JP2009152130A - 放電ランプ点灯装置および光通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】
放電ランプの光出力を送信信号の伝送媒体として利用する場合に、実用的な受信感度を有して、しかもインバータ回路のコストアップを伴わない放電ランプ点灯装置およびこれを用いた光通信システムを提供する。
【解決手段】
光通信システムは、変調光を送信する送信手段1と、変調光を受信する受信手段2と、を具備し、送信手段は、直流電源11aと、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路11bと、共振回路を含みインバータ回路の出力端に接続された負荷回路11cと、負荷回路に接続されて点灯する放電ランプ10と、放電ランプにランプ電流が通流している状態を維持しながら放電ランプのランプ電流を一時的に低減させてパルス信号を生成して送信データに応じて放電ランプの発光をパルス変調するパルス変調手段13とを備えている。
【選択図】図3
放電ランプの光出力を送信信号の伝送媒体として利用する場合に、実用的な受信感度を有して、しかもインバータ回路のコストアップを伴わない放電ランプ点灯装置およびこれを用いた光通信システムを提供する。
【解決手段】
光通信システムは、変調光を送信する送信手段1と、変調光を受信する受信手段2と、を具備し、送信手段は、直流電源11aと、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路11bと、共振回路を含みインバータ回路の出力端に接続された負荷回路11cと、負荷回路に接続されて点灯する放電ランプ10と、放電ランプにランプ電流が通流している状態を維持しながら放電ランプのランプ電流を一時的に低減させてパルス信号を生成して送信データに応じて放電ランプの発光をパルス変調するパルス変調手段13とを備えている。
【選択図】図3
Description
本発明は、放電ランプの発光を伝送媒体として送信する放電ランプ点灯装置およびこれを用いた光通信システムの改良に関する。
放電ランプの発光を伝送媒体とする可視光を利用する光通信システムは既知である(例えば、特許文献1参照。)。この種の光通信システムにおける変調方式としては周波数変調、振幅変調およびパルス変調などが知られている。また、パルス変調にはパルス幅変調、パルス振幅変調、パルス密度変調、パルス位置変調およびパルス符号変調がある。さらに、パルス位置変調には電子情報技術産業協会(JEITA)が可視光IDシステムCP-1222として提案している4値パルス位置変調(4PPM)が含まれる。
光通信システムにおけるパルス変調は、送信信号に対応して光源から放射される可視光を断続させて変調して行う。例えば、4PPMによるパルス変調方式においては、図1に示すように変調の周波数(主搬送周波数)fmdl1中に副搬送波周波数fmdl2を設け、このfmdl2で変調している期間を1とし、変調していない期間を0とすると、図の上から順にデータが00のときの4値PPM信号(4PPM信号)が1000、情報データが01のときの4PPM信号が0100、情報データが10のときの4PPM信号が0010、情報データが11のときの4PPM信号が0001の4状態となり、fmdl1の時間で2bitの情報を伝送することができる。
また、ランプ電流との関係においては、4PPM信号が1のときにランプ電流を遮断して蛍光ランプが消灯した状態とすることでパルス変調し、0のときにランプ電流が流れて蛍光ランプが点灯した状態にする。すなわち、4PPM信号が0のときは無変調とする。例えば、CP-1222では主搬送周波数fmdl1=2.4kHz、副搬送波周波数fmdl2=28.8kHzに選択することで、4.8kbpsの通信速度を実現することができる。
さらに、4PPM信号の送信信号を送出するに際には、最初に信号開始信号を送出する。信号開始信号には4PPM信号が0の期間における無変調時間より長い所定時間の無変調期間が含まれている。送信データは、隣接する4つの区間を1つの変調区間と3つの非変調区間にそれぞれ割り当て、かつ変調区間の非変調区間に対する位置を変えたパターンによって2進数の2ビットからなる00、01、10、11の値を符号化している。そして、図10のパルス変調における変調区間と非変調区間を示すランプ電流の波形図に示すように、変調区間では光出力を遮断し、非変調区間では光出力を遮断しないようにする。
