JP2009186476A - ベアリングに加えられるねじり力の成分を推定する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベアリングに加えられるねじり力の成分を推定する。
【解決手段】N個の変形に係るベクトル(Vm)を測定すると共に、ねじり力の成分の最大N個の代表値に係るベクトル(Q)を変形に係るベクトルに関連付けている物理的モデルに代表値に係るベクトル(Q)を導入して、変形に係るベクトル(Vc)を算出する反復ステップと、算出した変形に係るベクトル(Vc)と測定した変形に係るベクトル(Vm)との間の妥当性試験(T)を行う反復ステップと、試験(T)がネガティブ(N)であるならば、該試験の結果に従って、物理的モデルに導入する少なくとも1つの新たな代表値に係るベクトル(Q)を確定するか、または、試験(T)がポジティブ(P)であるならば、導入された代表値に係るベクトル(Q)を記憶する反復ステップとを含み、記憶された少なくとも1つの代表値に係るベクトル(Q)に基づいて、推定されたねじり力の成分を確定する。
【選択図】図1
【解決手段】N個の変形に係るベクトル(Vm)を測定すると共に、ねじり力の成分の最大N個の代表値に係るベクトル(Q)を変形に係るベクトルに関連付けている物理的モデルに代表値に係るベクトル(Q)を導入して、変形に係るベクトル(Vc)を算出する反復ステップと、算出した変形に係るベクトル(Vc)と測定した変形に係るベクトル(Vm)との間の妥当性試験(T)を行う反復ステップと、試験(T)がネガティブ(N)であるならば、該試験の結果に従って、物理的モデルに導入する少なくとも1つの新たな代表値に係るベクトル(Q)を確定するか、または、試験(T)がポジティブ(P)であるならば、導入された代表値に係るベクトル(Q)を記憶する反復ステップとを含み、記憶された少なくとも1つの代表値に係るベクトル(Q)に基づいて、推定されたねじり力の成分を確定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、固定部材と、回転部材と、これら両部材の相対的な回転を可能にするために該固定部材と該回転部材との間に配置された少なくとも1列の回転体とを含むベアリングに加えられるねじり力の成分を推定する方法に関する。特に、本発明は自動車の車輪ベアリングに適用されるものである。
自動車のフレームには固定輪が取り付けられるようになっており、回転輪の介在によって車輪が回転可能となっている。そして、この固定輪と回転輪との間には2列のボールが設けられている。
特に、ABSまたはESPといった支援システムおよび安全システムに関連する多くの用途では、車輪と該車輪がその上で回転する道路との間の接合面に加えられる力を割り出す必要がある。
このために、タイヤ上で、または、フレーム上で測定を実施することが知られている。しかしながら、タイヤ上で行われる測定は、回転部品に計装することに関連して大きな問題を有している。この問題は特に、次の点に関連している。
−センサの電力供給に関する問題。これは、バッテリの寿命がそれほど長くないためである。
−信号の伝送に関する問題。信号の伝送は、支援システムまたは安全システム上で機能し得る程度十分な周波数および信頼性を伴って行われる必要がある。解決方法が存在してはいるとしても、無線伝送は、伝送する情報の数が大量であり、且つ、この情報がリアルタイムで受信されるため、さらに複雑になる。
−固定マーキング内の力の算出に関連する問題。固定マーキングに対する回転マーキングの位置を常に認識することが特に必要である。
−センサの電力供給に関する問題。これは、バッテリの寿命がそれほど長くないためである。
−信号の伝送に関する問題。信号の伝送は、支援システムまたは安全システム上で機能し得る程度十分な周波数および信頼性を伴って行われる必要がある。解決方法が存在してはいるとしても、無線伝送は、伝送する情報の数が大量であり、且つ、この情報がリアルタイムで受信されるため、さらに複雑になる。
−固定マーキング内の力の算出に関連する問題。固定マーキングに対する回転マーキングの位置を常に認識することが特に必要である。
フレーム上で行われる測定については、車輪を該フレームに接続させている様々な部材(タイロッド、Aアーム、緩衝器等)間に力が分配されるために、この測定は困難である。
従って、特にFR−2812356に提案されているように、車輪とフレームとの間を結合させる第1の結合部材である固定輪を、車両が移動している時の車輪と道路との間の接合面にかかる力を割り出すための支持体として用いることが有効であり得る。
