JP2009192044A - モータ駆動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】何らかの要因によりパワートレインに作用する負荷が急増して破損を生じたときでも、最小限のコストにより修理することができるモータ駆動車両を提供する。
【解決手段】モータの出力軸15及び減速機の入力軸22に対して円筒状のジョイント部材13を外嵌してスプライン係合し、ジョイント部材13の外周に全周に亘って凹溝33を形成することにより、局所的な強度低下を生じた脆弱部34を設ける。悪路で車両がスタックして後輪のロックによりパワートレインに急激な負荷が作用したときに、パワートレインの他の部材に先行して凹溝33を境界としてジョイント部材13の脆弱部34を破断させ、修理コストが高いパワートレインの他の部材の破損を防止する。
【選択図】図3

Description

本発明はバッテリや燃料電池により作動するモータを駆動源とし、モータの駆動力を減速機を介して駆動輪に伝達して走行するモータ駆動車両に関するものである。
バッテリを電源として走行用モータを作動させる電気自動車、或いは燃料電池を電源として走行用モータを作動させる燃料電池車(以下、モータ駆動車両と総称する)では、例えばモータの出力軸を減速機の入力軸に連結し、減速機の出力軸をディファレンシャルギヤやドライブシャフト等を介して駆動輪側と連結してパワートレインを構成している。減速機としては、純然たる減速機能のみを有するものや変速機能を兼ね備えたものがあるが、何れにしても走行に必要な駆動力を確保すべくモータの回転を減速して駆動力を増大する必要があることから、そのためにモータ駆動車両は減速機を備えている。
この種のモータ駆動車両において、モータの出力軸と減速機の入力軸との連結箇所には一般にスプラインが利用されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1には電気自動車が開示されているが、モータの出力軸と減速機の入力軸との何れか一方に雄側のスプラインを形成し、何れか他方に雌側のスプラインを形成し、雌側のスプラインに雄側のスプラインを挿入係合させて動力伝達を可能としている。
「HONDA R&D Technical Review」1997年,第9巻,p4
ところで、モータ駆動車両に限らずエンジンを駆動源とした車両でも同様であるが、例えば、悪路等を走行中に駆動輪の一方が轍にスタックして急激にロックしたとき等には、モータから駆動輪までのパワートレインに作用する負荷が通常の駆動力伝達時より急激に増大し、このときの負荷が過大であればパワートレインの一部が破損してしまう。エンジンを駆動源とした車両では、パワートレイン中に設けられているクラッチやトルクコンバータ等の箇所で滑りが生じることにより、破損に至る可能性は比較的低い。しかしながら、任意に停止可能なモータを駆動源とするモータ駆動車両では、パワートレイン中にクラッチやトルクコンバータ等を備えない場合が多く、結果として急増した負荷が逃されることなくパワートレインに直接的に作用して、最も強度的に弱い部位が破損に至る可能性が高い。
パワートレインを構成する部品には、ドライブシャフト等のような高額部品、或いは減速機の内部ギヤ等のように交換作業が非常に煩雑な部品があるため、上記現象によりパワートレインの何れかの部品が破損するとしても、これらの修理コストが高額となる部品の破損は可能な限り避けることが望ましい。
ところが、上記特許文献1のモータ駆動車両は、このような要請を何ら考慮することなく、モータの出力軸と減速機の入力軸との連結箇所を含めたパワートレインの全ての箇所が、単にモータ駆動力を伝達する強度確保に留意して製作されているに過ぎない。よって、何れの部品が破損するかは各部品の強度によって自ずと定まってしまい、上記のような高額部品や交換し難い部品の破損により修理コストが高騰してしまうという問題が発生していた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、何らかの要因によりパワートレインに作用する負荷が急増して破損を生じたときでも、最小限のコストにより修理することができるモータ駆動車両を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、モータの駆動力を減速機を介して駆動輪に伝達するモータ駆動車両において、モータの出力軸の先端と減速機の入力軸の先端とを相対向させて、出力軸及び入力軸の外周にそれぞれスプラインを形成し、出力軸及び入力軸に筒状をなすジョイント部材を外嵌すると共に、ジョイント部材の内周にスプラインを形成して出力軸及び入力軸のスプラインに係合させ、ジョイント部材に局所的な強度低下を生じる脆弱部を設けたものである。
