JP2009159707A - ワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】 帰還ダイオードにワイドバンドギャップ半導体によるものを使用しても、該ダイオードの接合容量と浮遊インダクタンスによるリンギングを抑制しつつ、スイッチング素子のターンオン損失も低減できるワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路を提供する。
【解決手段】ワイドバンドギャップショットキバリアダイオード1およびスイッチング素子2を使用したスイッチング回路において、該スイッチング素子をターンオンさせ、スイッチング素子がオフしている期間に前記ダイオードに流れていた還流電流をゼロにした後、該ダイオードの接合容量と配線インダクタンスによる振動(リンギング)が過度にならないように、該スイッチング素子に印加される電圧の降下率を該スイッチング素子にて制御する制御回路を備えてあることを特徴とするワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
【選択図】 図1
【解決手段】ワイドバンドギャップショットキバリアダイオード1およびスイッチング素子2を使用したスイッチング回路において、該スイッチング素子をターンオンさせ、スイッチング素子がオフしている期間に前記ダイオードに流れていた還流電流をゼロにした後、該ダイオードの接合容量と配線インダクタンスによる振動(リンギング)が過度にならないように、該スイッチング素子に印加される電圧の降下率を該スイッチング素子にて制御する制御回路を備えてあることを特徴とするワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
【選択図】 図1
Description
本発明は半導体スイッチング素子を用いた電圧形インバータ回路およびチョッパ回路等において、該スイッチング素子がオフしている期間に負荷電流を還流させるダイオードがスイッチング素子に直結して必ず必要となるが、該ダイオードにワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを使用したスイッチング回路に関するものである。
半導体スイッチング素子を用いた電力用変換回路を代表する典型的なものとして、電圧形インバータについては単相ハーフブリッジインバータの場合を図7に、昇圧チョッパによる直流−直流変換器(以下、DC−DCコンバータと称す)について図8に、および降圧チョッパによるDC−DCコンバータについて図9に示すが、何れもスイッチング素子2(あるいは2’)とダイオード1(あるいは1’)が電流の流れる方向が逆になるような構成で直列接続されたものが使用されている。スイッチング素子2を導通させ、図7のインバータ回路では交流負荷となる4、および図8、図9に示すインダクタ5の如き誘導性要素に電流を流している状態で、スイッチング素子2をターンオフすると、これらの誘導性要素に流れていた電流は直ちにゼロとなり得ず、この電流を非導通となったスイッチング素子2以外に流れる経路を確保しなければならない。この経路の役割を果たすのがダイオード1である。なお、図7〜9はスイッチング素子としてトランジスタで示すが、スイッチング素子ならば如何なるものでも良い。
従来、ダイオードの半導体材料としてシリコン(Si)を用いたものが主流であり、ファーストリカバリーおよびソフトリカバリーのような性能向上が図られて、実用に供せられている。一方、環境問題から、さらなる電力変換の高効率化およびパワー密度(単位体積当たりパワー)の向上および電磁ノイズ低減が要求されている。しかしながら、シリコンダイオードでは導通時に蓄積された少数キャリアに起因するリカバリー電流(Irr)が未だ大きく、逆回復損失およびサージ電圧の発生により、高効率化およびスイッチング周波数を上げることによるパワー密度の向上に限界がある。ターンオンスイッチング損失の若干の犠牲の下に、スイッチング素子の電流立上り率(di/dt)を低減させることおよび前述のソフトリカバリーの効果によりダイオードの逆回復電流を緩やかにゼロに到達させることで、大きな振動(リンギング)の発生が十分に抑制されており、これによる問題は解決されている。
最近の半導体技術の進歩により、炭化シリコン(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体によるショットキバリアダイオードが開発されつつあり、SiCにおいては、1200Vのショットキーバリアダイオード(SiC−SBD)が市販されるようになってきた。このダイオードは少数キャリアの蓄積による逆回復電流が流れず、シリコン半導体に比し、バンドギャップが約3倍、絶縁破壊電界強度が約10倍および熱伝導率が約3倍あり、超低損失、高速スイッチング動作、高温での動作が可能などの利点があり、多いに期待されている。
