JP2009139841A - 複合偏光板セットおよび液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置における視野角特性を向上できる複合偏光板のセットおよびそれを用いた液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】偏光板2と、第一位相差板3と、感圧性接着剤層4とがこの順で積層された構造を有し、第一位相差板3は、セルロースアシレート樹脂を延伸してなり、R0が90〜200nm、Rthが30〜200nm、かつ、比R0(450)/R0(589)が0.80〜0.99であり、かつ、その遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向とが80〜100°の角度で交差するように配置された第一複合偏光板と、偏光板22と、第二位相差板23と、感圧性接着剤層24とがこの順で積層された構造を有し、第二位相差板23は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含み、R0が0〜30nm、Rthが30〜300nmの範囲である第二複合偏光板とを備える複合偏光板セット、およびそれを用いた液晶表示装置。
【選択図】図4

Description

本発明は、複合偏光板セットおよび液晶表示装置に関する。
近年、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶ディスプレイが、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、テレビなど、情報用表示デバイスとして急速に普及してきている。液晶技術の発展に伴い、さまざまなモードの液晶ディスプレイが提案されて、応答速度やコントラスト、狭視野角といった液晶ディスプレイの問題点が解消されつつある。しかしながら、依然として、陰極線管(CRT)に比べて視野角が狭いことが指摘され、視野角拡大のための各種の試みがなされている。
このような液晶表示装置の一つに、正または負の誘電率異方性を有する棒状の液晶分子を基板に対して垂直に配向させた、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置がある。この垂直配向モードは、非駆動状態においては、液晶分子が基板に対して垂直に配向しているため、光は偏光の変化を伴わずに液晶層を通過する。このため、液晶パネルの上下に互いに吸収軸が直交するように直線偏光板を配設することで、正面から見た場合にほぼ完全な黒表示を得ることができ、高いコントラスト比を得ることができる。
しかし、このような液晶セルに偏光板のみを備えたVAモードの液晶表示装置では、それを斜めから見た場合に、配設された偏光板の軸角度が90°からずれてしまうことと、セル内の棒状の液晶分子が複屈折を発現することに起因して、光漏れが生じ、コントラスト比が著しく低下したり、斜視時の色目が見る角度によって大きく異なったりしてしまう。斜視時のコントラスト比および色変化を含めて「視野角特性」と呼ぶ。
この視野角特性の不良を解消するためには、液晶セルと直線偏光板の間に光学補償フィルムを配設する必要があり、従来は、二軸性の位相差板を液晶セルと上下の偏光板の間にそれぞれ1枚ずつ配設する仕様や、一軸性の位相差板と完全二軸性の位相差板を、それぞれ1枚ずつ液晶セルの上下に、または2枚とも液晶セルの片側に配設する仕様が採用されてきた。たとえば、特開2001−109009号公報(特許文献1)には、垂直配向モードの液晶表示装置において、上下の偏光板と液晶セルの間に、それぞれaプレート(すなわち、正の一軸性の位相差板)およびcプレート(すなわち、完全二軸性の位相差板)を配置することが記載されている。
正の一軸性の位相差板とは、Nz係数が概ね1.0のフィルムであり、また完全二軸性の位相差板とは、面内の位相差値R0がほぼ0のフィルムである。ここで、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとしたとき、面内の位相差値R0、厚み方向の位相差値Rth、およびNz係数は、それぞれ下式(1)〜(3)で定義される。
0=(nx−ny)×d (1)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
z係数=(nx−nz)/(nx−ny) (3)
一軸性のフィルムでは、nz≒(nearly equal)nyとなるため、Nz係数≒1.0となる。一軸性のフィルムであっても、Nz係数は延伸条件の変動により、0.8〜1.5程度の間で変化することもある。完全二軸性のフィルムでは、nx≒nyとなるため、R0≒0となる。完全二軸性のフィルムは、厚み方向の屈折率のみが異なる(小さい)ものであることから、負の一軸性を有し、光学軸が法線方向にあるフィルムとも呼ばれ、また上述のとおり、cプレートと呼ばれることもある。
一軸性の位相差フィルムは、たとえば自由端縦一軸延伸や、固定端横一軸延伸などによって延伸された樹脂フィルムなどが一般に多く用いられている。自由端一軸延伸されたフィルムは、たとえばフィルムの長手方向(流れ方向)に縦一軸延伸するなどして得られ、その場合、0.9≦Nz係数≦1.1となる。固定端横一軸延伸のフィルムは、たとえば、テンターなどで横一軸延伸することで得られ、1.1≦Nz係数≦1.5といった若干の二軸性を帯びる場合が多いが、概ね一軸性の特性であるといえることから、本明細書中では当該範囲のNz係数を有するフィルムも含めて一軸性の位相差フィルムと呼ぶこととする。
特許文献1に開示されたような様々な位相差フィルムを用いることで、VAモードの視野角はかなり広くなってきているものの、CRTと比較すると依然として劣るため、未だ改良の余地があるといわれている。
また、特開2003−279729号公報(特許文献2)には、アシル基の総置換度が2.55〜2.85であるセルロースエステルを用いて、面内の位相差値R0が30〜200nmであり、厚み方向の位相差値Rthが70〜400nmである位相差フィルムを作製することが記載されている。
特開2001−109009号公報(請求項15および段落0036) 特開2003−279729号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、液晶表示装置(特に、VAモードの液晶表示装置)における視野角特性を向上できる複合偏光板のセットおよびそれを用いた液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、VAモード液晶表示装置に用いる複合偏光板に関して、その視野角特性をさらに向上させるべく鋭意検討してきた結果、一軸性位相差フィルムと、有機修飾粘土複合体を用いた完全二軸性の位相差フィルムの組み合わせにおいて、一軸性位相差フィルムの位相差値の波長分散特性を所定の値とした場合に、優れた視野角特性の液晶表示装置が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、液晶表示装置に用いる第一複合偏光板と第二複合偏光板とのセットであって、第一複合偏光板は、偏光板と、第一位相差板と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を有し、第一位相差板は、セルロースアシレート樹脂を延伸してなる位相差フィルムであって、面内の位相差値R0が90〜200nmの範囲、厚み方向の位相差値Rthが30〜200nmの範囲にあり、かつ、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)が0.80〜0.99の範囲にあり、かつ、その遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向とが80〜100°の角度で交差するように配置され、第二複合偏光板は、偏光板と、第二位相差板と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を有し、第二位相差板は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含み、面内の位相差値R0が0〜30nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値Rthが30〜300nmの範囲にあることを特徴とする。
