JP2009167937A - 車両の動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】確実にガスセンサの診断を実行することができる車両の動力出力装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置42は、内燃機関10の運転中に燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行し、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、空燃比センサ36の異常の有無を判定する異常判定処理を実行する。そして、制御装置42は、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済であるか否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒32の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するか否かを決定する。
【選択図】図1
【解決手段】制御装置42は、内燃機関10の運転中に燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行し、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、空燃比センサ36の異常の有無を判定する異常判定処理を実行する。そして、制御装置42は、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済であるか否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒32の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するか否かを決定する。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両の動力出力装置およびその制御方法に関し、特に内燃機関とガスセンサとを含む車両の動力出力装置およびその制御方法に関する。
従来、内燃機関の電子制御式燃料噴射制御装置においては、燃料噴射を一時的に停止する減速時燃料カット、高回転時燃料カット、最高速燃料カット等が行われている。
減速時燃料カットは、スロットル弁が全閉でエンジン回転速度が所定値以上のときに、燃料供給の不必要な減速状態にあると判断し、燃料噴射を停止して、燃費の向上、排出ガスの浄化、および触媒の加熱防止を図るものである。
また、高回転時燃料カットは、エンジン回転速度のレッドゾーン以上への上昇によるエンジン破損を防止するため、所定の回転速度(例えば8000rpm)以上で燃料噴射を停止し、回転速度の上昇を抑えるものである。
さらに、最高速燃料カットは、例えば車速180km以上でエンジン回転速度4500rpmが所定時間続いたような場合に、燃料噴射を停止するものである。
しかしながら、そのような燃料カットの実行が、排気系に設けられた排気ガス浄化用の三元触媒を劣化させる原因となっていることが近年判明してきている。すなわち、燃料カットは、排気系において酸素過剰の雰囲気すなわちリーン雰囲気を誘発するものであるが、触媒の温度が高い状態において燃料カットを実行すると、触媒周辺が高温のリーン雰囲気となり、触媒が早期に劣化する。
そのような高温状態かつリーン雰囲気の下で触媒の劣化が促進される理由は、以下のように考えられている。すなわち、その理由は、「高温になるほど原子移動は、より活発化する。それ故、高温状態においては、触媒内の小粒のPt(白金)は、活発化した原子移動により互いに結合して大粒のPtとなるとともに、酸素過剰のため酸化反応を起こして、Ptの粒成長が促進される。粒成長したPtは、表面積が小さくなり、排気ガスに接触する面積が小さくなる。したがって、排気ガス浄化性能が低下する結果となる。」というものである。
このような触媒劣化抑制のために一定条件下で燃料カットを禁止する技術に関連する内容が特開2005−76468号公報(特許文献1)に開示されている。
特開2005−76468号公報
特開2003−90251号公報
特開2007−16712号公報
特開2000−193636号公報
特開2004−3513号公報
一方、内燃機関の排気通路には、空燃比センサが設けられている。混合気を完全燃焼させるため、空燃比センサや酸素センサの出力に基づいて、燃焼室へ送られる混合気が細かく調整される。
このように、空燃比センサや酸素センサは内燃機関を良好に稼動させるために重要な働きをしている部品である。したがって、空燃比センサや酸素センサ等の排気ガスの成分を検出するガスセンサに異常が発生していないかを定期的に自己診断を行なうことが望ましい。
排気ガスの成分を検出するガスセンサの診断を行なうには、燃料カット状態における出力を確認する。燃料カット状態において、ガスセンサから燃料リーンに対応する出力が得られた場合には正常であると判定し、燃料リッチに対応する出力が得られた場合には異常であると判定する。
しかし、触媒劣化抑制のために一定条件下で燃料カットを禁止する技術を採用する場合には、ガスセンサの診断を行なうことができない場合が考えられる。すなわち、イグニッションキースイッチをオンしてから走行し、イグニッションキーをオフするまでの間(以下、ワントリップと称する)に触媒劣化抑制を行なう条件が解除されなければ、車両が走行しても燃料カットが発生しないのでガスセンサの診断を行なう機会が発生しない。
