JP2009137459A - 車両運動制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動力配分制御装置と制動力制御装置とを協働させる構成において、動荷重に対する駆動力配分制御装置の耐久性を維持できる車両運動制御システムを提供すること。
【解決手段】この車両運動制御システム1は、左右の駆動輪11RR、11RLに駆動力を付与すると共に左右の駆動輪11RR、11RLへの駆動力配分を制御できる駆動力配分制御装置2と、各駆動輪11RR、11RLの制動力を独立して制御できる制動力制御装置3とを備える。この車両運動制御システム1では、駆動力配分制御装置2と制動力制御装置3とが協働して車両運動制御を行う。また、車両10がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御装置2が駆動力配分制御を停止すると共に、制動力制御装置3がオーバーステア状態を抑制するための制動力制御を行う。
【選択図】 図1

Description

この発明は、車両運動制御システムに関し、さらに詳しくは、駆動力配分制御装置と制動力制御装置とを協働させる構成において、動荷重に対する駆動力配分制御装置の耐久性を維持できる車両運動制御システムに関する。
近年の車両運動制御システムは、左右の駆動輪への駆動力配分を制御できる駆動力配分制御装置を有する。この駆動力配分制御装置は、制御ディファレンシャルを有し、ディファレンシャルの出力軸速度の左右差をアクティブに設けることにより、左右の駆動輪への駆動力配分を制御する(駆動力配分制御)。
かかる構成を採用する従来の車両運動制御システムとして、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の車両運動制御システム(車両用左右駆動力調整装置)は、車両における左輪回転軸と右輪回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されてこの一方の回転軸側の回転速度を一定の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速機構の出力部側との間に介装されて係合時に上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構と、この伝達容量可変制御式トルク伝達機構の係合状態を制御する制御手段とから構成され、上記制御手段に、上記の左右輪の回転速度比が上記の変速機構の出力部側の回転速度と上記の他方の回転軸側の回転速度との大小関係の変わる境界値よりも大きくなったら、上記伝達容量可変制御式トルク伝達機構の係合を解除して駆動力伝達制御を中止する制御中止手段が設けられていることを特徴とする。
特許第2848126号公報
また、近年の車両運動制御システムは、各車輪に対する制動力を制御する制動力制御装置を有する。この制動力制御装置は、車両全体のモーメントや各車輪のスリップ速度に応じて、各車輪に対する制動力を独立かつアクティブに制御する(制動力制御)。これにより、車両のABS(Antilock Brake System)機能、ブレーキアシスト機能、TRC(Traction Control System)機能、VSC(Vehicle Stability Control)機能などが実現される。
しかしながら、上記の駆動力配分制御と制動力制御とが並行して行われると、左右の駆動輪の車輪速度差が駆動力配分制御装置(制御ディファレンシャル)の設計範囲外となる場合がある。すると、左右の駆動輪へのトルク移動が設計通り行われず、目標となる車両運動(ヨーレート、横加速度など)が達成されないおそれがある。また、左右の駆動輪の回転数比が設計範囲外になることにより、駆動力配分制御装置の耐久性が悪化する(寿命が短くなる)おそれがある。
このような課題において、従来の車両運動制御システムでは、駆動力配分制御装置の耐久性が静荷重に対しては維持されるが、動荷重に対しては維持できない。例えば、車両が急激なスピンに陥るおそれがあるときには、旋回方向外側の車輪に強い制動力が付与される。すると、この制動力(過渡的な外力)により左右の駆動輪の車輪速度差が駆動力配分制御装置の設計範囲外となり、駆動力配分制御装置の耐久性が悪化するおそれがある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてされたものであって、駆動力配分制御装置と制動力制御装置とを協働させる構成において、動荷重に対する駆動力配分制御装置の耐久性を維持できる車両運動制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両運動制御システムは、左右輪に駆動力を付与すると共に左右の駆動輪への駆動力配分を制御できる駆動力配分制御装置と、各駆動輪の制動力を独立して制御できる制動力制御装置とを備えると共に、前記駆動力配分制御装置と前記制動力制御装置とが協働して車両運動制御を行う車両運動制御システムであって、車両がオーバーステア状態にあるときに、前記駆動力配分制御装置が駆動力配分制御を停止すると共に、前記制動力制御装置がオーバーステア状態を抑制するための制動力制御を行うことを特徴とする。
