JP2009175059A - 環境負荷濃度変化判定装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオアッセイ技術を用いて、致死量以下の環境負荷濃度の変化を早期に検出することができる環境負荷濃度変化判定装置を提供する。
【解決手段】分析用信号取得部Aが、所定のエリアに存在する生体からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する。フラクタル次元推定部Bが、生体信号からなる環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定する。環境負荷濃度変化判定部Cは、フラクタル次元推定部Bから時系列で出力されるフラクタル次元が増加傾向にあるときに環境負荷濃度が増加方向に変化しており、フラクタル次元が減少傾向にあるときに環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、バイオアッセイ技術を用いて環境負荷濃度の変化を判定する環境負荷濃度変化判定装置及び方法に関するものである。
近年、環境汚染を回避・排除する様々な対策が必要とされており、その1つとして悪環境下における生体に作用する量を評価基準としたバイオアッセイ技術が水環境等において注目されている。この技術は環境ホルモンや複合汚染に代表される、未知な有害物質の環境負荷濃度の評価に優位性がある。しかし、非特許文献1に示される従来のバイオアッセイ技術では、生体の生存率やDNAの変化等を指標とし、長期的な観察実験を行う必要があった。現実の水環境等において、これらの変化が生体に発現する頃にはすでに有害物質(環境負荷濃度)は致死量を超過してしまう。このことから、より短期間で微量な毒性の評価を行える指標が求められている。
特開2000−231635号公報(特許文献1)には「多数の運動中の微生物の同定方法及びその利用技術」と題して水質・空気環境の生物的影響を計測する技術が開示されている。この技術ではCCDカメラから得た画像データから微小生物の体の向きや位置を同定して、その結果に基づいて水質や空気環境を計測している。
また特許第3657044号公報(特許文献2)及び特開2006−317229号公報(特許文献3)には、それぞれ水槽に配置した電極から得た水棲生物の活動電位に基づいて、水棲生物の移動を測定し、水棲生物の移動の移動態様から水槽中の水質の汚染を計測する技術が開示されている。
さらに特開2007−64783号公報(特許文献4)には、監視カメラによる水中魚類の行動の解析に基づいて水中への有毒物質の混入を検査する技術と、魚類の活動電位から水中への有毒物質の混入を検査する技術とを共用する水質監視装置が開示されている。
特開2000−231635号公報 特許第3657044号公報 特開2006−317229号公報 特開2007−64783号公報 「バイオアッセイ 水環境のリスク管理」鈴木基之及び内海秀雄(編)、講談社、1998年6月
従来提案されている各種のバイオアッセイ技術を用いた技術では、魚等の水棲生物の動作異常が顕著にならなければ、水質の汚染(環境負荷濃度)を検出することができず、水質の汚染の発生(環境負荷濃度の変化)を決定するまでの時間を短くすることに限界があった。そのため従来の技術では、致死量以下の環境負荷濃度の変化を検出することはできなかった。
本発明の目的は、バイオアッセイ技術を用いて、致死量以下の環境負荷濃度の変化を早期に検出することができる環境負荷濃度変化判定装置及び方法を提供することにある。
本発明の目的は、バイオアッセイ技術を用いて、水中における致死量以下の環境負荷濃度の変化を早期に検出することができる環境負荷濃度変化判定装置及び方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ノイズの影響を除去して判定精度を高めた環境負荷濃度変化判定装置及び方法を提供することにある。
本発明は、バイオアッセイ技術を用いて環境負荷濃度の変化を判定する環境負荷濃度変化判定装置を改良の対象とする。本発明の環境負荷濃度変化判定装置は、分析用信号取得部と、フラクタル次元推定部と、環境負荷濃度変化判定部とを備えている。分析用信号取得部は、水槽、鳥かご等の所定のエリアに存在する生体(魚、鳥等)からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する。生体信号とは、生物の生理活動に伴って発生する信号であり、例えば、分析用信号取得部は、生体の運動軌跡に関する情報を含む複数の映像信号をバイオアッセイ技術で用いられる生体信号の一つとして取得するものでもよい。また分析用信号取得部は、水槽中に配置した測定用電極から得た活動電位信号を生体信号として取得するものでもよい。生体信号は時系列で取得された時系列データである。
フラクタル次元推定部は、生体信号からなる環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定する。本願明細書において、フラクタル次元は、カオス強度またはカオス・フラクタル性を示す指標となるものであり、自己アフィンフラクタル次元を含む概念である。使用するフラクタル次元解析技術は、公知のフラクタル次元解析技術であればどのようなものでもよい。発明者の研究によると、現時点では、例えば、活動電位信号を環境負荷濃度分析用信号とする場合には、分散のスケーリング特性を求め、該分散のスケーリング特性からフラクタル次元を推定するのが好ましい。
環境負荷濃度変化判定部は、フラクタル次元推定部から時系列で出力されるフラクタル次元が増加傾向にあるときに環境負荷濃度が増加方向に変化しており、フラクタル次元が減少傾向にあるときに環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する。フラクタル次元の変化の傾向と環境負荷濃度の変化の傾向の関係は、発明者の研究によって見いだされたものである。この関係は、例えば、水中の環境負荷濃度が致死量に至る前から現れる。したがって本発明によれば、従来の技術では不可能であった、所定のエリア(例えば水槽)内の環境負荷濃度が致死量に至る前から、環境負荷濃度の増加を検出することが可能になる。
分析用信号取得部が、生体の運動軌跡に関する情報を含む複数の映像信号を生体信号として取得する場合には、フラクタル次元推定部は、複数の映像信号からそれぞれ時系列で複数のフラクタル次元を演算し、且つ複数のフラクタル次元の平均値を時系列で出力するようにすることができる。また分析用信号取得部は、生体の運動軌跡に関する情報を含む複数の映像信号から3次元の運動軌跡を示す3次元軌跡データ信号を得てこれを生体信号として取得してもよい。この場合には、フラクタル次元推定部は、3次元軌跡データ信号から時系列で複数のフラクタル次元を推定して時系列で出力するように構成すればよい。このような3次元軌跡データ信号を用いると、生体の運動軌跡の情報をより適切に含む信号に基づいてフラクタル次元を推定するため判定精度が高くなる。
また分析用信号取得部が水槽中に配置した複数の測定用電極から複数の活動電位信号を生体信号として取得する場合にも、フラクタル次元推定部は、複数の活動電位信号からそれぞれ時系列で複数のフラクタル次元を演算し、且つ複数のフラクタル次元の平均値を時系列で出力するのが好ましい。このように複数のフラクタル次元の平均値を利用すると、複雑な運動軌跡であっても、また魚の移動範囲が偏っている場合であっても、フラクタル次元の全体的な変化の傾向を抽出することが容易になる。したがって判定精度を高めることができる。
