JP2009175490A - カラーフィルター用インクセット、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インクセット、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 Download PDF

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明広 新谷
Masaya Shibatani
正也 柴谷
Hidekazu Moriyama
英和 森山
Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
Hiroshi Kiguchi
浩史 木口
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Abstract

【課題】耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供すること。
【解決手段】本発明のインクセットは、基板上に設けられた多数個のセル内に着色部を有するカラーフィルターをインクジェット方式により製造するのに用いるものであり、着色剤と着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含み着色膜の形成に用いられる第1のインクと、第1のインクと同一のセル内に吐出されることで樹脂膜を形成する第2のインクとを備え、第2のインクは樹脂材料と樹脂材料を分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含み、セルに最初に付与されるインクは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含む。
Figure 2009175490

【選択図】 なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関するものである。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色部形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色部として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色部を形成する方法が提案されている。このような方法は、着色部形成用の材料(着色部形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色部形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
また、このようなインクジェットヘッドを用いて製造されるカラーフィルターは、一般に、透明基板上に複数色の着色部、および隣接する着色部と着色部との間に、一定の高さを有する隔壁(バンク)が設けられている。このようなバンクは、一般に、カラーフィルターの黒色を表現することができ、例えば、カラーフィルターの着色部における光の透過を行わない場合、カラーフィルターは、バンクによって黒色を呈する。
また、このようなバンクは、カラーフィルター製造時において、透明基板上に吐出した異色のインク同士が混色するのを防止することができ、バンクに囲まれた透明基板上の各部位(セル)に各色のインクを吐出、乾燥することにより、着色部が形成される。
ところが、このような方法を用いて形成されるカラーフィルターでは、以下のような問題を有していた。カラーフィルターの製造に用いるインクは、着色剤の種類によって発色濃度が異なるものである。したがって、各色の着色部の光透過性、色あいを調整するため、一般に、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量が互いに異なるものである。そのため、形成される各色の着色部は、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量に応じて、その厚さが各色間で互いに異なるものとなる。このため、各色の着色部と、着色部を囲む隔壁との厚さが大きく異なる部分ができてしまう。また、画像表示装置に用いられるこのようなカラーフィルターは、透明基板上に上述したような複数色の着色部およびバンクが設けられ、着色部および隔壁の透明基板に対向する面とは反対の面側に、共通電極(一般的には、ITO電極膜)が配されている。このような共通電極は、各着色部と隔壁との高さの差が影響して断線し易く、この結果、画像表示装置は、適正に画像表示を行うことが出来なくなるという問題があった。
また、このような共通電極の断線を防止するために、着色部および隔壁と共通電極との間に、透明の樹脂材料からなる平坦化膜を形成し、共通電極の断線を防止する試みがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このようなカラーフィルターを画像表示装置に用いた場合、カラーフィルターを光が通過する際に、平坦化膜において光の一部が反射しやすいものとなり、反射を繰り返した光が、他の着色部を透過するものとなる。この結果、反射を繰り返した光が、透過すべき着色部以外の他の着色部を透過するものとなり、得られる画像は、形状、色調が不鮮明となる問題があった。また、このように隔壁をまたいで平坦化膜を設けた場合、平坦化膜は、周囲の温度変化等によって膨張、収縮を繰り返す結果、着色部と平坦化膜との間、または着色部と透明基板との間で剥離が起きやすくなってしまう。この結果、カラーフィルターの耐久性を十分に優れたものとすることが難しかった。
特開2002−372613号公報
本発明の目的は、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供すること、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターを安定的に製造できるカラーフィルターの製造方法を提供すること、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、基板上に設けられ、多数個のセル内に着色部を有するカラーフィルターを、インクジェット方式により製造するのに用いるカラーフィルター用インクセットであって、
着色剤と、前記着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含み、着色膜の形成に用いられる第1のインクと、
前記第1のインクと同一のセル内に吐出されることにより、樹脂膜を形成する第2のインクとを備え、
前記第2のインクは、樹脂材料と、前記樹脂材料を分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含み、
前記第1のインクおよび前記第2のインクのうち前記セルに最初に付与されるインクは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むことを特徴とする。
Figure 2009175490
これにより、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に、安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記第2のインクは、前記樹脂材料として、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなる重合体Eを含むものであることが好ましい。
これにより、耐久性に特に優れ、各部位での色むら、濃度むらが特に抑制され、画像表示装置に用いた際に特に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記第1のインクは、樹脂材料を含み、
前記樹脂材料として、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなる重合体Eを含むものであることが好ましい。
これにより、耐久性に特に優れ、各部位での色むら、濃度むらが特に抑制され、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記重合体Eは、単量体成分として、前記エポキシ基含有ビニル単量体e1に加え、イソシアネート基またはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えたビニル単量体e2を含有してなる共重合体であることが好ましい。
これにより、各部位での色むら、濃度むらが特に抑制され、画像表示装置に用いた際に特に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記第1のインクおよび前記第2のインクのうち前記セルに最後に付与されるインクは、下記式(2)で表されるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有してなる重合体Fを含むものであることが好ましい。
Figure 2009175490
これにより、各部位での色むら、濃度むらが特に抑制され、画像表示装置に用いた際に特に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記第1の液性媒体は、前記第2の液性媒体に含まれる液体を含まないものであることが好ましい。
これにより、各部位での色むら、濃度むらが特に抑制され、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、複数種の前記第1のインクと、少なくとも1種以上の前記第2のインクとを備えるものであることが好ましい。
これにより、各部位での色むら、濃度むらが特に抑制され、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターの製造に安定的に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、多数個のセルが設けられた基板上に、インクをインクジェット方式で吐出して、カラーフィルターを製造する方法であって、
着色剤と、着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含む第1のインクを前記セル内に吐出する第1のインク付与工程と、
前記第1のインクが吐出される前記セル内に、樹脂材料と、前記樹脂材料が分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含む第2のインクを吐出する第2のインク付与工程とを有し、
前記第1のインクの構成成分で構成された着色膜と、前記第2のインクの構成成分で構成された樹脂膜とを形成するものであり、
前記第1のインクは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むことを特徴とする。
Figure 2009175490
これにより、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターを安定的に製造できるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記セル内に吐出された第1のインクから前記第1の液性媒体の少なくとも一部を除去する第1の液性媒体除去工程と、
前記セル内に吐出された前記第2のインクから前記第2の液性媒体の少なくとも一部を除去する第2の液性媒体除去工程とを有し、
前記第2のインク付与工程は、前記第1の液性媒体除去工程の後に行われるものであることが好ましい。
これにより、画像表示装置に用いた際に特に鮮明な画像が確実かつ適正に表示できるカラーフィルターを安定的に製造できるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、多数個のセルが設けられた基板上に、インクをインクジェット方式で吐出して、カラーフィルターを製造する方法であって、
樹脂材料と、前記樹脂材料が分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含む第2のインクを前記セル内に吐出する第2のインク付与工程と、
前記第2のインクが吐出される前記セル内に、着色剤と、着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含む第1のインクを吐出する第1のインク付与工程とを有し、
前記第1のインクの構成成分で構成された着色膜と、前記第2のインクの構成成分で構成された樹脂膜とを形成するものであり、
前記第2のインクは、樹脂材料として、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むことを特徴とする。
Figure 2009175490
これにより、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターを安定的に製造できるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記第1のインク付与工程は、複数種の前記第1のインクを用いるものであり、
前記第2のインク付与工程は、前記第2のインクを、前記複数種の第1のインクが付与されるセルのうち、前記複数種の第1のインクのうちもっとも固形分の少ない前記第1のインクが付与されるべき前記セルに対し最も多く付与するものであることが好ましい。
これにより、画像表示装置に用いた際に特に鮮明な画像が確実かつ適正に表示できるカラーフィルターを安定的に製造できるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルターの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、画像表示装置に用いた際に鮮明な画像が適正に表示できるカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、鮮明な画像が適正に表示できる画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ、鮮明な画像が適正に表示できる電子機器を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
《インクセット》
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクセットであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
ところで、近年検討されているインクジェット方式により着色部を形成するカラーフィルターにおいては、異なる色のインク同士が混色するのを防止するため、隣接する着色部と着色部との間に、一定の高さを有する隔壁(バンク)が設けられている。このようなバンクは、一般に、カラーフィルターの黒色を表現することができ、例えば、カラーフィルターの着色部における光の透過を行わない場合、カラーフィルターは、バンクによって黒色を呈する。また、このようなバンクは、カラーフィルター製造時において、透明基板上に吐出した異色のインク同士が混色するのを防止することができ、バンクに囲まれた透明基板上の各部位(セル)に各色のインクを吐出、乾燥することにより、着色部が形成される。
ところが、このような方法を用いて形成されるカラーフィルターでは、以下のような問題を有していた。カラーフィルターの製造に用いるインクは、着色剤の種類によって発色濃度が異なるものである。したがって、各色の着色部の色濃度、色あい等を調整するため、一般に、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量は、互いに異なるものとなる。そのため、形成される各色の着色部は、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量に応じて、その厚さが各色間で互いに異なるものとなる。このため、各色の着色部と、着色部を囲む隔壁との厚さが大きく異なる部分ができてしまう。また、画像表示装置に用いられるこのようなカラーフィルターは、一般に、透明基板上に上述したような複数色の着色部およびバンクが設けられ、着色部および隔壁の透明基板に対向する面とは反対の面側に、共通電極(一般的には、ITO電極膜)が配されている。このような共通電極は、各着色部と隔壁との高さの差が影響して断線し易く、この結果、画像表示装置は、適正に画像表示を行うことが出来なくなるという問題があった。
また、このような共通電極の断線を防止するために、着色部および隔壁と共通電極との間に、透明の樹脂材料からなる平坦化膜を形成し、共通電極の断線を防止する試みがある。このようなカラーフィルターとしては、例えば、図13のようなカラーフィルターが挙げられる。しかしながら、このようなカラーフィルターを画像表示装置に用いた場合、カラーフィルターを光が通過する際に、平坦化膜において光の一部が反射しやすいものとなり、反射を繰り返した光が、他の着色部を透過するものとなる。この結果、反射を繰り返した光が、透過すべき着色部以外の他の着色部を透過するものとなり、得られる画像は、形状、色調が不鮮明となる問題があった。また、このように隔壁をまたいで平坦化膜を設けた場合、平坦化膜は、周囲の温度変化等によって膨張、収縮を繰り返して反りが生じる結果、着色部と平坦化膜との間、または着色部と透明基板との間で剥離が起きやすくなってしまう。この結果、カラーフィルターの耐久性を十分に優れたものとすることが難しかった。
このため、発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明のカラーフィルター用インクセットは、着色剤と、着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含み、着色膜の形成に用いられる第1のインクと、第1のインクと同一のセル内に吐出されることにより、樹脂膜を形成する第2のインクとを備え、第2のインクは、樹脂材料と、前記樹脂材料を分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含むものである。
また、第1のインクおよび第2のインクのうちセルに最初に付与されるインクは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むものである。
Figure 2009175490
このように、第1のインクを用いて着色膜を、第2のインクを用いて樹脂膜をそれぞれ形成し、着色膜と樹脂膜からなる着色部を形成することで、所望の色濃度で、かつ、所望の厚さの着色部を確実に形成することができる。すなわち、用いる第1のインクを、着色部が所望の色濃度となるような量としてセル内に付与して着色膜を形成し、さらに、形成される着色部が所望の厚さになるような量の第2のインクをセル内に付与して樹脂膜を形成することにより、確実に、着色部の色濃度と厚さを調整することができる(後述する図1参照)。このため、カラーフィルターは、上述したような平坦化膜を設けることなく、共通電極を配することができる。また、カラーフィルターの製造に用いるインクは、一般に、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、高沸点の液体を液性媒体として用いるため、粘度が高くなりやすい。このため、インクの液滴の吐出が安定しにくく、形成される着色部の厚さを均一にしづらい問題がある。しかしながら、本発明のカラーフィルター用インクセットは、着色剤を含むインク(第1のインク)と、樹脂材料を含むインク(第2のインク)とを有することにより、これらのインクは粘度が低いものとなり、吐出性が優れたものとなる。
また、上述したような重合体Sは、着色部とセル内の基板との密着性の向上に寄与する成分である。第1のインクおよび第2のインクのうちセルに最初に付与されるインクが重合体Sを含むことにより、着色部を構成する膜のうち、基板(特にガラス基板)と接する膜が基板のとの密着性に優れたものとなる。このため、着色部と基板との密着性が特に優れたものとなり、このようなインクセットを用いて形成されるカラーフィルターは耐久性に優れたものとなる。以上より、このようなカラーフィルター用インクセットを用いて製造したカラーフィルターは、形成される各着色部の厚さが均一なものとなり、着色部とカラーフィルターとの密着性が特に優れたものとなる。また、上述したような平坦化膜を設ける必要がない。このため、製造されるカラーフィルターは、画像表示装置に用いた際に、確実に目的とする着色部のみに対し光を照射することができ、色再現範囲が広いものとなり、鮮明な画像が適正に表示できるものとなる。
また、第2のインクを用いず、カラーフィルター用インクに着色部の厚さが均一になるように十分に樹脂材料を含ませ、着色部の厚さを調整することも考えられる。しかしながら、このような場合、以下のような問題がある。一般に、樹脂材料は、着色剤に比べ、高分子量の成分であり、カラーフィルター用インク中に含まれる液性媒体との親和性が、着色剤よりも高いものである。このため、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料の含有量を多くするにしたがって、カラーフィルター用インクの粘度が高くなり、吐出性(液滴吐出ヘッドからの吐出のされやすさ、吐出量等)にばらつきが生じ、結果として、確実に各着色部の厚さを均一にすることができない。また、形成されるカラーフィルターの色再現範囲が狭いものとなってしまう。特に、カラーフィルター用インクセットが、複数色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを複数種備えた場合、着色剤、樹脂材料等の固形分がカラーフィルター用インク毎に異なるものとなる。このため、カラーフィルター用インク毎に粘度等の物性が大きく異なるものとなる。この結果、上述したような問題に加え、液滴吐出の条件等の制御が煩雑なものとなる。
また、このようなカラーフィルター用インクセットは、複数種の第1のインクを備えるものであり、光の三原色を構成する3色である緑色の第1のインク(グリーンインク)と、赤色の第1のインク(レッドインク)と、青色の第1のインク(ブルーインク)とを備えるものであるのが好ましい。以下の説明では、代表的に、カラーフィルター用インクセットが、「グリーンインク(Gインク)」、「レッドインク(Rインク)」、「ブルーインク(Bインク)」の3種の第1のインクを備えるものとして説明する。
また、カラーフィルター用インクセットは、第2のインクを少なくとも1種備えるものであればよく、複数種備えるものであってもよい。以下の説明では、代表的に、カラーフィルター用インクセットは、第2のインクを1種備え、全ての第1のインクに対し、当該第2のインクを用いるものとして説明する。
また、本実施形態では、第1のインクと第2のインクのうち、第1のインクを最初にセルに付与するものとして説明する。すなわち、第1のインクに重合体Sが含まれるものとして説明する。
《第1のインク》
カラーフィルター用インクセットを構成する第1のインクは、着色剤、当該着色剤が分散および/または溶解する液性媒体等を含むものであり、後述するカラーフィルターの着色膜の形成に用いるものである。上述したように本発明では、着色剤を多く含む第1のインクと、樹脂材料を多く含む第2のインクとを分けて用いることにより、第1のインクおよび第2のインクの粘度を低いものとすることができ、これらのインクの吐出性を優れたものとすることができる。すなわち、着色剤を含む第1のインクに含まれる樹脂材料が少ないことで、着色剤と樹脂材料との相互作用による粘度上昇を防ぐことができる。
