JP2009158551A - 電子発光光源用定電流発生器システム - Google Patents

電子発光光源用定電流発生器システム Download PDF

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Abstract

【課題】負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、保守メンテナンス負担を軽減することができる電子発光光源用定電流発生装置システムを提供する。
【解決手段】商用交流電源とコンデンサと出力変成器一次側巻線とが直列に接続され、出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが出力変成器一次側巻線に設けられた定電流発生器100と、電子発光光源を内装した負荷回路とを備え、負荷回路300〜700が複数個直列に定電流発生器100に接続されており、負荷回路300〜700の各々が、該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器302〜702と負荷回路を短絡させる回路接点器301〜701とを有することによって、前記課題を解決する。
【選択図】図4

Description

本発明は、LED(発光ダイオード)やHIDランプ(高輝度放電灯)などの電子発光光源の電源に関し、さらに詳しくは、飛行場灯火のように配線距離が長く広範囲に配設された多数の灯火からなる照明設備を点灯するための電子発光光源用電源システムに関するものである。
一般に、飛行場では、天候不順による視界不良時や夜間であっても、航空機を安全に運行させるために、各種飛行場灯火が配設されている。これらの飛行場灯火としては、着陸機に対して、最終進入経路を示す進入灯、滑走路の輪郭を示す滑走路灯、誘導路及びエプロン(飛行機を停めておくエリア)の縁を示す誘導路灯などが挙げられる。
このような飛行場や、高速道路、トンネル、公園などの公共施設では、広範囲にわたってタングステンランプやハロゲンランプなどの熱発光光源を内装した多数の灯火が配設されるため、これらの多数の灯火に対して電力を供給するためには、非常に長い距離の配線が必要となる。そのため、この配線による電力損失を考慮して各灯火の光度を均一に保つ必要があると共に、何れかの灯火に不点灯が発生しても他の灯火を安定して点灯させる灯火システムが必要である。
さらに、前述した灯火システムでは、昼間であるか夜間であるかや、気象状況に応じて灯火の視認性が変化するため、これらの状況の変化に応じて灯火の輝度を調整する必要がある。例えば、周辺照度が高い、すなわち周りが明るい昼間では灯火の視認性が低下するため、灯火の輝度を高くする必要がある。一方、周辺照度が低い、すなわち周りが暗い夜間では灯火の視認性が良好であるため、灯火の輝度を低くすることによって消費電力を削減することができる。
このような用途に適した電源装置として、本発明者は、図5に示したような定電流光度調整装置200を開発した。この定電流光度調整装置200は、商用交流電源210と、この商用交流電源210に直列に接続され、商用交流電源210の出力と所定の共振条件を満たす時定数を有し、負荷変動に無関係な一定な正弦波交流電流Iを出力する共振回路220と、一次側巻線230Pが共振回路220の出力に直列接続された出力変成器230とを有している。
さらに、比較的長い距離の配線280を介して出力変成器230の二次側巻線230Sにそれぞれ直列接続された複数の灯火240と、任意の期間だけ一次側巻線230Pに流れる正弦波交流を短絡する分流回路250と、電流検出器270により検出された出力変成器230の二次側電流すなわち負荷電流ILに基づいて、共振回路220から出力される正弦波交流電流Iの1サイクルを単位として分流回路250を短絡制御(サイクル制御)することにより、負荷電流ILの大きさを調整するサイクル制御回路260とを有している。
このような定電流光度調整装置200は、商用交流電源210に対して共振回路220が直列接続されており、所定の共振条件を満たすように、コンデンサ220Aとリアクトル220Bとから決定される時定数と、交流電源出力の周波数、電圧、電流とを選択することにより、負荷の変動に無関係な一定の電流Iが得られる。この電流Iは、出力変成器230の一次側巻線230Pに供給され昇圧され、出力変成器230の二次側巻線230Sに直列接続されたそれぞれの灯火240に一定の負荷電流ILとして等しく供給される。
これにより、出力変成器230から各灯火240への配線280が非常に長い場合であっても、各灯火240の熱発光光源240Bには、絶縁トランス240Aを介して等しい電流が供給されるものとなり、各熱発光光源240Bを均一な光度で点灯させることができる。なお、任意の熱発光光源240Bが不点灯となっても絶縁トランス240Aにより負荷側の直列回路が断線されることがないので、他の熱発光光源240Bへの影響は生じない。また、分流回路250は、互いに極性が逆方向となるように並列接続されたサイリスタ250A、250Bから構成されており、短絡動作時には、正弦波交流がプラス側の期間にはサイリスタ250Aがオンとなり、マイナス側の期間にサイリスタ250Bがオンとなる。
図6は、図5に示した従来の定電流光度調整装置200の各部の信号を示す信号波形図で有り、ここでは、共振回路220から出力される電流Iの正弦波8周期分(周期T1)のうち1周期分(周期T2)を短絡する場合が例として示されている。サイクル制御回路260は、電流検出器270を介して検出された負荷電流ILに基づいて、所望の負荷電流ILを得るための波数比R=T2/T1を算出する。例えば、波数比R=1/8の場合には、図6に示すように、電流Iの正弦波8周期分(周期T1)分のうち1周期分(周期T2)分を短絡するように分流回路250を制御する。その結果、灯火240に供給される電流は、7/8に減少する。そして、波数比Rを変えることにより灯火240に供給される電流を可変することができる(例えば、特許文献1参照)。
特許第3364407号公報
ところが、前述した従来の定電流光度調整装置200では、出力変成器230の一次側に流れる電流Iaを所定の波数比Rで短絡させることにより、負荷電流ILの調整を行っているため、例えば、商用交流電源210の周波数が50Hzであるとした場合、負荷電流ILの刻み幅は、2%となり、それ以下の電流調整は不可能であるという課題があった。
また、負荷電流ILを低減させるためには、所定の波数比Rで負荷電流ILを短絡させているため、負荷電流ILを低減させていくにつれて灯器240がちらつくという課題があった。
しかも、従来の定電流光度調整装置200では、図5に示したように、共振回路220、分流回路250、サイクル制御回路260などが必要であり、回路構成が複雑となると共に、共振回路220が大型のリアクトル220Bを必要とするため、装置が大型化するという課題があった。
さらに、灯火のグローブ(光源を覆っている部材)に埃が付着し次第に輝度が低下するため、灯火の寿命がまだ尽きていないのに、グローブを磨いたり、光源を交換したりしなくてはならないという保守メンテナンス上の課題があった。
一方、近年、広範囲にわたって多数の灯火を配設する灯火システムにおいては、消費電力やメンテナンス性を考慮し、光源として前述したようなタングステンランプやハロゲンランプなどのフィラメントを用いたランプ、いわゆる熱発光光源ではなく、効率よく所望の発光色が得られ、かつ球切れ(フィラメントの断線)の心配がなく長寿命なLEDやHIDランプなどのフィラメントを有していない、いわゆる電子発光光源の導入が検討されている。
しかしながら、従来用いられていた、タングステンランプやハロゲンランプなどの熱発光光源では、図7及び図8に示すように、負荷電流に対する光源の輝度が三次曲線に沿った電流−輝度特性を有しているため、例えば、負荷電流が6.6Aの時に輝度が100%であった場合、0.2%の輝度に調整する場合であっても、2.8Aの負荷電流が必要であった。その結果、微少な負荷電流量の供給及び調整は必要ではなく、前述したような定電流光度調整装置200で十分に対応可能であった。
これに対して、光源としてLEDやHIDランプなどの電子発光光源を用いる場合には、負荷電流に対する光源の輝度が一次曲線に沿った電流−輝度特性であるため、例えば、LEDを用いた場合であって、前述と同様に負荷電流が6.6Aの時に輝度が100%とした場合、0.2%の輝度に調整する場合、必要な電流は、0.01A程度の微少な負荷電流となるため、微少な負荷電流量の供給と調節が要求される。したがって、前述したような定電流光度調整装置200では、微少な負荷電流量を精度良く調整することができないため、電子発光光源を用いた灯火システムには対応できないという問題があった。
しかも、電子発光光源を用いた灯火システムにおいては、輝度を0.2%に下げた場合、必要な電流は輝度が100%の時の0.2%で良いのに対して、従来の熱発光光源を用いた灯火システムでは、輝度を0.2%に下げた場合であっても、輝度が100%の時の40%以上の電流が必要であり、エネルギー効率がきわめて悪いという問題があった。
また、前述したような従来の定電流光度調整装置200は、各灯火240が絶縁トランス240Aを介して直列に接続されてた1つの負荷回路への電力供給のみしか想定しておらず、複数の負荷回路を直列に接続して、任意の負荷回路を他の負荷回路の点灯・消灯状態に影響を与えることなく点灯・消灯させる手段が提供されていないため、飛行場で使われる進入灯や誘導路灯等を緻密なフライトスケジュールに合わせて個別に点灯・消灯させるという高度なユーザーニーズに対応することができなかった。
さらに、地球温暖化が深刻な社会問題となっている昨今、省エネルギー化によりCO排出量削減に寄与する電子発光光源を用いた灯火システムの開発に高い関心が集まっている。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、LEDやHIDランプなどのいわゆる電子発光光源を用いた複数の灯火が直列に接続されている負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、灯火の保守メンテナンス負担を軽減することができる電子発光光源用定電流発生装置システムを提供することを目的とする。
まず、本請求項1に係る発明は、商用交流電源とコンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えた電子発光光源用定電流発生器システムであって、前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が、該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器とを有することにより、前記課題を解決したものである。
