JP2009139212A - 超音波式液面計 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波センサにその設置状態における傾斜角度を検出する機能を内蔵させ、計測安定性を向上させた超音波式液面計を提供する。
【解決手段】超音波式液面計の超音波センサユニット3はタンク底部表面の貯槽鋼板11に取り付けられており、圧電振動子14から発射された超音波が貯槽鋼板11を通過し、液界面から反射された超音波が、圧電振動子14で検出される。センサ傾斜角度検出機能を実現するための角度検出器用の錘21は、超音波センサ音響アイソレーション用の空気室20内に設けられ、傾斜角検出回路22は温度センサ用のサーミスタ15と並列接続されるとともに超音波センサ回路の端子板16に一体化して形成されている。超音波式液面計は、超音波センサユニット3の傾斜を計測することで、取り付け時における自己診断機能の向上や、運転時における信頼性の向上を図っている。
【選択図】図4

Description

本発明は、液面計に関し、特に、タンク内に貯留されている液体の液位を検出するために、液面へ送信した超音波の液面エコーの受信タイミングをもとに液位を検知する超音波式液面計に関する。
超音波式液面計には、液面上検出型と液面下検出型とが知られている。
液面上検出型の超音波式液面計は液面の上方に超音波センサを設置し、液面の上方向から超音波を気体中に発射し、液面で反射して戻ってきた超音波を受信する。液面上検出型は超音波センサの音響インピーダンスの制約から被計測タンクの上面気体中に設置する必要があり、主に水等の非可燃性液体の開放型タンクで用いられる。
また、液面下検出型の超音波式液面計は、タンクの下方に超音波センサを設置し、タンク鋼板に超音波を発射する。音響整合条件を調えれば超音波はタンク鋼板を通過し、液中を伝播する。液界面で反射し戻ってきた超音波を受信する液面下検出型では、被測定物(液体)に非接触で計測できる特徴から、圧力タンク内の可燃性液の残量計測に用いられる。
例えば、LPGタンクの底部の外壁面に超音波センサを設置し、超音波を上方向に発射してLPGタンクの底部鋼板を通過させ、LPG液中を伝播させて液面で反射させる。反射波はLPG液中を伝播し、再びLPGタンクの底部鋼板を通過するので、同じ超音波センサでこれを受信し、超音波の伝播遅延時間の計測値より液面高さを算出し表示するものがある。
また、LPGタンクの液部残量を計測する残量計として、LPGタンク形状と液面高さより残量比を算出表示する超音波式液面計も利用されている。
この超音波式液面計を安定して動作させるためには、容器内部の液界面に超音波を鉛直に発射する必要がある。しかしながら、内部物質が液化プロパン、液化ブタン等の可燃性で常温高圧下で液体になっている場合は、容器が圧力容器になっており、超音波センサを取付ける容器の面形状は円柱の側面若しくは球面となっている。
このような非平面な容器内部の液界面に対して鉛直に超音波を放射するためには、超音波センサを気泡管等を用いた水準器で容器下部球面の水平点を見つけ出して取付ける必要がある。例えば、特許文献1に記載されたものでは、このような取付方法によって、原理的には、容器基礎の水平度誤差や容器の製作寸法誤差等を吸収している。
特開2007−218727号公報
しかしながら、特許文献1に記載の手法を用いてLPGタンクの下部最適位置にマーキングし、超音波センサを取付けた場合でも、取付け時の作業バラツキが発生する場合があり、また、作業者のスキルにより取付け位置がズレたまま液面計を起動させ、エコー解析等による自己診断機能でも検出できずに運用開始後、計測トラブルに至る場合がある。
さらに、超音波センサの取付け位置のズレに対する補正制御を行おうとしても、ズレ量を定量的に補足する手段がないので補正制御が出来なかった。
また、LPGタンクが設置されている地盤の不等沈降等によりコンクリート基礎全体が徐々に傾き、液面計の計測安定性が劣化し計測トラブルに至ることがあった。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、超音波センサにその設置状態における傾斜角度を検出する機能を内蔵させ、計測安定性を向上させた超音波式液面計を提供することを、その目的にする。
