JP2009143933A - 前新生物状態および新生物状態を同定するためのp2yプリン作動性受容体の発現 - Google Patents
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Abstract
【課題】哺乳類における前新生物状態および新生物状態を同定するための方法の提供。
【解決手段】P2Yプリン作動性受容体の発現の違いに基づいて細胞および組織内の前新生物および新生物を同定する方法。
【選択図】なし
【解決手段】P2Yプリン作動性受容体の発現の違いに基づいて細胞および組織内の前新生物および新生物を同定する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、哺乳類における前新生物状態および新生物状態を同定するための方法、特にP2Yプリン作動性受容体の発現の違いに基づいて細胞および組織内の前新生物および新生物を同定する方法に関するものである。
発明の背景
癌を診断する際、生検サンプルの細胞の特徴、例えば癌細胞のサイズおよび形の多様性の程度、活動的に分裂している細胞の比率、および周辺構造への浸潤について考慮される。一般に使用される組織学的染色は、細胞内要素を区別して標識するヘマトキシリン(一次染色)およびエオシン(カウンター染色)である。他の診断法としては顕微鏡分析用に視覚化することのできる、細胞または組織の内部(細胞内エピトープにより)または表面上(細胞外エピトープにより)の特定の診断分子、例えば癌胎児性抗原(CEA)の抗体を用いる。いくつかの具体的な例について以下に述べる。
癌を診断する際、生検サンプルの細胞の特徴、例えば癌細胞のサイズおよび形の多様性の程度、活動的に分裂している細胞の比率、および周辺構造への浸潤について考慮される。一般に使用される組織学的染色は、細胞内要素を区別して標識するヘマトキシリン(一次染色)およびエオシン(カウンター染色)である。他の診断法としては顕微鏡分析用に視覚化することのできる、細胞または組織の内部(細胞内エピトープにより)または表面上(細胞外エピトープにより)の特定の診断分子、例えば癌胎児性抗原(CEA)の抗体を用いる。いくつかの具体的な例について以下に述べる。
前立腺癌
西洋における前立腺癌の発症率は驚くべき速度で増加しており、過去5年間で2倍以上になっている。これはあらゆる新生物の中で最も高い発生率を有し、世界全体の男性の癌死亡の最も一般的な原因として肺癌に次いで第二位であり、オーストラリアの癌死亡の主要な原因である[非特許文献1]。良性前立腺過形成(benign prostatic hyperplasia: BPH)は50歳以上の男性に一般的であり、それ自体が前立腺癌の前駆体である前立腺上皮内新生物(prostatic intraepithelial neoplasia: PIN)の前駆体となり得る。検死の研究は70%の男性が80歳に達するまでに前立腺に悪性細胞を有することを示している[非特許文献2]。
西洋における前立腺癌の発症率は驚くべき速度で増加しており、過去5年間で2倍以上になっている。これはあらゆる新生物の中で最も高い発生率を有し、世界全体の男性の癌死亡の最も一般的な原因として肺癌に次いで第二位であり、オーストラリアの癌死亡の主要な原因である[非特許文献1]。良性前立腺過形成(benign prostatic hyperplasia: BPH)は50歳以上の男性に一般的であり、それ自体が前立腺癌の前駆体である前立腺上皮内新生物(prostatic intraepithelial neoplasia: PIN)の前駆体となり得る。検死の研究は70%の男性が80歳に達するまでに前立腺に悪性細胞を有することを示している[非特許文献2]。
この症状の重大さにもかかわらず、診断法はわずかしかなくまた正確ではない。予後を評価する現行の方法、例えば直腸からの触診(digital rectal examination: DRE)、超音波、前立腺性酸性ホスファターゼ濃度、アンドロゲン遮断、前立腺特異抗原(prostate specific antigen: PSA)の比重、PSAの速度、PSAの年齢特異的基準範囲、およびGleasonの組織病理学的分類は、前立腺癌との臨床結果に関する信頼できる予測情報を提供できるとは言えない[非特許文献3]。例えば複数の試験によりDRE3では36.9%の偽陰性率を生じることが示された[非特許文献4]。PSAは、前立腺の他にも多数の組織に関与する33kDaのセリンプロテアーゼで[非特許文献5]、アンドロゲン、グルココルチコイドおよびプロゲスチンによりアップレギュレートされ、成長因子の制御に関与すると考えられている。残念ながら血清PSA濃度では、偽陰性23%および偽陽性36.7%の診断を生じる。新たにスクリーニングで検出される症例の半数以上が、実際には偽陽性であることさえ示唆されている[非特許文献6]。付加的な検査、例えばPSAの比重、速度および年齢特異的基準範囲の導入によるスクリーニング法を改善する試みは疑わしい。ある試験は、年齢特異的PSA基準範囲を適用すると、PSA正常上限が4.5ng/mLに上昇し、臨床的に重要なかなりの数の癌が検出できなくなることを示した[非特許文献7]。この不確実さゆえに悪性かどうかの確定には前立腺の生検がしばしば行われるが、この検査もまた新生物への変化の部位を直接サンプリングしていないことに起因する、23%の偽陰性の診断というかなり不満足な値を示す[非特許文献8]。
治療の選択は、組織切片の顕微鏡分析に基づく臨床的なステージ分類に大きく依存する[非特許文献9]。この技術は組織学的外観を臨床結果に関連づける上で、判定とかなりの経験に依存する。残念ながら前立腺癌組織が不均一であることは周知であり、生細胞の診断の特徴が検査する切片で見過ごされやすい可能性がある。状況をさらに複雑にすることには、手術および放射線療法の結果を調査する無作為試験およびコントロール試験がまだ行われていない[非特許文献2]。治療の選択には、根治的前立腺切除、放射線療法、アンドロゲン遮断、および“注意深い待機”が挙げられる。“注意深い待機”か根治的介入かを問う確実な回答は、前立腺癌の介入−対−観察に関する試験[非特許文献10]の結論を待たなければならない。これらの決定が患者に及ぼす結果は重大である。例えば根治的前立腺切除はしばしば失禁、インポテンス、膀胱頚狭窄、疼痛および鬱に至る[非特許文献11]。
その他の癌、例えば乳癌または皮膚癌の場合、サンプルは幾つかの理由で誤診を招く可能性がある。乳腺の腫瘍の場合、局在する腫瘍の境界をうまく定義することはできず、同様に皮膚癌の場合も(H&E染色で決定されるような)組織学的に明らかな癌と正常組織との境界は多様である。正常な組織はいずれにしても多かれ少なかれ、所望する以上にこれら腫瘍周囲を削除されることになる。