同じ電圧定格で比較すると、シリコンの場合よりもチップの厚さを小さくできる。これによりダイオード電流がゼロとなり逆電圧が印加されると形成される空乏層によるカソード−アノード間の接合容量が大きくなるため、ダイオード電流がゼロ到達後の該容量と配線インダクタンスによる共振振動(リンギング)が大きくなりがちである。(非特許文献1参照)。
シリコンダイオードでは逆回復損失および若干のサージ電圧の発生はあるものの、ソフトリカバリー特性を適正にすることにより、電磁ノイズ源となる有害なリンギングを発生させないように対策されている。
これに対し、ワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを使用した場合にはダイオード自体では前述のリンギングの発生を抑制することは不可能であるが、例えばスイッチング素子のターンオン時の該スイッチング素子に流れる電流の立上り速度(di/dt)を緩和することで、ある程度抑制できる。
高尾和人他著「SiCショットキーバリアダイオードの高di/dtスイッチング特性」電気学会D部門論文誌124巻9号、2004年
高尾和人他著「SiCショットキーバリアダイオードの高di/dtスイッチング特性」電気学会D部門論文誌124巻9号、2004年
過度のリンギングを抑制させるために、スイッチング素子のスイッチング速度を下げ、電流の立上り速度(di/dt)を低減させると、電流の立上り期間中に該スイッチング素子に発生するターンオン損失を大幅に増大させてしまう。また通常、該スイッチング素子のターンオン時di/dtを低減するとスイッチング素子の電圧降下率も低減し、さらにターンオン損失を増大させ、ワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを使用した意義を喪失させてしまう。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、帰還ダイオードにワイドバンドギャップ半導体によるものを使用しても、該ダイオードの接合容量と浮遊インダクタンスによるリンギングを抑制しつつ、スイッチング素子のターンオン損失も低減できるワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路は、ワイドバンドギャップショットキバリアダイオードおよびスイッチング素子を使用したスイッチング回路において、該スイッチング素子をターンオンさせ、スイッチング素子がオフしている期間に前記ダイオードに流れていた還流電流をゼロにした後、該ダイオードの接合容量と配線インダクタンスにより、振動(リンギング)の振幅が任意に設定した値を超えないように、該スイッチング素子に印加される電圧の降下率を該スイッチング素子にて制御する制御回路を備えてあることを特徴とする。
前記ダイオードが炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、若しくは、ダイアモンドによるものであることが最適である。
前記ダイオードが炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、若しくは、ダイアモンドによるものであることが最適である。
本発明に係るスイッチング回路は、前記スイッチング素子として、電流増幅半導体を用いたことを特徴とする。
前記電流増幅半導体がバイポーラトランジスタ又はバイポーラ静電誘導トランジスタ(BSIT)であることが最適である。
前記電流増幅半導体がバイポーラトランジスタ又はバイポーラ静電誘導トランジスタ(BSIT)であることが最適である。
本発明に係るスイッチング回路は、前記スイッチング素子として、電圧制御半導体を用いたことを特徴とする。
前記電圧制御半導体が絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)又は電界効果形トランジスタ(FET)であることが最適である。
前記電圧制御半導体が絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)又は電界効果形トランジスタ(FET)であることが最適である。
しかして、本発明は帰還ダイオードにワイドバンドギャップ半導体によるものを使用しても、該ダイオードの接合容量と浮遊インダクタンスによるリンギングを抑制しつつ、スイッチング素子のターンオン損失も低減できるようになる。
先ず、ダイオード電流がゼロに達した後のスイッチング素子の電圧の降下率とリンギングの大きさの関係について述べる。
