JP2009136195A - セルロース系バイオマスから有用物質を生産する方法及びそのためのシステム並びにセルロース系バイオマス収穫装置 - Google Patents

セルロース系バイオマスから有用物質を生産する方法及びそのためのシステム並びにセルロース系バイオマス収穫装置 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロース系バイオマスの品質や入手不安定性の影響を抑制して効率的に有用物質を生産する。
【課題手段】セルロース系バイオマスから有用物質を生産するシステムであって、セルロース系バイオマスから前記有用物質を生産する工程条件に影響する品質に関する品質情報を取得する品質情報取得手段と、少なくとも1つのバイオマス分解手段と、前記バイオマスの由来に関する識別情報及び前記品質情報に基づいて設定される分解条件下で、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において前記バイオマスを分解するよう制御する制御手段と、を備えるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セルロース系バイオマスから有用物質を生産する技術に関する。詳しくは、セルロース系バイオマス中のセルロース系資源を、分解、糖化さらには発酵により、燃料ほか産業用原料を生産する技術に関する。
バイオマスは、太陽の光エネルギーによる光合成によって植物に固定された炭素系資源である。バイオマスは、石油などの化石資源の将来的な枯渇に対応できる持続的な資源として位置づけられている。また、炭素の循環利用により二酸化炭素排出量の低減化及び地球温暖化防止に寄与できる資源としても位置付けられている。なかでも、デンプンなど動物が直接利用できないセルロース系資源が、燃料を含む工業用の原材料や農業用の原材料の出発原料として注目されている。
例えば、セルロースを分解して得られるグルコースを発酵してエタノールを生産する技術が開発されてきている(特許文献1)。
バイオマスは、それが由来する植物種により草本系バイオマスや木質系バイオマスがあり、さらに、生物生産の現場から採取される作物植物の不用部分などの一次バイオマスや、加工されて一旦製品として流通後、廃棄物として回収される建築廃材や古紙などの二次バイオマスがある。
こうした由来の違いにより、バイオマスの主たる構成要素であるセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの構造や組成が異なってくる。特に、二次バイオマスにあっては、加工の程度により組成は大きく異なるほか、バイオマス以外の副成分が含まれているのが通常である。さらに、バイオマスの由来や採取方式によって、入手するバイオマスの形態や嵩高さも様々である。
また、一次バイオマスの供給量や時期は天候や収穫量や時期に依存するし、二次バイオマスは産業廃棄物であるため、その排出量が生活や産業の活性に依存している。すなわち、バイオマスの由来に関わらず、その発生(収穫や排出)に関して不確定要素が存在するため、量的及び時期的安定した入手を期待できない。
特開2006-10182
産業用の原材料を生産するのにあたっては、一定品質のものを供給することが要請され、特に、燃料については、安定供給が要請される。こうした要請に応えるためには、産業用原材料を生産するための出発原料も同様に一定品質のものを安定的に入手する必要がある。出発原料の品質のバラツキは、生産効率の低下、製造品質及び製造量の不安定性を生じるし、入手時期や入手量の不安定性は、連続稼動を阻害して生産効率に大きく影響することになる。
しかしながら、出発原料としての観点からセルロース系バイオマスを鑑みると、セルロース系バイオマスは従来の化石資源に比較して不適格である。すなわち、その品質、入手時期及び入手量が不安定であることは否定できない。現在までのところ、できる限り均質なバイオマスを出発原料として用いることで生産効率を確保することしか行われていない。
本発明は、セルロース系バイオマスの品質や入手不安定性の影響を抑制して効率的に有用物質を生産することを一つの目的とする。
本発明者は、多様なセルロース系バイオマスを出発原料として受け入れ可能とすることで原料の入手安定性を確保し、さらに、多様なセルロース系バイオマスの品質に応じて有用物質の生産のための各工程を実施可能とすることで、従来の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明によれば、セルロース系バイオマスから有用物質を生産するシステムであって、前記セルロース系バイオマスから前記有用物質を生産する工程条件に影響する品質に関する品質情報を取得する品質情報取得手段と、少なくとも1つのバイオマス分解手段と、前記バイオマスの由来に関する識別情報及び前記品質情報に基づいて設定される分解条件下で、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において前記バイオマスを分解するよう制御する制御手段と、を備える、システムが提供される。
本発明の有用物質生産システムによれば、多様な組成や形態のセルロース系バイオマスをその由来や品質に応じた条件で分解することで、産業上利用しやすい有用物質に容易に分解し、変換することができる。このため、セルロース系バイオマスを出発原料として用いても効率的に有用物質化することができる。
本発明の生産システムにおいては、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段は、由来の異なるバイオマスの分解にそれぞれ適した複数のバイオマス分解手段を含み、前記制御手段は、前記複数のバイオマス分解手段から前記バイオマスの識別情報に基づいて使用するバイオマス分解手段を選択し、当該バイオマス分解手段により前記バイオマスを分解するよう制御する手段とすることができる。また、前記複数のバイオマス分解手段は、草本系バイオマス用分解手段、木質系バイオマス用分解手段及び古紙系バイオマス用分解手段から選択されることが好ましい。