<着色剤>
カラーフィルターは、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色)を有している。そして、カラーフィルター用インクセットを構成する各第1のインクは、それぞれ、形成すべき着色部の色調に応じた着色剤を含むものである。第1のインクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,6,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58,60;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33や、これらの誘導体等が挙げられる。また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247;C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397;C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55;C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46;C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101;C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126;C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34;C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48;C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163;C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42;C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40;C.I.アシッドグリーン16;C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185;C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられる。
第1のインクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、着色剤として染料を含むもの(染料インク)に比べて、製造されるカラーフィルターの耐光性等をすぐれたものとすることができる。
第1のインクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、顔料の平均粒径は、20〜200nmであるのが好ましく、30〜180nmであるのがより好ましい。これにより、第1のインク中における顔料の分散安定性や、第1のインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの耐光性を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
(レッドインク)
レッドインクは、通常、赤色の着色剤を含むものであるが、特に、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、またはこれらの誘導体を含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルターの色再現域を特に広いものとすることができる。特に、レッドインクが、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、レッドインク(カラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述するような分散剤と併用することによる効果がより顕著に発揮され、レッドインク(カラーフィルター用インク)中における顔料粒子の長期分散安定性、レッドインク(カラーフィルター用インク)の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、レッドインクは、着色剤として赤色以外の成分(単独では、赤色以外の色を呈する成分)を含むものであってよい。これにより、例えば、形成される着色部の色調の調整を行うことができ、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの色再現域をより広いものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(3)または下記式(4)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2009175490
Figure 2009175490
レッドインク中における着色剤の含有率は、4.5〜25.0wt%であるのが好ましく、4.7〜20.0wt%であるのがより好ましく、5.0〜18.0wt%であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター製造用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの、レッドインクの吐出性を優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。また、カラーフィルター用インクセットを用いたカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、異なる色の着色部間における色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
(グリーンインク)
グリーンインクは、通常、緑色の着色剤を含むものであるが、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58のうち少なくとも一方を含むものであるのが好ましく、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであるのがより好ましい。これにより、当該インクを用いて形成される着色部の発色性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの色再現域を特に広いものとすることができる。また、グリーンインクは、着色剤として緑色以外の成分(単独では、緑色以外の色を呈する成分)を含むものであってよい。これにより、例えば、形成される着色部の色調の調整を行うことができ、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの色再現域をより広いものとすることができる。特に、グリーンインクは、着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58に加え、スルホン化された顔料誘導体を含むものであるのが好ましい。これにより、グリーンインクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、グリーンインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(5)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、グリーンインク中における顔料粒子の長期分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。また、後述するような方法において、微分散工程の効率を特に優れたものとすることができ、短時間で、また、比較的小さなエネルギーで、グリーンインクを製造することができるため、グリーンインクの生産性を特に優れたものとすることができ、生産コストの削減にも寄与することができる。
Figure 2009175490
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られることは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、液性媒体(分散媒)中に安定的に分散させるのが困難である。
一方、上記のような顔料誘導体では、式(5)中において窒素原子に結合している水素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このようなことから、式(5)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(4)中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成されている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行となることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリーン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリーン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、後述する液性媒体(分散媒)に対する分散性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた効果が得られるものと考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、第1のグリーンインク(カラーフィルター用インク)中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより好ましい。これにより、グリーンインク(カラーフィルター用インク)中における顔料粒子の長期分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターのコントラスト、明度を特に優れたものとすることができる。
グリーンインク中における着色剤の含有率は、5.2〜26.0wt%であるのが好ましく、5.4〜20.5wt%であるのがより好ましく、5.8〜19.0wt%であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター製造用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの、グリーンインクの吐出性を優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。また、カラーフィルター用インクセットを用いたカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、異なる色の着色部間における色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
(ブルーインク)
ブルーインクは、通常、青色の着色剤を含むものであるが、特に、C.I.ピグメントブルー15:6を含むものであるのが好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの色再現域を特に広いものとすることができる。なお、ブルーインクは、着色剤として青色以外の成分(単独では、青色以外の色を呈する成分)を含むものであってよい。これにより、例えば、形成される着色部の色調の調整を行うことができ、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの色再現域をより広いものとすることができる。
ブルーインク中における着色剤の含有率は、3.5〜24.0wt%であるのが好ましく、3.8〜19.0wt%であるのがより好ましく、4.0〜17.0wt%であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター製造用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの、ブルーインクの吐出性を優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。また、カラーフィルター用インクセットを用いたカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、異なる色の着色部間における色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
<第1の液性媒体>
第1のインクは、上述したような着色剤を、分散および/または溶解する機能を有する液性媒体(第1の液性媒体)を含む。言い換えると、液性媒体は、カラーフィルター用インク中において、顔料を分散させる分散媒、染料を溶解する溶媒として機能を有している。そして、通常、第1のインクを構成する液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、第1の液性媒体は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートから選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。これにより、第1のインクの吐出を特に長期にわたって安定させることができ、得られるカラーフィルターの着色部の厚さを確実に均一なものとすることができる。また、第1のインク中に含まれる気体や水の含有量を比較的低いものとして維持することができ、第1のインク中に含まれる樹脂材料等の不本意な劣化を防止することができる。液体を用いた場合、液滴吐出装置の部材が膨潤等の劣化を起こすのを極めて長期間にわたって、確実に防ぐことができる。
第1のインクを構成する第1の液性媒体の大気圧下における沸点は、いずれも、170〜280℃であるのが好ましく、190〜270℃であることがより好ましい。これにより、液滴吐出時において、第1の液性媒体が揮発することを好適に防止することができ、液滴吐出ヘッドの目詰まりが発生するのを確実に防止しつつ、生産性良く着色膜を形成することができる。
また、第1のインクを構成する第1の液性媒体の25℃における蒸気圧は、いずれも、0.10mmHg以下であるのが好ましく、0.07mmHg以下であることがより好ましい。これにより、カラーフィルターの製造時において、第1の液性媒体が揮発することを好適に防止することができ、液滴吐出ヘッドの目詰まりが発生するのを確実に防止しつつ、生産性良く着色膜を形成することができる。
また、第1のインクにおける第1の液性媒体の含有率は、40〜94wt%であるのが好ましく、60〜92wt%であるのがより好ましい。第1の液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、第1のインクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの着色部の厚さを確実に均一にでき、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができ、色再現範囲を広いものとすることができる。
また、第1のインクを構成する第1の液性媒体の25℃における粘度は、特に限定されないが、1.0〜4.0mPa・sであるのが好ましく、1.5〜3.5mPa・sであるのがより好ましい。第1の液性媒体の25℃における粘度が前記範囲内の値であると、第1のインクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの着色部の厚さを確実に均一にでき、色再現範囲を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクセットを構成する各第1のインクで、液性媒体の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
<樹脂材料>
樹脂材料は、インクによって形成された膜(着色膜)の形状を固定するバインダー樹脂として用いられるものである。また、樹脂材料は、インクによって形成される膜(着色膜)と、基板、樹脂膜との密着性を向上させることのできる成分である。
〔硬化性樹脂材料〕
硬化性樹脂材料は、形成される着色膜において、バインダー樹脂としての機能を有するとともに、隣接する基板および樹脂膜との密着性の向上に寄与する成分である。また、着色膜が硬化性樹脂材料を含むことにより、形成される着色膜は、高い硬度と耐薬品性を有することができる。このため、インクジェット法によるインク付与工程の後工程として薬品塗布や洗浄を行った場合においても、着色部が悪影響を受けるのを防止することができる。なお、本発明において、硬化性樹脂材料とは、熱や、光(例えば、紫外線)等により、硬化する性質を有する樹脂材料のことを指す。
また、本実施形態において、第1のインクは、後述するような重合体Sを含むものである。
また、第1のインクは、重合体Sを含め、例えば、下記のような硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)を含んでいてもよい。
以下、第1のインクに用いることのできる硬化性樹脂材料について詳細に説明する。
{重合体S}
硬化性樹脂材料としての重合体Sは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含むものである。
Figure 2009175490
上述したように、本実施形態において、第1のインクは重合体Sを含むものである。これにより、基板と接して形成される着色膜は、基板との密着性に優れたものとなる。この結果、カラーフィルターの耐久性は、優れたものとなる。また、特に基板がガラス基板である場合、基板と着色膜との密着性は特に優れたものとなる。これは、重合体Sのアルコキシシリル基と、ガラス基板上のシラノール基とが水素結合しているためだと考えられる。また、このように基板と親和性の高い重合体Sを含むことにより、第1のインクは、好適に基板上に濡れ広がり、形成される着色膜の厚さを均一なものとすることができる。また、第1のインクは、重合体Sを含むものであることにより、硬化性樹脂材料と顔料との混合安定性を長期間にわたって優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に、コントラストに優れたカラーフィルターを製造することができる。さらに、このような重合体Sを含むことにより、第1のインク中における気体の含有率を低くすることができ、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
特に、硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)が、重合体Sに加え後述するような重合体Eを含む場合、形成される着色部の耐光性を優れたものとすることができる。一般に、染料は、顔料に比べて耐光性に劣るものであるが、第1のインクが着色剤として染料を含むものであっても、形成される着色部の耐光性を十分に優れたものとすることができる。また、一旦調製した第1のインクを長期間にわたって好適に使用することができるため、液滴吐出装置内における第1のインクの置換の頻度を少なくすることができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの品質の安定性も向上する。
重合体Sは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Sが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、少なくともアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含有するものである。
(アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1)
重合体Sは、少なくとも式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含有してなるものである。このようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含有することにより、重合体S中にアルコキシシリル基を容易かつ確実に導入することができる。これにより、形成される膜(着色膜)と、基板との密着性を優れたものとすることができ、形成される膜(着色膜)の厚さを均一なものとすることができる。
特に、硬化性樹脂材料が重合体Eを含む場合、硬化性樹脂材料がアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含有することにより、硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)を硬化させて着色部を形成する際に、重合体Eの硬化を補うことができ、比較的温和な条件で着色部を形成することができるとともに、形成される着色部の硬度、基板に対する密着性、耐光性、耐熱性等を、いずれも、十分に優れたものとすることができる。また、重合体Sが、後述するようなビニル単量体s2等を含むものである場合、重合体の合成を好適に行うことができ、所望の特性を有する重合体Sを容易かつ確実に得ることができる。
式(1)において、Rによって示される炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。これにより、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、形成される着色部の硬度、基板に対する密着性、耐光性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。また、硬化性樹脂材料が重合体Eを含む場合、重合体Eと重合体Sとの相溶性を特に優れたものとすることができ、形成される着色部の透明性を特に高いものとすることができる。
式(1)中、Eによって示される2価の炭化水素基の代表的な例として、直鎖または分枝状のアルキレン基、より具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。これらのうちでも、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン基)が特に好ましい。
式(1)中、R、RおよびRによって示される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等が挙げられる。RおよびRによって示される炭素数1〜6のアルコキシル基としては、直鎖または分枝状のアルコキシル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