なお複数の測定用電極を水槽に対して配置する場合には、水槽中の水を囲むように複数の測定用電極を配置するのが好ましい。このように複数の測定用電極を配置すると、水槽中における生体(魚等)の動きが少ない場合でも、また生体の移動範囲が偏っている場合でも、判定に必要な環境濃度分析用信号を確実に得ることができる。
また分析用信号取得部は、生体を水槽中に投入する前に測定した事前測定信号と環境負荷濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして除去するノイズ除去部を備えているのが好ましい。このようにしてノイズの除去を行えば、フラクタル次元の推定精度を高めることができて、結果として環境負荷濃度の変化の判定精度を高めることができる。
環境負荷濃度変化判定部では、フラクタル次元推定部から時系列で出力されるフラクタル次元の相関係数または変化傾向の傾き係数から変化を判定することができる。このような係数から変化を判定すると、判定の自動化を容易に達成することができる。
環境負荷濃度変化判定部の判定結果の利用形態は任意である。例えば、相関係数または傾き係数が、予め定めた値より大きくなったときにアラーム信号を発生するアラーム発生部をさらに備えていてもよい。アラーム信号で警報を発生してもよいし、環境負荷濃度対策用の装置を起動するようにしてもよい。
本発明は、バイオアッセイ技術を用いて環境負荷濃度の変化を判定する環境負荷濃度判定方法としても特定することができる。本発明の方法では、まず所定のエリアに存在する生体からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する(分析用信号取得ステップ)。次に、環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定する(フラクタル次元推定ステップ)。そしてフラクタル次元推定ステップにおいて時系列で出力されるフラクタル次元が増加傾向にあるときに環境負荷濃度が増加方向に変化しており、前記フラクタル次元が減少傾向にあるときに前記環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する(環境負荷濃度変化判定ステップ)。
なお分析用信号取得ステップは、生体がエリアに存在していない状態で測定した事前測定信号と環境濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして環境濃度分析用信号から除去するノイズ除去ステップを含んでいるのが好ましい。
またフラクタル次元推定ステップ、環境負荷濃度変化判定ステップ及びノイズ除去ステップは、コンピュータを用いて実施することができる。
本発明によれば、僅かな影響で変化する生体信号のカオス・フラクタル性を評価の指標とするため、従来の手法では困難だった致死量以下の毒性評価が可能となる。特に生体信号として活動電位信号を用いると、生体信号の抽出手法が視覚情報に依存しないため、魚等の生体の泳動軌跡(運動軌跡)を追跡することが困難である汚水や濁水の水質評価も行うことができる。
本発明によれば、従来の技術では不可能であった、所定のエリア(例えば水槽)内の環境負荷濃度が致死量に至る前から、環境負荷濃度の増加を検出することができる利点が得られる。
以下図面を参照して本発明の環境負荷濃度変化判定装置及び方法の実施の形態を詳細に説明する。図1は、バイオアッセイ技術により生体信号を得る場合の一例を示す図である。図1の例では、水槽1の内部に魚(水棲生体)2を入れて、水槽1をX方向とY方向とからCCDビデオカメラ3及び4で撮影することにより2種類の映像信号を生体信号として取得する。図1の例では、光源5の下に水槽をおいて、できるだけ明確に映像信号を取得するようにしている。
図2は、本発明の環境負荷濃度変化判定装置の実施の形態の一例の構成を示すブロック図である。この環境負荷濃度変化判定装置は、ノイズ除去部A1を含む分析用信号取得部Aと、フラクタル次元推定部Bと、環境負荷濃度変化判定部Cと、アラーム発生部Dとを備えている。分析用信号取得部Aは、図1に示すような水槽1、鳥かご等の所定のエリアに存在する生体(魚2、鳥等)からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する。環境負荷濃度分析用信号の具体的な取得技術に関しては、後述する。生体信号とは、生物の生理活動に伴って発生する信号である。図1の例では、分析用信号取得部Aは、魚2の運動軌跡に関する情報を含む2つの映像信号をCCDビデオカメラ3及び4から取得する。これらの映像信号は、バイオアッセイ技術で用いられる生体信号の一つである。なお後に詳しく説明するが、分析用信号取得部Aは、水槽中に配置した測定用電極から得た活動電位信号を生体信号として取得するように構成することもできる。生体信号は時系列で取得された時系列データである。
本実施の形態では、分析用信号取得部Aがノイズ除去部A1を含んでいる。ノイズ除去部A1は、魚2を水槽1中に投入する前にCCDビデオカメラ(3及び4)で測定した事前測定信号と、魚2を水槽1中に投入した後にCCDビデオカメラ(3及び4)で測定した環境負荷濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして除去する機能を有している。図3は、事前測定信号S1と環境負荷濃度分析用信号S2の一例を示している。ノイズ除去部A1は、図3に示す「魚投入前と投入後に共通して現れる周波数成分」を除去する。図3の例では、1/f特性を持たなくなる9Hz以上の周波数成分を外界からのノイズと判断して除去する。このようにしてノイズの除去を行えば、フラクタル次元の推定精度を高めることができて、結果として環境負荷濃度の変化の判定精度を高めることができる。
フラクタル次元推定部Bは、生体信号からなる環境負荷濃度分析用信号から、フラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定する。使用できるフラクタル次元解析技術は、公知のフラクタル次元解析技術であればどのようなものでもよい。例えば、図1の例のように映像信号を生体信号として取得する場合には、後に詳しく説明するように臨界指数法(CEM)や、三次元空間における容量次元解析法を用いることができる。臨界指数法(CEM)については、発明者が発表した“A critical exponent method to evaluate fractal dimensions of self−affine data”[JPSJ 62、pp.4233−4239、1993]に詳しく説明されている。また後述するように、活動電位信号を環境負荷濃度分析用信号とする場合には、分散のスケーリング特性を求め、該分散のスケーリング特性からフラクタル次元を推定するのが好ましい。