可視光通信の光源としては、スイッチング特性が相対的に良好であるという理由から一般に発光ダイオードを用いるのが好ましいとされているが、蛍光ランプなどの放電ランプの光出力を伝送媒体とする光通信も理論上可能である。しかしながら、放電ランプを可視光通信の光源とする場合、受信感度を高くすること、放電ランプ点灯装置を送信手段とする際のコストアップが少ないことが要求される。
本発明者は、照明用途として広く普及している放電ランプの発光を送信信号の伝送媒体として利用することを目指した研究において、変調率と受信感度の関係を調査した結果、パルス変調の際に、一定範囲でランプ電流を放電ランプに通流していても、受信感度を高くすることが可能である事実を見出した。また、従来の光通信システムのパルス変調においては、パルス周期を短くして送信速度を高くしようとすると、副搬送波周波数がインバータ回路の発振周波数に近づくため、ランプ電流に対するスイッチング特性の影響が大きくなり、ランプ電流を所望の程度に遮断しようとすると、インバータ回路の回路構造が複雑化するためコストアップを伴うという問題がある。
本発明は、放電ランプの光出力を送信信号の伝送媒体として利用する場合に、実用的な受信感度を有して、しかもインバータ回路のコストアップを伴わない放電ランプ点灯装置およびこれを用いた光通信システムを提供することを目的とする。
本発明の放電ランプ点灯装置は、直流電源と;直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と;共振回路を含みインバータ回路の出力端に接続された負荷回路と;負荷回路に接続されて点灯する放電ランプと、放電ランプにランプ電流が通流している状態を維持しながら放電ランプのランプ電流を一時的に低減させてパルス信号を生成して送信データに応じて放電ランプの発光をパルス変調して送信するパルス変調手段と;を具備していることを特徴としている。
本発明は、以下の態様を許容する。
〔放電ランプ点灯装置について〕 本発明において、放電ランプ点灯装置は、直流電源、インバータ回路、負荷回路、放電ランプおよびパルス変調手段を備えている。以下、各構成要素の許容し得る態様について説明する。
(直流電源について) 直流電源は、後述するインバータ回路から見た入力供給手段であり、直流電圧を出力して、これをインバータ回路に入力電圧として印加する。直流電源は、交流電圧を整流した直流電源、電池電源またはキャパシタなどであってもよい。
また、直流電源は、直流電圧変換機能やアクティブフィルタ機能を具備していることを許容する。直流電圧変換機能およびアクティブフィルタ機能は、本発明において特段限定されないが、例えば昇圧チョッパ、降圧チョッパなどを単独で、または多段的に組み合わせ接続して用いることができる。なお、昇圧チョッパや降圧チョッパなどを用いて直流電源の出力電圧を可変にすることにより、インバータ回路の交流出力電圧を可変にすることもできる。
(インバータ回路について) インバータ回路は、直流電源から出力される直流電圧を高周波に変換する手段であり、少なくとも1つのスイッチング素子を含んでいる。本発明において、インバータ回路の回路方式は特段限定されない。例えば、ハーフブリッジ形インバータ、フルブリッジ形インバータ、一石形インバータなどを用いることができる。
また、インバータ回路は、その発振周波数を可変に構成することができる。なお、周波数を可変にすることにより、交流出力を一定に制御したり、交流出力を可変にして放電ランプの点灯を調光してパルス変調したりすることができる。さらに、インバータ回路は、所望により絶縁形または非絶縁形の出力トランスを含んでいることが許容される。
(負荷回路について) 負荷回路は、放電ランプをインバータ回路の出力により付勢するために、放電ランプを放電ランプ点灯装置に接続する際に、インバータ回路と放電ランプの間に介在される回路手段である。また、負荷回路は、共振回路を含み、この共振回路を介して放電ランプをインバータ回路の出力端に接続することにより、放電ランプに負荷回路の所望に応じて適度に共振した共振電圧を印加することができる。共振回路は、好ましくは直列共振回路であり、かつ放電ランプは、共振電圧が印加される回路上の位置に接続される。また、負荷回路は、そこに接続する放電ランプに対して限流インピーダンスを提供することができる。限流インピーダンスとして共振回路のリアクタンスを利用することができる。