さらに、前記少なくとも一つのバイオマス分解手段の前段に前記バイオマスを乾燥及び/又は粉砕する前処理手段を備えていてもよく、このとき、前記制御手段は、前記バイオマスの前記識別情報及び前記品質情報に基づいて設定される条件で前記前処理手段における前記バイオマスの乾燥及び/又は粉砕するよう制御する手段とすることができる。
また、前記品質情報は、前記バイオマスの水分量、色及び硬度から選択されるいずれかを含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において得られるバイオマス分解物を発酵する発酵手段を備えていてもよい。この発酵手段は、エタノール発酵手段とすることができる。
本発明の生産システムは、木質系バイオマス及び草本系バイオマスから選択されるいずれかのバイオマスを生産するバイオマス生産領域を備えることができる。
本発明によれば、バイオマスから有用物質を生産する方法であって、前記バイオマスの由来に関する識別情報と前記バイオマスから前記有用物質を生産するための工程条件に影響する品質に関する品質情報とが取得されたバイオマスを準備する準備工程と、前記識別情報及び前記品質情報に基づいて設定された条件下で前記バイオマスを分解する分解工程と、を備える、方法が提供される。
本発明の生産方法において、前記分解工程は、由来の異なるバイオマスの分解に適した複数のバイオマス分解手段から前記バイオマスの前記識別情報に基づいて選択されるいずれかのバイオマス分解手段を使用することを含むことができる。また、さらに、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において得られるバイオマス分解物を発酵する工程を備えることができる。さらに、前記バイオマスは草本系バイオマスであり、該草本系バイオマスの生産領域における前記草本系バイオマスを、以下の特徴:
作物である前記草本系バイオマスの生産領域に生育中の前記草本系バイオマスの地上部を刈り取る刈取り部と、
前記刈取り部で刈り取った部分から実生を含む部分とそれ以外の部分のワラとを分離する処理部と、
前記処理部で分離された前記ワラを圧縮し成形するワラ圧縮成形部と、
を備える、草本系バイオマスの収穫装置を用いて、ワラ圧縮成形体として取得する工程を前記準備工程に先立って備えることができる。
本発明によれば、草本系バイオマスの収穫装置であって、作物である前記草本系バイオマスの生産領域に生育中の前記草本系バイオマスの地上部を刈り取る刈取り部と、前記刈取り部で刈り取った部分から実生を含む部分とそれ以外の部分のワラとを分離する処理部と、前記処理部で分離された前記ワラを圧縮し成形するワラ圧縮成形部と、を備える、装置が提供される。
本発明の収穫装置において、前記ワラ圧縮成形部は、細断された前記ワラを集約し圧縮してシート状体に成形することができる。また、前記ワラ圧縮成形部は、さらに前記シート状体を巻き取ってロール体に成形することができる。前記ワラ圧縮成形部は、圧縮成形のために前記ワラにバインダを供給するバインダ供給部を備えることもできる。さらにまた、前記ワラ圧縮成形部は、前記処理部から排出される前記ワラを一時的に貯留するワラ貯留部を備えることもできる。前記刈取り部及び前記処理部が、コンバインの一部とすることができる。前記作物は、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ、アワ及びキビを含む穀類から選択されるいずれかとすることができる。
本発明は、セルロース系バイオマスから有用物質を生産するシステム、セルロース系バイオマスから有用物質を生産する方法、及びバイオマス収穫装置に関する。以下、本発明の各種実施形態に関し、適宜図面を参照しながら順次説明する。図1は、有用物質生産システムの全体の概略を示し、図2は、有用物質生産システムを利用した有用物質の生産のフローの一例を示し、図3は、セルロース系バイオマスを収穫するための装置の一例を示す。なお、これらの図面は、本発明を説明するためのものであって、本発明を拘束するものではない。
(有用物質生産システム) 本発明の有用物質生産システム100は、図1に示すように、セルロース系バイオマスを生産するバイオマス生産領域10と、このバイオマス生産領域10に近接して配置されるバイオマスを貯蔵する貯蔵部20と、セルロース系バイオマスを乾燥及び/又は粉砕する前処理装置30と、前処理後のバイオマスを分解するバイオマス分解装置40と、バイオマス分解装置40で得られるバイオマス分解物を原料として用いてエタノール発酵する発酵装置50と、発酵装置50からエタノールを分離する分離装置60と、セルロース樹脂製造装置70と、リグニン含有残渣変換装置80及びこれらの各部で取得する情報等に基づいてこれら各部における駆動制御や条件制御を実施する制御装置90とを備えている。
(セルロース系バイオマス) 本明細書において、バイオマスとは、光合成により植物体に固定化された大気中の二酸化炭素に由来する生物資源をいうものとする。また、セルロース系バイオマスは、植物系バイオマスのうちでもセルロース、ヘミセルロース及びリグノセルロースのいずれかを主体とするバイオマスである。セルロース系バイオマスには、スクロースやデンプンなどの可食性バイオマスを含むことを必ずしも排除するものではないが、食料との競合性を考慮するとセルロース系バイオマスにおいては、これらの可食性バイオマスはより少ないことが好ましい。
セルロース系バイオマスの一つとして、セルロースを主体とする加工紙や新聞紙等の古紙系バイオマスが挙げられる。古紙系バイオマスにはヘミセルロースが含まれていてもよい。また、セルロース系バイオマスとして、以下に説明するリグノセルロース系バイオマスの分解や加工工程において発生するセルロース及び/又はヘミセルロースを含有する画分もセルロース系バイオマスに含まれる。