図1の例では、分析用信号取得部Aが、魚2(生体)の泳動軌跡(運動軌跡)に関する情報を含む複数(具体的には2つ)の映像信号を生体信号として取得している。そこでフラクタル次元推定部Bは、例えば、複数の映像信号からそれぞれ時系列で複数のフラクタル次元を演算し、且つ複数のフラクタル次元の平均値を時系列で出力するように構成することができる。また分析用信号取得部Bは、生体の運動軌跡に関する情報を含む複数の映像信号から3次元の運動軌跡を示す3次元軌跡データ信号を得てこれを生体信号として取得するように構成することができる。この場合には、フラクタル次元推定部Bは、3次元軌跡データ信号から時系列で複数のフラクタル次元を推定して時系列で出力するように構成すればよい。さらに分析用信号取得部Aが、後に説明する水槽中に配置した複数の測定用電極から複数の活動電位信号を生体信号として取得する場合にも、フラクタル次元推定部Bは、複数の活動電位信号からそれぞれ時系列で複数のフラクタル次元を演算し、且つ複数のフラクタル次元の平均値を時系列で出力する。このように複数のフラクタル次元の平均値を利用すると、複雑な運動軌跡であっても、また魚の移動範囲が偏っている場合であっても、フラクタル次元の全体的な変化の傾向を抽出することが容易になる。
環境負荷濃度変化判定部Cは、フラクタル次元推定部Bから時系列で出力されるフラクタル次元が増加傾向にあるときに環境負荷濃度が増加方向に変化しており、フラクタル次元が減少傾向にあるときに環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する。フラクタル次元の変化の傾向と環境負荷濃度の変化の傾向の関係は、発明者の研究によって見いだされたものである。この関係は、例えば、水中の環境負荷濃度が致死量に至る前から現れる。したがって本実施の形態の装置によれば、従来の技術では不可能であった、所定のエリア(例えば水槽1)内の環境負荷濃度が致死量に至る前から、環境負荷濃度の増加を検出することができる。
環境負荷濃度変化判定部Cでは、フラクタル次元推定部Bから時系列で出力されるフラクタル次元の相関係数または変化傾向の傾き係数から変化を判定することができる。このような係数から変化を判定すると、判定の自動化を容易に達成することができる。環境負荷濃度変化判定部Cの判定結果の利用形態は任意であるが、本実施の形態では、相関係数または傾き係数が、予め定めた値より大きくなったときにアラーム信号を発生するアラーム発生部Dをさらに備えている。アラーム発生部Dから出力したアラーム信号は、警報を発生する用途で使用してもよいし、アラーム信号で環境負荷濃度対策用の対策装置を起動することもできる。
なお図2の実施の形態では、ノイズ除去部A1及び分析用信号取得部Aの演算部分、フラクタル次元推定部B、環境負荷濃度変化判定部C及びアラーム発生部Dを、マイクロコンピュータを用いて実現することができる。
図2の実施の形態では、本発明の方法が実施されている。本発明の方法では、まず所定のエリアに存在する生体からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する(分析用信号取得ステップ)。次に、環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定する(フラクタル次元推定ステップ)。そしてフラクタル次元推定ステップにおいて時系列で出力されるフラクタル次元が増加傾向にあるときに環境負荷濃度が増加方向に変化しており、前記フラクタル次元が減少傾向にあるときに前記環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する(環境負荷濃度変化判定ステップ)。図2の実施の形態の方法では、分析用信号取得ステップで、生体がエリアに存在していない状態で測定した事前測定信号と環境濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして環境濃度分析用信号から除去するノイズ除去ステップを含んでいる。
以下図1に示した魚の運動軌跡の映像信号から環境負荷濃度分析用信号(生体信号)を得る具体的な方法について説明する。すなわち図2の分析用信号取得部Aの具体例を説明する。まず魚2の運動の様子はCCDビデオカメラ(デジタルビデオカメラ)3及び4によって動画像で記録される。まず記録された動画像データ(映像信号)から運動軌跡を時系列信号として抽出する方法について説明する。
図4に示すように、魚2の運動軌跡を記録した動画像において時間軸に対する分割を行い、連続の静止画像群IGにする。これにより、1秒間30フレームの静止画像が得られる。この静止画像について、特徴抽出の手法を用いることで、画像内における魚の位置座標を算出する。さらに、時間軸に対して連続に位置座標を算出することで運動軌跡を生成する。特徴抽出の手法としては、背景差分法を用いる。この手法は、背景画像と時間軸に対して連続な移動体(魚)を記録した画像群との差分を算出することで移動体の位置情報を抽出する手法である。いま、対象画像の画素がN×Mサイズであり、背景画像の各画素をg(x,y)、tフレーム番目の移動体記録画像の各画素をft(x,y)とすれば、差分画像の各画素ht(x,y)は、下記(1)式のようになる。
上記式において、x,yはそれぞれ水平、垂直方向の画素値を表す。このようにして得られる差分画像は、必ずしも移動体のみを抽出しているわけではなく、多少のノイズを含んでいる。そこで、図5のようなフィルタによるエッジ検出を行う。この処理によって得られるエッジ検出画像からは、画像内の領域境界と共に移動体も抽出される。従って、背景差分法とエッジ検出の2手法を組み合わせることで、ノイズの影響の低減を図ることができる。2手法から共に抽出される領域を移動体領域とし、領域内の画素に対して重心を求めることで魚の抽出位置座標を決定した。以上の処理を動画像の全フレームに対して行う。また、差分画像及びエッジ検出画像において、移動体領域を抽出するために輝度値に適当な閾値を設定した。
現実では、魚は水中を3次元で運動する。従って、動画像から抽出した運動軌跡も3次元空間で再構成する必要がある。抽出した運動軌跡の3次元再構成手順を図6に示す。この手順では、2方向から撮影した動画像(2つの映像信号)それぞれに背景差分及びエッジ検出を行い、2方向からの魚の運動軌道(移動体動画像A及びB)を得る。この2つの運動軌跡を3次元空間上で対応付けし、3次元補正式で3次元補正を行う。これにより、3次元軌跡データを得る。3次元移動体抽出結果から、魚の運動軌跡について各x,y,z軸別に時系列信号を作成し、一部抜粋したものを図7に示す。縦軸は魚2の位置(position)を示しており、画像の左下端を(0、0)とし、右方向及び上方向を正として表示している。また、魚の運動の様子を3次元軌跡として再構成したものを一部抜粋し、図8に示す。
上記のようにして得た3次元軌跡データを環境負荷濃度解析用信号として、カオス・フラクタル解析を行った。この解析は、図2のフラクタル次元推定部Bで実行される。カオスは、軌道不安定性、長期予測不能性、自己相似性という特徴を持ち、軌道不安定性についてはリアプノフ解析によって評価することができる。また、長期予測不能性についてはニューラルネットワークによる非線形予測を行うことで検証できる。信号の複雑性は各種のフラクタル次元という尺度で定量化できる。
位相空間における接ベクトルに対し、そのベクトル成分の伸縮度(系の非線形性)を表すリアプノフスペクトルにより魚の運動軌跡のカオス性を定量的に評価した。一般のn次元非線形離散力学系は下記(2)式のように表される。
上記2つの式においては、左辺は離散時間tにおける状態を示しており、Fはn次元写像である。今、半径δの微小超球を与えたとする。この超球は時間の経過に伴い、伸縮する。軌道に沿ったn方向の基底ベクトルを各々e1(t),e2(t)・・・,en(t)とすると、各々の方向に対して指数関数的拡大率λが定義でき、以下の関係が成り立つ。