この車両運動制御システムでは、車両がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御装置が駆動力配分制御を停止する。すなわち、車両がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御と制動力制御とが同時に行われる事態が回避される。これにより、左右の駆動輪の回転数比が駆動力配分制御装置の設計範囲外(許容設計値の範囲外)になる事態が防止されて、駆動力配分制御装置の耐久性が維持される利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムは、車両の実ヨーレートと車両運動制御にかかる目標ヨーレートとの差分値が所定の閾値と比較されることにより、車両のオーバーステア状態が検出される。
この車両運動制御システムでは、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差分値が所定の閾値を越える場合には、制動力制御によって一方の駆動輪に付与される制動力と他方の駆動輪に付与される制動力との差が大きくなる。したがって、かかる場合には、左右の駆動輪の車輪速度差が駆動力配分制御装置の設計範囲外になることが予見される。これにより、駆動力配分制御の停止処理が適正に行われる利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムは、車両の実ヨーレートと車両運動制御にかかる目標ヨーレートとの差分値の微分値に基づいて修正モーメント量が算出されると共に、前記修正モーメント量と所定の閾値とが比較されることにより、車両のオーバーステア状態が検出される。
この車両運動制御システムでは、オーバーステア状態の判定にあたり、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差分値の微分値が用いられる。かかる構成では、左右の駆動輪の車輪速度差が駆動力配分制御装置の設計範囲外になることが精度良く予見される。これにより、駆動力配分制御の停止処理が適正に行われる利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムは、前記制動力制御装置が前記駆動輪に駆動力を付与するホイールシリンダを有するときに、車両運動制御にかかる前記ホイールシリンダの目標油圧に基づいて車両のオーバーステア状態が検出される。
この車両運動制御システムでは、オーバーステア状態の判定にあたり、ホイールシリンダの目標油圧が用いられる。かかる構成では、左右の駆動輪の車輪速度差が駆動力配分制御装置の設計範囲外になることが精度良く予見される。これにより、駆動力配分制御の停止処理が適正に行われる利点がある。
この発明にかかる車両運動制御システムでは、車両がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御装置が駆動力配分制御を停止する。すなわち、車両がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御と制動力制御とが同時に行われる事態が回避される。これにより、左右の駆動輪の回転数比が駆動力配分制御装置の設計範囲外(許容設計値の範囲外)になる事態が防止されて、駆動力配分制御装置の耐久性が維持される利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、この発明の実施例にかかる車両運動制御システムを示す構成図である。図2〜図4は、図1に記載した車両運動制御システムの作用を示すフローチャート(図2)および説明図(図3および図4)である。
[車両運動制御システム]
この車両運動制御システム1は、車両10の運動あるいは挙動の制御(以下、車両運動制御という。)を行うことにより、車両10のスピンやドリフトアウト、車輪のスリップなどを防止する。この車両運動制御システム1は、駆動力配分制御装置2と、制動力制御装置3と、制御系4とを備える(図1参照)。なお、この実施例では、車両10の左側後輪11RLおよび右側後輪11RRが車両10の駆動輪であり、左側前輪11FLおよび右側前輪11FRが車両10の操舵輪である。
