JP2009191291A - 自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体及びその製造方法 - Google Patents

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義彦 岡本
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Abstract

【課題】セラミックス部品の本体の機械的、化学的特性は維持しつつ、その表面にのみ持続的な低摩擦性摺動層、すなわち自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス構造体の所定の表面に高融点金属法により密着性に優れた金属皮膜を形成し、前記金属皮膜上にめっき法により中間保護層としてニッケルめっき層を形成し、前記中間保護層上にめっき法によりニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を形成して、セラミック構造体の表面に密着性に優れた自己潤滑性皮膜を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種機械製品等における摺動面を必要とする部品に用いて好適な自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体及びその製造方法に関するものである。
周知のように、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスなどのセラミックスは、非常に高い硬度、弾性率を持ち、かつ耐化学性にも優れている。かかるセラミックスは、前記特性が注目され、各種機械製品の部品として広く利用され始めている。
セラミックスは、前述のように、高硬度、高弾性率、優れた耐化学性を有することから、静的な構造部品としてばかりでなく、動的な部品、すなわち摺動面を必要とする部品にも使用する試みがなされている。例えば、油圧アクチュエータや、油圧ポンプなどにおける摺動面を持つ部品、すなわち、シリンダライナーやピストンリングなどの摩擦摺動面を必要とする部品への応用である。
前述の摩擦摺動面を必要とする部品をセラミックスを用いて構成する場合、最も問題となるのが、良質な摺動面を如何に形成するかという点である。これに対して、従来、摺動面の形成方法として、(i)セラミックス部品の摺動面としたい箇所を機械的に鏡面研磨して摩擦抵抗を下げる、(ii)前記摺動面としたい箇所に固体皮膜潤滑剤を塗布する、(iii)前記摺動面としたい箇所にテフロン(登録商標)等の潤滑性に富む材料から形成したブッシュを嵌め込む、という3つの方法が提案されている。
しかし、前記(i)の方法では、機械的研磨であるため、面積の小さい箇所、形状が複雑な箇所などには実施できず、鏡面研磨の適用上の制約は大きい。また、前記(ii)の方法では、固体皮膜潤滑剤は消耗度が早く、表面潤滑性を継続的に維持できない。さらに、前記(iii)の方法では、ブッシュの填め込み構造の精度を高めることが困難であり、適用先が軸受け部などの特殊な箇所に限られる。したがって、従来提案の3つの方法では、実用に供し得るセラミックス製の摺動部材を得ることはできない。
これに対して、近年、セラミックスの組織内に固体潤滑機能を持つ金属酸化物を複合することにより、セラミックス表面の低摩擦性を実現する技術が提案されている(特許文献1)。この特許文献1に開示の技術では、まず、セラミックス材料である金属酸化物粉末にこの金属酸化物粉末とは異なる金属粉末を混合して成形した成形体を、不活性雰囲気中で焼結する。そして、得られた焼結体に酸素を含む雰囲気中で熱処理を施す。これにより、アルミナなどの酸化物セラミックスの母相中に母相とは異なる金属元素からなる金属相が分散され、金属相の少くとも露出面が金属酸化物になり、この露出した金属酸化物相が潤滑性を与える。
特開2001−58868号公報
前記特許文献1に開示の低摩擦セラミックスでは、表面の低摩擦性を実現するために、セラミックス母材全体に金属粉末を混合し、この混合セラミックス粉末材料を焼結することによって、セラミックス製品を得ている。すなわち、このセラミックスでは、表面の低摩擦性を実現するためにのみ必要な金属粉末がセラミックス母材全体に分散され、セラミックス母材の一成分を構成している。従って、セラミックスの機械的特性、化学的特性は、一成分である金属粉末によって、多かれ少なかれ影響を受けることになる。この特許文献1に記載のように、金属製部品の表面に、このセラミックスをプラズマ熔射などにより皮膜状に形成して、得られたセラミックス皮膜を金属製部品の表面摺動層として使用する用途であれば、実用上の問題はないと思われる。しかしながら、この特許文献1に提案のセラミックスは、セラミックスをブロック状の部品として用いる場合で、そのセラミックス部品の本体の機械的、化学的特性は維持しつつ、その表面にのみ低摩擦性摺動層を形成する目的には、不適である。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、セラミックス部品の本体の機械的、化学的特性は維持しつつ、その表面にのみ持続的な低摩擦性摺動層、すなわち自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意、実験、検討を重ねたところ、以下のような知見を得るに到った。
(1)セラミックス部品の本体の機械的、化学的特性を維持しつつ、その表面にのみ低摩擦摺動性を付与するためには、セラミックスの母材の組成には変更を加えずに、表面に低摩擦摺動層を別途形成することが好ましい。
(2)剥離が困難な皮膜形成方法としては、メッキ法があり、メッキ法を使うことができれば、電解共析法により自己潤滑性の皮膜を形成することが可能となる。
(3)共析法により形成される皮膜で、自己潤滑性機能を有し、かつ表面硬度が高いものとして、ニッケル−二硫化モリブデン共析物による皮膜が有望である。
(4)セラミックス部品の表面に皮膜を形成する場合、セラミックス表面層は、反応性が低いので、直接皮膜を形成することは難しい。そこで、セラミックス表面に強固な金属皮膜を形成できれば、メッキ法により前記ニッケル−二硫化モリブデン共析物皮膜を形成できる。
(5)高融点金属(メタライジング)法によりセラミックス表面に密着性の高い金属皮膜(モリブデン・マンガン)を形成することができる。この密着性に優れた金属皮膜の形成によって、メッキ法を用いることができるようになり、前記自己潤滑性に富むニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜を形成することができる。
(6)メッキ工程、及び製品完成後のそれぞれにおいて、メタライジング層が化学的に浸食される場合があることが判明した。かかる問題点は、メタライジング層とニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜との間に中間保護層としてニッケルめっき層を設けることにより回避できることが分かった。また、このニッケルめっき層上に目的のニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜を形成すれば、得られたニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜の耐剥離性がさらに向上することも確認された。