なお、本発明において、「電子発光光源」とは、LEDやHIDランプなどのフィラメントを有しておらず、負荷電流に対する光源の輝度が一次曲線に沿った電流−輝度特性である光源を総称しているが、耐久性や耐衝撃性、寿命などの点で電子発光光源にLEDを用いることが特に好ましい。また、本発明において、「商用交流電源」とは、電力会社から供給される電圧が100V又は200Vで周波数が50Hz(東日本)又は60Hz(西日本)である電源を意味しているが、周波数が400Hz程度以下の低周波交流電源であれば、商用交流電源に換えて利用可能である。さらに、本発明において、「定電流発生器」とは、従来の定電流電源装置のように負荷に対して所定の定電流が流れるように電圧を変化させるものではなく、負荷変動に関係なく、すなわち負荷が短絡状態であっても常に一定の電流を供給可能であるという点で従来の定電流電源装置とは定電流発生原理が全く異なるものである。
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
また、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、前記電子発光光源が、LEDであることにより、前記課題をさらに解決したものである。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムは、出力電圧がV(ボルト)である商用交流電源と蓄積電荷Q(クーロン)のコンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えたというきわめて簡単な構成によって、蓄積電荷Qは固定であるため、出力変成器の一次側巻線には、定電流I=QVが流れるので、前記出力変成器の二次側巻線に直列接続された負荷(点灯する電子発光光源の数や配線の長さになどによって決まる)が増減した場合であっても、例えば、負荷が短絡した場合であっても電源電圧に影響が波及せず、出力変成器の二次側へ常に安定した定電流供給が実現できる。その結果、出力変成器の二次側を短絡させた状態で定電流発生器の動作状態を点検することができる。また、複数の灯火が一筆書きのように一本の配線で直列に接続されるため、2本の配線で各灯火に電力を供給する場合に比べて配線の量を大幅に削減でき省資源化に貢献する。
さらに、前記一次側巻線に流れる定電流Iと選択された入力側切換タップまでの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)が、前記二次側巻線に発生する交流定電流Iと二次側巻線の巻数Tとの積I・T(アンペアターン)が一定、すなわちI・T=I・Tの関係が成立し、Iが前述したように一定で、Tを固定とした場合、各入力側切換タップまでの巻数Tに比例した交流定電流Iが前記出力変成器の二次側巻線に発生するので、電子発光光源に通電される負荷電流を100%通電から、例えば、0.2%という微少な通電まで入力側切換タップの切り換えによって精度良く調整することができる。
しかも、この調整は出力変成器の二次側巻線に発生する正弦波である交流定電流Iの振幅の大きさを変化させることによって達成されるため、負荷電流を低減させていった場合であっても灯火がちらつくことなく、良好な視認性を発揮させることができる。さらに、電流式のタップ切換は、電圧式のタップ切換と異なり、タップ間に電位差が発生しないため絶縁破壊などの故障の発生が抑制され、装置の安全性が向上する。
加えて、以下のような各請求項に特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、負荷回路が複数個直列に定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が、該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器とを有していることによって、定電流発生器の出力は負荷の大きさに関わらず常に一定の定電流が流れるため、消灯したい負荷回路を回路接点器によって短絡させるだけで、他の負荷回路の点滅状態に影響を与えることなく消灯することができる。また、点灯したい負荷回路を開閉器によって直列回路に組み入れた後、回路接点器を開放するだけで、他の負荷回路の点滅状態に影響を与えることなく点灯することができる。
また、本請求項2に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、請求項1に係る電子発光光源用定電流発生器システムが奏する効果に加えて、出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることにより、灯火のグローブに埃が付着し輝度が低下した場合であっても前記出力側切換タップの切り換えによって灯火に流れる負荷電流を増加させて輝度の低下を補償することができるので、熱発光光源に比べて長寿命である電子発光光源を運用途中で特別な保守を繰り返すことなく、電子発光光源の寿命が尽きるまで安全要求輝度100%を維持することができる。
また、本請求項3に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、請求項1又は請求項2に係る電子発光光源用定電流発生器システムが奏する効果に加えて、電子発光光源がLEDであることにより、LEDは半導体を用いたpn接合と呼ばれる固体構造で作られており、この構造の中で電子の持つエネルギーを直接、光エネルギーに変換することで発光し、巨視的には熱や運動の介在を必要としないので、優れた耐久性や耐衝撃性、長寿命化、高効率化を実現できる。
しかも、ハロゲンランプのような熱発光光源においては、過電流によってフィラメントが溶断することを防ぐために過電流継電器を設置する必要があったが、LEDは、多少の過電流が流れたとしても素子が溶断することがなく過電流継電器を設置する必要がないので、装置構成の簡略化を図ることができる。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムは、商用交流電源とコンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備え、前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が、該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器とを有しており、負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、灯火の保守メンテナンス負担を軽減することができるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
本発明の一実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施例である電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の一つである定電流発生器の回路図であり、図2は、電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の別の一つである負荷回路の回路図である。図3は、5つの負荷回路が全て消灯状態で直列に定電流発生器に接続された時の回路図であり、図4は、5つの負荷回路のうち3つの負荷回路が点灯状態で直列に定電流発生器に接続された時の回路図である。
本発明の実施例である電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の一つである定電流発生器100は、図1に示すように、商用交流電源110と一定の蓄積電荷Q(静電容量C)を有するコンデンサ120と出力変成器130の一次側巻線130Pとが直列に接続されている。そして、出力変成器130の二次側巻線130Sには、図3に示すように電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている5つの負荷回路300、400、500、600、700が、これらの負荷回路の各々を直列回路から切り離す開閉器302、402、502、602、702とこれらの負荷回路の各々を短絡させる回路接点器301、401、501、601、701を介して接続されている。
負荷回路300、400、500、600、700は、例えば、飛行場の進入灯、滑走路灯、誘導路灯などの用途に応じて、適宜必要数の灯火が直列に接続されている。その一例として負荷回路300の回路構成を図2に示す。なお本実施例に於いては、灯火を構成する電子発光光源としてLEDを用いている。
図2に示したように、直列に接続された複数の灯火に内装された電子発光光源300Bの任意の一つが不点灯になっても他の電子発光光源300Bが影響を受けないようにするため、負荷回路300を構成する各灯火には、絶縁トランス300Aを備えている。そして、電子発光光源300Bに加わる逆方向電流を遮断するための逆流防止ダイオード300Cが電子発光光源300Bと直列に接続されている。なお、逆流防止ダイオード300Cを用いて電子発光光源300Bに加わる逆方向電流を遮断することに換えて2つの電子発光光源300Bを互いに極性が逆方向となるように並列接続したものを絶縁トランス300Aの二次側に接続しても良い。この場合、正弦波交流電流の正方向通電時及び逆方向通電時に2つの電子発光光源300Bが交互に点灯し、エネルギー効率が向上すると共に、負荷回路300を構成する灯火のちらつきが一層低減し、その効果は甚大である。
さらに、出力変成器130の二次側巻線130Sに発生する交流定電流Iの振幅を線形に変化させるための複数の入力側切換タップ130Aが、出力変成器130の一次側巻線130Pに設けられている。この入力側切換タップ130Aは、要求される輝度(%)の変更段階、例えば、図7に示すように、100%、30%、25%、10%、5%、1%、0.2%と一次側巻線130Pの巻数が比例関係になるように設けられている。なお、図1においては、5%、1%、0.2%に対応する入力側切換タップは、記載を省略している。
そして、出力変成器130における電圧降下は、コンデンサ120の端子間電圧に比べて十分に小さいため、商用交流電源110の出力電圧がV(ボルト)で一定であり、コンデンサ120の蓄積電荷がQ(クーロン)で固定、例えば、200μFであることによって、出力変成器130の一次側巻線130Pには、定電流I=QVが流れる。さらに、この定電流Iと選択された入力側切換タップまでの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)と、二次側巻線130Sに発生する交流定電流Iと二次側巻線130Sの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)とが一定、すなわちI・T=I・Tの関係が成立するため、Iが前述したように一定で、二次側巻線130Sの巻数Tを固定とした場合、各入力側切換タップまでの巻数Tに比例した交流定電流Iが出力変成器130の二次側巻線130Sに発生する。
その結果、入力側切換スイッチ130Bによって、所望の入力側切換タップ130Aを選択することにより、出力変成器130の二次側巻線130Sに一次側巻線130Pの巻数Tに比例した交流定電流Iを発生させることができる。例えば、Tが1000ターンでありTがTの3倍の3000ターンとした場合、Iを20Aの定電流とすることによって、IとしてIの3分の1の6.6Aの定電流が得られる。そして、Tを全巻数の30%である300ターンに切り替えることによって、Iとして、6.6Aの30%である1.98Aの定電流が得られる。