より詳細には、超音波センサの設置位置ズレ量を傾斜角度量で検出し、自己診断機能の向上および超音波計測条件の最適化制御機能の向上を実現することにより、液位計測の計測安定性を向上させた超音波式液面計を提供することを、その目的とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、液面へ発信した超音波の液面エコーの受信タイミングをもとに液位を検知する超音波式液面計において、センサ傾斜角度検出機能を具備することを特徴としたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、超音波式液面計の超音波センサが、貯槽の底部表面に取り付けられていることを特徴としたものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、センサ傾斜角度検出機能を実現するための角度検出器用の錘が、超音波センサの音響アイソレーション用の空気室内に設けられたことを特徴としたものである。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、センサ傾斜角度検出機能が静電容量検出型のセンサで構成されてなることを特徴としたものである。
請求項5の発明は、請求項3の発明において、センサ傾斜角度検出機能が歪ゲージを用いたセンサで構成されてなることを特徴としたものである。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかの発明であって、温度検出センサを更に有することを特徴としたものである。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかの発明において、センサ傾斜角度検出機能を実現するための傾斜角度変換回路を超音波センサ回路基板と一体化したことを特徴としたものである。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれかの発明において、温度検出センサを含む温度検出回路と傾斜角度検出回路とが並列接続されていることを特徴としたものである。
請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、傾斜角度変換回路はセルフキャリブレーション機能を有することを特徴としたものである。
本発明に係る超音波式液面計によれば、センサ取付け角度すなわちセンサ取付け位置の良否を自己診断機能の一要素として取り入れることが可能となる。これにより自己診断機能の判断要素が増え安定性向上が図れる。
また、本発明に係る超音波式液面計によれば、超音波センサ取付け角度を測定し制御条件に付加することにより超音波センサ駆動周波数の選択要件の最適化、エコー残響値の良否判断レベルの冗長化が可能となり、液面計測安定性の向上が計れる。
また、本発明に係る超音波式液面計によれば、角度検出センサ内蔵・非内蔵で外形形状が同一であることから取付アタッチメント等の付属品が共用できること、超音波センサとして要求される防水性能も実績のある手法を活用できることから、低コストで信頼性の高い超音波センサの提供が可能となる。
さらに、本発明に係る超音波式液面計によれば、角度検出センサ内蔵・非内蔵の超音波センサと角度検出センサ対応・非対応のコントロールユニットの何れの組合せで接続しても破損することがなく、角度検出センサ内蔵超音波センサと角度検出センサ対応コントロールユニットの組合せの場合のみ、自動的に傾斜角度検出機能が働く冗長性を持ったシステムを実現でき、メンテナンス性が良好なシステムとすることができる。
以下、本発明に係る超音波式液面計の一実施の形態として、LPガスバルク貯槽用液面計に適用した場合について説明するが、超音波式液面計であれば液種、タンク形状に限られるものではない。また、傾斜角度検出方法として容量検出型の傾斜角度センサを用いた場合について説明するが、これに限られるものではない。
図1は、横型LPガスバルク貯槽に超音波式液面計を設置した例を示す概略図で、図2は、竪型LPガスバルク貯槽に超音波式液面計を設置した例を示す概略図である。
図1で例示した横型LPガスバルク貯槽1、あるいは、図2で例示した竪型LPガスバルク貯槽2には、それぞれLPガスバルク貯槽1、2の液残量を計測するために超音波式液面計が設置されている。これらの超音波式液面計は、図示したように貯槽底部外壁面に超音波センサユニット3を設置している。
また、横型及び竪型のLPガスバルク貯槽1、2(以下、単に「貯槽1、2」という)の双方において、超音波センサユニット3は、マグネット吸引力を利用した磁気式センサ保持具(マグネットホルダ)、あるいは機械式の保持具などで保持されており、超音波センサユニット3を制御するコントロールユニット4にセンサケーブル5で接続されている。コントロールユニット4は、LPガスバルク貯槽1の上部又は中間部分のプロテクタボックス内に取り付けられる。
超音波センサユニット3における超音波センサは、液面Sの位置を計測するために、超音波の発射方向が液面Sに鉛直になるように設置する必要があり、設置位置が鉛直線からずれると超音波式液面計は計測障害を起こしてしまう。