(7)前記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜は、ニッケルめっき液に二硫化モリブデン微粉末を分散させて電解することにより、金属皮膜上に形成することができる。そして、このニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜においては、一方の析出物である二硫化モリブデンが表面に浸出することによって、その表面に潤滑性をもたらす。かかる自己潤滑性を得るためには、前記二硫化モリブデン微粉末をニッケルめっき液中に高度に均一分散させる必要があること、また、二硫化モリブデン微粉末の添加量としては、均一分散が破綻しない範囲内でより多く添加すればするほど表面潤滑性が高まることが、確認された。
(8)前記ニッケルめっき液中に均一分散させ得る二硫化モリブデン微粉末の配合量の増大は、試行錯誤の末、次のような工程により実現することができることが判明した。すなわち、二硫化モリブデン微粉末を低級アルコールと混合して撹拌することにより、二硫化モリブデン微粉末に存在していた強固な凝集体が小さな粒子に解体することができた。そして、この低級アルコールにより小粒子に解体して均一な微粉末の集まりとなった二硫化モリブデン微粉末アルコール混合液をめっき液に添加混合すると、混合量を増やしても、ニッケルめっき液中に二硫化モリブデン微粉末を均一に混合することができた。このようにして二硫化モリブデン微粉末をその配合量を増やして均一混合したニッケルめっき液を用いて、陽極をニッケル板、前記中間保護層を陰極として、この中間保護層上にめっきを行うことにより、自己潤滑性に富む硬質な摺動層をセラミックス部品(セラミックス構造体)の表面に形成することができた。これは、次のメカニズムによるものと推測された。すなわち、均一分散を破綻しない範囲内でより多くの二硫化モリブデン微粒子を配合することによりニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜中の共析粒子の連結構造(皮膜の組織構造)がミクロサイズで3次元に枝分かれした構造を形成する。かかる3次元網目構造では、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面層は、空隙が多い構造であるため、その最外表面部分が他の物品との摩擦時に容易に潰され、ニッケル電析物で覆われていた多くの二硫化モリブデンが露出し、この二硫化モリブデンがニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面層の間隙に保持され、摩擦が生じる度に表面層の最外表面に二硫化モリブデンの薄膜が形成され、その結果、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は優れた自己潤滑性を発揮するものと、推測された。一方、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の内層では、存在するミクロボイドに二硫化モリブデンが保持されているため、上記放出された二硫化モリブデンを内部に沈降させることなく、表面層に保持し続けることになる。これによって、前記自己潤滑性が長期に亘って維持されることになるものと、推測された。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体は、セラミックス構造体本体の表面に強固な自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体であり、前記自己潤滑性皮膜が、前記セラミックス構造体本体の表面上に形成されたメタライジング層と、該メタライジング層の上に形成されたニッケルめっき膜からなる中間保護層と、該中間保護層の上にめっき法により形成されたニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層とを有してなることを特徴とする。
前記構成において、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層がミクロサイズの共析粒子が3次元的に樹枝状に積層されてなるミクロサイズの3次元網目構造を形成していることを特徴とする。
また、本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の製造方法は、セラミックス構造体の所定の表面に高融点金属法により密着性に優れた金属皮膜を形成するメタライジング工程と、前記金属皮膜上にめっき法により中間保護層としてニッケルめっき層を形成する中間保護層形成工程と、前記中間保護層上にめっき法によりニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を形成するニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層形成工程とを有することを特徴とする。
前記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層形成工程では、めっき液としてニッケルめっき液に二硫化モリブデン微粉末を均一分散させた二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を用いるとともに、陽極としてニッケル板を用い、陰極として前記セラミックス構造体の表面に形成された金属皮膜とその上に形成された中間保護層とを用いる。
前記二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液は、二硫化モリブデン微粉末を低級アルコールと混合して撹拌し、二硫化モリブデン微粉末に存在していた強固な凝集体を小さな粒子に解体し、該低級アルコールにより小粒子に解体して均一な微粉末の集まりとなった二硫化モリブデン微粉末のアルコール混合液をめっき液に添加混合することによって得る。
なお、本発明の自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の本体を構成するセラミックスとしては、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスのいずれも用いることが可能である。
本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体は、セラミックス部品の本体の機械的、化学的特性は維持しつつ、その表面にのみ持続的な低摩擦性摺動層、すなわち自己潤滑性皮膜を有する。また、本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の製造方法は、セラミックス部品の本体の機械的、化学的特性は維持しつつ、その表面にのみ持続的な低摩擦性摺動層、すなわち自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体を、確実かつ容易に製造することができる。
以下に、本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体およびその製造方法について、さらに詳しく説明する。
(セラミックス本体(セラミック構造体))
図1は、本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の断面構成を示す模式図である。図中、符号1は、例えば、ピストンプランジャやポンププランジャなどのセラミックス本体であり、材質としては、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスのどちらにも適用可能である。酸化物セラミックスの場合、アルミナセラミックスが主に用いられる。
(メタライジング層)