また、本実施例を構成する定電流発生器100は、図1に示すように、出力変成器130の二次側巻線130Sに、例えば、全巻数に対して0%、1%、3%、5%という細かい間隔で巻数を減少させる複数の出力側切換タップ130Cが設けられている。そして、出力側切換スイッチ130Dによって、所望の出力側切換タップ130Cを選択することにより、前述したI・T=I・Tの関係において、二次側巻線130Sの巻数Tを若干減少させることができるため、負荷に供給される交流定電流Iの振幅を微増(数%の上昇)させることができる。これにより、灯火のグローブに埃が付着して輝度が低下した際に初期の輝度を維持するように微調整することができる。ここで、灯火の輝度の微調整用の切換タップを出力変成器130の二次側に設ける理由は、一次側に設けた入力側切換タップ130Aの巻数の線形関係を変更することなく、負荷電流を微増することができるからである。
次に、本実施例を構成する定電流発生器に直列接続された複数の負荷回路の点灯・消灯動作について、図3及び図4に基づき説明する。定電流発生器100の出力変成器の二次側巻線には、図3に示すように、5つの負荷回路300、400、500、600、700が直列に接続されている。そして、これらの負荷回路の各々を直列回路から切り離す開閉器302、402、502、602、702と、これらの負荷回路の各々を短絡させる回路接点器301、401、501、601、701が設けられている。そして、回路接点器301、401、501、601、701は、開閉器302、402、502、602、702よりも定電流発生器100側に設けられており、開閉器302、402、502、602、702が開放状態にある場合には、回路接点器301、401、501、601、701は開放されないようにインターロック制御機構(図示されていない)が各回路接点器及び開閉器に配備されている。これにより、直列接続された複数の負荷回路からなる直列回路が開放状態となることを防止している。
図3は、全ての回路接点器301、401、501、601、701が短絡状態にあり、全ての開閉器302、402、502、602、702が開放状態にある回路を示している。すなわち、定電流発生器100の出力変成器の出力端子(二次側巻線)間OUTが短絡された状態になっている。しかしながら、前述したように本発明による定電流発生器100によれば、負荷の大きさに関わらず一定の電流を出力変成器の二次側巻線に発生させるため、出力端子間OUTが短絡状態になっても定電流発生器100の電源側に影響が波及することがない。この状態、すなわち全ての負荷回路300、400、500、600、700が消灯状態であり、定電流発生器100の出力端子間OUTが短絡状態にある状態から、1つの負荷回路300を点灯状態とする場合には、まず、開閉器302をON(導通状態)とした後、回路接点器301をOFF(開放状態)にする。他の負荷回路400、500、600、700も同様の操作で点灯状態とすることができる。
図4は、回路接点器401、601が短絡状態にあり、開閉器402、602が開放状態にある回路を示している。すなわち、定電流発生器100の出力端子間OUTには、3つの負荷回路300、500、700が直列接続され、それぞれ点灯状態になっている。この状態から、1つの負荷回路500を消灯状態とする場合には、まず、回路接点器501をON(短絡状態)にする。その瞬間、定電流発生器100の出力端子間OUTには、2つの負荷回路300、700が直列接続された状態になり、負荷回路500は消灯状態となる。その後、開閉器502を開放する。その結果、直列接続されていた3つの負荷回路300、500、700のうち、2つの負荷回路300、700の点灯状態が途切れることなく、負荷回路500のみを消灯状態とすることができる。
回路接点器301、401、501、601、701及び開閉器302、402、502、602、702のON・OFF動作は、遠隔制御が可能な汎用のシーケンス制御盤などを用いて行うことができる。
なお、前述した実施例では、定電流発生器に接続される負荷回路の数が5つのものについて説明しているが、負荷回路の数は、5つに限定されるものではなく、いくつであっても構わない。
また、本発明の電子発光光源用電流発生器システムを構成する定電流発生器100は、出力変成器130の一次側巻線130Pに設けられた入力側切換タップ130Aの設置位置を図7に示した輝度(%)と熱発光光源電流(A)の関係に対応させて設けることによって、従来から用いられている熱発光光源に対しても入力側切換タップ130Aの切り換えにより従来の定電流装置と同様に、所望の輝度に対する電流を出力する電源として使用することも可能である。
本発明は、固定容量(蓄積電荷Q)のコンデンサに定電圧Vを印加するとI=QVの関係を満たす定電流が発生するという原理を応用して、きわめて簡単な構成で定電流発生器を構成することができると共に、定電流発生器に直列接続された複数の負荷回路のうち所望の負荷回路のみを他の負荷回路のON・OFF状態に関係なくON・OFF制御できるものであって、飛行場の灯火システムのみならず、高速道路、トンネル、競技場、公園などの公共施設の照明システムの高度なON・OFF制御、輝度調整の高精度化、エネルギー効率の高効率化、保守メンテナンス負担の軽減を実現でき、その産業上の利用可能性はきわめて高い。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムの定電流発生器の回路図。 本発明の電子発光光源用定電流発生器システムの負荷回路の回路図。 定電流発生器に直列に接続された5つの負荷回路が全て消灯状態にある時の回路図。 定電流発生器に直列に接続された5つの負荷回路のうち3つが点灯状態にある時の回路図。 従来の熱発光光源用の定電流光度調整装置の回路図。 図5に示した従来の定電流光度調整装置の各部における信号波形図。 電子発光光源と熱発光光源の電流−輝度特性を示した表。 図7に示した表に基づいたグラフ。
符号の説明
100 ・・・定電流発生器
110 ・・・商用交流電源
120 ・・・コンデンサ
130 ・・・出力変成器
130A・・・(出力変成器の)入力側切換タップ
130B・・・(出力変成器の)入力側切換スイッチ
130C・・・(出力変成器の)出力側切換タップ
130D・・・(出力変成器の)出力側切換スイッチ
130P・・・(出力変成器の)一次側巻線
130S・・・(出力変成器の)二次側巻線
300、400、500、600、700・・・負荷回路
301、401、501、601、701・・・(負荷回路の)回路接点器
301、401、501、601、701・・・(負荷回路の)開閉器
300A・・・(負荷回路300の)絶縁トランス
300B・・・(負荷回路300の)電子発光光源
300C・・・(負荷回路300の)逆流防止ダイオード
200 ・・・定電流光度調整装置
210 ・・・商用交流電源
220 ・・・共振回路
220A・・・(共振回路の)コンデンサ
220B・・・(共振回路の)リアクトル
230 ・・・出力変成器
230P・・・(出力変成器の)一次側巻線
230S・・・(出力変成器の)二次側巻線
240 ・・・灯火
240A・・・(灯火の)絶縁トランス
240B・・・(灯火の)熱発光光源
240C・・・(灯火の)逆流防止ダイオード
250 ・・・分流回路
250A・・・(分流回路の)サイリスタ
250B・・・(分流回路の)サイリスタ
260 ・・・サイクル制御回路
270 ・・・電流検出器
280 ・・・配線
本発明は、LED(発光ダイオード)やHIDランプ(高輝度放電灯)などの電子発光光源の電源に関し、さらに詳しくは、飛行場灯火のように配線距離が長く広範囲に配設された多数の灯火からなる照明設備を点灯するための電子発光光源用電源システムに関するものである。
一般に、飛行場では、天候不順による視界不良時や夜間であっても、航空機を安全に運行させるために、各種飛行場灯火が配設されている。これらの飛行場灯火としては、着陸機に対して、最終進入経路を示す進入灯、滑走路の輪郭を示す滑走路灯、誘導路及びエプロン(飛行機を停めておくエリア)の縁を示す誘導路灯などが挙げられる。
このような飛行場や、高速道路、トンネル、公園などの公共施設では、広範囲にわたってタングステンランプやハロゲンランプなどの熱発光光源を内装した多数の灯火が配設されるため、これらの多数の灯火に対して電力を供給するためには、非常に長い距離の配線が必要となる。そのため、この配線による電力損失を考慮して各灯火の光度を均一に保つ必要があると共に、何れかの灯火に不点灯が発生しても他の灯火を安定して点灯させる灯火システムが必要である。
さらに、前述した灯火システムでは、昼間であるか夜間であるかや、気象状況に応じて灯火の視認性が変化するため、これらの状況の変化に応じて灯火の輝度を調整する必要がある。例えば、周辺照度が高い、すなわち周りが明るい昼間では灯火の視認性が低下するため、灯火の輝度を高くする必要がある。一方、周辺照度が低い、すなわち周りが暗い夜間では灯火の視認性が良好であるため、灯火の輝度を低くすることによって消費電力を削減することができる。
このような用途に適した電源装置として、本発明者は、図5に示したような定電流光度調整装置200を開発した。この定電流光度調整装置200は、商用交流電源210と、この商用交流電源210に直列に接続され、商用交流電源210の出力と所定の共振条件を満たす時定数を有し、負荷変動に無関係な一定な正弦波交流電流Iを出力する共振回路220と、一次側巻線230Pが共振回路220の出力に直列接続された出力変成器230とを有している。
さらに、比較的長い距離の配線280を介して出力変成器230の二次側巻線230Sにそれぞれ直列接続された複数の灯火240と、任意の期間だけ一次側巻線230Pに流れる正弦波交流を短絡する分流回路250と、電流検出器270により検出された出力変成器230の二次側電流すなわち負荷電流ILに基づいて、共振回路220から出力される正弦波交流電流Iの1サイクルを単位として分流回路250を短絡制御(サイクル制御)することにより、負荷電流ILの大きさを調整するサイクル制御回路260とを有している。
このような定電流光度調整装置200は、商用交流電源210に対して共振回路220が直列接続されており、所定の共振条件を満たすように、コンデンサ220Aとリアクトル220Bとから決定される時定数と、交流電源出力の周波数、電圧、電流とを選択することにより、負荷の変動に無関係な一定の電流Iが得られる。この電流Iは、出力変成器230の一次側巻線230Pに供給され昇圧され、出力変成器230の二次側巻線230Sに直列接続されたそれぞれの灯火240に一定の負荷電流ILとして等しく供給される。
