JP2009185064A - デコイを含む薬学的組成物およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
処置する薬学的組成物およびその使用方法を提供する。
【解決手段】NF−κBまたはetsに制御される遺伝子の発現に起因する疾
患を治療および予防するための薬学的組成物であって、少なくとも1つのデコイ
、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。本発明者らは、NF−κBまたはetsにより制御される遺伝子の発現に起因する疾患を処置するために、NF−κBのデコイ、またはetsのデコイ、またはNF−κBとetsとのキメラ(ダブル)デコイを投与することが有効であることを見出した。
【選択図】なし
Description
する化合物(例えば、核酸およびその類似体)を含む組成物およびその使用方法
に関する。より詳細には、本発明は、デコイ化合物を含む組成物およびその使用
方法に関する。
疾患は、それぞれ異なる症状を示すにもかかわらず、その大部分は、1種類また
は数種類のタンパク質が、異常発現(過剰発現または過少発現)したことに起因
することが示唆されている。一般に、これらタンパク質の発現は、種々の転写活
性因子および転写抑制遺伝子などの転写調節因子によって制御されている。
。NF−κBは、通常、その阻害因子IκBが結合した形で細胞質内に存在し、
その核内移行が阻止されている。ところが、何らかの原因で、サイトカイン、虚
血、再灌流などの刺激が加わると、IκBがリン酸化を受けて分解され、それに
よってNF−κBが活性化されて核内に移行する。核内に移行したNF−κBは
、染色体上のNF−κB結合部位に結合し、その下流にある遺伝子の転写を促進
する。NF−κB結合部位の下流にある遺伝子として、例えば、IL−1、IL
−6、IL−8、腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症性サイトカイン類、V
CAM−1、ICAM−1などの接着因子が知られている。
ncogene 1999 Nov 22;18(49)6938−47);N
F−κBは、低酸素症ストレスに対する腫瘍細胞の応答に関与する(Royds
JAら、Mol Pathol 1998 Apr;51(2):55−61
);NF−κBデコイは、慢性関節リウマチ患者由来の滑膜細胞におけるサイト
カインおよび接着分子の発現を阻害する(Tomita Tら、Rheumat
ology(Oxford) 2000 Jul;39(7):749−57)
;NF−κBを含む複数の転写因子間の協力作用の抑制は、種々の癌の悪性表現
型を変える(Denhardt DT、Crit Rev Oncog 199
6;7(3−4):261−91);緑茶ポリフェノールによるNF−κB活性
のダウンレギュレーションは、一酸化窒素合成酵素の誘導をブロックし、A43
1ヒト類表皮癌細胞を抑制する(Lin JKら、Biochem Pharm
acol 1999 Sep 15;58(6):911−5);アルツハイマ
ー病患者の脳で見られるアミロイドβペプチドは、神経芽腫細胞において、75
kD神経栄養因子レセプター(p75NTR)に結合することにより、NF−κ
Bを時間依存性様式および用量依存性様式で活性化する(Kuper Pら、J
Neurosci Res 1998 Dec 15;54(6):798−
804);NF−κBで活性化されるTNFαは、糸球体腎炎の発症に重要な役
割を演じる(Ardaillouら、Bull Acad Natl Med
1995 Jan;179(1)103−15)。NF−κBデコイは、TNF
αで誘導されるマウス腎炎においてサイトカインおよび接着分子の発現をインビ
ボで阻害する(Tomlta Nら、Gene Ther 2000 Aug;
7(15)1326−32);など。
るMMP1およびMMP9を転写レベルで抑制することが示唆された(Ampl
ification of IL−1beta−induced matrix
metalloproteinase−9 expression by s
uperoxide in rat glomerular mesangia
l cells is mediated by increased act
ivities of NF−kappaB and activating
protein−1 and involves activation of
the mitogen−activated protein kinas
e pathways. Eberhardt W, Huwiler A,
Beck KF, Walpen S, Pfeilschifter J.
J Immunol 2000 Nov 15、165(10)、5788−9
7;Nuclear factor kappaB activity is
essential for matrix metalloproteina
se−1 and −3 upregulation in rabbit d
ermal fibroblasts. Biochem Biophys R
es Commun.Bond M,Baker AH, Newby AC.
1999 Oct 22、264(2)、561−7;Synergisti
c upregulation of metalloproteinase−
9 by growth factors and inflammatory
cytokines: an absolute requirement
for transcription factor NF−kappa B.