式(1)で表される単量体の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシブチルフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有重合性不飽和化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体S中におけるアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、70〜100wt%であるのが好ましく、80〜100wt%であるのがより好ましい。重合体S中におけるアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インク(第1のインク)中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。特に、硬化性樹脂材料が重合体Eを含む場合、硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)を硬化させて膜(着色膜)を形成する際に、重合体Eの硬化を効果的に補うことができ、より温和な条件で膜(着色膜)を形成することができる。また、形成される膜(着色膜)の硬度、基板に対する密着性、耐光性、耐熱性等を、特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Sが、複数種の化合物の混合物である場合、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Sが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を含有しているのが好ましい。
(その他の重合性ビニル単量体s2)
重合体Sは、少なくともアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1に加え、さらに、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1以外の重合性ビニル単量体s2を単量体成分として含有していてもよい。このような重合性ビニル単量体s2としては、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1と共重合可能なビニル単量体を用いることができ、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを開環重合した化合物等の水酸基を備えた重合性ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル、アラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、FCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHCHOCOCH=CH、H(CFCHCHOCOC(CH)=CH、F(CFCHCHOCOCH=CH、F(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH等のフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、重合体Sは、単量体成分として、前述したようなエポキシ基含有ビニル単量体e1を含有するものではない。また、重合体Sは、単量体成分として、上記のようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体を含まないものであるのが好ましい。
重合体Sにおける重合性ビニル単量体s2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以下であるのが好ましく、20wt%以下であるのがより好ましい。なお、重合体Sが、複数種の化合物の混合物である場合、重合性ビニル単量体s2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Sが、複数種の化合物の混合物である場合、各化合物について、重合性ビニル単量体s2の含有率が上記のような条件を満足するのが好ましい。
上記のように、重合体Sは、少なくともアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を単量体成分として含有してなるものであればよく、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1以外の単量体成分を含有していてもよいが、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1の単独重合体であるのが好ましい。すなわち、重合体Sは、単量体成分として、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1以外の成分を含まないものであるのが好ましい。これにより、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性、および、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)中に占める重合体Sの割合(含有率)は、特に限定されないが、20〜60wt%であるのが好ましく、25〜55wt%であるのがより好ましい。なお、重合体Sが複数種の化合物の混合物である場合、重合体Sの含有率としては、これらの化合物の含有率の総和を採用する。
{重合体E}
重合体Eは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなるものである。重合体Eは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Eが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有するものである。
(エポキシ基含有ビニル単量体e1)
重合体Eは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなるものである。このようなエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有することにより、重合体E中にエポキシ基を容易かつ確実に導入することができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有することにより、第1のインク中における上述したような顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、第1のインクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクセットを用いて形成される着色部を、耐薬品性(耐溶剤性)に特に優れたものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有することにより、着色部を形成する際に、比較的温和な条件で硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)を硬化させることができるとともに、形成される膜(着色膜)の硬度等を特に優れたものとする上で有利である。また、重合体Eが、後述するようなビニル単量体e2、ビニル単量体e3等を含むものである場合、重合体の合成を好適に行うことができ、所望の特性を有する重合体Eを容易かつ確実に得ることができる。
エポキシ基含有ビニル単量体e1としては、例えば、下記式(6)で表される構造を有するものを用いることができる。エポキシ基含有ビニル単量体e1がこのような構造を有するものであると、第1のインク中における上述したような顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、第1のインクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体e1が下記式(6)で表される構造を有するものであると、カラーフィルター用インクセットを用いて形成される着色部の耐溶剤性をより優れたものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体e1が下記式(6)で表される構造を有するものであると、膜(着色膜)を形成する際に、比較的温和な条件で硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)を硬化させることができるとともに、形成される膜(着色膜)の硬度等を特に優れたものとする上で有利である。また、エポキシ基含有ビニル単量体e1がこのような構造を有するものであると、重合体Eと重合体Sとの相溶性を特に優れたものとすることができ、形成される着色部の透明性を特に高いものとすることができる。
Figure 2009175490
式(6)において、Rによって示される炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。これにより、第1のインク中における上述したような顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、第1のインクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。また、形成される膜(着色膜)の硬度等を優れたものとすることができる。また、重合体Eと重合体Sとの相溶性を特に優れたものとすることができ、形成される膜(着色膜)の透明性を非常に高いものとすることができる。
式(6)中、Gによって示される2価のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基の代表的な例としては、直鎖または分枝状のアルキレン基、より具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体e1の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸エチルグリシジル、グリシジルビニルベンジルエーテル(セイミケミカル株式会社製、商品名VBGE)、下記式(6−1)〜式(6−31)で表される脂環式エポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、エポキシ基含有ビニル単量体e1としては、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これにより、第1のインク中における上述したような顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、第1のインクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、形成される膜(着色膜)の硬度、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。また、重合体Eと重合体Sとの相溶性を特に優れたものとすることができ、形成される膜(着色膜)の透明性を非常に高いものとすることができる。
Figure 2009175490
Figure 2009175490
Figure 2009175490
Figure 2009175490
Figure 2009175490
なお、式(6−1)〜(6−31)において、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示す。また、R、RおよびRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、wは、0〜10を示す。
重合体E中におけるエポキシ基含有ビニル単量体e1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、50〜99wt%であるのが好ましく、70〜94wt%であるのがより好ましい。重合体E中におけるエポキシ基含有ビニル単量体e1の含有率が前記範囲内の値であると、第1のインク中における上述したような顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、第1のインクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体E中におけるエポキシ基含有ビニル単量体e1の含有率が前記範囲内の値であると、膜(着色膜)を形成する際に、比較的温和な条件で硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)を硬化させることができるとともに、形成される膜(着色膜)の硬度、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。なお、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、エポキシ基含有ビニル単量体e1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でエポキシ基含有ビニル単量体e1を含有しているのが好ましい。
(ビニル単量体e2)
重合体Eは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、エポキシ基含有ビニル単量体e1に加え、さらに、イソシアネート基またはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えたビニル単量体e2を単量体成分として含有してなるもの(共重合体)であるのが好ましい。これにより、第1のインク中における気体の含有率(溶存気体、マイクロバブル等として存在する気泡等)をより効果的に低くすることができ、インクジェット法による液滴吐出の安定性が特に優れたものとなる。その結果、製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらや、個体間での特性のばらつきが発生するのをより効果的に防止することができる。
重合性ビニル単量体e2としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI」)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合した(メタ)アクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイルイソシアネートのイソシアネート基は、ブロックイソシアネート基であることが好ましい。ここで言うブロックイソシアネート基とは、末端をブロック剤でマスキングしたイソシアネート基を指す。ブロックイソシアネート基を持つ単量体としては、例えば、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられ、また、昭和電工株式会社製「カレンズMOI−BM」の商品名で市販されている。これら重合性ビニル単量体は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体Eにおけるビニル単量体e2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のエポキシ基含有ビニル単量体e1に対し、2〜20重量部であるのが好ましく、3〜15重量部であるのがより好ましい。重合体Eにおけるビニル単量体e2の含有率が前記範囲内の値であると、第1のインクの長期保存性等を十分に優れたものとしつつ、第1のインク中における気体の含有率(溶存気体、マイクロバブル等として存在する気泡等)をより効果的に低くすることができ、インクジェット法による液滴吐出の安定性が特に優れたものとなる。また、形成される着色部の透明性を十分に高いものとすることができる。これに対し、重合体Eにおけるビニル単量体e2の含有率が前記下限値未満であると、上記のようなビニル単量体e2を含有することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Eにおけるビニル単量体e2の含有率が前記上限値を超えると、重合体Eと重合体Sとの相溶性が低下し、形成される着色部の透明性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。なお、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、ビニル単量体e2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でビニル単量体e2を含有しているのが好ましい。
(ビニル単量体e3)
重合体Eは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、エポキシ基含有ビニル単量体e1に加え、さらに、水酸基を備えたビニル単量体e3を単量体成分として含有してなるもの(共重合体)であるのが好ましい。これにより、形成される膜(着色膜)の基板に対する密着性、特に、画像表示に伴う急激な温度変化に、繰り返しさらされた場合における密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、例えば、カラーフィルターを長期間使用した場合においても、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Eが、ビニル単量体e3を単量体成分として含有してなるものであると、重合体Eと重合体Sとの相溶性を特に優れたものとすることができ、形成される着色部の透明性を非常に高いものとすることができる。
ビニル単量体e3としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを開環重合した化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体Eにおけるビニル単量体e3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のエポキシ基含有ビニル単量体e1に対し、2〜20重量部であるのが好ましく、3〜15重量部であるのがより好ましい。重合体Eにおけるビニル単量体e3の含有率が前記範囲内の値であると、第1のインクの長期保存性等を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の透明性を高いものとすることができる。これに対し、重合体Eにおけるビニル単量体e3の含有率が前記下限値未満であると、上記のようなビニル単量体e3を含有することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Eにおけるビニル単量体e3の含有率が前記上限値を超えると、第1のインク中における気体の含有率を十分に低いものとするのが困難になる可能性がある。なお、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、ビニル単量体e3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でビニル単量体e3を含有しているのが好ましい。
(その他の重合性ビニル単量体e4)
重合体Eは、上述したようなエポキシ基含有ビニル単量体e1、ビニル単量体e2、および、ビニル単量体e3以外の重合性ビニル単量体e4を単量体成分として含有していてもよい。このような重合性ビニル単量体e4としては、エポキシ基含有ビニル単量体e1と共重合可能なビニル単量体を用いることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル、アラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、FCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHCHOCOCH=CH、H(CFCHCHOCOC(CH)=CH、F(CFCHCHOCOCH=CH、F(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH等のフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、重合体Eは、単量体成分として、後述するようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を含有するものではない。
重合体Eにおける重合性ビニル単量体e4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のエポキシ基含有ビニル単量体e1に対し、20重量部以下であるのが好ましく、10重量部以下であるのがより好ましい。なお、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、重合性ビニル単量体e4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Eが、複数種の化合物の混合物である場合、各化合物について、重合性ビニル単量体e4の含有率が上記のような条件を満足するのが好ましい。
上記のように、重合体Eは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、エポキシ基含有ビニル単量体e1に加え、ビニル単量体e2およびビニル単量体e3を含有するものであるのが好ましい。これにより、上述したようなビニル単量体e2を含むことによる効果と、上述したようなビニル単量体e3を含むことによる効果とを、両立することができる。
硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)中に占める重合体Eの割合(含有率)は、特に限定されないが、25〜80wt%であるのが好ましく、33〜70wt%であるのがより好ましい。なお、重合体Eが複数種の化合物の混合物である場合、重合体Eの含有率としては、これらの化合物の含有率の総和を採用する。
また、硬化性樹脂材料として重合体Eと重合体Sとが含まれる場合、重合体Eの含有率と重合体Sの含有率との比率は、重量比で、25:75〜75:25であるのが好ましく、45:55〜55:45であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらをより確実に防止することができ、また、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
{重合体F}
また、硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)は、さらに、下記式(2)で表されるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有してなる重合体Fを含むものであってもよい。
Figure 2009175490
このような重合体Fを含むことにより、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、液滴吐出ヘッドのノズルからの液切れが良好になるとともに、第1のインクの固形分のノズルへの固着等をより効果的に防止することができる。また、形成される着色部の耐熱性、耐溶剤性を特に優れたものとすることができる。
重合体Fは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Fが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、少なくともフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有するものである。
(フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1)
重合体Fは、少なくとも式(2)で表されるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有してなるものである。このようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有することにより、重合体F中にフルオロアルキル基またはフルオロアリール基を容易かつ確実に導入することができる。また、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有することにより、第1のインクのノズルへの固着をより確実に防止でき、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の耐溶剤性、耐熱性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Fが、後述するようなビニル単量体f2等を含むものである場合、重合体の合成を好適に行うことができ、所望の特性を有する重合体Fを容易かつ確実に得ることができる。
式(2)において、Rによって示される炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。これにより、第1のインクの吐出安定性、形成される着色部の耐熱性を特に優れたものとすることができる。
式(2)中、Dによって示される2価の炭化水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基)の代表的な例として、直鎖または分枝状のアルキレン基、より具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン等が挙げられる。
式(2)で表される単量体の具体例としては、例えば、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、FCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHCHOCOCH=CH、H(CFCHCHOCOC(CH)=CH、F(CFCHCHOCOCH=CH、F(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体F中におけるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、15〜100wt%であるのが好ましく、18〜100wt%であるのがより好ましい。重合体F中におけるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1の含有率が前記範囲内の値であると、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性、形成される着色部の耐熱性、耐溶剤性を特に優れたものとすることができる。また、硬化性樹脂材料として重合体Eや重合体Sが含まれる場合、重合体Fの、重合体Eや重合体Sに対する相溶性を特に優れたものとすることができ、形成される着色部の透明性を特に高いものとすることができる。これに対し、重合体Fにおけるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1の含有率が前記下限値未満であると、上記のようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を含有することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Fが、複数種の化合物の混合物である場合、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Fが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を含有しているのが好ましい。
(その他の重合性ビニル単量体f2)
重合体Fは、上述したようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1以外の重合性ビニル単量体f2を単量体成分として含有していてもよい。このような重合性ビニル単量体f2としては、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1と共重合可能なビニル単量体を用いることができ、具体的には、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI」)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合した(メタ)アクリロイルイソシアネート、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI−BM」)等の、イソシアネートまたはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えた重合性ビニル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを開環重合した化合物等の水酸基を備えた重合性ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル、アラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、重合体Fは、単量体成分として、前述したようなエポキシ基含有ビニル単量体e1、アルコキシシリル基含有ビニル単量体s1を含有するものではない。
重合体F中における重合性ビニル単量体f2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、85wt%以下であるのが好ましく、82wt%以下であるのがより好ましい。なお、重合体Fが、複数種の化合物の混合物である場合、重合性ビニル単量体f2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Fが、複数種の化合物の混合物である場合、各化合物について、重合性ビニル単量体f2の含有率が上記のような条件を満足するのが好ましい。
硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)が重合体Fを含むものである場合、硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)中に占める重合体Fの割合(含有率)は、特に限定されないが、1〜20wt%であるのが好ましく、2〜15wt%であるのがより好ましい。なお、重合体Fが複数種の化合物の混合物である場合、重合体Fの含有率としては、これらの化合物の含有率の総和を採用する。
また、硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)が重合体Fを含むものである場合、重合体Sの含有率と重合体Fの含有率との比率は、重量比で、50:50〜99:1であるのが好ましく、60:40〜98:2であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとし、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に防止し、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)が重合体Fと重合体Eとを含むものである場合、重合体Eの含有率と重合体Fの含有率との比率は、重量比で、50:50〜99:1であるのが好ましく、60:40〜98:2であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとし、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に防止し、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
上記のような重合体(重合体E、重合体S、重合体F)の重量平均分子量は、いずれも、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。また、上記のような重合体(重合体E、重合体S、重合体F)の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、いずれも、1〜3程度である。
第1のインク中における硬化性樹脂材料の含有率は、0.5〜8.0wt%であるのが好ましく、1.0〜5.0wt%であるのがより好ましい。硬化性樹脂材料の含有率が前記範囲内の値であると、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
着色剤として顔料を含む場合、第1のインクにおいて、顔料:100重量部に対する、硬化性樹脂材料の含有率は、15〜50重量部であるのが好ましく、19〜42重量部であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、第1のインク中における顔料の分散安定性、第1のインクの吐出安定性を特に優れたものとし、形成されるカラーフィルターの着色部の発色性、コントラストを特に優れたものとすることができる。また、着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。
なお、第1のインクを構成する硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)は、上述した重合体E、重合体S、重合体F以外の重合体を含むものであってもよい。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各第1のインクで、硬化性樹脂材料の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
〔熱可塑性樹脂〕
第1のインクは、熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。これにより、例えば、着色剤として顔料を含む場合において、第1のインク中における顔料粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。特に、後述するような製造方法において、予備分散工程で、熱可塑性樹脂を用いることにより、第1のインク中における顔料粒子の分散安定性を非常に優れたものとすることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸半エステル樹脂、メタクリル酸−メタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1のインク中における熱可塑性樹脂の含有率は、特に限定されないが、1.5〜7.7wt%であるのが好ましく、2.1〜7.2wt%であるのがより好ましい。
また、第1のインク中における樹脂材料の含有率は、1.0〜15.0wt%であるのが好ましく、2.0〜13.0wt%であるのがより好ましい。これにより第2のインクの粘度上昇を抑制して、液滴吐出ヘッドからの第2のインクの吐出性を特に優れたものとすることができる。また、形成される樹脂膜の厚さを容易に調整することができる。
また、第1のインクは、セルに対し初めに吐出するものであれば、樹脂材料として少なくとも重合体Sを含むものであるが、初めにセルに吐出されるものでなければ、樹脂材料を含まないものであってもよい。
<分散剤>
第1のインク中には、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、第1のインクが着色剤として顔料を含む場合において、第1のインク中における顔料の分散性、分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、分散剤を用いることにより、後述するような製造方法の微分散工程において、分散剤分散液中に添加された顔料粒子(微分散されていない比較的粒径の大きい顔料粒子)の表面に、分散剤が付着(吸着)し、当該顔料粒子(微分散されていない比較的粒径の大きい顔料粒子)の分散剤分散液中における分散性を優れたものとすることができる。これにより、微分散工程における微分散処理を効率よく行うことができ、第1のインクの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られる第1のインク中における顔料粒子(微分散された顔料微粒子)の長期分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの明度、コントラストを特に優れたものとすることができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子系分散剤を用いることができる。高分子系分散剤としては、例えば、塩基性高分子系分散剤、中性高分子系分散剤、酸性高分子系分散剤等が挙げられる。このような高分子系分散剤としては、例えば、アクリル系、変性アクリル系共重合体からなる分散剤、ウレタン系分散剤、ポリアミノアマイド塩、ポリエーテルエステル、燐酸エステル系、脂肪族多価カルボン酸等からなる分散剤等が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービック102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、本発明においては、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、酸価分散剤とも言う)と、所定のアミン価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言う)とを併用するのが好ましい。これにより、第1のインクの粘度を低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、第1のインクの粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立され、第1のインク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられる。
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したときの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、20〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gであるのがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、アミン価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHmg/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、酸価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、第1のインク中における酸価分散剤の含有率をX[wt%]、第1のインク中におけるアミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦0.95の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
第1のインク中における分散剤の含有率は、特に限定されないが、2.5〜10.2wt%であるのが好ましく、3.2〜9.2wt%であるのがより好ましい。
<その他の成分>
第1のインクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;増感剤;光安定剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
カラーフィルター用インクセットを構成する各第1のインクの25℃における粘度(E型粘度計を用いて測定される粘度(動粘度))は、いずれも、3〜18mPa・sであるのが好ましく、4〜15mPa・s以下であるのがより好ましく、5〜13mPa・sであるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとしつつ、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、形成される着色部内において着色剤の濃度の不本意なばらつきが生じてしまうのを効果的に防止することができる。なお、第1のインクの粘度(動粘度)の測定は、例えば、E型粘度計(例えば、東機産業社製RE−01)を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。本明細書では、特に断りのない限り、「粘度」とは、上記のようにして測定して得られる値のことを指す。
《第2のインク》
次に、カラーフィルター用インクセットを構成する第2のインクについて説明する。
第2のインクは、樹脂材料と、前記樹脂材料を分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含むものである。このような、第2のインクを用いることで、所望の厚さの樹脂膜を確実に形成することができる。すなわち、着色膜と樹脂膜とからなる着色部の厚さを容易かつ確実に調整することができる。
<樹脂材料>
第2のインクは、樹脂材料(バインダー樹脂)を含む。これにより、所望の厚さの樹脂膜を確実に形成することができる。すなわち、着色膜と樹脂膜とからなる着色部の厚さを容易かつ確実に調整することができる。
第2のインクに用いることのできる樹脂材料としては、例えば、上述したような硬化性樹脂材料、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
特に、第2のインクは樹脂材料として、重合体Eを含むことが好ましい。これにより、着色部を形成する際に、比較的温和な条件で硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)を硬化させることができるとともに、形成される膜(樹脂膜)の硬度等を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクセットを用いて形成される着色部を、耐薬品性(耐溶剤性)に特に優れたものとすることができる。また、第2のインクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
特に、第2のインクと第1のインクとが共に重合体Eを含む場合、第1のインクによって形成された着色膜と第2のインクによって形成された樹脂膜との密着性が特に優れたものとなる。また、樹脂膜と着色膜とが共に硬度、耐溶剤性に特に優れたものとなる。この結果、得られるカラーフィルターは、耐久性が特に優れたものとなる。
また、特に、第1のインクと第2のインクのうち第2のインクがセル内に最後に吐出されるものである場合、すなわち、本実施形態では、第2のインクは、重合体Fを含むことが好ましい。重合体Fを含むことにより、第2のインクは、セルを形成する隔壁(バンク)への固着を防止することができる。このため、第2のインクが隔壁に付着しにくいものとなることにより、一旦隔壁に付着した第2のインクが好適にセル内に付与される。一般に、カラーフィルターには、溶剤に対する優れた耐性が求められるが、重合体Fを含む第2のインクが最後にセルに付与されることにより、セル内に形成される着色部は、その露出面が重合体Fを含む耐溶剤性に優れた膜(樹脂膜)となり、耐溶剤性が特に優れたものとなる。
また、硬化性樹脂材料として重合体Sと重合体Eとが含まれる場合、重合体Sの含有率と重合体Eの含有率との比率は、重量比で、25:75〜75:25であるのが好ましく、45:55〜55:45であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、第2のインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらをより確実に防止することができ、また、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、硬化性樹脂材料として重合体Eと重合体Fとが含まれる場合、重合体Eの含有率と重合体Fの含有率との比率は、重量比で、50:50〜99:1であるのが好ましく、60:40〜98:2であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、第2のインクの吐出安定性を特に優れたものとし、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に防止し、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
第2のインク中における硬化性樹脂材料の含有率は、0.5〜15wt%であるのが好ましく、1〜8wt%であるのがより好ましい。硬化性樹脂材料の含有率が前記範囲内の値であると、第2のインクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、第2のインク中における樹脂材料の含有率は、2.0〜30.0wt%であるのが好ましく、3.0〜28.0wt%であるのがより好ましい。これにより第2のインクの粘度上昇を抑制して、液滴吐出ヘッドからの第2のインクの吐出性を特に優れたものとすることができる。また、形成される樹脂膜の厚さを容易に調整することができる。
<第2の液性媒体>
第2の液性媒体(第2の液状媒質)は、上述したような樹脂材料を、分散および/または溶解する機能を有するものである。すなわち、第2の液性媒体は、分散媒および/または溶媒として機能するものである。そして、通常、第2の液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
第2の液性媒体を構成する液体としては、特に限定されないが、例えば、上述した第1の液体として用いることのできる液体が挙げられる。
上述した中でも、第2の液性媒体は、ピレングリコール−n−ブチルエーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、1,3−ブチレングリコールジアセテートから選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。これにより、第2のインクの吐出を特に長期にわたって安定させることができる。また、第2のインク中に含まれる気体や水の含有量を比較的低いものとして維持することができ、第2のインク中に含まれる樹脂材料等の不本意な劣化を防止することができる。また、これらの液体を用いた場合、液滴吐出装置の部材が膨潤等の劣化を起こすのを極めて長期間にわたって、確実に防ぐことができる。
