JP2009189625A - 超電導マグネット用磁気シールド体及びそれを用いた核磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気共鳴イメージング装置の磁場を効率的にシールドできる超電導マグネット用磁気シールド体及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】超電導マグネット用磁気シールド体10は、円筒状の金属基材の外周がA15化合物からなる超電導体で覆い、第1ステージ8から第2ステージ9にわたる冷却器21(コールドヘッド22を含む)周囲に円筒状の表面にA15化合物からなる超電導体を成膜によって形成された金属基材を配置する。超電導体が配置された位置の温度は定常状態で15Kで、金属基材はCuを使用し、A15化合物からなる超電導体にはNb3Al超電導体を使用する。Nb3Alの成膜には溶射法を適用し、磁気シールド体10は、A15化合物として直径が0.5mmのNb3Al線材等の線材を用い、円筒状の金属基材の外周に6ターン巻回することにより超電導体を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】超電導マグネット用磁気シールド体10は、円筒状の金属基材の外周がA15化合物からなる超電導体で覆い、第1ステージ8から第2ステージ9にわたる冷却器21(コールドヘッド22を含む)周囲に円筒状の表面にA15化合物からなる超電導体を成膜によって形成された金属基材を配置する。超電導体が配置された位置の温度は定常状態で15Kで、金属基材はCuを使用し、A15化合物からなる超電導体にはNb3Al超電導体を使用する。Nb3Alの成膜には溶射法を適用し、磁気シールド体10は、A15化合物として直径が0.5mmのNb3Al線材等の線材を用い、円筒状の金属基材の外周に6ターン巻回することにより超電導体を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、核磁気共鳴イメージング装置の磁場を効率的にシールドできる超電導マグネット用磁気シールド体及びそれを用いた核磁気共鳴イメージング装置に関する。
超電導マグネットを用いた核磁気共鳴イメージング(以下、MRIとする)装置は、磁場中心空間に強力な磁場を形成する装置であり、この磁場が周囲に漏洩すると、周囲の計測機器、心臓のペースメーカーを使用している患者に悪影響を及ぼす。また、マグネットに対して外部磁場の侵入があると均一な磁場を安定に保持することが困難となる。また、患者の健康状態を検査するために撮影した画像においても、鮮明さが悪くなる。従来から、これらの問題を解決するため、シールド技術を適用したマグネットやそのマグネットを用いた核磁気共鳴装置が検討され、公知となっている。
例えば、特許文献1には、漏れ磁場や磁場均一度の乱れを抑制するマグネットと、このマグネットを用いるNMR分析装置や医療用MRI装置が記載されている。このマグネットは、低温容器の二重外筒の一方もしくはその蓋部を磁性体にすることで、マグネットからの外部への漏れ磁場及び試料空間での磁場均一度の乱れを抑制している。
また、特許文献2には、静磁場変動を高純度金属でシールドすることが記載されている。
MRI装置に設置される冷凍機内には磁性蓄冷剤(Er3Ni等)が含まれている。この蓄冷剤を用いて冷凍機のコールドヘッドを冷却するためには、一定の周期(通常60rpm)でピストン運動する必要がある。このため、装置全体に振動が生じてしまう。この振動は、超電導マグネット(MRIマグネット)が発生する中心磁場の変動につながり、撮影時のノイズの発生原因となっている。この問題を解決する方法として、マグネット内部に超電導体あるいは強磁性体(例えば、鉄やケイ素鋼板)等を配置することが考えられるが、マグネットは省スペース化の要求が大きいため、液体ヘリウム槽とシールド槽、シールド槽と真空槽との間にはわずかなスペースしかない。したがって、強磁性体の十分な量を配置することができず、効率的な磁気シールドを行うことは困難である。
また、冷凍機のコールドヘッドにシールド体を設置するという方法も考えられるが、コールドヘッド周辺部は液体ヘリウムが蒸発する際のガスによる伝熱のみで冷却されているため、温度は通常約10〜15K程度になっている。このため、MRIマグネットに用いられるNbTi超電導体をシールド体に適用することは臨界温度の問題で不可能である。
