JP2009144453A - 注入工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セメントグラウトの注入が完了する兆候を検出し(S2)、係る兆候がセメントグラウトの充填により生じたのか、あるいは、セメント粒子による閉塞(ブリッジの形成)により生じたのかを判定し(S11)、当該判定(S11)では、セメントグラウトを孔口側に逆流させてセメント粒子による閉塞を解消している。
【選択図】図1
Description
ここで、セメントの粒子は大きい。そのため、セメントと水の混合体であるセメントグラウトは、浸透性が低い。また、大きな粒子であるセメント粒子が沈降してしまうことにより、材料分離が生じ易い。
セメントグラウトが浸透しなくなるまで注入する作業が、いわゆる「ダメ押し」と言う作業である。
ここで、セメントグラウトを改良するべき岩盤に注入するに際して、非常に早い時期に、「ダメ押し」が行われてしまう場合がある。
その原因の主要な一つとして、図8に示すように、岩盤G中のセメントグラウトCgが注入される経路Gcに、例えば、狭隘部(ボトルネック)Nが存在し、狭隘部Nがセメント粒子Pcにより閉塞することが挙げられる。係る場合には、セメントグラウトCgはそれ以上注入されなくなり、非常に早い時期に、「ダメ押し」が行われてしまう。
狭隘部NにおいてブリッジB(図2参照)が形成されて閉塞されてしまうと、注入圧力や注入流量等に関しては、その計測結果は、セメントグラウトCgが充分に注入されて、それ以上注入できない場合と同様の挙動を示す。
そのため、狭隘部NにおいてブリッジBが形成されると、セメントグラウトCgが充分に注入されたと誤判定されて、「ダメ押し」が行われてしまう。
その結果、岩盤の割れ目へのセメントグラウトの充填が不十分になる。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、ブリッジの解消を目的とするものではなく、上述した問題点を解決することはできない。
そして、セメントグラウトを孔口側(E)に逆流せしめ、改良するべき領域(G)側に流す(正流させる)のを繰り返すに際しては、前記正流逆流制御装置(1)により、所定回数だけ、注入孔(H)側に正圧及び負圧を交互に繰り返し作用させることにより行うのが好ましい(請求項4)。
ブリッジ(B)を解消することが出来れば、セメントグラウトの注入を続行して、セメントグラウトが充分に注入されて、それ以上注入できない状態にすることが出来る。そのため、セメントグラウトを注入した領域において、十分な充填が達成出来る。
セメントグラウトは、ポンプ(4)の吐出圧を大きくすることにより行われている。係る大きな吐出圧を解除することにより、セメントグラウトが注入された岩盤や地盤(G)が復元しようとして、セメントグラウトを孔口側(E)に逆流(F2)させるように押し出そうとする。
大きな圧力でセメントグラウトが注入された岩盤や地盤(G)は、隙間(Gc)が広がる。吐出圧を解除することにより、当該広がった隙間が元に戻ろうとして、セメントグラウトを孔口側(E)に押し出そうとするのである。
また、地下水が存在する地盤や岩盤(G)では、大きなポンプ(4)の吐出圧により、地下水圧に逆らって、セメントグラウトを注入している。そのため、ポンプ(4)の吐出圧を解除すれば、地下水圧によって、セメントグラウトは孔口側(E)に向って逆流する。
そのため、逆流したセメントグラウトは孔口側(E)に排出されてしまうことは無く、材料の浪費を抑制することが出来る。また、セメントグラウトが地上に排出されてしまうことによる作業現場の環境保全の問題も、未然に防止することが出来る。
先ず、図示の実施形態に係る注入方法に使用する装置について、図1を参照して説明する。
図1において、全体を符号100で示す注入装置は、正流・逆流制御装置1と、流量・圧力制御装置2と、グラウトミキサ(以下、ミキサと言う)3と、グラウトポンプ(以下、ポンプと言う)4とを有している。
