以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施の形態の概要について説明し、その後、本実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、本実施の形態の概要を示す図である。図1に示す電力線通信システムは、電力線を通信回線として用いて通信を行う通信システムである。この電力線通信システムは、中継装置1、電力線2、電力線通信装置3,4および情報端末装置5,6を有する。ここで、中継装置1は、電力線2を介して電力線通信装置3,4と接続されている。情報端末装置5は、電力線通信装置3と接続されている。情報端末装置6は、電力線通信装置4と接続されている。
中継装置1は、電力線2を介して電力線通信装置3,4と通信を行う通信装置である。中継装置1は、電力線通信装置3,4が送信したデータを電力線2経由で受信し、また、電力線通信装置3,4に対して電力線2経由でデータを送信する。なお、中継装置1は、更に他のネットワークに接続されていてもよい。この場合、中継装置1は、電力線2と他のネットワークとの間でデータの中継を行うこともできる。中継装置1は、ノイズ検出部1aとリソース管理部1bとを有する。
ノイズ検出部1aは、電力線2上のノイズを継続的に監視する。ここで検出されるノイズには、家電機器や無線通信装置の影響により電力線2上に突発的・一時的に発生するノイズも含まれる。このため、検出されるノイズの状況は、時間の経過とともに変化する。ノイズが検出されると、ノイズ検出部1aは、ノイズを含む周波数帯域をリソース管理部1bに通知する。
リソース管理部1bは、電力線通信装置3,4との通信に用いるリソースを管理する。ここで、ノイズ検出部1aからノイズを周波数帯域の通知を受けると、リソース管理部1bは、ノイズを含む周波数帯域を除外して、電力線通信装置3,4それぞれに対して通信に用いるリソース(周波数帯域や時間帯)を設定する。なお、リソース管理部1bは、電力線通信装置3,4と通信中であっても、変化するノイズの発生状況に合わせて動的にリソースの設定を変更することもできる。
電力線通信装置3,4は、電力線2で伝送される通信用信号を処理可能なモデム機能を備えた通信装置である。電力線通信装置3,4は、中継装置1によって設定されたリソースを用いて、中継装置1とデータ送受信を行う。使用が許可されたリソースは、必要に応じて中継装置1から通知される。具体的には、電力線通信装置3は、情報端末装置5から取得したデータを中継装置1に送信すると共に、中継装置1から受信したデータを情報端末装置5に出力する。電力線通信装置4は、情報端末装置6から取得したデータを中継装置1に送信すると共に、中継装置1から受信したデータを情報端末装置6に出力する。なお、電力線通信装置3と電力線通信装置4との間の通信は、中継装置1を経由せずに直接行うようにしてもよい。
情報端末装置5,6は、通信機能を有する端末装置である。情報端末装置5,6としては、例えば、コンピュータや通信機能を有する情報家電(テレビ受像機、冷蔵庫、電子レンジなど)が挙げられる。具体的には、情報端末装置5は、送信データを電力線通信装置3に出力すると共に、自装置宛てのデータを電力線通信装置3から取得する。情報端末装置6は、送信データを電力線通信装置4に出力すると共に、自装置宛てのデータを電力線通信装置4から取得する。なお、電力線通信装置3,4と情報端末装置5,6との間の接続は、有線であっても無線であってもよい。
このような電力線通信システムによれば、中継装置1のノイズ検出部1aにより、電力線2におけるノイズを含む周波数帯域が検出される。そして、リソース管理部1bにより、ノイズを含む周波数帯域を除外して、電力線通信装置3,4との電力線通信に用いるリソースが設定される。リソースの設定は、ノイズの発生状況に応じて動的に変更することが可能である。これにより、電力線通信におけるノイズの影響を軽減して、通信品質を向上させることができる。
以下、本実施の形態の具体的な内容を図面を参照して説明する。
図2は、本実施の形態のシステム構成を示す図である。図2に示す通信システムは、屋内の通信媒体に電力線を利用した通信システムである。本実施の形態に係る通信システムは、ネットワーク10、電力線20、PLC中継装置100、PLCモデム200,300,400および情報端末装置500,600,700を有する。
PLC中継装置100は、ネットワーク10に接続されている。ネットワーク10としては、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)、屋外の電力線などが挙げられる。また、PLC中継装置100は、屋内の電力線20を介してPLCモデム200,300,400と接続されている。PLCモデム200は、情報端末装置500と接続されている。PLCモデム300は、情報端末装置600と接続されている。PLCモデム400は、情報端末装置700と接続されている。
PLC中継装置100は、情報端末装置500,600,700が送受信するデータを中継する通信装置である。具体的には、PLC中継装置100は、ネットワーク10経由で受信した情報端末装置500,600,700宛てのデータをPLCモデム200,300,400に転送する。また、PLC中継装置100は、電力線20経由で受信した情報端末装置500,600,700からのデータをその宛先に応じて転送する。
ここで、PLC中継装置100は、PLCモデム200,300,400の接続状況や通信状態を監視する。そして、PLC中継装置100は、電力線通信の通信品質を維持するための各種通信制御を行う。例えば、PLC中継装置100は、必要に応じて、使用リソースや送信電力レベルの変更をPLCモデム200,300,400に指示する。
PLCモデム200,300,400は、電源コンセントに着脱可能な通信モデムである。電源コンセントに接続することで、PLCモデム200,300,400は、電力線20を利用した電力線通信を行うことができる。具体的には、PLCモデム200は、情報端末装置500が送受信するデータを中継する。PLCモデム300は、情報端末装置600が送受信するデータを中継する。PLCモデム400は、情報端末装置700が送受信するデータを中継する。