また、セルロース系バイオマスの他の一つとしては、セルロースとリグニンとを含むリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。由来する植物の種類により、主として木本植物に由来する木質系バイオマスと草本植物に由来する草本系バイオマス植物が挙げられる。木質系バイオマスが由来する木本植物としては、特に限定されないが、例えば、各種の広葉樹及び針葉樹が挙げられる。また、草本系バイオマスが由来する草本植物としては、特に限定されないが、例えば、イネ、オオムギ、コムギ、ハトムギ、ダイズ、ソバ、ナタネ、ヒマワリ、アマランサス、トウモロコシ、サトウキビ、ソルガム、モラセス、テンサイ、ケナフ、アルファルファ、アワ及びキビ等の作物、ススキや雑草、が挙げられる。本発明においては、セルロース系バイオマスとして、草本系バイオマスを用いることが好ましい。草本系バイオマスは、より再生能力が高くかつ組織も木本植物に比較して柔軟であることが多く、分解のための前処理及び分解処理をより容易に行うことができる。草本系バイオマスとしては、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ、アワ及びキビを含む穀類から選択されるいずれかあるいは2種類以上の作物を組み合わせて使用することがより好ましい。
リグノセルロース系バイオマスとしては、上述のように由来する植物により分類することができる。一方、リグノセルロース系バイオマスは、一般的には、有用植物の不用部分や雑草、下草等の不用な植物などに代表される農林産系の廃棄物のほか、一旦加工された製品として流通後、廃棄物として回収される工業系の廃棄物として供給される。
農林産系廃棄物としては、リグノセルロースを含んでいれば特に限定されないが、例えば、草本系バイオマスの廃棄物としては、イネ、オオムギ、コムギ、ハトムギ、ダイズ、ソバ、ナタネ、ヒマワリ、アマランサス、トウモロコシ、トウキビ、ソルガム、モラセス、テンサイ、アワ及びキビ等の作物の不用部分が挙げられる。典型的には、イナワラ、ムギワラなどに代表される、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ、アワ及びキビ等の各種の穀物ワラ、マメ科植物の実生以外の茎葉部分、バガス、モミガラなどが挙げられる。また、田畑などの雑草や、林地における雑草が挙げられる。木質系バイオマスとしては、林地等における枝条、端材、間伐材、潅木等、製材業における端材やオガクズが挙げられる。
工業系の廃棄物としても同様に、リグノセルロースを含んでいれば特に限定されないが、建築廃材、木工製品廃棄物等が挙げられる。
(セルロース系バイオマス生産領域)セルロース系バイオマス生産領域10は、木本植物や草本植物を生産又は自生する領域である。その形態は特に限定されない、例えば、稲作地を含む田畑、森林、草原が挙げられる。
(制御装置) 本発明の生産システム100は、生産システム100の各部からの情報を取得し、各部を制御する制御装置90を備えている。制御装置90は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク及びインターフェースを備えるマイクロコンピュータを備えるほか、ディスプレイ等の表示装置を備えている。制御装置90は、生産システム100の各部において得られる情報、例えば、セルロース系バイオマスに関する識別情報、品質情報、各部における温度、湿度、液温、水分量、糖分量等の工程管理情報等を取得するとともに、これらの情報に基づいて、各部における条件を設定し、制御信号を各部に送信している。
(貯蔵部) 貯蔵部20は、セルロース系バイオマスを貯蔵するための貯蔵室22を備えている。貯蔵室22は、特に限定される各種のセルロース系バイオマスを収容し貯蔵することができる。例えば、(1)セルロース系バイオマス生産領域10から収穫される植物体又はその不用部分などのリグノセルロース系バイオマス、(2)別途廃棄物として回収されるリグノセルロース系バイオマス及び(3)廃棄物として回収されるセルロース主体バイオマスである古紙系バイオマスなどをそれぞれ収容し、貯蔵できる。
貯蔵室22は、外部と区画され、温度や湿度等が制御可能になっており、セルロース系バイオマスを腐敗や化学的変性を抑制できるようになっている。なお、貯蔵室22内における湿度調節や送風等により、セルロース系バイオマスに含まれる水分の一部を除去して乾燥することができる。貯蔵室22内には、図示はしないが多段状のシェルフを備えている。こうしたシェルフの各部にセルロース系バイオマスを搬送可能なベルトコンベアやエレベータを備えるシステムを有している。
その他、貯蔵部20は、荷受部23、検査部24及び出荷部25を備えることができる。荷受け部23は、入荷されるセルロース系バイオマスの一部に付与されたタグやシールなどの識別票に記録された識別情報を読み取る読み取り装置(図示せず)を備えている。識別情報は、セルロース系バイオマスの由来する植物種、収穫日時、収穫場所、収穫量、収穫方法、収穫時の気候、輸送方法等のセルロース系バイオマスの履歴に関する情報である。識別票に記録される識別情報は、これらの履歴に関する項目のうちいずれかあるいは2種類以上とすることができるが、少なくともセルロース系バイオマスの由来する植物種(1種類であっても2種類以上であってもよい)が記載されていることが好ましい。セルロース系バイオマスの由来植物種は、前処理装置30における処理やバイオマス分解装置40における分解を適切にあるいは効率的に行うために重要な情報である。加えて、収穫日時、場所、収穫時の気候等は、セルロース系バイオマスの品質のばらつき等に関連する意味で重要な情報である。
識別情報読み取り装置は、識別票における識別情報の記録形態に対応した読み取り機構を備えている。識別票がバーコードで識別情報が記録されたものであるときには、読み取り装置は、一般的なバーコードリーダーとすることができる。識別票がマークシートであって、マーク位置等により情報が記録されたものであるときには、マークシートリーダーとすることができる。さらに、識別票がICタグなどの場合には、ICタグリーダーとすることができる。
検査部24は、セルロース系バイオマスの品質について検査する検査装置(図示せず)を備えている。検査項目としては、全てのセルロース系バイオマスに共有する項目として水分量が挙げられる。水分量は、前処理装置30やバイオマス分解装置40で設定する条件に大きく影響するからである。また、木材チップなどの木質系バイオマスの場合には、木質の良否(腐敗程度)、色などの外観及び硬度が挙げられる。古紙系バイオマスにあっては、紙質の良否(光反射率)、組成が挙げられる。組成により、バイオマス分解装置40に適さない加工紙であるかどうかがわかる。