特に、この力の割り出しは、回転体が動くことによって生じる固定輪の変形を測定することによって行われる。実際のところ、この変形の大きさは、ベアリングが伝送した力を表すものである。しかしながら、この変形の測定値から、ベアリングに加えられるねじり力の成分に関する情報を抽出することは、困難である。
この問題を解決するために、WO2005/040745は、一部がニューラルネットワークに基づいたアルゴリズムを開示しており、これによって、変形の測定値と上記ねじり力の成分とを関連付けている。「ブラックボックス」と呼ばれるこの種類の方法の欠点は、学習段階中に考慮されなかった状況に関する、そのロバスト性である。他の妨害点は、ベアリングの動作における第1級の係数である予荷重が考慮されないという点であり、また、この予荷重は、時間の経過と共に温度変化を伴って変動し得、特に生産ばらつきの観点において異なるベアリング間で変動するという点が、より一層の妨害となり得る。
さらに、WO2005/008204には、有限要素法計算に基づく物理的モデルに基づいた方法が開示されている。この方法では、
−行われた変形測定に基づく上記物理的モデルの分析を用いて、ボールと輪との接触力を算出する。
−行われた変形測定に基づく上記物理的モデルの分析を用いて、ボールと輪との接触力を算出する。
−様々な接触力を合計して、上記ねじり力を算出する。
この方法の第1の欠点は、未知数の数である。実際のところ、両立する連立方程式は、全接触力を、未知数として含んでいる。
第2の欠点は、上記ねじり力の成分の推定を入念に行うために必要となる周波数処理に起因している。結果的に、この方法はベアリングの動作の周波数式に基づいているため、周波数帯域の点で良好なレベルの性能を提供しない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に、ベアリングが伝送したねじり力の成分を推定する方法を提案することによって、従来技術の課題を解決しようとするものである。
本発明に係る方法では、上記ベアリングの固定部材の少なくとも1つの領域における変形量を用いた該ベアリングの物理的モデルの使用と、その後の当該モデルを逆方向の使用とを反復的に行う。この方法はさらに、推定すべき未知数の数を限定し、広い帯域幅を可能にする。
このために、本発明は、固定部材と、回転部材と、これら両部材の相対的回転を可能にするために該固定部材と該回転部材との間に配置された少なくとも1列の回転体とを備えるベアリングに加えられるねじり力の成分を推定する方法を提案する。上記方法は、上記ねじり力によって生じた上記ベアリングの固定部材の少なくとも1つの領域のN個の変形に係るベクトルを測定し、上記ねじり力の成分の最大N個の代表値に係るベクトルを変形量(変形に係る)ベクトルに関連付ける物理的モデルを用いることを提供するものである。上記方法は、次の反復ステップを含む。
−物理的モデルに上記代表値に係るベクトルを導入して、変形量ベクトルを算出するステップ。
−算出した変形量ベクトルと測定した変形量ベクトルとの間の妥当性試験を行うステップ。
――上記試験がネガティブであるならば、該試験の結果に従って、上記物理的モデルに導入すべき代表値に係るベクトルを少なくとも新たに一つ確定するか、または、
――上記試験がポジティブであるならば、導入された代表値に係るベクトルを記憶するステップ。
−物理的モデルに上記代表値に係るベクトルを導入して、変形量ベクトルを算出するステップ。
−算出した変形量ベクトルと測定した変形量ベクトルとの間の妥当性試験を行うステップ。
――上記試験がネガティブであるならば、該試験の結果に従って、上記物理的モデルに導入すべき代表値に係るベクトルを少なくとも新たに一つ確定するか、または、
――上記試験がポジティブであるならば、導入された代表値に係るベクトルを記憶するステップ。
ここでは、記憶された少なくとも1つの代表値に係るベクトルに基づいて、推定されたねじり力の成分を確定する。
本発明によれば、ベアリングが伝送したねじり力の成分を首尾よく推定することができる。
以下の詳細な説明に、添付の図面を参照しながら、本発明の他の目的および利点を記載する。
以下に、これら図面を参照して、ローラーベアリングに加えられるねじり力の成分を推定する方法について説明する。本実施形態を、車両のフレームに結合させるように意図された固定外輪、および、車輪と2列のボールとが取り付けられるように意図された回転内輪を含む自動車の車輪ベアリングに関連して説明する。しかしながら、本発明に係る方法を、他の種類のローラーベアリングに実施してもよいし、他の自動車の用途、または、他の用途に実施してもよい。