ここで、上記式の左辺は、ユークリッドノルムである。このときの各方向のλiをリアプノフ指数と呼ぶ。ベクトルのxt(t)における微小変位をベクトルのδxtとすると、次式に示されるような写像を得る。
上記式で右辺のDF( )で表される部分は点xiにおけるFのヤコビ行列であり、時間依存の非線形写像である。初期値としてベクトルのδxoを与え、これをDFによってN回写像すると、下記の式のようになる。
上記式において、行列DFNの固有値σi (N)を用いて、リアプノフ指数λiが次式で定義される。
実際の計算では、測定された時系列信号f(t)から数値的にリアプノフスペクトルを求める手法としてSanoらによって提案されたヤコビ行列の推定手法を用いる[M.Sano and Y.Sawada、“Measurement of the Lyapunov spectrum from a Chaotic Time Series”、Physical Review Letter、Vol.42、No.10、pp.1082−1085、 1985]。
また、解析を行う時系列信号は生体信号であるため、力学系自体が未知または複雑であり、評価が困難である。そのため、本来の力学系のアトラクタ軌道と等価な軌道をdc次元の超空間に再構成し、解析を行う。超空間への再構成には次のような時間遅れ座標系への変換を行う。
上記式においては、fは時系列信号を、τは遅れ時間をそれぞれ表す。また、遅れ時間τの決定には相互情報量I(x;y)(τ)を用いる。τを1から増加させながら下記式のようにI(x;y)(τ)を計算し、最初に極小値をとるτを最適な遅延とする。
上記式において、P(x,y)は結合確率、P(x),P(y)は周辺確率分布である。また、最適な埋め込み次元nの決定には、偽りの最近傍法(False Nearest Neighbor:FNN)を用いた[M.B.Kennel、R.Brown and H.D.I.Abarbanel、“Determining embeddung dimension for phase−space reconstruction using a geometrical construction”、Physical Review.A、Vol.45、No.6、pp3403−3411、1992]。
次にニューラルネットワークにより非線形予測を確認した。この確認には、次の文献に記載の技術を用いた。
「J. B. Elsner and A. A. Tsonic : Nonliner Prediction、Chaos、and Noise、Bulletin American Meteorological Society、Vol.73、 No.1、 pp.49−60、 January、1992」
カオスは軌道不安定性に起因する長期予測不能性という側面を有するが、決定論的ダイナミクスを持っているので短期的には予測可能である。一方、対象が白色ノイズならば、決定論的ダイナミクスは存在しないので、予測の長期・短期に関係なく予測精度は零となる。周期データは、予測の長期・短期に関係なくほぼ完全に予測可能である。
Jordan型のリカレントニューラルネットワーク(RNN)のモデル図を図9に示す。RNNには、ネットワークの出力から入力へのフィードバックが存在し、学習時には入力層に予測するための元となる過去のデータとそれから予測される未来のデータ、すなわち、教師信号となる部分を入力する。図9に示すように、1[Epoch]前に予測されたデータが入力層へフィードバックされる。そして入力値から減算されることによって、学習が完了したときには、入力層のフィードバックを持つ部分の入力が0となり、過去のデータから未知である未来のデータを予測することが可能になる。尚、入力とフィードバックの差に1/2を乗じているのは、入力層への入力を−1〜+1へと規格化するためである。入力層、中間層、出力層の3層構造ネットワークを使用し、入力パターンpに対する第L層i番目の内部状態のダイナミクスは以下に定式化される。
上記式で、第L層におけるニューロン数をN(L)とし、離散時間tとする。wij (L、L-1)はL−1層j番目ニューロンからL層i番目ニューロンへの結合加重、qi (L)はL層i番目ニューロンの閾値である。活性化関数には、次式の非単調型関数である正弦波関数を用いる。
層番号Lは、入力をL=1、出力をL=L0とする。出力層のi番目ニューロン、p番目入力パターンに対する出力[上記式(11)の左辺]及び教師信号tpiを用い、以下の平均2乗誤差Elearn(t)を評価関数として定義する。
上記式で、Paはパターンの総数、N(・)は括弧内の層のニューロン数を表す。式(11)を最小化するために、ニューラルネットの結合荷重及び閾値を更新する。まず、p番目の入力に対する出力層のi番目ニューロンの誤差信号は以下のように求める。
また、出力層以外の第L層ニューロンにおける誤差信号は、以下のように定式化される。
この誤差信号と結合荷重及び閾値に対する学習係数vw、vθ、慣性モーメントμw、μθ、入力パターンの総数Paを用いて、結合荷重と閾値の更新量は次のように与えられる。
これらの更新式はネットワークの出力と教師信号との自乗誤差を偏微分することで求められる。また、学習終了後の予測段階における評価関数として、以下のような2乗誤差Epredict(t)を定義する。
ここで、Prは予測パターンの総数、tptはパターンpの真値、Pp(t)はパターンpのt番目の予測値を表している。
[フラクタル次元解析法]
次に本実施の形態で、フラクタル次元解析法として使用した臨界指数法について説明する。時系列データをf(t)、周波数をuとすると、f(t)のパワースペクトルS(u)は、その自己アフィン性から、下記の式で与えられる。
上記式でβは下記式で与えられる。
上記式でHはHurst指数であり、台となる空間の次元をdとしたとき、次元DMを次式で関係付けることができる。
ここで、パワースペクトルのべき特性を定量化するため、周波数領域でモーメント指数αを導入する。モーメントIαは次のように表される。
さらに上記(18)式から、上記(21)式は、以下のようになる。
ここでX=α−β+1であり、Uは積分領域の下限を1と規格化された周波数変数である。このモーメント指数の対数をとると、下記のようになる。
このとき、積分の上限Uが十分大きいとすると、(23)式の右辺第2項が支配的となり、Iαはα−β+1=0を境に急激に増加する。モーメント指数による次元の推定は、この現象を利用してβを推定し、次元値を求める。従って、このときのモーメント指数αの値をαcとすると、フラクタル次元は、下記の式で求められる。
ここで、本実施の形態では、使用している解析データは全て1次元の時系列信号なので、台となる空間の次元d=1と設定した。また、(23)式の3回微分、
の値が零になる臨界モーメント指数αcを求めることで、フラクタル次元DMの推定精度を向上する。なおこのことについては、「M.Nakagawa、T.Yamaguchi、S.Sabanal and M.Nagano、 Proc. The 1993 Int.Workshop on Speech Processing、1993、p.71」に記載されている。
フラクタル次元推定部Cで使用可能なフラクタル次元解析手法の別の手法として次元空間における容量次元解析法がある。この解析法では、Sをユークリッド空間の集合とする。L>0に対して、S1、S2・・・、SNをSの分割とし、li=d(Si)<lとする。ここで、d(Si)はSiを包む球の直径である。等しいサイズのli=lで、Sを無駄なく分割した時の分割個数をN(l)とすれば、小さなlに対して、下記の式が成り立つ。