さらに、負荷回路の共振条件を可変にすることにより、放電ランプに印加される交流電圧を変化させて放電ランプの光出力を変化させることができる。この手段を用いてパルス変調したり、放電ランプを調光点灯させたりすることが可能になる。例えば、共振回路のコンデンサの容量を変えると共振周波数が変化するので、インバータ回路の発振周波数に変化がなくても、共振回路における共振の度合が変化するから、放電ランプに印加される交流電圧が変化する。同様に共振回路のインダクタのインダクタンスを変えても放電ランプに印加される交流電圧が変化する。また、共振回路の抵抗を変えても共振回路の選択度Qが変化するので、放電ランプに印加される交流電圧が変化する。
したがって、以上の各共振条件のいずれかを単独で、または所望により適宜組み合わせて送信信号に応じて変化させることにより、放電ランプに印加される交流電圧が変化するので、パルス変調を行わせることができる。また、調光信号に応じて負荷回路の共振条件を変化させるように構成すれば、放電ランプを調光点灯することが可能になる。
(放電ランプについて) 本発明において、放電ランプは、光変調された送信信号を放射する信号伝送媒体の発生手段であり、低圧放電ランプや高圧放電ランプなどの放電ランプを用いることができる。放電ランプが発生する可視光を用いて光変調する場合には例えば蛍光ランプやHIDランプを、また紫外光を用いて光変調する場合には殺菌ランプ、を、それぞれ用いることができる。
放電ランプが蛍光ランプの場合、気密容器、蛍光体層、放電生起手段および放電媒体を主たる構成要素として構成されていて、気密容器の内部に封入された後述する放電媒体の低圧蒸気またはガス放電により放射された紫外線が蛍光体層に照射されることで蛍光体が励起されて可視光を発生する。
気密容器は、ガラスバルブなどから形成され、直管状、環状、U字状、W字状、スパイラル状など既知の多様な形態をなしていることが許容される。また、気密容器の外径および長さは、蛍光ランプの種別および定格などに応じて多様に設定することができる。
蛍光体層は、蛍光ランプ用として既知の蛍光体を用いて形成することができる。なお、使用する蛍光体は、本発明において特段限定されない。例えば、一般に多用されている3波長発光形蛍光体やハロリン酸蛍光体などを用いることができる。蛍光体層は、常法により形成することができる。
放電生起手段は、気密容器内に封入された放電媒体の低圧金属蒸気またはガス放電を生起するための手段であり、例えば電極または高周波磁界発生手段などをもって構成することができる。電極の場合、内部電極および外部電極が知られているが、そのどちらでもよい。
(パルス変調手段について) パルス変調手段は、放電ランプにランプ電流が通流している状態を維持しながら放電ランプのランプ電流を一時的に低減させてパルス信号を生成して送信データに応じて放電ランプの発光をパルス変調する手段である。放電ランプのランプ電流を一時的に低減させるには、例えばインバータ回路の出力電圧を低下させたり、負荷回路の共振条件を変化させたりして、放電ランプに印加される電圧を低下させることで実現することができる。
次に、パルス変調時に通流しているランプ電流の程度をランプ電流残存率で表して、このランプ電流残存率と受信可能距離との関係を調査した結果について説明する。なお、ランプ電流残存率は、これをR(%)としたとき、無変調時のランプ電流をAとし、変調時のランプ電流をBとしたときの割合で示すことができ、R=(B/A)×100(%)と定義する。したがって、従来のランプ電流が遮断された状態におけるランプ電流残存率はR=0%となるが、このときの受信可能距離を基準にして、これより受信距離が大きくなるランプ電流残存率R(%)の範囲は、0<R≦70であった。その中でも20≦m≦50の範囲であれば、一層受信距離が大きくなることが分かった。また、インバータ回路の回路構成が簡単であることが許容されるランプ電流残存率R(%)の効果的な範囲は、約10≦R≦100%の範囲であるが、100%の場合にはパルス変調が不可能になるため、受信可能距離が0になってしまうので、光通信に利用することができない。
以上を総合すると、パルス変調時に通流しているランプ電流の好ましい範囲は以下のとおりである。受信可能距離が許容範囲内であるとともにインバータ回路の回路構成が簡単にできるランプ電流残存率R(%)の一般的に効果的な範囲は10≦R≦80である。また、ランプ電流残存率R=0%のときより受信可能距離が大きくなるとともにインバータ回路の回路構成が簡単にできる好適な範囲は20<R≦70である。さらに加えて、受信可能距離が一層大きくなるので最適な範囲は30≦R≦50である。