冷却効率を上げるために、コールドヘッドと液体ヘリウム容器を熱的に接触させる方法は、何らかの擾乱によってNbTi超電導体の臨界温度を超える9K以上の温度に上昇することがあること、マグネット設計に自由度を持たせることが困難であることから、あまり好ましくない。
さらに、超高純度の金属(例えばアルミ)をシールド体に用いると、磁気シールドとしての効果は得られるものの、コストの増大を引き起こすため、有効ではない。
以上のような問題点に鑑み、冷凍機内の磁性蓄冷剤のピストン運転による中心磁場の変動を効率的にシールドすることにより、長時間にわたって高い信頼性を維持できる低コストな超電導マグネットが望まれる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、核磁気共鳴イメージング装置の磁場を効率的にシールドできる超電導マグネット用磁気シールド体及びそれを用いた核磁気共鳴イメージング装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の超電導マグネット用磁気シールド体は、円筒状の金属基材の外周がA15化合物からなる超電導体で覆われたものである。
前記金属基材は、CuまたはAl、あるいはそれらの合金であってもよい。
前記A15化合物は、ニオブとアルミとを含んでもよい。
前記超電導体を加熱するためのヒータを有してもよい。
また、本発明の核磁気共鳴イメージング装置は、液体ヘリウムを蓄える容器と、前記容器の内部に収納された磁場を発生するためのコイルを含む超電導マグネットとを有する核磁気共鳴イメージング装置において、前記超電導マグネットの液面上部に設置される冷凍機コールドヘッドの周りに、A15化合物を用いたシールド体を備えたものである。
前記コールドヘッドにA15化合物が成膜されることで前記シールド体が形成されてもよい。
前記シールド体は、温度が10K以上〜17K以下の範囲で使用されてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)磁場を効率的にシールドできる
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に、本発明に係る核磁気共鳴イメージング装置の一部を構成するMRIマグネットを示す。図1では簡略化しているが、実際には必要な性能を得るために数多くの補正コイル等が設置された構造となっている。図1は、MRIマグネットの片側のみ図示したものであり、実際は左右対称の構成となっている。
図1のMRIマグネット1において、主磁場を発生する超電導コイル2は、液体ヘリウム槽容器3に収納されている。超電導コイル2は、超電導状態を保つため、常に液体ヘリウム4に浸漬された状態で冷却されている。
液体ヘリウム槽容器3の外側にはシールド槽5が置かれている。シールド槽5は、真空断熱容器6内に収納されている。冷凍機7は、第1ステージ8(空間を指す)と第2ステージ9(空間を指す)の二つの空間を有する。第1ステージ8内から第2ステージ9内まで冷却器21が設けられている。冷却器21のうち、圧縮されたヘリウムガス(Heガス)と蓄冷材(図示せず)とが冷却器21内で熱交換しながら冷却されるときに、最も低温となる箇所をコールドヘッド22と呼ぶ。コールドヘッド22は、冷却器21のなかで液体ヘリウム4の液面に最も近い。
液体ヘリウム槽容器3内の液体ヘリウム4の液面より上部に、ヘリウムガス(Heガス)が通り抜ける複数の孔を有する受け台23が設けられ、この受け台23に本発明に係る超電導マグネット用磁気シールド体10が固定設置される。
超電導コイル2の中心(図示せず)には均一磁場空間がある。医療用MRI装置の場合は、人間が仰向けに寝た状態で撮像する必要があるので、人間の肩幅や腹部周りが通過できるような均一磁場空間が設けられている。一方、NMR分析装置の場合は、試料は試験管に入った溶液などであることから、磁場均一空間は通常、数mmから数cmである。