非特許文献1によると、スイッチング素子2のターンオン時の電流立上り率(di/dt)が大きいほどリンギングが大きくなると述べられているが、本発明者の実験によると、ダイオード電流がゼロとなる以前の電流立上り率(di/dt)の大小はリンギングの大きさにほとんど影響を与えず、ダイオード1の電流がゼロ到達後のスイッチング素子2の電圧の減少率(時定数TR)の大きさが大きく影響することが実験にて確認されている。これを確認するためにダイオード電流がゼロ到達後に起こるリンギング現象を回路理論的に解析する。
前述したようにスイッチング回路の基本形は図1で表され、1はワイドバンドギャップショットキダイオードである。ワイドバンドギャップショットキバリアダイオード1は、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、若しくは、ダイアモンドによるものであると最適である。2はスイッチング素子であり、トランジスタの記号で示してあるがスイッチング素子であればどのようなものでも良いが、バイポーラトランジスタやバイポーラ静電誘導トランジスタ(BSIT)に代表される電流増幅半導体、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)や電界効果形トランジスタ(FET)に代表される電圧制御半導体であることが最適である。
3は直流電源であるが通常、高周波インピーダンスが低くキャパシタンスが大きいコンデンサが並列に接続されるが、図1では電池の記号のみで示す。4は誘導性負荷としてのインダクタ、51および61はダイオード1の分岐に存在する抵抗および浮遊インダクタンスをそれぞれまとめて示したもの、52および62はダイオード1の分岐以外に存在する抵抗および浮遊インダクタンスをそれぞれまとめて示したものである。10は制御回路であり、スイッチング素子2の制御端子に接続してある。
制御回路10よりスイッチング素子2がオフする信号を出力して、スイッチング素子2がオフし、負荷インダクタ4の電流がダイオード1、抵抗51および浮遊容量61に還流している状態で、スイッチング素子2をターンオンさせるが、負荷インダクタ4のインダクタンスは大きく、スイッチング素子2のターンオン直後の極短時間内では該インダクタ4の電流の減少は僅かで、定電流源と考えて差し支え無い。スイッチング素子2がターンオンすると、スイッチング素子2がオンへ移行する状態にしたがって、該インダクタ4の電流の一部が該スイッチング素子2に流れ始め、その分ダイオード1に流れる電流が減少する。この電流の減少率(di/dt)は該スイッチング素子2の種類や駆動方法によって変化する。ダイオード1は少数キャリアの蓄積による逆回復電流が無く、電流がゼロとなると直ちに空乏層を形成し、逆電圧が印加される。この空乏層が静電容量として働き、電圧に依存する接合容量となる。
ダイオード1の電流がゼロになった後、負荷インダクタ4の電流はスイッチング素子2、電源3、抵抗52および浮遊インダクタンス62に流れるが、これは前述したように定電流源であるため、時間的に変化の無い電流であり、抵抗52の内の直流抵抗分による電圧降下の影響があるが、この分を電源電圧から差し引いておけば、ダイオード1に流れる高周波電流を解析する時、負荷インダクタ4の電流は考慮しなくても良い。したがって、ダイオード1の電流がゼロになった後の等価回路は図4のようになる。図4において、3は負荷インダクタ4の電流による直流抵抗による電圧降下を差し引いたEの電圧となる直流電源、5は電流経路内の全ての抵抗(=51+52、リンギングは非常に高い周波数となるので表皮効果、近接効果による高周波抵抗も考慮)をまとめたもので抵抗値をr、6は電流経路内の全ての浮遊インダクタンス(=61+62)をまとめたものでインダクタンスをL、および7はダイオード1の空乏層による接合容量で電圧依存性を持つ。8はスイッチング素子2の電圧vS(t)で、ダイオード電流がゼロの時に、電圧ERから時定数TRの指数関数で減少するものとし、下式で表す。
以下、リンギング電流およびダイオード電圧を表す式を算出するが、接合容量が電圧依存性を有するため、時間を微小期間に区切り、n番目の期間(tn)におけるリンギング電流およびダイオード電圧の初期値をInおよびEnとし、Enにおける接合容量cnを用い、n番目期間の開始時間をt=0として、該期間のリンギング電流iD(t)は、
となり、(2)式(数2)の第1項は接合容量7を直流的に充電する電流を、第2項はリンギングの高周波電流を表している。
これを確認するためにテストした回路の定数はE=300(V)、L=86(nH)、r=0.3(Ω)であり、また、接合容量は実際にテストに使用したSiCダイオードにDCバイアスを印加し実測したデータを下に作成した下記に示す近似式を使用した。