駆動力配分制御装置2は、駆動力を左右の駆動輪11RR、11RLに対して配分する装置であり、例えば、制御ディファレンシャル21により構成される。この駆動力配分制御装置2では、エンジン12が駆動力を発生すると、この駆動力が変速機(減速機)13、プロペラシャフト14およびビスカスカップリング15を介して制御ディファレンシャル21に伝達される。そして、この駆動力が制御ディファレンシャル21にて左右のドライブシャフト22RR、22RLに配分されて駆動輪11RR、11RLに伝達される。また、このとき、各駆動輪11RR、11RLに対する駆動力の配分比が制御される(駆動力配分制御)。なお、この実施例では、駆動力配分制御装置2が車両10の後輪11RR、11RLにのみ配置されている。
しかし、これに限らず、転動輪11FR、11FLの左右が軸で結合されている場合に、該転動輪11FR、11FLに駆動力配分装置2が設置されても良い。
制動力制御装置3は、各車輪11FR〜11RLに対する制動力を制御する装置であり、油圧回路31と、ホイールシリンダ32FR〜32RLと、ブレーキペダル33と、マスタシリンダ34とを有する。油圧回路31は、リザーバ、オイルポンプ、種々のバルブ等により構成される(図示省略)。この制動力制御装置3は、以下のように、車輪11FR〜11RLに制動力を付与する。すなわち、(1)通常運転時には、運転者によりブレーキペダル33が踏み込まれると、その踏み込み量がマスタシリンダ34を介して油圧回路31に伝達される。そして、油圧回路31が各ホイールシリンダ32FR〜32RLの油圧を調整することにより、各ホイールシリンダ32FR〜32RLが駆動されて車輪11FR〜11RLに制動力(制動圧)を付与する。一方、(2)車両運動制御時には、車両の運動状態に基づいて各車輪11FR〜11RLに対する目標制動力が算出され、この目標制動力に基づき油圧回路31が駆動されて、各ホイールシリンダ32FR〜32RLの制動力が制御される(制動力制御)。この車両運動制御により、車両10のABS(Antilock Brake System)機能、ブレーキアシスト機能、TRC(Traction Control System)機能、VSC(Vehicle Stability Control)機能などが実現される。
制御系4は、ECU(Electronic Control Unit)41と、各車輪11FR〜11RLの車輪速度を検出する車輪速度センサ42FR〜42RLと、操舵角を検出する操舵角センサ43と、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ44と、前後加速度を検出する前後加速度センサ45と、横加速度を検出する横加速度センサ46と、車速を検出する車速センサ47と、アクセル開度センサ48と、ブレーキ踏力センサ49とを有する。この制御系4では、ECU41が各センサ42〜49の検出結果に基づいてエンジン12、駆動力配分制御装置2および制動力制御装置3を駆動する。これにより、エンジン12による総駆動力制御、駆動力配分制御装置2による駆動力配分制御および制動力制御装置3による制動力制御が行われて、車両運動制御が行われる。
[車両運動制御]
この車両運動制御システム1では、次のように車両運動制御が行なわれる(図2参照)。
まず、各車輪11FR〜11RLの目標制駆動力が算出される(ST1)。この各車輪11FR〜11RLの目標制駆動力は、車両10の操舵角、アクセル開度、ブレーキ踏力などに基づいて算出される。次に、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度VwRR、VwRLの差|VwRR−VwRL|が算出される(ST2)。次に、この車輪速度差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外にあるか否かが判定される(ST3)。例えば、車輪速度差の設計範囲(制限)がt[%]以内の場合には、以下の数式(1)の成否が判定される。

|VwRR−VwRL|≦Min(VwRR、VwRL)×t×0.01 …(1)

数式(1)が成立する場合には、車輪速度差|VwRR−VwRL|が設計範囲内にあると判定され、数式(1)が成立しない場合には、車輪速度差|VwRR−VwRL|が設計範囲外にあると判定される。
次に、車輪速度差|VwRR−VwRL|が設計範囲内にある場合には、車両10がオーバーステア状態にあるか否かが判定される(ST4)。この判定は、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかにより行われる。
