JP2009155738A - マイナスイオン発生材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量平均分子量60万〜300万の超高分子量ポリ‐γ‐グルタミン酸により被覆処理された絹繊維と、ポリ塩化ビニリデン系繊維とを含む混合繊維布からなり、該ポリ塩化ビニリデン系繊維が負に帯電されているマイナスイオン発生材料とする。
【選択図】図5
Description
しかしながら、この繊維布に用いるタンパク質繊維例えば絹繊維は、耐摩耗性を欠く上に、紫外線により変質し黄変するという欠点を有する。
絹繊維にポリ‐γ‐グルタミン酸を均一かつ強固な薄膜状に被覆するには、架橋剤としてカルボジイミド基をもつ化合物又は二官能性エポキシ化合物を用いる。
カルボジイミド基をもつ化合物としては、例えば分子間架橋反応を行わせるためのカルボジイミド基を2個以上有する化合物、すなわち多価カルボジライトを挙げることができる。このものは、例えば多官能性の有機イソシアネートを脱炭酸縮合して得ることができる。
また、二官能性エポキシ化合物としては、ジグリシジルベンゼン、ジグリシジルシクロヘキサン、ジグリシジル尿素などがある。
また、絹繊維とポリ‐γ‐グルタミン酸の使用割合は、絹繊維100質量部当り、0.001〜0.5質量部、好ましくは0.003〜0.1質量部の範囲で選ばれる。
次いで、このポリ‐γ‐グルタミン酸を吸着した絹繊維を、例えばプラスチックパイプに巻き付けて、架橋剤を含む弱酸性に調整した液中に浸漬し、20〜50℃に保持したのち、80℃まで昇温して架橋反応を行わせる。この反応時間は、通常0.5〜3時間程度である。この際の液性の調整は、例えば、酢酸、プロピオン酸のような有機酸、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸によりpH5〜6に調節することにより行われる。架橋反応終了後、絹繊維を取り出し、水洗したのち、80〜100℃で乾燥する。
このようにして、質量平均分子量60〜300万の超高分子量ポリ‐γ‐グルタミン酸により被覆された絹繊維が形成される。
本発明のマイナスイオン発生材料は、上記のようにして得たポリ‐γ‐グルタミン酸被覆絹繊維とポリ塩化ビニリデン繊維とを混合することにより製造される。そして、これらの繊維成分を接触させ機械的に摩擦を加えると、混合繊維中のポリ塩化ビニリデン系繊維に負電荷が帯電し、マイナスイオンが発生する。
本発明のマイナスイオン発生材料におけるポリ‐γ‐グルタミン酸被覆絹繊維とポリ塩化ビニリデン系繊維との混合割合は、質量比で20:80ないし80:20の範囲である。
図1は、この測定装置の説明図であって、これはたがいに電気的に絶縁された外筒(印加電圧筒)1と内筒(集電極円筒)2から構成されている。そして、この外筒1は直流電源4に、内筒2はエレクトロメーター3にそれぞれ接続している。この外筒1と内筒2の間隙に、軸方向に空気イオンを含む空気を一定流速で通しながら、外筒1に負電流を印加すると、円筒間を通過する空気中のマイナスイオンは内筒2に捕捉され、外筒1への印加電圧を高めていくと、内筒2に流れる電流は次第に増大する。そして、P点を通過するイオンがすべてT点で捕捉可能な印加電圧下では、内筒間に入ってくるイオンはすべて内筒2に捕捉され、印加電圧がこれ以上になると内筒2に流れる電流は一定値となる。
また、すべてのマイナスイオンが捕捉されるイオンの移動度すなわち臨界移動度をkcとすると、このkcは次の式(1)で示される。
kc=[F/(4π・aV)] (1)
ただし、F:空気流の流量(cm3/sec)
V:印加電圧(ボルト)
a:装置定数
[D]=I/(e・F) (2)
上式において、I:飽和電流量域において、一定時間に流れた平均電流(アンペア/秒)
[D]:マイナスイオン数密度(個/cm3)
ただし、e:1個の電子の荷電量(1.6×10-17クローン/秒)
I=(Q/t) (3)
0→40V→0→60V→0→80V→0→100V→0→120V→0→140V→0→160V
そして、式(3)により内筒2に流れる電流Iを計算し、あらかじめ作成された電流Iと加電圧との関係グラフより飽和電流値Isを求め、式(2)に従い、マイナスイオン数密度[D]を計算する。
中国産サク蚕糸(繊度21デニール以上)100gを、質量平均分子量300万のポリ‐γ‐グルタミン酸(福岡醸造協同組合製)をサク蚕糸の質量に基づき0.0034質量%の割合で含有する水溶液1.5リットル中に40℃において1時間浸漬し、サク蚕糸にポリ‐γ‐グルタミン酸を吸着させたのち、遠心分離して水分を除き、次いで風乾した。
このようにして得たポリ‐γ‐グルタミン酸を吸着したサク蚕糸を外径10mmのプラスチックパイプに巻き付ける。次いで有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合により得られたカルボジイミド当量(高分子の分子量/高分子中のカルボジイミド基の数)355〜380のカルボジイミド基をもつ高分子化合物(日清紡製)を濃度40質量%の水懸濁状とし、これによりpH5.5、0.2質量%水溶液3リットルを調製し、この中に上記の試料を巻き付けたプラスチックパイプを浸漬し、温度を80℃に保ち、1時間反応させたのち取り出し、水洗後、90℃で乾操し、51mmにカットしてポリ‐γ‐グルタミン酸0.0034質量%により均一に被覆されたクリンプ付き絹繊維を製造した。