情報端末装置500,600,700は、通信機能を有する端末装置である。情報端末装置500,600,700としては、例えば、コンピュータや情報家電が挙げられる。情報端末装置500,600,700は、PLCモデム200,300,400と有線または無線で接続することで、通信を行うことができる。
なお、PLC中継装置100は屋内に設置されていても屋外に設置されていてもよい。また、情報端末装置500,600,700間で送受信するデータについては、PLC中継装置100が中継せずに、PLCモデム200,300,400間で直接送受信するようにしてもよい。
次に、PLC中継装置100およびPLCモデム200のモジュール構成について説明する。なお、PLCモデム300,400も、PLCモデム200と同様のモジュール構成によって実現できる。
図3は、PLC中継装置の機能を示すブロック図である。PLC中継装置100は、ネットワーク側インタフェース110、モデム側インタフェース120、リソース管理部130、モデム管理部140、伝送品質管理部150、ノイズ検出部160、電力管理部170および通信データ制御部180を有する。
ネットワーク側インタフェース110は、ネットワーク10を介して通信を行うための通信インタフェースである。ネットワーク側インタフェース110は、ネットワーク10と通信データ制御部180との間で送受信データを中継する。
モデム側インタフェース120は、電力線20を介してPLCモデム200,300,400と電力線通信を行うための通信インタフェースである。モデム側インタフェース120は、電力線20と通信データ制御部180との間で送受信データを中継する。また、モデム側インタフェース120は、伝送品質管理部150、ノイズ検出部160、電力管理部170および通信データ制御部180と電力線20との間で、制御情報を含む各種信号を中継する。
リソース管理部130は、PLC中継装置100とPLCモデム200,300,400との間の電力線通信に用いるリソースを管理する。リソース管理部130は、モデム管理部140から、PLCモデム200,300,400の接続状況や通信状態を示す情報を適宜取得する。そして、リソース管理部130は、モデム管理部140からの情報に基づいて、PLCモデム200,300,400それぞれに割り当てるリソースを設定・変更する。ここで、リソースの割り当てを変更した場合、リソース管理部130は、モデム管理部140および伝送品質管理部150経由でPLCモデム200,300,400にリソースの変更を指示する。
モデム管理部140は、伝送品質管理部150、ノイズ検出部160および電力管理部170と連携して、PLCモデム200,300,400の接続状況および通信状態を管理する。そして、モデム管理部140は、得られた情報を必要に応じてリソース管理部130に通知する。
伝送品質管理部150は、モデム管理部140からの指示に応じて、PLCモデム200,300,400の接続状況の確認を行い、確認結果をモデム管理部140に報告する。また、モデム管理部140からの指示に応じて、PLCモデム200,300,400との間の伝送品質を継続的に測定し、品質測定結果をモデム管理部140に報告する。また、伝送品質管理部150は、新たに電力線20に接続されたPLCモデムから接続情報を受信すると、モデム管理部140に接続情報を出力する。
ノイズ検出部160は、モデム管理部140からの指示に応じて、電力線20のノイズ状況を継続的に監視する。そして、ノイズ検出部160は、ノイズ発生を検出すると、ノイズを含む周波数帯域をモデム管理部140に報告する。また、ノイズ検出部160は、ノイズ消滅を検出すると、その旨をモデム管理部140に報告する。なお、ノイズ発生の報告は、ノイズの強度が所定の閾値を超えた場合のみ行うようにしてもよい。
電力管理部170は、モデム管理部140からの指示に応じて、PLCモデム200,300,400からの受信信号の電力レベルを継続的に監視する。そして、電力管理部170は、受信電力レベルにばらつきがある場合、ばらつきが小さくなるように、PLCモデム200,300,400に対して送信電力レベルの変更を指示する。
通信データ制御部180は、ネットワーク側インタフェース110とモデム側インタフェース120との間でデータの中継を行う。すなわち、通信データ制御部180は、ネットワーク10側から取得したデータを、所定の処理を施して、電力線20側に出力する。また、電力線20側から取得したデータを、所定の処理を施して、ネットワーク10側に出力する。電力線20側の送受信は、リソース管理部130が管理するリソースの割り当て状況を参照して行う。通信データ制御部180は、ルーティング部181、データ生成部182、エラー検査部183および再送制御部184を有する。
ルーティング部181は、PLCモデム200,300,400に接続されている情報端末装置500,600,700のIP(Internet Protocol)アドレスやMAC(Medium Access Control)アドレスを管理している。ルーティング部181は、中継するデータを取得すると、データの宛先アドレスに応じてルーティングを行う。
データ生成部182は、PLCモデム200,300,400に転送すべきデータを、ルーティング部181から取得する。そして、データ生成部182は、取得したデータのカプセル化を行う。カプセル化に際し、データ生成部182は、受信側で誤り検出を行えるように誤り検出符号化処理を行う。その後、データ生成部182は、カプセル化したデータをモデム側インタフェース120に出力する。また、データ生成部182は、カプセル化したデータを再送制御部184にも出力する。
また、データ生成部182は、エラー検査部183から誤り検査後のデータ(カプセル化されたデータ)を取得する。そして、データ生成部182は、取得したデータのカプセル化を解除し、ルーティング部181に出力する。
エラー検査部183は、PLCモデム200,300,400から受信したデータ(カプセル化されたデータ)を取得する。そして、エラー検査部183は、誤り検出処理を行う。ここで、エラーが検出されなかった場合、エラー検査部183は、データをデータ生成部182に出力する。一方、エラーが検出された場合、データを再送制御部184に出力する。