前記セラミックス本体(セラミックス構造体)1の表面には、メタライジング層2が均一に積層されている。このメタライジング層2は、高融点金属法によって形成される。すなわち、モリブデンとマンガンからなる粉末を有機バインダーに分散させたペーストを、前記セラミックス本体1の表面に塗布し、湿り水素ガス雰囲気中で高温に加熱する。すると、前記ペーストとセラミックス本体との間で化学反応が起こり、生成した酸化マンガンがアンカー効果を発揮するとともに、金属モリブデンが表面層を形成して導電性を付与する。このように高融点金属法によって形成されたガラス質のメタライジング層2は、母材のセラミックス本体1と一体化するとともに、その表面はモリブデンで覆われ導電性を有している。上記メタライジング層2は、通常、15μm〜20μmの範囲の厚みとすることが好ましい。
(中間保護層(ニッケルめっき層))
前記メタライジング層2の上には、ニッケルめっき層3が形成されている。このニッケルめっき層3は、工程中にメタライジング層2を化学的な侵食から保護するとともに、その上に形成するニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4を前記メタライジング層2と強固に密着させる役目を果たす中間めっき層(中間保護層)である。このニッケルめっき層3は、通常、2μm〜5μmの範囲の厚みとすることが好ましい。
(ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層)
前記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の形成工程では、めっき液としてニッケルめっき液に二硫化モリブデン微粉末を均一分散させた二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を用いるとともに、陽極としてニッケル板を用い、陰極として前記セラミックス本体1の表面に形成されたメタライジング層2とその上に形成されたニッケルめっき層3とを用いる。
(二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液)
前記二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液は、二硫化モリブデン微粉末を低級アルコールと混合して撹拌し、二硫化モリブデン微粉末に存在していた強固な凝集体を小さな粒子に解体し、該低級アルコールにより小粒子に解体して均一な微粉末の集まりとなった二硫化モリブデン微粉末のアルコール混合液をめっき液に添加混合することによって得る。
(二硫化モリブデン微粉末の解粒)
二硫化モリブデン微粉末をニッケルめっき液に加える前に、低級アルコールを加えて撹拌することにより、二硫化モリブデン微粉末の凝集粒子を個々の微粉末に分離させる。この凝集粒子の分離解体に用いられる低級アルコールしては、例えば、エチルアルコールを始めとする各種アルコールを用いることができる。
ここで低級アルコールを用いる理由は、後述するように、二硫化モリブデンをニッケルめっき液に均一に分散させた後、めっきに不良が生じないように、除去する必要があり、そのために、揮発により容易に除去できるものが好ましいからである。二硫化モリブデン微粒子の凝集粒子を分離解体するために用いたアルコールを除去するために、二硫化モリブデンおよびアルコールを含有するめっき液を高温にすると、めっき液の溶媒、例えば水の蒸発が激しくなり、二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、沸点の低い低級アルコールを用いる訳であり、それにより、比較的穏やかな条件にて低級アルコールをめっき液から除去することができる。
このような低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。
(二硫化モリブデン微粒子の平均粒径、粒径分布)
本発明に用いられる二硫化モリブデン微粉末の平均粒径としては、均一なニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を得ることができ、二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液中にて適度に分散し、前記共析物皮膜層にニッケル母材中に共析しうる程度のものであれば、特に限定されない。具体的には、二硫化モリブデン微粉末が鱗片状かつ平板状であるとして換算したときの平均粒径が、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは、3μm〜0.1μmの範囲内、さらに好ましくは2μm〜0.5μmの範囲内である。二硫化モリブデン微粒子の平均粒径が前記範囲より大きいと、均一で平滑な共析物皮膜層が得られない場合がある。
また、本発明に用いられる二硫化モリブデン微粒子の粒径分布は、比較的狭いことが好ましい。それは、粒径分布が均一性を確保できるからである。
(二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとの混合・撹拌)
二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとの混合・撹拌方法としては、特に限定されるものではなく、スケールに応じて適宜選択される。二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとの混合液の撹拌には、一般的な撹拌装置を用いることができ、例えば、撹拌羽根を備えた攪拌機(スターラ)を用いることができる。
さらに、二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとを混合して撹拌する際には、超音波処理を行うことが好ましい。二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとの混合液の際に、超音波攪拌器または超音波分散器を用いると、二硫化モリブデン微粉末の凝集粒子を効果的に個々の微粉末に分離解体することができる。さらに、超音波処理により二硫化モリブデン微粉末に付着した気泡を効果的に分離除去することができ、より確実な解粒が実現できる。
(ニッケルめっき液への二硫化モリブデン微粉末の混合)
上記二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとの混合液は、ニッケルめっき液に混合され、二硫化モリブデン微粉末はめっき液中に均一に分散される。ニッケルめっき液は、スルファミン酸浴であっても良く、ワット浴であっても良い。中でも、スルファミン酸浴、すなわちスルファミン酸ニッケルめっき液が好ましい。スルファミンニッケルめっき液を用いることにより、電着応力を小さくすることができるからである。
二硫化モリブデン微粉末と低級アルコールとの混合液と、ニッケルめっき液との混合方法は、特に限定するものではなく、公知の一般的な方法が用いられる。また、前記混合の時間も特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すればよい。
(二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液のその他の添加成分)
本発明に用いる二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液には、必要に応じて、レベリング剤、ピット防止剤、pH緩衝剤、錯化剤等の添加剤を配合しても良い。
本発明に用いる二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液に、前記レベリング剤を含有させることにより、めっき時に二硫化モリブデン微粉末が凝集して析出したり、連鎖的に析出したりすることを効果的に抑制することができ、均一かつ平滑で緻密な共析物皮膜層を得ることができる。一方、レベリング剤を含有させない場合には、セラミックス本体表面が二硫化モリブデン微粒子のみに覆われて、ニッケルの電析が妨げられるおそれがある。