Lian FR, Bhuiyam M, Li YW, Wall N, Kraut M および Sarkar FH, 1988ジェニステイン誘発性G(2)−M停止、P21(Wafl)アップレギュレーション、および非小細胞肺癌におけるアポトーシス。Cell Line. Nutr. & Cancer. 31: 184-191。
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本発明の目的は、前新生物細胞および/または新生物細胞を同定する方法を提供することであり、これにより先行技術の欠点の少なくとも一部を克服または大幅に改善し、あるいは有用な代替法を提供することとなる。
発明の概略
P2Yプリン作動性受容体は、アデノシン三リン酸(ATP)と結合する、Gタンパク質共役型組織受容体で、一部のP2Y受容体サブタイプはウリジン三リン酸(UTP)と結合する。哺乳類においてP2Y受容体の発現パターンを前新生物および新生物の診断に使用できることが、驚くことに発見された。
P2Yプリン作動性受容体は、アデノシン三リン酸(ATP)と結合する、Gタンパク質共役型組織受容体で、一部のP2Y受容体サブタイプはウリジン三リン酸(UTP)と結合する。哺乳類においてP2Y受容体の発現パターンを前新生物および新生物の診断に使用できることが、驚くことに発見された。
哺乳類における前癌および癌のステージは、成長、細胞外マトリックス、代謝因子および神経支配因子の著明な差、ならびに上皮下のカルシウムイオンおよび微小管の増加を伴う。本発明の新規抗体を用いると、P2Y受容体を免疫細胞化学的方法により十分に視覚化することができ、それらが異なる発現パターンで、例えば細胞表面、尿細管および点状に標識されて存在することが示された。これらの発現パターンを用いて癌の発達の異なるステージを同定することができ、すなわち完全に正常な組織に始まり、一例として前立腺のP2Y受容体の発現が、個々に冒された腺房内の核に最初に現れる前新生物状態を経て進行するという経過を示す。より進行した前新生物状態であってまだ疾患の形態学的徴候が表れていないものにおいて、受容体は核を離れて腺房内の細胞質および側方の膜および基底膜に拡散し、その後上皮細胞の頂端側細胞膜に沈着するが、この沈着は初期癌に伴う形態学的変化に同調して起こる。これらのステージでは明らかに腫瘍と形態学的に定義される領域以上に、事実上全体に及んでいるため、診断は目下の腫瘍領域を直接サンプリングすることに限定されることなく、ある程度距離を置いて腫瘍の存在を検出することができる。
したがって本発明は、前癌症状(例えば過形成)を診断し、癌をステージ分類し、発癌の基礎的な生理学および病因学を調べるための、新たな手段を提供する。
第1の側面により本発明は、哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を診断するための方法を提供する。
第2の側面により本発明は、哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するための方法を提供する。
第3の側面により本発明は、哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における発癌の病因を決定するための方法を提供する。
好ましくは哺乳類はヒトであるが、当該方法はウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスを含むあらゆる適切な哺乳類に適用することができる。
好ましくは細胞および/または組織は、前立腺、乳腺または皮膚由来である。しかし当該方法は他の上皮細胞を含む他の細胞のタイプにもまた有用となり得ることを、当業者は理解するだろう。
前新生物状態または新生物状態が前立腺の前癌病変または前立腺癌である場合、前立腺細胞または前立腺組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の増加を、先に定義したように、正常な前立腺細胞または前立腺組織の発現プロフィールと比較して、前立腺の前癌病変または前立腺癌の存在を診断する。
前新生物状態または新生物状態が乳腺の前癌病変または乳癌である場合、哺乳類から採取した乳腺細胞および/または乳腺組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の低下を、正常な乳腺由来の乳腺細胞および/または乳腺組織の発現プロフィールと比較して、乳腺の前癌病変または乳癌の存在を診断する。
前新生物状態または新生物状態が皮膚の前癌病変または皮膚癌である場合、哺乳類由来の皮膚細胞および/または皮膚組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の低下を、正常な皮膚由来の皮膚細胞および/または組織の発現プロフィールと比較して、皮膚の前癌病変または皮膚癌の存在を診断する。
好ましくは皮膚癌は、悪性黒色腫、扁平上皮癌または基底細胞癌である。したがって本発明により、例えば上述のように皮膚癌の状態を、角化棘細胞腫およびその他の良性病巣、例えば光線性角化症と区別することができる。
好ましくはP2Y受容体の発現プロフィールは、P2Y2,P2Y4および/またはP2Y6受容体の発現プロフィールであり、より好ましくはP2Y2受容体の発現プロフィールである。当業者は過度の実験作業をせずに、行おうとする特定の方法にどのP2Yが最適かを確認することができる。一般に正常な細胞または組織と比較して、前新生物または新生物の細胞または組織との発現プロフィールの強度差に最もコントラストのある、これらP2Y受容体が最も望ましい。
1つの態様において前新生物状態は、P2Y受容体の発現プロフィールが細胞の核内で変化した初期の前新生物状態である。あるいはもう1つの態様において前新生物状態は進行した前新生物状態であり、この場合P2Y受容体の発現プロフィールは、P2Y受容体が細胞質および/または側方の膜および/または基底膜中に存在するプロフィールを示す。
もう1つの態様において前新生物状態は、P2Y受容体が上皮細胞の頂端側膜上に存在するというプロフィールを、P2Y受容体の発現プロフィールが示す状態である。
P2Y受容体の発現プロフィールを他のマーカーの発現プロフィールと組み合わせることができることは、当業者には明らかであろう。特にP2Y受容体の発現プロフィールはP2X受容体の発現プロフィール、そして好ましくはP2X1および/またはP2X2の発現プロフィールと組み合わせることができる。
好ましくはP2Y受容体の発現プロフィールの検出は、免疫組織化学的方法による。しかし細胞または組織のサンプル源および利用できる試薬により、ELISA、RIAまたは類似の免疫学的技術を含むその他の手段でもP2Y受容体を検出できることは、当業者には明らかであろう。好ましくはP2Y受容体は、比色分析、例えばDAB(ジアミノベンジジン)またはLSAB法(標識ストレプトアビジン−ビオチン法)、第二抗体検出キット(Dako)により検出する。