図2に示されるように、本発明に係る超電導マグネット用磁気シールド体10は、円筒状の金属基材11の外周がA15化合物からなる超電導体12で覆われたものである。すなわち、第1ステージ8から第2ステージ9にわたる冷却器21(コールドヘッド22を含む)周囲に円筒状の金属基材11が配置されている。金属基材11の表面にはA15化合物からなる超電導体12が成膜によって形成されている。
A15化合物からなる超電導体12が配置された位置の温度は、定常状態で15Kである。本実施形態では、金属基材11はCuを使用し、A15化合物からなる超電導体12にはNb3Al超電導体を使用している。Nb3Alの成膜には溶射法を適用できるが、超電導体12の膜が形成される手法であれば、どのような方法で成膜しても問題ない。
図3に示されるように、本発明に係る超電導マグネット用磁気シールド体10は、A15化合物として直径が0.5mmのNb3Al線材等の線材13を用い、この線材13を円筒状の金属基材11の外周に、例えば、6ターン巻回することにより超電導体12を形成したものである。線材13の両端部同士は接続する。
図4に、図3の構成に等価な回路を示す。線材13の先端部14と線材13の後端部15とを繋いで閉ループが構成されている。線材13の先端部14と線材13の後端部15との接続部16は、Pb−50Biハンダによる。
この接続部16はできる限り低抵抗が望ましいが、要求される抵抗値は、(1)回路全体におけるコイルのインダクタンスの大きさ、(2)回路全体の接続部を含んだ抵抗値、(3)どの程度の時間を定常状態で運転するか、で決まる。接続部16の周りには、ヒータ線17を巻回してある。
図5に、Nb3Al線等の線材13の断面を示す。線材13は、金属シース材17の中に超電導フィラメント18が充填又は内包されている。なお、線材13の断面の形状は、丸形状に限定されるものではなく、超電導マグネットのための線材13として要求される仕様を満足するものであれば、例えば扇形のようなものから、幅広の極薄テープまで様々な線材形状にしても差し支えない。また、超電導フィラメント18を構成する芯の個数(本数)についても、要求される仕様を満足すれば、特に限定するものではない。超電導フィラメント18は、単芯または多芯構造となっており、多芯構造の場合、数十から数万個(本)の芯を有する。
A15化合物としては、Nb3Sn超電導体、Nb3Ge超電導体、Nb3Si超電導体、Nb3Al超電導体などがある。導体を作製するに当たっての簡便さや耐歪特性を考慮すると、Nb3Al超電導体を用いるのが良い。
A15化合物からなる超電導体12は、図2のように成膜によって形成しても良いし、図3のように線材13を金属基材11の外周にコイル状に巻きつけて、その線材13の両端部同士を接続しても良い。接続する場合は、超電導接続にするか、10-9Ωオーダー以下の低抵抗接続にすることが望ましい。
本発明の核磁気共鳴イメージング装置は、図1のように、液体ヘリウムを蓄える容器(液体ヘリウム槽容器3)と、前記容器の内部に収納された磁場を発生するためのコイル(超電導コイル2)を含む超電導マグネット1とを有する核磁気共鳴イメージング装置において、前記超電導マグネット1の液面上部に設置される冷凍機コールドヘッドの周りに、A15化合物を用いたシールド体を備えたものである。なお、超電導マグネット用磁気シールド以外の核磁気共鳴イメージング装置の細部、超電導マグネット1の細部については、特許文献1、2に記載された通りであるので、ここでは省略する。
以下、本発明の超電導マグネット用磁気シールド体10の作用効果として、超電導マグネット用磁気シールド体10が持つ2つの機能を説明する。
上記2つの機能の1つめは、漏れ磁場シールドコイルとしての機能である。本発明の超電導マグネット用磁気シールド体10からなる漏れ磁場シールドコイルは、主磁場を発生する超電導コイル2からの磁場の漏れを低減することが目的である。
従来は、主磁場と逆方向の磁場を発生させるシールドコイルを磁石内部に配置して、外部への漏れ磁場をキャンセルさせる手法が採用されている。前述したように、仮にシールドコイルにNbTi線を用いた場合、何らかの擾乱エネルギーが入ると、臨界温度よりも高い環境に超電導線が晒されることになるため、最悪のケースではクエンチに至る。このため、シールドコイルには臨界温度が高い材料が必要となる。