そして容量次元Dcは、下記の式で定義される。
上記で定義された容量次元もフラクタル次元の一種である。
[実験結果]
次に上記実施の形態に基づいて、具体的な実験を行ったので、その方法及び結果について説明する。
実験では図1に示す構成と同じ構成を採用した。観測用実験水槽1は1200×600×600mm3であった。またCCDビデオカメラ3及び4は、ソニー株式会社製のDCR−300K(解像度720×480画素)を2台用いた。カメラ3及び4は、固定位置に設置し、定点カメラとして扱う。水槽1の大きさは魚2の運動を極力制限しないよう大きめのものを選択した。水槽1への照明は、上方及び2台のカメラ方向からの計3方向から照射した。
水槽1内に1尾の魚2を放った後、水槽が変ったことによる魚の運動軌跡への影響を除き、水質の依存性のみを分析するため、約1時間放置する。放置の後、撮影を開始する。撮影は、1秒間に30フレームで約80分継続する。従って、約140000フレーム分の画像が得られることになり、解析はこの画像群から作成された140000点の運動軌跡時系列で行う。
測定対象には、金魚(コイ科:体長約3cm、5cm、9cm)を用いた。また、別種による特性結果の違いを調査するため、環境変化やストレスに敏感であると言われるブラックモーリー(メダカ科:体長約3cm)を用いた。測定条件として、撮影中の環境を一律にするため、撮影時は水槽内の水温を25℃、溶存酸素濃度を5.5mg/リットル付近一定に保つよう制御した。
測定対象に与える環境負荷には、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムを用いた。水中に溶存する次亜塩素酸ナトリウムの濃度を測定毎に増加させ、環境負荷濃度に対する解析結果の差異を調査した。結果で示す負荷濃度は、水槽内の総水量に対する次亜塩素酸ナトリウムの量を体積比で示しており、pH値で表現すれば約8.2〜8.8までの水質変化となる。また、前回の測定における負荷の影響が混在しないよう、各測定の間隔は2〜3日とした。
まず、コイ科体長3cmの解析結果を図10〜図16に示し、魚の運動軌跡におけるカオス・フラクタル性の検証を行う。図10〜図15で示す結果は、無負荷時(環境負荷濃度を増加していない)解析結果である。
まずリアプノフ解析結果について説明する。図10に最近傍法(FNN法)において埋め込み次元に対し、偽りの最近傍とみなされるデータ点の割合を示す。最近傍法では、元々は最近傍点とみなされていた点同士が、埋め込み次元数の増加により、距離的に引き離された場合、その最近傍点は偽りの最近傍であったと判定する。図10より、埋め込み次元(Implanted Dimension)が低いうちは偽りの最近傍とみなされる割合(Percentage)は大きい。しかし埋め込み次元の増加に伴い、割合は減少する。埋め込み5次元で偽りの最近傍が0.05%未満となることから、各軸とも5次元が最適な埋め込み次元であると決定した。次に、5次元で埋め込んだ再構成ベクトルからリアプノフ解析を行う。各軸別の解析結果を図11〜図13に示す。各軸のデータステップ数(Data Step)に対する最大リアプノフ指数(Maximum Lyapunov Exponent)は、各図より正の値に収束する結果を得た。また、これらの指数値から魚の運動軌跡は非常に微弱なカオス強度を有することが分かる。以上より、魚の運動軌跡はカオスの特徴の1つである軌道不安定性を有している。
次に、リカレントニューラルネットワーク(RNN)による非線形予測を行って、カオスの特徴の1つである長期予測不能性を検証した。図14にRNNによる魚の運動軌跡とランダム時系列の学習誤差特性を示す。図14より、学習回数(Epoch)を重ねる毎に魚の運動軌跡は学習誤差(Mean Squared Error)が減少し学習が成功している。そしてランダム時系列については、学習誤差が低下せず学習が成功しない様子が見られる。また図14には、運動軌跡の学習特性に周期的な誤差増大が見られる。しかし、これは学習誤差が極小値をとなったときに学習を続けるため、一時的に誤差を増大させているからである。学習終了後、予測を行った。図15にRNNによる魚の運動軌跡の予測誤差特性を示す。図15では、出力ニューロン番号(Output nuenon number)が高次になるにつれ、長期予測を行っていることを表している。しかし魚の運動軌跡は予測が長期になるにつれ予測誤差(Means Squared Prediction Error)が増加する様子が見られる。以上より、魚の運動軌跡はカオスの特徴である長期予測不能性を持ち、ノイズとの決定的な違いを有することが確認された。
最後に、フラクタル次元によって運動軌跡の複雑性を定量化した。臨界指数法(CEM)による時間(Time)に対するフラクタル次元(Fractal Dimensions)の解析結果を図16に示す。この次元解析手法では、時間に依存したフラクタル次元値の変化をみることができる。信号の複雑性は、各x,y,z軸で異なるので推定されるフラクタル次元値もそれぞれである。図17には、算出されたフラクタル次元値の変動幅を各軸ごとに表にして示す。ここで、図17において、「Ave.」は時間軸に対して各軸の次元値を平均し、さらに各x,y,z軸のフラクタル次元値を平均したものである。次元推定値は、x軸は1.640、y軸は1.657、z軸は1.742となり、Ave.は1.680である。ここで、推定された次元値が非整数となることから、魚の運動軌跡は自己相似性を持つフラクタル信号であると考えられる。また、各座標軸間における次元推定値にばらつきが見られる。原因として、実験水槽が正方ではないことや浮力や水圧による影響が考えられ、各座標軸方向に対して条件が均一ではないことが挙げられる。
次に環境負荷濃度依存特性について確認した。環境負荷(次亜塩素酸ナトリウム)を加えた場合についても、同様に測定・解析を行った。環境負荷の濃度を0.001%ずつ濃くし、環境負荷強度に対するカオス・フラクタル性の変化を求めた。まず、最大リアプノフ指数の環境負荷濃度への依存性を図18に示す。最大リアプノフ指数は常に正の値をとり、環境負荷濃度が強くなるのに比例して、上昇していく傾向が見られる(破線はAve.の近似曲線である)。この結果より、環境負荷の上昇によって元々微弱であったカオス強度が上昇すると考えられる。また、臨界指数法(CEM)によるフラクタル次元推定値の環境負荷濃度依存特性を図19に示す。図19より、環境負荷強度が強くなるにつれて、フラクタル次元推定値が上昇していく傾向がみられる。
以上の結果は、各x,y,z軸が独立であるという仮定のもとで解析したが、各軸を個別に扱わず、3次元運動軌道のフラクタル性を解析する容量次元解析法を用いる。4尾の測定対象における容量次元解析結果による環境負荷濃度特性を図20に示す。4尾の測定対象は、3匹が寸法の異なる金魚科(Carassius auratus)であり、1匹がメダカ科(Poecollia sphenops)であった。この特性結果でも同様に、環境負荷濃度の上昇に伴って、全ての魚のフラクタル次元が上昇する傾向が得られた。以上の結果から、生体の有するカオス強度・フラクタル次元は、環境負荷の影響によって上昇することが確認された。ここで、環境負荷濃度を変数Wtとし、近似曲線で示した負荷依存傾向の傾きaと切片bに注目すれば、図21のような特性が得られる。図21より、種の違いが切片bに関係し、傾きaの違いが個体のサイズに影響することが示唆される。傾きaについては、個体のサイズを変数xとすることにより、その減少傾向を下記のように近似することができる。