(1)まず、車体の左旋回を正(+)として、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差分値YrDiffが算出される。この差分値YrDiffは、左旋回時には、YrDiff=(目標ヨーレート)−(実ヨーレート)となり、右旋回時には、YrDiff=(実ヨーレート)−(目標ヨーレート)となる。そして、この差分値YrDiffと所定の負の閾値THとがYrDiff≦THの関係を有するときに、車両10がオーバーステア状態にある(強いオーバーステア抑制指令が出される)と判定される。
(2)まず、車体の左旋回を正(+)として、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差分値YrDiffが算出される。次に、差分値YrDiffの微分値を考慮した数値YrValueが算出される。この数値YrValueは、数式(2)のように定義される。

YrValue=YrDiff+K×(dYrDiff/dt) …(2)

次に、修正モーメント量Momentが所定のマップから算出される(図3参照)。次に、車速Vxに基づいて、ゲインGainが所定のマップから算出される(図4参照)。次に、修正モーメント量MomentとゲインGainとの積Moment×Gainが算出される。そして、この積Moment×Gainが所定の閾値以下のときに、車両10がオーバーステア状態にある(強いオーバーステア傾向にある)と判定される。
(3)まず、上記の(1)および(2)の判定が行われる。また、各ホイールシリンダ32RR、32RLの目標油圧に基づいて、車両10がオーバーステア状態にあるか否かの予見判定が行われる。そして、これらの判定が選択的に用いられて、車両10がオーバーステア状態にあるか否かが判定される。
なお、上記の(3)では、目標油圧に基づく予見判定が次のように行われる。
まず、駆動輪11RR、11RLのスリップ状態が判定される。例えば、(a)車輪速度と車体速度の車輪位置の換算値とが(車輪速度)≦k(車輪位置換算値)の関係を有するか否かにより、駆動輪11RR、11RLのスリップ状態が判定される。なお、kは比例定数であり、例えば、k=0.95に設定される。また、例えば、(b)駆動輪11RR、11RLに作用する摩擦力μFzと摩擦円使用率SQRT(Fx×Fx+Fy×Fy)とが比較されることにより、駆動輪11RR、11RLのスリップ状態が判定される。なお、μは、路面とタイヤとの摩擦係数であり、Fziは、駆動輪11RR、11RLのタイヤに負荷される接地荷重である。
次に、駆動輪11RR、11RLのスリップ状態にある車輪(スリップ輪)の数により、以下の場合分けが行われる。すなわち、スリップ輪が0輪のときは、車両10がオーバーステア状態にないと判定される。スリップ輪が1輪のときは、車両10がオーバーステア状態にあると判定される。スリップ輪が2輪のときは、以下の数式(3)が満たされないときに、車両10がオーバーステア状態にあると判定される。

|f(P_RR,μ_RR)−f(P_RL,μ_RL)|≦c (3)

なお、数式(3)において、cは定数であり、Pはホイールシリンダ32RR、32RLの油圧である。また、f(P,μ)は、例えば、f(P,μ)=P/μに設定される。
次に、上記の判定ステップST4において、車両10がオーバーステア状態にないと判定された場合には、各車輪11FR〜11RLの目標制駆動力に基づいて、エンジン12による総駆動力制御、駆動力配分制御装置2による駆動力配分制御および制動力制御装置3による制動力制御が行われる(ST5)。これらの制御は、例えば、以下のように行われる。
(1)エンジン12の総駆動力目標が最低駆動力d以上、且つ、左右の駆動輪11RR、11RLの目標左右差(右側後輪11RRの駆動力FxRRと左側後輪11RLの駆動力FxRLとの差)が駆動力配分制御装置2の許容設計値c以内(|FxRR−FxRL|≦c)にある場合には、目標制駆動力が以下のように配分される。
総駆動力制御 :FxRR+FxRL
駆動力配分制御:右側後輪FxRRかつ左側後輪FxRL
制動力制御 :右側後輪0かつ左側後輪0
(2)エンジン12の総駆動力目標が最低駆動力d以上、且つ、左右の駆動輪11RR、11RLの目標左右差が許容設計値cより大きい(|FxRR−FxRL|>c)場合には、目標制駆動力が以下のように配分される。
総駆動力制御 :FxRR+FxRL+|FxRR−FxRL|−c
駆動力配分制御:c
制動力制御 :FxRR>FxRLの場合、
右側後輪0かつ左側後輪−(FxRR−FxRL−c)
FxRR<FxRLの場合、
右側後輪−(FxRL−FxRR−c)かつ左側後輪0
(3)エンジン12の総駆動力目標が最低駆動力d未満の場合には、目標制駆動力が以下のように配分される。
総駆動力制御 :0
駆動力配分制御:0
制動力制御 :右側後輪Min(0,FxRR)かつ左側後輪Min(0,FxRL)