このようなガスセンサは、重要な部品であるのでワントリップに一度は少なくとも診断を行なう機会を確保することが望ましい。
この発明の目的は、確実にガスセンサの診断を実行することができる車両の動力出力装置およびその制御方法を提供することである。
この発明は、要約すると、車両の動力出力装置であって、内燃機関と、内燃機関に燃料を供給する燃料供給部と、内燃機関の排気を浄化する触媒と、内燃機関の排気から空燃比を検出するために使用するガスセンサと、内燃機関の制御を行なう制御装置とを備える。制御装置は、内燃機関の運転中に燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行し、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、ガスセンサの異常の有無を判定する異常判定処理を実行する。そして、制御装置は、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済であるか否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するか否かを決定する。
好ましくは、制御装置は、燃料カット条件が成立した場合において触媒の温度がしきい値よりも上昇すると判断されるときに、触媒劣化抑制処理を実行する。
好ましくは、制御装置は、異常判定処理において、ガスセンサの出力が燃料リーンに対応するものでないときに、ガスセンサが異常であると判定する。
好ましくは、ガスセンサは、空燃比センサまたは酸素センサである。
この発明の他の局面に従うと、内燃機関と、内燃機関に燃料を供給する燃料供給部と、内燃機関の排気を浄化する触媒と、内燃機関の排気から空燃比を検出するために使用するガスセンサとを備える車両の動力出力装置の制御方法であって、内燃機関の運転中に燃料カット条件が成立するか否かを判断するステップと、燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行するステップと、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、空燃比センサの異常の有無を判定する異常判定処理を実行するステップと、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かを判断するステップと、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するステップとを備える。
この発明の他の局面に従うと、内燃機関と、内燃機関に燃料を供給する燃料供給部と、内燃機関の排気を浄化する触媒と、内燃機関の排気から空燃比を検出するために使用するガスセンサとを備える車両の動力出力装置の制御方法であって、内燃機関の運転中に燃料カット条件が成立するか否かを判断するステップと、燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行するステップと、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、空燃比センサの異常の有無を判定する異常判定処理を実行するステップと、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かを判断するステップと、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するステップとを備える。
好ましくは、ガスセンサは、空燃比センサまたは酸素センサである。
本発明によれば、ガスセンサの診断を行なう機会が増え、ガスセンサの異常発生を早期に発見することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態の車両の動力出力装置が搭載する内燃機関10およびその周辺の構造を説明するための図である。
図1を参照して、車両の動力出力装置100は、内燃機関10と、制御装置42と、触媒32とを含む。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組み付けられている。
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20は、吸気通路12を流れる吸入空気量GAを検出するセンサである。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。
スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。また、サージタンクの更に下流には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁30が配置されている。
燃料噴射弁30から噴射された燃料と吸気とが混合され、燃焼室で燃焼されることによりピストン46が上下する。この上下運動が図示しないコンロッドおよびクランクシャフトによって回転運動に変換され、動力として内燃機関10から出力される。
