JP2009160823A - インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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剛裕 山田
Hitoshi Kida
仁司 木田
Tomohiko Koda
智彦 甲田
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Abstract

【課題】ノズル間での吐出特性のばらつきが小さく、且つ低い駆動電圧で省電力駆動可能な生産性の高いインクジェット記録ヘッドを提供する。
【解決手段】インク加圧室140の一部を形成するダイヤフラム120と、ダイヤフラム120に取着した圧電素子110と、ノズル開口131を複数備え、
圧電素子110が、インク振動系ヘルムホルツ共振のピークが生じるようなパルス幅の駆動パルス信号印加したときに、複数のノズルのインク吐出速度が揃うように再分極処理されていることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、高品位な画像を高速で信頼性高く記録するためのインクジェット記録ヘッド及びこれを搭載したインクジェット記録装置に関する。
多数のノズルを集積したマルチノズルオンデマンド型インクジェット記録ヘッドは、高速でかつ高精細記録ができるため、搭載ノズル数の益々の増大とノズルの高集積化が進んでいる。
そのため、ノズルの小型化と、低電圧、省電力での動作が可能なインクジェット記録ヘッドの実現が重要となり、合わせて高品位な画像記録を行うため、ノズル間でのインク滴の吐出速度や質量等、インク滴吐出特性のばらつきを少なくすることが必要である。
インクジェット記録ヘッドの構造としては、ノズル開口を有するインク加圧室の壁をダイヤフラムで構成し、このダイヤフラムを圧電素子で変形させ、インク加圧室内のインク圧力を変化させ、インク滴を吐出させる圧電素子駆動方式のオンデマンド型インクジェット記録ヘッドが知られている。
このヘッドでのインク滴吐出には、所定パルス幅の圧電素子駆動信号を前記圧電素子に印加するが、その駆動信号のパルス幅を次第に広げていくと、これに伴いインク滴吐出速度が次第に増大し、やがてピークとなり、このピークを生じた後に、今度は逆にパルス幅の増大に伴いインク滴吐出速度が低下していく。
このピークは、ノズル開口やインク加圧室の大きさを始めとするインク振動系のヘルムホルツ共振現象により生じるもので、最も信号パルス幅が小さい時に生じるピークを第1ピークと呼ぶことにすると、引き続いてのパルス幅の増大に伴い、第2ピーク、第3ピークのように複数のピークを生じる。そして隣接ピークを生じる圧電素子駆動信号パルス幅の間隔はヘルムホルツ固有周期となる。
このようなヘルムホルツ共振を有するヘッドにおいて、ピーク近辺、特に第1ピークの圧電素子駆動パルス幅で駆動する駆動方法では、所定速度のインク滴吐出を得るためのパルス電圧が小さくでき、記録ヘッドの省電力化が図れることが知られている。
しかし、このような第1ピーク近辺での駆動方法では、ノズル間での製造ばらつきによるノズル間速度や重量等の吐出特性ばらつきが大きくなるため、圧電素子駆動パルス幅をインク振動系固有周期の60〜100%に設定する等、ピークを避けて駆動する駆動方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−300613号公報
しかし、前述のヘルムホルツ共振の第1ピークを避けて駆動する駆動方法では、ノズル間吐出特性ばらつきは改善されるものの、所定のインク滴吐出速度を得るためには、圧電素子駆動信号のパルス電圧を高く設定する必要がある。このため、低電圧、省電力での駆動が難しくなり、ヘッドの駆動装置が大型化やコストアップになる。また、このような駆動効率低下をノズルの圧電素子の大型化等、ノズル構造で補完しようとすると、ノズル集積化に支障をきたしたり、ヘッドの小型化が困難になる問題があった。