標準的なウエスタンブロット法および標準的なノーザンブロット法によるP2Yプリン作動性受容体のmRNAの検出もまた、P2Y受容体の発現プロフィールの決定に有用となり得ることは、当業者には明らかであろう。
第4の側面により本発明は、前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用する際の、P2Yプリン作動性受容体特異抗体を提供する。
好ましくは抗体は、P2Y2受容体、P2Y4受容体および/またはP2Y6受容体に特異的である。最も好ましくは抗体は、P2Y2受容体に特異的である。
P2Y受容体特異抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよいことは、当業者には明らかであろう。P2Y受容体特異抗体を他の抗体、特に1つまたはそれ以上のP2X受容体特異抗体と組み合わせてもよいこともまた、当業者には明らかであろう。P2X受容体特異抗体もまたモノクローナルでもポリクローナルでもよい。好ましい態様においてP2X受容体の抗体は、P2X1および/またはP2X2の受容体特異抗体である。
第5の側面により本発明は、第4の側面による抗体を含む一組の抗体を提供する。
第6の側面により本発明は、第1の側面による方法で使用する際の、単離された哺乳類の細胞または組織試料を提供する。
本発明に使用する細胞および/または組織は生検(特に乳腺組織では例えば細針吸引、)により得ることができるが、体液または、前立腺細胞および/または組織の場合には直腸からの触診による滲出液または精液を含む、その他のあらゆる手段で得ることもできる。
本発明の方法およびP2Y受容体特異抗体は、例えば悪性度の検査を含む他のあらゆる相補的な検査と組み合わせて使用できることは、当該技術分野の業者には明らかであろう。悪性度の検査は、ヒトテロメラーゼタンパク質1(hTP1)に特異的な抗体を使用する抗テロメラーゼ抗体検査、または他のあらゆる適切なアッセイまたは抗テネイシン検査のような検査とすることができる。
第7の側面により本発明は、P2Yプリン作動性受容体プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を診断するために使用する際のキットを提供する。
第8の側面により本発明は、P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するために使用する際のキットを提供する。
第9の側面により本発明は、P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における発癌の病因を決定するために使用する際のキットを提供する。
好ましくはP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する同手段は、第4の側面による抗体または第5の側面による一組の抗体である。
好ましくは同キットは、第1から第3の側面のいずれか1つによる方法において使用する。
更に本発明は以下の態様を含む。
1. 哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を診断するための方法。
2. 哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するための方法。
3. 哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における発癌の病因を決定するための方法。
4. 哺乳類がヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ラットまたはマウスである態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
5. 哺乳類がヒトである態様4に記載の方法。
6. 細胞および/または組織が前立腺、乳腺、皮膚または他の上皮細胞素材由来である、態様1から5のいずれか1つに記載の方法。
7. 前新生物状態または新生物状態が前立腺の前癌病変または前立腺癌であり、前立腺細胞または前立腺組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の増加を、先の態様で定義したように、正常な前立腺細胞または前立腺組織の発現プロフィールと比較して前立腺の前癌病変または前立腺癌の存在を診断する、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
8. 前新生物状態または新生物状態が乳腺の前癌病変または乳癌であり、哺乳類由来の乳腺細胞および/または乳腺組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の低下を、正常な乳腺由来の乳腺細胞および/または乳腺組織の発現プロフィールと比較して乳腺の前癌病変または乳癌の存在を診断する、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
9. 前新生物状態または新生物状態が皮膚の前癌病変または皮膚癌であり、哺乳類由来の皮膚細胞および/または皮膚組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の低下を、正常な皮膚由来の皮膚細胞および/または組織の発現プロフィールと比較して皮膚の前癌病変または皮膚癌の存在を診断する、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
10. 皮膚癌が悪性黒色腫、扁平上皮癌または基底細胞癌である態様9に記載の方法。
11. P2Y受容体の発現プロフィールがP2Y2,P2Y4および/またはP2Y6の受容体の発現プロフィールである、態様1から10のいずれか1つに記載の方法。
12. P2Y受容体の発現プロフィールがP2Y2受容体の発現プロフィールである、態様11に記載の方法。
13. 前新生物状態が、P2Y受容体の発現プロフィールが細胞の核内で変化する初期の前新生物状態である、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
14. 前新生物状態が進行した前新生物状態であり、当状態においてP2Y受容体の発現プロフィールが、P2Y受容体が細胞質および/または側方の膜および/または基底膜中に存在するプロフィールを示す、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