前記レベリング剤としては、一般的にめっき液に使用されるものを用いることができる。ニッケルめっき液に対しては、1,3,6−ナフタレントリスルフォン酸三ナトリウムが代表的なレベリング剤である。めっき液中のレベリング剤の含有量としては、特に限定されるものではなく、アルコールを除去した後の二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液中のレベリング剤の含有量が前記効果を得るための所定の範囲となるように適宜調整すればよい。
二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中の二硫化モリブデン微粒子の分散性を考慮すると、めっき液中にピット防止剤を添加することが好ましい。かかるピット防止剤の含有量としては、特に限定されるものではなく、アルコールを除去した後の二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液中のレベリング剤の含有量が前記分散性効果を得るための所定の範囲となるように適宜調整すればよい。
(二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中からのアルコールの除去)
二硫化モリブデン微粉末は、前述のように、低級アルコールと混合・撹拌されて、アルコール混合液の形態で、ニッケルめっき液に添加され、めっき液中に均一に分散される。その後、めっき液を空気撹拌してめっき液中の低級アルコールを揮散させて除去する。この除去処理によって、めっき工程に使用可能な二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液が得られる。
前記二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中から低級アルコールを除去する方法としては、目的を達成できれば、特に限定されるものではなく、前記空気撹拌(エアレーション)以外に、減圧除去法などの他の方法を用いることができるが、操業性の観点から、空気撹拌がより好ましい。
低級アルコールを揮散させる際の温度としては、低級アルコールが蒸発する温度であれば特に限定されないが、低級アルコールのみが蒸発し、めっき液の溶媒の蒸発が生じない範囲の温度であることが好ましい。かかる温度は、低級アルコールおよびめっき液の溶媒の種類に応じて適宜調整される。通常、めっき液の溶媒には水が用いられているので、前記温度は、40℃〜65℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50℃〜60℃の範囲内である。
上記除去温度で保持する時間は、めっき液中からほぼ完全に低級アルコールを除去されるまでの時間であり、通常、1日間〜7日間の範囲内に設定すれば良く、好ましくは1日間〜2日間の範囲内である。
(二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液の成分含有量)
本発明に用いる二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中の二硫化モリブデン微粒子の含有量としては、めっき時の電流密度等によって異なるが、2.5g/L〜40g/Lの範囲内であることが好ましい。二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液中の二硫化モリブデン微粒子の含有量が前記下限値より少なくなると、該めっき液を用いて形成されるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の二硫化モリブデン微粒子による潤滑性が不十分となる可能性があり、逆に二硫化モリブデン微粒子の含有量が前記上限値より多くなると、二硫化モリブデン微粒子が凝集しやすくなり、均一かつ平滑で緻密なニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4が得られない場合がでてくるからである。
二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液を用いて形成されるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の硬さを考慮すると、該めっき液中の二硫化モリブデン微粒子の含有量は、より好ましくは、2.5g/L〜30g/Lの範囲内である。
さらに、前記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の潤滑性を考慮すると、前記めっき液中の二硫化モリブデン微粒子の含有量は、10g/L〜40g/Lの範囲内であることがより好ましく、特に、10g/L〜30g/Lの範囲内であることが好ましい。
前記二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液を用いて電気めっきを実施するに際して、めっき液中の二硫化モリブデン微粒子の含有量が比較的多い場合には、めっき時の電流密度を低めに設定することにより、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4中での二硫化モリブデン微粒子の分散性を改善することができる。
また、二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液中のニッケルイオンの濃度としては、一般的なめっき液にて処方される範囲であれば、特に限定されるものではなく、メッキ方法が電気めっきであるか無電解めっきであるかに応じて適宜調整すればよい。
二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液中のレベリング剤の含有量は、2g/L〜20g/Lとすることが好ましく、より好ましくは、5g/L〜16g/Lの範囲内、さらに好ましくは8g/L〜13g/Lの範囲内である。混合めっき液中のレベリング剤の含有量が少なすぎると、二硫化モリブデン微粒子が連鎖的に析出するのを抑制する効果が不十分となる場合があり、逆にレベリング剤の含有量が多すぎると、ニッケル電析物の品質が低下する場合が出てくる。
二硫化モリブデン微粒子混合ニッケルめっき液にピット防止剤を含有する場合の含有量としては、一般的なめっき液にて処方される範囲であれば、特に限定されないが、0.01g/L〜0.15g/Lとすることが好ましく、より好ましくは0.03g/L〜0.11g/Lである。
本発明に用いる二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液のpHは、特に限定されない。
本発明に用いる二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液は、調製後、速やかに使用することが好ましい。というのは、本発明の目的であるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の自己潤滑性を良好なものとするためには、従来より多量の二硫化モリブデン微粒子を二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中に均一に分散させた状態で、ニッケルとモリブデン微粒子とを共析させることが重要であるからであり、そのために、めっき液中の二硫化モリブデン微粒子を均一に分散させた後、そのまま、放置すると、均一分散させた微粒子が凝集し始めるおそれがあるからである。
(ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を得るためのめっき方法)