本発明に用いるNb3Alは臨界温度が18Kであるため、仮に約17Kまで温度が上昇してもシールド体として必要な性能は維持できることを発明者らは実験により確認している。また、通常、冷凍機は1〜2W程度の容量であるため、シールド体を無理やり冷却しなければならないマグネット構造は極めて非効率的といえる。本発明は、冷凍機の冷凍能力という観点でもメリットが大きい。
本発明は、円筒状の金属基材11の外周にA15化合物からなる超電導体12を形成したので、金属基材11に電流を通電し渦電流を発生させることで、磁場の変動を抑制することできる。
上記2つの機能の2つめは、外部磁場変動シールドコイルとしての機能である。本発明の超電導マグネット用磁気シールド体10からなる外部磁場変動シールドコイルは、精密な磁場分布や均一度の確保が必要とされる超電導マグネットに適用され、均一磁場の変化を抑制することができる。外部磁場変動シールドコイルは、主に、MRI装置やNMR分析装置に使用される。
一般的には、大型自動車や電車あるいはエレベータが通過するような外乱が発生する場所では、均一磁場の維持が極めて困難になる。本発明はその問題を解消する。
本発明によれば、液体ヘリウム槽容器3内に収納された主磁場を発生する超電導コイル2とは電気的に独立した場所に超電導マグネット用磁気シールド体10を設けることが可能である。主磁場を発生させる超電導コイル2に対して、超電導マグネット用磁気シールド体10は、電流容量が1/10〜1/1000と非常に小さいために、電気的に独立した構造にすることが有効である。
従来、MRI装置においては、シムコイルと呼ばれる磁場均一度を向上させる磁場補正用のコイルが設置されている。シムコイルは、一般に歪んだ磁場を補正するため、静的なものといえる。これに対し、本発明の超電導マグネット用磁気シールド体10は、時間的な磁場変動を分単位あるいは秒単位で抑制するため、動的なものであるといえる。以上のことから、本発明の超電導マグネット用磁気シールド体10は、シムコイルとは異なるものである。
本発明の超電導マグネット用磁気シールド体10は、以上の2つの機能を有するので、冷凍機内の磁性蓄冷剤のピストン運転による中心磁場の変動を効率的にシールドすることにより、長時間にわたって高い信頼性を維持できる低コストな超電導マグネットを提供できる。その結果、本発明に係る核磁気共鳴イメージング装置は、患者の健康状態を検査するうえで重要となる画像を鮮明に映し出すことが可能となる。
金属基材11の表面に超電導体12を成膜した後、超電導体12の表面にエポキシ系樹脂やシリコン系樹脂を塗布することにより、超電導体12の機械強度が向上する。さらに、樹脂の塗布により、水分等の吸着がなくなるため、経年劣化を抑制する効果がある。
以下、本発明の実施例を説明する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1において、図2のような超電導マグネット用磁気シールド体10を作製した。すなわち、第1ステージ8と第2ステージ9のコールドヘッド周囲に円筒状の金属基材11を配置した。金属基材11の表面にはA15化合物からなる超電導体12を成膜により形成した。超電導体12が配置された位置の温度は、定常状態で15Kであった。実施例1では、金属基材11にはCuを用い、超電導体12にはNb3Al超電導体を用いた。Nb3Alの成膜は溶射法を適用したが、膜が形成される手法であれば、どのような方法で成膜しても問題ない。
実施例1において、図2のような超電導マグネット用磁気シールド体10を作製した。すなわち、第1ステージ8と第2ステージ9のコールドヘッド周囲に円筒状の金属基材11を配置した。金属基材11の表面にはA15化合物からなる超電導体12を成膜により形成した。超電導体12が配置された位置の温度は、定常状態で15Kであった。実施例1では、金属基材11にはCuを用い、超電導体12にはNb3Al超電導体を用いた。Nb3Alの成膜は溶射法を適用したが、膜が形成される手法であれば、どのような方法で成膜しても問題ない。
実施例1との対比のため、金属基材11の周囲にNb3Alからなる超電導体12を形成する代わりにNbTiからなる超電導体を形成した比較例1と、金属基材11に純度が99.3%の工業用アルミ円筒を用い超電導体を形成しない比較例2とを作製した。