15. 前新生物状態が、P2Y受容体が上皮細胞膜頂端側に存在するプロフィールを、P2Y受容体の発現プロフィールが示す状態である、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
16. P2Y受容体の発現プロフィールを他のマーカーの発現プロフィールと組み合わせる、態様1から15のいずれか1つに記載の方法。
17. P2Y受容体の発現プロフィールをP2X受容体の発現プロフィールと組み合わせる、態様16に記載の方法。
18. P2Y受容体の発現プロフィールをP2X1および/またはP2X2の発現プロフィールと組み合わせる、態様17に記載の方法。
19. P2Y受容体の発現プロフィールを免疫組織化学的方法、またはウェスタンブロット法もしくはノーザンブロット法により検出する、態様1から18のいずれか1つに記載の方法。
20. P2Y受容体の発現プロフィールをELISAまたはRIAにより検出する、態様1から18のいずれか1つに記載の方法。
21. P2Y受容体の発現プロフィールを比色分析により検出する、態様1から19のいずれか1つに記載の方法。
22. 前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用する際の、P2Yプリン作動性受容体特異抗体。
23. 抗体がP2Y2、P2Y4および/またはP2Y6の受容体に特異的である、態様22に記載の抗体。
24. 抗体がP2Y2受容体に特異的である態様23に記載の抗体。
25. 抗体がモノクローナル抗体である態様22から24のいずれか1つに記載の抗体。
26. 抗体がポリクローナル抗体である態様22から24のいずれか1つに記載の抗体。
27. 少なくとも1つの他の抗体と組み合わせる態様22から24のいずれか1つに記載の抗体。
28. 少なくとも1つの他の抗体がP2Y受容体特異抗体またはP2X受容体特異抗体である、態様27に記載の抗体。
29. P2X受容体の抗体がP2X1またはP2X2の受容体特異抗体である、態様27に記載の抗体。
30. 少なくとも1つの他の抗体がモノクローナル抗体である、態様27から29のいずれか1つに記載の抗体。
31. 少なくとも1つの他の抗体がポリクローナル抗体である、態様27から29のいずれか1つに記載の抗体。
32. 態様22から31のいずれか1つに記載の抗体を含む一組のP2Y抗体。
33. 態様1から21のいずれか1つに記載の方法で使用する際の、態様22から31のいずれか1つに記載の抗体または態様32に記載の一組の抗体。
34. 前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用する際の、態様22から31のいずれか1つに記載の抗体または態様32に記載の一組の抗体。
35. 細胞および/または組織を生検により得る態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
36. 生検材料を細針吸引により、体液から、または前立腺の細胞および/または組織の場合には直腸からの触診による滲出液または精液から採取する、態様35に記載の方法。
37. 相補的な検査と併用しての態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
38. 相補的な検査が悪性度のための検査である態様37に記載の方法。
39. 悪性度のための検査が、ヒトのテロメラーゼタンパク質1(hTP1)に特異的な抗体を使用する抗テロメラーゼ抗体検査または抗テネイシン検査である態様38に記載の方法。
40. 態様1から21のいずれか1に記載の方法で使用する際の、単離された哺乳類の細胞または組織試料。
41. P2Yプリン作動性受容体プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を診断するために使用する際のキット。
42. P2Yプリン作動性受容体発現プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するために使用する際のキット。
43. P2Yプリン作動性受容体発現プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における発癌の病因を決定するために使用する際のキット。
44. P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段が、態様22から31のいずれか1つに記載の抗体または態様32に記載の一組の抗体である、態様41から43のいずれか1つに記載のキット。
45. 前記哺乳類由来の細胞および/または組織が前新生物細胞または新生物細胞の近位にあり、前新生物または新生物そのものではない、態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
1. 哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を診断するための方法。
2. 哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するための方法。
3. 哺乳類由来の細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出、および予め決定しておいた正常な細胞および/または組織の発現プロフィールと前記プロフィールとの比較を含む、前記哺乳類における発癌の病因を決定するための方法。
4. 哺乳類がヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ラットまたはマウスである態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
5. 哺乳類がヒトである態様4に記載の方法。
6. 細胞および/または組織が前立腺、乳腺、皮膚または他の上皮細胞素材由来である、態様1から5のいずれか1つに記載の方法。
7. 前新生物状態または新生物状態が前立腺の前癌病変または前立腺癌であり、前立腺細胞または前立腺組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の増加を、先の態様で定義したように、正常な前立腺細胞または前立腺組織の発現プロフィールと比較して前立腺の前癌病変または前立腺癌の存在を診断する、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
8. 前新生物状態または新生物状態が乳腺の前癌病変または乳癌であり、哺乳類由来の乳腺細胞および/または乳腺組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の低下を、正常な乳腺由来の乳腺細胞および/または乳腺組織の発現プロフィールと比較して乳腺の前癌病変または乳癌の存在を診断する、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