本発明において、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4を得るためのめっき方法は、前記二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を用いて行われる。この二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液では、前述のように、二硫化モリブデン微粉末が均一分散していながらも従来よりも含有量が多くなっている。そのため、この二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を用いることにより、ニッケル母材中に二硫化モリブデン微粒子が均一に分散したニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4を得ることができる。
めっき法は、好適には電気めっき(電解めっき)であるが、無電解めっきであっても良い。電気めっきは、無電解めっきと異なり、成膜形成後に熱処理を必要としないので、電気めっきを用いることがより好ましい。
使用する二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液は、めっき槽に注入した後、好ましくは、めっき液中の二硫化モリブデン微粉末の分散状態を確実に維持するために、ポンプ循環等により撹拌しながら、目的とするセラミックス本体表面の前記中間保護層(ニッケルめっき層3)上にめっきを施す。
使用する二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液のpHは、3.5〜5.5の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは4.5〜5.4の範囲内である。二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液のpHが上記範囲であれば、ニッケルめっき液が安定であり、めっきによって得られるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の品質を良好に維持することができる。
また、めっき時の二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液の温度は、40℃〜65℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50℃〜60℃の範囲内である。二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液の温度が上記範囲内であれば、ニッケルの析出速度および二硫化モリブデン微粒子の析出速度が良好となる。
めっき方法が電気めっきである場合、めっき時の電流密度としては、0.5A/dm〜12A/dmの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、1A/dm〜10A/dmの範囲内である。電流密度が上記下限値より小さいと、めっきに時間がかかり過ぎ、上記上限値より大きいと、二硫化モリブデン微粒子が凝集しやすくなり、均一かつ平滑で緻密なニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4が得られない場合が出てくる。潤滑性および耐久性に優れるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4を得るためには、二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中の二硫化モリブデン微粒子の含有量を比較的多くし、めっき時の電流密度を上記範囲内で比較的小さくすることが好ましい。
上記電流密度の範囲内で電圧を印加する時間としては、一般的な範囲であれば、特に限定されるものではなく、目的とするニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の厚みに応じて適宜調製すればよい。
(ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層)
前述のようにして得られたニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4中の二硫化モリブデン微粒子の含有量は2.7重量%以上であり、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4中の二硫化モリブデン微粒子の含有量が少なすぎると、二硫化モリブデン微粒子による潤滑性が不十分となる場合が生じ始める。一方、該皮膜層中の二硫化モリブデン微粒子の上限は、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の硬さを損なわない値であれば、特に限定されるものではないが、通常は20重量%とする。
上記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4中の二硫化モリブデン微粒子の含有量は、ICP発光分光分析(誘導結合高周波プラズマ発光分光分析:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)により測定した値である。重量%から容量%への変換は、ニッケルおよび二硫化モリブデン微粒子の比重をそれぞれ8.845および4.8とし、その比率から変換係数を1.84として、行われる。
また、上記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の平均ビッカース硬さ(HV)は300以上であり、好ましくは350以上、より好ましくは400以上である。ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4のビッカース硬さが小さすぎると、磨耗量が大きくなり、耐久性が低下する可能性が出てくる。
上記ビッカース硬さの測定は、マイクロビッカース硬さ試験機を用い、荷重200g、保持時間18秒で行った。そして、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の表面の任意の10箇所について硬度測定を行い、最大値および最小値を除いた8個の硬度について算術平均した値を平均ビッカース硬さとした。
上記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の表面の任意の10箇所におけるビッカース硬さの分布は比較的小さいことが好ましい。この値が小さければ小さい程、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4中の二硫化モリブデンの分散が均一であることになる。具体的には、このビッカース硬さの分布の標準偏差は、50以下であることが好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。
また、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の平均摩擦係数は、良好な潤滑性を得るためには、0.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.1以下である。
ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の厚みは、特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲が適当であり、好ましくは20μm〜100μmの範囲内である。