本発明の複合偏光板セットにおける第二位相差板は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と溶媒とを含む塗工液を基材上に塗布した後、溶媒を除去することで得られたものであることが好ましい。
本発明の複合偏光板セットは、VAモードの液晶表示装置に用いられるものであることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の複合偏光板セットと液晶セルとを備える液晶表示装置であって、液晶セルの一方側に第一複合偏光板をその感圧性接着剤層を介して貼合するとともに、液晶セルの他方側に第二複合偏光板をその感圧性接着剤層を介して貼合してなる液晶表示装置についても提供する。
本発明によれば、液晶セルを斜めに通過する光の漏れを第一位相差板および第二位相差板により有効に抑制することができる、良好な視野角特性を有し、広視野角である液晶表示装置(特に、VAモードの液晶表示装置)、そのための複合偏光板セットを提供することができる。
〔1〕複合偏光板セット
本発明の複合偏光板セットは、液晶セルの一方側に第一複合偏光板を配置し、他方側に第二複合偏光板を配置して、液晶表示装置を作製するために、第一複合偏光板および第二複合偏光板の組み合わせとして供されるものである。本発明における第一複合偏光板および第二複合偏光板は、それぞれ、偏光板と、位相差板(第一位相差板または第二位相差板)と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を有する。
〔1−1〕第一複合偏光板
ここで、図1は本発明の複合偏光板セットに用いられる好ましい一例の第一複合偏光板1を、各層を離間した状態で模式的に示す斜視図であり、図2は、本発明の複合偏光板セットに用いられる好ましい他の例の第一複合偏光板11を、各層を離間した状態で模式的に示す斜視図である。図1および図2に示す第一複合偏光板1,11は、偏光板2,12の構成が一部異なること以外は同様の構造を有し、偏光板2,12に、第一位相差板3と、感圧性接着剤層4とが積層されてなる。
本発明における第一複合偏光板1,11に用いられる第一位相差板3は、セルロースアシレート樹脂を延伸してなる位相差フィルムであって、面内の位相差値R0が90〜200nmの範囲、厚み方向の位相差値Rthが30〜200nmの範囲にあり、かつ、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)が0.80〜0.99の範囲にあることを特徴とする。このような位相差特性を有する位相差板は、たとえば、セルロースアシレート樹脂からなる原反フィルムを、縦一軸延伸機を用いて、自由端一軸延伸(具体的には、自由端縦一軸延伸)する方法、または、テンターなどを用いて、固定端一軸延伸(具体的には、固定端横一軸延伸)する方法により、製造することができる。
ここで、本発明における第一位相差板3に用いられるセルロースアシレート樹脂とは、セルロースのグルコース単位に存在する3つの水酸基の全て、または、一部をアシル基置換したセルロースエステルを主体とする樹脂を指す。本発明に用いられるセルロースアシレート樹脂は、アシル基の置換度が2.3以上であることが好ましい。さらには、位相差特性の安定性の観点からは、アシル基の置換度は2.55以上であることがより好ましい。また、十分な位相差特性を得る観点からは、アシル基の置換度は2.85以下であることがより好ましい。このアシル基の置換度は、もとのセルロースのグルコピラノース1残基当たりの水酸基の平均置換数として定義され、たとえば核磁気共鳴(NMR)によって測定することができ、その上限は3.00である。なお、アシル基は、アセチル基、ならびに、プロピオニル基またはブチリル基であることが好ましく、この場合にはアセチル基の置換度は好ましくは1.75〜2.15であり、プロピオニル基またはブチリル基の置換度は好ましくは0.6〜0.8である。
セルロースアシレート樹脂からなるフィルムは、上述したセルロースアシレート樹脂をフィルム成形して得られる。フィルム成形の方法は、溶剤キャスト法が好ましい。溶剤キャスト法の際に用いる溶媒は、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、塩化メチレンなどが挙げられる。
セルロースアシレート樹脂からなるフィルムには、可塑剤を含有させることが好ましい。可塑剤の種類は特に限定されないが、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、グリコール酸エステル系化合物などが好ましい。具体的には、リン酸エステル系化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェートなどが挙げられ、フタル酸エステル系化合物としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジベンジルフタレートなどが挙げられ、グリコール酸エステル系化合物としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどが挙げられる。可塑剤は、必要であれば複数種類を併用することもできる。
また、セルロースアシレート樹脂からなるフィルムには、紫外線吸収剤を含有させることもできる。紫外線吸収剤は、液晶セル内の液晶分子の劣化を防止するために、波長370nm以下の紫外線を有効に吸収できるものであり、かつ、良好な透明性を得るために、可視光である波長400nm以上の吸収が著しく小さいものが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が10%以下であるものが好ましく、5%以下であるものがより好ましく、2%以下であるものが特に好ましい。紫外線吸収剤は、たとえば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。紫外線吸収剤は、セルロースアシレート樹脂に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%、より好ましくは0.8〜2重量%添加できる。
さらに、セルロースアシレート樹脂からなるフィルムには、酸化防止剤を含有させることが好ましい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物が挙げられ、具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。またたとえば、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースアシレート樹脂に対して質量割合で1ppm〜1%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