次に、ポリ‐γ‐グルタミン酸のサク蚕糸に対する量を変えて、同様に処理することにより、それぞれ0.03質量%、0.06質量%及び0.09質量%のポリ‐γ‐グルタミン酸で被覆された絹繊維のサンプルを製造した。
参考例1と同じ中国産サク蚕糸100gを、このサク蚕糸の質量に基づき0.0034質量%の割合で含有する水溶液1.5リットル中に、40℃において1時間浸漬し、サク蚕糸にポリ‐γ‐グルタミン酸を吸着し、風乾した。このようにして、ポリ‐γ‐グルタミン酸を被覆させたサク蚕糸を外径10mmのプラスチックパイプに巻いて、酢酸によりpH4.5に調節したエチレングリコールジグリシジルエーテル(東京化成工業社製特級試薬)の1質量%水溶液3リットル中に浸漬し、1時間、40℃に加熱したのち、80℃に昇温して2時間反応させた。次いで、処理した絹繊維を取り出し、水洗後、乾燥し、51mmにカットして、ポリ‐γ‐グルタミン酸0.0034質量%で均一に被覆されたクリンプ付き絹繊維のサンプルを製造した。
次に、ポリ‐γ‐グルタミン酸のサク蚕糸に対する量を変えて、同様に処理することにより、それぞれ0.03質量%、0.06質量%及び0.09質量%のポリ‐γ‐グルタミン酸で被覆された絹繊維のサンプルを製造した。
このようにして得た不織布について、測定用の空気流により、繊維相互の摩擦荷電を発生させ、マイナスイオンの数密度を次のように測定した。
不織布より15cm×15cmの方形片を切り取り、40℃で2時間乾操後、12時間デシケーター中に保存する。
次いで試料をゲルディエン法測定装置の試料筒に入れ、外部より試料に2.01リットル/分の空気を流す。この空気は測定装置の二重円筒の間を通過するとき外筒への印加電圧(V)に対応して内筒に流れる電流値(I)を求め、飽和電流値より(1)、(2)式によりマイナスイオン数密度[−D]を得る。
なお、測定値は流過する空気の25℃、関係湿度30%で求めた標準試料を同一日の温度、湿度が近い時刻帯に測定し、この値より補正を行う。
このようにして得た結果を表1に示す。
このようにして得た不織布について、測定用の空気流により、繊維相互の摩擦荷電を発生させ、マイナスイオンの数密度を実施例1と同じ方法で測定した。この結果を表2に示す。
なお、表2には、比較のためにポリ‐γ‐グルタミン酸被覆を行わない試料No.5の測定結果を併記した。
ポリ‐γ‐グルタミン酸0.06質量%で被覆したサク蚕糸と、実施例1で用いたものと同じポリ塩化ビニリデン系繊維とを、質量比20:80(実施例3)、30:70(実施例4)、40:60(実施例5)、60:40(実施例6)、80:20(実施例7)の割合で混合した混合繊維を用い、実施例1と同様にして目付300g/m2のウェブを形成し、これに回転シリンドルパンチング処理を施して、不織布を製造した。
これらの不織布のマイナスイオン数密度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表3に示す。
なお、比較のためにポリ‐γ‐グルタミン酸被覆サク蚕糸単独(比較例1)、ポリ塩化ビニリデン系繊維単独(比較例2)及び市販の粉末トルマリンを混練したビスコース繊維単独(比較例3)についての測定結果も併記した。
2 内筒
3 エレクトロメーター
4 直流電源
5 絶縁板
6 試料筒
7 空気流入口
8 流量計
9 吸引機
10 空気排気口
Claims (6)
- 質量平均分子量60万〜300万の超高分子量ポリ‐γ‐グルタミン酸により被覆処理された絹繊維と、ポリ塩化ビニリデン系繊維とを含む混合繊維布からなり、該ポリ塩化ビニリデン系繊維が負に帯電されていることを特徴とするマイナスイオン発生材料。
- 超高分子量ポリ‐γ‐グルタミン酸による絹繊維の被覆処理がカルボジイミド基をもつ化合物又は二官能性エポキシ化合物を架橋剤として用いて行われている請求項1記載のマイナスイオン発生材料。
- 超高分子量ポリ‐γ‐グルタミン酸被覆の絹繊維100質量部に対する含有割合が0.001〜0.5質量部の範囲にある請求項1又は2記載のマイナスイオン発生材料。
- 混合繊維における絹繊維とポリ塩化ビニリデン系繊維の割合が質量比で80:20ないし20:80の範囲にある請求項1、2又は3記載のマイナスイオン発生材料。
- ポリ‐γ‐グルタミン酸水溶液中に絹繊維を浸漬したのち、乾燥後、カルボジイミド基をもつ化合物の水性懸濁液又は二官能性エポキシ化合物水溶液中に浸漬し、架橋反応させたのち、乾燥して質量平均分子量60〜300万の超高分子量ポリ‐γ‐グルタミン酸により被覆された絹繊維を形成させ、次いでこの絹繊維とポリ塩化ビニリデン繊維とを混紡し、布状に形成することを特徴とするマイナスイオン発生材料の製造方法。
- 織布状、編布状又は不織布状に形成する請求項5記載のマイナスイオン発生材料の製造方法。
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