以上の結果から、環境負荷依存傾向に個体の特徴に差異を見出すことができ、バイオアッセイ技術へ応用できることが確認された。
上記実験では、水槽における1尾の魚の運動撮影動画像から魚の運動軌跡を3次元時系列信号として抽出する環境を構築し、得られた魚の運動軌跡を示す信号に対して、カオス・フラクタル解析を行った。その結果、魚の運動軌跡はカオス性を有しているという結論を得た。また、そのカオス強度・フラクタル次元は、水中に曝露される環境負荷濃度に比例して上昇することが分かった。さらに、その運動軌跡の複雑性を定量評価するため、臨界指数法、3次元軌道の容量次元解析などのフラクタル次元解析法を用いることが有効であることが確認された。結果として、魚の運動軌跡の複雑性は非整数の次元値として評価され、自己相似性を持つフラクタル信号であることが確認できた。さらに、環境負荷による魚の運動軌跡への影響を環境負荷濃度依存性としてフラクタル次元に見出すことができた。以上より、生体は良環境下(安静)には弱いカオス性を保っているが、悪環境下(ストレス)に曝されると、弱カオスの状態を維持できなくなり、カオス・フラクタル性が上昇することが分かった。また、致死量以下の環境負荷による影響を定量化することができ、水環境下におけるバイオアッセイ技術としてカオス・フラクタル理論を用いることの有用性を見出すことができた。致死量以下の環境負荷による生体作用量を定量化できたことから、本実施の形態によれば、バイオアッセイ技術において、生体を殺す必要もなくなり、環境の微妙な変化にも対応できるバイオアッセイ技術として利用が可能である。
[活動電位信号を生体信号とする例]
以下活動電位信号を生体信号とする、本発明の第2の実施の形態について説明する。図22に示した構成では、水槽1内に6枚のアルミ板の測定用電極E1乃至E6とアース電極Eeと基準電極Erを、水槽1内の水を囲むように配置している。水槽1の寸法は、300×250×100mm3であった。そして電極は、株式会社日本光電社製のMEG6116M(製品番号)から構成された生体アンプ10に接続されている。この生体アンプ10は、図2に示した分析用信号取出部Aを構成することになる。この例では6Chの電極E1乃至E6で水中を遊泳する魚の活動電位を測定する。また水槽1内の水温及び溶存酸素濃度は、測定対象へ環境負荷以外の影響を可能な限り与えないために、適切な数値となるよう調整した。また、照明は室内灯11のみである。
本実施の形態では、図1の実施の形態のように視覚情報に依らない泳動中の魚の活動電位を生体情報(生体信号)として抽出し、そのカオス・フラクタル性(フラクタル次元)の変化を指標として水質評価を行う。図2のフラクタル次元推定部Bで使用するフラクタル解析手法としては、分散のスケーリング特性によるフラクタル次元推定法を用いる。分散のスケーリング特性によるフラクタル次元推定法については、伊藤直子,小森幸樹及び中川匡弘著の「マルチフラクタル解析による脳波の時空間特性に関する研究」と題する論文(信学技報,MBE95−70,pp47−54,1995)に詳しく説明されているが、簡単に説明する。
魚の活動電位のフラクタル次元を推定する手法として分散のスケーリング特性に基づいたフラクタル次元推定法では、自己アフィンフラクタル次元がDである時系列データと時刻τだけ離れたデータf(t+τ)のα次のモーメントσα(τ)は下記の式のように表される。
もし解析データが一様なフラクタル性を有するならば、Hurst指数Hはモーメントの次数αに依存しない。τを変化させていき、σα(τ)と両対数グラフを取ると対象とする時系列データのスケーリング特性が求められる。
このときHurst指数Hは、
の式により、スケーリング特性の傾きとして求められる。ここでα=2の場合、時系列データの分散のスケーリング特性が求められる。この分散のスケーリング特性から自己アフィンフラクタル次元を推定する。自己アフィンフラクタル次元の推定値は、上記式(30)より求められるHurst指数Hを用いて、下記の式(31)から求められる。
なお式(30)はlogτ→0の極限における傾きが望ましいが、本実施の形態での解析はτ=40〜70の複数点に対して最小二乗法を用いて傾きHを算出する。図23は、αを変更した場合の時系列データのスケーリング特性の一例を示している。
図24のように測定された活動電位の原信号(環境濃度分析用信号)から、2分のウィンドウサイズでデータを切り出して、このデータに対してフラクタル次元を求める。そしてウィンドウを30秒ずつスライドさせて次の時刻でのフラクタル次元を求める。この手順を繰り返すことにより、原信号に対するフラクタル次元値の時間経過による変化が図25のように得られる。
本実施の形態で用いる図2の環境負荷濃度変化判定部Cでは、検出した活動電位信号に対して、時間依存型フラクタル解析を行う。実験では、測定対象には金魚(体長約12cm:コイ科)を用いた。測定対象に与える環境負荷として、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムを用いた。水中に溶存する次亜塩素酸ナトリウムの濃度を測定毎に増加させ、環境負荷濃度に対する活動電位の特性を調査した。結果で示す負荷濃度は、水槽内の総水量に対する次亜塩素酸ナトリウムの量の体積割合で表示する。無負荷時と環境負荷が加えられているときのフラクタル解析結果を図26に示す。図中の線L2及びL1はそれぞれ無負荷時(環境負荷濃度を変えていない場合)と加負荷時(環境負荷濃度を増加させている場合)のフラクタル次元値(Fractal Dimensions)の時間に対する近似曲線である。この近時曲線から、わずかではあるが魚の活動電位におけるフラクタル次元値が時間の経過に伴い上昇する傾向が見られる。また、この傾向は無負荷時に比べ加負荷時(環境負荷濃度を増加させている場合)に強く現れている。この結果から、魚の活動電位のカオス・フラクタル性は時間経過に伴い環境負荷の影響が強くなる特性があることが分かる。なお環境負荷濃度依存特性の判定では、環境負荷の影響がより強く現れているであろう測定信号の後半30分を用いる。
確認のために、環境負荷の濃度を0.001%ずつ濃くし、環境負荷濃度に対するカオス・フラクタル性の変化を求めた。図22に示した6つの測定チャンネル毎に推定されたフラクタル次元値(Fractal Dimensions)を環境負荷濃度(Concentration)に対してプロットしたグラフを図27に示す。図27より、全てのチャンネルにおいて環境負荷濃度の増加に対してフラクタル次元値が上昇する傾向が見られる。なお測定実験中に魚が水槽内を移動するため、チャンネルによって推定されるフラクタル次元値にばらつきが現れている。よって本実施の形態では、環境負荷濃度変化判定部Cは、各チャンネルのフラクタル次元値から平均値を算出し、そこから環境負荷濃度依存特性を推定する。図28に活動電位における環境負荷濃度依存特性を示す。図中の線L3は各チャンネルのフラクタル次元値の平均値の近似曲線である。この近似曲線の傾きから、活動電位における環境負荷濃度依存特性は0.044[1/10-3%]と推定され、相関係数は0.948と推定される。そこで図2の環境負荷濃度変化判定部Cは、フラクタル次元推定部Bから時系列で出力されるフラクタル次元の相関係数または変化傾向の傾き係数から変化を判定する。このような係数から変化を判定すると、判定の自動化を容易に達成することができる。