また、セルロースアシレート樹脂からなるフィルムには、ハンドリング性向上のために、マット剤などを含有させることもできる。マット剤は、たとえば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどの無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を用いることができる。
本発明における第一複合偏光板に用いられる第一位相差板は、上述したように、面内の位相差値R0が90〜200nmの範囲内である。第一位相差板の面内の位相差値R0がこの範囲を外れると、それを装着した液晶表示装置の視野角特性が悪くなる。なお、本発明における第一位相差板の面内の位相差値R0は、自動複屈折測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定された値を指す。この自動複屈折測定装置KOBRA−21ADHは、面内の位相差値R0とともに、厚み方向の位相差値Rth、Nz係数、面内遅相軸方向の屈折率nx、面内進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを、同時に測定し、表示できるようになっている。
また本発明における第一複合偏光板に用いられる第一位相差板は、上述したように、厚み方向の位相差値Rthが30〜200nmの範囲であり、この範囲を外れると、それを装着した液晶表示装置の視野角特性が悪くなる。
また、本発明における第一複合偏光板に用いられる第一位相差板は、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)が0.80〜0.99の範囲である。第一位相差板の上記面内の位相差値の比R0(450)/R0(589)がこの範囲を外れる場合には、それを装着した液晶表示装置の視野角特性が悪くなる。
本発明における第一複合偏光板に用いられる第一位相差板は、さらに、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとしたときに下式で定義されるNz係数が0.8〜1.5の範囲内にあることが、好ましい。
z係数=(nx−nz)/(nx−ny
また、本発明における第一複合偏光板に用いられる偏光板としては、当分野で一般に用いられているものであることができ、たとえばポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素(ヨウ素、二色性有機染料など)が吸着配向された直線偏光フィルムの両面または片面に、トリアセチルセルロース樹脂、環状シクロオレフィン系樹脂、鎖状シクロオレフィン樹脂などの樹脂フィルムからなる保護層を積層した構造が一般的に用いられる。図1には、直線偏光フィルム5の両面に保護層6,7が設けられた偏光板2を用いた場合が示されており、また、図2には、直線偏光フィルム5の片面(第一位相差板3が積層された側とは反対側の面)に保護層6が設けられた偏光板12を用いた場合が示されている。
本発明における第一複合偏光板は、第一位相差板の遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向とが80〜100°の角度で交差するように配置された状態で、第一位相差板と偏光板とが積層される。第一位相差板の遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向とが成す角度がこの範囲を外れると、それを装着した液晶表示装置が黒表示時に光漏れを生じてコントラスト比を低下させ、また色ムラを生じやすくなる。より高いコントラスト比や色ムラの低減という観点からは、第一位相差板の遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向とが成す角度は、85〜95°の範囲内であることが好ましく、89〜91°の範囲内であることがより好ましい。
第一複合偏光板1,11における第一位相差板3の偏光板2,12に隣接する側とは反対側に形成される感圧性接着剤(粘着剤)層4としては、従来から液晶表示装置用に用いられてきた種々の感圧性接着剤、たとえばアクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテルなどの感圧性接着剤を用いて形成することができ、中でも透明性、耐候性、耐熱性などに優れるアクリル系樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。
アクリル系感圧性接着剤は特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルなどを2種類以上用いた共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。さらに、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、たとえば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシ基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系感圧性接着剤は、単独でも勿論使用可能であるが、通常は架橋剤が併用される。架橋剤としては、2価または多価の金属塩であって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものなどが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が、有機系架橋剤として広く使用されている。
感圧性接着剤組成物には、上述したベースポリマーおよび架橋剤のほか、必要に応じて、感圧性接着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、たとえば天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食抑制剤、光重合開始剤などの適宜の添加剤を配合することもできる。さらに微粒子を含有させて、光散乱性を示す感圧性接着剤層とすることもできる。
感圧性接着剤層の厚みは1〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。感圧性接着剤層が薄すぎると粘着性が低下し、厚すぎると感圧性接着剤がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
なお、感圧性接着剤層を偏光フィルムに形成する方法としては特に制限されるものではなく、偏光フィルムの他方の面に、上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む溶液を塗布し、乾燥して感圧性接着剤層を形成した後、シリコーン系などの離型処理が施されているセパレータを積層して得てもよいし、セパレータ上に感圧性接着剤層を形成した後、偏光フィルムに転写して積層してもよい。また、感圧性接着剤層を偏光フィルムに形成する際には、必要に応じて偏光フィルムおよび感圧性接着剤層の少なくとも一方に密着処理、たとえばコロナ処理などを施してもよい。なお、形成された感圧性接着剤層の表面は通常、離型処理が施されたセパレータフィルムで保護されており、セパレータフィルムは、後述するように本発明の複合偏光板セットを液晶セルへ貼合する前に剥がされる。