排気通路14には、触媒32が配置されている。触媒32は、ある程度の酸素を吸蔵することができ、排気ガス中にHCやCOなどの未燃成分が含まれている場合は、吸蔵している酸素を用いてそれらを酸化し、また、排気ガス中にNOxなどの酸化成分が含まれている場合は、それらを還元し、放出された酸素を吸蔵することができる。内燃機関10から排出される排気ガスは、触媒32の内部で処理されることにより浄化される。
排気通路14には、さらに、触媒32の上流に配置される空燃比センサ36と、触媒32の下流側に配置される酸素センサ38と、触媒32の温度を検出する温度センサ40とが設けられる。
空燃比センサ36は、排気ガス中の空燃比(Air-Fuel Ratio)を検出するセンサである。一方、酸素センサ38は、排気ガス中の酸素濃度が所定値を越える前後で大きく出力を変化させるセンサである。
空燃比センサ36出力を観測することにより、触媒32に流入する排気ガス中の酸素濃度に基づいて、内燃機関10で燃焼に付された混合気の空燃比を検出することができる。
また、酸素センサ38の出力を観測することにより、触媒32で処理された後の排気ガスが燃料リッチであるか(HC、COを含むか)、または燃料リーンであるか(NOxを含むか)を判断することができる。
本実施形態の車両の動力出力装置100は、図1に示すように、制御装置42を備えている。制御装置42には、上述した各種センサおよび燃料噴射弁30に加えて、内燃機関10の冷却水温THWを検出する水温センサ44などが接続されている。
図1に示す車両の動力出力装置100において、内燃機関10から排出される排気ガスは、触媒32で浄化される。触媒32は、内燃機関10に近い位置に配置されていることから、内燃機関10の始動後、早期に活性温度にまで昇温する。このため、触媒32は、内燃機関10の始動直後から、高い排気ガス浄化能力を発揮する。
次に、空燃比センサの原理について説明する。
図2は、空燃比と排気中の酸素濃度との関係および空燃比と排気中の一酸化炭素濃度との関係を示す特性図である。
図2は、空燃比と排気中の酸素濃度との関係および空燃比と排気中の一酸化炭素濃度との関係を示す特性図である。
図2を参照して、リーン空燃比領域にあっては酸素濃度が空燃比に対してほぼリニアに変化する一方、リッチ空燃比領域にあっては未燃ガスであるCO濃度が空燃比に対してほぼリニアに変化する。空燃比センサは、後述するように、この関係を利用するものである。
図3は、空燃比センサの一構成例を示す断面図である。
図3を参照して、空燃比センサ36は、内燃機関の排気通路14の内部に向けて突き出して設けられている。空燃比センサ36は、カバー61と、センサ本体63と、ヒータ68とを含む。カバー61は断面カップ状の形状を有し、その周壁にはカバー内外を連通する多数の小孔62が形成されている。
図3を参照して、空燃比センサ36は、内燃機関の排気通路14の内部に向けて突き出して設けられている。空燃比センサ36は、カバー61と、センサ本体63と、ヒータ68とを含む。カバー61は断面カップ状の形状を有し、その周壁にはカバー内外を連通する多数の小孔62が形成されている。
センサ本体63において、試験管状に形成された酸素イオン導電性固体電解質層64の外表面には排気側電極層66が固着される一方、その内表面には大気側電極層67が固着されている。また、排気側電極層66の外側には、プラズマ溶射法等により拡散抵抗層65が形成されている。固体電解質層64は、例えば、本実施形態においては、ZrO2(ジルコニア素子)にCaO等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体を含む(以下、固体電解質層64をセンサ素子とも称する)。拡散抵抗層65は、アルミナ等の耐熱性無機物質を含む。排気側電極層66および大気側電極層67は、共に、白金等の触媒活性の高い貴金属を含み、その表面には多孔質の化学メッキ等が施されている。
ヒータ68は、大気側電極層67内に収容されており、その発熱エネルギによってセンサ本体63を加熱し、固体電解質層64を活性化させる。ヒータ68は、固体電解質層64を活性化するのに十分な発熱容量を有している。
固体電解質層64は、高温活性状態で素子両端に酸素濃度差が生じると、濃度の高い側から低い側へと酸素イオンを通す特性(酸素電池特性)を有する。また、固体電解質層64は、その両端に電位差が与えられると、陰極から陽極に向けて、電位差に応じた酸素イオンの移動を引き起こそうとする特性(酸素ポンプ特性)を有する。
図3に示されるように、センサ本体63には、大気側電極層67を正極性、排気側電極層66を負極性とする一定のバイアス電圧が印加されている。排気空燃比がリーンのときには、酸素ポンプ特性により、排気側電極層66から大気側電極層67へと酸素イオンの移動が起こる。その結果、バイアス電圧源の正極から、大気側電極層67、固体電解質層64および排気側電極層66を介して、バイアス電圧源の負極へと電流が流れる。
このとき流れる電流の大きさは、バイアス電圧を一定値以上にすれば、排気中から拡散抵抗層65を通って排気側電極層66へと拡散によって流入する酸素量に対応する。従って、この限界電流の大きさを検出すれば、酸素濃度を知ることができ、ひいては図2にて説明したようにリーン領域における空燃比を知ることができる。