再送制御部184は、PLCモデム200,300,400との間で再送制御を行う。具体的には、再送制御部184は、データ生成部182から取得した送信データを一時的に保持する。そして、PLCモデム200,300,400から再送要求があると、送信データを再送する。また、再送制御部184は、エラー検査部183からエラーを含む受信データを取得すると、そのデータの送信元に再送要求を行う。
図4は、PLCモデムの機能を示すブロック図である。PLCモデム200は、中継装置側インタフェース210、端末側インタフェース220、接続情報管理部230、周波数帯域管理部240、送信電力制御部250および通信データ制御部260を有する。
中継装置側インタフェース210は、電力線20を介してPLC中継装置100と通信を行うための通信インタフェースである。中継装置側インタフェース210は、電力線20と通信データ制御部260との間で送受信データを中継する。また、中継装置側インタフェース210は、接続情報管理部230、周波数帯域管理部240、送信電力制御部250および通信データ制御部260と電力線20との間で、制御情報を含む各種信号を中継する。
端末側インタフェース220は、情報端末装置500とデータの入出力を行うための入出力インタフェースである。端末側インタフェース220は、情報端末装置500と通信データ制御部260との間で送受信データを中継する。
接続情報管理部230は、PLCモデム200の接続情報を管理する。接続情報は、PLC中継装置100がPLCモデム200を認識するために必要な情報であり、PLCモデム200の識別情報を含む。接続情報管理部230は、PLCモデム200が電力線20に接続されたことを検知したとき、および、PLC中継装置100が起動または再起動したことを検知したときに、接続情報をPLC中継装置100に送信する。また、接続情報管理部230は、PLCモデム200の稼働中にPLC中継装置100から接続状況の確認要求を受信すると、稼働中である旨をPLC中継装置100に応答する。
周波数帯域管理部240は、PLCモデム200がPLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を管理する。周波数帯域管理部240は、PLC中継装置100から、PLCモデム200が使用可能なリソースとして周波数帯域(例えば、2MHz〜30MHzの全周波数帯域の一部帯域)が指定されると、指定された周波数帯域の範囲内で通信を行うように制御を行う。
送信電力制御部250は、PLCモデム200の送信電力レベルを制御する。送信電力制御部250は、PLC中継装置100から電力レベルの変更指示があると、指示に応じて送信電力レベルを調整する。
通信データ制御部260は、中継装置側インタフェース210と端末側インタフェース220との間でデータの中継を行う。すなわち、通信データ制御部260は、電力線20側から取得したデータを、所定の処理を施して、情報端末装置500に出力する。また、情報端末装置500から取得したデータを、所定の処理を施して、電力線20側に出力する。通信データ制御部260は、データ生成部261、エラー検査部262および再送制御部263を有する。
データ生成部261は、PLC中継装置100に送信すべきデータを取得すると、取得したデータのカプセル化を行う。カプセル化に際し、データ生成部261は、受信側で誤り検出を行えるように誤り検出符号化処理を行う。その後、データ生成部261は、カプセル化したデータを中継装置側インタフェース210に出力する。また、データ生成部261は、カプセル化したデータを再送制御部263にも出力する。
また、データ生成部261は、誤り検査後のデータ(カプセル化されたデータ)をエラー検査部262から取得する。そして、データ生成部261は、取得したデータのカプセル化を解除し、端末側インタフェース220に出力する。
エラー検査部262は、PLC中継装置100から受信したデータ(カプセル化されたデータ)を取得する。そして、エラー検査部262は、誤り検出処理を行う。ここで、エラーが検出されなかった場合、エラー検査部262は、データをデータ生成部261に出力する。一方、エラーが検出された場合、データを再送制御部263に出力する。
再送制御部263は、PLC中継装置100との間で再送制御を行う。具体的には、再送制御部263は、データ生成部261から取得した送信データを一時的に保持する。そして、PLC中継装置100から再送要求があると、送信データを再送する。また、再送制御部263は、エラー検査部262からエラーを含む受信データを取得すると、PLC中継装置100に再送要求を行う。
なお、PLC中継装置100は、必要に応じて、ネットワーク10側について自装置が責任を有する通信レイヤまでのパケット処理を行う。例えば、PLC中継装置100がレイヤ2スイッチとして機能する場合、PLC中継装置100の通信データ制御部180は、ネットワーク10側に送信するパケットおよびネットワーク10側から受信するパケットについて、レイヤ2(MAC層)までのパケット処理を行う。
また、PLC中継装置100とPLCモデム200,300,400との間で伝送するデータ(前述のカプセル化の対象とするデータ)は、レイヤ3パケット(例えば、IPパケット)としてもよいし、レイヤ2パケット(例えば、MACフレーム)としてもよいし、パケット化していない状態のデータとしてもよい。
また、以下では、PLC中継装置100とPLCモデム200,300,400との間の電力線通信には、2MHz(メガヘルツ)〜30MHzの周波数帯域を用いることができるものとする。また、PLC中継装置100とPLCモデム200,300,400との間は周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)方式で通信を行うものとし、リソースは周波数単位で設定するものとする。また、PLC中継装置100からPLCモデム200,300,400への方向(下り方向)とPLCモデム200,300,400からPLC中継装置100への方向(上り方向)とは、同じ周波数帯域を用いて通信を行うものとする。
図5は、リソース管理テーブルのデータ構造を示す図である。図5に示すリソース管理テーブル131は、PLC中継装置100のリソース管理部130によって生成され保持されるテーブルである。リソース管理テーブル131には、用途を示す項目と周波数帯域を示す項目とが設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