検査部24は、検査を実施する項目に応じた検査装置を備えることができる。水分量の検査装置は、電気抵抗式、誘電率式及び近赤外線吸収式などの従来公知の手法から選択するセンサ機構を備えたものを用いることができる。また色は、従来公知の各種の色センサで測定できる。さらに、腐敗程度は色のほか香りセンサでも検出することができる。硬度の測定には従来公知の硬度測定装置を用いることができる。古紙の光反射率は、公知の光反射率計を用いることができる。古紙の表面組成については、赤外線分光分析装置を用いることができる。
出荷部25は、検査後のセルロース系バイオマスを前処理装置30に搬出する装置(図示せず)を備えている。各種の搬送装置を適宜選択して用いることができる。
(前処理装置)前処理装置30は、セルロース系バイオマスをその分解工程に先だって粉砕及び強制乾燥する装置である。図1に示す前処置装置30は、第1の粉砕装置32と強制乾燥装置34と第2の粉砕装置36とを備えている。第1の粉砕装置32は、乾燥の効率的にするためにセルロース系バイオマスを粉砕するための装置であり、第2の粉砕装置36は、後段のバイオマス分解装置40における分解に適した粒度にセルロース系バイオマスを微粉砕するための装置である。例えば、第1の粉砕装置32は、平均粒子径が約100μm程度までに粉砕するものであり、第2の粉砕装置36は、同径がより小さく粉砕するものである。
第1の粉砕装置32及び第2の粉砕装置36は、それぞれセルロース系バイオマスに用いることのできる従来公知の粉砕機構を備えることができる。例えば、ジョーククラッシャ、ジャイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ロールクラッシャ、パンミル等の圧縮式、ロータリブレーカ、インパクトクラッシャ、ハンマミル、ジェットミル等の衝撃式、ロッドミル、ボールミル、振動ミル、遠心ミルなどの回転・振動・遠心式、カッタミル、コードカッタ等の切断式など各種のミルを用いることができる。
強制乾燥装置34も、特に限定しないで従来公知の乾燥装置を用いることができる。例えば、送風を伴う加熱乾燥装置を用いることができる。
なお、前処理装置30は、粉砕と強制乾燥とを実施するものに限定するものではなく、他の形態でこれら双方を実施するものであってもよい。また、粉砕のみを目的とするものであってもよいし、乾燥のみを目的とするものであってもよい。
前処理装置30においては、加熱やミルの駆動に比較的大量のエネルギーが必要であるが、こうしたエネルギーは太陽熱エネルギー、太陽光エネルギー、風力エネルギー等をできる限り使用することが好ましい。
(バイオマス分解装置)バイオマス分解装置40は、セルロース系バイオマスを分解する装置である。ここでセルロース系バイオマスを分解するとは、セルロース系バイオマスの2種類以上の構成成分を脱複合すること;いずれかセルロースやヘミセルロースを低分子化すること;及びセルロースやヘミセルロースをグルコースなどの単糖程度にまで分解することを含む。例えば、脱複合は、リグノセルロースをセルロース(ヘミセルロースを含んでいてもよい)とリグニンとの複合状態を解除することである。低分子化は、結晶性セルロースをより低分子化に分解して非晶質化したりオリゴ糖としたりすることである。
セルロース系バイオマスの分解は、例えば、主としてリグノセルロース系バイオマスの脱複合は、爆砕、蒸煮、粉砕のほか、オゾン加水分解法、濃硫酸を用いる濃硫酸法、超臨界液体や亜臨界液体を用いる加水分解方法、マイクロ波ソルボリシス法、腐朽菌又は当該菌の保持するペルオキシダーゼ等酵素を用いる分解法があり、これらを組み合わせて用いることもできる。また、セルロース等の低分子化や単糖化の方法としては、加水分解法、酵素分解法等が挙げられる。
図1に示す複数のバイオマス分解装置は、草本系バイオマス分解装置41、木質系バイオマス分解装置42及び古紙系バイオマス分解装置43を備えている。バイオマス分解装置40は、少なくとも1つ備えられていればよいが、本発明の生産システム100は、システム100の連続稼動性を向上させるために、多様なセルロース系バイオマスを受け入れるようになっている。セルロース系バイオマスの由来、すなわち、木質系バイオマスであるかどうか、草本系バイオマスであるかどうか、古紙系バイオマスであるかどうかによって大きく分解工程内容が異なる。したがって、本システム100は、由来の異なる前記セルロース系バイオマスの分解にそれぞれ適した複数のバイオマス分解手段を備えている。
草本系バイオマス分解装置41には、木質系バイオマスに比較すると温和な条件での分解のための各部を備えている。例えば、草本系バイオマス分解装置41は、酵素による脱複合槽と、脱複合後の反応物からリグニンを分離する分離槽、選別されたセルロース又はヘミセルロース画分を酵素を用いて単糖まで糖化する糖化槽(いずれも図示せず)を備えることができる。
木質系バイオマス分解装置42には、爆砕やその他比較的過酷な条件での分解のための各部を備えている。木質系バイオマス分解装置42も、分解装置41と同様に、セルロース又はヘミセルロースを単糖まで糖化する糖化槽(いずれも図示せず)を備えることができる。
古紙系バイオマス分解装置42には、古紙系バイオマスにあっては既にリグニンが分離されているため、脱複合槽は不要であるが、セルロースを単糖まで糖化する糖化槽(図示せず)を備えることができる。
バイオマス分解装置40が、セルロース系バイオマスをどの程度まで分解するかは、特に限定されない。バイオマス分解装置40は、典型的には、最終物質としての有用物質として求められる形態でセルロース系バイオマスを分解するか、あるいは後段の発酵装置50における発酵原料として好ましい形態でセルロース系バイオマスを分解するものであればよい。すなわち、バイオマス分解装置40による分解目標物質は、リグニンと分離されたセルロースやヘミセルロース、低分子化されたセルロースやヘミセルロース、及びグルコース等の単糖までのいずれであってもよい。