ダイオードの電流および電圧を(2)および(3)式(数2及び数3)よりn=0から順次計算しプロットしたものを、図5に示す。
スイッチング素子2の電圧降下の時定数TRについて15、30、50、70nsecの4点ついて行った(参考としてc=1.16nFとした時のωにおける電気角ωTRはそれぞれ1.5、3、5、および7(rad)である。)。
全体的には実測結果に良く合致しており、前述の計算式が妥当であることが確認されている。また、図5から判るように、ダイオード電流がゼロとなった後スイッチング素子2の電圧降下時定数TRが15nsecと速い時にはダイオード1のリンギング電流、電圧ともに大きく、特に電圧は直流電源電圧(300V)の2倍以上まで跳ね上がっており、ダイオード1の定格電圧の上昇を余儀なくされたり、電磁ノイズ源となるので対策が必要となってくる。これに対しスイッチング素子2の電圧降下の時定数TRが70nsecの場合には、ダイオードのリンギング電流は小さい。また、経験則よりダイオード1のサージを含めた定格電圧の概ね70%以下(厳密に70%以下である必要はないとの意味)であれば、リンギングが過度の状態とは言わないが、上記場合においては、その過度の状態にはならず、電圧も若干の振動を伴いながら直流電源電圧に向かって時定数に従いながら上昇して行き、直流電源電圧を越える量は僅かである。これによりダイオード電流がゼロ到達後のスイッチング素子2の電圧降下の速度がリンギングの大きさに大きく影響することが回路理論的にも裏付けされた。
スイッチング素子2をターンオンさせ、該スイッチング素子2の電流が立上り、負荷電流ILに到達するまではダイオード1が導通しており、電流の変化率(di/dt)と浮遊インダクタンス6(インダクタンス=L)で決まる電圧(Ldi/dt)を直流電源電圧から減算した電圧がスイッチング素子2に印加されている。該スイッチング素子2の電流と電圧の乗算値を時間積分したものは該スイッチング素子のターンオン損失となる。したがって、前述したように、過度のリンギングを抑制させるために、該スイッチング素子2のスイッチング速度を下げ、該スイッチング素子2の電流の立上り速度(di/dt)を低減し、立上がり時間(Tr)を延ばすとターンオン損失を増大させてしまう。また通常、該di/dtを低減するとダイオード電流がゼロとなった後のスイッチング素子2の電圧降下時間(時定数TR)も増大し、ダイオード電流がゼロに達した後、全負荷電流+リンギング電流が流れているスイッチング素子2に電圧を有する時間を延ばし、さらにターンオン損失を増大させることになる。
以下、本願発明を実施例について図を参照しながら説明する。
図2に示すバイポーラトランジスタのベース電流をパラメータとしたコレクタ−エミッタ間電圧(VCE)とコレクタ電流(IC)の関係を示す出力特性図を用いて、バイポーラトランジスタ(BJT)あるいはバイポーラ静電誘導トランジスタ(BSIT)のような電流増幅半導体をスイッチング素子2として使用したスイッチング回路において、150Aの負荷インダクタ電流がダイオード1に流れている場合に、該スイッチング素子2をターンオンした後の動作を説明する。スイッチング素子2がオフしている時はベース電流がゼロでコレクタ電流が流れず、コレクタ−エミッタ間電圧(VCE)に直流電源電圧Eが印加されている状態で、図2のA点にある。この状態でスイッチング素子2のベースにベース電流(IB)を流すと、該ベース電流に増幅率βを乗じたコレクタ電流が流れ、スイッチング素子2のコレクタ−エミッタ間電圧(VCE)とコレクタ電流(IC)の関係は図2のA点からB点まで点線で示す軌跡を描く。
したがって、時間Tr内にベース電流をゼロからIB4まで増加すれば図2のB点に到達し、スイッチング素子2のコレクタ電流ICはIL(=150A)に到達し、ダイオード1に流れる電流はゼロとなり、ダイオードの接合容量と浮遊インダクタンスとによるリンギングの振動が始まる。このリンギングによりB点からC点(ダイオード電流がゼロになってから時定数TR後の状態)に到る軌跡は複雑となるが、直流成分のみについては図2のB点からC点の点線で示す軌跡として良い。
A点からB点に移行する期間ではスイッチング素子2の大きなコレクタ−エミッタ間電圧およびコレクタ電流が同時に存在し、両者の乗算の時間積分したものはスイッチング素子2のターンオン損失となる。したがって、A点からB点への移行時間(Tr)は可能な限り早くし、ターンオン損失を低減させることが必要となる。通常のスイッチング素子のターンオンのためのベース制御回路ではA点からB点への移行を早くすると、B点からC点の移行も早くなる。