実施例1と比較例1、2で中心磁場の変動を比較するために、中心磁場が1Tとなるように超電導コイル2に通電し、かつ金属基材11にも数mAを通電し、渦電流を発生させた状態で、磁場変動を1時間にわたって計測した。その結果を表1に示す。これにより、実施例1は、比較例1、2と比較して、中心磁場の変動が3〜6桁小さくなることを確認した。
発明者らは、さらに詳細に実験を行った結果、A15化合物であるNb3Sn、Nb3Ge、Nb3Siなどを超電導体12に用いても同様の結果が得られることを明らかにした。また、イットリウム系酸化物やBi系酸化物超電導体でも同様の結果が得られたが、A15化合物に比べて10倍以上の材料費がかかることから、あまり経済的ではないと考えられる。
(実施例2)
実施例2として、図3のような超電導マグネット用磁気シールド体10を作製した。すなわち、A15化合物して直径が0.5mmのNb3Alからなる線材13を用い、線材13を円筒状の金属基材11に6ターン巻回いて超電導体12を形成した。その後、線材13の両端部同士を超電導接続して図4の回路を形成した。線材13の先端部14と線材13の後端部15と接続して構成される閉ループの抵抗は10-11Ω以下であった。線材13の断面は図5に示した通りである。
実施例2として、図3のような超電導マグネット用磁気シールド体10を作製した。すなわち、A15化合物して直径が0.5mmのNb3Alからなる線材13を用い、線材13を円筒状の金属基材11に6ターン巻回いて超電導体12を形成した。その後、線材13の両端部同士を超電導接続して図4の回路を形成した。線材13の先端部14と線材13の後端部15と接続して構成される閉ループの抵抗は10-11Ω以下であった。線材13の断面は図5に示した通りである。
実施例2の超電導マグネット用磁気シールド体10を用いて、実施例1と同様に中心磁場の変動を計測した。その結果、金属基材11の直径が100mm以下になると磁場変動が大きくなることがわかった。その原因を検討した結果、Nb3Al超電導フィラメント18の厚みをt、金属基材11の半径をr、曲げ歪をεとしたとき、
ε=(t/2r)×100 < 0.5 (1)
のときは中心磁場の変動が10-8T以下に低減できたが、
ε=(t/2r)×100 > 0.5 (2)
のときは中心磁場の変動が10-6Tよりも悪化することが確認された。
ε=(t/2r)×100 < 0.5 (1)
のときは中心磁場の変動が10-8T以下に低減できたが、
ε=(t/2r)×100 > 0.5 (2)
のときは中心磁場の変動が10-6Tよりも悪化することが確認された。
この結果は、線材13の耐曲げ特性、曲げ歪特性とリンクするものである。実施例1では見られなかった傾向であり、線材形状のNb3Alを巻回して超電導体12を形成するよりも成膜により超電導体12を形成する方が有効であることを示唆している。
ただし、上記の式において、(1)式が成り立つように配慮すれば、成膜であっても線材を巻き回しても同様の効果が得られる。
(実施例3)
図2及び図3の超電導マグネット用磁気シールド体10において、金属基材11に室温での熱伝導率(λ)が150W/m.Kの金属を適用して実施例3とした。具体的には、CuまたはAl、あるいはそれらの合金を金属基材11に用いた。このような構成にすることで、超電導体12の冷却性が向上し、中心磁場の変動を10-8Tオーダーにすることができた。
図2及び図3の超電導マグネット用磁気シールド体10において、金属基材11に室温での熱伝導率(λ)が150W/m.Kの金属を適用して実施例3とした。具体的には、CuまたはAl、あるいはそれらの合金を金属基材11に用いた。このような構成にすることで、超電導体12の冷却性が向上し、中心磁場の変動を10-8Tオーダーにすることができた。
(実施例4)
図1に示す第1ステージ及び第2ステージのコールドヘッドを脱着可能な構造にした超電導マグネットシステムにおいて、溶射法を用いてコールドヘッドに直接、Nb3Alからなる超電導体12を形成した。実施例1では、金属基材11にNb3Alを溶射して超電導体12を形成したが、実施例4のようにコールドヘッドにNb3Alを溶射して超電導体12を形成しても、中心磁場の変動を10-8Tに抑えることが可能であることを確認した。