なお、前処理装置30からこれら3つのバイオマス分解装置41,42,43にそれぞれ前処理後のセルロース系バイオマスを供給可能に、切替部44が備えられている。
(発酵装置)発酵装置50は、バイオマス分解装置40で得られたバイオマス分解物を発酵原料として酵母によりエタノール発酵を行う装置である。発酵装置50で用いる発酵原料は、用いる酵母(遺伝子的に改変された酵母も含む)によって異なるが、グルコースなどの六単糖他、ヘミセルロース由来の五単糖又は二糖のほか、セルロース(非晶質セルロースや結晶性セルロース)であってもよい。
発酵装置50は、発酵槽と温度制御装置、攪拌装置を含む空気量調節装置及びpH調節装置(いずれも図示せず)を備えている。発酵装置50は、発酵方法に応じて必要な付属装置を適宜備えることができる。酵母を用いたエタノール発酵につき必要な装置や機構は当業者であれば必要に応じて従来公知の装置を用いて構成することができる。
(分離装置)分離装置60は、発酵装置50で得られる発酵液からエタノールを分離する装置である。分離装置60は、発酵液からエタノールを分離する手段として、発酵液に含まれる水分を除去する分離膜を備えている。なお、エタノールの分離には、当該方法に限定するものではなく、濃縮、蒸留及び脱水の各工程の実施によりエタノールを分離するなど、その他各種の方法を利用することができる。分離装置60においては、分離されるエタノールの水分量を測定することができる水分測定装置(図示せず)を備えている。分離されたエタノールは、適宜図示しない貯蔵装置で貯蔵される。
(セルロース樹脂製造装置) 本発明の生産システムは、セルロース樹脂製造装置70を備えている。セルロース系バイオマスのなかには、バイオマス分解装置40に供給して分解するのに適するとはいえないものがある。この場合には、こうしたセルロース系バイオマスをバイオマス分解装置40に供給せずにセルロース樹脂製造装置70に供給して、セルロース樹脂を製造できる。セルロース樹脂は、セルロースを強化材として樹脂マトリックス中に含有する樹脂である。
セルロース樹脂性造装置70は、セルロース系バイオマスを粉砕する装置と、粉砕後のセルロース系バイオマスとマトリックスを構成する樹脂材料との混合反応装置と、を備えている。セルロース系バイオマスは、混合装置でマトリックス樹脂材料と混合され、必要に応じて樹脂材料相互あるいはセルロース系バイオマスと樹脂材料との反応により、最終的にセルロース強化樹脂を得ることができる。
(リグニン含有残渣変換装置) 本発明の生産システムは、バイオマス分解装置40において発生するリグニン含有残渣を発酵により低分子のタンパク質やアミノ酸などの栄養素に変換するリグニン含有残渣変換装置80を備えることができる。この変換装置80は、活性汚泥中に存在する天然酵母等を用いることでリグニン成分をタンパク質等に変換することができる。
(セルロース系バイオマスから有用物質を生産する方法) 次に、図1に示す本発明の生産システム100を用いて有用物質を生産する方法について、図2を適宜参照しながら説明する。図2は、本発明の生産システム100を用いイナワラから有用物質としてエタノールを製造するフローの一例である。
(ワラの準備) 図2に示すように、まず、セルロース系バイオマスを準備する(ステップS10)。本実施形態では、セルロース系バイオマスの生産領域10である稲作地から、コメを収穫するとともにイナワラを収穫する。イナワラの収穫には、図3に示す収穫装置200を用いることができる。図3に示す収穫装置200は、イネの地上部を刈り取る刈取り部110と、刈り取った実生部分とそれ以外のワラとを分離する処理部120と、分離したワラを圧縮成形するワラ圧縮成形部130とを備えている。本収穫装置200によれば、収穫したワラを圧縮成形できるため、ワラを減容して搬送及び保存することができる。このため、搬送コストや保存コストを低減することができる。しかも、イネの収穫と同時にワラも同時に取り扱いやすい状態で収穫できるため、ワラを収穫し搬送等するための新たな労力を効果的に低減又は回避できる。搬送容易性は、セルロース系バイオマスの品質を一定に保持するのに極めて有効である。有用物質の出発原料としての品質を安定化しまた高めることで、より効率的なセルロース系バイオマスからの有用物質の生産が可能となる。
収穫装置200は、刈取り部110及び処理部120は、従来のイネ用の自脱コンバインにおける当該構成部分をそのまま採用することができる。したがって、収穫装置200は、実質的には、自脱コンバインのワラ処理部のワラ排出部の後段にワラ圧縮成形部130を備える構成を有しているということができる。収穫装置200における処理部120は、ワラを裁断して排出するようになっている。
圧縮成形部130は、裁断ワラ貯留部131と、ベルトコンベア132と、バインダ供給装置133と、圧縮ロール134と、巻き取りロール135とICタグ付与装置137とを備えている。裁断ワラ貯留部131、バインダ供給装置133、圧縮ロール134、巻取りロール135及びICタグ付与装置137は、ベルトコンベア132の一端から他端に向けて整列されている。
ワラ貯留部131は、処理部120から排出された裁断ワラを一次的に貯留するとともにベルトコンベア132に一定量を供給可能に形成されている。具体的には、上方に開口を有するホッパ状に形成されており、下方には裁断ワラの排出口を有している。ワラ貯留部131における排出は、裁断ワラを排出口に向けて押し出し可能に形成した適当な回転体をワラ貯留部131のワラ排出口の手前に設けることのほか、機械的振動をワラ貯留部131に付与するなど、公知の方法で実現することができる。処理部120から排出されるワラを貯留するワラ貯留部131を備えることで、安定してベルトコンベア132に裁断ワラを供給することができ、ワラの確実な圧縮成形が可能となる。
ベルトコンベア132は、ワラ貯留部131から排出された裁断ワラを、バインダ供給装置133を経て圧縮ロール134に搬送し、さらに、シート状に圧縮した裁断ワラを巻き取りロール135で巻き取り可能に搬送する。ベルトコンベア132の構成としては、特に限定しないで従来公知の構成を適宜選択して用いることができる。