本発明の第1の目的は、ノズル間での吐出特性のばらつきが小さく、且つ低い駆動電圧で省電力駆動可能な生産性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
本発明の第2の目的は、高品位な画像を高速に高信頼で記録できるインクジェット記録装置を提供することにある。
前記第1の目的を達成するため本発明の第1の手段は、インク加圧室の一部を形成するダイヤフラムと、そのダイヤフラムに取りつけられた圧電素子と、その圧電素子の変形によりインク滴を吐出するノズル開口を有し、前記圧電素子への駆動信号の印加でインク振動系ヘルムホルツ共振を生じてインク滴を吐出するノズルを複数備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記圧電素子が、インク振動系ヘルムホルツ共振のピークが生じるようなパルス幅の駆動パルス信号印加したときに、前記複数のノズルのインク吐出速度が揃うように再分極処理されていることを特徴とするものである。
前記第1の目的を達成するため本発明の第2の手段は、前記第1の手段において、前記再分極処理は、前記圧電素子の分極感度の調整と分極電圧の調整が組み合わされた処理であることを特徴とするものである。
前記第2の目的を達成するため本発明の第3の手段は、インクジェット記録ヘッドと、そのインクジェット記録ヘッドの駆動装置を備えたインクジェット記録装置において、前記インクジェット記録ヘッドが前記第1又は第2の手段のインクジェット記録ヘッドであることを特徴とするものである。
本発明によれば、ノズル間での吐出特性のばらつきが小さく、且つ低い駆動電圧で省電力駆動可能な、生産性の高いインクジェット記録ヘッドが実現できる。またノズルの高集積化、ヘッドの小型化やコストダウンも可能になる。更に、この記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置は、高品位な画像を高速に高信頼で記録を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を、図を参考にしながら説明する。図1は本発明による記録装置の構成と動作を説明するための構成図、図2は記録ヘッドの構造と動作を説明するための部分斜視図、図3は記録ヘッドの動作特性を説明するための図である。
本発明による記録装置は、記録ヘッド10と記録ヘッド駆動装置20を備える。前記記録ヘッド10はインク流路ユニット101と、そのユニット101を保持するヘッドハウジング102と、圧電素子ユニット103とから構成される。
前記インク流路ユニット101は図2に示すように、オリフィス板130、インク流路形成板142、ダイヤフラム形成板122がこの順に貼りつけられて構成されている。前記圧電素子ユニット103は、棒状圧電素子110を櫛歯状に圧電素子支持基板113に固着して構成されている。
この構造により記録ヘッド10には、n個のノズルが構成される。すなわち各ノズルは、図2のオリフィス板130に所定ピッチで列状に配置したn個のノズル開口131を有している。そしてノズル開口131を開口端とするインク加圧室140、このインク加圧室140にインクを導くインク流入口145、このインク流入口145にインクを供給する共通インク室150で構成される。
また、ダイヤフラム形成板122の貼りつけにより、インク加圧室140の少なくとも1壁面はダイヤフラム120で形成される。ダイヤフラム120のインク加圧室140と反対面には、圧電素子ユニット103の棒状圧電素子110の一端が取りつけられている。即ち、棒状圧電素子110の先端部がダイヤフラム120に突き当てられ、接着剤層を介してダイヤフラム120に取りつけられている。各ノズルの構造は同一構造である。
各棒状圧電素子110は、圧電素子支持基板113に接着等で取りつけられ圧電素子ユニット103を構成する。そして、圧電素子支持基板113の圧電素子配列方向の両側には柱状の圧電素子支持基板固定部114が設けられ(図1参照)、その底面がインク流路ユニット101に接着等で固定される。一方、インク流路ユニット101は、前記接着固定部の近傍でヘッドハウジング102に接着固定されているため、圧電素子支持基板固定部114の底面がヘッドハウジング102に対して固定されていることになる。