9. 前新生物状態または新生物状態が皮膚の前癌病変または皮膚癌であり、哺乳類由来の皮膚細胞および/または皮膚組織のP2Y2プリン作動性受容体の発現プロフィールの強度の低下を、正常な皮膚由来の皮膚細胞および/または組織の発現プロフィールと比較して皮膚の前癌病変または皮膚癌の存在を診断する、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
10. 皮膚癌が悪性黒色腫、扁平上皮癌または基底細胞癌である態様9に記載の方法。
11. P2Y受容体の発現プロフィールがP2Y2,P2Y4および/またはP2Y6の受容体の発現プロフィールである、態様1から10のいずれか1つに記載の方法。
12. P2Y受容体の発現プロフィールがP2Y2受容体の発現プロフィールである、態様11に記載の方法。
13. 前新生物状態が、P2Y受容体の発現プロフィールが細胞の核内で変化する初期の前新生物状態である、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
14. 前新生物状態が進行した前新生物状態であり、当状態においてP2Y受容体の発現プロフィールが、P2Y受容体が細胞質および/または側方の膜および/または基底膜中に存在するプロフィールを示す、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
15. 前新生物状態が、P2Y受容体が上皮細胞膜頂端側に存在するプロフィールを、P2Y受容体の発現プロフィールが示す状態である、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
16. P2Y受容体の発現プロフィールを他のマーカーの発現プロフィールと組み合わせる、態様1から15のいずれか1つに記載の方法。
17. P2Y受容体の発現プロフィールをP2X受容体の発現プロフィールと組み合わせる、態様16に記載の方法。
18. P2Y受容体の発現プロフィールをP2X1および/またはP2X2の発現プロフィールと組み合わせる、態様17に記載の方法。
19. P2Y受容体の発現プロフィールを免疫組織化学的方法、またはウェスタンブロット法もしくはノーザンブロット法により検出する、態様1から18のいずれか1つに記載の方法。
20. P2Y受容体の発現プロフィールをELISAまたはRIAにより検出する、態様1から18のいずれか1つに記載の方法。
21. P2Y受容体の発現プロフィールを比色分析により検出する、態様1から19のいずれか1つに記載の方法。
22. 前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用する際の、P2Yプリン作動性受容体特異抗体。
23. 抗体がP2Y2、P2Y4および/またはP2Y6の受容体に特異的である、態様22に記載の抗体。
24. 抗体がP2Y2受容体に特異的である態様23に記載の抗体。
25. 抗体がモノクローナル抗体である態様22から24のいずれか1つに記載の抗体。
26. 抗体がポリクローナル抗体である態様22から24のいずれか1つに記載の抗体。
27. 少なくとも1つの他の抗体と組み合わせる態様22から24のいずれか1つに記載の抗体。
28. 少なくとも1つの他の抗体がP2Y受容体特異抗体またはP2X受容体特異抗体である、態様27に記載の抗体。
29. P2X受容体の抗体がP2X1またはP2X2の受容体特異抗体である、態様27に記載の抗体。
30. 少なくとも1つの他の抗体がモノクローナル抗体である、態様27から29のいずれか1つに記載の抗体。
31. 少なくとも1つの他の抗体がポリクローナル抗体である、態様27から29のいずれか1つに記載の抗体。
32. 態様22から31のいずれか1つに記載の抗体を含む一組のP2Y抗体。
33. 態様1から21のいずれか1つに記載の方法で使用する際の、態様22から31のいずれか1つに記載の抗体または態様32に記載の一組の抗体。
34. 前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用する際の、態様22から31のいずれか1つに記載の抗体または態様32に記載の一組の抗体。
35. 細胞および/または組織を生検により得る態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
36. 生検材料を細針吸引により、体液から、または前立腺の細胞および/または組織の場合には直腸からの触診による滲出液または精液から採取する、態様35に記載の方法。
37. 相補的な検査と併用しての態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
38. 相補的な検査が悪性度のための検査である態様37に記載の方法。
39. 悪性度のための検査が、ヒトのテロメラーゼタンパク質1(hTP1)に特異的な抗体を使用する抗テロメラーゼ抗体検査または抗テネイシン検査である態様38に記載の方法。
40. 態様1から21のいずれか1に記載の方法で使用する際の、単離された哺乳類の細胞または組織試料。
41. P2Yプリン作動性受容体プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を診断するために使用する際のキット。
42. P2Yプリン作動性受容体発現プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するために使用する際のキット。
43. P2Yプリン作動性受容体発現プロフィールを検出する手段を含む、哺乳類における発癌の病因を決定するために使用する際のキット。
44. P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段が、態様22から31のいずれか1つに記載の抗体または態様32に記載の一組の抗体である、態様41から43のいずれか1つに記載のキット。
45. 前記哺乳類由来の細胞および/または組織が前新生物細胞または新生物細胞の近位にあり、前新生物または新生物そのものではない、態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
本発明の内容において、“新生物細胞”および“新生物組織”という用語は通常の意味で解釈されるものとし、新生物細胞または新生物組織の特徴的な性質、例えば過形成および/または肥大の成長パターンおよび、異常な細胞の形およびサイズおよび核のサイズを際立たせるヘマトキシリンおよびエオシン染色(すなわちH&E)による特徴的な染色を有する細胞または組織を含むが、これに限定されない。