本発明における第一複合偏光板において、偏光フィルムと保護層との貼り合わせ、あるいは、偏光フィルムまたは保護層と第一位相差板との貼り合わせには、たとえばエポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを成分とする接着剤を用いることができる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものを挙げることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成するものを挙げることができる。
水系の接着剤となり得る接着剤成分としては、たとえば水溶性の架橋性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、具体的には、スミレーズレジン650(住化ケムテックス(株)製)、スミレーズレジン675(住化ケムテックス(株)製)などが挙げられる。
接着剤成分として水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。カルボキシル基変性ポリビニルアルコールの市販品としては、具体的には、クラレポバールKL−506((株)クラレ製)、クラレポバールKL−318((株)クラレ製)、クラレポバールKL−118((株)クラレ製)、ゴーセナールT−330(日本合成化学工業(株)製)、ゴーセナールT−350(日本合成化学工業(株)製)、DR−0415(電気化学工業(株)製)、AF−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)、AT−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)、AP−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)などが挙げられる。
水溶性のエポキシ樹脂を含む接着剤とする場合、そのエポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を構成する。この場合、水溶性のエポキシ樹脂は、水100重量部あたり0.2〜2重量部の範囲の濃度とするのが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部あたり1〜10重量部、さらには1〜5重量部とすることが好ましい。
一方、ウレタン樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品としては、具体的には、いずれもエマルジョンの形態であるハイドランAP−20(大日本インキ化学工業(株)製)、ハイドランAPX−101H(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、通常はさらにイソシアネート系などの架橋剤を配合するのが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンのような多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体のようなポリイソシアネート変性体などがある。イソシアネート系架橋剤の市販品としては、具体的には、ハイドランアシスターC−1(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70重量%、さらには20〜50重量%となるように、水中に分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合は、ウレタン樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部となるように、その配合量を適宜選択すればよい。
以上のような水系の接着剤を、保護層、第一位相差板、偏光フィルムの少なくともいずれかに塗布し、両者を貼り合わせて、偏光板とすることができる。偏光フィルムと保護層とを貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば、ポリビニルアルコール系偏光フィルムまたは保護層の表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロールなどにより貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、たとえば、60〜100℃程度の温度で行われる。乾燥後は、接着力を一層高める観点から、室温よりやや高い温度、たとえば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが好ましい。
また無溶剤型の接着剤を用いる場合、反応性の観点からは、加熱または活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものが好ましく用いられる。ここで、無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まない形態の接着剤を指し、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される。
特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤としては、たとえば特開2004−245925号公報に記載されたものが挙げられる。このような芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
芳香族エポキシ化合物の水素化物は、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる。芳香族エポキシ化合物しては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールなどの多官能型のエポキシ化合物などが挙げられる。これら芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
また脂環式エポキシ化合物は、下記式に示すような脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物を指す(式中、mは2〜5の整数を表す。)。
Figure 2009139841
上記式における(CH2m中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3’’,5’’−ジオキサンスピロ−3’’’,4’’’−エポキシシクロヘキサン)、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイドなどを挙げることができる。
また、脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルがこれに該当する。このような脂肪族エポキシ化合物としては、たとえば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常30〜3000g/当量、好ましくは50〜1500g/当量の範囲である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー線の照射または加熱により、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。作業性の観点からは、いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが好ましい。