用途を示す項目には、周波数帯域の割り当て用途が設定される。特定のPLCモデムに周波数帯域を割り当てた場合には、そのPLCモデムの識別情報が設定される。周波数帯域を示す項目には、割り当てた周波数帯域を示す値(例えば、何Hzから何Hzまでという帯域を示す値)が設定される。リソース管理テーブル131には、リソース管理部130によって情報が適宜追加・更新される。
図5の例は、PLC中継装置100の起動時の初期状態を示している。初期状態では、用途が“制御”、周波数帯域が“2MHz〜4MHz”という情報が記載されている。これは、2MHzから4MHzの周波数帯域が、PLC中継装置100とPLCモデム200,300,400との間で各種制御情報を伝送するための帯域として予約されていることを意味する。
次に、以上のような構成およびデータ構造を備える電力線通信システムにおいて実行される処理の詳細を説明する。具体的には、(1)PLC中継装置100の起動時の処理、(2)新たなPLCモデムが電力線20に接続されたときの処理、(3)電力線20にノイズが検出されたときの処理、(4)送信電力レベルの調整処理、(5)電力線20を用いたデータ伝送処理、(6)接続されていたPLCモデムの停止時の処理の順に説明する。
図6は、初期設定処理の流れの例を示すシーケンス図である。ここでは、PLC中継装置100の動作開始時に、PLCモデム200,300が既に電力線20に接続されている場合を想定している。以下、図6に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]リソース管理部130は、PLC中継装置100の動作開始時に、リソース管理テーブル131を作成し、リソース管理テーブル131の初期化を行う。作成したリソース管理テーブル131は、リソース管理部130が所定のメモリ領域に格納して管理する。初期状態では、リソース管理テーブル131には、制御用として予約されている周波数帯域(例えば、2MHz〜4MHz)のみが設定されている。制御用の周波数帯域としては、通信の信頼性が要求されるため、雑音の影響の少ない低周波数帯域を用いることが望ましい。
なお、PLC中継装置100の動作開始とは、例えば、PLC中継装置100の電源がOFFからONになったときや、コマンドを受け付けてスリープ状態から稼働状態に復帰したときなどである。
[ステップS12]接続情報管理部230は、PLC中継装置100が動作を開始したことを検知すると、PLCモデム200の識別情報を含む接続情報をPLC中継装置100に送信する。PLCモデム300も同様の処理を行う。伝送品質管理部150は、PLCモデム200,300から接続情報を受信すると、モデム管理部140に転送する。
なお、動作開始の検知は、PLC中継装置100が動作開始時に電力線20上に所定の報知信号を流してPLCモデム200,300がこれを受信することで実現してもよいし、PLCモデム200,300が定期的にPLC中継装置100にアクセスを試みることで実現してもよい。
[ステップS13]モデム管理部140は、取得した接続情報に基づいて、電力線20に現在接続されているPLCモデムの数(ここでは2個)と各PLCモデムの識別情報とを特定し、その内容を接続状況報告としてリソース管理部130に通知する。
[ステップS14]リソース管理部130は、モデム管理部140から接続状況報告を取得すると、ステップS11で作成したリソース管理テーブル131に、PLCモデム200,300の識別情報を登録する。
[ステップS15]リソース管理部130は、モデム管理部140に、PLCモデム200,300それぞれとの間の伝送品質を測定するよう指示する。モデム管理部140は、リソース管理部130から取得した品質測定指示を伝送品質管理部150に転送する。
[ステップS16]伝送品質管理部150は、モデム管理部140からの指示を受けて、PLCモデム200,300からの受信信号の監視を開始し、受信品質を測定する。そして、伝送品質管理部150は、PLCモデム200,300との間の伝送品質の測定結果が得られると、伝送品質を示す指標値(例えば、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)など)をモデム管理部140に出力する。モデム管理部140は、取得した測定結果を、リソース管理部130に転送する。
[ステップS17]リソース管理部130は、モデム管理部140から取得した測定結果に基づいて、PLCモデム200,300それぞれに割り当てる周波数帯域を決定する。例えば、リソース管理部130は、伝送品質が良好なPLCモデムに対して、高周波数帯域を優先的に割り当てるようにする。そして、リソース管理部130は、ステップS11で作成したリソース管理テーブル131に割り当てた周波数帯域を登録する。
[ステップS18]リソース管理部130は、ステップS17でPLCモデム200,300に割り当てた周波数帯域をモデム管理部140に通知する。モデム管理部140は、通知内容を伝送品質管理部150に転送する。伝送品質管理部150は、PLCモデム200に対してPLCモデム200に割り当てられた周波数帯域を通知し、PLCモデム300に対してPLCモデム300に割り当てられた周波数帯域を通知する。
[ステップS19]周波数帯域管理部240は、PLC中継装置100からの周波数帯域の通知に基づいて、PLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を設定する。PLCモデム300も同様の処理を行う。
このようにして、PLC中継装置100は、動作開始時にPLCモデムの接続状況を把握し、各PLCモデムとの間の伝送品質を測定する。そして、PLC中継装置100は、伝送品質に応じて各PLCモデムに周波数帯域を割り当てる。
なお、上記ステップS16以後、伝送品質管理部150は電力線20にPLCモデム200,300の伝送品質を定期的に測定し、測定結果をモデム管理部140経由でリソース管理部130に報告する。モデム管理部140は、定期的に取得する測定結果を受けて、必要に応じて周波数の割り当て変更を行う。