また、第2の液性媒体は、第1の液性媒体に含まれる液体を含まないことが好ましい。これにより、第1のインクと第2のインクとが不本意に混合され、形成される着色膜の厚さにむらが生じることを確実に防止することができる。この結果、得られるカラーフィルターは、各部位での濃度むら、色むらが特に効果的に抑制されたものとなり、色再現範囲を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターを画像表示装置に用いた際に、特に鮮明な画像を適正に表示できるものとなる。
第2の液性媒体の大気圧下における沸点は、170〜280℃であるのが好ましく、190〜270℃であることがより好ましい。これにより、液滴吐出時において、第2の液性媒体が揮発することを好適に防止することができ、液滴吐出ヘッドの目詰まりが発生するのを確実に防止しつつ、生産性良く所望の厚さの樹脂膜を形成することができる。
また、第2の液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.10mmHg以下であるのが好ましく、0.07mmHg以下であることがより好ましい。これにより、カラーフィルターの製造時において、第2の液性媒体が揮発することを好適に防止することができ、液滴吐出ヘッドの目詰まりが発生するのを確実に防止しつつ、生産性良く所望の厚さの樹脂膜を形成することができる。
第2のインクにおける第2の液性媒体の含有率は、50〜99wt%であるのが好ましく、70〜95wt%であるのがより好ましい。第2の液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、第2のインクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの着色部の厚さを特に均一なものとすることができる。このため、得られるカラーフィルターは、各部位での濃度むら、色むらが特に効果的に抑制されたものとなり、また、画像表示装置に用いた際に、特に鮮明な画像を表示できるものとなる。
第2の液性媒体の25℃における粘度は、特に限定されないが、1.0〜4.0mPa・sであるのが好ましく、1.5〜3.5mPa・sであるのがより好ましい。第2の液性媒体の25℃における粘度が前記範囲内の値であると、第2のインクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの着色部の厚さを特に均一なものとすることができる。このため、得られるカラーフィルターは、各部位での濃度むら、色むらが特に効果的に抑制されたものとなり、また、画像表示装置に用いた際に、特に鮮明な画像を表示できるものとなる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する第2のインクの25℃における粘度は、いずれも、2.0〜9.0mPa・sであるのが好ましく、3.0〜7.0mPa・sであるのがより好ましい。これにより、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出される第2のインクの液滴量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。この結果、得られるカラーフィルターは、各着色部の厚さが特に均一なものとなり、画像表示装置に用いた際に、特に鮮明な画像を表示できるものとなる。
また、第2のインクは、上述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、第1のインクに例示したような成分が挙げられる。また、例えば、第2のインクは、着色剤、分散剤等を含むものであってもよい。また、この場合、第2のインクに含まれる着色剤の含有率は、第1のインクに含まれる着色剤の含有率よりも少ないことが好ましい。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクセットを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる種類のインクを用いて形成された第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。なお、第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、第2のインクと、互いに異なる種類の第1のインクとを用いて形成されたものであればよいが、以下の説明では、各着色部は、第2のインクに加え、第1の着色部12Aがレッドインクを用いて形成され、第2の着色部12Bがグリーンインクを用いて形成され、第3の着色部12Cがブルーインクを用いて形成された場合について、中心的に説明する。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものである。
各着色部12(第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12C)は、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものである。 各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
また、各着色部12は、それぞれ、着色膜121と樹脂膜122とを有している。このように、着色部12の色濃度、光透過率を主として調整する着色膜121と、着色部12の厚さを主として調整する樹脂膜122とを有することにより、形成される各色の着色部(12A、12B、12C)の厚さを容易かつ確実に均一なものとすることができる。このため、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。また、カラーフィルター1に平坦化膜を配する必要がない。このため、カラーフィルター1は、後述するような画像表示装置に用いた際に、確実に目的とする着色部12のみに対し光を照射することができ、形状、色調が鮮明な画像を適正に表示できるものとなっている。また、カラーフィルター1は、色再現域が十分に広く、また、色むら、濃度むらの発生が抑制され、信頼性が高いものとなっている。
また、着色膜121は、着色部12中において、それぞれ、基板11と接する部分に配されている。着色膜121は、上述したような重合体Sを含むものであり、基板11との密着性に優れている。また、このように、基板11に沿って着色膜121が配されることにより、着色膜121は特に平滑なものとなり、カラーフィルター1は、各部位での濃度むら、色むらが特に抑制されたものとなる。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
各着色部12の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、各着色部12の厚さをT[μm]、後述する隔壁13の高さをH[μm]としたとき、0.5≦T/H≦1.5の関係を満足しているのが好ましく、0.8≦T/H≦1.2の関係を満足しているのがより好ましい。上記条件を満足するカラーフィルター1では、隣接する着色部12同士が混色するのが確実に防止されるとともに、各着色部12の厚さと隔壁13の高さとの差を十分に小さいものとすることができる。これにより、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのをより確実に防止することができる。このため、カラーフィルター1は、後述するような画像表示装置に用いた際に、より確実に目的とする着色部12のみに対し光を照射することができ、形状、色調が鮮明な画像を特に適正に表示できるものとなる。また、カラーフィルター1は、色再現域が特に広く、また、色むら、濃度むらの発生が特に抑制されたものとなる。
なお、図1では、着色部12は、それぞれ1つの着色膜121と、樹脂膜122とを有するものとして説明したが、着色部12は、複数の着色膜121と、複数の樹脂膜122とを有するものであってもよい。また、着色膜121と樹脂膜122とが配される順序は、どのようなものであってもよく、例えば、樹脂膜122は、着色膜121よりも基板11に近い部位に配されるものであってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚よりも大きいものであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。また、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのをより確実に防止することができる。また、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましく、主として硬化樹脂材料で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、本実施形態カラーフィルターの製造方法について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、上述したような第1のインクを隔壁で囲まれた領域(セル)内に吐出する第1のインク付与工程と、第1のインクが吐出されるセル内に、上述したような第2のインクを吐出する第2のインク付与工程とを有するものである。このように、第1のインクを、着色部が所望の着色濃度となるような量としてセル内に付与して着色膜を形成し、さらに、形成される着色部が所望の厚さになるような量の第2のインクをセル内に付与して樹脂膜を形成することにより、確実に、着色部の色濃度と厚さとを調整することができる。また、このように、第1のインクと第2のインクとを分けてセル内に吐出することにより、各インクの粘度が高くなることを確実に防止することができ、各インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。この結果、このような製造方法を用いて製造したカラーフィルターは、形成された着色部の厚さが均一なものとなり、各部位での濃度むら、色むら等の少ないものとなる。また、画像表示装置に用いた場合、各着色部の厚さが均一であるため、共通電極を設けた際にも、共通電極の断線を確実に防止するものとなり、適正で鮮明な表示が得られるものとなる。
また、図2に示すように、本実施形態では、カラーフィルターの製造方法は、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式により第1のインク21を隔壁13で囲まれた領域(セル)に付与する第1のインク付与工程(1d)と、セル内に吐出された第1のインク21から第1の液性媒体の少なくとも一部を除去する第1の液性媒体除去工程(1e)と、第1のインク21が吐出されたセル内に第2のインク22を吐出する第2のインク付与工程(1f)と、セル内に吐出された第2のインク22から第2の液性媒体の少なくとも一部を除去する第2の液性媒体除去工程(1g)とを有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
<第1のインク付与工程>
次に、インクジェット方式により、上述したカラーフィルター用インクセットを構成する第1のインク21を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色膜121に対応する複数種の第1のインク21を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上の第1のインク21が混ざり合うことが確実に防止される。
第1のインク21の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置I100は、第1のインク21を保持するタンクI101と、チューブI110と、チューブI110を介してタンクI101から第1のインク21が供給される吐出走査部I102とを備える。吐出走査部I102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)I114をキャリッジI105に搭載してなる液滴吐出手段I103と、液滴吐出手段I103の位置を制御する第1位置制御装置I104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージI106と、ステージI106の位置を制御する第2位置制御装置I108(移動手段)と、制御手段I112とを備えている。タンクI101と、液滴吐出手段I103における複数の液滴吐出ヘッドI114とは、チューブI110で連結されており、タンクI101から複数の液滴吐出ヘッドI114のそれぞれに第1のインク21が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置I104は、制御手段I112からの信号に応じて、液滴吐出手段I103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置I104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段I103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置I108は、制御手段I112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージI106を移動させる。さらに、第2位置制御装置I108は、Z軸に平行な軸の回りでステージI106を回転させる機能も有する。
ステージI106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージI106は、第1のインク21を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段I103は、第1位置制御装置I104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージI106は、第2位置制御装置I108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置I104および第2位置制御装置I108によって、ステージI106に対する液滴吐出ヘッドI114の相対位置が変わる(ステージI106に保持された基板11と、液滴吐出手段I103とが相対的に移動する)。
制御手段I112は、第1のインク21を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段I103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッドI114と、これらの液滴吐出ヘッドI114を保持するキャリッジI105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段I103に保持される液滴吐出ヘッドI114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッドI114は、後述する複数のノズルI118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッドI114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段I103に保持された液滴吐出ヘッドI114の底面はステージI106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッドI114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッドI114は、X軸方向に並んだ複数のノズルI118を有する。これら複数のノズルI118は、液滴吐出ヘッドI114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッドI114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッドI114におけるノズルI118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッドI114における複数のノズルI118は、ともにX軸方向に延びるノズル列I116Aと、ノズル列I116Bとをなす。ノズル列I116Aと、ノズル列I116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列I116Aおよびノズル列I116Bのそれぞれにおいて、90個のノズルI118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列I116Bの位置は、ノズル列I116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッドI114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列I116A(またはノズル列I116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッドI114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列I116A(またはノズル列I116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッドI114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッドI114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズルI118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列I116Aおよびノズル列I116Bのそれぞれが90個のノズルI118からなるため、1つの液滴吐出ヘッドI114は180個のノズルI118を有する。ただし、ノズル列I116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列I116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からは第1のインク21が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッドI114における180個のノズルI118のうち、160個のノズルI118が第1のインク21を吐出するノズルとして機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段I103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッドI114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッドI114と他方の列の液滴吐出ヘッドI114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段I103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、第1のインク21を吐出するノズルI118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段I103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッドI114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図6(a)および(b)に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッドI114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッドI114は、振動板I126と、ノズルプレートI128とを備えている。振動板I126と、ノズルプレートI128との間には、タンクI101から孔I131を介して供給される第1のインク21が常に充填される液たまりI129が位置している。
また、振動板I126と、ノズルプレートI128との間には、複数の隔壁I122が位置している。そして、振動板I126と、ノズルプレートI128と、1対の隔壁I122とによって囲まれた部分がキャビティI120である。キャビティI120はノズルI118に対応して設けられているため、キャビティI120の数とノズルI118の数とは同じである。キャビティI120には、1対の隔壁I122間に位置する供給口I130を介して、液たまりI129から第1のインク21が供給される。
振動板I126上には、それぞれのキャビティI120に対応して、振動子I124が位置する。振動子I124は、ピエゾ素子I124Cと、ピエゾ素子I124Cを挟む1対の電極I124A、I124Bとを含む。この1対の電極I124A、I124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズルI118から第1のインク21が吐出される。なお、ノズルI118からZ軸方向に第1のインク21が吐出されるように、ノズルI118の形状が調整されている。
制御手段I112(図3参照)は、複数の振動子I124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズルI118から吐出される第1のインク21の体積が、制御手段I112からの信号に応じてノズルI118毎に制御されてもよい。また、制御手段I112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズルI118と、吐出動作を行わないノズルI118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズルI118と、ノズルI118に対応するキャビティI120と、キャビティI120に対応する振動子I124とを含んだ部分を「吐出部I127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッドI114は、ノズルI118の数と同じ数の吐出部I127を有する。
上記のような液滴吐出装置A100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色膜121に対応する第1のインク21を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的に第1のインク21を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置A100は、第1のインク21を保持するタンクI101、チューブI110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色の第1のインク21に対応する複数の液滴吐出装置A100を用いてもよい。
また、上述したように、本発明のカラーフィルターの製造方法では、第2のインク22を有することにより、第1のインク21に含まれるべき樹脂材料を減らすことができる。このため、第1のインク21は、粘度が低く好適なものとなり、長期間にわたって、吐出性の均一性が安定的に保持されている。このため、上記のような液滴吐出を行った場合において、各セル14に付与される第1のインク21の液滴量の不本意なばらつきが発生することを確実に防止することができる。また、本実施形態において、第1のインク21は、重合体Sを含むものである。このため、第1のインク21は、基板に対する親和性が高く、好適に濡れ広がることができる。このため、形成される着色膜は、厚さが均一なものとなる。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドI114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッドI114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して第1のインク21を吐出する構成であってもよい。