図1に示す第1ステージ及び第2ステージのコールドヘッドを脱着可能な構造にした超電導マグネットシステムにおいて、溶射法を用いてコールドヘッドに直接、Nb3Alからなる超電導体12を形成した。実施例1では、金属基材11にNb3Alを溶射して超電導体12を形成したが、実施例4のようにコールドヘッドにNb3Alを溶射して超電導体12を形成しても、中心磁場の変動を10-8Tに抑えることが可能であることを確認した。
(実施例5)
図2の超電導マグネット用磁気シールド体10に渦電流を一旦リセットさせるためのヒータを巻きつけた。超電導マグネット用磁気シールド体10に渦電流が発生し続ける場合に比べて、シールドの応答性を早くすることが可能となった。
図2の超電導マグネット用磁気シールド体10に渦電流を一旦リセットさせるためのヒータを巻きつけた。超電導マグネット用磁気シールド体10に渦電流が発生し続ける場合に比べて、シールドの応答性を早くすることが可能となった。
(実施例6)
実施例1と同様に、図2の超電導マグネット用磁気シールド体10において、超電導マグネット用磁気シールド体10の温度が8K〜35Kになるように冷凍機で冷却した。そして、外部から1.2ガル(cm/s2)となるように、意図的に外乱を与えて、磁場均一度の変化を計測した。
実施例1と同様に、図2の超電導マグネット用磁気シールド体10において、超電導マグネット用磁気シールド体10の温度が8K〜35Kになるように冷凍機で冷却した。そして、外部から1.2ガル(cm/s2)となるように、意図的に外乱を与えて、磁場均一度の変化を計測した。
超電導体12の材料に、NbTi線(比較例)、Nb3Sn線(実施例)、Nb3Al線(実施例)を用いた場合について計測した。表2に冷凍機で超電導マグネット用磁気シールド体10の温度を変化させたときの中心磁場の変動を示す。ただし、温度25Kはヒータにより昇温させて得た。従来のシールド体では、15Kを超える温度にはならない。
以上のように、NbTiでは温度11K以上、Nb3SnとNb3Alでは温度25Kになると磁場のシールドができなくなる。これは、各超電導材料の臨界温度に依存する。すなわち、NbTiは臨界温度が9.8K、Nb3Sn及びNb3Alは臨界温度が18Kであるため、外部の温度が臨界温度を超えると、シールドや外乱からの磁場の変動を制御できなくなる。
また、超電導マグネット用磁気シールド体10の超電導体12の他の材料として、Y系、Bi系、Ti系、Hg系に代表される酸化物や、その他有機系超電導体などの臨界温度が比較的高い各種材料を用いることも考えられるが、高価であるため実用的ではない。
1 MRIマグネット
2 超電導コイル
3 液体ヘリウム槽容器
10 超電導マグネット用磁気シールド体
11 金属基材
12 超電導体
2 超電導コイル
3 液体ヘリウム槽容器
10 超電導マグネット用磁気シールド体
11 金属基材
12 超電導体
Claims (7)
- 円筒状の金属基材の外周がA15化合物からなる超電導体で覆われたことを特徴とする超電導マグネット用磁気シールド体。
- 前記金属基材は、CuまたはAl、あるいはそれらの合金であることを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット用磁気シールド体。
- 前記A15化合物は、ニオブとアルミとを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の超電導マグネット用磁気シールド体。
- 前記超電導体を加熱するためのヒータを有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の超電導マグネット用磁気シールド体。
- 液体ヘリウムを蓄える容器と、前記容器の内部に収納された磁場を発生するためのコイルを含む超電導マグネットとを有する核磁気共鳴イメージング装置において、前記超電導マグネットの液面上部に設置される冷凍機コールドヘッドの周りに、A15化合物を用いたシールド体を備えたことを特徴とする核磁気共鳴イメージング装置。
- 前記コールドヘッドにA15化合物が成膜されることで前記シールド体が形成されたことを特徴とする請求項5記載の核磁気共鳴イメージング装置。
- 前記シールド体は、温度が10K以上〜17K以下の範囲で使用されることを特徴とする請求項5又は6記載の核磁気共鳴イメージング装置。
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