車両が移動している間は、車輪は道路上で回転しており、車輪と道路との間の接合面に力を生じさせている。この力は、ベアリングの介在によってフレームに伝送される。そこで、特に車両の支援システムおよび安全システムを供給するために、この力を一時的に割り出すことを、上記ベアリングに加えられるねじり力の成分を推定することによって行うことが可能である。
このために、本方法は、特にボールが動作する際にベアリングに加えられるねじり力によって生じた固定輪の変形を測定することを提供する。
一実施形態では、この変形の測定は、FR−2869980、FR−2869981、FR−2869982、FR−2869966のいずれか1つに基づいて行うことが可能である。つまり、変形の測定は、上記固定輪の外周の特定領域上に、棒状の変形計測器を設けることによって測定可能である。実際には、このような各計測器は、上記領域の変形の関数である擬似正弦関数の時間信号を供給する。この信号は、生じた変形の幅を割り出すために処理され得るものである。しかしながら、本発明は、固定輪の変形を測定する、特定の場所および/または特定の計測器の調整方法に限定されるものではない。
本実施形態では、固定輪の少なくとも1つの領域のN個の変形に係るベクトルVmを測定する。特に、固定輪のN個の領域毎に1つの棒状の計測器を計装して、N個の独立な変形量を供給することが可能である。
本方法は、ねじり力の成分の最大N個の代表値に係るベクトルQを、N個の変形量に係るベクトルに関連付ける物理的モデルを用いることを提供する。このように、上記モデルにこのような代表値に係るベクトルを導入することによって、変形量ベクトルを算出することが可能である。
一実施形態によれば、代表値に係るベクトルQは、ベアリングの関連度にそれぞれ従った5つの変数を含み、該関連度に対するさらなる自由度は、ベアリングの回転軸に応じた外輪内の内輪の回転に相当する。特に、これら5つの変数は、ねじり力の成分から、または、固定輪に対する回転輪の変位から選択され得る。
上記変数を用いることに関連して、図1は、3つのモジュールM11、M12、M13を備える物理的モデルを示す図である。これら3つのモジュールM11、M12、M13はそれぞれ、ベクトルQと負荷領域との間のリンク、該負荷領域と固定部材の変形との間のリンク、および測定センサの伝達関数である。
ベクトルQと負荷領域との間をモデリングするモジュールM11は、導入された変数、つまりねじり力の成分または変位を、各ボールと固定輪との間の接触力Fcに数学的に関連付けて、該接触力を割り出すことが可能である。特に、この関係により、推定すべき変数の数を(特に説明している実施形態においては5から8個に)低減させることが可能である。
実際、ベアリング内の力の伝達は、回転体によって行われ、具体的には、ベアリングによって伝達されたねじり力が1組のボールと輪との接触力に分解され得ることで伝達される。この分配は、ベアリングの幾何学的パラメータ、ベアリングの様々な要素を構成する物質および予荷重に関わる物理法則に従ってなされる。
この分配における重要な変数は、固定マーキングに対する各列内のボールの角度構成θである。
既存の文献内の多くのモデルは、この分配を支配する非線形の法則を記載している。ベクトルpとδchによって示される予荷重とには、材料パラメータおよび幾何学的パラメータが含まれている。2列のボールの角度構成は、それぞれ、角度θ1とθ2とで示されている。
本実施形態では、代表値に係るベクトルQは、角度θ1、θ2、予荷重δch、および、固定されたベクトルpをさらに含む。従って、本方法を実施することによって、角度θ1の値とθ2の値とを共に推定することが可能である。あるいは、推定されることが望ましい予荷重がほとんど分かっていないパラメータである場合には、代表値に係るベクトルは、該予荷重をさらに含み得る。他の一変形例では、角度θ1とθ2とをさらに割り出した後、モデル内に導入する。
負荷領域と固定部材の変形との間をモデリングするモジュールM12は、固定部材の計装された領域の変形Dを推定することが可能である。この変形Dは、モジュールM11において割り出された接触力Fcによって生じるものである。
接触力Fcは固定輪に対して加えられ、該固定輪のリンクにおける反力によって、平衡化される。これら接触力は従って、連続体力学の古典的な法則に基づいて、固定輪の変形を生成する。固定輪の変形のモデルM12は、このモジュールに必要な、有限要素によってまたは剛性係数[K]の実験的同定によって得られる。
一実施形態では、接触力Fcは、固定部材の領域の変形を推定するために、最頻値形式に示される。このような接触力Fcは、算出用のより小さな且つより実用的な形式である。例えば、フーリエ級数を、接触力Fcの角度θに従って算出して、該接触力のモード表示を得る。このモジュールはその後、関連する最頻値の剛性係数を用いる。モジュールの出力は、その後、計装された領域の、固定輪の変形の最頻値表示を提供する。