<第1の液性媒体除去工程>
次に、セル14内の第1のインク21から、第1の液性媒体の少なくとも一部を除去する(1e)。このように、第1のインク21から第1の液性媒体の少なくとも一部を除去することにより、第1のインク21の流動性を失わせることができる。このため、引き続く第2のインク付与工程において、第2のインク22を付与した場合であっても、第1のインク21と第2のインク22とは、混ざり合わずに存在することができる。この結果、形成される各着色部12内における濃度むらを特に確実に抑制することができ、製造されるカラーフィルター1は、各部位での色むら、濃度むらがより確実に抑制されたものとなる。
第1の液性媒体の除去は、例えば、加熱により行うことができる。
第1の液性媒体の除去を加熱により行う場合、基板11の温度は、例えば、60〜260℃であることが好ましく180〜250℃であることがより好ましい。これにより、第1のインク21から効率よく第1の液性媒体を除去することができる。また、基板11等への悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、第1の液性媒体の除去は、減圧乾燥によって行うものであってもよい。これにより、基板11等への悪影響の発生を防止しつつ、第1の液性媒体の除去を行うことができる。
また、本工程においては、上述したような手段を組み合わせて第1の液性媒体を除去するものであってもよい。
また、本工程においては、第1のインク21から全ての第1の液性媒体を除去するものであってもよいし、一部の第1の液性媒体が第1のインク21に残存するものであってもよい。
また、本工程においては、必要に応じて、硬化樹脂材料を架橋成分等と反応させてもよい。硬化性樹脂材料の硬化は、通常、加熱により行うが、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、第1のインク21が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。活性エネルギー線を照射することにより、硬化性樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、硬化性樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。また、第1のインク21が付与された基板11を減圧環境下に置くことにより、液性媒体をより効率よく除去することができたり、画素(セル)内での着色部の形状を、確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。
<第2のインク付与工程>
次に、セル14内に第2のインク22を付与して、形成する着色部12の厚さを調整する(1e)。上述したように、セル14内の第1のインク21は、第1の液性媒体の少なくとも一部が除去されたものである。このため、セル14内の第1のインク21は流動性を失っており、この第1のインク21上に第2のインク22を付与した場合であっても、第1のインク21と第2のインク22とは、混ざり合わずに存在することができる。この結果、製造されるカラーフィルター1において、形成された着色部12内の着色膜121は、各着色膜121内での厚さが特に均一なものとなり、カラーフィルター1の各部位での濃度むら、色むらが特に抑制されたものとなる。また、このように、隔壁13の縁に近い部分でこのように第2のインク22を付与することにより、第1のインク21に含まれる着色剤が目的としないセル14に飛散して、混色することを確実に防ぐことができる。
第2のインク22のセル14内への付与は、インクジェット方式の液滴吐出装置により行われるものであり、上記のような液滴吐出装置A100を用い、第1のインク21と同様の方法で行うことができる。
第2のインク22インクは、少なくとも1色の着色部12を形成するセル14内に付与されるものであればよいが、全ての色の着色部12を形成するセル14内に付与されるものであってもよい。これにより、容易かつ確実に、着色部12の厚さを調整し、均一なものとすることができる。
また、第2のインク22は、複数の第1のインク21が付与されるセルのうち、複数の第1のインク21のうちもっとも固形分の少ない第1のインク21が付与されるべきセルに対し最も多く付与されることが好ましい。これにより、容易かつ確実に着色部12の厚さを調整することができ、着色部12の厚さが特に均一なカラーフィルターを製造することができる。このため、得られるカラーフィルター1は、各部位の濃度むら、色むらが特に抑制されたものとなる。また、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。
また、特に、複数種の第1のインク21が付与されたセル14で、付与された第1のインク21の固形分が少ないセル14ほど、第2のインク22は、多く付与されることが好ましい。これにより、形成される着色部12の厚さを特に均一にすることができる。
<第2の液性媒体除去工程>
次に、セル14内の第2のインク22から、第2の液性媒体の少なくとも一部を除去し、固形状の着色部12を得る(1g)。これにより、カラーフィルター1が得られる。また、このように第2の液性媒体の一部を除去する際に、第1の液性媒体も同時に除去することができ、着色膜121と樹脂膜122とが同時に形成される。
第2の液性媒体の除去は、例えば、加熱により行うことができる。
第2の液性媒体の除去を加熱により行う場合、基板11の温度は、例えば、60〜260℃であることが好ましく180〜250℃であることがより好ましい。これにより、第2のインク22から効率よく第2の液性媒体を除去することができる。また、基板11等への悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、第2の液性媒体の除去は、減圧乾燥によって行うものであってもよい。これにより、基板11等への悪影響の発生を防止しつつ、第2の液性媒体の除去を行うことができる。
また、本工程においては、必要に応じて、硬化樹脂材料を架橋成分等と反応させてもよい。硬化性樹脂材料の反応は、上述したような第1の液性媒体除去工程と同様の方法で行うことができる。
また、本工程においては、上述したような手段を組み合わせて第2の液性媒体を除去するものであってもよい。
上述したような製造方法により、各色の着色部12が均一な厚さを有するカラーフィルター1を得ることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、本実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7は、第2実施形態のカラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(2a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(2b、2c)と、インクジェット方式により第2のインク22を隔壁13で囲まれた領域(セル)に付与する第2のインク付与工程(2d)と、セル内に吐出された第2のインク22から第2の液性媒体の少なくとも一部を除去する第2の液性媒体除去工程(2e)と、第2のインク22が吐出されたセル内に第1のインク21を吐出する第1のインク付与工程(2f)と、セル14内に吐出された第1のインク21から第1の液性媒体の少なくとも一部を除去する第1の液性媒体除去工程(2g)とを有している。すなわち、本実施形態の製造方法は、第2のインク付与工程、第2の液性媒体除去工程の後に、第1のインク付与工程および第1の液性媒体除去工程を行う以外は、前述した第1実施形態と同様である。このような製造方法を用いることにより、製造されたカラーフィルターは、形成された着色部の厚さが均一なものとなり、各部位での濃度むら、色むら等の少ないものとなる。また、画像表示装置に用いた場合、各着色部の厚さが均一であるため、共通電極を設けた際にも、共通電極の断線を確実に防止するものとなり、適正で鮮明な表示が得られるものとなる。
また、このような工程を経てカラーフィルター1を製造することにより、樹脂膜122は、着色部12において、それぞれ基板11と接する部分に配される。また、カラーフィルター1を後述するような画像表示装置に適用した際に、着色膜121は、セル14内において、共通電極と接した部分に配される。このように、着色膜121が、共通電極と接した部分に配されることにより、共通電極側からカラーフィルター1に入射した光は、より確実に目的とする着色部12の着色膜121を透過することができる。結果として、カラーフィルター1を画像表示装置に適用した際に、より鮮明な形状、色調の画像を適正に表示できるものとなる。
なお、本実施形態での各工程は、前述した第1実施形態と同様にして行うことができる。
また、本実施形態において、第2のインク22は、重合体Sを含むものである。このため、第2のインク22は、基板に対する親和性が高く、好適に濡れ広がることができる。このため、形成される着色膜は、厚さが均一なものとなる。また、製造されるカラーフィルター1において、着色部と基板との密着性が優れたものとなり、カラーフィルター1の耐久性が優れたものとなる。
また、特に、第1のインク21と第2のインク22のうち第1のインク21がセル内に最後に吐出されるものである場合、すなわち、本実施形態では、第1のインク21は、重合体Fを含むことが好ましい。重合体Fを含むことにより、第1のインク21は、セルを形成する隔壁(バンク)への固着を防止することができる。このため、第1のインク21が隔壁に付着しにくいものとなることにより、一旦隔壁に付着した第1のインク21が好適にセル内に付与される。一般に、カラーフィルターには、溶剤に対する優れた耐性が求められるが、重合体Fを含む第1のインク21が最後にセルに付与されることにより、セル内に形成される着色部は、その露出面が重合体Fを含む耐溶剤性に優れた膜(着色膜)となり、耐溶剤性が特に優れたものとなる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下、本実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8は、カラーフィルターの製造方法の第3実施形態を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(3a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(3b、3c)と、インクジェット方式により第1のインク21を隔壁13で囲まれた領域(セル14)に付与する第1のインク付与工程(3d)と、第1のインク21が吐出されたセル14内に第2のインク22を吐出する第2のインク付与工程(3e)と、さらに、当該セル14内に第1のインク21を吐出する第1のインク付与工程(3f)と、さらに、当該セル14内に第2のインク22を吐出する第2のインク付与工程(3g)と、セル14内に吐出された第1のインク21および第2のインク22から第1の液性媒体および第2の液性媒体を除去する液性媒体除去工程(3h)とを有する。すなわち、本実施形態の製造方法は、第1のインク付与工程および第2のインク付与工程を繰り返し、その後の液性媒体除去工程で、第1の液性媒体および第2の液性媒体を一括で除去する以外は、前述した第1実施形態と同様である。このような製造方法を用いることにより、製造されたカラーフィルター1は、形成された着色部の厚さが均一なものとなり、各部位での濃度むら、色むら等の少ないものとなる。また、画像表示装置に用いた場合、各着色部の厚さが均一であるため、共通電極を設けた際にも、共通電極の断線を確実に防止するものとなり、適正で鮮明な表示が得られるものとなる。
また、このような工程を経てカラーフィルター1を製造することにより、着色部12は、複数の着色膜121と複数の樹脂膜122とを有するものとなる。このように着色部が複数の着色膜121と複数の樹脂膜122とを有することにより、カラーフィルター1に入射した光は、着色部12内で反射を繰り返すことができる。この結果、各着色膜121に厚さのむらが存在した場合であっても、各着色部12内での色むら、濃度むらを特に少ないものとすることができる。
また、このような工程を経てカラーフィルター1を製造することにより、液性媒体を除去する時間が少ないものとなり、効率よく、カラーフィルター1を製造することができる。また、得られるカラーフィルター1の損傷を確実に防ぐことができる。
なお、本実施形態での液性媒体除去工程は、前述した第1実施形態の第1の液性媒体除去工程および第2の液性媒体除去工程と同様にして行うことができる。また、他の各工程は、前述した第1実施形態と同様にして行うことができる。
また、本実施形態において、第1のインク21は、重合体Sを含むものである。このため、第1のインク21は、基板に対する親和性が高く、好適に濡れ広がることができる。このため、形成される着色膜121は、厚さが均一なものとなる。また、製造されるカラーフィルター1において、着色部12と基板との密着性が優れたものとなり、カラーフィルター1の耐久性が優れたものとなる。
また、特に、第1のインク21と第2のインク22のうち第2のインク22がセル内に最後に吐出されるものである場合、すなわち、本実施形態では、第2のインク22は、重合体Fを含むことが好ましい。重合体Fを含むことにより、第2のインク22は、セルを形成する隔壁(バンク)への固着を防止することができる。このため、第2のインク22が隔壁に付着しにくいものとなることにより、一旦隔壁に付着した第2のインク22が好適にセル内に付与される。一般に、カラーフィルターには、溶剤に対する優れた耐性が求められるが、重合体Fを含む第2のインク22が最後にセルに付与されることにより、セル内に形成される着色部12は、その露出面が重合体Fを含む耐溶剤性に優れた膜(樹脂膜)となり、耐溶剤性が特に優れたものとなる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図9は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図9中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図9中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
このように、カラーフィルター1を備えた液晶表示装置60では、カラーフィルター1を構成する各着色部12が均一な厚さを有するものである。このようなカラーフィルター1を備えた液晶表示装置60では、各着色部12と隔壁13との高さの差(段差)が、カラーフィルター1全体において均一である。したがって、共通電極61は断線しにくいものとなっており、液晶表示装置60は、確実かつ適正に画像表示を行うことできる。また、液晶表示装置60に熱や外部からの衝撃が加わった際にも、カラーフィルター1の液晶層62側に配された共通電極61が断線するなどの不具合が発生するのを確実に防止することができ、液晶表示装置60の耐久性は優れたものとなる。また、液晶表示装置60のカラーフィルター1は、平坦化膜を有しておらず、このため、目的とする着色部のみに確実に光を照射できるものとなる。この結果、液晶表示装置は、色再現範囲を広いものとすることができ、形状、色調等が鮮明な画像を適正に表示できるものとなる。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射する。
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものであるため、各色間、各画素間での特性および厚さのばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60において、色再現域が十分に広く、また、色むら、濃度むらが抑制された画像を安定的に表示することができる。また、カラーフィルター1は、耐久性に優れているため、液晶表示装置60は、長期にわたって鮮明な画像を表示できるものとなる。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図10は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図11は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図12は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、着色部の厚さは均一になりづらく、共通電極の断線、各部位での色むら、濃度むらの問題を特に生じやすかったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応する第1のインクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の第1のインクから第1の液性媒体を除去するもの、すなわち、第1の液性媒体除去工程を1回のみ行うものとして説明したが、第1のインク付与工程、第1の液性媒体除去工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、例えば、第1のインク付与工程および第2のインク付与工程は、それぞれ、複数回行われるものであってもよい。
また、例えば、着色膜および樹脂膜は、一部が相溶し、境界の一部が不明瞭になっているものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)の第1のインクおよび1種の第2のインクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成する第1のインクおよび第2のインクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明のカラーフィルター用インクセットは、4種以上の第1のインクを備えるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットは、1種の第2のインクのみを備えるものとして説明したが、複数種の第2のインクを備えるものであってもよい。例えば、カラーフィルター用インクセットは、複数種の第1のインクにそれぞれ対応する複数種の第2のインクを備え、第2のインク毎に組成が異なるものであってもよい。特に第2のインク毎に樹脂材料の量を調整することにより、複数の第2のインクの吐出量を全て同じものとしつつ、第2のインク毎に付与する樹脂材料の量を異なるものとすることができる。これにより、液滴吐出時における吐出条件の設定がより簡易なものとなる。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた1Lの反応容器に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:37.6重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):2重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):3重量部を加えた後、該フラスコ内に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名SZ6030):30重量部を混合させた溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤としての2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業株式会社製、商品名V−601):5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):20重量部に溶解した溶液(重合開始剤溶液)を別の滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。重合開始剤溶液の滴下が終了した後、AIBN:0.2重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):1重量部を添加し約2時間同温程度に保持した後、AIBN:0.2重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):1重量部を添加し約2時間同温程度に保持し、その後、室温程度まで冷却して、重合体Sを含む、固形分30wt%の重合体溶液S1を得た。
(合成例2〜6)
重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いる単量体成分の種類、使用量、溶媒(溶剤)の種類を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、重合体Sを含む、固形分30wt%の5種の重合体溶液(重合体溶液S2〜S6)が得られた。
(合成例7)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名SZ6030):30重量部の代わりに(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名サイクロマーM100)、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製、商品名MOI−BM)、および、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を使用した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、重合体Eを含む、固形分30wt%の重合体溶液E1(単独重合体溶液)が得られた。
(合成例8〜16)
重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いる単量体成分の種類、使用量、溶媒(溶剤)の種類を表1に示すように変更した以外は、前記合成例7と同様の操作を行った。その結果、重合体Eを含む、固形分30wt%の9種の重合体溶液(重合体溶液E2〜E10)が得られた。
(合成例17)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名SZ6030):30重量部の代わりに1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート8FM):30重量部を使用した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、重合体Fを含む、固形分30wt%の重合体溶液F1(単独重合体溶液)が得られた。
(合成例18〜21)