これを回避するために、貯槽1,2では、センサ取付位置を決めるために水準器を用いるが、このような水準器は貯槽や容器の傾斜度合いを測るのではなく、液面Sと平行になる位置を求めるために使用する。液面Sと平行になる位置は、貯槽底部外壁面のうち、貯槽1の例では円筒側面の円周方向の円周上の最下部であり、貯槽2の例では2:1半楕円球体又は半球体の最下部である。水準器によって超音波センサユニット3の取付位置を確定し、マーキングを行い其処に取り付ける。
図3は、本発明に係る超音波式液面計の設置フロー図を示すものであり、超音波センサユニット3を設置し、コントロールユニット4へ電源接続し、液面計として運用を開始するまでのフローを示している。
まず、超音波センサユニット3を先述したように水準器を利用して貯槽1、2の底部に設置し(ステップS1)、コントロールユニット4と接続するとともにコントロールユニット4を電源(電池)に接続する(ステップS2)。次に、残量計として用いる場合に必要となる、タンク直径(内径)、タンク総容積、タンク長(内寸)などのタンクパラメータをコントロールユニット4の入力部などから設定する(ステップS3)。これにより、残液容量を算出し、タンク総容量に対する残液容量の比率(残容量比(%))の算出が可能となる。
次に、超音波センサユニット3自身の傾斜角度検出機能を働かせて、超音波センサユニット3の傾斜角を測定し(ステップS4)、超音波センサユニット3が液面に対して平行な場所、すなわち超音波が液面に対して鉛直方向に発射される位置の許容範囲内に取り付けられているかどうかを判定する(ステップS5)。そして、良好でない場合(NGの場合)は図示しないコントロールユニット4の表示部にエラー表示を行うとともに(ステップS6)、超音波センサユニット3の設置位置の修正を行う(ステップS7)。なお、傾斜角度検出機能を実現するための構成については後述する。
ステップS5の判定で良好な場合(OKの場合)は、超音波エコーを安定して補足する必要から、超音波周波数、回路増幅度、帯域フィルタ選択等の可変要素を種々自動調整し、最良のS/N比が得られるように超音波計測条件自動学習を行い(ステップS8)、その結果が良好かどうか判定を行う(ステップS9)。良好でない場合(NGの場合)は、コントロールユニット4の表示部にエラー表示を行うとともに(ステップS10)、再度、自動学習の指示を行い(ステップS11)、自動学習を繰り返す。ステップ9の判定で良好な場合(OKの場合)は、運用を開始する(ステップS11)。
このように、本発明に係る超音波式液面計では、超音波センサユニット3の取付け位置のズレを傾斜角度センサにて傾斜角として計測できるため、センサ取付け角度すなわちセンサ取付け位置の良否を自己診断機能の一要素として取り入れることが可能となり、水準器の目視のみによる取り付け位置のズレの発生といった人為的なミスを排除できる。
次に、図4に本発明に係る超音波センサユニット3の断面図を示す。なお、図を判り易くする目的で実際に設置する際に用いる磁気式センサ保持具(マグネットホルダ)を省略して示している。超音波センサユニット3の超音波センサケース18は、音響・温度結合用のセンサシート12を介して、図示しない磁気式センサ保持具によってLPガスバルク貯槽鋼板11に密着している。
ここで、超音波液面計測を行うために、圧電振動子14、音響整合層13、センサシート12、貯槽1,2の貯槽鋼板11をこれらの順で配列し、音響整合条件が成立するようしている。そして、圧電振動子14から発射された超音波は、貯槽鋼板11を通過し、LP液中を伝播後、LP液界面で反射され、逆順路を経て再び圧電振動子14に戻ってくるようにしている。発射から受信までの遅延時間を計測することによって液面高さを求めるのは、前述の通りである。
容量検出型の傾斜角度センサを構成する角度検出器用錘21は、超音波センサユニット3の音響アイソレーション用空気室20内に位置するように、端子板16に設置されている。また、後述するが、傾斜角度検出回路22は端子板16の反対面側に実装され、容量検出用電極は端子板16の錘21側にパターンニングで形成されている。さらに、音響整合層13には温度検出センサ用のサーミスタ15が図示されていない熱伝導性接着剤で熱結合を確保し固定されている。この温度検出センサは、超音波の伝播音速が媒質種類、温度で大きく変化することから、計測精度を確保するための温度補正に用いられる。
端子板16に実装された傾斜角度検出回路22は封止樹脂17によってモールドされた防水構造を有している。超音波センサケース18内の音響アイソレーション用空気室20は、超音波センサケース18、音響整合層13、及び端子板16によって密閉されるとともに、超音波センサユニット3はセンサケーブル5を介してコントロールユニット4と接続されており、センサケーブル5の超音波センサユニット3への取り付け位置に防水熱収縮チューブ19を設けることによって、内部への雨水や埃の侵入を防止している。