Bond M, Fabunmi RP, Baker AH, Newby
AC. FEBS Lett 1998 Sep 11、435(1)、29−
34;およびLipopolysaccharide activates m
atrix metalloproteinase−2 in endothe
lial cells through an NF−kappaB−depe
ndent pathway. Kim H,Koh G.Biochem B
iophys Res Commun. 2000 Mar 16、269(2
)、401−5)。
子ファミリーである。またetsも、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MM
P)のメンバーであるMMP1およびMMP9を転写レベルで抑制することが知
られている(Signal transduction and transc
riptional regulation of angiogenesis
. Sato Y,Abe M,Tanaka K,Iwasaka C,Od
a N,Kanno S,Oikawa M,Nakano T,Igaras
hi T.Adv Exp Med Biol 2000、476、109−1
5;およびETS−1 converts endothelial cell
s to the angiogenic phenotype by ind
ucing the expression of matrix metal
loproteinases and integrin beta3.Oda
N,Abe M,Sato Y.J Cell Physiol 1999
Feb、178(2)、121−32)。
侵入において重要な役割を果たす。多くの癌研究によって、MMPのインヒビタ
ー(TIMPなど)が、癌の進行を抑制することが示唆されている:血清中のT
IMP1レベルは、結腸直腸の予後および診断マーカーとなり、そして転移性癌
の選択的マーカーとして用い得る(Pellegrinl Pら、Cancer
Immunol Immunother 2000 Sep;49(7):3
88−94);ヒト膀胱癌細胞中のMMP2およびMMP9の発現および活性は
、腫瘍壊死因子αとγインターフェロンの影響を受ける(Shin KYら、C
ancer Lett 2000 Oct 31;159(2):127−13
4);卵巣上皮腫瘍で、MMP2、MMP9、MT1−MMP、およびそれらの
インヒビターTIMP1、TIMP2が発現する(SakataKら、Int
J Oncol 2000 Oct;17(4):673−681);MMP
1、MMP2、MMP3およびMMP9の各々のレベルおよび総MMP活性は、
結腸直腸腫瘍でアップレギュレートし、MMP1が結腸直腸癌進行に最も重要で
ある(Baker EAら、Br J Surg 2000 Sep;87(9
):1215−1221);活性化されたMMP2が、尿路上皮癌の浸潤に重要
な役割を演じ、しかも活性化されたMMP2発現のレベルが有用な予後指標とな
る(Kaneda Kら、BJU Int 2000 Sep;86(4):5
53−557);プロスタグランジン合成のインヒビターが、ヒト前立腺腫瘍細
胞浸潤を阻害し、かつMMPの放出を低減する(Attiga FAら、Can
cer Res 2000 Aug 15;60(16):4629−37);
血清真性グロブリン画分中のMMP活性が、乳癌および肺癌患者で増加し、これ
ら癌の腫瘍マーカーとして用い得る(Farias Eら、Int J Can
cer 2000 Jul 20;89(4):389−94);MMPインヒ
ビターは、腫瘍細胞におけるゼラチン分解活性を阻害する(Ikeda Mら、
Clin Cancer Res 2000 Aug;6(8):3290−6
);膜タンパク質LMP1によるMMP9の誘導が、鼻咽頭癌(NPC)の転移
性に寄与する(Horikawa Tら、Caner 2000 Aug 15
;89(4):715−23);MMPは、血管形成の初期に重要な役割を演じ
、MMPインヒビターがヒト微小血管内皮細胞浸潤および形態形成を抑制する(
Jia MCら、Adv Exp Med Biol 2000;476:18
1−94);浸潤性および再発性下垂体腺腫および下垂体癌においてMMP9が
発現する(Turner HEら、J Clin Endocrinol Me
tab 2000 Aug;85(8):2931−5);など。
動脈瘤形成および破壊に関与する(Gaetani Pら、Neurol Re
s 1999 Jun;21(4):385−90);MMP−9の活性上昇は
、脳動脈瘤のリスクファクターである(Peters DGは、Stroke
1999 Dec;30(12):2612−6);MMPの阻害は、動脈瘤モ
デルにおいて、小動脈瘤の成長の阻害をもたらす(Treharne GDは、
Br J Surg 1999 Aug;86(8):1053−8);など。
存在するコラーゲン、エラスチンを破壊し、これによって血管の緊張が失われ、
血圧に抵抗しきれずに血管径は拡張する。事実、動脈瘤の血管では、顕著なエラ
スチンの破壊が認められる(Pathogenesis of aneurys