また、本発明のセラミックス構造体表面に形成されるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4は、好ましくは、空隙率が比較的大きい表面層と、上記表面層の内部下層に位置し、上記表面層よりも空隙率が小さい内層とを有してなる。ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の最外表面(めっき成長面)付近の浅い層(表面層)では、ニッケル電析物で薄く覆われた二硫化モリブデン微粒子同士が3次元樹枝状に連なり、ミクロサイズの空隙の多い3次元網目構造となっている。これに対し、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の内部に行く程、二硫化モリブデン微粒子を覆っているニッケル電析物の厚みが増加し、前記最外表面から一定深さ以上の内層では、成長の当初に存在していた空隙がニッケル電析物でほぼ埋め尽くされて少数のミクロボイドが残るだけの状態となっている。この内層では、ニッケル母材中に二硫化モリブデン微粒子が均一に分散した構造となっている。
上述のようなニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の深さ方向の組織構造(3次元網目構造)が、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の自己潤滑性を高めることに寄与しているものと、推測される。すなわち、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の表面層は、空隙が多い構造であるため、その最外表面部分が他の物品との摩擦時に容易に潰され、ニッケル電析物で覆われていた多くの二硫化モリブデンが露出し、この二硫化モリブデンがニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の表面層の間隙に保持され、摩擦が生じる度に表面層の最外表面に二硫化モリブデンの薄膜が形成され、その結果、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4は優れた自己潤滑性を発揮するものと、推測される。一方、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の内層では、析出した二硫化モリブデン微粒子の周りにはニッケル電析物が密に充填されており、強靱であり、また、連続した空隙がないため、上記放出された二硫化モリブデンを内部に沈降させることなく、表面層に保持し続けることになる。これによって、前記自己潤滑性が長期に亘って維持されることになるものと、推測される。
ここで、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の形成プロセスでは、二硫化モリブデン微粒子が積み重なる速度とニッケル母材の成長(電析)速度とは、バランスがとれていなくてはならない。また、めっき面に捕捉された二硫化モリブデン微粒子が速やかに薄いニッケル電析物で覆われなければならない。すなわち、めっき面に捕捉された二硫化モリブデン微粒子が薄いニッケル電析物で覆われるからこそ、二硫化モリブデン微粒子が重なり合える程度の高密度でめっき面に到達しても、めっき面は絶縁されることなく成長を続けることができる。薄いニッケル電析物で覆われた二硫化モリブデン微粒子には、この薄いニッケル電析物の膜を通して通電されるので、あまり多くの電解電流は流れない。したがって、この二硫化モリブデン微粒子を核としたニッケル電析物の成長と平行して、二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を通過する電界電流により、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4内部の空隙もニッケル電析物で満たされていき、最終的に深部では、一体的にニッケル母材中に二硫化モリブデン微粒子が均一に分散した緻密な内層が形成されると、推測される。
上記表面層と内層との空隙率の差は、内層の空隙率が表面層の空隙率よりも小さくなっていれば、特に限定されるものではないが、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の形成プロセスを考慮すると、表面層の空隙率と内層の空隙率との差が5%以上となることが好ましく、より好ましくは25%〜45%の範囲内である。
上記表面層の空隙率は、25%以上であることが好ましく、より好ましくは30%〜50%の範囲内である。表面層の空隙率が上記範囲であれば、優れた潤滑性を得ることができる。なお、この表面層の空隙率とは、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の最外表面から0μm〜20μmの深さ領域における空隙率である。
一方、上記内層の空隙率は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは5%〜15%の範囲内である。内層の空隙率が上記範囲であれば、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4全体の硬さを十分なものとすることができ、耐久性を高めることができる。なお、この内層の空隙率とは、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の最外表面から20μm〜40μmの深さ領域における空隙率である。
なお、上記空隙率は、次のようにして求める。まず、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層をイオンビーム切断機(例えば、日本電子社製、商品名「SM−09010」)を用いて切断(CP加工)して、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の断面を形成し、この断面の電子顕微鏡写真を撮り、ついで、得られた電子顕微鏡写真では空隙が黒となり、充填部分が白となるので、白黒の面積比率を実測し、その実測値を空隙率として採用する。
ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4の厚みは、前述のように、10μm〜500μmの範囲内が適当であり、特に限定されないが、50μm以上とすることが好ましい。その前提で、上記表面層の厚みとしては、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4全体の厚み及びめっき条件等により多少異なるが、通常20μm程度である。一方、上記内層の厚みとしては、同様に一概に特定できないが、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4全体の厚みの20%〜96%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、60%〜80%の範囲内である。ニッケル及び二硫化モリブデン微粒子が緻密に充填されている内層の厚みの比率が上記範囲内にあれば、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層4全体の硬さを十分なものとすることができ、耐久性を高めることができる。
以下に、本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。
(実施例)
本実施例では、直径12mm、厚さ5mmのアルミナセラミックス小片(セラミックス構造体)に、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を形成させた。
まず、以下のように、前記アルミナセラミックス小片にモリブデン‐マンガン法(高融点金属法)によるメタライジング層の形成および該メタライジング層を保護するためのニッケルめっき層を形成した。
まず、モリブデン粉末とマンガン粉末からなる混合粉末を、有機バインダーを溶剤で希釈してなるバインダー溶液中に分散させて、メタライジング用のペーストを得た。このメタライジング用ペーストを前記アルミナセラミックス小片の表面に塗布した。この塗布膜を、湿り水素ガス雰囲気中で、1350℃で加熱し、12〜15μm厚のメタライジング層を得た。