本明細書においては、孔口から岩盤の割れ目に向う方向を「正流側」と記載し、その逆方向を「逆流側」と記載している。
油圧シリンダ5は、ピストン51とピストンロッド52とを有している。
プランジャ6は、ピストン61を有している。
油圧シリンダ5のピストンロッド52とプランジャ6のピストン61とは一体に接続されている。
ソレノイドバルブSV1は、後述する開閉バルブVと制御ラインLo1で接続されている。
ソレノイドバルブSV2は、油圧シリンダ5と制御ラインLo2で接続されている。
油圧パワーユニット7は、制御信号ラインSo1によって正流・逆流コントローラ10と接続されている。
セメントグラウト供給ラインLgには、ミキサ3とポンプ4と、リターンバルブ付き流量・圧力検出器8と、開閉バルブVとが介装されている。
セメントグラウト供給ラインLgにおいて、開閉バルブVとセメントグラウト注入孔Hとの間の領域には、分岐点PBが形成されている。分岐点PBとプランジャ6とは、ラインLbで接続している。
セメントグラウト供給ラインLgにおいて、リターンバルブ付き流量・圧力検出器8と開閉バルブVとの間の領域には、圧力ゲージ9が介装されている。ミキサ3とリターンバルブ付き流量・圧力検出器8とは、リターンラインLrで接続されている。
図1において、符号30は注入管理室を示し、符号Gcは地盤にできた経路(隙間)、あるいは、岩盤Gにできた経路(隙間)を示している。また、符号Eは地上側(孔口側)を示している。
従来技術に関連して図8を参照して説明したように、岩盤G中のセメントグラウトCgが注入される経路(岩盤等にできた割れ目:岩盤割れ目)Gcに、狭隘部(ボトルネック)Nがあると、狭隘部Nは注入したセメントグラウトCgのセメント粒子Pcにより閉塞してしまう可能性が存在する。
図2は、かかる閉塞箇所を模式的に示した図である。
図2では、閉塞によってアーチ(ブリッジ)Bが形成されていることが示されている。なお図2において、符号を付さずに示されている矢印は、ブリッジBに作用する力の方向を示している。
図示の実施形態の注入工法では、係る原理(図2、図3を参照して上述した原理)をグラウチングに応用している。
図示の実施形態の注入装置100では、セメントグラウト供給ラインLgに介装したリターンバルブ付き流量・圧力検出器8から送られるセメントグラウトの流量・圧力に関するデータを、流量・圧力コントローラ20で常時読み取っている。
そして、注入孔Hにセメントグラウトを注入している間に、セメントグラウトの流量が安定した一定量から減少した場合、あるいは、圧力が急激に上昇した場合には、主要な割れ目Gcで、セメント粒子PcによるブリッジBが形成されたと判断する。
このようにして、正流F1と逆流F2を交互に起こすことによって、ブリッジBを形成していたセメント粒子Pcが分離して、ブリッジBは解消され、その後の注入によりセメントグラウトが狭隘部Nを通過し、岩盤中へ確実に注入される。
先ず、ステップS1では、セメントグラウト供給ラインLgから、地盤あるいは岩盤Gに形成した注入孔Hに、セメントグラウトを注入する。この時、開閉バルブVは開放されている。
閉塞の兆候が無ければ(ステップS2がNO)、ステップS2のループを繰り返す。
閉塞の兆候があれば(ステップS2がYES)、正流・逆流コントロールユニット10の操作により油圧パワーユニット7に指示が送られ、ソレノイドバルブSV1及び制御ラインLo1を介して開閉バルブVが閉じられ(ステップS3)、繰り返し回数nを「n=0」と規定する。
セメントグラウトの流れが逆流すれば、図示しない割れ目Gcの狭隘部NにできたブリッジBが破壊され、ブリッジBを構成していたセメント粒子Pcは、孔口側に引き戻される(図3参照)。
するとプランジャ6のピストン61も左行して、プランジャの圧力室62は、正圧となる。プランジャの圧力室62が正圧となれば、地盤あるいは岩盤G中に形成された注入孔H内は正圧となる。すると、岩盤Gの経路(隙間)Gcのセメントグラウトの流れは逆流から正流に転じる(ステップS6:T&F→正流)。