移動するベルトコンベア132上にワラ貯留部131から時間あたり一定量の裁断ワラが供給されることで、ベルトコンベア132上において裁断ワラはシート状体を形成可能に堆積されていくことになる。
さらに、バインダ供給装置133は、裁断ワラにバインダを供給する。これにより、裁断ワラを圧縮ロールにより圧縮を確実にかつ効果的に行うことができる。バインダ供給装置133は、図示しないバインダ貯留部と供給機構とを備えている。バインダ供給機構は、使用するバインダの種類(液体か粉末か等)等に応じて従来公知の供給機構を適宜選択して用いることができる。
なお、バインダとしては特に限定しないが、セルロース系バイオマスは後段にて発酵等生物処理に供される点等を考慮すると、セルロースやヘミセルロース由来のバインダを用いることができる。例えば、バイオマス分解装置40での爆砕によって得られるセルロース含有画分の一部はバインダとして用いることができる。あるいは、いわゆるデンプン糊、酢酸ビニル系バインダなども利用することができる。なお、図3に示す形態では、バインダ供給装置133は、ベルトコンベア132上の裁断ワラにバインダを供給するものとしたが、これに限定するものではなく、ワラ貯留部131内のワラにバインダを供給可能に構成されていてもよい。
圧縮ロール134は、バインダが供給された裁断ワラをベルトコンベア132上で圧縮し成形する。裁断ワラはベルトコンベア132上においてシート状に堆積されているため、圧縮ロール134による圧縮により、シート状に成形される。圧縮ロールは、堆積された裁断ワラに連続的及び/又は断続的に圧力を付加することで裁断ワラを圧縮成形するが、別途圧縮ロールの表面を加熱することによって、圧縮性能を高めることもできる。圧縮ロール134により圧縮された裁断ワラのシート状体は、引き続きベルトコンベア132により巻取りロール135に供給される。
巻取りロール135は、ロール表面の一部に鉤を突出させて当該鉤にシート状体を係止して巻きつけすることシート状体をロール化することができる。巻取りロール135は、得ようとするロール体に対応した外形形状を有する回転体により構成されている。巻取りロール135への鉤の突出は、巻取りロール135に内臓したリンク機構により可能である。巻き取ったロール体を取り外すときには、リンク機構の作動により鉤を圧縮ロール134から内部に収納して、鉤によるロール体の保持状態を解除すればよい。
巻取りロール135は、圧縮ロール134による圧縮に引き続きシート状体をロール化するため、シート状体に含まれるバインダにより、容易にまた確実にロール化することができるようになっている。ロール化を考慮すると、バインダは液体であって、バインダ供給装置133により供給後ロール化まで一定の粘着状態を維持できるものであることが好ましい。また、加熱により粘結性を発揮するバインダを用いることも好ましい。こうしたバインダを用いるとともに、圧縮ロール134により圧縮時にワラを加熱することで、ロール化時にも有効にバインダ性能を発揮させてロール化を容易にまた確実に実現することができる。
巻取りロール135における鉤の突出機構を用いた巻取り終了・排出は、ロールが所定の径に到達したことを検出する接触型センサ136により検知し、当該検知信号に基づき制御することができる。すなわち、当該検知信号を検知したとき、ワラ貯留部131からのベルトコンベア132上へのワラ供給を停止することで、ワラのシート状体の成形が停止されるため、巻取りロール135による巻取りも終了する。
また、確実にワラを圧縮成形するためには、イネの収穫の一時的な刈取り停止(例えば、コンバインの方向転換時、あるいは収穫対象物が一時的に存在しないときなど)の信号を受けてコンベアへのワラの供給を一時的に中断するなどの制御機構をコンバイン本体側に備えている。
ICタグ付与装置137は、得られたワラのロール体には、収穫装置200の制御装置に予め入力され及び準備されていた収穫物についての識別情報(植物種、収穫日時、場所、収穫方法、収穫時に気象情報等)が格納されたICタグをロール巻取り終了時に巻取り終了部分に付与する。
得られたワラのロール体は、収穫装置200の後方に設けた収納庫に収容することもできるし、稲作地に置いておくこともできる。巻取りロール135の後段に、必要に応じ、ロール体を結束する結束装置を備えていてもよい。
(識別情報の取得) 次に、バイオマス生産領域10にて収穫し圧縮されロール化されたワラを貯蔵部20に搬入する。このとき、貯蔵部20の荷受部23において、ワラの識別情報を取得する(ステップS20)。入荷ワラの識別情報の取得は、予めワラに付加されている識別票に基づいて実施する。本実施形態では、収穫装置200によりロール体に付加されたICタグに予め情報が取得されている。このため、荷受部23に備えるICタグリーダーにより非接触で識別情報を取得することができる。識別情報は、制御装置90に送信され、適当な記憶領域に格納される。本方法によれば、このような識別情報を利用して、前処理装置30及びバイオマス分解装置40並びに発酵装置50における適切な条件を設定することができる。
制御装置90は、取得した識別情報に基づいて、受け入れたロール体の貯蔵場所(シェルフ位置)を決定し、貯蔵室22内にある搬送システムに制御信号を出力する。この結果、ロール体は、識別情報に基づき、所定の箇所に自動的に搬送され格納される。
(品質情報の取得)貯蔵室22で保存されたロール体について、次いで貯蔵部20の検査部24において品質を評価し、品質情報を取得する(ステップS30)。本実施形態では水分量を赤外線水分測定装置で測定した。測定結果は、制御装置90に出力され、当該品質情報は、ロール体の識別情報とともに制御装置90の記憶領域の所定箇所に格納される。本方法によれば、このような識別情報を利用して、前処理装置30及びバイオマス分解装置40並びに発酵装置50における適切な条件を設定することができる。
(前処理) 次いで、ロール体を粉砕及び乾燥して前処理を実施する(ステップS40)。制御装置90は、識別情報と前工程で得られた品質情報とを組み合わせることで、前処理工程における粉砕程度及び乾燥条件並びにそのためのエネルギー供給源を設定する。制御装置90は、設定した条件で第1の粉砕装置32、乾燥装置34及び第2の粉砕装置36を制御して、ロール体の前処理を実施する。なお、ロール体は、第1の粉砕装置32による粉砕に先立って、適宜小さく切断されてもよい。