このように、超音波センサユニットの音響アイソレーション用に設けられている空気室20に傾斜角度センサの錘21を設けることで、センサの大型化を防止し、機能の確保と小型化を同時に実現している。また、錘21の重力方向下側に回路基板である端子板16が取付けられているので、超音波センサ運用時に過度の衝撃等で錘軸が破損しても2次障害を防ぐフェールセーフ構造となっている。
さらに、傾斜角度センサの回路部を超音波センサの回路部と同一基板となる端子板16上に設け、モールド型で成型された熱可塑製樹脂製の超音波センサケース18本体の機械的寸法保証面に端子板16を取付けることにより、傾斜角度センサの精度の確保と組立性を両立させる構造としている。
次に、傾斜角度センサを構成する角度検出器用錘21と容量検出用電極との構成例を図5に示す。図5(A)は水平方向から、図5(B)は上方から見た図である。
錘21は金属(ステンレス等)製で、錘軸23を通して端子板16のGND電位に接続されており、端子板16の錘21側には基板銅箔からなる容量検出用のX軸電極24とY軸電極25が設けられている。X軸電極24とY軸電極25の配置は90度の角度差を有するように直交させている。一例として、X軸電極24、Y軸電極25をそれぞれ3x4.5mmの長方形とし、錘の空隙量を0.3mmとすると約0.4pFの静電容量が発生する。
ここで、超音波センサユニット3が水平面から傾斜すれば、X軸電極24、Y軸電極25と錘21とのそれぞれの空隙量が変化する。このため、X軸電極24、Y軸電極25と錘21とのそれぞれの静電容量の変化を検出することによって、超音波センサユニット3の傾斜角度を知ることができる。そして、直交する2軸の傾斜角度を計測できるようにしているため、超音波センサユニット3の傾斜角度を360度全方向で計測を可能としている。
なお、X軸電極24、Y軸電極25とも形状は長方形である必要はなく、中心軸より扇状にしたり、その形状を調整したりすることによって、傾斜角度に対して所望の静電容量変化が得られるようにすることが可能である。さらに、X軸電極24、Y軸電極25の表面にテフロン(登録商標)粘着テープ等を張ることによって誘電率を大きくし、静電容量値を増加させることで、所望の傾斜角に対する静電容量変化を得ることも可能である。
次に、本発明に係わる超音波式液面計の回路構成の例を図6に、その動作タイミングチャートを図7に示す。
超音波センサ処理回路31は、超音波センサユニット3内部に端子板16に設けられた破線で囲んだ傾斜角度検出回路22と、圧電振動子14を構成する圧電子PZT、温度検出センサ用のサーミスタ(THR)15を含んでいる。また、傾斜角度検出回路22は、容量検出回路CDC、不揮発性メモリEEPROM、マイコンCPU2、スイッチング用のトランジスタTR1などから構成される。
超音波センサは扱う信号帯域が約1MHz(具体的には700KHz〜1.4MHz)で超音波発射時(センサPZT駆動時)は約15Vppの高レベル信号を扱うが、反射エコー受信時には約1mV程度の低レベル信号(超音波の機械的エネルギーを圧電振動子が電荷に変換した信号)を扱うことから、圧電振動子に並列接続される静電容量成分がS/Nを悪化させる一要因となる。このため、傾斜角度検出回路22は温度検出センサ用のサーミスタ15に並列接続している。
そして、常時は、トランジスタTR1のオフ条件が成立しているため、傾斜角度検出回路22へは電源供給されず、後述するようにオフ時漏れ電流も小さいことから、温度計測信号ラインTMPには見かけ上サーミスタ(THR)15のみが接続されたかたちになっている。
傾斜角度センサを動作させる場合は、コントロールユニット4内のコントロールユニット回路32のスイッチSWをマイコンCPU1によりオンさせる。これにより、傾斜角度検出回路22内のトランジスタTR1のオン条件が成立し、傾斜角度検出回路22内のマイコンCPU2の電源が入り、起動オン信号電圧Vinが入力され、マイコンCPU2が動作を開始するとともに、容量検出回路CDC、不揮発性メモリEEPROMも動作するようになる。
このように、トランジスタTR1はスイッチ動作を行っており、オフ時エミッタ〜コレクタ間抵抗無限大(漏れ電流ゼロ)、オン時エミッタ〜コレクタ間抵抗ゼロが理想的であるが、実際にはオフ時でも漏れ電流が発生する。トランジスタTR1の動作点が適切でないと10μA程度のオフ時漏れ電流が発生し、傾斜角度検出回路22と並列接続されている温度検出用サーミスタ15の温度計測値の誤差が無視できない状態となる。
そのため、回路内の各抵抗値等を調整しトランジスタTR1のオフ時漏れ電流を低く抑えている。