これにより、出力変成器230から各灯火240への配線280が非常に長い場合であっても、各灯火240の熱発光光源240Bには、絶縁トランス240Aを介して等しい電流が供給されるものとなり、各熱発光光源240Bを均一な光度で点灯させることができる。なお、任意の熱発光光源240Bが不点灯となっても絶縁トランス240Aにより負荷側の直列回路が断線されることがないので、他の熱発光光源240Bへの影響は生じない。また、分流回路250は、互いに極性が逆方向となるように並列接続されたサイリスタ250A、250Bから構成されており、短絡動作時には、正弦波交流がプラス側の期間にはサイリスタ250Aがオンとなり、マイナス側の期間にサイリスタ250Bがオンとなる。
図6は、図5に示した従来の定電流光度調整装置200の各部の信号を示す信号波形図で有り、ここでは、共振回路220から出力される電流Iの正弦波8周期分(周期T1)のうち1周期分(周期T2)を短絡する場合が例として示されている。サイクル制御回路260は、電流検出器270を介して検出された負荷電流ILに基づいて、所望の負荷電流ILを得るための波数比R=T2/T1を算出する。例えば、波数比R=1/8の場合には、図6に示すように、電流Iの正弦波8周期分(周期T1)分のうち1周期分(周期T2)分を短絡するように分流回路250を制御する。その結果、灯火240に供給される電流は、7/8に減少する。そして、波数比Rを変えることにより灯火240に供給される電流を可変することができる(例えば、特許文献1参照)。
特許第3364407号公報
ところが、前述した従来の定電流光度調整装置200では、出力変成器230の一次側に流れる電流Iaを所定の波数比Rで短絡させることにより、負荷電流ILの調整を行っているため、例えば、商用交流電源210の周波数が50Hzであるとした場合、負荷電流ILの刻み幅は、2%となり、それ以下の電流調整は不可能であるという課題があった。
また、負荷電流ILを低減させるためには、所定の波数比Rで負荷電流ILを短絡させているため、負荷電流ILを低減させていくにつれて灯火240がちらつくという課題があった。
しかも、従来の定電流光度調整装置200では、図5に示したように、共振回路220、分流回路250、サイクル制御回路260などが必要であり、回路構成が複雑となると共に、共振回路220が大型のリアクトル220Bを必要とするため、装置が大型化するという課題があった。
さらに、灯火のグローブ(光源を覆っている部材)に埃が付着し次第に輝度が低下するため、灯火の寿命がまだ尽きていないのに、グローブを磨いたり、光源を交換したりしなくてはならないという保守メンテナンス上の課題があった。
一方、近年、広範囲にわたって多数の灯火を配設する灯火システムにおいては、消費電力やメンテナンス性を考慮し、光源として前述したようなタングステンランプやハロゲンランプなどのフィラメントを用いたランプ、いわゆる熱発光光源ではなく、効率よく所望の発光色が得られ、かつ球切れ(フィラメントの断線)の心配がなく長寿命なLEDやHIDランプなどのフィラメントを有していない、いわゆる電子発光光源の導入が検討されている。
しかしながら、従来用いられていた、タングステンランプやハロゲンランプなどの熱発光光源では、図7及び図8に示すように、負荷電流に対する光源の輝度が三次曲線に沿った電流−輝度特性を有しているため、例えば、負荷電流が6.6Aの時に輝度が100%であった場合、0.2%の輝度に調整する場合であっても、2.8Aの負荷電流が必要であった。その結果、微少な負荷電流量の供給及び調整は必要ではなく、前述したような定電流光度調整装置200で十分に対応可能であった。
これに対して、光源としてLEDやHIDランプなどの電子発光光源を用いる場合には、負荷電流に対する光源の輝度が一次曲線に沿った電流−輝度特性であるため、例えば、LEDを用いた場合であって、前述と同様に負荷電流が6.6Aの時に輝度が100%とした場合、0.2%の輝度に調整する場合、必要な電流は、0.01A程度の微少な負荷電流となるため、微少な負荷電流量の供給と調節が要求される。したがって、前述したような定電流光度調整装置200では、微少な負荷電流量を精度良く調整することができないため、電子発光光源を用いた灯火システムには対応できないという問題があった。
しかも、電子発光光源を用いた灯火システムにおいては、輝度を0.2%に下げた場合、必要な電流は輝度が100%の時の0.2%で良いのに対して、従来の熱発光光源を用いた灯火システムでは、輝度を0.2%に下げた場合であっても、輝度が100%の時の40%以上の電流が必要であり、エネルギー効率がきわめて悪いという問題があった。
また、前述したような従来の定電流光度調整装置200は、各灯火240が絶縁トランス240Aを介して直列に接続されてた1つの負荷回路への電力供給のみしか想定しておらず、複数の負荷回路を直列に接続して、任意の負荷回路を他の負荷回路の点灯・消灯状態に影響を与えることなく点灯・消灯させる手段が提供されていないため、飛行場で使われる進入灯や誘導路灯等を緻密なフライトスケジュールに合わせて個別に点灯・消灯させるという高度なユーザーニーズに対応することができなかった。
さらに、地球温暖化が深刻な社会問題となっている昨今、省エネルギー化によりCO排出量削減に寄与する電子発光光源を用いた灯火システムの開発に高い関心が集まっている。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、LEDやHIDランプなどのいわゆる電子発光光源を用いた複数の灯火が直列に接続されている負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化及び負荷電流低減時における灯火のちらつき防止を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、灯火の保守メンテナンス負担を軽減することができる電子発光光源用定電流発生装置システムを提供することを目的とする。
まず、本請求項1に係る発明は、商用交流電源と定電流供給用コンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えた電子発光光源用定電流発生器システムであって、前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器と前記開閉器の開放時に前記回路接点器の開放を阻止するインターロック制御機構とを有することにより、前記課題を解決したものである。
なお、本発明において、「電子発光光源」とは、LEDやHIDランプなどのフィラメントを有しておらず、負荷電流に対する光源の輝度が一次曲線に沿った電流−輝度特性である光源を総称しているが、耐久性や耐衝撃性、寿命などの点で電子発光光源にLEDを用いることが特に好ましい。また、本発明において、「商用交流電源」とは、電力会社から供給される電圧が100V又は200Vで周波数が50Hz(東日本)又は60Hz(西日本)である電源を意味しているが、周波数が400Hz程度以下の低周波交流電源であれば、商用交流電源に換えて利用可能である。さらに、本発明において、「定電流発生器」とは、従来の定電流電源装置のように負荷に対して所定の定電流が流れるように電圧を変化させるものではなく、負荷変動に関係なく、すなわち負荷が短絡状態であっても常に一定の電流を供給可能であるという点で従来の定電流電源装置とは定電流発生原理が全く異なるものである。
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
また、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、前記電子発光光源が、LEDであることにより、前記課題をさらに解決したものである。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムは、出力電圧がV(ボルト)である商用交流電源と静電容量Cの定電流供給用コンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えたというきわめて簡単な構成によって、静電容量Cは固定であるため、出力変成器の一次側巻線には、静電容量Cに対応した定電流Iが流れるので、前記出力変成器の二次側巻線に直列接続された負荷(点灯する電子発光光源の数や配線の長さになどによって決まる)が増減した場合であっても、例えば、負荷が短絡した場合であっても電源電圧に影響が波及せず、出力変成器の二次側へ常に安定した定電流供給が実現できる。その結果、出力変成器の二次側を短絡させた状態で定電流発生器の動作状態を点検することができる。また、複数の灯火が一筆書きのように一本の配線で直列に接続されるため、2本の配線で各灯火に電力を供給する場合に比べて配線の量を大幅に削減でき省資源化に貢献する。
さらに、前記一次側巻線に流れる定電流Iと選択された入力側切換タップまでの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)が、前記二次側巻線に発生する交流定電流Iと二次側巻線の巻数Tとの積I・T(アンペアターン)が一定、すなわちI・T=I・Tの関係が成立し、Iが前述したように一定で、Tを固定とした場合、各入力側切換タップまでの巻数Tに比例した交流定電流Iが前記出力変成器の二次側巻線に発生するので、電子発光光源に通電される負荷電流を100%通電から、例えば、0.2%という微少な通電まで入力側切換タップの切り換えによって精度良く調整することができる。
しかも、この調整は出力変成器の二次側巻線に発生する正弦波である交流定電流Iの振幅の大きさを変化させることによって達成されるため、負荷電流を低減させていった場合であっても灯火がちらつくことなく、良好な視認性を発揮させることができる。さらに、電流式のタップ切換は、電圧式のタップ切換と異なり、タップ間に電位差が発生しないため絶縁破壊などの故障の発生が抑制され、装置の安全性が向上する。
加えて、以下のような各請求項に特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、負荷回路が複数個直列に定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器と前記開閉器の開放時に前記回路接点器の開放を阻止するインターロック制御機構とを有していることによって、定電流発生器の出力は負荷の大きさに関わらず常に一定の定電流が流れるため、消灯したい負荷回路を回路接点器によって短絡させるだけで、他の負荷回路の点滅状態に影響を与えることなく消灯することができる。また、点灯したい負荷回路を開閉器によって直列回路に組み入れた後、回路接点器を開放するだけで、他の負荷回路の点滅状態に影響を与えることなく点灯することができる。
また、本請求項2に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、請求項1に係る電子発光光源用定電流発生器システムが奏する効果に加えて、出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることにより、灯火のグローブに埃が付着し輝度が低下した場合であっても前記出力側切換タップの切り換えによって灯火に流れる負荷電流を増加させて輝度の低下を補償することができるので、熱発光光源に比べて長寿命である電子発光光源を運用途中で特別な保守を繰り返すことなく、電子発光光源の寿命が尽きるまで安全要求輝度100%を維持することができる。