一方、排気空燃比がリッチのときには酸素電池特性が働き、この酸素電池特性は大気側電極層67から排気側電極層66へと酸素イオンの移動を引き起こそうとする。すなわち、酸素電池特性はバイアス電圧と逆向きに作用する。空燃比センサでは、酸素電池特性による起電力がバイアス電圧に打ち勝つように構成されているため、大気側電極層67から、バイアス電圧源を通って、排気側電極層66へと電流が流れる。このとき流れる電流の大きさは、固体電解質層64中を大気側電極層67から排気側電極層66へと移送される酸素イオンの量によって決まる。その酸素イオンは、排気中から拡散抵抗層65を通って排気側電極層66へと拡散によって流入する一酸化炭素などの未燃ガスと排気側電極層66において反応(燃焼)するものであるため、酸素イオン移動量は未燃ガスの濃度に対応する。従って、この限界電流の大きさを検出すれば、未燃ガス濃度を知ることができ、ひいては図2にて説明したようにリッチ領域における空燃比を知ることができる。
また、排気空燃比が理論空燃比のときには、排気側電極層66へ流入する酸素および未燃ガスの量が化学当量比となっているため、排気側電極層66の触媒作用によって両者は完全に燃焼する。したがって、排気側電極層66では酸素がなくなるため、酸素電池特性および酸素ポンプ特性により移送されるべき酸素イオンが生じない。その結果、排気空燃比が理論空燃比のときには、回路を流れる電流は生じない。
図4は、図1の制御装置42が実行する空燃比センサ診断処理および触媒劣化抑制処理の処理構造を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼び出されて実行される。
図1、図4を参照して、まずステップS1において、燃料カットフラグFがゼロであるか否かが判断される。燃料カットフラグは、制御装置42中に設けられたメモリやレジスタ等の記憶領域に記憶されているフラグであり、燃料カット処理が実行中であるときには1に設定され、燃料カット処理が実行されていないときには0に設定される。ステップS1において燃料カットフラグF=0である場合にはステップS2に処理が進み、F=1である場合にはステップS6に処理が進む。
ステップS2では、燃料カット条件が成立しているか否かが判断される。燃料カット条件は、例えば減速時燃料カット、高回転時燃料カット、最高速燃料カット等に対応する条件である。
減速時燃料カットは、スロットル弁が全閉でエンジン回転速度が所定値以上のときに、燃料供給の不必要な減速状態にあると判断し、燃料噴射を停止して、燃費の向上、排出ガスの浄化、および触媒の加熱防止を図るものである。
また、高回転時燃料カットは、エンジン回転速度のレッドゾーン以上への上昇によるエンジン破損を防止するため、所定の回転速度(例えば8000rpm)以上で燃料噴射を停止し、回転速度の上昇を抑えるものである。
さらに、最高速燃料カットは、例えば車速180km以上でエンジン回転速度4500rpmが所定時間続いたような場合に、燃料噴射を停止するものである。
一方、ステップS6では、燃料カット解除条件が成立しているか否かが判断される。基本的には、燃料カット解除条件は、燃料カット条件が成立しなくなることとしても良いが、頻繁な燃料カットのオンオフを防止するため、ヒステリシスを設けても良い。
ステップS2において燃料カット条件が成立していない場合(ステップS2でNO)、またはステップS6において燃料カット解除条件が成立している場合(ステップS6でYES)には、ステップS11に処理が進み燃料カットフラグがF=0に設定され、燃料カットは解除されステップS12において通常エンジン制御が実行される。ステップS12の通常エンジン制御が実行されるように設定が変更されると、ステップS13において制御がメインルーチンに移される。
ステップS2において燃料カット条件が成立している場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に処理が進み、触媒32の温度がしきい値である設定温度より高いか否かが判断される。触媒32が高温であるときに燃料カットを行なうと触媒32の劣化が進行することが分かっているので、触媒劣化抑制制御を行なう必要があるからである。
ステップS3において触媒温度>設定温度が成立している場合(ステップS3でYES)にはステップS4に処理が進む。ステップS4では、空燃比センサ36の出力電流IL異常が判定済みであるか否かが判断される。空燃比センサ36の出力電流IL異常判定処理は、後にステップS10で説明される処理であり、たとえば、燃料カット時に空燃比センサが燃料リーンに対応する出力を正しく出力するか否かを確認するものである。空燃比センサは重要な部品であるため、車両起動後できるだけ早い時期に一度診断を行なうことが望ましい。したがって、車両起動後にまだ一度も空燃比センサ36の出力電流IL異常が判定されていなければ、燃料カット条件が成立したときに速やかに空燃比センサの診断を実行する。
したがって、ステップS4において空燃比センサの電流IL異常の判定済でなければ(ステップS4でNO)ステップS7に処理が進む。また、ステップS6において燃料カット解除条件が成立していない場合や、ステップS3において触媒温度が設定温度以下で触媒を保護する必要が無い場合には、やはりステップS7に処理が進む。
ステップS7においては、燃料カットフラグFが1に設定される。そして、ステップS8において燃料カット制御が行なわれる。そして、ステップS9において、空燃比センサのIL異常判定済か否かが再度判断される。ステップS9でまだ空燃比センサのIL異常が判定されていなければ、ステップS10に処理が進み、空燃比センサのIL異常判定処理が実行される。なお、ステップS9を設けず、ステップS8の燃料カット制御後に必ずステップS10の処理が実行されるようにしても良い。またステップS9において、前回の判定から一定時間が経過していた場合にはステップS10に処理を進めるようにしても良い。なお、ステップS10の処理の詳細については、後に図5で説明する。