また光カチオン重合開始剤を用いる場合には、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、保護フィルムを良好に接着することができるという利点がある。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手でき、具体的には、カヤラッドPCI−220(日本化薬(株)製)、カヤラッドPCI−620(日本化薬(株)製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150((株)ADEKA製)、アデカオプトマーSP−170((株)ADEKA製)、CI−5102(日本曹達(株)製)、CIT−1370(日本曹達(株)製)、CIT−1682(日本曹達(株)製)、CIP−1866S(日本曹達(株)製)、CIP−2048S(日本曹達(株)製)、CIP−2064S(日本曹達(株)製)、DPI−101(みどり化学(株)製)、DPI−102(みどり化学(株)製)、DPI−103(みどり化学(株)製)、DPI−105(みどり化学(株)製)、MPI−103(みどり化学(株)製)、MPI−105(みどり化学(株)製)、BBI−101(みどり化学(株)製)、BBI−102(みどり化学(株)製)、BBI−103(みどり化学(株)製)、BBI−105(みどり化学(株)製)、TPS−101(みどり化学(株)製)、TPS−102(みどり化学(株)製)、TPS−103(みどり化学(株)製)、TPS−105(みどり化学(株)製)、MDS−103(みどり化学(株)製)、MDS−105(みどり化学(株)製)、DTS−102(みどり化学(株)製)、DTS−103(みどり化学(株)製)、PI−2074(ローディア社製)などが挙げられる。中でも特に、CI−5102(日本曹達(株)製)は好ましい光カチオン重合開始剤の1つである。光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部である。
さらに、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としてはたとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤を配合する場合、その配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.1〜20重量部である。
また熱カチオン重合開始剤は、加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物であり、このような熱カチオン重合開始剤としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、たとえばアデカオプトンCP77((株)ADEKA製)、アデカオプトンCP66((株)ADEKA製)、CI−2639(日本曹達(株)製)、CI−2624(日本曹達(株)製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業(株)製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業(株)製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業(株)製)が挙げられる。
なお、本発明においては、上述した光カチオン重合と熱カチオン重合とを併用するようにしてもよい。
またエポキシ系接着剤は、オキセタン類、ポリオール類などカチオン重合を促進する化合物をさらに含有していてもよい。
無溶剤型の接着剤を用いる場合、偏光フィルム、保護層および第一位相差板の少なくともいずれかに塗布する方法としては特に制限されるものではなく、たとえばドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど種々の方式が利用できる。上述した各方式には、それぞれ最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度を調整するようにしてもよい。そのために用いられる溶剤としては、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。なお、無溶剤型の接着剤を用いた接着剤層の厚みは、通常、50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下であり、また、通常、1μm以上である。
無溶剤型の接着剤は、上述のように塗布後、活性エネルギー線を照射するか、または加熱することにより、接着剤層を硬化させ、偏光フィルムと保護層、偏光フィルムまたは保護層と第一位相差板とが固着される。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線ないし紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、保護層、位相差フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
なお、保護層または第一位相差板の偏光フィルムと貼り合わされる側には、コロナ放電処理を施しておくことが好ましい。コロナ放電処理を施すことにより、偏光フィルムと保護層、偏光フィルムまたは保護層と第一位相差板との間の接着力を高めることができる。コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、電極間に配置された樹脂フィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用する樹脂フィルムの種類などによっても異なるが、たとえば、電極間隔を1〜5mm、移動速度を3〜20m/分程度に設定するのが好ましい。
〔1−2〕第二複合偏光板
ここで、図3は本発明の複合偏光板セットに用いられる好ましい一例の第二複合偏光板21を、各層を離間した状態で模式的に示す斜視図である。図3に示す第二複合偏光板21は、偏光板22に、第二位相差板23と、感圧性接着剤層24とが積層されてなる。
本発明に用いられる第二位相差板23は、面内の位相差値R0が0〜30nm(好ましくは0〜10nm)の範囲にあり、厚み方向の位相差値Rthが30〜300nm(好ましくは50〜300nm)の範囲にあることを特徴とする。第二位相差板23における面内の位相差値R0が30nmを超える場合には、正面位相差に伴う偏光解消が起こり、コントラスト比が低下する。一方、第二位相差板23における厚み方向の位相差値Rthが30nm未満である場合には、液晶セルの液晶の複屈折を十分に相殺できずに、視野角が狭くなり、また、300nmを超える場合には、逆に液晶セルの液晶の複屈折を過補償することとなり、視野角が狭くなる。なお、第二位相差板23の面内の位相差値R0および厚み方向の位相差値Rthは、上述した第一位相差板の面内の位相差値R0と同様に、自動複屈折測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定された値を指す。このような位相差特性は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを用いて第二位相差板23を形成することで実現することができる。
ここで有機修飾粘土複合体は、有機化合物と層状構造を有する粘土鉱物とを複合化させたものであって、有機溶媒に分散可能なものである。本発明における第二位相差板23は、このような有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と溶媒(有機溶媒)とを含む塗工液を調製し、当該塗工液を基材上に塗布した後、溶媒を除去することで得られたものであることが好ましい。