重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いる単量体成分の種類、使用量、溶媒(溶剤)の種類を表1に示すように変更した以外は、前記合成例17と同様の操作を行った。その結果、重合体Fを含む、固形分30wt%の4種の重合体溶液(重合体溶液F2〜F5)が得られた。
合成例1〜21での重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いた材料の種類、使用量(合成例1〜21で合成した重合体の組成)を表1にまとめて示した。なお、表中、「L」は溶媒(溶剤)のことを意味し、特に、「L1」はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのことを示し、「L2」は1,3−ブチレングリコールジアセテートのことを示し、「L3」はビス(2−ブトキシエチル)エーテルのことを示し、「L4」は2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートのことを示し、「L5」はトリエチレングリコールブチルメチルエーテルのことを示す。
また、「V−601」は2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルのことを示し、「AIBN」は2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)のことを示し、「e1−1」は(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート(サイクロマーM100)のことを示し、「e1−2」は(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレートのことを示し、「e2−1」はメタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(MOI−BM)のことを示し、「e2−2」は2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI」)のことを示し、「e3−1」は2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のことを示し、「e3−2」は4−ヒドロキシブチルアクリレートのことを示し、「e4−1」は1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート(ビスコート8FM)のことを示し、「e4−2」は2−エチルヘキシルメタクリレートのことを示し、「s1−1」はγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(SZ6030)のことを示し、「s1−2」はγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランのことを示し、「s2−1」はエチルメタクリレートのことを示し、「f1−1」は1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート(ビスコート8FM)のことを示し、「f1−2」は1,2,3,4,5−ペンタフルオロスチレンのことを示し、「f2−1」は2,3−ジヒドロキシブチルメタクリレートのことを示し、「f2−2」はシクロヘキシルメタクリレートのことを示す。また、表中には、重合体溶液を構成する重合体の重量平均分子量Mwをあわせて示した。
Figure 2009175490
[1]カラーフィルターの製造
(実施例1)
[1.1]カラーフィルター用インクセットの調製
<第1のインクセット1の調製>
まず、カラーフィルター用インクセットを構成する各色の第1のインクの製造を行った。
分散剤としてのディスパービック111:5.04g(14重量部)と、分散剤としてのディスパービック166:28.07g(78重量部)と、熱可塑性樹脂としてのSPCN−17X(昭和高分子社製):19.43g(54重量部)と、第1の液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:91.05g(253重量部)とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌して予備分散を行うことにより、分散剤分散液を得た(予備分散工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、予備分散工程で得られた分散剤分散液に、顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた分散剤分散液に、顔料:35.99g(100重量部)を一括で添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントレッド254と式(4)で表される顔料誘導体との混合物:25.85gと、C.I.ピグメントレッド177と式(3)で表される顔料誘導体との混合物:7.60gと、式(5)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末:3.55gとを用いた。また、このとき、分散剤分散液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、第1の液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
Figure 2009175490
Figure 2009175490
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次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、第1の液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体と、重合体溶液E1と、重合体溶液S1と、第1の液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを混合した。本工程は、上記顔料分散体と、重合体溶液E1と、重合体溶液S1とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。また、このときのRインクの顔料の含有率は、7.3wt%であった。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、Rインクに対応する、R、G、Bの3色のインクからなる第1のインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58と、前記式(3)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用い、最終的なGインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6を用い、最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9wt%とした。
<第2のインクの調整>
次に、第2のインクの調製を行った。
第2のインクは、重合体溶液E2と、重合体溶液F2と、1,3−ブチレングリコールジアセテートとを混合することによって得られた。各材料の混合は、上記顔料分散体と、重合体溶液E2と、重合体溶液F2とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、第2のインク中における樹脂材料の含有量は、9.0wt%であった。
このようにして得られた第2のインクと、第1のインクセット1を組み合わせることで、カラーフィルター用インクセットを得た。
[1.2]基板準備工程
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
[1.3]隔壁形成工程
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.1μmであった。
[1.4]第1のインク付与工程
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、第1のインクを吐出した。この際、3色の第1のインクを用い、各色の第1のインクが混色しないようにした。また、第1のインクは、形成される着色部が目的とする色濃度、光透過率となるように、吐出量を調整しながらセルに付与した。各色の第1のインクの1つのセル当たりの吐出量は、グリーンインクが1000ng、レッドインクが1000ng、ブルーインクが1000ngであった。
[1.5]第1の液性媒体除去工程
その後、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施すことにより、第1の液性媒体の大部分を除去した。
[1.6]第2のインク付与工程
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、第1のインクが吐出されたセル内に、第2のインクを吐出し、セル内に形成されるべき着色部の厚さを調整した。この結果、セル内に付与された第1のインクの固形分が少ないセルに対し、最も多い量の第2のインクを付与した。各色の第2のインクの1つのセル当たりの吐出量は、Gインクが吐出されたセルに対し300ng、Rインクが吐出されたセルに対し330ng、Bインクが吐出されたセルに対し400ngであった。
[1.7]第2の液性媒体除去工程
その後、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことにより、それぞれ着色膜と樹脂膜とからなる3色の着色部が形成された。
これにより、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて、10000枚のカラーフィルターを製造した。なお、製造したカラーフィルターについて、触針式表面粗さ計(P−15、Tecnor社製)を用い、着色部および隔壁によって形成される段差の測定を行った。測定は、カラーフィルターの着色部および隔壁が存在する部分(1mm×1mm)を無作為に100点について選び、各部分について表面粗さ(凹凸の段差)を測定した。得られた各部分の表面粗さについて、それらの平均を求めた。この結果、カラーフィルターの表面粗さ(凹凸の段差)平均は、0.1μm未満であり、隔壁と各着色部との着色部の厚さが均一であり、また、各着色部内での厚さも均一であると考えられた。また、着色部の一部を切り取って断面を観察したところ、樹脂膜と着色膜とが存在することが確認できた。
(実施例2〜8)
用いる材料の種類、含有量を表1および表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1のインクセット1〜7および第2のインクを調製し、それぞれ、カラーフィルター用インクセットを得た。
次に、得られた各実施例のカラーフィルター用インクセットを用いて、前記実施例1と同様にして10000枚のカラーフィルターを製造した。なお、各実施例において、各第2のインクは、各セルで形成される着色部の厚さが均一となり、隔壁と着色部との厚さが同じになるような量をそれぞれ、吐出した。
(実施例9)
まず、用いる材料の種類、含有量を表1および表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1のインクセット8および第2のインクを調製し、それぞれ、カラーフィルター用インクセットを得た。
次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程を行った。
次に、第2のインク付与工程および第2の液性媒体除去工程を行った。第2のインク付与工程の条件は、前記実施例1と同様とした。また、第2の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施すことにより行った。
次に、第1のインク付与工程および第1の液性媒体除去工程を行った。第1のインク付与工程の条件は、前記実施例1と同様とした。また、第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことによりおこなった。これにより、カラーフィルターを製造した。
上記のような方法を用い、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて、10000枚のカラーフィルターを製造した。
(実施例10)
まず、第2のインクに用いる材料の種類、含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1のインクセット1および第2のインクを調製し、カラーフィルター用インクセットを得た。
次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程を行った。
次に、第1のインク付与工程および第1の液性媒体除去工程を行った。第1のインク付与工程の条件は、各セルに対する各第1のインク吐出量を前記実施例1の3分の1とした以外は、前記実施例1と同様とした。また、第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施すことにより行った。
次に、第2のインク付与工程および第2の液性媒体除去工程を行った。第2のインク付与工程の条件は、各セルに対する各第2のインク吐出量を前記実施例1の3分の1とした以外は、前記実施例1と同様とした。また、第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施すことにより行った。
上記のような第1のインク付与工程、第1の液性媒体除去工程、第2のインク付与工程、第2の液性媒体除去工程をさらに2回(計3回)繰り返し、カラーフィルターを製造した。なお、3回目の第2の液性媒体除去工程では、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を行った後に、さらに200℃のオーブン内で15分の加熱処理を施した。
上記のような方法を用い、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて、1000枚のカラーフィルターを製造した。
(実施例11)
まず、第2のインクに用いる材料の種類、含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1のインクセット1および第2のインクを調製し、カラーフィルター用インクセットを得た。
次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程を行った。
次に、第1のインク付与工程を行った。第1のインク付与工程の条件は、各セルに対する各第1のインク吐出量を前記実施例1の2分の1とした以外は、前記実施例1と同様とした。
次に、第2のインク付与工程を行った。第2のインク付与工程の条件は、各セルに対する各第2のインク吐出量を前記実施例1の2分の1とした以外は、前記実施例1と同様とした。
上記のような第1のインク付与工程、第2のインク付与工程、第2の液性媒体除去工程をさらに1回(計2回)繰り返した。
その後、液性媒体除去工程として、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理をした後に、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施し、カラーフィルターを製造した。
上記のような方法を用い、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて、10000枚のカラーフィルターを製造した。
(実施例12)
用いる材料の種類、含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、各色(R、G、B)の第1のインクに対応する第2のインク(R第2のインク、G第2のインク、B第2のインク)を調製し、第1のインクセットに対応する第2のインクセットを得た。これにより、第1のインクセットと、対応する第2のインクセットからなるカラーフィルター用インクセットを得た。
次に、第2のインク付与工程において、各セルに対し、付与された第1のインクに対応する第2のインクを付与した以外は、前記実施例1と同様にして、1000枚のカラーフィルターを製造した。なお、第2のインクの吐出量は、各色で同様であり、各セルに対し、400ngであった。
(比較例1)
用いる材料の種類、含有量を表1および表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1のインクセット1および第2のインクを調製し、それぞれ、カラーフィルター用インクセットを得た。
次に、得られた各実施例のカラーフィルター用インクセットを用いて、前記実施例1と同様にして10000枚のカラーフィルターを製造した。なお、各実施例において、各第2のインクは、各セルで形成される着色部の厚さが均一となり、隔壁と着色部との厚さが同じになるような量をそれぞれ、吐出した。
(比較例2)
まず、前記実施例1と同様にして、第1のインクセット1を得、これをカラーフィルター用インクセットとした。次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程、第1のインク付与工程を行った。
次に、第1の液性媒体除去工程を行った。第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことにより行った。
次に、第2のインク付与工程および第2の液性媒体除去を行わず、第1の液性媒体除去工程後に平坦化膜を設け、カラーフィルターを製造した。
また、平坦化膜は、透明なアクリル樹脂の塗料をスピンコート法によって塗布し、乾燥することで形成した。形成された平坦化膜の平均厚さは、6.0μmであった。
(比較例3)
まず、前記実施例1と同様にして、第1のインクセット1を得、これをカラーフィルター用インクセットとした。
次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程、第1のインク付与工程を行った。
次に、第1の液性媒体除去工程を行った。第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことにより行った。
次に、第2のインク付与工程および第2の液性媒体除去を行わず、第1の液性媒体除去工程後に平坦化膜を設け、カラーフィルターを製造した。
また、平坦化膜は、透明なアクリル樹脂の塗料をスピンコート法によって塗布し、乾燥することで形成した。形成された平坦化膜の平均厚さは、1.0μmであった。
(比較例4)
まず、前記実施例1と同様にして、第1のインクセット8を得、これをカラーフィルター用インクセットとした。
次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程、第1のインク付与工程を行った。
次に、第1の液性媒体除去工程を行い、カラーフィルターを製造した。第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことにより行った。
上記のような方法を用い、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて、1000枚のカラーフィルターを製造した。
(比較例5)
まず、樹脂材料、分散剤、第1の液性媒体の含有量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、第1のインクセット9を得、これをカラーフィルター用インクセットとした。なお、樹脂材料、顔料の含有量は、形成すべき着色部が目的とする色濃度、光透過率である場合に、着色部の厚みが全て均一になると考えられる含有量とした。
次に、実施例1と同様に基板準備工程、隔壁形成工程、第1のインク付与工程を行った。
次に、第1の液性媒体除去工程を行い、カラーフィルターを製造した。第1の液性媒体除去工程は、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことにより行った。
上記のような方法を用い、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて、10000枚のカラーフィルターを製造した。
表2に、各実施例および各比較例で用いた第1のインクの組成および特性を示した。また、前記各実施例および各比較例について、用いた第1のインクセットの種類、カラーフィルター用インクセットを構成する第2のインクの組成・特性等を、表3にまとめて示した。
なお、表中、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントレッド254と式(4)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、C.I.ピグメントレッド177と式(3)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、式(5)で表される顔料誘導体で構成された粉末を「SPD」、ディスパービック111を「DA1」、ディスパービック2095を「DA2」、ディスパービックP104を「DA3」、ディスパービック166を「DA4」、ディスパービック9075を「DA5」、SPCN−17Xを「DR1」で示した。また、表には、分散剤の酸価、アミン価(固形分換算したときの酸価、アミン価)もあわせて示したなお、酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求め、アミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求めた。また、表中、第1の液性媒体、第2の液性媒体の種類については、表1と同様にして各種溶剤(分散媒)を示した。また、表中、硬化性樹脂材料の欄には、重合体溶液S1に含まれる重合体をS1で示した。同様に、重合体溶液S2〜S6、E1〜E10、F1〜F5に含まれる重合体を、それそれ、S2〜S6、E1〜E10、F1〜F5で示した。また、粘度の測定は、25℃の環境下、E型粘度計(東機産業社製、RE−01)を用いて、JIS Z8809に準拠して行った。また、前記実施例および比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(3)で表される顔料誘導体との混合物中における式(3)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10.0wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(4)で表される顔料誘導体との混合物中における式(4)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10.0wt%であった。
Figure 2009175490
Figure 2009175490
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
次に、上記のようにして得られた各第1のインクセット、各実施例および各比較例で用いた第2のインクについて、液滴吐出の安定性評価を行った。