また、本請求項3に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、請求項1又は請求項2に係る電子発光光源用定電流発生器システムが奏する効果に加えて、電子発光光源がLEDであることにより、LEDは半導体を用いたpn接合と呼ばれる固体構造で作られており、この構造の中で電子の持つエネルギーを直接、光エネルギーに変換することで発光し、巨視的には熱や運動の介在を必要としないので、優れた耐久性や耐衝撃性、長寿命化、高効率化を実現できる。
しかも、ハロゲンランプのような熱発光光源においては、過電流によってフィラメントが溶断することを防ぐために過電流継電器を設置する必要があったが、LEDは、多少の過電流が流れたとしても素子が溶断することがなく過電流継電器を設置する必要がないので、装置構成の簡略化を図ることができる。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムは、商用交流電源と定電流供給用コンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備え、前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器と前記開閉器の開放時に前記回路接点器の開放を阻止するインターロック制御機構とを有しており、負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、灯火の保守メンテナンス負担を軽減することができるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
本発明の一実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施例である電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の一つである定電流発生器の回路図であり、図2は、電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の別の一つである負荷回路の回路図である。図3は、5つの負荷回路が全て消灯状態で直列に定電流発生器に接続された時の回路図であり、図4は、5つの負荷回路のうち3つの負荷回路が点灯状態で直列に定電流発生器に接続された時の回路図である。
本発明の実施例である電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の一つである定電流発生器100は、図1に示すように、商用交流電源110と一定の静電容量Cを有するコンデンサ120と出力変成器130の一次側巻線130Pとが直列に接続されている。そして、出力変成器130の二次側巻線130Sには、図3に示すように電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている5つの負荷回路300、400、500、600、700が、これらの負荷回路の各々を直列回路から切り離す開閉器302、402、502、602、702とこれらの負荷回路の各々を短絡させる回路接点器301、401、501、601、701を介して接続されている。
負荷回路300、400、500、600、700は、例えば、飛行場の進入灯、滑走路灯、誘導路灯などの用途に応じて、適宜必要数の灯火が直列に接続されている。その一例として負荷回路300の回路構成を図2に示す。なお本実施例に於いては、灯火を構成する電子発光光源としてLEDを用いている。
図2に示したように、直列に接続された複数の灯火に内装された電子発光光源300Bの任意の一つが不点灯になっても他の電子発光光源300Bが影響を受けないようにするため、負荷回路300を構成する各灯火には、絶縁トランス300Aを備えている。そして、電子発光光源300Bに加わる逆方向電流を遮断するための逆流防止ダイオード300Cが電子発光光源300Bと直列に接続されている。なお、逆流防止ダイオード300Cを用いて電子発光光源300Bに加わる逆方向電流を遮断することに換えて2つの電子発光光源300Bを互いに極性が逆方向となるように並列接続したものを絶縁トランス300Aの二次側に接続しても良い。この場合、正弦波交流電流の正方向通電時及び逆方向通電時に2つの電子発光光源300Bが交互に点灯し、エネルギー効率が向上すると共に、負荷回路300を構成する灯火のちらつきが一層低減し、その効果は甚大である。
さらに、出力変成器130の二次側巻線130Sに発生する交流定電流Iの振幅を線形に変化させるための複数の入力側切換タップ130Aが、出力変成器130の一次側巻線130Pに設けられている。この入力側切換タップ130Aは、要求される輝度(%)の変更段階、例えば、図7に示すように、100%、30%、25%、10%、5%、1%、0.2%と一次側巻線130Pの巻数が比例関係になるように設けられている。なお、図1においては、5%、1%、0.2%に対応する入力側切換タップは、記載を省略している。
そして、出力変成器130における電圧降下は、コンデンサ120の端子間電圧に比べて十分に小さいため、商用交流電源110の出力電圧がV(ボルト)で一定であり、コンデンサ120の静電容量がC(ファラッド)で固定、例えば、200μFであることによって、出力変成器130の一次側巻線130Pには、静電容量Cに対応した定電流Iが流れる。さらに、この定電流Iと選択された入力側切換タップまでの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)と、二次側巻線130Sに発生する交流定電流Iと二次側巻線130Sの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)とが一定、すなわちI・T=I・Tの関係が成立するため、Iが前述したように一定で、二次側巻線130Sの巻数Tを固定とした場合、各入力側切換タップまでの巻数Tに比例した交流定電流Iが出力変成器130の二次側巻線130Sに発生する。
その結果、入力側切換スイッチ130Bによって、所望の入力側切換タップ130Aを選択することにより、出力変成器130の二次側巻線130Sに一次側巻線130Pの巻数Tに比例した交流定電流Iを発生させることができる。例えば、Tが1000ターンでありTがTの3倍の3000ターンとした場合、Iを20Aの定電流とすることによって、IとしてIの3分の1の6.6Aの定電流が得られる。そして、Tを全巻数の30%である300ターンに切り替えることによって、Iとして、6.6Aの30%である1.98Aの定電流が得られる。
また、本実施例を構成する定電流発生器100は、図1に示すように、出力変成器130の二次側巻線130Sに、例えば、全巻数に対して0%、1%、3%、5%という細かい間隔で巻数を減少させる複数の出力側切換タップ130Cが設けられている。そして、出力側切換スイッチ130Dによって、所望の出力側切換タップ130Cを選択することにより、前述したI・T=I・Tの関係において、二次側巻線130Sの巻数Tを若干減少させることができるため、負荷に供給される交流定電流Iの振幅を微増(数%の上昇)させることができる。これにより、灯火のグローブに埃が付着して輝度が低下した際に初期の輝度を維持するように微調整することができる。ここで、灯火の輝度の微調整用の切換タップを出力変成器130の二次側に設ける理由は、一次側に設けた入力側切換タップ130Aの巻数の線形関係を変更することなく、負荷電流を微増することができるからである。
次に、本実施例を構成する定電流発生器に直列接続された複数の負荷回路の点灯・消灯動作について、図3及び図4に基づき説明する。定電流発生器100の出力変成器の二次側巻線には、図3に示すように、5つの負荷回路300、400、500、600、700が直列に接続されている。そして、これらの負荷回路の各々を直列回路から切り離す開閉器302、402、502、602、702と、これらの負荷回路の各々を短絡させる回路接点器301、401、501、601、701が設けられている。そして、回路接点器301、401、501、601、701は、開閉器302、402、502、602、702よりも定電流発生器100側に設けられており、開閉器302、402、502、602、702が開放状態にある場合には、回路接点器301、401、501、601、701は開放されないようにインターロック制御機構(図示されていない)が各回路接点器及び開閉器に配備されている。これにより、直列接続された複数の負荷回路からなる直列回路が開放状態となることを防止している。
図3は、全ての回路接点器301、401、501、601、701が短絡状態にあり、全ての開閉器302、402、502、602、702が開放状態にある回路を示している。すなわち、定電流発生器100の出力変成器の出力端子(二次側巻線)間OUTが短絡された状態になっている。しかしながら、前述したように本発明による定電流発生器100によれば、負荷の大きさに関わらず一定の電流を出力変成器の二次側巻線に発生させるため、出力端子間OUTが短絡状態になっても定電流発生器100の電源側に影響が波及することがない。この状態、すなわち全ての負荷回路300、400、500、600、700が消灯状態であり、定電流発生器100の出力端子間OUTが短絡状態にある状態から、1つの負荷回路300を点灯状態とする場合には、まず、開閉器302をON(導通状態)とした後、回路接点器301をOFF(開放状態)にする。他の負荷回路400、500、600、700も同様の操作で点灯状態とすることができる。
図4は、回路接点器401、601が短絡状態にあり、開閉器402、602が開放状態にある回路を示している。すなわち、定電流発生器100の出力端子間OUTには、3つの負荷回路300、500、700が直列接続され、それぞれ点灯状態になっている。この状態から、1つの負荷回路500を消灯状態とする場合には、まず、回路接点器501をON(短絡状態)にする。その瞬間、定電流発生器100の出力端子間OUTには、2つの負荷回路300、700が直列接続された状態になり、負荷回路500は消灯状態となる。その後、開閉器502を開放する。その結果、直列接続されていた3つの負荷回路300、500、700のうち、2つの負荷回路300、700の点灯状態が途切れることなく、負荷回路500のみを消灯状態とすることができる。
回路接点器301、401、501、601、701及び開閉器302、402、502、602、702のON・OFF動作は、遠隔制御が可能な汎用のシーケンス制御盤などを用いて行うことができる。
なお、前述した実施例では、定電流発生器に接続される負荷回路の数が5つのものについて説明しているが、負荷回路の数は、5つに限定されるものではなく、いくつであっても構わない。
また、本発明の電子発光光源用電流発生器システムを構成する定電流発生器100は、出力変成器130の一次側巻線130Pに設けられた入力側切換タップ130Aの設置位置を図7に示した輝度(%)と熱発光光源電流(A)の関係に対応させて設けることによって、従来から用いられている熱発光光源に対しても入力側切換タップ130Aの切り換えにより従来の定電流装置と同様に、所望の輝度に対する電流を出力する電源として使用することも可能である。