なお図1に示したカオス・フラクタルバイオアッセイ技術における泳動軌跡(運動軌跡)、泳動速度、泳動方向の環境負荷濃度依存特性と活動電位における環境負荷濃度依存特性の比較を行った。なお比較実験での魚の泳動軌跡抽出手法では、魚の泳動軌跡は、室内水槽実験における魚の泳動の様子を2方向からデジタルビデオカメラによって動画像で記録した。記録された動画像データから水槽の水の屈折率の影響も補正した後、前述のように3次元の泳動軌跡を時系列信号として抽出した。そして記録された動画像データにおいて時間軸に対する分割を行い、連続した静止画像群にした。これにより、1秒間に30フレームの静止画像が得られる。この静止画像に対しテンプレートマッチング法を用いて、画像内の魚の位置座標を算出した。さらに、位置座標の算出を時間軸に対して連続に行うことで、魚の泳動軌跡を生成している。ここでテンプレートマッチング法とは、観測画像から探索する対象の画像の位置を推定するための手法である。この手法では、魚の観測画像に対して、対象画像との輝度値の差が最も小さくなる範囲の中心座標を魚の位置座標とする。このとき、輝度値の差が最も小さくなる範囲を最適マッチング範囲と定義する。また、魚は移動することにより、魚の移動方向や奥行き等の運動形態が変化する。このため、基となる観測画像が限られたパターン数しかなければ、対象画像との比較に問題が生じ、位置座標の算出が困難になる。この対処法として、位置座標を算出する度に最適マッチング範囲を新たな基画像として更新し、魚の運動形態の変化に適応することとした。以上の処理を動画像の全フレームに対して行う。図29にテンプレートマッチング法の処理手順を示す。
そして抽出した泳動軌跡は画像の縦、横で表される2次元であるため、観測動画像から抽出した泳動軌跡を3次元空間に再構成した。再構成の手順として、観測用実験水槽の2方向から撮影した動画像データのそれぞれに位置座標の抽出を行い、それぞれの泳動軌跡を得る。この2つの泳動軌跡を3次元空間上で対応付けし、3次元補正を行う。
比較のための実験では、実験水槽内に1尾の魚を放った後、一定時間放置した。これは水槽が変わったことによる魚の緊張を除き、水質の依存性のみを分析できるようにするためである。放置後、環境負荷を加えて測定を開始する。測定は60分間継続した。このとき、泳動軌跡は30[fps]で測定した。活動電位の測定はサンプリング周波数128[Hz]で遮断周波数0.08[Hz]のローカットフィルタ、100[Hz]のハイカットフィルタ、HUMフィルタを通してから記録した。使用した魚の測定条件は、活動電位を測定する場合と同じにした。そして泳動軌跡においても同様に環境負荷濃度への依存性を調査した。比較のために、測定した魚の泳動軌跡(3次元データ)をx,y,z軸の各軸成分ごとにフラクタル解析を行い、その平均値から環境負荷濃度依存特性を推定した。また、各軸成分ごとに1フレーム間の速度を算出し、泳動速度の環境負荷濃度依存特性も同様に推定した。泳動方向の算出は各軸成分ごとではなく、3次元空間で変化する魚の泳動方向を算出し、泳動方向の変化をθとした時のcosθに対してフラクタル解析を行った。
図30に泳動軌跡、図31に泳動速度、図32に泳動方向における環境負荷濃度依存特性をそれぞれ示す。図30〜図32より、泳動軌跡、泳動速度、泳動方向の3つにおいて、環境負荷濃度の増加に伴いフラクタル次元値が徐々に上昇する傾向が得られた。ここで、泳動軌跡、泳道速度、泳動方向における環境負荷濃度依存特性はそれぞれ、0.011[1/10-3%]、0.008[1/10-3%]、0.045[1/10-3%]という傾向が得られた。
図33には、活動電位信号を生体信号とする場合(Action Potential of a Fish)と、泳動軌跡(Swimming Loci of a Fish)、泳動速度(Swimming Speed of a Fish)及び泳動方向(Swimming Sense of Fish)についての生体信号を生体情報とする場合における環境負荷濃度依存特性及び近似曲線とフラクタル次元値(Fractal Dimensions)の相関係数(Correlation Coefficient)を示す。図33より、泳動軌跡(Swimming Loci of a Fish)及び速度(Swimming Speed of a Fish)に比べ、泳動方向(Swimming Sense of Fish)及び活動電位(Action Potential of a Fish)を生体情報(生体信号)とした場合に強い環境負荷濃度依存特性が得られた。また、近似曲線とフラクタル次元値の相関係数からも活動電位及び泳動方向のカオス・フラクタル性は環境負荷濃度の増加に伴い、線形的に極めて近い形で上昇していることが見出せる。
以上の特性結果より、魚の活動電位のカオス・フラクタル性の変化を指標としたバイオアッセイ技術が、泳動軌跡におけるカオス・フラクタル性の変化を指標としたバイオアッセイ技術と同様に、水環境におけるバイオアッセイ技術として有用であることが見出せる。また、本活動電位を利用する本実施の形態も、致死量以下の環境負荷による影響を定量化できたことから、環境の微妙な変化にも対応できるバイオアッセイ技術として利用することができる。
上記の実施の形態では、バイオアッセイ技術の対象とするエリアを水槽としているが、本発明はこれに限定されるものではない。また上記実施の形態では、生体として魚を用いているが、エリアを鳥籠として生体を鳥としてもよいのは勿論であり、使用する生体は上記実施の形態に限られるものではない。
バイオアッセイ技術により生体信号を得る場合の一例を示す図である。 本発明の環境負荷濃度変化判定装置の実施の形態の一例の構成を示すブロック図である。 事前測定信号と環境負荷濃度分析用信号の一例を示す図である。 魚の運動軌跡を記録した動画像において時間軸に対する分割を行って、連続の静止画像群にする過程を説明するために用いる図である。 エッジ検出フィルタの例を示す図である。 抽出した運動軌跡の3次元再構成手順を示す図である。 3次元移動体抽出結果から、魚の運動軌跡について各x,y,z軸別に時系列信号を作成して、一部抜粋して示す図である。 魚の運動の様子を3次元軌跡として再構成したものを一部抜粋して示す図である。 Jordan型のリカレントニューラルネットワーク(RNN)のモデル図である。 無負荷時のカオス・フラクタル性の検証を行うために解析結果を示す図である。 無負荷時のカオス・フラクタル性の検証を行うために解析結果を示す図である。 無負荷時のカオス・フラクタル性の検証を行うために解析結果を示す図である。 無負荷時のカオス・フラクタル性の検証を行うために解析結果を示す図である。 リカレントニューラルネットワークによる魚の運動軌跡とランダム時系列の学習誤差特性を示す図である。 リカレントニューラルネットワークによる魚の運動軌跡の予測誤差特性を示す図である。 臨界指数法による時間に対するフラクタル次元の解析結果を示す図である。 フラクタル次元値の変動幅を各軸ごとに表にして示す図である。 最大リアプノフ指数の環境負荷濃度への依存性を示す図である。 臨界指数法によるフラクタル次元推定値の環境負荷濃度依存特性を示す図である。 4尾の測定対象における容量次元解析結果による環境負荷濃度特性を示す図である。 種の違いが切片に関係し、傾きの違いが個体のサイズに影響することを示す図である。 本発明の第2の実施の形態で用いる測定用電極を備えた水槽を示す図である。 αを変更した場合の時系列データのスケーリング特性の一例を示す図である。 活動電位の原信号を示す図である。 原信号に対するフラクタル次元値の時間経過による変化を示す図である。 無負荷時と環境負荷が加えられているときのフラクタル解析結果を示す図である。 6つの測定チャンネル毎に推定されたフラクタル次元値を環境負荷濃度)に対してプロットしたグラフを示す図である。 活動電位における環境負荷濃度依存特性を示す図である。 テンプレートマッチング法の処理手順を示す図である。 泳動軌跡における環境負荷濃度依存特性をそれぞれ示す。 泳動速度における環境負荷濃度依存特性をそれぞれ示す。 泳動方向における環境負荷濃度依存特性をそれぞれ示す。 活動電位信号を生体信号とする場合と、泳動軌跡、泳動速度及び泳動方向についての生体信号を生体情報とする場合における環境負荷濃度依存特性及び近似曲線とフラクタル次元値の相関係数を示す図である。