[2.1]着弾位置精度評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、28℃、55%RH環境下で、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、100000発(100000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された10000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。なお、第1のインクセットおよび実施例10の第2のインクセットのズレ量dの平均値としては、それぞれ、各インクセットを構成する3種のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:ズレ量dの平均値が0.04μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.04μm以上、0.12μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.12μm以上。
[2.2]目詰まり評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、28℃、55%RH環境下で、液滴吐出装置を24時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、第1のインクセットおよび実施例10の第2のインクセットのノズルの目詰まりの発生率の値としては、それぞれ、各インクセットを構成する3種のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.6%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.6%以上、1.2%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.2%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[2.3]間欠印字性能評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、28℃、55%RH環境下で、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、1000発(1000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、30秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、液滴の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、10シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W10[ng]とを求めた。そして、WとW10との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W10|/W)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。|W−W10|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。なお、第1のインクセットおよび実施例12の第2のインクセットの|W−W10|/Wの値としては、それぞれ、各インクセットを構成する3種のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:|W−W10|/Wの値が、0.050未満。
B:|W−W10|/Wの値が、0.050以上、0.750未満。
C:|W−W10|/Wの値が、0.750以上。
[2.4]連続吐出性能評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、28℃、55%RH環境下で、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、10000発(10000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。なお、第1のインクセットおよび実施例10の第2のインクセットのΔW/Wの値としては、それぞれ、各インクセットを構成する3種のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:ΔW/Wの値が、0.050未満。
B:ΔW/Wの値が、0.050以上、0.750未満。
C:ΔW/Wの値が、0.750以上。
[3]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[3.1]色再現範囲の評価
前記各実施例および各比較例において製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、7500枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図9に示すような液晶表示装置を製造した。
得られた各液晶表示装置ついて、標準C光源を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)により、透過スペクトルを測定し、xy表示系による色度(R(xy)、G(xy)、B(xy))を求め、NTSC比を算出し、以下の3段階の基準に従い、評価した。NTSC比が高いほど、色再現範囲が広いと言える。
A:NTSC比が80%以上。
B:NTSC比が73以上、80%未満。
C:NTSC比が73%未満。
D:光漏れ等により、画素毎にばらつきが大きく測定に意味が無い。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[3.2]画像表示試験
前記各実施例および各比較例において製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、800枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図9に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの各液晶表示装置に関して、SMPTEに準拠したSMTPEカラーバーを表示させ、表示された画像について、以下の5段階の基準に従い、画質を評価した。
A:適正に画像表示を行えるとともに、表示される画像の形状、色調は非常に鮮明である。
B:適正に画像表示を行えるとともに、表示される画像の形状、色調は鮮明である。
C:適正に画像表示を行えるが、一部の画素抜けが発生している(全画素に対し5%未満)。または、表示される画像の形状、色調はやや不鮮明である。
D:適正に画像表示を行えるが、著しくの画素抜けが発生している(全画素に対し5%以上)。または、表示される画像の形状、色調が著しく不鮮明である。
E:適正に画像表示を行うことができない。
なお、上記の評価においては、各液晶表示装置について、同様の条件で製造し、同様の条件で表示を行い、同様の条件で観察、測定を行った。
[3.3]色むら、濃度むら、光漏れ
前記各実施例および各比較例において製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図9に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むら、光漏れの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。なお、本評価における光漏れとは、カラーフィルターのセルにおいて、着色部が存在しない部分があり、このため、照射した光がそのまま、カラーフィルターを透過する現象である。
A:色むら、濃度むら、光漏れが全く認められない。
B:色むら、濃度むら、光漏れがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むら、光漏れがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むら、光漏れがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むら、光漏れが顕著に認められる。
なお、上記の評価においては、各液晶表示装置について、同様の条件で製造し、同様の条件で表示を行い、同様の条件で観察、測定を行った。
[3.4]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜10枚目、および、4990〜4999枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、これらのカラーフィルターについて、それぞれ、無作為に100画素を抽出した。抽出された100画素について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色し、色度を求めた。各カラーフィルターについて、上記の100画素について求められた色度の平均値を、そのカラーフィルターの色度とした。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜10枚目、4990〜4999枚目に製造されたカラーフィルター(合計20枚のカラーフィルター)の間で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が0.5未満。
B:色差(ΔE)が0.5以上1.0未満。
C:色差(ΔE)が1.0以上1.5未満。
D:色差(ΔE)が1.5以上2.0未満。
E:色差(ΔE)が2.0以上。
[3.5]耐久性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1991〜2000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図9に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、25℃の環境下に1.5時間、次いで、65℃の環境下に2時間、次いで、25℃の環境下に1.5時間、次いで、−10℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を25℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計20回繰り返した(合計160時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図9に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜5枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:6〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
[3.6]密着性
各実施例および各比較例について、カラーフィルターの製造時において、最初に塗布するインクについて、基板とインクとの密着性の評価をクロスカット法により行った。
まずカラーフィルターの基板の各セルに最初に付与するインクと、カラーフィルターの製造に用いたものと同様の基板とを用意した。次に、インクを液滴吐出法により、基板上に塗布し、ホットプレート上にて100℃で60分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施して、基板上にインクの塗膜を形成した。この塗膜の膜厚は、250μmとなるようにした。
この、基板上に設けられた塗膜について、JIS K 5600−5−6:1999に準拠して、塗膜の付着性(密着性)の評価を行った。すなわち、塗膜に対し、所定の間隔で、塗膜を貫通するように格子状の切り込みを設けた。次に、テープを切りこみの上に貼り、所定の速度、角度ではがした。テープをはがした後の格子状パターンを描いた塗膜について、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:格子状パターンの切り込み部分の縁は滑らかで、どの格子にもはがれがない。
B:格子状パターンの切り込みの交差点部分に小さなはがれがかすかに認められる。
C:格子状パターンの切り込みの交差点部分に小さなはがれがはっきりと認められる。または、格子状パターンの切り込みの交差点部分以外にもはがれが認められる。
これらの結果を表4および表5に示す。
Figure 2009175490
Figure 2009175490
表4、表5から明らかなように、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターは、色再現範囲が広いものであり、画像表示装置に用いた際に形状、色調が鮮明な画像を適正に表示することができるものであった。また、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターは、色むら、濃度むら、光漏れの発生が抑制されており、個体間での特性のばらつきも小さかった。また、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターは、耐久性、着色部の基板に対する密着性が優れるものであった。
これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。比較例2では、製造されたカラーフィルターを用いて画像表示装置を組み立て、表示を行うと、形状、色調が不鮮明であった。カラーフィルターを透過する光が目的とする着色部以外の着色部を透過したためと考えられる。また、比較例3では、製造されたカラーフィルターも用いて画像表示装置を組み立てたところ、適正な表示ができなかった。スピンコート法によって設けられた薄い平坦化膜が十分に平坦でなく、共通電極の断線が起きたものと考えられる。また、比較例4では、各着色部が均一な厚さでないため、製造されたカラーフィルターも用いて画像表示装置を組み立てたところ、適正な表示ができなかった。また、比較例5では、インクの吐出が安定せず、カラーフィルターの各部位に色むら、濃度むらが顕著に発生した。この結果、このカラーフィルターを備えた画像表示装置は、鮮明な形状、色調の画像を表示することができなかった。
また、各実施例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造したカラーフィルターは、カラーフィルター全体で、着色部の厚さが均一であることを光学顕微鏡で確認した。また、各実施例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造したカラーフィルターの着色部の一部を切り取って断面を観察したところ、樹脂膜と着色膜とが存在することが確認できた。これに対し、各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造したカラーフィルターは、比較例1を除き、カラーフィルター全体で、着色部の厚さが均一でないことを光学顕微鏡で確認した。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 本発明のカラーフィルターの製造方法の第1実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 本発明のカラーフィルターの製造方法の第2実施形態を示す断面図である。 本発明のカラーフィルターの製造方法の第3実施形態を示す断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 従来の一般的なカラーフィルターの実施形態の一例を示す断面図である。
符号の説明
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 21…第1のインク 22…第2のインク 121…着色膜 122…樹脂膜 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 I100…液滴吐出装置 I101…タンク I102…吐出走査部 I103…液滴吐出手段 I104…第1位置制御装置 I105…キャリッジ I106…ステージ I108…第2位置制御装置 I110…チューブ I112…制御手段 I114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) I116A、I116B…ノズル列 I118…ノズル I120…キャビティ I122…隔壁 I124…振動子 I124A、I124B…電極 I124C…ピエゾ素子 I126…振動板 I127…吐出部 I128…ノズルプレート I129…液たまり I130…供給口 I131……孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

Claims (15)

  1. 基板上に設けられ、多数個のセル内に着色部を有するカラーフィルターを、インクジェット方式により製造するのに用いるカラーフィルター用インクセットであって、
    着色剤と、前記着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含み、着色膜の形成に用いられる第1のインクと、
    前記第1のインクと同一のセル内に吐出されることにより、樹脂膜を形成する第2のインクとを備え、
    前記第2のインクは、樹脂材料と、前記樹脂材料を分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含み、
    前記第1のインクおよび前記第2のインクのうち前記セルに最初に付与されるインクは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むことを特徴とするカラーフィルター用インクセット。
    Figure 2009175490
  2. 前記第2のインクは、前記樹脂材料として、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなる重合体Eを含むものである請求項1に記載のカラーフィルター用インクセット。
  3. 前記第1のインクは、樹脂材料を含み、
    前記樹脂材料として、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体e1を単量体成分として含有してなる重合体Eを含むものである請求項1または2に記載のカラーフィルター用インクセット。
  4. 前記重合体Eは、単量体成分として、前記エポキシ基含有ビニル単量体e1に加え、イソシアネート基またはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えたビニル単量体e2を含有してなる共重合体である請求項2または3に記載のカラーフィルター用インクセット。
  5. 前記第1のインクおよび前記第2のインクのうち前記セルに最後に付与されるインクは、下記式(2)で表されるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体f1を単量体成分として含有してなる重合体Fを含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
    Figure 2009175490
  6. 前記第1の液性媒体は、前記第2の液性媒体に含まれる液体を含まないものである請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  7. 複数種の前記第1のインクと、少なくとも1種以上の前記第2のインクとを備えるものである請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  8. 多数個のセルが設けられた基板上に、インクをインクジェット方式で吐出して、カラーフィルターを製造する方法であって、
    着色剤と、着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含む第1のインクを前記セル内に吐出する第1のインク付与工程と、
    前記第1のインクが吐出される前記セル内に、樹脂材料と、前記樹脂材料が分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含む第2のインクを吐出する第2のインク付与工程とを有し、
    前記第1のインクの構成成分で構成された着色膜と、前記第2のインクの構成成分で構成された樹脂膜とを形成するものであり、
    前記第1のインクは、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
    Figure 2009175490
  9. 前記セル内に吐出された第1のインクから前記第1の液性媒体の少なくとも一部を除去する第1の液性媒体除去工程と、
    前記セル内に吐出された前記第2のインクから前記第2の液性媒体の少なくとも一部を除去する第2の液性媒体除去工程とを有し、
    前記第2のインク付与工程は、前記第1の液性媒体除去工程の後に行われるものである請求項8に記載のカラーフィルターの製造方法。
  10. 多数個のセルが設けられた基板上に、インクをインクジェット方式で吐出して、カラーフィルターを製造する方法であって、
    樹脂材料と、前記樹脂材料が分散および/または溶解する第2の液性媒体とを含む第2のインクを前記セル内に吐出する第2のインク付与工程と、
    前記第2のインクが吐出される前記セル内に、着色剤と、着色剤が分散および/または溶解する第1の液性媒体とを含む第1のインクを吐出する第1のインク付与工程とを有し、
    前記第1のインクの構成成分で構成された着色膜と、前記第2のインクの構成成分で構成された樹脂膜とを形成するものであり、
    前記第2のインクは、樹脂材料として、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Sを含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
    Figure 2009175490
  11. 前記第1のインク付与工程は、複数種の前記第1のインクを用いるものであり、
    前記第2のインク付与工程は、前記第2のインクを、前記複数種の第1のインクが付与されるセルのうち、前記複数種の第1のインクのうちもっとも固形分の少ない前記第1のインクが付与されるべき前記セルに対し最も多く付与するものである請求項8ないし10のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
  12. 請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  13. 請求項8ないし11のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  14. 請求項12または13に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  15. 請求項14に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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