次に、前記メタライジング層の上に、スルファミン酸ニッケルめっき浴を用いて、ニッケルめっき層を形成した。めっきは、下記標準組成のスルファミン酸ニッケルめっき液を用い、その浴を46℃に維持し、3.5A/dmの条件で、3.5μm厚を目標にして実行した。
(スルファミン酸ニッケルめっき液(標準組成))
スルファミン酸ニッケル : 400g/L
塩化ニッケル : 65g/L
ホウ酸 : 30g/L
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.08g/L
レベリング剤
(1,3,6−ナフタレントリスルフォン酸三ナトリウム) : 12g/L
続いて、以下のように、前記ニッケルめっき層(3μm厚)の上に、二硫化モリブデン微粉末分散ニッケルめっき液を用いて、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を形成させた。
ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層形成は、以下のようにして行った。
二硫化モリブデン微粉末は、公称粒径2μmの試薬特級品(添川理化学株式会社製)を用い、これと混合する低級アルコールは、エタノール(試薬特級)を用いた。
ベースとなるニッケルめっき液としては、上記の標準組成のスルファミン酸ニッケルめっき液を用いた。
めっき浴中の二硫化モリブデン微粉末の含有量(分散材量)は、5g/L、10g/L、20g/Lの3条件とした。
めっき浴の調製は、以下の手順にて行った。
(手順1) 所定量(50g、100g、200g)の二硫化モリブデン微粉末をそれぞれ所定量(150mL、200mL、300mL)のエタノールと混ぜ、超音波をかけて掻き混ぜた。
(手順2) 上記スルファミン酸ニッケルめっき液10Lに上記(手順1)の混合液を加えて空気撹拌し、めっき液中に均一に分散させた。
(手順3) 55℃で24時間のエアレーションを行い、めっき液からエタノールを揮散、除去させて、二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を得た。
めっき処理には、底にエアーの吹き込み口を設けた容積15Lの漏斗状のめっき槽を用い、めっき槽に満たした前記二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液中に槽の底からエアーを吹き込み、めっき液を強く撹拌し、それにより二硫化モリブデン微粉末の均一分散状態を維持しつつ、めっきを行った。めっき処理条件は以下の通りであった。
(めっき条件)
pH : 5.0
液温度 : 56℃
電流密度 : 2.5A/dm、6.5A/dm、9.5A/dm
攪拌 : エアー攪拌
通電量 : 4A・hr
上述のようにして作成されたアルミナセラミックス構造体上のニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は、均一、平滑で、灰黒色の外観を呈していた。このアルミナセラミックス構造体をニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を下にして3Sに仕上げられた鉄板上に手で強く押し付けて摺動させて、潤滑性を評価した。鉄板上で、アルミナセラミックス構造体は良く滑り、10cmの距離を10回往復させてもニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は健全であり、重量変化から求めた磨耗減量は1μm以下であった。なお、上記「3S」とは、表面粗さを表すパラメータの一つである最大高さRyの等級を示す値である。表面粗さを示す最大高さRyは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表した値である。最大高さRyの等級「3S」は、算術平均粗さRaで表すと0.8μmに相当する表面粗さである。
(参考例)
次に、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の特性をさらに詳しく評価するために、縦75mm×横75mm×厚さ1mmの70750−T6アルミニウム合金板をセラミックス構造体の替わりに用い、このアルミニウム合金板に、常法に従って、ジンケート処理並びに青化銅めっきを施し、その上に、前記実施例と同様にして、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を形成した。ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は、上記青化銅めっきをしたアルミニウム合金板を陰極として複合めっきを行うことにより、形成した。陽極には、縦75mm×横75mm×厚さ1mmのニッケル板を使用した。試験片の総数は、3種の二硫化モリブデン微粉末含有量、3種の電流密度に対して、各1枚ずつの計9枚とした。
めっき処理が完了した試験片の全てに対して、外観検査、マイクロメーターによる膜厚測定およびステンレスロッドテストによる潤滑性評価を行い、その内の一部には連続加重式引掻強度試験機(新東科学株式会社製、商品名「トライボギアTYPE18L」)による摩擦力測定を行った。
ステンレスロッドテストは、先端に直径5mmのステンレス球を有するステンレス製ロッドを手に持ち、試験片の被測定面に斜めから強く押し当てて滑らせて、被測定面の潤滑性を評価するテストである。評価は、手に感じる抵抗、滑り易さ、滑った痕跡とから、定性的に総合判断することにより、行う。このステンレスロッドテストによれば、極めて鋭敏に潤滑性を評価することができる。
連続加重引掻強度試験機(トライボギア TYPE 18L)による摩擦測定は、先に詳述したように、摩擦力を定量的に測定するもので、この測定では、垂直面内回転可能なアームの先端にロードセルと圧子を固定し、これをその上に載せた錘で加重し、移動テーブルに載せた試験片との摩擦力を測定する。
ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察に際しては、サンプルをイオンビーム切断機(日本電子社製、商品名「SM−09010」)を用いて切断した後、切断面を研磨した。また、皮膜層断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer:電子プローブマイクロアナライザー)による組成分析においては、二硫化モリブデン微粒子の異方性により、観察面に現れた二硫化モリブデン微粒子の断面次第でMo及びSの比率が異なってくる。このため、全体を100%とし、これからニッケルの分析値を差し引いたものを、二硫化モリブデンの含有量とした。また、一部の試験片については、二硫化モリブデン微粒子の異方性による差異がでないICPによる組成分析も行った。なお、重量%から容量%への変換は、ニッケル及び二硫化モリブデン微粒子の比重をそれぞれ8.845及び4.8とし、その比率1.84を変換係数として、行った。
前記各試験の条件および評価結果、測定結果を下記(表1)に示した。
ステンレスロッドテストによる潤滑性の評価は、めっき浴中の二硫化モリブデン微粉末含有量が5g/Lの試験片No.1〜3では滑らず、10g/Lの試験片No.4〜6ではある程度滑った。これに対して、二硫化モリブデン微粉末含有量が20g/Lの試験片No.7〜9は良く滑って、繰り返しの摩擦にも耐えた。特に試験片No.7の内の電流密度2.5A/dmによる試験片のニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は、硬く、良く滑り、耐摩耗性が高く、自己潤滑性が良好であった。