しかしながら、前述のように、B点からC点の移行を早く(TRを小さくする)すると大きなリンギングが発生してしまうので、B点からC点への移行を故意に遅くする。例えばB点からC点への移行時間(TR)をA点からB点への移行時間(Tr)の1/2の50nsecにすれば、リンギングによる電圧上昇を直流電源電圧の128%以内に抑えることができる。なお、時間軸上でのA、BおよびC点は図6に概念的に示す。
スイッチング素子2に電圧制御素子である絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を使用てもよく、詳細な説明は省略するが、図3のIGBTのゲート−エミッタ電圧をパラメータとしたコレクタ−エミッタ間電圧(VCE)とコレクタ電流(IC)の関係を示す出力特性図にて、実施例1と同様に、A点からB点、B点からC点の移動を同じ時間経緯で、ゲート−エミッタ電圧を制御すれば良い。
上記の実施例ではTR=2Trに選択したが、必ずしもこの値にする必要が無く、ターンオン損失の大きさとリンギングの大きさのトレードオフの関係にある。また、上述の2つの実施例において、B点からC点への移行時間を遅らせる方法については、スイッチング素子の電圧を検知し、該スイッチング素子のベース−エミッタ(もしくはゲート−ソース)に帰還を掛けるなどの公知の技術があるので、これについての説明は省略する。
以上説明したように本発明によれば、電圧形インバータ等に用いるスイッチング回路のダイオードにワイドバンドギャップ半導体を用いた場合に、スイッチング素子のターンオン時に発生する、この種のダイオード特有の接合容量と浮遊インダクタンスとのリンギングが過度とならない方法を提供し、ターンオン損失の増加を抑制しつつワイドバンドギャップショットキバリアダイオードの特長を有効に利用でき、運転効率の向上、小形軽量の電力変換器を構築できパワーエレクトロニクス分野において実用上の利点が顕著な装置を提供できる。
1、1’ ダイオード
2、2’ スイッチング素子
3 直流電源
4 負荷インダクタ
5 全ての浮遊抵抗をまとめた抵抗
51 浮遊抵抗のうちダイオードを含む分岐に存在する抵抗
52 残りの浮遊抵抗
6 全ての浮遊インダクタをまとめたインダクタ
61 浮遊インダクタのうちダイオードを含む分岐に存在するインダクタ
62 残りの浮遊インダクタ
7 ダイオードの接合容量
2、2’ スイッチング素子
3 直流電源
4 負荷インダクタ
5 全ての浮遊抵抗をまとめた抵抗
51 浮遊抵抗のうちダイオードを含む分岐に存在する抵抗
52 残りの浮遊抵抗
6 全ての浮遊インダクタをまとめたインダクタ
61 浮遊インダクタのうちダイオードを含む分岐に存在するインダクタ
62 残りの浮遊インダクタ
7 ダイオードの接合容量
Claims (6)
- ワイドバンドギャップショットキバリアダイオード(以下、単にダイオードとする)およびスイッチング素子を使用したスイッチング回路において、該スイッチング素子をターンオンさせ、スイッチング素子がオフしている期間に前記ダイオードに流れていた還流電流をゼロにした後、該ダイオードの接合容量と配線インダクタンスにより、振動(リンギング)の振幅が過度となる任意に設定した値を超えないように、該スイッチング素子に印加される電圧の降下率を該スイッチング素子にて制御する制御回路を備えてあることを特徴とするワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
- 前記ワイドバンドギャップショットキバリアダイオードが炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、若しくは、ダイアモンドによるものであることを特徴とする請求項1に記載のワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
- 前記スイッチング素子として、電流増幅半導体を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
- 前記電流増幅半導体がバイポーラトランジスタ又はバイポーラ静電誘導トランジスタ(BSIT)であることを特徴とする請求項3に記載のワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
- 前記スイッチング素子として、電圧制御半導体を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
- 前記電圧制御半導体が絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)又は電界効果形トランジスタ(FET)であることを特徴とする請求項5に記載のワイドバンドギャップショットキバリアダイオードを用いたスイッチング回路。
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