図7は、リソース管理テーブルの状態を示す第1の図である。図7に示すリソース管理テーブル131aは、図6に示した処理が実行された後のテーブル状態を表している。リソース管理テーブル131aには、制御用の周波数帯域が2MHz〜4MHz、PLCモデム200(図7では“モデムA”と表記)用の周波数帯域が17MHz〜30MHz、PLCモデム300(図7では“モデムB”と表記)用の周波数帯域が4MHz〜17MHzという情報が登録されている。
これは、PLC中継装置100とPLCモデム200との間の伝送品質がPLC中継装置100とPLCモデム300との間の伝送品質よりも良好であり、使用可能な残りの周波数帯域(4MHz〜30MHz)のうち高周波数側の13MHz幅がPLCモデム200に割り当てられ、低周波数側の13MHz幅がPLCモデム300に割り当てられたことを示している。
なお、ここでは周波数単位でリソースの割り当てを行っているが、FDMA以外の多元接続方式を採用した場合には、その多元接続方式に応じた単位で割り当てが行われる。例えば、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式を採用した場合には、チャネル単位で割り当てが行われる。また、ここではPLCモデム200とPLCモデム300とに同じ帯域幅を割り当てたが、伝送品質や採用する変調方式・符号化方式などに応じて、割り当てる帯域幅に差異を設けてもよい。また、ここでは使用可能な残りの周波数帯域全てを割り当てたが、他のPLCモデムの追加接続に備えて、一部の周波数帯域を残しておいてもよい。
図8は、モデム追加処理の流れの例を示すシーケンス図である。ここでは、PLCモデム200,300が電力線20に接続されている状態で、更にPLCモデム400が電力線20に接続された場合を想定している。以下、図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、PLCモデム400は、PLCモデム200の接続情報管理部230および周波数帯域管理部240に相当するモジュールとして、接続情報管理部430および周波数帯域管理部440を有しているものとする。
[ステップS21]接続情報管理部430は、PLCモデム400が電力線20に接続されたことを検知すると、PLCモデム400の識別情報を含む接続情報をPLC中継装置100に送信する。伝送品質管理部150は、PLCモデム400から接続情報を受信すると、モデム管理部140に転送する。
[ステップS22]モデム管理部140は、取得した接続情報に基づいて、電力線20にPLCモデム400が追加接続されたことを認識し、その内容を接続状況報告としてリソース管理部130に通知する。
[ステップS23]リソース管理部130は、モデム管理部140から接続状況報告を取得すると、リソース管理部130が管理するリソース管理テーブル131にPLCモデム400の識別情報を追加登録する。
[ステップS24]リソース管理部130は、モデム管理部140に、PLCモデム400との間の伝送品質を測定するよう指示する。モデム管理部140は、リソース管理部130から取得した品質測定指示を伝送品質管理部150に転送する。
[ステップS25]伝送品質管理部150は、モデム管理部140からの指示を受けて、PLCモデム400からの受信信号の監視を開始し、受信品質を測定する。そして、伝送品質管理部150は、PLCモデム400との間の伝送品質の測定結果が得られると、伝送品質を示す指標値をモデム管理部140に出力する。モデム管理部140は、取得した測定結果を、リソース管理部130に転送する。
[ステップS26]リソース管理部130は、モデム管理部140から取得した測定結果に基づいて、PLCモデム200,300,400それぞれに割り当てる周波数帯域を決定する。そして、リソース管理部130は、リソース管理テーブル131の周波数帯域の登録を更新する。
[ステップS27]リソース管理部130は、ステップS26でPLCモデム400に割り当てた周波数帯域をモデム管理部140に通知する。モデム管理部140は、通知内容を伝送品質管理部150に転送する。伝送品質管理部150は、PLCモデム400に対してPLCモデム400に割り当てられた周波数帯域を通知する。また、リソース管理部130がPLCモデム200,300の割り当て周波数帯域を変更した場合には、同様にして、PLCモデム200,300に周波数帯域が通知される。以下では、PLCモデム200,300の割り当て周波数帯域も変更されたものとする。
[ステップS28]周波数帯域管理部440は、PLC中継装置100からの周波数帯域の通知に基づいて、PLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を設定する。
[ステップS29]周波数帯域管理部240は、PLC中継装置100からの周波数帯域の通知に基づいて、PLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を変更する。PLCモデム300も同様の処理を行う。
このようにして、PLC中継装置100は、新たなPLCモデムが電力線20に接続されたことを検知すると、検出したPLCモデムとの間の伝送品質を測定する。そして、PLC中継装置100は、伝送品質に応じて、新たなPLCモデムおよび既接続のPLCモデムを対象に動的に周波数帯域の再割り当てを行う。
なお、上記ステップS25では、PLCモデム400の伝送品質と同時に、既接続のPLCモデム200,300の最新の伝送品質も合わせて測定するようにしてもよい。この場合、リソース管理部130は最新の測定結果に基づいて、割り当て周波数帯域をより適切に判断することができる。
また、上記ステップS25以後、伝送品質管理部150は電力線20にPLCモデム400の伝送品質を定期的に測定し、測定結果をモデム管理部140経由でリソース管理部130に報告する。モデム管理部140は、定期的に取得する測定結果を受けて、必要に応じて周波数の割り当て変更を行う。