次に、本発明における好適な変調周波数について説明する。変調周波数は、放電ランプの再点弧電圧に影響を与えることが分かった。すなわち、本発明者が変調周波数と放電ランプの再点弧電圧の関係を実験により調査した結果、変調周波数が5kHz以上であれば、再点弧電圧が低い値でほぼ一定することが判明した。これに対して、5kHz未満では変調周波数が低くなるにしたがって再点弧電圧が上昇し、1kHz以下になると再点弧電圧が高い値でほぼ飽和する。これは蛍光ランプ管内における電子の拡散時間に関係するものであり、蛍光ランプでは定格ランプ電力などの仕様が相違しても同様の結果を示した。
したがって、変調周波数が5kHz以上であれば、再点弧電圧が低くなり、再点弧の影響を受けにくくなるので、通信エラーを最小限に抑えることができる。しかし、変調周波数が500kHzを超えると、電磁放射ノイズの影響が大きくなるので、好ましくない。
以上説明した本発明の放電ランプ点灯装置を送信手段として受信手段を組み合わせることにより本発明の光通信システムを構成することができる。本発明の光通信システムにおいて、受信手段の許容し得る態様は以下のとおりである。
〔受信手段について〕 受信手段は、受光手段を備えていて、送信手段の放電ランプ点灯装置から放射される送信信号で変調された光出力を受光して、その中に含まれている送信信号を抽出して送信手段との間で通信を行う手段である。受信手段は、放電ランプの光出力中に含まれている送信信号の中から情報データを抽出するために、パルス復調手段を備えることができる。所望により受光手段とパルス復調手段の間に通信信号を選択的に抽出するための振動成分抽出手段を介在させることができる。また、受光手段の出力レベルを所望のレベルに高めるために、増幅器を受光手段とパルス変調手段の間に介在させることができる。
(受光手段について) 受光手段は、放電ランプ、例えば蛍光ランプの光出力を受光する手段である。蛍光ランプの光出力に含まれている送信信号を抽出しやすくするために、所望により蛍光ランプに封入されている放電媒体の主要なスペクトル線を選択的に受光し得る受光感度特性を付与することができる。
蛍光ランプ中の放電媒体の主要なスペクトル線としては、例えば主として一般照明用の低圧水銀蒸気放電による蛍光ランプの場合、前述のように波長405、435および436nmのスペクトル線は、殆ど全ての種別の蛍光ランプにおいて共通に存在しており、蛍光体発光との識別が容易であるので、極めて好都合である。
上述のように蛍光ランプの放電媒体の主要なスペクトル線を選択的に受光するための受光感度特性を受光手段に付与するためには、例えば蛍光ランプの蛍光体からの発光の波長領域の殆ど全体ないし一部にわたる比較的広帯域の受光感度特性を有する受光素子と所望の狭い選択透過特性を有する光学フィルタとを組み合わせて受光手段を構成することができる。
光学フィルタとして半値幅50nm程度のものを用いることにより、波長435nmおよび436nmの発光が一つのスペクトル線として検出されるとともに、青色光を発光する青色発光素子を備えるLED光源からの通信信号を含む光出力をも受信することが可能になる。すなわち、上記の態様によれば、蛍光ランプおよびLEDに共通して使用可能な受光手段を得ることができる。
また、受光手段は、光電変換素子を用いて構成するのがよく、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタなどを用いることができる。フォトダイオードとしては、例えばPINフォトダイオード、フォトPNダイオード、Siフォトダイオードなどを用いることができる。
(パルス復調手段について) パルス復調手段は、受光手段の受光出力中の送信パルス復号方式を用いる。したがって、適用されたパルス変調方式と対をなすパルス復号方式を用いればよい。
(振動成分抽出手段について) 振動成分抽出手段は、受光手段の出力中から送信信号を選択的に抽出するための手段であり、所望により配設することができる。そして、振動成分抽出手段は、例えば受光手段とパルス復調手段の間に介在される。しかし、所望により受光手段の出力を増幅器で増幅した後段に配設することもできる。振動成分抽出手段を帯域濾波形フィルタにより構成することができる。この場合、濾波する帯域は、送信信号の周波数帯域である。
〔その他の構成について〕 本発明においては、所望により以下の構成を付加することができる。