層状構造を有する粘土鉱物としては、スメクタイト族、膨潤性雲母などが挙げられる。中でもスメクタイト族は、透明性にも優れることから好ましく用いられる。スメクタイト族に属するものとしては、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイトなどが例示できる。これらの中でも化学合成されたものは、不純物が少なく、透明性に優れるなどの点で好ましい。特に、粒径を小さく制御した合成ヘクトライトは、可視光線の散乱が抑制されるために好ましく用いられる。
粘土鉱物と複合化される有機化合物としては、粘土鉱物の酸素原子や水酸基と反応、または、相互作用し得る化合物、あるいは、交換性陽イオンと交換可能なイオン性の化合物などが挙げられるが、有機修飾粘土複合体が有機溶媒に膨潤または分散できるようになるものであれば特に制限はない。粘土鉱物の酸素原子や水酸基と相互作用しうる化合物の具体例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などの表面修飾剤や、系中で重合させることで修飾を行うことができるε−カプロラクタム、さらには、ポリビニルピロリドン、アルキル置換ピロリドンなどが挙げられる。また、交換性陽イオンと交換可能なイオン性化合物の具体例として、含窒素化合物、含リン化合物などを挙げることができ、たとえば1級、2級または3級のアミン、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物などが挙げられる。中でも、陽イオン交換が容易であることなどから、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物が好ましく用いられ、たとえば、長鎖アルキル基を有するもの、アルキルエーテル鎖を有するものなどが挙げられる。とりわけ、炭素数6〜30、特に炭素数6〜10の長鎖アルキル基を有するものや、n=1〜50、特にn=5〜30の−(CH2CH(CH3)O)nH基、または−(CH2CH2CH2O)nH基を有するものが好ましい。
有機修飾粘土複合体には、その製造の際に用いられる各種副原料に起因して、塩素を含む化合物が不純物として混入していることが多い。そのような塩素化合物の量が多いと、第二位相差板23を形成した際にフィルムからブリードアウトする可能性がある。その場合には、感圧性接着剤を介してその第二位相差板23を液晶セルガラスに貼合したときに、粘着力が経時的に大幅に低下してしまう。そこで、有機修飾粘土複合体からは、洗浄により塩素化合物を除去しておくのが好ましく、その中に含まれる塩素の量を2000ppm以下とした状態で有機溶媒中に含有させれば、かかる粘着力の低下を抑えることができる。塩素化合物の除去は、有機修飾粘土複合体を水洗する方法により行うことができる。
有機修飾粘土複合体は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。適当な有機修飾粘土複合体の市販品には、合成ヘクトライトと4級アンモニウム化合物との複合体であるルーセンタイトSTN(コープケミカル(株)製)、ルーセンタイトSPN(コープケミカル(株)製)などが挙げられる。
このような有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体は、基材などへのコーティングのしやすさ、光学特性の発現性や力学的特性などの点から、バインダー樹脂と組み合わせて用いられる。有機修飾粘土複合体と併用するバインダー樹脂は、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解するもの、とりわけ、ガラス転移温度が室温以下(約20℃以下)であるものが、好ましく用いられる。また、液晶表示装置に適用する場合に必要とされる良好な耐湿熱性およびハンドリング性を得るためには、疎水性を有するものが望ましい。このような好ましいバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどのポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、ブチルアクリレートなどのアクリル系樹脂、ウレタン樹脂、メタアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。中でも、有機修飾粘土複合体の分散性が良好であることから、ウレタン樹脂が好ましい。
バインダー樹脂の市販品としては、具体的には、ポリビニルアルコールのアルデヒド変性樹脂であるデンカブチラール#3000−K(電気化学工業(株)製)、アクリル系樹脂であるアロンS1601(東亞合成(株)製)、イソホロンジイソシアネートベースのウレタン樹脂であるSBUラッカー0866(住化バイエルウレタン(株))などが好適なものとして挙げられる。
第二位相差板23における有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂との含有率は、前者:後者の重量比で1:2〜10:1の範囲、とりわけ1:1〜2:1の範囲にあることが、第二位相差板23の割れ防止などの力学的特性向上の観点から好ましい。
有機修飾粘土複合体およびバインダー樹脂は、上述したように、有機溶媒中に分散されて調製された塗工液の状態で基材上に塗布される。この際、一般には、バインダー樹脂は有機溶媒に溶解され、そして有機修飾粘土複合体は有機溶媒中に分散される。この塗工液の固形分濃度は、調製後の塗工液が実用上問題ない範囲でゲル化したり白濁したりしなければ制限はないが、通常、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の合計固形分濃度が3〜15重量%程度となる範囲で使用される。最適な固形分濃度は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂それぞれの種類や両者の組成比により異なるため、組成毎に設定される。また、製膜する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤や、疎水性および/または耐久性をさらに向上させるための硬化剤など、各種の添加剤を加えてもよい。
またこの塗工液は、カールフィッシャー水分計で測定される含水率を0.15〜0.35重量%の範囲内としておくことが好ましい。この含水率が0.35重量%を超える場合には、非水溶性有機溶媒中での相分離を生じ、塗工液が2層に分離してしまう傾向にある。一方、含水率が0.15重量%未満である場合には、形成された第二位相差板のヘイズ値が高くなってしまう虞がある。
塗工液の含水率を上述した範囲内とする方法は特に制限されないが、塗工液中に水を添加することにより含水率を簡便に調整することができる。上述したような有機溶媒、有機修飾粘土複合体およびバインダー樹脂を通常の方法で混合しただけでは、0.15重量%以上の含水率を示すことは殆どない。そのため、有機溶媒、有機修飾粘土複合体およびバインダー樹脂を混合した塗工液に少量の水を添加することによって、含水率を上記範囲内に調整することが好ましい。水を添加する時点は、特に制限されないが、塗工液を調製して一定時間経過後にサンプリングして含水率を測定した後、所定量の水を添加するようにすれば、再現性および精度よく含水率を制御することができ、好ましい。
塗工液を塗布する方式は特に制限されるものではなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法など、公知の各種の方式を用いることができる。