(バイオマス分解工程) 次に、所定の状態に乾燥され粉砕されたワラをバイオマス分解装置40で分解する(ステップS50)。制御装置90は、識別情報に基づいて、切替部44の駆動を制御して準備されたワラを草本系バイオマス分解装置41に導入する。また、制御装置90は識別情報及び品質情報に基づいて、前処理後のワラについての分解条件を予め設定し、草本系バイオマス分解装置41を制御してその条件で分解工程を実施する。
本発明の生産方法によれば、このように識別情報に基づいてバイオマス分解装置を選択使用してバイオマス分解工程を実施できるため、多様なセルロース系バイオマスを受け入れることができ、それにより、本生産システム100の連続的稼動率を高めることができる。その結果、有用物質をより低コストで生産できるとともに安定供給することができる。また、本発明の生産方法によれば、識別情報及び品質情報に基づいてバイオマス分解7条件を設定することができるため、セルロース系バイオマスの有用物質化を効率的に行うことができる。
なお、必要に応じ、分解装置に備えたバイオマスの分解経過を糖濃度センサ等により観察することもできる。本実施形態では、ワラを構成するリグノセルロース中のセルロースを単糖にまで分解するべく、脱複合及び低分子化を実施する。発酵工程に先立って、発酵原料となる糖類は、リグニン含有残渣と分離される。リグニン含有残渣は、リグニン含有残渣変換装置80に供給され、必要に応じ利用される。
(エタノール発酵工程) 発酵工程では、バイオマス分解工程で得られた単糖をバイオマス分解工程で得られた単糖を、酵母を用いてエタノール発酵する(ステップS60)。制御装置90は、識別情報及び品質情報のほか、バイオマス分解工程で得られる情報を用いて、使用酵母等の発酵条件を設定する。こうした情報を利用して発酵条件を設定することができるため、発酵条件を最適化することができ、使用するエネルギー及び時間を節約することができる。
(エタノール分離工程) エタノール分離工程は、エタノール分離装置60により発酵工程後の発酵液からエタノールを分離する(ステップS70)。エタノール分離工程は、既に説明したように、発酵液に含まれる水分を除去する分離膜を用いて実施する。前段の工程で得られるエタノールの水分は適宜水分測定装置で測定し、品質を確認する。取得した水分量情報は、制御装置90に出力され、所定の記憶領域に格納される。
以上説明したように、本生産システム及び方法によれば、セルロース系バイオマスの品質や入手不安定性の影響を抑制して効率的に有用物質を生産することができる。
以上説明した実施形態においては、本発明の生産システム及び生産方法の一形態を例示して説明したこれに限定されるものではない。例えば、図1に示す生産システム100は、各種装置等を備えるものとしたが、これら各装置のスケールを限定するものではなく、それぞれの装置等のそれぞれを、通例、設備と称される程度のスケールとすることもできる。また、図1に示す生産システム100では、貯蔵部20を備えるものとしたが必ずしもこれに限定するものではなく、貯蔵部20を有しない形態であってもよい。例えば、貯蔵部20を備えないで、セルロース系バイオマスを荷受して直ちに前処理装置30に供給するシステム及び方法とすることもできる。また、上記実施形態では、識別情報を収穫装置200において付与するものとしたが、それに限定するものではなく、荷受時等において付与するようにしてもよい。
上記実施形態では、前処理装置30及び前処理工程を備えるものとしたが、予め一定品質が維持されたセルロース系バイオマスが入手される場合には、その限りにおいて前処理工程を省略することができる。前処理工程は、一定量を一括して行うことで効率化を図れる場合があるからである。
上記実施形態では、バイオマス分解装置40として、草本系バイオマス、木質系バイオマス及び古紙系バイオマスについてそれぞれ1つ備えるものとしたが、これに限定するものでもない。単一のバイオマスを対象とする複数の分解装置を備えていてもよい。また、対象とするバイオマスの種類と各バイオマス分解装置の個数は、本システムの設置される条件(例えば、近くに田畑が多いとか山林が多いなどの立地条件)に基づいて設定されることが好ましい。また、異なるバイオマスを対象とするバイオマス分解装置であっても、共通化できる工程部分は共通化し、あるいは相互に利用可能に構成することが好ましい。こうすることで、量的変動にも容易に対応できるようになる。
上記実施形態では、収穫装置200は、実質的にイネ用の自脱コンバインに圧縮成形部を付加した構成としたが、これに限定するものではなく、刈取り部及び処理部とを備える草本系バイオマスの収穫装置であればよい。このような収穫装置としては、自脱コンバイン、普通コンバインなどの各種コンバイン、サトウキビ収穫機等、特に形態を問わずに用いることができる。
また、収穫装置200では、圧縮成形体を、一旦シート化した裁断ワラをロール化するものとしたが、これに限定されるものではなく、牧草等に適用されるタイトベーラ(コンパクトベーラ)における成形室とプランジャとを用いた圧縮成形機構を採用することもできるし、スクエアビッグベーラやロールベーラ等における圧縮成形機構を採用することもできる。また、ワラのシート状体を一定の大きさにカットして積層して積層体とする切断機構及び積層機構を備えていてもよいし、さらにこうした積層体を圧縮して圧縮積層体とするための圧縮機構を備えていてもよい。
収穫装置200では、圧縮や成形を容易化するためにバインダを供給する装置を用いてバインダを供給したが、本発明はこれに限定するものではなく、圧縮性や成形性を高めるために、圧縮成形方法の変更、裁断長さの調整及びニードルパンチングを利用してこれを代替することができる。
有用物質生産システムの全体の概略を示す図である。 有用物質生産システムを利用した有用物質の生産のフローの一例を示す図である。 セルロース系バイオマスを収穫するための装置の一例を示す図である。