本発明は、静電容量Cの定電流供給用コンデンサに定電圧Vを印加すると静電容量Cに対応した定電流が発生するという原理を応用して、きわめて簡単な構成で定電流発生器を構成することができると共に、定電流発生器に直列接続された複数の負荷回路のうち所望の負荷回路のみを他の負荷回路のON・OFF状態に関係なくON・OFF制御できるものであって、飛行場の灯火システムのみならず、高速道路、トンネル、競技場、公園などの公共施設の照明システムの高度なON・OFF制御、輝度調整の高精度化、エネルギー効率の高効率化、保守メンテナンス負担の軽減を実現でき、その産業上の利用可能性はきわめて高い。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムの定電流発生器の回路図。 本発明の電子発光光源用定電流発生器システムの負荷回路の回路図。 定電流発生器に直列に接続された5つの負荷回路が全て消灯状態にある時の回路図。 定電流発生器に直列に接続された5つの負荷回路のうち3つが点灯状態にある時の回路図。 従来の熱発光光源用の定電流光度調整装置の回路図。 図5に示した従来の定電流光度調整装置の各部における信号波形図。 電子発光光源と熱発光光源の電流−輝度特性を示した表。 図7に示した表に基づいたグラフ。
符号の説明
100 ・・・定電流発生器
110 ・・・商用交流電源
120 ・・・コンデンサ
130 ・・・出力変成器
130A・・・(出力変成器の)入力側切換タップ
130B・・・(出力変成器の)入力側切換スイッチ
130C・・・(出力変成器の)出力側切換タップ
130D・・・(出力変成器の)出力側切換スイッチ
130P・・・(出力変成器の)一次側巻線
130S・・・(出力変成器の)二次側巻線
300、400、500、600、700・・・負荷回路
301、401、501、601、701・・・(負荷回路の)回路接点器
301、401、501、601、701・・・(負荷回路の)開閉器
300A・・・(負荷回路300の)絶縁トランス
300B・・・(負荷回路300の)電子発光光源
300C・・・(負荷回路300の)逆流防止ダイオード
200 ・・・定電流光度調整装置
210 ・・・商用交流電源
220 ・・・共振回路
220A・・・(共振回路の)コンデンサ
220B・・・(共振回路の)リアクトル
230 ・・・出力変成器
230P・・・(出力変成器の)一次側巻線
230S・・・(出力変成器の)二次側巻線
240 ・・・灯火
240A・・・(灯火の)絶縁トランス
240B・・・(灯火の)熱発光光源
240C・・・(灯火の)逆流防止ダイオード
250 ・・・分流回路
250A・・・(分流回路の)サイリスタ
250B・・・(分流回路の)サイリスタ
260 ・・・サイクル制御回路
270 ・・・電流検出器
280 ・・・配線
本発明は、LED(発光ダイオード)やHIDランプ(高輝度放電灯)などの電子発光光源の電源に関し、さらに詳しくは、飛行場灯火のように配線距離が長く広範囲に配設された多数の灯火からなる照明設備を点灯するための電子発光光源用電源システムに関するものである。
一般に、飛行場では、天候不順による視界不良時や夜間であっても、航空機を安全に運行させるために、各種飛行場灯火が配設されている。これらの飛行場灯火としては、着陸機に対して、最終進入経路を示す進入灯、滑走路の輪郭を示す滑走路灯、誘導路及びエプロン(飛行機を停めておくエリア)の縁を示す誘導路灯などが挙げられる。
このような飛行場や、高速道路、トンネル、公園などの公共施設では、広範囲にわたってタングステンランプやハロゲンランプなどの熱発光光源を内装した多数の灯火が配設されるため、これらの多数の灯火に対して電力を供給するためには、非常に長い距離の配線が必要となる。そのため、この配線による電力損失を考慮して各灯火の光度を均一に保つ必要があると共に、何れかの灯火に不点灯が発生しても他の灯火を安定して点灯させる灯火システムが必要である。
さらに、前述した灯火システムでは、昼間であるか夜間であるかや、気象状況に応じて灯火の視認性が変化するため、これらの状況の変化に応じて灯火の輝度を調整する必要がある。例えば、周辺照度が高い、すなわち周りが明るい昼間では灯火の視認性が低下するため、灯火の輝度を高くする必要がある。一方、周辺照度が低い、すなわち周りが暗い夜間では灯火の視認性が良好であるため、灯火の輝度を低くすることによって消費電力を削減することができる。
このような用途に適した電源装置として、本発明者は、図5に示したような定電流光度調整装置200を開発した。この定電流光度調整装置200は、商用交流電源210と、この商用交流電源210に直列に接続され、商用交流電源210の出力と所定の共振条件を満たす時定数を有し、負荷変動に無関係な一定な正弦波交流電流Iを出力する共振回路220と、一次側巻線230Pが共振回路220の出力に直列接続された出力変成器230とを有している。
さらに、比較的長い距離の配線280を介して出力変成器230の二次側巻線230Sにそれぞれ直列接続された複数の灯火240と、任意の期間だけ一次側巻線230Pに流れる正弦波交流を短絡する分流回路250と、電流検出器270により検出された出力変成器230の二次側電流すなわち負荷電流ILに基づいて、共振回路220から出力される正弦波交流電流Iの1サイクルを単位として分流回路250を短絡制御(サイクル制御)することにより、負荷電流ILの大きさを調整するサイクル制御回路260とを有している。
このような定電流光度調整装置200は、商用交流電源210に対して共振回路220が直列接続されており、所定の共振条件を満たすように、コンデンサ220Aとリアクトル220Bとから決定される時定数と、交流電源出力の周波数、電圧、電流とを選択することにより、負荷の変動に無関係な一定の電流Iが得られる。この電流Iは、出力変成器230の一次側巻線230Pに供給され昇圧され、出力変成器230の二次側巻線230Sに直列接続されたそれぞれの灯火240に一定の負荷電流ILとして等しく供給される。
これにより、出力変成器230から各灯火240への配線280が非常に長い場合であっても、各灯火240の熱発光光源240Bには、絶縁トランス240Aを介して等しい電流が供給されるものとなり、各熱発光光源240Bを均一な光度で点灯させることができる。なお、任意の熱発光光源240Bが不点灯となっても絶縁トランス240Aにより負荷側の直列回路が断線されることがないので、他の熱発光光源240Bへの影響は生じない。また、分流回路250は、互いに極性が逆方向となるように並列接続されたサイリスタ250A、250Bから構成されており、短絡動作時には、正弦波交流がプラス側の期間にはサイリスタ250Aがオンとなり、マイナス側の期間にサイリスタ250Bがオンとなる。
図6は、図5に示した従来の定電流光度調整装置200の各部の信号を示す信号波形図で有り、ここでは、共振回路220から出力される電流Iの正弦波8周期分(周期T1)のうち1周期分(周期T2)を短絡する場合が例として示されている。サイクル制御回路260は、電流検出器270を介して検出された負荷電流ILに基づいて、所望の負荷電流ILを得るための波数比R=T2/T1を算出する。例えば、波数比R=1/8の場合には、図6に示すように、電流Iの正弦波8周期分(周期T1)分のうち1周期分(周期T2)分を短絡するように分流回路250を制御する。その結果、灯火240に供給される電流は、7/8に減少する。そして、波数比Rを変えることにより灯火240に供給される電流を可変することができる(例えば、特許文献1参照)。
特許第3364407号公報
ところが、前述した従来の定電流光度調整装置200では、出力変成器230の一次側に流れる電流Iaを所定の波数比Rで短絡させることにより、負荷電流ILの調整を行っているため、例えば、商用交流電源210の周波数が50Hzであるとした場合、負荷電流ILの刻み幅は、2%となり、それ以下の電流調整は不可能であるという課題があった。
また、負荷電流ILを低減させるためには、所定の波数比Rで負荷電流ILを短絡させているため、負荷電流ILを低減させていくにつれて灯火240がちらつくという課題があった。
しかも、従来の定電流光度調整装置200では、図5に示したように、共振回路220、分流回路250、サイクル制御回路260などが必要であり、回路構成が複雑となると共に、共振回路220が大型のリアクトル220Bを必要とするため、装置が大型化するという課題があった。
さらに、灯火のグローブ(光源を覆っている部材)に埃が付着し次第に輝度が低下するため、灯火の寿命がまだ尽きていないのに、グローブを磨いたり、光源を交換したりしなくてはならないという保守メンテナンス上の課題があった。
一方、近年、広範囲にわたって多数の灯火を配設する灯火システムにおいては、消費電力やメンテナンス性を考慮し、光源として前述したようなタングステンランプやハロゲンランプなどのフィラメントを用いたランプ、いわゆる熱発光光源ではなく、効率よく所望の発光色が得られ、かつ球切れ(フィラメントの断線)の心配がなく長寿命なLEDやHIDランプなどのフィラメントを有していない、いわゆる電子発光光源の導入が検討されている。
しかしながら、従来用いられていた、タングステンランプやハロゲンランプなどの熱発光光源では、図7及び図8に示すように、負荷電流に対する光源の輝度が三次曲線に沿った電流−輝度特性を有しているため、例えば、負荷電流が6.6Aの時に輝度が100%であった場合、0.2%の輝度に調整する場合であっても、2.8Aの負荷電流が必要であった。その結果、微少な負荷電流量の供給及び調整は必要ではなく、前述したような定電流光度調整装置200で十分に対応可能であった。
これに対して、光源としてLEDやHIDランプなどの電子発光光源を用いる場合には、負荷電流に対する光源の輝度が一次曲線に沿った電流−輝度特性であるため、例えば、LEDを用いた場合であって、前述と同様に負荷電流が6.6Aの時に輝度が100%とした場合、0.2%の輝度に調整する場合、必要な電流は、0.01A程度の微少な負荷電流となるため、微少な負荷電流量の供給と調節が要求される。したがって、前述したような定電流光度調整装置200では、微少な負荷電流量を精度良く調整することができないため、電子発光光源を用いた灯火システムには対応できないという問題があった。
しかも、電子発光光源を用いた灯火システムにおいては、輝度を0.2%に下げた場合、必要な電流は輝度が100%の時の0.2%で良いのに対して、従来の熱発光光源を用いた灯火システムでは、輝度を0.2%に下げた場合であっても、輝度が100%の時の40%以上の電流が必要であり、エネルギー効率がきわめて悪いという問題があった。
また、前述したような従来の定電流光度調整装置200は、各灯火240が絶縁トランス240Aを介して直列に接続されてた1つの負荷回路への電力供給のみしか想定しておらず、複数の負荷回路を直列に接続して、任意の負荷回路を他の負荷回路の点灯・消灯状態に影響を与えることなく点灯・消灯させる手段が提供されていないため、飛行場で使われる進入灯や誘導路灯等を緻密なフライトスケジュールに合わせて個別に点灯・消灯させるという高度なユーザーニーズに対応することができなかった。