1.(照明器具について) 照明器具は、本発明の放電ランプ点灯装置を具備していて、所要の照明目的に供されるとともに、光通信システムの送信手段の全部または一部をそこに配設する。照明器具は、光通信を行うエリアが屋内であれば主として屋内用の照明器具であり、また光通信を行うエリアが屋外であれば主として屋外用の照明器具が用いられる。複数の照明器具を離間配設して各照明器具から送信信号を光出力に含めて発信するように構成して、受信手段が移動しても光通信が可能なようにすることもできる。
本発明によれば、パルス変調手段が、放電ランプにランプ電流が通流している状態を維持しながら放電ランプのランプ電流を一時的に低減させることによってパルス変調し、送信データに応じて放電ランプの光出力を伝送媒体とする送信信号を生成するように構成されていることにより、実用的な受信感度を有して、しかもインバータ回路のコストアップを伴わない放電ランプ点灯装置およびこれを用いた光通信システムを提供することができる。
また、ランプ電流残存率20〜70%の範囲内でパルス変調することにより、受信感度が高くて、しかも回路構成が簡単なインバータ回路を用いて光通信を行うことができる。
さらに、負荷回路の共振条件を変化させて放電ランプのランプ電流を低減させることにより、インバータ回路の発振周波数を変更することなしにパルス変調が可能になるため、発光の乱れが生じにくくなって安定した光通信を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図2ないし図4は、本発明の光通信システムを実施するための第1の形態を示し、図2は光通信システム全体のブロック回路図、図3は送信手段としての本発明の放電ランプ点灯装置を実施するための一形態を示す回路図、図4は送信信号と4値パルス位置変調(4PPM)方式との対応関係を示す波形図である。本形態において、光通信システムは、送信手段1および受信手段2を具備して構成されている。なお、図1において、符号3は送信する情報データを送出する情報源3、符号5は受信した情報データを受信する機器である。
送信手段1すなわち放電ランプ点灯装置は、例えば蛍光ランプなどの放電ランプ10、放電ランプ点灯回路11、情報データ受入手段12、パルス変調手段13および駆動信号発生手段14からなる。なお、パルス変調手段13および駆動信号発生手段14は、図3において制御手段15に包含されている。
放電ランプ10は、それが蛍光ランプの場合、ガラスバルブ、その内面側に形成された蛍光体層、ガラスバルブの両端内部に封装された一対のフィラメント電極およびガラスバルブの内部に封入された放電媒体を具備している。そして、放電媒体は、適量の水銀および数百Pa程度のアルゴンなどの希ガスからなり、一般照明用のものである。
放電ランプ点灯回路11は、図3に示すように、直流電源11a、インバータ回路11b、負荷回路11cおよび負荷状態検出手段16を備えて構成されている。なお、図1において、インバータ回路11bおよび負荷回路11cは、一つの回路ブロックとして図示されている。
直流電源11aは、ブリッジ形全波整流回路11a1およびアクティブフィルタ11a2からなる。ブリッジ形全波整流回路11a1は、交流入力端が低周波交流電源4に接続し、直流出力端に脈流の直流電圧を出力する。アクティブフィルタ11a2は、昇圧チョッパからなり、その入力端がブリッジ形全波整流回路11a1の直流出力端に接続する。そして、アクティブフィルタ11a2の直流出力端に並列接続した平滑コンデンサC1の両極間に、所望電圧に昇圧されるとともに、平滑化された直流電圧を出力する。
インバータ回路11bは、ハーフブリッジ形インバータ回路からなり、一対のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路を直流電源11aの両端すなわち平滑コンデンサC1の両極間に接続している。そして、スイッチング素子Q2の両端間に矩形波の交流電圧が出力される。
負荷回路11cは、インダクタL1および共振コンデンサC2の直列回路により形成される共振回路を主体として構成されており、直流カットコンデンサC3を介してインバータ回路11bの上記出力端に接続している。前記放電ランプ10は、図3に示すように、その一対の電源側端子が共振コンデンサC2の両端間に並列接続している。なお、一対の非電源側端子間には電極予熱回路としてのコンデンサ(図示を省略している。)など既知のフィラメント加熱回路を適宜接続することができる。