ms. Halloran BG, Baxter BT. Semin Va
sc Surg 1995 Jun;8(2):85−92)。
の危険因子を抑制することが重要である。しかし、このような危険因子の抑制を
完全に行うことは困難である。現在、大動脈瘤破裂を回避する手段は、侵襲的な
手術によるほかない。
nal Aortic Aneurysms. Dolores J Katz
, James C. Stanley, Gerald B. Zeleno
ck. Seminars in Vascular Surgery, vo
l 8,No4(Dec),1995;pp289−298)によると、その平
均は1.5cm〜2.0cmであった。一般に、大動脈径が、平均値の1.5倍
を超えると大動脈瘤と判断されるが、上記データによれば、直径3cm以上の瘤
を有し、大動脈瘤と判断されるヒトは、400人に1人の割合で存在していた。
従って、大動脈破裂の危険度は別にして、35才から80才までの成人男性にお
いて大動脈瘤の有病率はかなり高く、65才以上の高齢者においては有病率はさ
らに大きくなると考えらている。
よる慢性関節リウマチの改善は、滑膜組織中のMMP1の減少をもたらす(Kr
aan MCら、Arthritis Rheum 2000 Aug;43(
8):1820−30);IL−1βによるMT−MMP発現のアップレギュレ
ーションは、MMP−2活性化を部分的に誘導し、慢性関節リウマチにおけるサ
イトカイン媒介関節破壊をもたらす(Origuchi Tら、Clin Ex
p Rheumatol 2000 May−Jun;18(3):333−9
);慢性関節リウマチ滑膜により産生される炎症性サイトカインIL−17は、
MMP1の産生を増加する(Chabaud Mら、Cytokine 200
0 Jul;12(7):1092−9);MMP1、MMP2、MMP3、M
MP8、MMP9およびMMPインヒビターは、慢性関節リウマチ滑液中に高レ
ベルで存在し、MMP類が活性化されるとMMPインヒビターとのバランスが崩
れ、軟骨破壊に至る(Yoshihara Yら、Ann Rheum Dis
2000 Jun;59(6):455−61);MT1−MMPは、リウマ
チ滑膜ライニング細胞層中のプロMMP−2の活性化に関与し、慢性関節リウマ
チにおける軟骨破壊をもたらす(Yamanaka Hら、Lab Inves
t 2000 May;80(5):677−87);など。
a AMら、Circulation 1998 Nov 10;98(19
Suppl):11331−7)。
で増加する(Hayashi Kら、J Am Soc Nephrol 19
98 Dec;9(12):2262−71)。
抑制することが報告されている(Suppression of experi
mental abdominal aortic aneurysms by
systemic treatment with a hydroxama
te−based matrix metalloproteinase in
hibitor (RS 132908). Moore G, Liao S
, Curci JA, Starcher BC, Martin RL,
Hendricks RT, Chen JJ, Thompson RW.
J Vasc Surg. 1999 Mar;29(3):522−32)。
HP、Schweiz Med Wochenschr 2000 May 2
7;130(21);784−8)。しかし、MMPインヒビターの全身投与は
、重篤な副作用を生じ、上記種々の疾患の処置(治療および予防)するための臨
床適用は困難である。
して、種々の疾患に関与することが示唆されているが、このような疾患を有効に
処置する方法、特に非侵襲的処置法は提供されていない。特に、大動脈瘤は、上
記のように稀ではない疾患であり、高齢化社会にともなう動脈硬化性疾患の増加
は、当然大動脈瘤疾患の増加をもたらす。患者の高齢化を考慮した場合、薬剤に
より大動脈瘤の増長を直接抑制できれば理想的であるが、現在のところその手段
はなく、大動脈瘤の低侵襲的な治療および予防法の開発が切望されている。
る上記種々の疾患を処置するために適した組成物およびその使用法を提供する。
キメラ(ダブル)デコイを主成分として含有し、NF−κBまたはetsにより
制御される遺伝子の発現に起因する種々の疾患を処置(治療および予防)するた
めの組成物および該疾患の処置方法を提供する。
する疾患を処置するために、NF−κBのデコイ、またはetsのデコイ、また
はNF−κBとetsとのキメラ(ダブル)デコイを投与することが有効である
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
を治療および予防するための薬学的組成物に関し、この組成物は、少なくとも1
つのデコイ、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
tのデコイ、そしてより好ましくはNF−κBとestとのキメラ(ダブル)デ
コイである。
脈解離、血管形成術後再狭窄、慢性関節リウマチ、喘息、アトピー性皮膚炎、腎
炎、腎不全またはプラークラプチャーである。
薬学的組成物およびそれに用いるキャリアーが提供される。本発明の薬学的組成