符号の説明
10 バイオマス生産領域、20 貯蔵部、30 前処理装置、40 バイオマス分解装置、50 発酵装置、60 分離装置、70、セルロース樹脂製造装置、80 リグニン含有残詐変換装置

Claims (20)

  1. セルロース系バイオマスから有用物質を生産するシステムであって、
    前記バイオマスから前記有用物質を生産する工程条件に影響する品質に関する品質情報を取得する品質情報取得手段と、
    少なくとも1つのバイオマス分解手段と、
    前記バイオマスの由来に関する識別情報及び前記品質情報に基づいて設定される分解条件下で、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において前記バイオマスを分解するよう制御する制御手段と、
    を備える、システム。
  2. 前記少なくとも1つのバイオマス分解手段は、由来の異なるバイオマスの分解にそれぞれ適した複数のバイオマス分解手段を含み、
    前記制御手段は、前記複数のバイオマス分解手段から前記バイオマスの識別情報に基づいて使用するバイオマス分解手段を選択し、当該バイオマス分解手段により前記バイオマスを分解するよう制御する手段である、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記複数のバイオマス分解手段は、草本系バイオマス用分解手段、木質系バイオマス用分解手段及び古紙系バイオマス用分解手段から選択される、請求項2に記載のシステム。
  4. さらに、前記少なくとも一つのバイオマス分解手段の前段に前記バイオマスを乾燥及び/又は粉砕する前処理手段を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
  5. 前記制御手段は、前記バイオマスの前記識別情報及び前記品質情報に基づいて設定される条件で前記前処理手段における前記バイオマスの乾燥及び/又は粉砕するよう制御する手段である、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記品質情報は、前記バイオマスの水分量、色及び硬度から選択されるいずれかを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
  7. さらに、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において得られるバイオマス分解物を発酵する発酵手段を備える、請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
  8. 前記発酵手段は、エタノール発酵手段である、請求項7に記載のシステム。
  9. さらに、木質系バイオマス及び草本系バイオマスから選択されるいずれかのバイオマスを生産するバイオマス生産領域を備える、請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
  10. バイオマスから有用物質を生産する方法であって、
    前記バイオマスの由来に関する識別情報と前記バイオマスから前記有用物質を生産するための工程条件に影響する品質に関する品質情報とが取得されたバイオマスを準備する準備工程と、
    前記識別情報及び前記品質情報に基づいて設定された条件下で前記バイオマスを分解する分解工程と、
    を備える、方法。
  11. 前記分解工程は、由来の異なるバイオマスの分解に適した複数のバイオマス分解手段から前記バイオマスの前記識別情報に基づいて選択されるいずれかのバイオマス分解手段を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
  12. さらに、前記少なくとも1つのバイオマス分解手段において得られるバイオマス分解物を発酵する工程を備える、請求項10又は11に記載のシステム。
  13. 前記バイオマスは草本系バイオマスであり、該草本系バイオマスの生産領域における前記草本系バイオマスを、以下の特徴:
    作物である前記草本系バイオマスの生産領域に生育中の前記草本系バイオマスの地上部を刈り取る刈取り部と、
    前記刈取り部で刈り取った部分から実生を含む部分とそれ以外の部分のワラとを分離する処理部と、
    前記処理部で分離された前記ワラを圧縮し成形するワラ圧縮成形部と、
    を備える、草本系バイオマスの収穫装置を用いて、ワラ圧縮成形体として取得する工程を前記準備工程に先立って備える、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 草本系バイオマスの収穫装置であって、
    作物である前記草本系バイオマスの生産領域に生育中の前記草本系バイオマスの地上部を刈り取る刈取り部と、
    前記刈取り部で刈り取った部分から実生を含む部分とそれ以外の部分のワラとを分離する処理部と、
    前記処理部で分離された前記ワラを圧縮し成形するワラ圧縮成形部と、
    を備える、装置。
  15. 前記ワラ圧縮成形部は、細断された前記ワラを集約し圧縮してシート状体に成形する、請求項14に記載の装置。
  16. 前記ワラ圧縮成形部は、さらに前記シート状体を巻き取ってロール体に成形する、請求項15に記載の装置。
  17. 前記ワラ圧縮成形部は、圧縮成形のために前記ワラにバインダを供給するバインダ供給部を備える、請求項14〜16のいずれかに記載の装置。
  18. 前記ワラ圧縮成形部は、前記処理部から排出される前記ワラを一時的に貯留するワラ貯留部を備える、請求項14〜17のいずれかに記載の装置。
  19. 前記刈取り部及び前記処理部が、コンバインの一部である、請求項14〜18のいずれかに記載の装置。
  20. 前記作物は、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ、アワ及びキビを含む穀類から選択されるいずれかである、請求項14〜19のいずれかに記載の装置。
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