ステップS10の処理が実行された場合、ステップS9で既に空燃比センサのIL異常が判定済であった場合には、ステップS13に処理が進み制御はメインルーチンに移される。
ステップS4において空燃比センサの電流IL異常の判定済であれば、ステップS5に処理が進む。ステップS5では、触媒劣化抑制制御が実行される。より具体的には、ステップS2において燃料カット条件が成立していても、触媒温度が設定温度よりも高ければ燃料カットは行なわれない。そして、ステップS13に処理が進み、制御はメインルーチンに移される。
図5は、図4のステップS10における空燃比センサの異常判定処理を説明するためのフローチャートである。
図5を参照して、まず、ステップS102では、現在、燃料カット状態にあり且つその燃料カット状態に移行してから一定時間が経過しているか否か、すなわち空燃比が燃料リーンをしめす所定値(たとえば18)よりも大きくなっているはずの状態にあるか否かを判定する。かかる条件が満足されればステップS104に進む一方、満足されなければ本ルーチンを終了する。
ステップS104では、交流電圧パルスを空燃比センサの入力直流電圧に重畳せしめ、出力交流電流パルスを測定することにより、素子インピーダンスZを検出する。次いで、ステップS106では、素子インピーダンス検出値Zに対応する素子温度Tを求める。
図6は、ステップS106で参照されるマップであり、素子温度に対する素子抵抗の関係を記憶したものである。図6に示すように、たとえば素子温度30Ωであれば、素子温度が700℃であることを知ることができる。
次いで、ステップS108では、素子温度Tに対応する判定基準値IRを決定する。判定基準値IRは、素子温度Tに対応させて予めマップに定められており、素子温度Tに基づいてマップから得ることができる。
次いで、ステップS110では、空燃比センサ36の現在の実際の出力電流値ILを求める。
図7は、空燃比センサ36の現在の実際の出力電流値ILの空燃比による変化を示した特性図である。
図7に示すように、所定時間燃料カット状態が継続すると、空燃比は18以上となり、センサ出力電流はIL1となる。このように基準値IRよりもIL1が大きければセンサは正常である。
図5のステップS112では、実電流値ILと基準値IRとを比較し、IL<IRのときにはステップS114に処理が進む一方、IL≧IRのときにはステップS116に処理が進む。
ステップS114では、空燃比センサが18より小さい空燃比を示しているため、センサ異常と判定され、この結果が診断結果としてメモリに記憶される。一方、ステップS116では、センサは正常と判定され、この結果が診断結果として制御装置42に内蔵されたメモリに記憶される。ステップS114又はS116の実行後、本ルーチンは終了する。
なお、上述の実施形態においては、素子インピーダンスZを検出し、その素子インピーダンスZから素子温度Tを求め、その素子温度Tから判定基準値IRを決定しているが、素子インピーダンスZから直接に判定基準値IRを求めるマップを準備しておいてももちろんよい。
最後に、本実施の形態の車両の動力出力装置およびその制御方法について図1等を用いて総括的に説明する。
図1に示すように、車両の動力出力装置100は、内燃機関10と、内燃機関10に燃料を供給する燃料供給部(燃料噴射弁30)と、内燃機関10の排気を浄化する触媒32と、内燃機関10の排気から空燃比を検出する空燃比センサ36と、内燃機関10の制御を行なう制御装置42とを備える。制御装置42は、内燃機関10の運転中に燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行し、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、空燃比センサ36の異常の有無を判定する異常判定処理を実行する。そして、制御装置42は、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済であるか否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒32の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するか否かを決定する。
好ましくは、制御装置42は、燃料カット条件が成立した場合において触媒32の温度がしきい値よりも上昇すると判断されるときに、触媒劣化抑制処理を実行する。
好ましくは、制御装置42は、異常判定処理において、空燃比センサ36の出力が燃料リーンに対応するものでないときに(図5ステップS112および図7でIL<IR)、空燃比センサ36が異常であると判定する。