棒状圧電素子110は図2に示すように積層構造になっており、複数の層状圧電素子111が層状電極112を介して積層されている。前記層状電極112は、1つおきに棒状圧電素子110の側面に形成された共通電極1121と個別電極1122に接続される。前記共通電極1121と個別電極1122は圧電素子支持基盤113の上面に形成された共通電極1121と個別電極1122に接続され、更にフレキシブルケーブル160のフレキシブルケーブル端子161に接続される。
棒状圧電素子110の各層状圧電素子111は、残留分極1123を有している。この残留分極1123は共通電極1121と個別電極1122の間に分極電圧が印加されて形成される。残留分極1123の大きさは、圧電素材製造時の分極を一旦消極した上で、共通電極1121と個別電極1122の間に分極電圧を印加して再分極することで調整可能である。
本実施形態では、分極時の温度を常温の室温に保っておき、分極感度調整電圧及び分極電圧の印加状態を変えて残留分極1123の大きさを調整する方法をとっている。そして、各ノズル素子を構成する圧電素子110の分極感度調整電圧印加の有無と分極電圧値を、図1の圧電素子110の横に記載の「Y」または「N」の記号と数値で表示している。「Y」は分極感度調整電圧を印加した圧電素子110を、「N」は分極感度調整電圧を印加していない圧電素子110を、それぞれ表している。どのような基準で設定されているかに付いては後述する。図1においてノズル開口131の下方に付した番号1〜9は、後述するノズル番号を表している。
このような構成の記録ヘッド10は、フレキシブルケーブル160を介して記録ヘッド駆動装置20からの信号で駆動される。記録ヘッド駆動装置20は図1に示すように、記録データ信号作成回路302、圧電素子駆動データ信号作成回路303、圧電素子駆動スイッチング回路304、タイミング信号発生回路301、電素子駆動信号パルス発生回路305を備え、図に示すような接続関係になっている。
図示しない上位装置(例えばパーソナルコンピュータ)からの記録信号入力データに応じて、記録データ信号作成回路302で記録データ信号が作成され、そのデータ信号とタイミング信号発生回路301からのタイミング信号をもとに、圧電素子駆動データ信号作成回路303で圧電素子駆動データ信号が作成される。
圧電素子駆動データ信号作成回路303は、圧電素子駆動スイッチング回路304のスイッチング素子3041を制御する。そして、一個のスイッチング素子3041を介して圧電素子駆動信号パルス発生回路305に接続され、該スイッチング素子3041のON、OFFが、圧電素子駆動データ信号で制御されるスイッチング素子駆動回路3042により作動する。これにより各ノズルの圧電素子は圧電素子駆動信号パルスで駆動される。
なお、圧電素子駆動信号のパルス電圧の低電圧化と、圧電素子110を少ない電力で駆動できるようにするため、図3のような圧電素子駆動信号パルス波形において、そのパルス幅Pwは、ノズルのインク振動系ヘルムホルツ共振が起こるパルス幅Pw1に設定されていることが重要である。
図4は記録ヘッド用分極補正処理を説明するための特性図で、横軸に圧電素子駆動信号パルスのパルス幅Pwをとり、縦軸にインク滴吐出速度viをとっている。
同図(a)中の太い実線の曲線Aは、図1に示すノズル番号2に対応している圧電素子110に供給する圧電素子駆動信号パルスの、パルス電圧を37V一定の条件で、パルス幅Pwを変化させたときのインク滴吐出速度viを計測したインク滴吐出速度のパルス幅特性曲線である。
同図(a)に示すように駆動信号のパルス幅Pwを次第に広げていくと、これに伴いインク滴吐出速度viが次第に増大し、やがてピークとなり、このピークを生じた後に、今度は逆にパルス幅Pwの増大に伴いインク滴吐出速度viが低下していく。