負荷状態検出手段16は、放電ランプ10のランプ電圧検出回路および/またはランプ電流検出回路を備え、放電ランプ10の電気作動状態を検出して放電ランプの入力制御のための帰還制御やランプ装着保護動作などのために作用する。
送信データ受入手段12は、例えばインターフェイスを主体として構成され、外部の情報源3から発生した情報データを受け入れる。
そうして、送信手段1では、情報源3から送出される情報データを情報データ受入手段12が受け入れて、パルス変調手段13が情報データに対応してパルス変調し、パルス変調に対応した駆動信号が駆動信号発生手段14で発生してインバータ回路11bのスイッチング素子Q1、Q2を交互に駆動する。本形態においては、パルス変調時の駆動信号の発振周波数が高くなり、これに応じてインバータ回路11bの発振周波数が高くなる。その結果、負荷回路11cの共振回路の共振コンデンサC2の両端に生じる共振電圧が低下するので、放電ランプ10に印加される電圧が符号0に対応する無変調区間における印加電圧に比較して相応に低下し、これに伴い符号1に対応する変調区間のランプ電流が図4に示すように遮断されることなしに低減する。以上の回路動作により、4PPM規格に沿って変調されて生成された送信信号が重畳している可視光の光出力が蛍光ランプ14から放射される。なお、図4中の太線は、4PPMの規格を示している。
受信手段2は、受光手段21、増幅器22およびパルス復調手段23を備えている。
受光手段21は、放電ランプ10の光出力を受光するような位置関係に配設され、好適には放電ランプ10の光出力の中からガラスバルブ内に封入されている水銀が蒸発し、かつ低圧水銀蒸気放電が生起したときに放射される主要なスペクトル線、例えば436nmの可視光を選択的に受光し得る分光受光感度特性を有している。そのため、光出力中に含まれる送信信号を高感度に受光すなわち受信することができる。
増幅器22は、受光手段21から得た送信信号を所要のレベルまで増幅する。
パルス復調手段23は、増幅された送信信号をパルス復調して送信データを復元する。なお、得られた送信データは、受信手段2から取り出されて、例えば外部の機器5に入力して通信が行われる。
インバータ回路:発振周波数は非変調時が115.2kHz、パルス変調時が172.8kHz
放電ランプ :FHF32EX-N-H形蛍光ランプ(東芝ライテック株式会社製)
パルス変調手段:変調周波数28.8kHz、ランプ電流残存率R=70%
次に、図5を参照してランプ電流残存率と受信可能距離との関係について説明する。図5は、本発明者が実験により明らかにしたものである。なお、ここでは受信可能距離を、通信エラーのない状態が80%となる放電ランプからの離間距離と定義している。図において、ランプ電流残存率Rが0%のときは、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が遮断されて0になる状態である。また、ランプ電流残存率Rが100%のときは、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が無変調時と変わらない状態、換言すればパルス変調を行うことのできない状態である。
放電ランプ :FHF32EX-N-H形蛍光ランプ(東芝ライテック株式会社製)
パルス変調手段:変調周波数28.8kHz、ランプ電流残存率R=70%
次に、図5を参照してランプ電流残存率と受信可能距離との関係について説明する。図5は、本発明者が実験により明らかにしたものである。なお、ここでは受信可能距離を、通信エラーのない状態が80%となる放電ランプからの離間距離と定義している。図において、ランプ電流残存率Rが0%のときは、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が遮断されて0になる状態である。また、ランプ電流残存率Rが100%のときは、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が無変調時と変わらない状態、換言すればパルス変調を行うことのできない状態である。
したがって、図5から理解できるように、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が遮断されないで残存していてもランプ電流残存率Rを適宜選択することで実用的な受信感度を得ることができるばかりでなく、ランプ電流残存率R(%)が0<R≦70を満足する範囲においては、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が遮断されて0%になるときより受信可能距離が大きくなりさえする。