図1、図4を参照して、本実施の形態に示された車両の動力装置の制御方法は、内燃機関10と、内燃機関10に燃料を供給する燃料供給部と、内燃機関10の排気を浄化する触媒32と、内燃機関10の排気から空燃比を検出する空燃比センサ36とを備える車両の動力出力装置の制御方法であって、内燃機関10の運転中に燃料カット条件が成立するか否かを判断するステップS2と、燃料カット条件が成立した場合に燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行するステップS8と、燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、空燃比センサ36の異常の有無を判定する異常判定処理を実行するステップS10と、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かを判断するステップS4と、異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かに応じて、燃料カット処理を禁止して触媒32の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するステップS5とを備える。
空燃比センサの故障を検出するためには、燃料カットを実行している必要があるが、触媒劣化抑制制御中は通常燃料カットが禁止される。空燃比センサの電流IL異常検出は、1トリップ中に1回診断が実行される。空燃比センサは重要な部品であるためできるだけ早い時期に診断実行の機会を確保したい。
そこで、市場での故障検出をできるだけ早く実施するため、触媒劣化抑制制御よりも空燃比センサ故障を検出するための燃料カットを本実施の形態では優先させている。これにより空燃比センサ故障の発見率が向上する。
なお、本実施の形態においては、ガスセンサの一例として空燃比センサ36の故障検出を行なう場合について説明したが、ガスセンサは空燃比センサに限定されるものではない。たとえば、酸素センサ38についても空燃比センサと同様燃料カットを実行して故障検出を行なうので、酸素センサ38に関する故障検出に対して本発明を適用することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 内燃機関、12 吸気通路、14 排気通路、16 エアフィルタ、18 吸気温センサ、20 エアフロメータ、22 スロットルバルブ、24 スロットルセンサ、26 アイドルスイッチ、28 サージタンク、30 燃料噴射弁、32 触媒、36 空燃比センサ、38 酸素センサ、40 温度センサ、42 制御装置、44 水温センサ、46 ピストン、61 カバー、62 小孔、63 センサ本体、64 固体電解質層、65 拡散抵抗層、66 排気側電極層、67 大気側電極層、68 ヒータ、100 動力出力装置。
Claims (6)
- 内燃機関と、
前記内燃機関に燃料を供給する燃料供給部と、
前記内燃機関の排気を浄化する触媒と、
前記内燃機関の排気から空燃比を検出するために使用するガスセンサと、
前記内燃機関の制御を行なう制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記内燃機関の運転中に燃料カット条件が成立した場合に前記燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行し、前記燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、前記ガスセンサの異常の有無を判定する異常判定処理を実行し、
前記制御装置は、前記異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済であるか否かに応じて、前記燃料カット処理を禁止して前記触媒の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するか否かを決定する、車両の動力出力装置。 - 前記制御装置は、前記燃料カット条件が成立した場合において前記触媒の温度がしきい値よりも上昇すると判断されるときに、前記触媒劣化抑制処理を実行する、請求項1に記載の車両の動力出力装置。
- 前記制御装置は、前記異常判定処理において、前記ガスセンサの出力が燃料リーンに対応するものでないときに、前記ガスセンサが異常であると判定する、請求項1に記載の車両の動力出力装置。
- 前記ガスセンサは、空燃比センサまたは酸素センサである、請求項1に記載の車両の動力出力装置。
- 内燃機関と、前記内燃機関に燃料を供給する燃料供給部と、前記内燃機関の排気を浄化する触媒と、前記内燃機関の排気から空燃比を検出するために使用するガスセンサとを備える車両の動力出力装置の制御方法であって、
前記内燃機関の運転中に燃料カット条件が成立するか否かを判断するステップと、
前記燃料カット条件が成立した場合に前記燃料供給部に燃料供給停止させる燃料カット処理を実行するステップと、
前記燃料カット処理が実行されたときに車両の1回の起動ごとに少なくとも1回、前記ガスセンサの異常の有無を判定する異常判定処理を実行するステップと、
前記異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かを判断するステップと、
前記異常判定処理が車両起動後に少なくとも1回実行済か否かに応じて、前記燃料カット処理を禁止して前記触媒の温度上昇を抑制する触媒劣化抑制処理を実行するステップとを備える、車両の動力出力装置の制御方法。 - 前記ガスセンサは、空燃比センサまたは酸素センサである、請求項5に記載の車両の動力出力装置の制御方法。
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