連続加重引掻強度試験機による摩擦測定は、試験片No.7に対して行った。No.7−2は、そのニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面を未処理のままで測定した試験片であり、No.7−3は、そのニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面にステンレス鋼(SUS#304)を用いて慣らし摩耗処理を行った後に測定した試験片であり、No.7−4は、そのニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を同種の試験片のニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を用いて慣らし摩耗処理を行った後に測定した試験片である。
前記連続加重引掻強度試験機による測定の結果、試験片No.7−2は0.205、試験片No.7−3は0.118、試験片No.7−4は0.100であった。この結果から、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面が摩擦により僅かに摩耗されることにより、皮膜を構成している共析粒子の内部に析出している二硫化モリブデンが表面に浸出して、めっき皮膜の表面を覆い、潤滑性を高めるものと、推測された。
前記試験片No.7の磨耗処理を施す前の皮膜表面のSEM写真を図2に示した。この図2のニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面SEM写真に見るように、ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜は、共析粒子がミクロレベルで3次元的に多数に枝分かれして積層された3次元網目構造を形成している。したがって、その表面は、枝分かれした多数の枝の無数の先端面の集合から構成されており、その結果、このニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面の実質的な接触表面積は、密に連続した表面と比較すると、かなり小さい値となっている。接触面積が小さいということは、摩擦抵抗が小さくなるということを意味する。また、各共析粒子には、ニッケル金属と二硫化モリブデンとが同時に共析しており、粒子内部に二硫化モリブデン粒子が包含されていると推定される。そのため、前記先端面を構成する無数の各粒子が幾分磨耗されることにより、無数の各粒子の先端にニッケルに比べて軟らかな二硫化モリブデンが浸出し、それによりニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の接触面に良好な潤滑性がもたらされるものと、推測できる。
前述の実施例および参考例から明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
1) ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は、摩擦係数が0.1程度であり、かつ硬質ニッケルめっきをマトリックスとする、適度の硬さと弾性を有する自己潤滑性皮膜である。ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を数10μmの膜厚で形成することにより、この皮膜層の表面には、持続する高い潤滑性が付与される。
2) ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層は、その形成領域の大きさ、形状に関わる制約をあまり受けないこと、そしてニッケルをマトリックスとするめっきであるため精密加工ができることという利点を有する。したがって、本発明によれば、摺動部を有するセラミックス製品の設計自由度を大幅に拡げることができる。
以上説明したように、本発明によれば、セラミックス部品の本体の機械的、化学的特性は維持しつつ、その表面にのみ持続的な低摩擦性摺動層、すなわち自己潤滑性皮膜を形成したセラミックス構造体およびその製造方法を提供することができる。
本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の断面構造を示す模式図である。 本発明にかかる自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の参考例におけるニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて撮影した写真を示す図である。
符号の説明
1 アルミナセラミックス(セラミックス構造体)
2 メタライジング層
3 ニッケルめっき層
4 ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層

Claims (5)

  1. セラミックス構造体本体の表面に強固な自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体であって、前記自己潤滑性皮膜が、前記セラミックス構造体本体の表面上に形成されたメタライジング層と、該メタライジング層の上に形成されたニッケルめっき膜からなる中間保護層と、該中間保護層の上にめっき法により形成されたニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層とを有してなることを特徴とする自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体。
  2. 前記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層が共析粒子が3次元的に樹枝状に積層されてなるミクロサイズの3次元網目構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体。
  3. セラミックス構造体の所定の表面に高融点金属法により密着性に優れた金属皮膜を形成するメタライジング工程と、前記金属皮膜上にめっき法により中間保護層としてニッケルめっき層を形成する中間保護層形成工程と、前記中間保護層上にめっき法によりニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層を形成するニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層形成工程とを有することを特徴とする自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の製造方法。
  4. 前記ニッケル・二硫化モリブデン共析物皮膜層形成工程において、めっき液としてニッケルめっき液に二硫化モリブデン微粉末を均一分散させた二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を用いるとともに、陽極としてニッケル板を用い、陰極として前記セラミックス構造体の表面に形成された金属皮膜とその上に形成された中間保護層とを用いることを特徴とする請求項3に記載の自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の製造方法。
  5. 前記二硫化モリブデン微粉末混合ニッケルめっき液を、二硫化モリブデン微粉末を低級アルコールと混合して撹拌し、二硫化モリブデン微粉末に存在していた強固な凝集体を小さな粒子に解体し、該低級アルコールにより小粒子に解体して均一な微粉末の集まりとなった二硫化モリブデン微粉末のアルコール混合液をめっき液に添加混合することによって得ることを特徴とする請求項3または4に記載の自己潤滑性皮膜を有するセラミックス構造体の製造方法。
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