また、図5には示されていないが、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が遮断されないで残存していれば、インバータ回路の回路構成が複雑化することなしにパルス変調方式の光通信に用いることが可能になる。なお、ランプ電流残存率Rが好適には10〜60%、最適には20〜50%であれば、パルス変調時に放電ランプのランプ電流が遮断されて0%になるときより受信可能距離が顕著に大きくなるとともに、回路構成が簡単なインバータ回路の使用が可能になる。
以下、図6ないし図9を参照して本発明の放電ランプ点灯装置を実施するためのその他の形態について説明する。なお、上記各図において、図3と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
図6および図7は、本発明の放電ランプ点灯装置を実施するための第2の形態を示し、図6は回路図、図7は送信信号と4値パルス位置変調(4PPM)方式との対応関係を示す波形図である。本形態は、パルス変調時にインバータ回路11bの発振周波数を変化させないで、負荷回路11cの共振条件を変化させることにより、放電ランプ10に印加される交流電圧を低下させるように構成している。
すなわち、本形態においては、負荷回路11cの共振コンデンサを2個のコンデンサC21およびC22の直列回路により構成し、その一方にスイッチング素子Q3を並列接続している。なお、スイッチング素子Q3は、変調手段13からの制御でON、OFFする。
無変調区間においては、例えば変調手段13がスイッチング素子Q3をOFFしておく。この状態において、負荷回路11cの共振回路が2個のコンデンサC21、C22の直列回路とインダクタL1とで直列共振回路が形成されるので、そのときの共振条件を無変調時の光出力が得られるように設定しておく。
そうして、パルス変調時に変調手段13がスイッチング素子Q3をONさせると、一方のコンデンサC22が短絡されるので、負荷回路11cの共振周波数が低下する。その結果、インバータ回路11bの発振周波数に対する負荷回路11cの共振回路における共振の程度が低減して、放電ランプ10に印加される交流電圧が低下する。そのため、パルス変調時のランプ電流の発振周波数が無変調区間における発振周波数が同じで、かつランプ電流が低減した状態でパルス変調が行われて、パルス変調された光出力が放電ランプ10から放射される。
図8は、本発明の放電ランプ点灯装置を実施するための第3の形態における送信手段を示す回路図である。本形態は、第2の形態と同様にパルス変調時にインバータ回路の発振周波数を変化させないで、負荷回路11cの共振条件を変化させるが、インダクタを2個のインダクタL11およびL12により構成し、ことにより、蛍光ランプ10に印加される交流電圧を低下させるように構成している。
すなわち、本形態においては、負荷回路11cの共振コンデンサを2個のコンデンサC21およびC22の直列回路により構成し、その一方と直列にスイッチング素子Q3を接続している。なお、スイッチング素子Q3は、変調手段13からの制御でON、OFFする。
無変調区間においては、例えば変調手段13がスイッチング素子Q3をOFFしておく。この状態において、負荷回路11cの共振回路のインダクタが一方のインダクタL11のみとなり、このインダクタL11と共振コンデンサC2とで直列共振回路が形成されるので、そのときの共振条件を無変調時の光出力が得られるように設定しておく。
そうして、パルス変調時に変調手段13がスイッチング素子Q3をONさせると、他方のインダクタL12が一方のインダクタL11に並列接続するので、負荷回路11cの共振周波数が低下する。その結果、インバータ回路11bの発振周波数に対する負荷回路11cの共振回路における共振の程度が低減して、放電ランプ10に印加される交流電圧が低下する。そのため、パルス変調時のランプ電流の発振周波数が無変調区間における発振周波数が同じで、かつランプ電流が低減した状態でパルス変調が行われて、パルス変調された光出力が放電ランプ10から放射される。
図9は、本発明の放電ランプ点灯装置を実施するための第4の形態における送信手段を示す回路図である。本形態は、第2の形態と同様にパルス変調時にインバータ回路の発振周波数を変化させないで、負荷回路11cの共振条件を変化させるが、共振回路に抵抗RをスイッチSWにより挿脱することによって共振条件を変化させてパルス変調を行うように構成されている。