本発明の内容において、“前新生物細胞”および“前新生物組織”という用語は通常の意味で解釈されるものとし、過形成または肥大し得る細胞または組織を含むが、これに限定されない。しかしこのような細胞または組織は、新生物細胞または新生物組織の特徴的な性質、例えば異常な細胞の形およびサイズおよび核のサイズを際立たせるH&Eによる特徴的な染色は有していない。
本発明の内容において、“正常細胞”および“正常組織”という用語は通常の意味で解釈されるものとし、P2Y発現プロフィールが、前新生物または新生物のいずれもない個体由来の細胞で観察されるプロフィールと実質的に変わらない、細胞または組織を含む。本発明の内容において前立腺の症状に関する場合、“正常細胞”という用語は、例えば良性前立腺過形成の前立腺由来の細胞もまた含む。
本発明の内容において“一組の抗体”という用語は、同一抗原または異なる抗原に特異的な数種の異なる抗体を含み、各受容体のサブタイプを特異的に識別することのできるポリクローナル抗体を含む。抗体がモノクローナルの場合“一組の抗体”という用語は、各受容体 例えばP2YおよびP2X、または受容体のサブタイプ 例えばP2Y2およびP2Y4を特異的に識別することのできる一群の抗体もまた含む。
本発明の内容において“発現プロフィール”の検出には、発現のパターンまたは強度の検出を含む。
本発明の内容で他に明確な要求がなければ、本説明および本請求項を通して “含む”“含んでいる”等の言葉は、除外または除外的な意味の対局として、包含的な意味;すなわち“含んでいるが限定されない”という意味で解釈されるものとする。
発明の説明
本発明は、前新生物細胞および新生物細胞はP2Yプリン作動性受容体を他と区別して発現するという所見に基づいている。したがってこの区別の目安となる発現を用いて、前新生物細胞または新生物細胞を同定することができる。さらにP2Yプリン作動性受容体は、前新生物および新生物の異なるステージの細胞内では異なって分配されるため、P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを用いて、前新生物状態および新生物状態のステージを分類することができる。P2Yの異なる発現パターンを用いて、発癌の病因の決定することもできる。さらに本発明は、P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、前新生物状態および/または新生物状態を診断するためのキット;P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するためのキット;およびP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、発癌の病因を決定するためのキットを含む。
本発明は、前新生物細胞および新生物細胞はP2Yプリン作動性受容体を他と区別して発現するという所見に基づいている。したがってこの区別の目安となる発現を用いて、前新生物細胞または新生物細胞を同定することができる。さらにP2Yプリン作動性受容体は、前新生物および新生物の異なるステージの細胞内では異なって分配されるため、P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを用いて、前新生物状態および新生物状態のステージを分類することができる。P2Yの異なる発現パターンを用いて、発癌の病因の決定することもできる。さらに本発明は、P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、前新生物状態および/または新生物状態を診断するためのキット;P2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、前新生物状態および/または新生物状態のステージを分類するためのキット;およびP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールを検出する手段を含む、発癌の病因を決定するためのキットを含む。
本発明の好ましい態様をあくまで一例としてここに記述することにする。
実施例1−抗体の作成
クローニングされたヒトP2Y2[非特許文献12]、ヒトP2Y4[非特許文献13]、およびヒトP2Y6[非特許文献14]受容体のコンセンサス配列について、Hansen ら[非特許文献15]の行ったアプローチに従って適切なエピトープを検討した。P2Y2のセグメントLeu226-Lys242に相応する非相同性のエピトープを、P2Y4(Arg226-Arg242)およびP2Y6(Cys220-Lys236)のこれに当たる配列と共に使用した。P2Y2およびP2Y4のエピトープにはN末端にCysを付加して、マレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミドの架橋物質を介して、各々にジフテリアトキソイドを結合させた。すべての合成はABI合成機にて標準的なt−BOC法を用いて行った[非特許文献16]。ペプチド−抗原結合体を水に5mg/mLで懸濁させ、分注して完全フロインドアジュバントと共に混合することにより乳化させた。2mgペプチドを含む1mL量のエマルジョンを筋注し、その後2週間隔で不完全フロインドアジュバントを用いて、2回、3回、4回および5回の免疫感作を続けて行った。各エピトープに対して使用したウサギまたはヒツジに適当な抗体価が得られたことが確立された後、静脈穿刺による最終採血を10−12週に行った。血液を37℃で30分間インキュベーションして4℃で15時間保存し、その後遠心して血清を分離し、少量ずつ分注して−20℃に保存した。各ペプチドに特異的な抗体についてELISA法により血清の検査を行った。ELISA法で吸光度がバックグラウンドより1.0高くなる血清希釈倍数の逆数と定義された抗体価は、免疫前サンプルの225±25に比して75,000±4,000の範囲であった。各抗体は特定のサブタイプに対して特異的であることが認められた。