従って、例えば悪路で車両がスタックして、駆動輪のロックによりモータ及び減速機を含むパワートレインに急激な負荷が作用したときには、パワートレインの他の部材に先行してジョイント部材の脆弱部が破断する。従って、その時点でジョイント部材を介した駆動力の伝達が中止されて、パワートレインの他の部材に負荷が作用しなくなり破損が未然に防止される。そして、ジョイント部材は安価であり、且つ、モータ及び減速機の脱着により容易に交換可能なため、例えば高額部品であるドライブシャフトが破損した場合、或いは交換し難い減速機の内部ギヤ等が破損した場合等に比較して安価なコストで修理可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、脆弱部を、ジョイント部材の外周に形成された凹溝により肉厚が減少した箇所としたものである。
従って、例えばジョイント部材の外周を旋削する際等に凹溝を同時に加工可能なため、ジョイント部材の製造工程を煩雑化することなく脆弱部を設けることが可能となる。
請求3の発明は、請求項1または2において、脆弱部が、ジョイント部材の軸線方向において出力軸の先端と入力軸の先端とが相対向する領域と略対応しているものである。
動力伝達時のジョイント部材は、軸線方向において出力軸や入力軸のスプライン係合していない領域、換言すれば出力軸の先端と入力軸の先端とが相対向する領域で大きな捻り力を受ける。この領域に対してジョイント部材の脆弱部が略対応していることから、駆動輪のロック等による負荷を脆弱部に確実に作用させて破断可能となる。
請求4の発明は、請求項1乃至3において、出力軸の先端と入力軸の先端とを離間させ、先端間の領域の略中央にジョイント部材の脆弱部を位置させたものである。
出力軸及び入力軸に対してスプライン係合しているジョイント部材が軸線方向に変位したり、加工誤差によりジョイント部材上の脆弱部の位置が軸線方向にずれたりしても、脆弱部は出力軸及び入力軸の先端間の領域と常に対応するため、駆動輪のロック等による負荷を脆弱部に確実に作用させて破断可能となる。
以上説明したように請求項1の発明のモータ駆動車両によれば、何らかの要因によりパワートレインに作用する負荷が急増したときに、修理コストの安価なジョイント部材の脆弱部を他の部材に先行して破断させるため、最小限のコストにより修理することができる。
請求項2の発明のモータ駆動車両によれば、請求項1に加えて、ジョイント部材のコストを一層低減することができる。
請求項3,4の発明のモータ駆動車両によれば、請求項1または2に加えて、負荷を脆弱部に確実に作用させて破断でき、もってパワートレインの他の部材の破損を一層確実に防止することができる。
以下、本発明を電気自動車に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の電気自動車のパワートレインの搭載状態を示す斜視図である。本実施形態の電気自動車は、後輪1の直前に走行用のモータ2を搭載して後輪1を駆動するリアミッドシップ形式が採用されている。車両のパワートレインは、モータ2、減速機3、ディファレンシャルギヤ4、ドライブシャフト5等から構成されており、車両後方より見て、モータ2の右側に減速機3が連結されている。減速機3の下側後方にはディファレンシャルギヤ4が配設され、ディファレンシャルギヤ4は左右に接続されたドライブシャフト5を介して左右の後輪1に連結されている。これにより、モータ駆動時には、モータ2の回転が減速機3により減速されてディファレンシャルギヤ4に伝達され、このディファレンシャルギヤ4によりさらに減速されながら左右に分岐されて、ドライブシャフト5を経て左右の後輪1に伝達される。
本実施形態では、モータ2として永久磁石式同期型モータが使用されている。モータ2は発電機としても機能し、車両減速時において後輪1側よりモータ2が逆駆動されて交流電流を発生すると共に、それに伴う回生制動トルクによりエンジンブレーキに相当する制動力を生じる。一方、減速機3は変速機能を備えず、内部ギヤ比に応じた減速機能を奏するものが使用される。但し、これらの設定に限定されるものではなく、モータ2の種類や仕様を変更したり、或いは減速機3に変速機能を付加したりしてもよい。
上記モータ2、減速機3及びディファレンシャルギヤ4の上方位置には、モータ2を駆動するインバータ6、及び家庭用100V電源や三相交流200V電源からバッテリを充電する充電器7が設置されている。また、車両の床下には、モータ2の駆動電源としてリチウムイオンバッテリ8が搭載されている。