物の局所投与は、非侵襲的であって、繰り返し可能な治療方法を提供する。
たはetsが結合する染色体上の部位、あるいはNF−κBまたはetsに制御
される遺伝子の他の転写調節因子が結合する染色体上の部位(以下標的結合部位
という)に結合し、NF−κBまたはetsまたはその他の転写因子と、これら
の標的結合部位への結合について拮抗する化合物をいう。代表的には、デコイま
たはデコイ化合物は、核酸およびその類似体である。
、デコイが転写調節因子と競合し、その結果、転写調節因子の標的結合部位への
結合によってもたらされる生物学的機能が阻害される。デコイは、標的結合配列
に結合し得る核酸配列を少なくとも1つ含む。標的結合配列への結合活性を有す
る限り、デコイは、本発明の薬学的組成物の調製に用いることができる。
−CCT−CC−3’(配列番号1)(NF−κBデコイ)、もしくは5’−A
AT−TCA−CCG−GAA−GTA−TTC−GA−3’(配列番号3)(
etsデコイ)、もしくは5’−ACC−GGA−AGT−ATG−AGG−G
AT−TTC−CCT−CC−3’(配列番号5)(NF−κBとetsのキメ
ラ(ダブル)デコイ)、またはこれらの相補体を含むオリゴヌクレオチド、これ
らの変異体、またはこれらを分子内に含む化合物が挙げられる。オリゴヌクレオ
チドは、DNAでもRNAでもよく、またはそのオリゴヌクレオチド内に核酸修
飾体および/または擬核酸を含むものであってもよい。また、これらのオリゴヌ
クレオチド、その変異体、またはこれらを分子内に含む化合物は、1本鎖でも2
本鎖であってもよく、線状であっても環状であっもよい。変異体とは上記配列の
一部が、変異、置換、挿入、欠失しているもので、NF−κBまたはNF−κB
に制御される遺伝子のその他の転写調節因子が結合する核酸結合部位と特異的に
拮抗する核酸を示す。さらに好ましいNF−κBまたはets、あるいはNF−
κBに制御される遺伝子のその他の転写調節因子のデコイとしては、上記核酸配
列を1つまたは複数含む2本鎖オリゴヌクレオチドまたはその変異体が挙げられ
る。上記核酸配列を1つまたは複数含む核酸は、含まれる核酸配列の数を示すた
めに、含まれる核酸配列が2つの場合キメラ(タブル)デコイと称され、そして
3つの場合トリプルデコイなどと称され得る。
子をイオウ原子で置換したチオリン酸ジエステル結合をもつオリゴヌクレオチド
(S−オリゴ)、またはリン酸ジエステル結合を電荷をもたないメチルホスフェ
ート基で置換したオリゴヌクレオチド等、生体内でオリゴヌクレオチドが分解を
受けにくくするために改変したオリゴヌクリオチド等が含まれる。
または生化学的合成法を用いることができる。例えば、デコイ化合物として核酸
を用いる場合、遺伝子工学で一般的に用いられる核酸合成法を用いることができ
、例えば、DNA合成装置を用いて目的のデコイ核酸を直接合成してもよいし、
またはこれらの核酸、それを含む核酸またはその一部を合成した後、PCR法ま
たはクローニングベクター等を用いて増幅してもよい。さらに、これらの方法に
より得られた核酸を、制限酵素等を用いて切断し、DNAリガーゼ等を用いて結
合等を行い、目的とする核酸を製造してもよい。また、さらに細胞内でより安定
なデコイ核酸を得るために、核酸の塩基、糖、リン酸部分に、例えば、アルキル
化、アシル化等の化学修飾を施してもよい。
、または別の成分または薬剤のような他の薬剤と組み合わせて含む薬学的組成物
を提供する。
内に取り込まれるような形態で用いられる。
水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、および水を含むが、それらに限定され
ない)中で投与され得る。これらの分子のいずれも、適切な賦形剤、アジュバン
ト、および/または薬学的に受容可能なキャリアーと混合する薬学的組成物中に
て、単独で、あるいは他の薬剤と組み合わせて患者に投与され得る。本発明の実
施態様において、薬学的に受容可能なキャリアーは薬学的に不活性である。
送達の方法としては、局所、動脈内(例えば、腫瘍、動脈瘤に直接)、筋肉内、
皮下、髄内、クモ膜下腔内、脳室内、静脈内、腹腔内、または鼻孔内の投与が挙
げられる。デコイ化合物に加えて、これらの薬学的組成物は、賦形剤または薬学
的に使用できる製剤を調製するために、デコイ化合物のプロセシングを促進する
他の化合物を含む、適切な、薬学的に受容可能なキャリアーを含み得る。処方お
よび投与のための技術のさらなる詳細は、例えば、「REMINGTON’S
PHARMACEUTICAL SCIENCES」 (Maack Publ
ishing Co.,Easton,PA)の最終版に記載されている。
知の薬学的に受容可能なキャリアを用いて処方され得る。このようなキャリアは
、薬学的組成物が患者による摂取に適した錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル、液体
、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物などに処方されることを可能とする。
より得られた混合物を粉砕し、所望ならば、錠剤または糖衣剤のコアを得るため
に、適切なさらなる化合物を添加した後、顆粒の混合物をプロセシングすること