一例として、コントロールユニット回路32内の電源電圧Vcc=5V、Vref=3V、R3=15kΩ、R4=10Ω、R10=20KΩ、R11=390Ω、R12=1KΩの場合、トランジスタTR1のベース電位VzdをVccから0.5〜0.6V低い電圧に設定する事により、オフ時漏れ電流も−30℃から+60℃の全温度帯域で1μA以下となるように設定している。このため、サーミスタ15の温度計測誤差を条件の一番厳しい−30℃領域でも3%以内に収めている。
他方、傾斜角度検出回路22の消費電流は10mA程度必要なため、トランジスタTR1のオン抵抗が高いと電圧降下が発生し、回路動作が不安定となる。トランジスタTR1のオン抵抗を低く抑えるためには、トランジスタTR1のベース電流を流せば良く、ベース電位VzdをツェナーダイオードZDで設定し、スイッチSWをオン時にTR1のベースに必要充分なバイアス電位を加え、十分なベース電流を確保することにより低いオン抵抗を実現している。
このように、本実施の形態では、トランジスタTR1のオフ時の低漏れ電流とオン時の低オン電圧降下を両立している。
傾斜角度の測定は、X軸電極24と錘21との静電容量Cx、Y軸電極25と錘21との静電容量Cyを容量検出回路CDCで検出し、この検出値をマイコンCPU2で傾斜角度に変換することによって求めている。
そして、モード切替時間tモード以内に動作モード変換コマンドが来なければ、傾斜角度を計測後、CPU2はトランジスタTR2をオン/オフ制御し、負荷抵抗値を変化させることにより、トランジスタTR1のコレクタ電流に電流変化を生じさせ、コントロールユニット回路32の電流電圧変換回路I/Vconv.にて電流の変化を検出し、マイコンCPU1で読取っている。
図7(A)に示すように、マイコンCPU2のオン/オフ制御はあらかじめ決められたタイムシーケンスで、それぞれX軸、Y軸の傾斜角計測値をシリアルデータX−DATA、Y−DATAとして送るデータフォーマットとなっているので、マイコンCPU1でそのデータを取得している。
このように、本発明に係る超音波式液面計では、傾斜角度検出回路22のグランド線と信号線を温度検出センサのグランド線と信号線と兼用し、さらに双方向のシリアル通信を可能としているため、超音波センサユニット3とコントロールユニット4の接続電線数を増加させることがない。そして、消費電力、特に電池駆動機器で電池寿命に大きく影響を及ぼす待機時消費電力を抑えつつ、従来品との互換性を確保した回路構成としている。
超音波センサユニット3を水平の冶具に取り付けても、錘21の加工精度、容量検出用電極のパターン誤差、組立て精度、回路定数のばらつき等の個体差による誤差要因があるため、所望する傾き量の絶対値(=確度)が保証できない。そこで、傾斜角度検出回路22にはセルフキャリブレーション機能を具備することが必要であるが、運用時では誤動作なくキャリブレーション時は確実に動作させられる手段が必要となる。
図7(B)に示すように、キャリブレーション時には専用の外部電源にて超音波センサ処理回路31のグランド〜TMP信号線間に、時間と供に電源電圧を変化させる事により傾斜角検出回路22内のU3によりCPU2が読み込める信号レベルVinに変換される。CPU2は自身の起動からの経過時間がtモード以内のVinのビット変化を制御コードと認識しその制御コードに応じたキャリブレーション動作に移行する。
キャリブレーション手順としては、まず、超音波センサを検査治具に取付け検査治具を水平位置にセットしX軸オフセット誤差キャリブレーションコードを送出し実行する。つぎに、検査治具位置はそのままでY軸オフセット誤差キャリブレーションコードを送出し実行する。
検査治具を任意角度、例えば、X軸のみを3度ほど傾けX軸ゲイン誤差キャリブレーションコードを送出し実行する。同様に、検査治具のY軸のみを3度ほど傾けY軸ゲイン誤差キャリブレーションコードを送出し実行する。そして、求めた4個の誤差量をもとにマイコンCPU2で演算補正することにより、傾斜角度の絶対値が測定できるようにしている。ここで、誤差量はセンサ個々の個体差がある為、生産ラインの検査工程で個々に求め、不揮発性メモリEEPROMにキャリブレーションデータとして保存している。そして、運用時の傾斜角度測定時に補正データとして使用し、検出確度の保証を実現している。
以上説明したように、本発明に係る超音波式液面計は、運用時は1μA以下の漏れ電流で見掛け上温度検出回路から切り離されていて、傾斜確度を確認したい時に消費電流50mA程度までの回路負荷ならば検出方法によらず組み込むことが可能となっている。したがって、傾斜角度検出方法の一例として錘と検出用電極間の静電容量の変化を捉える容量検出型のもので説明したが、傾斜角度検出センサとして歪ゲージを用いたものなどにも適用可能である。