インバータ6によるモータ2の駆動、及び充電器7によるバッテリ8の充電は、車室内に設置された図示しないコントローラにより制御される。例えば車両走行時において、コントローラは運転者によるアクセル操作量等の検出情報に基づき力行トルク指令値を算出し、バッテリ8からの高圧直流電流をインバータ6により交流電流に変換してモータ2に供給し、これによりモータ2に駆動力を発生させて車両を走行させる。また、アクセルオフによる車両減速時には、モータ2で発生した交流電流をインバータ6により直流電流に変換してバッテリ8に充電する。一方、バッテリ8の充電時には、充電器7の充電電流をバッテリ8の端子電圧や温度等に応じて調整する充電制御を行う。
ところで、悪路等を走行中に後輪1の一方が轍にスタックして急激にロックしたとき等には、モータ2から後輪1までのパワートレインに作用する負荷が急増して破損する虞が生じ、例えばドライブシャフト5等の高額部品、或いは減速機3の内部ギヤ等の交換作業が煩雑な部品が破損した場合には、修理コストが高騰してしまう。その対策として本実施形態では、モータ2と減速機3との連結箇所に強度的に弱い部位を設けて、この部位を他の部材に先行して破損させるように配慮している。そこで、以下に当該モータ2と減速機3との連結箇所の構造、及びこれによる作用効果について述べる。
図2はモータ2と減速機3との連結箇所を示す部分断面図、図3はジョイント部材による軸の連結状態を示す図2の部分拡大図、図4はスプラインと凹溝とを示す図3のIV−IV線断面図である。図2,3はモータ2及び減速機3を車両後方より見た図に相当し、モータ2が左側に、減速機3が右側に位置している。モータ2のハウジング11の右側には右方に開口するカップ状をなすベルハウジング11aが一体形成され、ベルハウジング11aの端面が減速機3側のハウジング12に対して図示しないボルトで締結されることで、モータ2と減速機3とが一体化されている。以下に詳述するように、このベルハウジング11a内で、モータ2の出力軸の先端(図2,3に示す右端)と減速機3の入力軸の先端(図2,3に示す左端)とがジョイント部材13を介して相互に連結されている。
モータ2のハウジング11内には一対のベアリング14(右側のみ図示)により出力軸15が回転可能に支持されている。図示はしないが、ハウジング11内において出力軸15には永久磁石を備えたロータが取り付けられ、ロータの周囲にはステータが配設され、これによりモータ2が構成されている。出力軸15の先端はオイルシール16を介してベルハウジング11a内に突出し、突出箇所の基端側には断面半円状をなす逃げ溝17が全周に亘って形成されている。出力軸15の上記ベアリング14で支持された軸受部18に比して、逃げ溝17より先端側は若干小径に設定されて外周にスプライン19が形成され、スプライン19の先端側には面取り20が形成されている。なお、逃げ溝17は、出力軸15にスプラインを加工する際の工具の逃げとして利用されるものである。
減速機3のハウジング12内には、一対のベアリング21(左側のみ図示)により入力軸22が回転可能に支持されている。図示はしないが、ハウジング12内において入力軸22は上記減速比を達成するためのギヤ機構に接続され、入力軸22の先端はオイルシール23を介してモータ2のベルハウジング11a内に突出している。減速機3の入力軸22はモータ2の出力軸15と同一軸線上に位置して、その先端を出力軸15の先端に対して僅かな間隙を介して相対向させている。全体として入力軸22のベルハウジング11a内への突出箇所は、モータ2の出力軸15と比較して左右対称の略同一形状をなしている。即ち、入力軸22の突出箇所の基端側には断面半円状をなす逃げ溝24が全周に亘って形成され、入力軸22の上記ベアリング21で支持された軸受部25に比して、逃げ溝24より先端側は若干小径に設定されて外周に上記出力軸15と同一形状のスプライン26が形成され、スプライン26の先端側には面取り27が形成されている。
モータ2の出力軸15及び減速機3の入力軸22には、筒状をなすジョイント部材13が外嵌されている。ジョイント部材13の内周にはスプライン31が形成され、スプライン31は出力軸15及び入力軸22のスプライン19,26とそれぞれ係合している。これにより出力軸15と入力軸22とはジョイント部材13により相対回転を規制され、上記のようにモータ駆動時にはジョイント部材13を介して出力軸15から入力軸22への動力伝達が行われ、車両減速時にはジョイント部材13を介して入力軸22から出力軸15への動力伝達が行われる。ジョイント部材13のスプライン27の内径は、出力軸15及び入力軸22の軸受部18,25の外径より若干小さく、ジョイント部材13は両軸受部18,25間に軸線方向への若干の遊びをもって位置すると共に、両軸受部18,25により軸線方向への移動を規制されている。なお、このジョイント部材13の軸線方向の遊びは、出力軸15と入力軸22との位置誤差を許容するためのものである。