モジュールM13は、モジュールM12によって推定された変形Dに関連付けられる正確な測定値を、特に変形センサの伝達関数をモデリングすること、および、電子部品を実装することによって、割り出すことが可能である。
さらに、モジュールM13、M14を部分的または全体的にグループ化して、これらモジュールに必要な剛性係数[K]の実験的同定を簡略化することが可能である。
ねじり力の成分を推定するために、本方法は、次の反復ステップを含む。
−代表値のベクトルQを物理的モデルに導入して、変形量ベクトルVcを算出するステップ。
−算出した変形量ベクトルVcと測定したベクトルVmとの間の妥当性試験を行うステップ。
――もしこの試験がネガティブNであるならば、該試験の結果に従って、モデルに導入する代表値の少なくとも1つの新たなベクトルQを確定するか、または、
――上記試験がポジティブPであるならば、導入された代表値に係るベクトルQを記憶するステップ。
−代表値のベクトルQを物理的モデルに導入して、変形量ベクトルVcを算出するステップ。
−算出した変形量ベクトルVcと測定したベクトルVmとの間の妥当性試験を行うステップ。
――もしこの試験がネガティブNであるならば、該試験の結果に従って、モデルに導入する代表値の少なくとも1つの新たなベクトルQを確定するか、または、
――上記試験がポジティブPであるならば、導入された代表値に係るベクトルQを記憶するステップ。
このように、第1のベクトルQを上記モデルに導入することによって、許容され得るベクトルの変数の推定が得られるまで、該ベクトルの変数を反復して正確化することが可能である。さらに、上記モデルには、最初に、先験的に確定されたベクトルQを導入するか、または、反復の数を制限するために、変数が前瞬間または前瞬間のうちのいくつかの瞬間に実施された推定に起因しているベクトルQを導入することが可能である。さらに、ねじり力を用いるシステムの必要に応じて、本方法を実施する頻度を適合させることも可能である。
この反復法の終わりには、モジュールEが、記憶された少なくとも1つの代表値に係るベクトルQに基づいて、推定されたねじり力の成分を確定する。ベクトルQの変数がねじり力の成分である場合は、この確定は迅速に行われ、上記変数が変位である場合には、例えばモジュールM11によって算出された全接触力Fcを合計することによって、この確定を行うことが可能である。
以下に、上記試験の結果に基づいて、上記モデルに導入すべき少なくとも1つの新たな代表値に係るベクトルQを確定するための2つの変形例を記載する。なお、上記モデルは、留数を最小化することおよび逆数を設定することのいずれによっても、逆行させることは出来ない。上記変形例によれば、上記確定のため、変形の測定を連続して行う必要はなく、可能な帯域幅を保持する。さらに本方法は、モジュールM11の方程式が、非線形の性質を有していることを考慮しており、このため、反復してねじり力の成分の推定に収束させることが可能である。
第1の変形例(図1)では、妥当性試験T(モジュールも同名)は、算出された変形量と同時に行われた測定との間の偏差を割り出すことを含む。
このように、推定の正確な値に相当する閾値を割り出すことによって、偏差が上記閾値よりも大きい場合は上記試験はネガティブNとなり、それ以外は、ポジティブPとなる。結果的に、妥当性試験Tの閾値に達しない間は、反復法を継続して行う。
さらに、上記モデルを逆行させるために、本方法は、該モデルの方程式に基づいた費用関数を用いるモジュールM2を備えている。この費用関数は、代表値の新たなベクトルQを確定するために割り出された偏差で最小化される。この新たなベクトルQは、上記偏差を最良に相殺するものである。このために、最小ニ乗法、準ニュートン法、勾配法、または、極値検索法が用いられ得る。
第2の形態(図2)によれば、先験的に割り出された区間の形である代表値を用いることによって、逆数の設定を行う。従って、妥当性試験Tは、測定された区間ベクトルVmにおいて算出された測定区間ベクトルVcの包含試験を含む。特に、測定値の区間は、測定の正確な値に対応し得る。
推定方法の当該形態では、上記試験Tは、部分的包含の場合にネガティブNとして見なされ、全体的包含の場合にはポジティブPと見なされる。全体的包含の場合には、モジュールS1内に、対応するベクトルQが記憶される。さらに、部分的包含の場合には、対応する値のベクトルQは、特に、モジュールIに記憶されることによって無効になり、これによって、反復法から排除される。