ステップS4で逆流すれば狭隘部NにできたブリッジBが破壊される可能性が高く、孔口側に逆流したセメント粒子Pcが正流で流れる際には、狭隘部Nを通過し易くなっている可能性が高い。
ステップS9では、ステップS4〜ステップS7までをサイクルを所定回数nだけ繰り返したか否かを判断する。繰り返し回数がn回に達していれば(ステップS9がYES)、ステップS10に進む。一方、繰り返し回数がn回に達していなければ(ステップS9がNO)、ステップS4まで戻り、ステップS4以降を繰り返す。
閉塞の兆候があれば(ステップS11がYES)、ステップS12に進む。一方、閉塞の兆候が無ければ、ブリッジは解消したが未だダメ押しに至らないと判断して(ステップS14)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
図7の横軸は経過時間を示し、縦軸に流量及び圧力を目盛っている。
図7において、特性線Lpは圧力の変化を示しており、特性線Lqは流量の変化を示している。
図7において、領域T1はブリッジBが形成されつつある兆候を示している。領域T1の終わりの部分でブリッジBが形成されたと判断され、開閉バルブVが閉じられる。符号T2は、開閉バルブVを閉じている区間を示している。
領域T3では、ブリッジBが形成され、開閉バルブVが閉じられたため、セメントグラウトがセメントグラウト供給ラインLgに供給されなくなったことを示している。
領域T4では、ブリッジBが解消され、再びセメントグラウトが注入されている状態が示されている。
図7において、流量の変化を示す特性線Lqにおける破線部分Lcは、従来技術のように、閉塞に対する処理を行わない場合の流量の変化を推測して示している。
ブリッジBを解消することが出来れば、セメントグラウトの注入を続行して、改良するべき岩盤や地盤Gへ充分な充填を行うことが出来る。
開閉弁Vを閉鎖しているため、逆流したセメントグラウトは孔口側に排出されてしまうことは無く、材料の浪費を抑制することが出来る。また、セメントグラウトが地上に排出されてしまうことによる作業現場の環境保全の問題も、未然に防止することが出来る。
2・・・流量・圧力制御装置
3・・・ミキサ
4・・・ポンプ
5・・・油圧シリンダ
6・・・プランジャ
7・・・油圧パワーユニット
8・・・リターンバルブ付き流量・圧力検出器
9・・・圧力ゲージ
10・・・正流・逆流コントロールユニット
20・・・流量・圧力コントローラ
G・・・地盤、あるいは岩盤
Gc・・・岩盤の隙間
Claims (4)
- 岩盤の割れ目にセメントグラウトを注入する注入工法において、セメントグラウトの注入が完了する兆候を検出する工程と、係る兆候がセメントグラウトの充填により生じたのか、あるいは、セメント粒子による閉塞により生じたのかを判定する工程とを有し、当該判定する工程では、セメントグラウトを孔口側に逆流させてセメント粒子による閉塞を解消し、セメント粒子による閉塞を解消した後にも依然としてセメントグラウトの注入が完了する兆候が検出されるか否かを判定することにより行われることを特徴とする注入工法。
- セメントグラウトを孔口側に逆流させるに際しては、セメントグラウトの供給源と注入孔との間の領域に介装された開閉弁を閉鎖し、当該開閉弁と注入孔との間に設けた正流逆流制御装置により注入孔側に負圧を付加することにより行われる請求項1の注入工法。
- セメントグラウトの注入が完了する兆候が、セメントグラウトの充填により生じたのか、あるいは、セメント粒子による閉塞により生じたのかを判定する前記工程では、セメントグラウトを孔口側に逆流させること及びセメントグラウトを改良するべき領域側に流すことを、所定回数だけ繰り返す請求項1または請求項2の何れかの注入工法。
- セメントグラウトを孔口側に逆流せしめ、改良するべき領域側に流すのを繰り返すに際しては、前記正流逆流制御装置により、注入孔側に正圧及び負圧を、所定回数だけ、交互に繰り返し作用させることにより行う請求項1〜3の何れか1項の注入工法。
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