モータ2の出力軸15の先端及び減速機3の入力軸22の先端の相対向する面には、それぞれ半球状のグリス溜まり32が凹設されている。これらのグリス溜まり32にはグリスが封入され、グリスによりスプライン19,26,31間を潤滑してフレッティング摩耗の抑制を図っている。
一方、ジョイント部材14の外周には全周に亘って断面三角状をなす1条の凹溝33が形成され、ジョイント部材13の軸線方向における凹溝33の位置は、出力軸15及び入力軸22の先端が相対向する位置と一致している。凹溝33の形成によりジョイント部材13の凹溝33の箇所は肉厚が減少して局所的な強度低下を生じており、以下、この箇所を脆弱部34と称する。例えば凹溝33は、ジョイント部材13の外周を旋削する際等に同時に加工可能なため、ジョイント部材13の製造工程を煩雑化することなく設けることができる。
ここで、ジョイント部材13を介した出力軸15及び入力軸22間の動力伝達をさらに詳述すると、モータ2の駆動力は出力軸15からスプライン19,31を経て一旦ジョイント部材13に伝達され、このジョイント部材13からスプライン26,31を経て減速機3の入力軸22に伝達される。逆の場合も同様に、後輪1からの駆動力は減速機3の入力軸22からスプライン26,31を経て一旦ジョイント部材13に伝達され、このジョイント部材13からスプライン19,31を経てモータ2の出力軸15に伝達される。
このため、動力伝達時のジョイント部材13は、軸線方向において出力軸15や入力軸22のスプライン係合していない領域、換言すれば出力軸15の先端の面取り20から入力軸22の先端の面取り27までに亘る領域Eで大きな捻り力を受け、必然的に領域Eで発生する応力は、出力軸15や入力軸22にスプライン係合している他の箇所に比較して格段に大きくなる。ジョイント部材13の凹溝33の位置が領域Eと一致することにより、自ずと脆弱部34が領域Eと対応することになる。
但し、必ずしも脆弱部34を領域Eと完全に対応させる必要はなく、例えば領域Eの近接位置に脆弱部34を設けてもよく、このような態様まで本発明は含んでいる。
凹溝33の断面形状は、以下の要件を満たす脆弱部34の強度を達成するように設定されている。
基本的に凹溝33の深さを増加させるほど、ジョイント部材13の肉厚の減少により脆弱部34の強度は低下し、また、凹溝33の断面形状の内周側の角度を鋭角にするほど、応力集中により脆弱部34の強度は低下する傾向となる。このような凹溝33の断面形状と脆弱部34の強度との関係を考慮した上で、通常の車両走行中においてジョイント部材13が伝達する最大限の駆動力にも脆弱部34が破断することなく十分に耐え、且つ、悪路で車両がスタックしたときの後輪1のロックによりパワートレインに急激な負荷が作用したときには、パワートレインの他の部材、例えばドライブシャフト5や減速機3の内部ギヤ等が破損に至る以前の段階で、凹溝33を境界として脆弱部34が確実に破断するように、凹溝33の断面形状が設定されている。
次に、以上のように構成されたモータ駆動車両において、悪路でのスタックにより後輪1がロックしたときのジョイント部材13の作用について説明する。
通常の車両走行中には、ジョイント部材13の脆弱部34の強度を越えるような動力伝達は発生しないことから、ジョイント部材13は脆弱部34を破断させることなくモータ2の出力軸15側から減速機3の入力軸22側への動力伝達、或いは減速機3の入力軸22側からモータ2の出力軸15側への動力伝達を支障なく行う。
そして、例えば悪路で車両がスタックして後輪1のロックによりパワートレインに急激な負荷が作用したときには、パワートレインの他の部材に先行してジョイント部材13の脆弱部34が凹溝33を境界として確実に破断する。従って、その時点でジョイント部材13を介した駆動力の伝達が中止されて、パワートレインの他の部材に負荷が作用しなくなるため、例えばドライブシャフト5や減速機3の内部ギヤ等の破損が未然に防止される。
そして、ジョイント部材13が破損したときには、車両よりモータ2及び減速機3を降ろした上で、これらのモータ2と減速機3とを分離してジョイント部材13を交換することになるが、ジョイント部材13はドライブシャフト5等と比較して格段に安価であり、且つ、ジョイント部材13を交換するにはモータ2及び減速機3の脱着を要するものの、内部ギヤの破損時のような減速機3の分解までは必要ないため、交換作業が比較的容易である。よって、ドライブシャフト5や減速機3の内部ギヤが破損した場合に比較して、格段に安価なコストにより修理することができる。