ネガティブ試験Nの場合には、ベクトルQの区間の大きさの試験T2(モジュールも同名)を行い、その後、区間の大きさが閾値を越える場合には、該区間をモジュールSにおいて分割して、これによって、2つの新たな値の区間ベクトルQを確定する。これら各区間ベクトルQは、上記モデルに導入されるものである。一実施形態では、最も長い区間だけを分割する。さらに、全区間の各大きさが閾値よりも小さい場合には、このベクトルは、適切かどうかが分からないため、割り出されていないベクトルとしてモジュールS2に記憶される。
全ての反復法の終わりには、いくつかのベクトルQが記憶され、その後、記憶された上記ベクトルを一緒にグループ化することによって、推定されたねじり力の成分を確定する。
いくつかの時間測定を用いることによって本発明に係る方法を行い、ねじり力の成分を同時に推定することが可能である。このために、ねじり力の成分の推定値をフィルタリングすることを用いてよい。これは例えば、記憶された推定値をフィルタリングすること、中間媒介変数の推定値をフィルタリングすること、および/または、行う測定をフィルタリングすることである。
あるいは、(例えば、カルマンフィルター型の)状態推定器を用いてもよい。この状態推定器には、先験的に、このシステムに関する知識(例えば:ボール保持器の速度の変数が一定の値を超えていないこと)が必要とされるか、または、追加的な測定を導入すること(例えば:上記ボール保持器の速度または温度センサに関する情報を提供する車輪の車輪速度の測定)が必要とされる。この知識を、変形測定器を介した測定に基づく知識と融合させて、ねじり力の成分の推定値を正確化する。この融合は、モジュールM2の費用関数を変形させること、または、逆数の設定に数学的制約を加えることによって、行われ得る。
本発明に係る方法は、上述した各モジュール(M11、M12、M13、M2、T、E、S1、I、T2、S2およびS)を備えた情報処理装置(例えば、コンピュータ)によって実施される。図1または図2に示した本発明に係る物理的モデルおよびそのモジュール(M11、M12、M13、M2、T、E、S1、I、T2、S2およびS)は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、本発明に係る方法を実施するコンピュータは、上記各モジュールに対応する機能を実現するプログラムの命令を実行するMPUなどのCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
そして、本発明の目的は、本発明に係る方法を実施するコンピュータのプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を記録した記録媒体を本発明に係る方法を実施するコンピュータに供給し、当該コンピュータが上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
また、上記コンピュータを通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して上記コンピュータに供給する。この通信ネットワークは上記コンピュータにプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、NFC、DLNA、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
ABSまたはESPといった支援システムおよび安全システムに関連する多くの用途で利用可能である。
Q 代表値に係るベクトル
M11、M12、M13、M2、E、T、I、S、S1、S2、T2 モジュール
Fc 接触力
p ベクトル
δch 予荷重
D 変形
[K] 剛性係数
Vc 算出した変形量ベクトル
Vm 測定した変形量ベクトル
P ポジティブ
N ネガティブ
M11、M12、M13、M2、E、T、I、S、S1、S2、T2 モジュール
Fc 接触力
p ベクトル
δch 予荷重
D 変形
[K] 剛性係数
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N ネガティブ
Claims (13)
- 固定部材と、回転部材と、これら両部材の相対的な回転を可能にするために上記固定部材と上記回転部材との間に配置された少なくとも1列の回転体とを含むベアリングに加えられるねじり力の成分を推定する方法であって、
上記方法は、上記ねじり力によって生じた、上記ベアリングの固定部材の少なくとも1つの領域のN個の変形に係るベクトル(Vm)を測定すると共に、上記ねじり力の成分の最大N個の代表値に係るベクトル(Q)を上記変形に係るベクトルに関連付けている物理的モデルを用いることを提供するものであり、