さらに、地球温暖化が深刻な社会問題となっている昨今、省エネルギー化によりCO排出量削減に寄与する電子発光光源を用いた灯火システムの開発に高い関心が集まっている。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、LEDやHIDランプなどのいわゆる電子発光光源を用いた複数の灯火が直列に接続されている負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化及び負荷電流低減時における灯火のちらつき防止を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、灯火の保守メンテナンス負担を軽減することができる電子発光光源用定電流発生装置システムを提供することを目的とする。
まず、本請求項1に係る発明は、商用交流電源と定電流供給用コンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えた電子発光光源用定電流発生器システムであって、前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器の出力変成器の二次側巻線に接続されて直列回路を形成しており、前記負荷回路の各々が該負荷回路を前記直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器と前記開閉器の開放時に前記回路接点器の開放を阻止するインターロック制御機構とを有することにより、前記課題を解決したものである。
なお、本発明において、「電子発光光源」とは、LEDやHIDランプなどのフィラメントを有しておらず、負荷電流に対する光源の輝度が一次曲線に沿った電流−輝度特性である光源を総称しているが、耐久性や耐衝撃性、寿命などの点で電子発光光源にLEDを用いることが特に好ましい。また、本発明において、「商用交流電源」とは、電力会社から供給される電圧が100V又は200Vで周波数が50Hz(東日本)又は60Hz(西日本)である電源を意味しているが、周波数が400Hz程度以下の低周波交流電源であれば、商用交流電源に換えて利用可能である。さらに、本発明において、「定電流発生器」とは、従来の定電流電源装置のように負荷に対して所定の定電流が流れるように電圧を変化させるものではなく、負荷変動に関係なく、すなわち負荷が短絡状態であっても常に一定の電流を供給可能であるという点で従来の定電流電源装置とは定電流発生原理が全く異なるものである。
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
また、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、前記電子発光光源が、LEDであることにより、前記課題をさらに解決したものである。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムは、出力電圧がV(ボルト)である商用交流電源と静電容量Cの定電流供給用コンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えたというきわめて簡単な構成によって、静電容量Cは固定であるため、出力変成器の一次側巻線には、静電容量Cに対応した定電流Iが流れるので、前記出力変成器の二次側巻線に直列接続された負荷(点灯する電子発光光源の数や配線の長さになどによって決まる)が増減した場合であっても、例えば、負荷が短絡した場合であっても電源電圧に影響が波及せず、出力変成器の二次側へ常に安定した定電流供給が実現できる。その結果、出力変成器の二次側を短絡させた状態で定電流発生器の動作状態を点検することができる。また、複数の灯火が一筆書きのように一本の配線で直列に接続されるため、2本の配線で各灯火に電力を供給する場合に比べて配線の量を大幅に削減でき省資源化に貢献する。
さらに、前記一次側巻線に流れる定電流Iと選択された入力側切換タップまでの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)が、前記二次側巻線に発生する交流定電流Iと二次側巻線の巻数Tとの積I・T(アンペアターン)が一定、すなわちI・T=I・Tの関係が成立し、Iが前述したように一定で、Tを固定とした場合、各入力側切換タップまでの巻数Tに比例した交流定電流Iが前記出力変成器の二次側巻線に発生するので、電子発光光源に通電される負荷電流を100%通電から、例えば、0.2%という微少な通電まで入力側切換タップの切り換えによって精度良く調整することができる。
しかも、この調整は出力変成器の二次側巻線に発生する正弦波である交流定電流Iの振幅の大きさを変化させることによって達成されるため、負荷電流を低減させていった場合であっても灯火がちらつくことなく、良好な視認性を発揮させることができる。さらに、電流式のタップ切換は、電圧式のタップ切換と異なり、タップ間に電位差が発生しないため絶縁破壊などの故障の発生が抑制され、装置の安全性が向上する。
加えて、以下のような各請求項に特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、負荷回路が複数個直列に定電流発生器の出力変成器の二次側巻線に接続されて直列回路を形成しており、前記負荷回路の各々が該負荷回路を前記直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器と前記開閉器の開放時に前記回路接点器の開放を阻止するインターロック制御機構とを有していることによって、定電流発生器の出力は負荷の大きさに関わらず常に一定の定電流が流れるため、消灯したい負荷回路を回路接点器によって短絡させるだけで、他の負荷回路の点滅状態に影響を与えることなく消灯することができる。また、点灯したい負荷回路を開閉器によって直列回路に組み入れた後、回路接点器を開放するだけで、他の負荷回路の点滅状態に影響を与えることなく点灯することができる。
また、本請求項2に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、請求項1に係る電子発光光源用定電流発生器システムが奏する効果に加えて、出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることにより、灯火のグローブに埃が付着し輝度が低下した場合であっても前記出力側切換タップの切り換えによって灯火に流れる負荷電流を増加させて輝度の低下を補償することができるので、熱発光光源に比べて長寿命である電子発光光源を運用途中で特別な保守を繰り返すことなく、電子発光光源の寿命が尽きるまで安全要求輝度100%を維持することができる。
また、本請求項3に係る電子発光光源用定電流発生器システムによれば、請求項1又は請求項2に係る電子発光光源用定電流発生器システムが奏する効果に加えて、電子発光光源がLEDであることにより、LEDは半導体を用いたpn接合と呼ばれる固体構造で作られており、この構造の中で電子の持つエネルギーを直接、光エネルギーに変換することで発光し、巨視的には熱や運動の介在を必要としないので、優れた耐久性や耐衝撃性、長寿命化、高効率化を実現できる。
しかも、ハロゲンランプのような熱発光光源においては、過電流によってフィラメントが溶断することを防ぐために過電流継電器を設置する必要があったが、LEDは、多少の過電流が流れたとしても素子が溶断することがなく過電流継電器を設置する必要がないので、装置構成の簡略化を図ることができる。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムは、商用交流電源と定電流供給用コンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備え、前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器の出力変成器の二次側巻線に接続されており直列回路を形成して、前記負荷回路の各々が該負荷回路を前記直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器と前記開閉器の開放時に前記回路接点器の開放を阻止するインターロック制御機構とを有しており、負荷回路に対して簡単な回路構成で輝度調整の高精度化を図ると共に、複数個直列接続された各々の負荷回路を任意に点滅制御することを可能にし、さらに、灯火の保守メンテナンス負担を軽減することができるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
本発明の一実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施例である電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の一つである定電流発生器の回路図であり、図2は、電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の別の一つである負荷回路の回路図である。図3は、5つの負荷回路が全て消灯状態で直列に定電流発生器に接続された時の回路図であり、図4は、5つの負荷回路のうち3つの負荷回路が点灯状態で直列に定電流発生器に接続された時の回路図である。
本発明の実施例である電子発光光源用定電流発生器システムの主要構成要素の一つである定電流発生器100は、図1に示すように、商用交流電源110と一定の静電容量Cを有するコンデンサ120と出力変成器130の一次側巻線130Pとが直列に接続されている。そして、出力変成器130の二次側巻線130Sには、図3に示すように電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている5つの負荷回路300、400、500、600、700が、これらの負荷回路の各々を直列回路から切り離す開閉器302、402、502、602、702とこれらの負荷回路の各々を短絡させる回路接点器301、401、501、601、701を介して接続されている。
負荷回路300、400、500、600、700は、例えば、飛行場の進入灯、滑走路灯、誘導路灯などの用途に応じて、適宜必要数の灯火が直列に接続されている。その一例として負荷回路300の回路構成を図2に示す。なお本実施例に於いては、灯火を構成する電子発光光源としてLEDを用いている。
図2に示したように、直列に接続された複数の灯火に内装された電子発光光源300Bの任意の一つが不点灯になっても他の電子発光光源300Bが影響を受けないようにするため、負荷回路300を構成する各灯火には、絶縁トランス300Aを備えている。そして、電子発光光源300Bに加わる逆方向電流を遮断するための逆流防止ダイオード300Cが電子発光光源300Bと直列に接続されている。なお、逆流防止ダイオード300Cを用いて電子発光光源300Bに加わる逆方向電流を遮断することに換えて2つの電子発光光源300Bを互いに極性が逆方向となるように並列接続したものを絶縁トランス300Aの二次側に接続しても良い。この場合、正弦波交流電流の正方向通電時及び逆方向通電時に2つの電子発光光源300Bが交互に点灯し、エネルギー効率が向上すると共に、負荷回路300を構成する灯火のちらつきが一層低減し、その効果は甚大である。