を介して得られ得る。適切な賦形剤は炭水化物またはタンパク質充填剤であり、
以下を含むが、それらに限定されない:ラクトース、スクロース、マンニトール
、またはソルビトールを含む糖;トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、ま
たは他の植物由来のデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース;
ならびにアラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;ならびにゼラチンお
よびコラーゲンのようなタンパク質。所望ならば、架橋されたポリビニルピロリ
ドン、寒天、アルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)のよう
な崩壊剤または可溶化剤が添加され得る。
これはまた、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、
ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラツカー溶液、および
適切な有機溶媒または溶媒混合液をも含有し得る。製品同定のため、または活性
化合物の量(すなわち用量)を特徴付けるために、染料または色素が錠剤または
糖衣剤に添加され得る。
びコーティング(例えば、グリセロールまたはソルビトール)よりなるソフト封
着カプセルを含む。ゼラチンカプセルは、ラクトースまたは澱粉のような充填剤
またはバインダー、タルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、お
よび所望により安定化剤と混合した活性な成分を含有し得る。ソフトカプセルで
は、デコイ化合物は、安定化剤とともにまたはともなわずに、脂肪油、流動パラ
フィンまたは液状ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解または懸濁
され得る。
明の薬学的組成物は水溶液、好ましくはハンクスの溶液、リンゲル溶液、または
緩衝化生理食塩水のような生理学的に適合する緩衝液中に処方され得る。水性注
射懸濁物は、懸濁物の粘度を増加させる物質(例えば、ナトリウムカルボキシメ
チルセルロース、ソルビトール、またはデキストラン)を含有し得る。さらに、
活性化合物の懸濁物は、適切な油状注射懸濁物として調製され得る。適切な親油
性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油のような脂肪酸、あるいはオレイン酸エチルま
たはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。所
望により、懸濁物は、高濃度溶液の製剤を可能にする安定化剤または化合物の溶
解度を増加させる適切な薬剤または試薬を含有し得る。
透剤が製剤中で使用される。このような浸透剤は一般に当該分野で公知である。
的な混合、溶解、顆粒化、糖衣剤作製、水簸、乳化、カプセル化、包括、または
凍結乾燥の手段によって)で製造され得る。
本発明の薬学的組成物は、キャリアとして合成または天然の親水性ポリマーを含
み有る。このような親水性ポリマーの例として、ヒドロキシプロピルセルロース
、ポリエチレングリコールが挙げられる。本発明のデコイ化合物を、適切な溶媒
中のこのような親水性ポリマーと混合し、溶媒を、風乾などの方法により除去し
て、所望の形態、例えば、シート状に成型した後、標的部位に付与し得る。この
ような親水性ポリマーを含む製剤は、水分含量が少ないので、保存性に優れ、使
用の際には、水分を吸収してゲル状になるので、デコイ化合物の貯留性に優れる
。
このようなシートは上記の組成以外にも類似物として、セルロース、デンプン及
びその誘導体あるいは合成高分子化合物などに多価アルコールを混合し硬度を調
整して形成した親水性シートも利用できる。
与され得る。現在、腹腔鏡手術は、非侵襲手法として目覚しく発展し、本発明の
薬学的組成物と組み合わせることにより、非侵襲的であって、繰り返し治療が可
能な疾患の処置法が提供され得る。
学的組成物は、一般に用いられている遺伝子導入法で用いられる形態、例えば、
センダイウイルス等を用いた膜融合リポソーム製剤や、エンドサイトーシスを利
用するリポソーム製剤等のリポソーム製剤、リポフェクトアミン(ライフテック
オリエンタル社製)等のカチオン性脂質を含有する製剤、またはレトロウイルス
ベクター、アデノウイルスベクター等を用いるウイルス製剤を用いるのが有利で
あり、特に、膜融合リポソーム製剤が好適である。
V)、多重膜リポソーム(MLV)、小さな一枚膜リポソーム(SUV)のいず
れであってもよい。その大きさも、LUVでは200から1000nm、MLV
では400〜3500nm、SUVでは20〜50nm程度の粒子系をとり得る
が、センダイウイルス等を用いる膜融合リポソーム製剤の場合は粒子系200〜
1000nmのMLVを用いるのが好ましい。
のではなく、慣用の方法、例えば、逆相蒸発法(Szoka、Fら、Bioch
im.Biophys.Acta、Vol.601 559(1980))、エ
ーテル注入法(Deamer、D.W.:Ann.N.Y.Acad.Sci.
