作が可能となる。
上記実施形態では、押出部102(121、126)側を回転(移動)させることにより、指入れ部である孔部100の距離Wを変更するものとして説明したが、これに限らず、引込部101側を移動等させるように構成してもよく、また押出部102及び引込部101の両方を移動等可能に構成してもよい。
本発明に係る操作機構及び該操作機構を備える医療用器具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施の形態に係るマニピュレータの斜視図である。 作業部と操作指令部とを分離したマニピュレータの側面図である。 複合入力部の表面部を示す図である。 本実施の形態に係る操作機構及びその周辺部の斜視図である。 図5Aは、トリガーレバーを拡大した一部切欠分解斜視図であり、図5Bは、図5Aに示すトリガーレバーの斜視図である。 図6Aは、インデックス機構により軸部材を所定の回転位置で停止させた場合の孔部周辺の状態を説明するための説明図であり、図6Bは、図6Aに示す状態から軸部材を90°回転させた状態での説明図であり、図6Cは、図6Bに示す状態から軸部材を90°回転させた状態での説明図であり、図6Dは、図6Cに示す状態から軸部材を90°回転させた状態での説明図である。 図7Aは、指の細い操作者に対応するように押出部と引込部との間の距離を変更した状態を示す側面図であり、図7Bは、指の太い操作者に対応するように前記距離を変更した状態を示す側面図である。 トリガーレバーを構成する押出部の第1変形例を示す分解斜視図である。 インデックス機構の変形例を示す分解斜視図である。 変形例に係るトリガーレバーの分解斜視図である。 図11Aは、押出部と引込部の装着構造に係る変形例での装着前の状態を示す一部省略平面図であり、図11Bは、図11Aに示す状態から押出部と引込部を装着している途中の状態での一部省略平面図であり、図11Cは、図11Bに示す状態から押出部と引込部を装着した状態での一部省略平面図である。 押出部の第2変形例を示す斜視図である。 操作機構の鉗子への適用例を示す平面図である。 操作機構の別の形態の鉗子への適用例を示す平面図である。 マニピュレータをロボットアームの先端に接続した医療用ロボットシステムの概略斜視図である。
符号の説明
10、308…マニピュレータ 12…先端動作部
14…操作指令部 16、306…作業部
26…グリップハンドル 32、130、320…トリガーレバー
60、154、176…グリッパ 100…孔部
101、128…引込部 102、121、126、184…押出部
104a、104b…取付孔 105、125…凹部
106、120、134、182…軸部材
108a、108b、131…取付部
111a〜111d…外側面 112…凸部
150、170…鉗子 156、178…操作部
300…医療用ロボットシステム

Claims (8)

  1. 指を当てて引き方向及び押し方向に操作する操作機構であって、
    前記引き方向に操作する際に指を当てる引込部と、
    前記押し方向に操作する際に指を当てる押出部と、
    を有し、
    前記引込部と押出部との間の距離を変更する調整機構を備えることを特徴とする操作機構。
  2. 請求項1記載の操作機構において、
    当該操作機構は、人手によって把持されるグリップハンドルに対して進退可能なトリガーレバーであることを特徴とする操作機構。
  3. 請求項1又は2記載の操作機構において、
    少なくとも前記引込部又は前記押出部のいずれか一方は、前記引き方向及び前記押し方向と交差する方向に回転軸を有し、該回転軸に対して偏心した外形からなる軸部材を備えることを特徴とする操作機構。
  4. 請求項3記載の操作機構において、
    前記回転軸を中心として前記軸部材を回転した場合に、該軸部材を所定の回転位置で停止させるインデックス機構を備えることを特徴とする操作機構。
  5. 請求項4記載の操作機構において、
    前記軸部材の外形が多角柱とされ、
    前記軸部材が前記インデックス機構により所定の回転位置で停止された状態では、前記多角柱の角部以外の外側面が、前記引込部と押出部との間で指を入れる指入れ部の内壁面を構成することを特徴とする操作機構。
  6. 請求項4記載の操作機構において、
    前記軸部材の外形が多角柱とされ、
    前記インデックス機構は、前記軸部材の外側面の数に対応する停止位置を有することを特徴とする操作機構。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の操作機構と、
    前記操作機構が設けられる筐体部から延在するシャフトと、
    前記シャフトの先端に設けられ、前記操作機構が操作されることにより動作する先端動作部と、
    を備えることを特徴とする医療用器具。
  8. 請求項7記載の医療用器具において、
    当該医療用器具は、前記操作機構での操作が、少なくとも一部に電動機構を有する駆動部を介して前記先端動作部へと伝達されるマニピュレータであることを特徴とする医療用器具。
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