このピークは、ノズル開口やインク加圧室の大きさを初めとするインク振動系のヘルムホルツ共振現象により生じるもので、最も信号パルス幅が小さい時生じるピークを第1ピークP1と呼ぶことにすると、引き続いてのパルス幅の増大に伴い、第2ピークP2、第3ピークP3のように複数のピークを生じる。そして隣接ピークを生じる圧電素子駆動信号パルス幅の間隔はヘルムホルツ固有周期となる。図中のP1、P2、P3は、この曲線Aでのピークを示している。
このようなヘルムホルツ共振を有するヘッドにおいて、ピーク近辺、特に第1ピークP1の圧電素子駆動パルス幅Pw1で駆動する駆動方法では、所定のインク滴吐出速度を得るためのパルス電圧Veを特に小さくできる。例えばノズル番号1において、7.5m/s程度の速度でインク滴を吐出する場合には10V程度でよい。図4(a)の細い実線の曲線Bはノズル番号3のPw特性、点線の曲線Cはノズル番号4の同特性である。このように他のノズルも同様なPw特性を示す。
しかし、各ノズルのPw特性曲線は互いにずれている。これはノズルの部品や組み立てのばらつきによるインク振動系のばらつきによるものである。図4(a)から明らかなように、第1ピークでのインク滴吐出速度viがノズル間で、大きくばらつく。このためパルス電圧Ve=10Vの一定駆動電圧のもとで、ノズル間のインク吐出ばらつき特性を調べると、図5(1)の点線のようになる。
このような速度ばらつきのある記録ヘッドで記録すると、記録画像の精度が落ちてしまう。以下、図1と図5を用いて詳しく説明する。
図1において各ノズル開口131の下方に延びる点線はインク滴30の飛翔軌跡を示す線である。この点線の矢印先端に位置する丸印のインク滴30の位置は、圧電素子110に駆動信号電圧が印加され、ノズル開口131からインク滴30が吐出されてから、一定時間経過後の飛翔位置を示している。
白丸が本発明実施前の飛翔位置であり、黒丸が実施後の飛翔位置である。黒丸のみの記載は本発明実施前後の飛翔位置が等しいことを示している。白丸印を横方向に繋ぐ点線は、本発明実施前における前記飛翔位置のばらつきの状態を分かり易くする参照用の線であり、実線は本発明実施後の同様の参照用の線である。
一方、図5(1)は、横軸にノズル番号をとり、縦軸にインク滴吐出速度をとって、各ノズルの圧電素子駆動電圧が10Vである場合の、分極補正前と補正後のノズル間でのインク吐出速度のばらつき特性例を示したものである。ノズル番号は図1の記録ヘッドのノズルに対応している。図中に記載の各ノズルの速度データプロットを横方向に繋ぐ点線(a)は、本発明実施前、すなわち補正前におけるノズル間吐出速度のばらつきの状態を分かり易く示す参照用の線である。またこの点線に対応する実線(b)は、本発明実施後、すなわち補正後の同様の参照用の線である。
この図から分かるように、本発明実施前の記録ヘッドのノズル間インク滴吐出速度は、7.5m/s近辺を中心に約6~10m/sの幅でばらついている。この速度ばらつきは、記録媒体(記録用紙)40への着弾位置をばらつかせ、記録装置の記録品質を劣化させる。
ノズル番号1及び3のインク滴吐出速度は約7.5m/sであり、ほぼ同じ値になっており、従って図1でのインク滴吐出方向での飛翔位置も近い。しかし、ノズル番号4、5、8の吐出速度は7.5m/sを超えており速い。そのためこれらノズルによるインク滴の飛翔位置はノズル番号1、3の飛翔位置より記録媒体に近い位置になる。逆にノズル番号2、6、7、9の吐出速度は7.5m/sより遅く、従ってこれらノズルによるインク滴の飛翔位置はノズル番号1、3の飛翔位置よりノズル開口に近い位置になる。
記録時、記録用紙を記録ヘッドに対して移動させながらインク滴を着弾させて記録するので、記録媒体への着弾位置は図1のインク滴飛翔位置のばらつきに対応してばらつき、記録画像品位を劣化させる。よって、記録装置の記録品質を確保するためには、ノズル間におけるインク滴吐出速度ばらつきをできるだけ小さくすることが必要である。