図9は、リソース管理テーブルの状態を示す第2の図である。図9に示すリソース管理テーブル131bは、図8に示した処理が実行された後のテーブル状態を表している。リソース管理テーブル131bには、制御用の周波数帯域が2MHz〜4MHz、PLCモデム200用の周波数帯域が22MHz〜30MHz、PLCモデム300用の周波数帯域が4MHz〜13MHz、PLCモデム400(図9では“モデムC”と表記)用の周波数帯域が13MHz〜22MHzという情報が登録されている。
これは、PLCモデム200、PLCモデム400、PLCモデム300の順に伝送品質が良好であり、PLCモデム200,300,400に割り当て可能な周波数帯域(4MHz〜30MHz)のうち高周波数側の8MHz幅がPLCモデム200に割り当てられ、低周波数側の9MHz幅がPLCモデム300に割り当てられ、その中間の9MHz幅がPLCモデム400に割り当てられたことを示している。
なお、ここではPLCモデム400の接続に伴って既接続のPLCモデムの割り当て周波数帯域も変更したが、できる限り既接続のPLCモデムの割り当て周波数帯域を変更せずに割り当てを行うようにすることも考えられる。
図10は、ノイズ検出処理の流れの例を示すシーケンス図である。ここでは、PLCモデム200,300,400が電力線20に接続されている状態で、電力線20にノイズが発生し、その後ノイズが消滅する場合を想定している。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、PLCモデム300は、PLCモデム200の周波数帯域管理部240に相当するモジュールとして、周波数帯域管理部340を有しているものとする。
[ステップS31]ノイズ検出部160は、PLC中継装置100の動作開始後、電力線20上のノイズの有無をリアルタイムに監視する。そして、通信品質に影響を及ぼすノイズ(例えば、所定の強度以上のノイズ)を検出すると、ノイズ検出部160は、そのノイズが乗っている周波数帯域(または、そのノイズの影響を受けて通信品質が低下する可能性のある周波数帯域)を特定し、モデム管理部140に通知する。モデム管理部140は、ノイズ検出部160から取得したノイズを含む周波数帯域の情報をリソース管理部130に転送する。
[ステップS32]リソース管理部130は、モデム管理部140からノイズを含む周波数帯域の情報を取得すると、その周波数帯域をリソース管理部130が管理するリソース管理テーブル131にその周波数帯域を登録する。
[ステップS33]リソース管理部130は、ノイズを含む周波数帯域を使用禁止帯域とし、PLCモデム200,300,400それぞれの割り当て周波数帯域をノイズを含む周波数帯域が除外されるように調整する。そして、リソース管理部130は、リソース管理テーブル131の周波数帯域の登録を更新する。
[ステップS34]リソース管理部130は、ステップS33で割り当て周波数帯域が変更されたPLCモデムに対する周波数帯域変更通知をモデム管理部140に出力する。モデム管理部140は、通知内容を伝送品質管理部150に転送する。伝送品質管理部150は、変更対象となるPLCモデムに対して変更後の周波数帯域を通知する。以下では、PLCモデム300,400の割り当て周波数帯域が変更されたものとする。
[ステップS35]周波数帯域管理部340は、PLC中継装置100からの周波数帯域の通知に基づいて、PLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を変更する。PLCモデム400も同様の処理を行う。
[ステップS36]ノイズ検出部160は、ステップS31で通信品質に影響を及ぼすノイズを検出した後、そのノイズが継続しているかをリアルタイムに監視する。そして、ノイズが消滅したことを検出すると、ノイズ検出部160は、ノイズ消滅をモデム管理部140に報告する。モデム管理部140は、ノイズ検出部160からの報告をリソース管理部130に転送する。
[ステップS37]リソース管理部130は、モデム管理部140からノイズ消滅の報告を取得すると、リソース管理テーブル131からステップS32で登録した周波数帯域の情報を削除する。
[ステップS38]リソース管理部130は、ステップS33で使用禁止と判定した周波数帯域を使用できるようにし、PLCモデム200,300,400それぞれの割り当て周波数帯域を再調整する。そして、リソース管理部130は、リソース管理テーブル131の周波数帯域の登録を更新する。これにより、伝送品質に変化がなければ、ノイズ発生前の割り当て状態に戻る。
[ステップS39]リソース管理部130は、ステップS38で割り当て周波数帯域が変更されたPLCモデムに対する周波数帯域変更通知をモデム管理部140に出力する。モデム管理部140は、通知内容を伝送品質管理部150に転送する。伝送品質管理部150は、変更対象となるPLCモデムに対して変更後の周波数帯域を通知する。以下では、PLCモデム300,400の割り当て周波数帯域がノイズ発生前の状態に戻されたとする。
[ステップS40]周波数帯域管理部340は、PLC中継装置100からの周波数帯域の通知に基づいて、PLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を変更する。PLCモデム400も同様の処理を行う。
このようにして、PLC中継装置100は、電力線20上のノイズをリアルタイムに監視し、少なくとも通信品質に影響を与えるレベルのノイズが乗っている周波数帯域については使用不可とする。そして、PLC中継装置100は、ノイズの検出状況に応じて、動的に割り当て周波数帯域を変更する。なお、割り当て周波数帯域の変更では、変更対象となるPLCモデムができる限り少なくなるようにすることが考えられる。
図11は、リソース管理テーブルの状態を示す第3の図である。図11に示すリソース管理テーブル131cは、図10のステップS33の後からステップS37の前までの間のテーブル状態を表している。リソース管理テーブル131cには、制御用の周波数帯域が2MHz〜4MHz、PLCモデム200用の周波数帯域が22MHz〜30MHz、PLCモデム300用の周波数帯域が4MHz〜7MHzおよび9MHz〜14MHz、PLCモデム400用の周波数帯域が14MHz〜22MHz、ノイズ発生による使用禁止帯域が7MHz〜9MHzという情報が登録されている。
これは、ノイズ発生前に使用禁止帯域を含んでいたPLCモデム300の周波数帯域が使用禁止帯域を含まないように変更され、これに合わせて、PLCモデム300の周波数帯域に隣接するPLCモデム400の周波数帯域も変更されたことを示している。