特に本実施形態では、動力伝達時に直接的に捻り力を受けるジョイント部材13の領域Eと一致する位置に凹溝33を形成することで脆弱部34を領域Eと対応させているため、後輪1のロックによる負荷を脆弱部34に確実に作用させて破断させることができ、結果としてパワートレインの他の部材の破損を一層確実に防止することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では電気自動車に具体化したが、適用する車両はこれに限定されるものではなく、モータ2を駆動源として減速機3を介して車輪を駆動して走行するモータ駆動車両であればよい。従って、例えば燃料電池によりモータ2を作動させる燃料電池車両、或いは、エンジンで発電機を駆動して、発電した電力によりモータ2を作動させるシリーズ式ハイブリッド車両に適用してもよい。また、モータ2を車両前側に搭載して前輪を駆動するように構成してもよい。
また、ジョイント部材13の構成についても上記実施形態に限らず種々に変更可能であり、以下にジョイント部材13の別例について順次説明する。
まず、ジョイント部材13の凹溝33の断面形状を変更してもよい。例えば、図5に示すように断面半円状の凹溝33を形成したり、図6に示すように断面四角状の凹溝33を形成したりしてもよい。また、必ずしも凹溝33は1条である必要はないし、ジョイント部材13の全周に亘って連続させる必要もない。従って、2条の凹溝33を隣接して形成したり、或いは凹溝33をジョイント部材13の周方向に不連続に形成したりしてもよい。
また、上記説明のように、脆弱部34は、動力伝達時に直接的に捻り力を受けるジョイント部材13の領域Eに対応して設けることが望ましい。しかしながら、ジョイント部材13の軸線方向の遊びの範囲内で脆弱部34の位置は変位し、また、凹溝33の加工誤差によりジョイント部材13上の脆弱部34の位置が軸線方向にずれることもあり、これらの場合には脆弱部34が領域Eと一致しない可能性もある。そこで、図7に示すように、出力軸15の先端と入力軸22の先端とを離間させて領域Eを拡大するとともに、その領域Eの軸線方向の略中央に脆弱部34が位置するように凹溝33を形成してもよい。このように構成すれば、たとえジョイント部材13が遊びの範囲内で軸線方向に変位しても、或いは凹溝33に多少の加工誤差があっても、脆弱部34は常に領域Eと対応し、後輪1のロック時に脆弱部34を確実に破断させることができる。
また、凹溝33の形成以外の手法によりジョイント部材13に脆弱部34を設けてもよい。例えば図8に示すように、ジョイント部材13に多数の貫通孔41を周方向に列設してもよく、この場合でも、ジョイント部材13の貫通孔41の箇所は局所的な強度低下を生じて脆弱部34として機能する。
実施形態の電気自動車のパワートレインの搭載状態を示す斜視図である。 モータと減速機との連結箇所を示す部分断面図である。 ジョイント部材による軸の連結状態を示す図2の部分拡大図である。 スプラインと凹溝とを示す図3のIV−IV線断面図である。 断面半円状の凹溝を形成した別例を示す部分拡大図である。 断面四角状の凹溝を形成した別例を示す部分拡大図である。 出力軸と入力軸とを離間させて略中央に脆弱部を設けた別例を示す部分拡大図である。 ジョイント部材に多数の貫通孔を列設して脆弱部とした別例を示す部分拡大図である。
符号の説明
1 後輪(駆動輪)
2 モータ
3 減速機
13 ジョイント部材
15 出力軸
22 入力軸
19,26,31 スプライン
33 凹溝
34 脆弱部

Claims (4)

  1. モータの駆動力を減速機を介して駆動輪に伝達するモータ駆動車両において、
    上記モータの出力軸の先端と上記減速機の入力軸の先端とを相対向させて、該出力軸及び入力軸の外周にそれぞれスプラインを形成し、該出力軸及び入力軸に筒状をなすジョイント部材を外嵌すると共に、該ジョイント部材の内周にスプラインを形成して上記出力軸及び入力軸のスプラインに係合させ、該ジョイント部材に局所的な強度低下を生じる脆弱部を設けたことを特徴とするモータ駆動車両。
  2. 上記脆弱部は、上記ジョイント部材の外周に形成された凹溝により肉厚が減少した箇所であることを特徴とする請求項1記載のモータ駆動車両。
  3. 上記脆弱部は、上記ジョイント部材の軸線方向において上記出力軸の先端と入力軸の先端とが相対向する領域と略対応していることを特徴とする請求項1または2記載のモータ駆動車両。
  4. 上記出力軸の先端と入力軸の先端とを離間させ、該先端間の領域の略中央に上記ジョイント部材の脆弱部を位置させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のモータ駆動車両。
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