上記塗工液を塗布する基材は、面内の位相差値R0がほぼゼロである材料であれば特に限定はないが、鎖状オレフィン類樹脂からなる未延伸フィルム、シクロオレフィン類樹脂からなる未延伸フィルム、セルロースアシレート類樹脂からなる未延伸フィルムなどが好ましい。
またこの基材が偏光板22の保護層27を兼ねるようにしてもよい。この場合、保護層27上に上述した塗工液を塗布して第二位相差板23を形成した後、第二位相差板23付きの保護層27を偏光フィルム25と貼り合わせてもよいし、予め保護層27を貼り合わせてなる偏光フィルム25の保護層27側に上述した塗工液を塗布して第二位相差板23を形成するようにしてもよい。なお、この場合、第二位相差板23と保護層27との間にプライマー層を形成するようにしてもよい。
また、本発明における第二複合偏光板に用いられる偏光板も、第一複合偏光板に用いられる偏光板と同様に、当分野で一般に用いられているものであることができ、たとえばポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素(ヨウ素、二色性有機染料など)が吸着配向された直線偏光フィルムの両面または片面に、トリアセチルセルロース樹脂、環状シクロオレフィン系樹脂、鎖状シクロオレフィン樹脂などの樹脂フィルムからなる保護層を積層した構造が一般的に用いられる。図3には、直線偏光フィルム25の両面に保護層26,27が設けられた偏光板22を用いた場合が示されている。
本発明における第二複合偏光板21における第二位相差板23の偏光板22に隣接する側とは反対側に形成される感圧性接着剤層24としては、第一複合偏光板1,11における感圧性接着剤層4について上述したのと同様に、従来から液晶表示装置用に用いられてきた種々の感圧性接着剤を用いて形成することができる。また、第二複合偏光板において、保護層と偏光フィルム、保護層または偏光フィルム第二位相差板との間の接着には、第一複合偏光板における保護層と偏光フィルム、保護層または偏光フィルム第一位相差板との間の接着に好適に用いられる上述した接着剤が同様に好適に用いられる。
図4は、図1に示した例の第一複合偏光板1と図3に示した例の第二複合偏光板21とを備える本発明の複合偏光板のセットを用いて液晶表示装置を製造する様子を模式的に示す斜視図であり、図5は、図2に示した例の第一複合偏光板11と図3に示した例の第二複合偏光板21とを備える本発明の複合偏光板のセットを用いて液晶表示装置を製造する様子を模式的に示す斜視図である。また、図6(a)は、図4に示した状態を模式的に示す断面図であり、図6(b)は各層を互いにずらした状態で示す上面図である。なお、図4および図6には、図1に示した例の第一複合偏光板1を液晶セル50の一方側に貼り付け、図3に示した例の第二複合偏光板21を液晶セル50の他方側に貼り付ける様子が示されており(図6では、感圧性接着剤層については図示を省略している)、図5には、図2に示した例の第一複合偏光板11を液晶セル50の一方側に貼り付け、図3に示した例の第二複合偏光板21を液晶セル50の他方側に貼り付ける様子が示されている。
本発明の複合偏光板のセットは、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置に用いられるものであることが好ましい。垂直配向モードの液晶表示装置に用いる場合、図6(b)に示すように、第一複合偏光板1は、液晶セルの視認側(フロント側)において、偏光板2の吸収軸方向2aが液晶セルの水平方向(長手方向)に平行となるように配置され、さらに偏光板2の吸収軸方向2aと第一位相差板3の遅相軸方向3aとが、概ね垂直に交差するように配置されて、貼り付けられる。また、第二複合偏光板21は、液晶セルの視認側とは反対側(リア側)において、偏光板22の吸収軸方向22aが液晶セルの鉛直方向(短手方向)に平行となるように配置され、さらに偏光板22の吸収軸方向22aが第一複合偏光板1における偏光板2の吸収軸方向2aと概ね垂直に交差するように配置されて、貼り付けられる。この場合、液晶セルは、VAモードの液晶セルであれば、その種類は特に制限されるものではない。
〔2〕液晶表示装置
本発明では、上述したような本発明の複合偏光板のセットと液晶セルとを備える液晶表示装置であって、液晶セルの一方側に第一複合偏光板を配置するとともに、液晶セルの他方側に第二複合偏光板を配置してなる液晶表示装置についても提供する。上述したように、本発明の複合偏光板のセットは、斜め方向から見た場合の液晶分子の複屈折や上下偏光板の軸角度が90°からずれてしまうことを補償して、視野角を拡大することができ、見る角度を変えた場合にも色目の変化が起こりにくく、良好な視野角特性を得ることができる。したがって、本発明の液晶表示装置は、VAモードの液晶表示装置として特に好適に実現される。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(第一複合偏光板の作製)
セルロースアセテート樹脂からなるフィルム(KC8UCR−5、コニカミノルタ製)を自由端縦一軸延伸することで、一軸性の位相差フィルムである第一位相差板を得た。得られた第一位相差板について、複屈折測定装置(KOBRA−WPR、王子計測機器(株)製)を用いて測定した面内における位相差値R0は156nm、厚み方向における位相差値Rthは78nm、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)は0.91、Nz係数は1.0であった。この第一位相差板の一方の面に、トリアセチルセルロースを保護層として有する偏光板を、偏光フィルムが露出している側が第一位相差板に隣接し、偏光板の吸収軸方向と第一位相差板の遅相軸方向とが交差するように配置させた状態で接着剤を介して貼り合わせた。さらに、第一位相差板の偏光板が隣接する側とは反対側の面に、セパレートフィルム上に形成した感圧性接着剤層(P−3132、リンテック(株)製)を転写して、第一複合偏光板を作製した。
(第二複合偏光板の作製)
有機修飾粘土複合体として、合成ヘクトライトとトリオクチルメチルアンモニウムイオンとの複合体であるルーセンタイトSTN(コープケミカル(株))を用い、またバインダー樹脂として、イソホロンジイソシアネートベースのポリウレタン樹脂で固形分濃度30%の樹脂ワニスであるSBUラッカー0866(住化バイエルウレタン(株))を用い、以下の組成で第二位相差板作製用の塗工液を調製した。
・ウレタン樹脂ワニス(SBUラッカー0866) 16.0部
・有機修飾粘土複合体(ルーセンタイトSTN) 7.2部
・トルエン 76.8部
・水 0.3部
ここで用いた有機修飾粘土複合体は、メーカーにて、有機修飾前の合成ヘクトライト製造後に酸洗浄し、それを有機修飾し、さらに水洗した状態で入手したものである。そこに含まれる塩素量は1111ppmであった。また、この塗工液は、上記組成で混合し、攪拌後、孔径1μmのフィルターで濾過して調製したものであり、カールフィッシャー水分計で測定された含水率は0.25%であった。この塗工液における有機修飾粘土複合体/バインダー樹脂の固形分重量比は6/4であった。
上述のように調製した塗工液を、トリアセチルセルロースフィルム(KC8UX2MW、コニカミノルタ(株)製)上に乾燥後の厚みが7.5μmになるように、卓上ギャップコーターでダイレクト塗工し、80℃で2分乾燥することでコーティング位相差層を形成して、第二位相差板を得た。得られた第二位相差板について、自動複屈折測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定したところ、面内の位相差値R0が0.2nm、厚み方向の位相差値Rthが121nmであった。