なお、ここではPLCモデム300,400の帯域幅が9MHz幅から8MHz幅に減少しているが、使用可能な周波数帯域に余裕があれば帯域幅が減少しないようにすることもできる。また、使用可能な周波数帯域に余裕がない場合に、何れのPLCモデムの帯域幅を減少させるかは、各PLCモデムの通信内容や伝送品質などに応じて決めてもよい。
図12は、電力管理処理の流れの例を示すシーケンス図である。ここでは、PLCモデム200,300,400が電力線20に接続されている場合を想定している。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS41]電力管理部170は、モデム管理部140からPLCモデム200,300,400が電力線20に接続されていることを示す情報を取得し、PLCモデム200,300,400からの受信信号の電力レベルを監視する。
[ステップS42]電力管理部170は、PLCモデム200,300,400のうち受信電力レベルが不適切なPLCモデム(例えば、他のPLCモデムと比べて受信電力レベルが著しく低いPLCモデム)を特定する。そして、電力管理部170は、受信電力レベルが不適切なPLCモデムについて、送信電力レベルの変更量、すなわち、PLCモデム側でどの程度送信電力レベルを高くまたは低くすればPLC中継装置100側での受信電力レベルが適切になるかを計算する。以下では、PLCモデム200,300が送信電力レベルの変更が必要であるとする。
[ステップS43]電力管理部170は、ステップS42の計算結果に基づいて、PLCモデム200,300に送信電力レベルの変更指示を送信する。
[ステップS44]送信電力制御部は、PLC中継装置100からの指示に応じて、送信電力レベルを変更する。PLCモデム300も同様の処理を行う。
このようにして、PLC中継装置100は、PLCモデム200,300,400からの受信信号の電力レベルを監視し、必要に応じて(例えば、受信信号の認識精度が向上するように)PLCモデム200,300,400に対し送信電力レベルの変更を指示する。なお、PLC中継装置100側での受信電力レベルは電力線20の伝送状態に応じて変化することが考えられるため、電力レベルの調整は継続的に行うことが望ましい。
ここで、送信電力レベルの変更が必要か否かの判定には種々の方法が考えられる。例えば、以下のような4つの方法が考えられる。
(1)第1の方法として、最適な受信電力レベルを固定値として決めておき、PLCモデム200,300,400の受信電力レベルを全てその固定値に合わせる方法が考えられる。
(2)第2の方法として、PLCモデム200,300,400のその時点の受信電力レベルに応じて基準レベルを決め、PLCモデム200,300,400の受信電力レベルを全て基準レベルに合わせる方法が考えられる。基準レベルとしては、最大値・最小値・平均値などが挙げられる。
(3)第3の方法としては、許容する受信電力レベルの範囲を固定的に決めておき、許容範囲から外れているものについて許容範囲内に収まるようにする方法が考えられる。
(4)第4の方法としては、PLCモデム200,300,400のその時点の受信電力レベルに応じて許容範囲を決め、許容範囲から外れているものについて許容範囲内に収まるようにする方法が考えられる。
図13は、データ伝送処理の流れの例を示すシーケンス図である。ここでは、PLC中継装置100がネットワーク10経由で受信したデータをPLCモデム200に転送する場合を想定している。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS51]データ生成部182は、PLCモデム200に接続された情報端末装置500宛てのデータを取得すると、取得したデータのカプセル化を行う。具体的には、データ生成部182は、取得したデータにヘッダ情報を付加する。ヘッダ情報には、転送先であるPLCモデム200の識別子、カプセル化後のデータ長、データの送信順序を示すデータ番号、誤り検出のためのチェックサムが含まれる。そして、データ生成部182は、カプセル化したデータをPLCモデム200に送信する。
[ステップS52]エラー検査部262は、PLC中継装置100からカプセル化されたデータを受信すると、ヘッダ情報に含まれるチェックサムを用いて、誤り検出処理を行う。ここで、エラーが検出された場合には、以下のステップS53〜S56の処理がエラーが解消されるまで繰り返される。
[ステップS53]エラー検査部262は、ステップS52で取得したカプセル化されたデータを再送制御部263に出力する。
[ステップS54]再送制御部263は、エラー検査部262からカプセル化されたデータを取得すると、そのデータのヘッダ情報からデータ番号を抽出する。そして、再送制御部263は、抽出したデータ番号を含む再送要求をPLC中継装置100に送信する。
[ステップS55]再送制御部184は、PLCモデム200から再送要求を受信すると、再送要求に含まれるデータ番号によって特定されるデータをPLCモデム200に再送信する。
[ステップS56]エラー検査部262は、PLC中継装置100から再送データを受信すると、ヘッダ情報に含まれるチェックサムを用いて、誤り検出処理を行う。ここで、エラーが検出された場合には、ステップS53の処理に戻る。
[ステップS57]エラー検査部262は、ステップS52またはステップS56でエラーが検出されなかった場合には、カプセル化されたデータをデータ生成部261に出力する。データ生成部261は、エラー検査部262からカプセル化されたデータを取得すると、ステップS51で付加されたヘッダ情報を削除して、カプセル化を解除する。そして、エラー検査部262は、得られたデータを情報端末装置500に出力する。
このようにして、PLC中継装置100は、電力線20側に出力するデータについては誤り訂正符号化を含むカプセル化処理を行う。そして、PLCモデム200は、カプセル化されたデータに対して誤り検出処理および再送制御を行う。なお、図13ではPLC中継装置100がPLCモデム200に対してデータを送信する場合を示したが、PLCモデム200がPLC中継装置100に対してデータを送信する場合も同様の流れとなる。