本発明では以下に説明するように、各圧電素子に所定の分極感度調整電圧と再分極電圧を適正に印加して、精度良く分極補正を行い、前記例のノズル番号1〜9の全てのノズルのインク滴吐出速度を図5(1)(b)のように7.5±0.3m/s程度以下のばらつき以内に揃えることができる。
図6は本発明による分極補正動作詳細を説明するフローチャートであり、図4、図5のインク滴吐出速度特性図を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る分極補正は図6示すように、S1〜S3を含む前処理工程、S4〜S6を含む分極感度調整工程、S7〜S10を含む分極電圧印加調整工程、S11を含む後処理工程の順番で実行される。
以下では、図1の記録ヘッドを構成する全ノズル9個が補正対象ノズルであり、これらノズルのノズル間速度ばらつき特性が補正前に図5(1)の(a)である場合を例にとって説明する。
前処理工程では、インク滴用の圧電素子駆動信号パルス幅Pwを、図4で説明した第1ピーク時の信号パルス幅Pw1に設定する(S1)。本実施形態では、信号パルス幅Pw1=5μsに設定する。そしてまず、全ノズルの圧電素子に付いて、一旦分極を消極する。その後、圧電素子に印加可能な最大の分極電圧、例えば90Vの圧電素子分極パルスで各ノズルの圧電素子を分極する。最大許容電圧分極は、圧電素子の素材や層厚などに基づいて予め決められる(S2)。
次にこの最大許容電圧分極状態で、全ノズルを前記パルス幅Pw1の圧電素子駆動信号パルスで各ノズルを吐出駆動し、吐出速度が最も遅いノズル、この例ではノズル番号2(図5(1)の(a)参照)が目標速度7.5m/sになるような吐出駆動電圧、例えば12Vを基準吐出駆動電圧として設定して、その駆動電圧で各ノズルを吐出駆動し、この時のノズル間のインク滴吐出速度ばらつきを測定する(S3)。
図5(2)の曲線(b)は、そのときのインク滴吐出速度ばらつきを示す曲線である。これによりノズル番号2以外の他のノズルの圧電素子を90V以下の適値分極電圧で再分極することで、吐出速度特性を減速できるので、全てのノズルの吐出速度を目標速度ばらつきの7.5±0.3m/s以下に調整できることになる。
しかし、本発明のように、ヘルムホルツ共振による第1ピークの圧電素子駆動パルス幅Pw1で圧電素子を駆動する場合には、図4(a)で説明したように、駆動パルス幅Pw1で駆動してもノズル間での速度ばらつきが大きい。従って、他のノズルに比べて吐出速度が速すぎるノズルが存在することが多く、このようなノズルに対する補正では、目標速度に補正するための分極電圧が低くなりすぎ、インク滴吐出信号での駆動に対する耐用性がなくなってしまう。このことが、ヘルムホル共振ピーク1で動作させるヘッドへの分極補正方式の適用に制限を与えていた。
そこで本発明では、分極補正限界吐出速度(本実施形態では10.5m/s)を予め決めておき、それよりも速いインク吐出速度のノズル、すなわち分極感度調整が必要なノズルを抽出する(S4)。図5(3)に示すように、本実施形態ではノズル番号4、5がこのノズルに当たる。そしてこの抽出ノズルに分極感度を低減するための分極感度調整パルス電圧を個別に計算して(S5)、各ノズルに対して計算された分極感度調整パルス電圧を印加する(S6)。
これにより、分極補正限界吐出速度10.5m/sを超える速度のノズル圧電素子の分極感度を低減させることができ。そして図5(3)の曲線(b)のように、最大許容分極電圧で分極しても、吐出速度が分極補正限界吐出速度を上回らないようにノズル番号4,5の圧電素子の分極感度を下げる。
次に分極電圧印加調整工程では、全ノズルを消極後(S7)、各ノズルについて吐出速度が7.5m/sに達するような分極電圧を分極電圧計算機構で求め(S8)、その計算結果に基づいた圧電素子分極パルス電圧を圧電素子に印加する(S9)。
すなわち図5(4)に示すように、各ノズルのインク滴吐出速度を7.5m/s近辺に設定し、ノズル間速度ばらつきを減少させるように各ノズルに対して分極補正する。