,Vol.308 250(1978))、界面活性剤法(Brunner,J
ら:Biochim.Biophys.Acta,Vol.455 322(1
976))等を用いて製造することができる。
や窒素脂質等が用いられるが、一般に、リン脂質が好適であり、ホスファチジル
コリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジル
イノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、カルジオ
リピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン等の
天然リン脂質、あるいはこれらを定法に従って水素添加したものの他、ジセチル
ホスフェート、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファ
チジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイ
ルホスファチジルセリン、エレオステアロイルホスファチジルコリン、エレオス
テアロイルホスファチジルエタノールアミン、エレオステアロイルホスファチジ
ルセリン等の合成リン脂質を用いることができる。
用することも可能である。このとき、エタノールアミンやコリン等の陽性基をも
つ原子団を分子内にもつものを用いることにより、電気的に陰性のデコイ核酸の
結合率を増加させることもできる。これらリポソーム形成時の主要リン脂質の他
に一般にリポソーム形成用添加剤として知られるコレステロール類、ステアリル
アミン、α−トコフェロール等の添加剤を用いることもできる。
細胞内への取り込みを促進するために、膜融合促進物質、例えば、センダイウイ
ルス、不活化センダイウイルス、センダウイルスから精製された膜融合促進タン
パク質、ポリエチレングルコール等を添加することができる。
ーム形成物質を、コレステロールとともにテトラヒドロフラン、クロロホルム、
エタノール等の有機溶媒に溶解し、これを適切な容器に入れて減圧下に溶媒を留
去して容器内面にリポソーム形成物質の膜を形成する。これにデコイを含有する
緩衝液を加えて攪拌し、得られたリポソームにさらに所望により前記の膜融合促
進物質を添加した後、リポソームを単離する。こりようにして得られるデコイを
含有するリポソームは適当な溶媒中に懸濁させるか、または一旦凍結乾燥したも
のを、適当な溶媒に再分散させて治療に用いることができる。膜融合促進物質は
リポソーム単離後、使用までの間に添加してもよい。
な量で含有される組成物を含む。「治療的有効量」または「薬理学的有効量」は
当業者に十分に認識される用語であり、意図される薬理学的結果を生じるために
有効な薬剤の量をいう。従って、治療的有効量は、処置されるべき疾患の徴候を
軽減するのに十分な量である。所定の適用のための有効量(例えば、治療的有効
量)を確認する1つの有用なアッセイは、標的疾患の回復の程度を測定すること
である。実際に投与される量は、処置が適用されるべき個体に依存し、好ましく
は、所望の効果が顕著な副作用をともなうことなく達成されるように最適化され
た量である。治療的有効用量の決定は十分に当業者の能力内にある。
の適切な動物モデルのいずれかにおいて、最初に見積もられ得る。動物モデルは
また、所望の濃度範囲および投与経路を達成するために用いられる。次いで、こ
のような情報を用いて、ヒトにおける投与に有用な用量および経路を決定するこ
とができる。
。このような化合物の治療効果および毒性は、細胞培養または実験動物における
標準的な薬学的手順(例えば、ED50、集団の50%において治療的に有効な用
量;およびLD50、集団の50%に対して致死的である用量)によって決定され
得る。治療効果と毒性効果との間の用量比は治療係数であり、それは比率ED50
/LD50として表され得る。大きな治療係数を呈する薬学的組成物が好ましい。
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータが、ヒトでの使用のための
量の範囲を公式化するのに使用される。このような化合物の用量は、好ましくは
、毒性をほとんどまたは全くともなわないED50を含む循環濃度の範囲内にある
。この用量は、使用される投与形態、患者の感受性、および投与経路に依存して
この範囲内で変化する。一例として、デコイの投与量は、年齢その他の患者の条
件、疾患の種類、使用するデコイの種類等により適宜選択されるが、例えば、血