また、キャリブレーションデータを超音波センサ自身が単独で保持しているのでシステムアップされるコントロールユニットとの組合せがフリーとなり、メンテナンス性の向上も図れる特長も合わせ持つ。
さらに、LP液充てん時等や残量確認計測周期で定期的に超音波センサユニットの傾斜角度の確認を行い、許容値を超えた場合はエラー表示を液面計表示部にするとともに、保安センターに通信回線で接続されている場合には、センサ異常発呼情報を上げ異常を連絡することも可能である。
また、傾斜角度が許容値以内であっても理想値からズレている場合は、自動調整時に割り出した超音波の駆動周波数、フィルタ帯域選択、アンプゲイン選択の最適値(第一候補)だけでなく、第2候補条件でも交互計測し、計測安定性の確保を図ることが可能である。すなわち、タンク貯槽鋼板を超音波が通過できる周波数帯域は通常複数箇所あり、通常は最良の条件を選定し使用している。
しかしながら、超音波センサユニットの取付け傾きがある場合は、複数周波数での計測値を用いて計測することで超音波の指向特性が変化するため、本来求める液界面以外の条件が変わったことによりエコーが消える場合がある。この性質を利用し液界面の反射エコーだけを識別し、計測安定性の向上を図ることができる。
横型LPガスバルク貯槽に超音波式液面計を設置した例を示す概略図である。 竪型LPガスバルク貯槽に超音波式液面計を設置した例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る超音波式液面計の設置フローを示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波式液面計の超音波センサユニットの断面を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波式液面計の超音波センサユニットの角度検出用錘と容量検出用電極の関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波式液面計の回路構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波式液面計の動作タイミングチャートである。
符号の説明
1…横型LPガスバルク貯槽、2…竪型LPガスバルク貯槽、3…超音波センサユニット、4…コントロールユニット、5…センサケーブル、11…バルク貯槽鋼板、12…センサシート、13…音響整合層、14…圧電振動子、15…サーミスタ、16…端子板、17…封止樹脂、18…センサケース、19…防水熱収縮チューブ、20…音響アイソレーション用空気室、21…錘、22…傾斜角度検出回路、23…錘軸、24…X軸電極、25…Y軸電極、31…超音波センサ処理回路、32…コントロールユニット回路、S…液面。

Claims (9)

  1. 液面へ発信した超音波の液面エコーの受信タイミングをもとに液位を検知する超音波式液面計において、センサ傾斜角度検出機能を具備することを特徴とする超音波式液面計。
  2. 前記超音波式液面計の超音波センサが、貯槽の底部表面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波式液面計。
  3. 前記センサ傾斜角度検出機能を実現するための角度検出器用の錘が、前記超音波センサの音響アイソレーション用の空気室内に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波式液面計。
  4. 前記センサ傾斜角度検出機能が静電容量検出型のセンサで構成されてなることを特徴とする請求項3に記載の超音波式液面計。
  5. 前記センサ傾斜角度検出機能が歪ゲージを用いたセンサで構成されてなることを特徴とする請求項3に記載の超音波式液面計。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波式液面計であって、温度検出センサを更に有することを特徴とする超音波式液面計。
  7. 前記センサ傾斜角度検出機能を実現するための傾斜角度変換回路を超音波センサ回路基板と一体化したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波式液面計。
  8. 前記温度検出センサを含む温度検出回路と前記傾斜角度検出回路とが並列接続されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の超音波式液面計。
  9. 前記傾斜角度変換回路はセルフキャリブレーション機能を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の超音波式液面計。
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