さらに、出力変成器130の二次側巻線130Sに発生する交流定電流Iの振幅を線形に変化させるための複数の入力側切換タップ130Aが、出力変成器130の一次側巻線130Pに設けられている。この入力側切換タップ130Aは、要求される輝度(%)の変更段階、例えば、図7に示すように、100%、30%、25%、10%、5%、1%、0.2%と一次側巻線130Pの巻数が比例関係になるように設けられている。なお、図1においては、5%、1%、0.2%に対応する入力側切換タップは、記載を省略している。
そして、出力変成器130における電圧降下は、コンデンサ120の端子間電圧に比べて十分に小さいため、商用交流電源110の出力電圧がV(ボルト)で一定であり、コンデンサ120の静電容量がC(ファラッド)で固定、例えば、200μFであることによって、出力変成器130の一次側巻線130Pには、静電容量Cに対応した定電流Iが流れる。さらに、この定電流Iと選択された入力側切換タップまでの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)と、二次側巻線130Sに発生する交流定電流Iと二次側巻線130Sの巻数Tとの積I・T(アンペアターン)とが一定、すなわちI・T=I・Tの関係が成立するため、Iが前述したように一定で、二次側巻線130Sの巻数Tを固定とした場合、各入力側切換タップまでの巻数Tに比例した交流定電流Iが出力変成器130の二次側巻線130Sに発生する。
その結果、入力側切換スイッチ130Bによって、所望の入力側切換タップ130Aを選択することにより、出力変成器130の二次側巻線130Sに一次側巻線130Pの巻数Tに比例した交流定電流Iを発生させることができる。例えば、Tが1000ターンでありTがTの3倍の3000ターンとした場合、Iを20Aの定電流とすることによって、IとしてIの3分の1の6.6Aの定電流が得られる。そして、Tを全巻数の30%である300ターンに切り替えることによって、Iとして、6.6Aの30%である1.98Aの定電流が得られる。
また、本実施例を構成する定電流発生器100は、図1に示すように、出力変成器130の二次側巻線130Sに、例えば、全巻数に対して0%、1%、3%、5%という細かい間隔で巻数を減少させる複数の出力側切換タップ130Cが設けられている。そして、出力側切換スイッチ130Dによって、所望の出力側切換タップ130Cを選択することにより、前述したI・T=I・Tの関係において、二次側巻線130Sの巻数Tを若干減少させることができるため、負荷に供給される交流定電流Iの振幅を微増(数%の上昇)させることができる。これにより、灯火のグローブに埃が付着して輝度が低下した際に初期の輝度を維持するように微調整することができる。ここで、灯火の輝度の微調整用の切換タップを出力変成器130の二次側に設ける理由は、一次側に設けた入力側切換タップ130Aの巻数の線形関係を変更することなく、負荷電流を微増することができるからである。
次に、本実施例を構成する定電流発生器に直列接続された複数の負荷回路の点灯・消灯動作について、図3及び図4に基づき説明する。定電流発生器100の出力変成器の二次側巻線には、図3に示すように、5つの負荷回路300、400、500、600、700が直列に接続されている。そして、これらの負荷回路の各々を直列回路から切り離す開閉器302、402、502、602、702と、これらの負荷回路の各々を短絡させる回路接点器301、401、501、601、701が設けられている。そして、回路接点器301、401、501、601、701は、開閉器302、402、502、602、702よりも定電流発生器100側に設けられており、開閉器302、402、502、602、702が開放状態にある場合には、回路接点器301、401、501、601、701は開放されないようにインターロック制御機構(図示されていない)が各回路接点器及び開閉器に配備されている。これにより、直列接続された複数の負荷回路からなる直列回路が開放状態となることを防止している。
図3は、全ての回路接点器301、401、501、601、701が短絡状態にあり、全ての開閉器302、402、502、602、702が開放状態にある回路を示している。すなわち、定電流発生器100の出力変成器の出力端子(二次側巻線)間OUTが短絡された状態になっている。しかしながら、前述したように本発明による定電流発生器100によれば、負荷の大きさに関わらず一定の電流を出力変成器の二次側巻線に発生させるため、出力端子間OUTが短絡状態になっても定電流発生器100の電源側に影響が波及することがない。この状態、すなわち全ての負荷回路300、400、500、600、700が消灯状態であり、定電流発生器100の出力端子間OUTが短絡状態にある状態から、1つの負荷回路300を点灯状態とする場合には、まず、開閉器302をON(導通状態)とした後、回路接点器301をOFF(開放状態)にする。他の負荷回路400、500、600、700も同様の操作で点灯状態とすることができる。
図4は、回路接点器401、601が短絡状態にあり、開閉器402、602が開放状態にある回路を示している。すなわち、定電流発生器100の出力端子間OUTには、3つの負荷回路300、500、700が直列接続され、それぞれ点灯状態になっている。この状態から、1つの負荷回路500を消灯状態とする場合には、まず、回路接点器501をON(短絡状態)にする。その瞬間、定電流発生器100の出力端子間OUTには、2つの負荷回路300、700が直列接続された状態になり、負荷回路500は消灯状態となる。その後、開閉器502を開放する。その結果、直列接続されていた3つの負荷回路300、500、700のうち、2つの負荷回路300、700の点灯状態が途切れることなく、負荷回路500のみを消灯状態とすることができる。
回路接点器301、401、501、601、701及び開閉器302、402、502、602、702のON・OFF動作は、遠隔制御が可能な汎用のシーケンス制御盤などを用いて行うことができる。
なお、前述した実施例では、定電流発生器に接続される負荷回路の数が5つのものについて説明しているが、負荷回路の数は、5つに限定されるものではなく、いくつであっても構わない。
また、本発明の電子発光光源用電流発生器システムを構成する定電流発生器100は、出力変成器130の一次側巻線130Pに設けられた入力側切換タップ130Aの設置位置を図7に示した輝度(%)と熱発光光源電流(A)の関係に対応させて設けることによって、従来から用いられている熱発光光源に対しても入力側切換タップ130Aの切り換えにより従来の定電流装置と同様に、所望の輝度に対する電流を出力する電源として使用することも可能である。
本発明は、静電容量Cの定電流供給用コンデンサに定電圧Vを印加すると静電容量Cに対応した定電流が発生するという原理を応用して、きわめて簡単な構成で定電流発生器を構成することができると共に、定電流発生器に直列接続された複数の負荷回路のうち所望の負荷回路のみを他の負荷回路のON・OFF状態に関係なくON・OFF制御できるものであって、飛行場の灯火システムのみならず、高速道路、トンネル、競技場、公園などの公共施設の照明システムの高度なON・OFF制御、輝度調整の高精度化、エネルギー効率の高効率化、保守メンテナンス負担の軽減を実現でき、その産業上の利用可能性はきわめて高い。
本発明の電子発光光源用定電流発生器システムの定電流発生器の回路図。 本発明の電子発光光源用定電流発生器システムの負荷回路の回路図。 定電流発生器に直列に接続された5つの負荷回路が全て消灯状態にある時の回路図。 定電流発生器に直列に接続された5つの負荷回路のうち3つが点灯状態にある時の回路図。 従来の熱発光光源用の定電流光度調整装置の回路図。 図5に示した従来の定電流光度調整装置の各部における信号波形図。 電子発光光源と熱発光光源の電流−輝度特性を示した表。 図7に示した表に基づいたグラフ。
符号の説明
100 ・・・定電流発生器
110 ・・・商用交流電源
120 ・・・コンデンサ
130 ・・・出力変成器
130A・・・(出力変成器の)入力側切換タップ
130B・・・(出力変成器の)入力側切換スイッチ
130C・・・(出力変成器の)出力側切換タップ
130D・・・(出力変成器の)出力側切換スイッチ
130P・・・(出力変成器の)一次側巻線
130S・・・(出力変成器の)二次側巻線
300、400、500、600、700・・・負荷回路
301、401、501、601、701・・・(負荷回路の)回路接点器
301、401、501、601、701・・・(負荷回路の)開閉器
300A・・・(負荷回路300の)絶縁トランス
300B・・・(負荷回路300の)電子発光光源
300C・・・(負荷回路300の)逆流防止ダイオード
200 ・・・定電流光度調整装置
210 ・・・商用交流電源
220 ・・・共振回路
220A・・・(共振回路の)コンデンサ
220B・・・(共振回路の)リアクトル
230 ・・・出力変成器
230P・・・(出力変成器の)一次側巻線
230S・・・(出力変成器の)二次側巻線
240 ・・・灯火
240A・・・(灯火の)絶縁トランス
240B・・・(灯火の)熱発光光源
240C・・・(灯火の)逆流防止ダイオード
250 ・・・分流回路
250A・・・(分流回路の)サイリスタ
250B・・・(分流回路の)サイリスタ
260 ・・・サイクル制御回路
270 ・・・電流検出器
280 ・・・配線

Claims (3)

  1. 商用交流電源とコンデンサと出力変成器の一次側巻線とが直列に接続されていると共に前記出力変成器の二次側巻線に発生する交流定電流の振幅を線形に変化させる複数の入力側切換タップが前記出力変成器の一次側巻線に設けられた定電流発生器と、電子発光光源を内装した複数の灯火が直列に接続されている負荷回路とを備えた電子発光光源用定電流発生器システムであって、
    前記負荷回路が複数個直列に前記定電流発生器に接続されており、前記負荷回路の各々が、該負荷回路を直列回路から切り離す開閉器と前記負荷回路を短絡させる回路接点器とを有することを特徴とする電子発光光源用定電流発生器システム。
  2. 前記出力変成器の二次側巻線に発生した交流定電流の振幅を微調整する複数の出力側切換タップが、前記出力変成器の二次側巻線に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子発光光源用定電流発生器システム。
  3. 前記電子発光光源が、LEDであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子発光光源用定電流発生器システム。
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