クローニングされたヒトP2Y2[非特許文献12]、ヒトP2Y4[非特許文献13]、およびヒトP2Y6[非特許文献14]受容体のコンセンサス配列について、Hansen ら[非特許文献15]の行ったアプローチに従って適切なエピトープを検討した。P2Y2のセグメントLeu226-Lys242に相応する非相同性のエピトープを、P2Y4(Arg226-Arg242)およびP2Y6(Cys220-Lys236)のこれに当たる配列と共に使用した。P2Y2およびP2Y4のエピトープにはN末端にCysを付加して、マレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミドの架橋物質を介して、各々にジフテリアトキソイドを結合させた。すべての合成はABI合成機にて標準的なt−BOC法を用いて行った[非特許文献16]。ペプチド−抗原結合体を水に5mg/mLで懸濁させ、分注して完全フロインドアジュバントと共に混合することにより乳化させた。2mgペプチドを含む1mL量のエマルジョンを筋注し、その後2週間隔で不完全フロインドアジュバントを用いて、2回、3回、4回および5回の免疫感作を続けて行った。各エピトープに対して使用したウサギまたはヒツジに適当な抗体価が得られたことが確立された後、静脈穿刺による最終採血を10−12週に行った。血液を37℃で30分間インキュベーションして4℃で15時間保存し、その後遠心して血清を分離し、少量ずつ分注して−20℃に保存した。各ペプチドに特異的な抗体についてELISA法により血清の検査を行った。ELISA法で吸光度がバックグラウンドより1.0高くなる血清希釈倍数の逆数と定義された抗体価は、免疫前サンプルの225±25に比して75,000±4,000の範囲であった。各抗体は特定のサブタイプに対して特異的であることが認められた。
この抗体に特異的なエピトープに対して各抗体をアフィニティークロマトグラフィーにより精製し、同じ標識傾向を示しているにもかかわらずバックグラウンドを低下することができた。マウスの同じP2Y2エピトープに対して作成されたモノクローナル抗体でも、同じ結果が得られた。
実施例2−免疫組織化学的方法
8μm厚の切片を、固定していない凍結組織からReichert Jung 2800 Frigocutクリオトームにて作成するか、あるいはまたパラフィン包埋した組織から切片を作成した。切片は室温で1時間空気乾燥し、アセトン中で−20℃で12時間固定し、抗体標識前に1時間室温で空気乾燥した。これを次に抗P2Y2のモノクローナルのマウス、ウサギまたはヒツジのいずれかの第一抗体と共に室温にてインキュベーションした。洗浄後、次に切片を第二抗体中で30分間インキュベーションした:第二抗体はマウスの第一抗体に対してはHRP標識ヤギ抗マウス第二抗体(Dako)、ウサギの1次抗体に対してはHRP標識抗ウサギ第二抗体、またはHRP標識ヤギ抗ヒツジ第二抗体の1:30希釈液とした。スライドグラスを再度洗浄し、次に15%ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド(DAB-Sigma)に10分間浸した。切片を洗浄し、空気乾燥してDPX(Merk)にのせて標本とした。コントロールのスライドグラスは、最初のインキュベーション時に希釈液中でインキュベーションした後、実験のスライドグラスと同じ方法で処理した。ネガティブコントロールスライドグラスは、第一抗体を非免疫血清に置き換えた以外は、実験のスライドグラスと同じ方法で処理した。
8μm厚の切片を、固定していない凍結組織からReichert Jung 2800 Frigocutクリオトームにて作成するか、あるいはまたパラフィン包埋した組織から切片を作成した。切片は室温で1時間空気乾燥し、アセトン中で−20℃で12時間固定し、抗体標識前に1時間室温で空気乾燥した。これを次に抗P2Y2のモノクローナルのマウス、ウサギまたはヒツジのいずれかの第一抗体と共に室温にてインキュベーションした。洗浄後、次に切片を第二抗体中で30分間インキュベーションした:第二抗体はマウスの第一抗体に対してはHRP標識ヤギ抗マウス第二抗体(Dako)、ウサギの1次抗体に対してはHRP標識抗ウサギ第二抗体、またはHRP標識ヤギ抗ヒツジ第二抗体の1:30希釈液とした。スライドグラスを再度洗浄し、次に15%ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド(DAB-Sigma)に10分間浸した。切片を洗浄し、空気乾燥してDPX(Merk)にのせて標本とした。コントロールのスライドグラスは、最初のインキュベーション時に希釈液中でインキュベーションした後、実験のスライドグラスと同じ方法で処理した。ネガティブコントロールスライドグラスは、第一抗体を非免疫血清に置き換えた以外は、実験のスライドグラスと同じ方法で処理した。
すべての抗体に対して個々の特異性を示された。
実施例3−ヒト癌組織(前立腺)におけるP2Y受容体
正常40例およびヒト前立腺癌の40症例の研究において、P2Y2サブタイプはヒト前立腺癌組織中で著明に増加していた。正常組織/良性前立腺過形成では標識は観察されなかった。癌組織のP2Y2の標識パターンは特に有益で、前立腺疾患の各ステージに伴って標識された腺房上皮細胞の比率が増加し、新生物の変化とP2Y2の腺房の標識領域との直接の相関を示した。標識は核内に始まり(ステージ1;図1)、核外または細胞質に点在する標識へと進行し(ステージ2;図2)、そしてステージ3ではまた形態学的な変化も伴うさらに進んだ症例では上皮細胞頂端側および側方への沈着へと進行する(ステージ3;図3)。
正常40例およびヒト前立腺癌の40症例の研究において、P2Y2サブタイプはヒト前立腺癌組織中で著明に増加していた。正常組織/良性前立腺過形成では標識は観察されなかった。癌組織のP2Y2の標識パターンは特に有益で、前立腺疾患の各ステージに伴って標識された腺房上皮細胞の比率が増加し、新生物の変化とP2Y2の腺房の標識領域との直接の相関を示した。標識は核内に始まり(ステージ1;図1)、核外または細胞質に点在する標識へと進行し(ステージ2;図2)、そしてステージ3ではまた形態学的な変化も伴うさらに進んだ症例では上皮細胞頂端側および側方への沈着へと進行する(ステージ3;図3)。
P2YおよびP2Xの受容体の抗体の組み合わせ
P2Xはイオン、特にカルシウムイオンに対して細胞を開口する、すばやく作用するリガンド(ATP)開閉イオンチャンネルである。P2Y受容体は、ATPまたはUTPまたはADPさえにもよる活性化後、Gタンパク質共役型の活性化カスケードを引き起こすことで細胞内カルシウム貯留に作用する、ずっと緩やかに作用する代謝型受容体であり、したがってその機能はP2X受容体とは全く異なる。
P2Xはイオン、特にカルシウムイオンに対して細胞を開口する、すばやく作用するリガンド(ATP)開閉イオンチャンネルである。P2Y受容体は、ATPまたはUTPまたはADPさえにもよる活性化後、Gタンパク質共役型の活性化カスケードを引き起こすことで細胞内カルシウム貯留に作用する、ずっと緩やかに作用する代謝型受容体であり、したがってその機能はP2X受容体とは全く異なる。
P2X受容体の抗体をP2Y受容体の抗体と組み合わせて使用したところ、P2Y受容体の抗体単独で使用した場合と類似のパターンが得られた。特にP2Y2受容体サブタイプの抗体を、P2X1およびP2X2受容体サブタイプのいずれか一方または双方の抗体と共に使用しての前立腺細胞/組織の標識は、P2Y2受容体の抗体を単独に使用して得られた結果を増幅した。
P2X抗体は以下のように作成した:
ヒトP2X1[非特許文献17]、 ヒトP2X2[非特許文献18]、ヒトP2X3[非特許文献19]、ヒトP2X4[非特許文献20]、ヒトP2X5[非特許文献21]、ヒトP2X6[非特許文献22]およびヒトP2X7[非特許文献23]のコンセンサス配列について、ラット抗体[非特許文献15,24]に用いたアプローチに従って適切なエピトープを検討した。N末端にCysを付加したP2X1ではセグメントLys68-Val184に相応する非相同性エピトープを使用した。P2X2からはHis209-Cys226を選択した。P2X3からはAsn185-Cys203を選択した。P2X4からはCys270--Glu285を選択した。P2X5からはCys272-Ser288を選択した。P2X6からはAsn200-Cys218を選択した。P2X7からはC末端にCysを付加したVal165-Lys81を選択した。ジフテリアトキシンに架橋するためマレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミドを介して、すべてのエピトープをジフテリアトキシンに結合させた。抗体はウサギおよびヒツジで作製し、P2Y抗体について上述のように精製した。
ヒトP2X1[非特許文献17]、 ヒトP2X2[非特許文献18]、ヒトP2X3[非特許文献19]、ヒトP2X4[非特許文献20]、ヒトP2X5[非特許文献21]、ヒトP2X6[非特許文献22]およびヒトP2X7[非特許文献23]のコンセンサス配列について、ラット抗体[非特許文献15,24]に用いたアプローチに従って適切なエピトープを検討した。N末端にCysを付加したP2X1ではセグメントLys68-Val184に相応する非相同性エピトープを使用した。P2X2からはHis209-Cys226を選択した。P2X3からはAsn185-Cys203を選択した。P2X4からはCys270--Glu285を選択した。P2X5からはCys272-Ser288を選択した。P2X6からはAsn200-Cys218を選択した。P2X7からはC末端にCysを付加したVal165-Lys81を選択した。ジフテリアトキシンに架橋するためマレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミドを介して、すべてのエピトープをジフテリアトキシンに結合させた。抗体はウサギおよびヒツジで作製し、P2Y抗体について上述のように精製した。
図4は、P2Y2抗体、P2X1抗体およびP2X2抗体を組み合わせて使用した、ステージ3の症例(明らかな癌)の前立腺組織の標識を示す。
その他のP2Xサブタイプ、例えばP2X3およびP2X7を使用しても、前立腺サンプルでは同様の結果が得られた。
実施例4−ヒト癌組織(乳癌および皮膚癌)におけるP2Y受容体
その他の癌、例えば乳癌(単一病巣および複数病巣)および悪性黒色腫を含む皮膚癌では、標識パターンが逆転した。これらの組織において、P2Y2抗体による正常細胞の標識は濃く表れる(正常組織におけるP2Y2の発現が比較的高いことを意味する)が、癌組織ではP2Y2抗体の標識は観察されなかった。P2X受容体の抗体、特にP2X1およびP2X2サブタイプの抗体をP2Y2受容体の抗体と組み合わせて使用することにより結果は増幅された(図5から10)。
その他の癌、例えば乳癌(単一病巣および複数病巣)および悪性黒色腫を含む皮膚癌では、標識パターンが逆転した。これらの組織において、P2Y2抗体による正常細胞の標識は濃く表れる(正常組織におけるP2Y2の発現が比較的高いことを意味する)が、癌組織ではP2Y2抗体の標識は観察されなかった。P2X受容体の抗体、特にP2X1およびP2X2サブタイプの抗体をP2Y2受容体の抗体と組み合わせて使用することにより結果は増幅された(図5から10)。
実施例5−P2Y受容体の抗体による診断と他の検査との併用
上述のP2Y(およびP2X)受容体の抗体による診断を相補的な検査と併用することができることは明らかである。このような検査は癌の性質に関するさらなる情報を提供することができ、例えば悪性に関する検査、例えば抗テロメラーゼ抗体検査、および/または抗テネイシン検査は治療方針を考える上で有用となり得る。
上述のP2Y(およびP2X)受容体の抗体による診断を相補的な検査と併用することができることは明らかである。このような検査は癌の性質に関するさらなる情報を提供することができ、例えば悪性に関する検査、例えば抗テロメラーゼ抗体検査、および/または抗テネイシン検査は治療方針を考える上で有用となり得る。
本発明を具体的な実施例を参照して述べたが、本発明を多くの他の形で提示できることは当該技術分野の技術者により理解されるだろう。
Claims (13)
- P2Yプリン作動性受容体特異抗体であって、P2Y2受容体中のLeu226-Lys242、P2Y4受容体中のArg226-Arg242またはP2Y6受容体中のCys220-Lys236に相応するエピトープに対して生成されたP2Yプリン作動性受容体特異抗体であって、前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用される上記抗体。
- 抗体がP2Y2、P2Y4および/またはP2Y6の受容体に特異的である、請求項1に記載の抗体。
- 抗体がP2Y2受容体に特異的である請求項2に記載の抗体。
- 抗体がモノクローナル抗体である請求項1から3のいずれか1項に記載の抗体。
- 抗体がポリクローナル抗体である請求項1から3のいずれか1項に記載の抗体。
- 少なくとも1つの他の抗体と組み合わせる請求項1から5のいずれか1項に記載の抗体。
- 少なくとも1つの他の抗体がP2Y受容体特異抗体またはP2X受容体特異抗体である、請求項6に記載の抗体。
- P2X受容体の抗体がP2X1またはP2X2の受容体特異抗体である、請求項7に記載の抗体。
- 少なくとも1つの他の抗体がモノクローナル抗体である、請求項6から8のいずれか1項に記載の抗体。
- 少なくとも1つの他の抗体がポリクローナル抗体である、請求項6から8のいずれか1項に記載の抗体。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の抗体を含む一組のP2Y抗体。
- 哺乳類から得られた細胞および/または組織のP2Yプリン作動性受容体の発現プロフィールの検出を含む、前記哺乳類における前新生物状態および/または新生物状態を同定するための方法で使用する際の、請求項1から10のいずれか1項に記載の抗体または請求項11に記載の一組の抗体。
- 前新生物または新生物の細胞および/または組織と、正常な細胞および/または組織とを区別するために使用する際の、請求項1から10のいずれか1項に記載の抗体または請求項11に記載の一組の抗体。
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