すなわち、負荷回路11cに対して抵抗Rを直列接続するとともに、この抵抗RをスイッチSWにより負荷回路11cに対して挿脱可能に構成している。そして、スイッチSWを変調手段13により操作して抵抗Rを負荷回路11cに挿脱する。
無変調区間においては、例えば変調手段13がスイッチSWを操作して抵抗Rを負荷回路11cから外しておく。この状態において、負荷回路13b2の共振回路は、その選択度Qが相対的に高い状態なので、そのときの共振条件を無変調時の光出力が得られるように設定しておく。
そうして、パルス変調時には変調手段13がスイッチSWを操作して抵抗Rを負荷回路11cに直列に挿入する。これにより、共振回路の選択度Qが相対的に低い状態になる。その結果、インバータ回路13b1の発振周波数に対する負荷回路13b2の共振回路における共振の程度が低減して、放電ランプ10に印加される交流電圧が低下する。そのため、パルス変調時のランプ電流の発振周波数が無変調区間における発振周波数が同じで、かつランプ電流が低減した状態でパルス変調が行われて、パルス変調された光出力が放電ランプ10から放射される。
1…送信手段、2…受信手段、10…放電ランプ、11…放電ランプ点灯回路、11a…直流電源、11a1…ブリッジ形全波整流回路、11a2…アクティブフィルタ、11b…インバータ回路、11c…負荷回路、12…情報データ受入手段、13…パルス変調手段、14…駆動信号発生手段、15…制御手段(パルス変調手段13、駆動信号発生手段14)、C2…共振コンデンサ、C3…直流カットコンデンサ、L1…インダクタ、Q1、Q2…スイッチング素子
Claims (4)
- 直流電源と;
直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と;
共振回路を含みインバータ回路の出力端に接続された負荷回路と;
負荷回路に接続されて点灯する放電ランプと、放電ランプにランプ電流が通流している状態を維持しながら放電ランプのランプ電流を一時的に低減させてパルス信号を生成して送信データに応じて放電ランプの発光をパルス変調して送信するパルス変調手段と;
を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。 - パルス変調手段は、ランプ電流残存率が20〜70%の範囲内で放電ランプの発光をパルス変調することを特徴とする請求項1記載の放電ランプ点灯装置。
- 負荷回路は、共振回路の共振条件が可変に構成されており;
パルス変調手段は、負荷回路の共振回路の共振条件を送信データに応じて変化させることによって放電ランプの発光をパルス変調するように構成されている;
ことを特徴とする請求項1または2記載の放電ランプ点灯装置。 - 請求項1記載の放電ランプ点灯装置と;
放電ランプ点灯装置から送信される送信信号を受信する受信手段と;
を具備していることを特徴とする光通信システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007330622A JP2009152130A (ja) | 2007-12-21 | 2007-12-21 | 放電ランプ点灯装置および光通信システム |
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JP2007330622A JP2009152130A (ja) | 2007-12-21 | 2007-12-21 | 放電ランプ点灯装置および光通信システム |
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ID=40921016
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106850060A (zh) * | 2016-12-23 | 2017-06-13 | 国网福建省电力有限公司宁德供电公司 | 高频载波信号注入可见光通信电路回路的系统及方法 |
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2007
- 2007-12-21 JP JP2007330622A patent/JP2009152130A/ja active Pending
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