図14は、モデム切断処理の流れの例を示すシーケンス図である。ここでは、PLCモデム200,300,400が電力線20に接続されている場合を想定している。以下、図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS61]モデム管理部140は、定期的に、PLCモデム200,300,400の動作状況を確認するよう伝送品質管理部150に指示する。伝送品質管理部150は、モデム管理部140からの指示を受けて、PLCモデム200,300,400に確認要求を送信する。以下では、PLCモデム200に注目する。PLCモデム200が動作中の場合にはステップS62の処理が実行され、動作していない場合にはステップS63〜S67が実行される。
[ステップS62]接続情報管理部230は、PLC中継装置100から確認要求を受信すると、PLC中継装置100に対し動作中である旨の応答を行う。この応答には、PLCモデム200の識別情報が含まれる。PLC中継装置100は、PLCモデムからの応答をモデム管理部140に転送する。これにより、モデム管理部140はPLCモデムが動作中であることを認識する。
[ステップS63]モデム管理部140は、ステップS61で確認要求を送信してから所定時間内に応答が得られない場合、リソース管理部130にPLCモデム200が動作停止していることを報告する。
なお、PLCモデム200からの応答が得られない場合としては、例えば、PLCモデム200が電源コンセントから外された場合、電源コンセントには接続されているが利用者の操作によってPLCモデム200の電源がOFFにされた場合、情報端末装置500が通信を行わない状態が所定時間以上継続したためにPLCモデム200が省電力モードに移行した場合などが考えられる。
[ステップS64]リソース管理部130は、モデム管理部140からPLCモデム200の停止報告を取得すると、リソース管理部130が管理するリソース管理テーブル131からPLCモデム200の情報を削除する。
[ステップS65]リソース管理部130は、現在動作しているPLCモデム300,400それぞれに割り当てる周波数帯域を決定する。そして、リソース管理部130は、リソース管理テーブル131の周波数帯域の登録を更新する。
[ステップS66]リソース管理部130は、ステップS65でPLCモデム200,300の割り当て周波数帯域が変更された場合には、PLCモデム300,400の変更後の周波数帯域をモデム管理部140に通知する。モデム管理部140は、通知内容を伝送品質管理部150に転送する。伝送品質管理部150は、PLCモデム300,400に対して割り当て周波数帯域を通知する。以下では、PLCモデム300,400の割り当て周波数帯域が変更されたものとする。
[ステップS67]周波数帯域管理部340は、PLC中継装置100からの周波数帯域の通知に基づいて、PLC中継装置100との通信に用いる周波数帯域を変更する。PLCモデム400も同様の処理を行う。
このようにして、PLC中継装置100は、PLC中継装置100に登録されたPLCモデムを継続的に監視する。そして、動作停止したPLCモデムが検出されると、そのPLCモデムの登録を削除すると共に、必要に応じて他の動作中のPLCモデムの割り当て周波数帯域を動的に変更する。
なお、動作停止したPLCモデムの登録削除後、他のPLCモデムの割り当て周波数帯域を変更しないようにしてもよい。また、上記ステップS65において、PLCモデム300,400の伝送品質を測定し、最新の伝送品質に基づいて割り当てる周波数帯域を判断するようにしてもよい。
このような電力線通信システムを用いることで、PLC中継装置100による管理のもと、電力線通信の通信品質を向上させることができ、安定した通信環境を実現できる。
例えば、上記電力線通信システムでは、PLC中継装置100がPLCモデムの接続・停止を監視し、PLCモデムの接続数や各PLCモデムとの間の伝送品質に応じて、動的にリソース割り当てを行う。これにより、通信リソースの効率的な利用が図られる。特に、伝送品質が高いPLCモデムに高周波数帯域を割り当てることで、通信リソースの効率的な利用が一層図られる。
また、上記電力線通信システムでは、PLC中継装置100が電力線20上のノイズを継続的に監視し、通信品質に影響を与えるノイズが検出された周波数帯域を避けて動的なリソース割り当てを行う。これにより、家電機器や無線通信装置の使用により突発的に発生するノイズにも柔軟に対応して、通信品質の低下を防止することができる。
また、上記電力線通信システムでは、PLC中継装置100が各PLCモデムからの受信信号の電力レベルを監視し、PLCモデム間で受信電力レベルのばらつきが大きくなり過ぎないようにする。これにより、伝送距離に対する伝送信号の減衰率が大きい電力線を利用する場合であっても、受信信号の認識精度を高く維持し、通信品質を一層向上させることができる。
また、上記電力線通信システムでは、PLC中継装置100と各PLCモデム間でカプセル化したデータを伝送するようにする。これにより、電力線が原因で生じる伝送誤りの影響範囲を局所的に抑えることができる。すなわち、情報端末装置間(End-to-End)で誤り検出および再送制御を行う場合と異なり、電力線の両端で誤り検出および再送制御を行うため、電力線上で生じる伝送誤りに対する再送制御を効率的に行うことができ、より高速・高品質な通信を実現できる。
なお、本実施の形態では電力線20の両端の装置で誤り検出符号化を行うこととしたが、誤り訂正符号化を行うようにしてもよい。この場合、カプセル化データの再送回数を一層抑制することができる。また、本実施の形態では周波数単位でリソース割り当てを行うこととしたが、通信チャネル単位や時間単位またはそれらを組み合わせた単位でリソース割り当てを行うようにしてもよい。また、本実施の形態では上り方向と下り方向を区別せずにリソース管理を行ったが、上り方向と下り方向とで異なる周波数帯域を割り当てるようにしてもよい。
以上、中継装置および通信制御方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。また、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。