液内投与、筋肉内投与、関節内投与では、一般に、1回あたり、1μg〜100
mgを1日1回から数回投与することができる。
れる。用量および投与は、十分なレベルの活性部分を提供するか、または所望の
効果を維持するように調整される。考慮され得るさらなる因子としては、疾患状
態の重症度(例えば、腫瘍のサイズおよび位置;患者の年齢、体重、および性別
;投与の食餌制限時間、および頻度、薬物組合せ、反応感受性、および治療に対
する耐性/応答)が挙げられる。特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に
応じて、持続作用性薬学的組成物は、3〜4日毎に、毎週、または2週間に1回
、投与され得る。特定の用量および送達の方法に関するガイダンスは当該分野で
公知の文献に提供されている。
使用するデコイの種類等により各種の方法で投与することができ、例えば、虚血
性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患および癌の転移・浸潤、悪疫質においては血
管内投与、疾患部位に塗布、疾患部位内に投与または疾患部位に血管内投与等す
ることができる。さらに具体的な例としては、例えば、臓器梗塞等でPTCAを
行う場合には、同時またはその前後に患部血管に投与することができ、また臓器
移植等では移植する臓器を予め本願で用いられる製剤で処置して用いてもよい。
また、例えば、慢性関節リウマチ等では、直接関節内に注入して用いることもで
きる。
あって、限定を意図するものではない。
ets−1は、MMP遺伝子の発現を制御する転写因子の1つである。手術に
より除去(摘出)された大動脈瘤サンプルをホルマリン固定し、ets−1に対
する抗体(Santa Cruz Biotechnology社(USA))
を用い、常法にて免疫染色を行った。図1、2および3に示すように、いずれの
大動脈瘤サンプルにおいても、主として外膜にets−1の存在が認められた。
の右は、図1の左の矩形の区画の同拡大写真(×400倍)である。
2の右もまた、ヒト大動脈最拡張部の別の部分の蛍光顕微鏡写真(×200倍)
である。
の矩形で示した区画の拡大写真である。図3の左は、図2の右の大きい方の矩形
の区画の同拡大写真(×400倍)であり、そして図3の右は、図2の右の小さ
い方の矩形の区画の同拡大写真(×400倍)である。
手術時に除去された大動脈瘤サンプルを用い、オーガンカルチャー(組織培養
系)でデコイ核酸導入によるMMP遺伝子の発現抑制効果を試験した。
Mのそれぞれのデコイあるいはスクランブルデコイ(共に北海道システムサイエ
ンス社にて合成)を含む10%コラーゲゲルに室温で1時間浸した。その後ゲル
の付着したまま24ウェルプレートに入れ、培養液(Dulbecco’s m
odified Eagle’s medium,1% FCS)を1.5ml
ずつ入れた。以降、37℃インキュベーターにて培養した。培養液は24時間後
にウォッシュアウトし、新しい培養液に変更する。さらに48時間後、培養液中
のMMP1、MMP9を常法に従い、ELISA(Amersham phar
macia biotech社製)にて測定した。
使用したデコイ:
NF−κBデコイ(配列番号1)
結果を、図4および図5に示す。図4および図5の縦軸は、450nmにおけ
る吸光度を示し、横軸のuntreat、NFsd、NF、ets−sdおよび
etsは、それぞれ、核酸試薬を含まず(コントロール)、NF−κBスクラン
ブルデコイ、NF−κBデコイ、etsスクランブルデコイ、およびetsデコ
イをそれぞれ示す。図中の各棒の上部に記載の横棒は標準偏差を表し、そして図
中の各棒の間をつなぐ線の上にあるPは、この線でつながれる群間の比較に用い
た有意水準を表し、棒の上にある**はその群の平均値がコントロールに対して
統計的に有意水準1%(図4)または5%(図5)で平均値の差が有意であるこ
とを示す(Fisher検定)。
よびMMP9の産生は、コントロール群およびetsスクランブルデコイ投与群
に比べ有意に抑制された。そしてNF−κBデコイ投与群においてもまた、MM
P1およびMMP9の産生は、コントロール群およびNF−κBスクランブルデ
コイ投与群に比べ有意に抑制された。
ブルデコイ核酸の濃度依存的効果)
デコイ核酸として100μMおよび600μM濃度のNF−κBデコイ、およ
び100および600μM濃度の以下に示す構造のダブルデコイおよびダブルス