符号の説明
1 水槽
2 魚
3,4 CCDビデオカメラ
5 光源
A 分析用信号取得部
A1 ノイズ除去部
B フラクタル次元推定部
C 環境負荷濃度変化判定部
D アラーム発生部

Claims (13)

  1. バイオアッセイ技術を用いて環境負荷濃度の変化を判定する環境負荷濃度変化判定装置であって、
    所定のエリアに存在する生体からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する分析用信号取得部と、
    前記環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定するフラクタル次元推定部と、
    前記フラクタル次元推定部から時系列で出力される前記フラクタル次元が増加傾向にあるときに前記環境負荷濃度が増加方向に変化しており、前記フラクタル次元が減少傾向にあるときに前記環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する環境負荷濃度変化判定部とからなることを特徴とする環境負荷濃度変化判定装置。
  2. バイオアッセイ技術を用いて環境負荷濃度の変化を判定する環境負荷濃度変化判定装置であって、
    水槽中の生体からバイオアッセイ技術を用いて、生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する分析用信号取得部と、
    前記環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定するフラクタル次元推定部と、
    前記フラクタル次元推定部から時系列で出力される前記フラクタル次元が増加傾向にあるときに前記水槽中の環境負荷濃度が増加方向に変化しており、前記フラクタル次元が減少傾向にあるときに前記水槽中の環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する環境負荷濃度変化判定部とからなることを特徴とする環境負荷濃度変化判定装置。
  3. 前記分析用信号取得部は、前記生体の運動軌跡に関する情報を含む複数の映像信号から3次元の運動軌跡を示す3次元軌跡データ信号を得てこれを前記生体信号として取得し、
    前記フラクタル次元推定部は、前記3次元軌跡データ信号から時系列で複数のフラクタル次元を推定して時系列で出力するように構成されている請求項1または2に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  4. 前記分析用信号取得部は、前記水槽中に配置した複数の測定用電極から複数の活動電位信号を前記生体信号として取得するように構成され、
    前記フラクタル次元推定部は、前記複数の活動電位信号からそれぞれ時系列で複数のフラクタル次元を演算し、且つ前記複数のフラクタル次元の平均値を時系列で出力するように構成されている請求項2に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  5. 前記複数の測定用電極は、前記水槽中の水を囲むように配置されている請求項4に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  6. 前記フラクタル次元推定部は、前記活動電位信号からなる前記環境負荷濃度分析用信号から分散のスケーリング特性を求め、該分散のスケーリング特性から前記フラクタル次元を推定する請求項4に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  7. 前記分析用信号取得部は、前記生体が前記エリアに存在していない状態で測定した事前測定信号と前記環境濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして前記環境濃度分析用信号から除去するノイズ除去部を備えている請求項1に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  8. 前記分析用信号取得部は、前記生体を前記水槽中に投入する前に測定した事前測定信号と前記環境濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして除去するノイズ除去部を備えている請求項2に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  9. 前記環境負荷濃度変化判定部は、前記フラクタル次元推定部から時系列で出力される前記フラクタル次元の相関係数または前記変化傾向の傾き係数から前記変化を判定する請求項1または2に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  10. 前記相関係数または前記傾き係数が、予め定めた値より大きくなったときにアラーム信号を発生するアラーム発生部をさらに備えている請求項9に記載の環境負荷濃度変化判定装置。
  11. バイオアッセイ技術を用いて環境負荷濃度の変化を判定する環境負荷濃度判定方法であって、
    所定のエリアに存在する生体からバイオアッセイ技術により生体信号を環境負荷濃度分析用信号として取得する分析用信号取得ステップと、
    前記環境負荷濃度分析用信号からフラクタル次元解析技術により時系列でフラクタル次元を推定するフラクタル次元推定ステップと、
    前記フラクタル次元推定ステップにおいて時系列で出力される前記フラクタル次元が増加傾向にあるときに前記環境負荷濃度が増加方向に変化しており、前記フラクタル次元が減少傾向にあるときに前記環境負荷濃度が減少方向に変化していると判定する環境負荷濃度変化判定ステップとからなることを特徴とする環境負荷濃度判定方法。
  12. 前記分析用信号取得ステップは、前記生体が前記エリアに存在していない状態で測定した事前測定信号と前記環境濃度分析用信号の両方に含まれる共通の周波数成分をノイズとして前記環境濃度分析用信号から除去するノイズ除去ステップを含んでいる請求項11に記載の環境負荷濃度判定方法。
  13. 前記フラクタル次元推定ステップ、前記環境負荷濃度変化判定ステップ及び前記ノイズ除去ステップを、コンピュータを用いて実施することを特徴とする請求項12に記載の環境負荷濃度判定方法。
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