図1において圧電素子110の右横に付記した記号と数字は、以上の分極補正において各ノズルに作用させる分極感度補正パルス印加の有無(符号1125)と、分極パルスの電圧値(単位V 符号1124)を示している。分極感度補正パルスを印加したノズルは「Y」、印加しないノズルは「N」である。
本実施形態の場合、ノズル番号4、5には「Y」が付され、他のノズル番号のものには「N」が付されており、分極パルスの電圧値は個々に異なる。
これから分かるように、ノズル番号4、5はインク滴吐出速度が高速であるにもかかわらず、これらより低速のノズル番号8よりも高めの分極電圧になっている。これはノズル番号4、5のものは分極感度が低く調整設定されているためである。
各ノズルに圧電素子分極パルス電圧を印加して目標吐出速度(本実施形態では7.5m/s)に達したか否かの判定がなされ(S10)、目標吐出速度に達していないと、再び目標吐出速度になるような分極電圧を計算し直す。
分極パルス印加による補正後の後処理工程として、各ノズル圧電素子をエイジング駆動する(S11)。これにより分極状態が安定し、実使用中のインク吐出特性の変動を抑えることができる。
図4(b)は、本発明による分極補正ごのノズル番号2(曲線A)、ノズル番号3(曲線B)、ノズル番号4(曲線C)に付いて、圧電素子駆動信号の電圧値Veを37Vに設定して、インク吐出速度のパルス幅特性を測定した結果であり、先に説明した図4(a)に対応した図である。
本発明による前述の分極補正により、ヘルムホルツ共振第1ピークのPw=Pw1、即ち5μsにおいてインク滴吐出速度のピーク値速度が約30m/sに揃っていることが分かる。記録時にはこのピーク値速度を7.5m/s程度に設定するので、この時の圧電素子駆動信号の電圧値Veは12V程度になる。これに対してPwを本発明のようにPw1に設定せず、従来技術のようにPwをピークを外した8μs程度に設定すると、記録用のインク滴吐出速度7.5m/sを得るためには、20V以上の電圧値Veが必要である。従って本発明によれば、圧電素子駆動信号の電圧を約1/2程度に減少させることができ、これに伴い省電力化が可能である。また、省電力化によりノズルの高集積化、ヘッドや駆動回路の小型化やコストダウンも可能になる。
本発明の実施形態では、圧電素子駆動信号のパルス幅をPw特性の第1ピークに設定した。しかし第2ピーク以降のピークに設定しても本発明の効果が得ることができる。特に図4の実施形態で、第1ピークに設定したように、最大のピーク値を有するピークにPwを設定することが最も効果的である。
なお、前記実施形態による分極補正記録ヘッドでは、再分極処理は、圧電素子の分極感度の調整と分極電圧の調整が組み合わされた処理の実施形態に付いて説明したが、どちらか一方の処理によるものでも良い。特に、ピーク値でのノズル間インク滴吐出特性ばらつきが小さい場合には、圧電素子の分極電圧の調整のみによる処理で実施するのが簡便である。
また、前記実施形態では、再分極処理として圧電素子の分極感度の調整や分極電圧の調整によりインク滴吐出速度を補正する場合について説明したが、圧電素子の分極電圧の調整によりインク滴吐出体積も調整可能である。従って、以上実施形態におけるインク滴吐出速度をインク滴吐出体積に置き換えた実施形態により、同様に、インク滴吐出体積も高精度に補正でき、インク滴吐出体積ばらつき幅の少ない記録を行うことが可能である。このように本発明によれば、ノズル間のインク滴吐出特性のばらつきを、圧電素子の分極感度の調整や分極電圧の調整による再分極処理で減少させることができる。
本発明による記録ヘッド及び記録装置は、シリアル走査型インクジェット記録装置やライン走査型インクジェット記録装置に好適である。
シリアル走査型インクジェット記録装置では、本発明による記録ヘッドのオリフィス面を記録媒体に対向させて設置し、その記録ヘッドを連続記録媒体の連続方向と交叉する横方向に、インク滴を記録信号に応じて吐出しながら移動(主走査)させて一行分を記録し、その後連続記録媒体の連続方向に記録媒体を所定量紙送り(副走査)して、続いて次の行の画像を主走査して記録する。この主走査と副走査を繰り返して画像を記録する。