この第二位相差板のトリアセチルセルロース面側を、一方の面にトリアセチルセルロースを保護層として有する偏光板の偏光フィルムが露出している側に接着剤で貼りあわせ、さらに、第二位相差板上に、セパレートフィルム上に形成した感圧性接着剤層(P−3132、リンテック(株)製)を転写して、第二複合偏光板を得た。
(液晶表示装置)
市販の液晶テレビ(BRAVIA KDL40V2500、SONY製)を分解し、液晶セルに貼り付けてあったフィルムを全て剥がした後、視認側(フロント側)に、偏光板の吸収軸方向が液晶テレビの水平方向(長手方向)に平行となるように感圧性接着剤層を介して第一複合偏光板を貼り付けた。さらに、液晶セルの視認側とは逆側(リア側)に、吸収軸方向が液晶テレビの鉛直方向(短手方向)に平行となるように感圧性接着剤層を介して第二複合偏光板を偏光板を貼り付けて、液晶表示装置を得た。
図7は、実施例1で作製した液晶表示装置を黒表示させた際の色度分布を示すグラフである。図7に示す色度分布は、液晶表示装置を黒表示させた際の、仰角0°、20°、40°、60°、80°において、方位角0°、1°、2°、・・・、359°から見た際の色目をx、y色度座標上に全てプロットしたものであり、点のバラツキが小さいほど見る角度による色目のバラツキが小さいことを示している。結果として、見る角度による色目の変化はほとんどなく、良好な視野角特性が得られた。なお、色目の測定には、視野角測定装置(EZ−contrast 88XL、ELDIM社製)を用いた。
<比較例1>
一軸性フィルムである変性ポリカーボネートを含む共重合体樹脂の延伸フィルム(WRF−W142、帝人(株)製)を第一位相差板として用いて第一複合偏光板を形成したこと以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。なお、この比較例1で用いた第一位相差板について、実施例1と同様に測定された面内における位相差値R0は142nm、厚み方向における位相差値Rthは72nm、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)は0.76、Nz係数は1.01であった。
図8は、比較例1で作製した液晶表示装置を黒表示させた際の色度分布を示すグラフである。図8から、比較例1の液晶表示装置では、見る角度による色目の違いが大きく、視野角特性に劣っていたことが分かる。
<比較例2>
一軸性フィルムである環状シクロオレフィン樹脂の延伸フィルム(CSES440140S、積水化学工業(株)製)を第一位相差板として用いて第一複合偏光板を形成したこと以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。なお、この比較例2で用いた第一位相差板について、実施例1と同様に測定された面内における位相差値R0は140nm、厚み方向における位相差値Rthは127nm、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)は1.02、Nz係数は1.41であった。
図9は、比較例2で作製した液晶表示装置を黒表示させた際の色度分布を示すグラフである。図9から、比較例2の液晶表示装置では、見る角度による色目の違いが大きく、視野角特性に劣っていたことが分かる。
今回開示された実施の形態および実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の複合偏光板のセットは、斜め方向から見た場合の液晶分子の複屈折や上下偏光板の軸角度が90°からずれてしまうことを補償して、視野角を拡大することで、見る角度を変えた場合にも色目の変化が起こりにくく、良好な視野角特性を得ることができ、特に垂直配向モードの液晶表示装置用として有用である。
本発明の複合偏光板セットに用いられる好ましい一例の第一複合偏光板1を、各層を離間した状態で模式的に示す斜視図である。 本発明の複合偏光板セットに用いられる好ましい他の例の第一複合偏光板11を、各層を離間した状態で模式的に示す斜視図である。 本発明の複合偏光板セットに用いられる好ましい一例の第二複合偏光板21を、各層を離間した状態で模式的に示す斜視図である。 図1に示した例の第一複合偏光板1と図3に示した例の第二複合偏光板21とを備える本発明の複合偏光板のセットを用いて液晶表示装置を製造する様子を模式的に示す斜視図である。 図2に示した例の第一複合偏光板11と図3に示した例の第二複合偏光板21とを備える本発明の複合偏光板のセットを用いて液晶表示装置を製造する様子を模式的に示す斜視図である。 図6(a)は、図4に示した状態を模式的に示す断面図であり、図6(b)は各層を互いにずらした状態で示す上面図である。 実施例1で作製した液晶表示装置を黒表示させた際の色度分布を示すグラフである。 比較例1で作製した液晶表示装置を黒表示させた際の色度分布を示すグラフである。 比較例2で作製した液晶表示装置を黒表示させた際の色度分布を示すグラフである。
符号の説明
1,11 第一複合偏光板、2,12 偏光板、3 第一位相差板、4 感圧性接着剤層、5,25 直線偏光フィルム、6,7,26,27 保護層、21 第二複合偏光板、22 偏光板、23 第二位相差板、24 感圧性接着剤層、50 液晶セル。

Claims (4)

  1. 液晶表示装置に用いる第一複合偏光板と第二複合偏光板とのセットであって、
    第一複合偏光板は、偏光板と、第一位相差板と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を有し、第一位相差板は、セルロースアシレート樹脂を延伸してなる位相差フィルムであって、面内の位相差値R0が90〜200nmの範囲、厚み方向の位相差値Rthが30〜200nmの範囲にあり、かつ、波長450nmにおける面内の位相差値R0(450)と波長589nmにおける面内の位相差値R0(589)との比R0(450)/R0(589)が0.80〜0.99の範囲にあり、かつ、その遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向とが80〜100°の角度で交差するように配置され、
    第二複合偏光板は、偏光板と、第二位相差板と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を有し、第二位相差板は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含み、面内の位相差値R0が0〜30nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値Rthが30〜300nmの範囲にある、複合偏光板セット。
  2. 第二位相差板が、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と溶媒とを含む塗工液を基材上に塗布した後、溶媒を除去することで得られたものである、請求項1に記載の複合偏光板セット。
  3. 垂直配向モードの液晶表示装置に用いられる、請求項1または2に記載の複合偏光板セット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合偏光板セットと液晶セルとを備える液晶表示装置であって、液晶セルの一方側に第一複合偏光板をその感圧性接着剤層を介して貼合するとともに、液晶セルの他方側に第二複合偏光板をその感圧性接着剤層を介して貼合してなる、液晶表示装置。
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