上記方法は、
−上記物理的モデルに代表値に係るベクトル(Q)を導入して、変形に係るベクトル(Vc)を算出する反復ステップと、
−算出した変形に係る上記ベクトル(Vc)と測定した変形に係る上記ベクトル(Vm)との間の妥当性試験(T)を行う反復ステップと、
――上記試験(T)がネガティブ(N)であるならば、上記試験の結果に従って、上記モデルに導入する、少なくとも1つの新たな上記代表値に係るベクトル(Q)を確定するか、または、
――上記試験(T)がポジティブ(P)であるならば、導入された上記代表値に係るベクトル(Q)を記憶する反復ステップとを含み、
推定された上記ねじり力の成分を、記憶された少なくとも1つの上記代表値に係るベクトル(Q)に従って確定する方法。 - 上記代表値に係るベクトル(Q)は5つの変数を含み、各上記5つの変数は、上記ベアリングの関連度に従っていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 上記変数は、ねじり力の成分から、または、上記固定部材に対する回転部材の変位から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 上記代表値に係るベクトル(Q)は、回転体の各列内の回転体の角度をさらに含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- 上記代表値に係るベクトル(Q)は、上記ベアリングの予荷重(δch)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 上記物理的モデルは、モデリングの3つのモジュール(M11、M12、M13)を含み、上記3つのモジュールはそれぞれ、ベクトル(Q)と負荷領域との間のリンク、上記負荷領域と上記固定部材の変形との間のリンク、および測定センサの伝達関数であり、上記回転体と上記固定部材との間の接触力(Fc)と、上記接触力(Fc)によって生じる上記固定部材の領域の変形(D)の推定値と、上記変形に関連した測定値とを連続的に割り出すために、上記3つのモジュールによって、変形測定値ベクトル(Vc)の算出を行うことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
- 上記接触力(Fc)を最頻値形式で示し、上記固定部材の領域の変形(D)を推定することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 上記妥当性試験(T)は、算出された変形と測定された変形との間の偏差を割り出すことを含み、偏差が閾値よりも大きい場合には上記妥当性試験がネガティブ(N)であり、それ以外はポジティブ(P)であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- 上記モデルの方程式に基づいて費用関数を用いることを提供し、上記費用関数は、代表値の新たなベクトル(Q)を確定するために割り出された偏差で最小化されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 上記代表値は区間の形をしており、上記妥当性試験(T)は、測定された区間ベクトル(Vm)において算出された測定区間ベクトル(Vc)の包含試験を含み、上記妥当性試験(T)は、部分的包含の場合にネガティブ(N)であり、全体的包含の場合にはポジティブ(P)であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- ネガティブな試験の場合には、値区間ベクトル(Q)の区間の大きさの試験(T1)を行い、その後、区間の大きさが閾値よりも大きい場合には、上記区間を分割して、導入する2つの新たな値区間ベクトル(Q)を確定することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 記憶されたベクトル(Q)を共にグループ化することによって、推定されたねじり力の成分を確定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- ねじり力の成分を推定値、または、算出の特定の中間媒介変数をフィルタリングすることを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
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