ここで、車両10がオーバーステア状態にあるときには、車両10の運動を安定化させるために、制動力制御装置による制動力制御が行われる。例えば、車両が急激なスピンに陥るおそれがあるときには、旋回方向外側の車輪に大きな制動力(修正モーメント)が付与される。すると、この制動力(過渡的な外力)によって、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が大きくなり易い。したがって、車両10がオーバーステア状態にあるときには、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外になると予見できる。
そこで、判定ステップST3にて車輪速度差|VwRR−VwRL|が設計範囲外にあると判定された場合、あるいは、判定ステップST4にて車両10がオーバーステア状態にあると判定された場合には、各車輪11FR〜11RLの目標制駆動力に基づいて、エンジン12による総駆動力制御および制動力制御装置3による制動力制御のみが行われる(ST4)。これらの制御は、例えば、以下のように行われる。
(1)エンジン12の総駆動力目標が最低駆動力d以上の場合には、目標制駆動力が以下のように配分される。
総駆動力制御 :FxRR+FxRL+|FxRR−FxRL|
制動力制御 :FxRR>FxRLの場合、
右側後輪0かつ左側後輪−(FxRR−FxRL)
FxRR<FxRLの場合、
右側後輪−(FxRL−FxRR)かつ左側後輪0
(2)エンジン12の総駆動力目標が最低駆動力d未満の場合には、目標制駆動力が以下のように配分される。
総駆動力制御 :0
制動力制御 :右側後輪Min(0,FxRR)かつ左側後輪Min(0,FxRL)
[効果]
車両10がオーバーステア状態にあるときには、制動力制御装置3が制動力制御を行うことにより、左右の駆動輪11RR、11RLに制動力が付与されて車両運動制御が行われる。このとき、付与された制動力(過渡的な外力)の影響により、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が大きくなり易い。例えば、車両が急激なスピンに陥るおそれがあるときには、旋回方向外側の車輪に大きな制動力(修正モーメント)が付与される。一方、駆動力配分制御装置(制御ディファレンシャル)の耐久性は、プラネタリーギア軸のような弱い部位に対する動荷重(動荷重入力の程度と回数)に大きく影響される。このため、駆動力配分制御装置2の耐久性を維持するためには、動荷重入力(制動力制御における各車輪への制動力)を回避することが重要である。
そこで、この車両運動制御システム1では、上記のように、車両10がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御装置2が駆動力配分制御を停止する(ST6)(図2参照)。すなわち、車両10がオーバーステア状態にあるときに、駆動力配分制御と制動力制御とが同時に行われる事態が回避される。これにより、左右の駆動輪11RR、11RLの回転数比が駆動力配分制御装置2の設計範囲外(許容設計値の範囲外)になる事態が防止されて、駆動力配分制御装置2の耐久性が維持される利点がある。特に、かかる構成では、車両10がオーバーステア状態にあることを契機として、駆動力配分制御が中止される。したがって、駆動力配分制御を中止するための前だし時間を稼ぐことができるので、駆動力配分制御装置2に動荷重が負荷される可能性が効果的に低減される利点がある。
例えば、この実施例では、車両10の通常運転時(オーバーステア状態にないとき)には、駆動力配分制御装置2による駆動力配分制御、制動力制御装置3による制動力制御およびエンジン12の総駆動力制御が並行して行われている(ST5)(図2参照)。そして、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度VwRR、VwRLの差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外にあると判定(ST3)されたとき、あるいは、車両10がオーバーステア状態にある(左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外になると予見できる)と判定(ST4)されたときには、駆動力配分制御が停止されて、制動力制御および総駆動力制御のみが行われている(ST6)。