クランブルデコイを用いた点を除いて、実施例2と同様の方法でオーガンカルチ
ャー(組織培養系)におけるデコイ核酸添加によるMMP遺伝子の発現抑制効果
を試験した。
使用したダブルデコイ(配列番号5)
結果を、図6および図7に示す。図6および図7の縦軸は、450nmにおけ
る吸光度を示し、横軸のuntreat、NFsd、NF100、NF600、
DD sd、DD100およびDD600は、それぞれ、核酸試薬を含まず(コ
ントロール)、NF−κBデコイ100μM、NF−κBデコイ600μM、ダ
ブルスクランブルデコイ、ダブルデコイ100μM、およびダブルデコイ600
μMをそれぞれ示す。図中の各棒の上部に記載の横棒は、標準偏差を表し、そし
て図中の各棒の間をつなぐ線の上にあるPは、この線でつながれる群間の比較に
用いた有意水準を表し、*および**は、コントロールに対して統計的にそれぞ
れ有意水準5%および1%で平均値の差が有意であることを、#および‡はそれ
ぞれNF100およびNF600群の結果に対して有意水準5%で平均値の差が
有意であることをそれぞれ示す(Fisher検定)。
びMMP9の産生は、コントロール群およびNF−κBスクランブルデコイ投与
群に比べ有意に抑制され、そしてその効果は濃度依存性であった。そしてダブル
デコイ投与群においてもまた、MMP1およびMMP9の産生は、ダブルデコイ
投与群において、スクランブルデコイ投与群に比べ有意に抑制された。そしてダ
ブルデコイの効果は、NF−κBデコイ投与群に比べより効果的であった。
ラットを用い、インビボにおけるデコイ核酸付与によるMMP遺伝子の発現抑
制効果を試験した。
(大きさ1cm×1cm)をほぼ1cmの長さにわたって、腹部大動脈に周囲に
巻き付けた。腹部を縫合した後通常の状態で飼育し、3日後に再び開腹し、血管
を取り出して蛍光顕微鏡により解析した。
ADフィルムの組成:ヒドロキシプロピルセルロース 150〜400cps(
HPC−M) 73mg/4cm2;ポリエチレングルコール400(PEG)
7.3mg/4cm2;FITC−標識デコイ 100nmol/cm2。
ADフィルムの調製方法:まず、上記のヒドロキシプロピルセルロースおよびポ
リエチレングルコールを、それぞれ100%エタノールに溶解し混合した。この
混合液に、400nmolのFITC−標識デコイを加えて溶解した後、風乾し
、最終的に4cm2のシートに成型した。
写真(×200倍)である。図8の左は、FITC−標識デコイを含まないAD
フィルムを巻き付けたコントロールラットの腹部大動脈壁の断面の蛍光顕微鏡写
真、図8の右は、FITC−標識デコイを含むADフィルムを巻き付けたラット
の同蛍光顕微鏡写真である。図9は、腹部大動脈壁の断面および部分断面の蛍光
顕微鏡写真である。図9の左は、100倍、そして図9の右は、200倍の拡大
倍率の蛍光顕微鏡写真である。
を巻き付けたラットの腹部大動脈壁では、血管外膜に強い緑色および中膜の一部
に緑色の蛍光が観察され、デコイが血管外膜および中膜の一部に導入されたこと
が確認された。
大動脈瘤モデルラットが確立されている(Indomethacin pre
vents elastase−induced abdominal aor
tic aneurysms in the rat.Holmes DR,P
etrinec D,Wester W,Thompson RW,Reill
y JM.J Surg Res.1996 Jun;63(1):305−9
)。このモデルはエラスターゼをラット大動脈内に150cmH2Oの圧力で3
0分間貯留させることで作成される。
投与群では大動脈断面積は顕著に増大していく。しかし、NF−κBとEtsの
ダブルデコイ投与群ではその増大は2週後(図では横軸2W)、3週後(図では
横軸3W)で有意に抑制された。
Claims (3)
- 動脈瘤を治療または予防するための薬学的組成物であって、
NF−κBとetsのキメラダブルデコイ、および
薬学的に受容可能なキャリア
を含む、組成物。 - 前記薬学的に受容可能なキャリアが親水性ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
- 前記キメラダブルデコイがシート状に成型されており、患部動脈に巻き付けることにより、該デコイの局所投与が達成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
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