またライン走査型インクジェット記録装置では、本発明による記録ヘッド多数を、連続記録媒体の幅方向に、幅いっぱいに記録媒体面に対向して配置し、インク滴を記録信号に応じて噴射する。同時に記録媒体を連続記録媒体の長手方向に高速移動させて主走査する。この主走査とインク滴の吐出制御で走査線への記録ドット形成の制御を行い、記録画像を記録媒体上に得る。このような本発明によるインクジェット記録装置によれば、高品位画像を高速で印刷することが可能になる。
本発明は、記録媒体にインクで記録するインクジェット記録装置に限定することなく、生産物へのマーキング装置や塗膜装置等の工業用液体分配装置にも適用可能である。
本発明の実施形態に係る記録装置の構成と動作を説明するための構成図である。 その記録装置の記録ヘッドの構造と動作を説明するための部分斜視図である。 その記録ヘッドの動作特性を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る記録ヘッド用分極補正処理を説明するための特性図である。 本発明の実施形態に係る記録ヘッド用分極補正処理を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る記録ヘッド用分極補正処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
10:記録ヘッド、20:記録ヘッド駆動装置、30:インク滴、40:記録媒体、101:インク流路ユニット、102:ヘッドハウジング、103:圧電素子ユニット、110:圧電素子、111:層状圧電素子、112:層状電極、1121:共通電極、1122:個別電極、1123:残留分極、1124:分極パルスの電圧値、1125:分極感度補正パルス印加の有無、113:圧電素子支持基板、114:圧電素子支持基板固定部、120:ダイヤフラム、122:ダイヤフラム形成板、130:オリフィス板、131:ノズル開口、140:インク加圧室、142:インク流路形成板、145:インク流入口、150:共通インク室、160:フレキシブルケーブル、161:フレキシブルケーブル端子、301:タイミング信号発生回路、302:記録データ信号作成回路、303:圧電素子駆動データ信号作成回路、304:圧電素子駆動スイッチング回路、3041:スイッチング素子、3042:スイッチング素子駆動回路、305:圧電素子駆動信号パルス発生回路。

Claims (3)

  1. インク加圧室の一部を形成するダイヤフラムと、
    そのダイヤフラムに取りつけられた圧電素子と、
    その圧電素子の変形によりインク滴を吐出するノズル開口を有し、前記圧電素子への駆動信号の印加でインク振動系ヘルムホルツ共振を生じてインク滴を吐出するノズルを複数備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記圧電素子が、インク振動系ヘルムホルツ共振のピークが生じるようなパルス幅の駆動パルス信号印加したときに、前記複数のノズルのインク吐出速度が揃うように再分極処理されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記再分極処理は、前記圧電素子の分極感度の調整と分極電圧の調整が組み合わされた処理であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  3. インクジェット記録ヘッドと、そのインクジェット記録ヘッドの駆動装置を備えたインクジェット記録装置において、
    前記インクジェット記録ヘッドが請求項1又は2に記載のインクジェット記録ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107215098A (zh) * 2016-03-22 2017-09-29 精工电子打印科技有限公司 液体喷射头

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