また、この車両運動制御システム1では、車両10の実ヨーレートと車両運動制御にかかる目標ヨーレートとの差分値YrDiffが所定の閾値THと比較されることにより、車両10のオーバーステア状態が検出される(ST4)(図2参照)。すなわち、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差分値YrDiffが所定の閾値THを越える場合には、制動力制御によって一方の駆動輪11RRに付与される制動力と他方の駆動輪11RLに付与される制動力との差が大きくなる。したがって、かかる場合には、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外になることが予見される。これにより、駆動力配分制御の停止処理が適正に行われる利点がある。
また、この車両運動制御システム1では、車両10の実ヨーレートと車両運動制御にかかる目標ヨーレートとの差分値YrDiffの微分値dYrDiff/dtに基づいて修正モーメント量Momentが算出される(数式(2)参照)。そして、この修正モーメント量Momentと所定の閾値とが比較されることにより、車両10のオーバーステア状態が検出されても良い(ST4)(図2参照)。すなわち、オーバーステア状態の判定にあたり、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差分値YrDiffの微分値dYrDiff/dtが用いられる。かかる構成では、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外になることが精度良く予見される。これにより、駆動力配分制御の停止処理が適正に行われる利点がある。
また、この車両運動制御システム1では、制動力制御装置3が駆動輪11RR、11RLに駆動力を付与するホイールシリンダ32RR、32RLを有するときに(図1参照)、車両運動制御にかかるホイールシリンダ32RR、32RLの目標油圧に基づいて車両のオーバーステア状態が検出されても良い(ST4)(図2参照)。すなわち、オーバーステア状態の判定にあたり、ホイールシリンダ32RR、32RLの目標油圧が用いられる。かかる構成では、左右の駆動輪11RR、11RLの車輪速度差|VwRR−VwRL|が駆動力配分制御装置2の設計範囲外になることが精度良く予見される。これにより、駆動力配分制御の停止処理が適正に行われる利点がある。
以上のように、この発明にかかる車両運動制御システムは、駆動力配分制御装置と制動力制御装置とを協働させる構成において、動荷重に対する駆動力配分制御装置の耐久性を維持できる点で有用である。
この発明の実施例にかかる車両運動制御システムを示す構成図である。 図1に記載した車両運動制御システムの作用を示すフローチャートである。 図1に記載した車両運動制御システムの作用を示す説明図である。 図1に記載した車両運動制御システムの作用を示す説明図である。
符号の説明
1 車両運動制御システム
2 駆動力配分制御装置
21 制御ディファレンシャル
22RR、22RL ドライブシャフト
3 制動力制御装置
31 油圧回路
32FR〜32RR ホイールシリンダ
33 ブレーキペダル
34 マスタシリンダ
4 制御系
10 車両
11FR〜11RL 車輪
12 エンジン
14 プロペラシャフト
15 ビスカスカップリング
42FR〜42RL 車輪速度センサ
43 操舵角センサ
44 ヨーレートセンサ
45 前後加速度センサ
46 横加速度センサ
47 車速センサ
48 アクセル開度センサ
49 ブレーキ踏力センサ

Claims (4)

  1. 左右輪に駆動力を付与すると共に左右の駆動輪への駆動力配分を制御できる駆動力配分制御装置と、各駆動輪の制動力を独立して制御できる制動力制御装置とを備えると共に、前記駆動力配分制御装置と前記制動力制御装置とが協働して車両運動制御を行う車両運動制御システムであって、
    車両がオーバーステア状態にあるときに、前記駆動力配分制御装置が駆動力配分制御を停止すると共に、前記制動力制御装置がオーバーステア状態を抑制するための制動力制御を行うことを特徴とする車両運動制御システム。
  2. 車両の実ヨーレートと車両運動制御にかかる目標ヨーレートとの差分値が所定の閾値と比較されることにより、車両のオーバーステア状態が検出される請求項1に記載の車両運動制御システム。
  3. 車両の実ヨーレートと車両運動制御にかかる目標ヨーレートとの差分値の微分値に基づいて修正モーメント量が算出されると共に、前記修正モーメント量と所定の閾値とが比較されることにより、車両のオーバーステア状態が検出される請求項1または2に記載の車両運動制御システム。
  4. 前記制動力制御装置が前記駆動輪に駆動力を付与するホイールシリンダを有するときに、車両運動制御にかかる前記ホイールシリンダの目標油圧に基づいて車両のオーバーステア状態が検出される請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両運動制御システム。
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