JP2009127652A - 振動減衰装置 - Google Patents

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洋志 大久保
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Abstract

【課題】振動減衰装置が占有する空間を増やすことなく、振動減衰性能を向上させることが出来る。
【解決手段】螺旋状の板バネ10の対向する板部10a間に第2弾性体12を介挿する。その第2弾性体12と板部10aの面との間に摩擦力発生部材11を介挿する。その摩擦力発生部材11は、板部10aの面と第2弾性体12との間に介挿された粘着層15と、その粘着層15と第2弾性体12との間に介挿されたフィルム16と、からなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マウント装置など、振動部と固定部とを連結して振動部からの振動を減衰するための振動減衰装置に関する。
従来の振動減衰装置としては、例えば特許文献1に記載される構造がある。この構造は、平板状の制振鋼板を、上下方向から一対のインシュレータ(ゴム等の弾性体)で挟み込んだ構造となっている。そして、一対のインシュレータの一方を車体側フレームに固定し、他方をエンジンに固定する。
上記構成によって、エンジンから発生する振動を、制振鋼板及びインシュレータによって吸収して、車体フレーム側へ伝わる振動を吸収する。
実開平6−43388号公報
上記従来例では、バネ部を構成するインシュレータの撓み振動によってエンジンからの振動を減衰する。また、大きな振動を減衰するために制振鋼板を設けている。
このため、バネ部を構成するインシュレータによる振動吸収では減衰性が良くない。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、装置が占有する空間を増やすことなく、振動減衰性能を向上することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明の振動減衰装置は、板バネの対向する板部間に弾性体を介挿すると共に、その弾性体と板部の面との間に摩擦力発生部材を介挿する。その摩擦力発生手段は、板部の面と上記弾性体との間に介挿された粘弾性層と、その粘弾性層と弾性層との間に介挿されたシート材と、からなる。
本発明によれば、摩擦力発生手段で、粘性抵抗にて摩擦力を発生することで、減衰性能を向上させることが可能となる。
また、板バネの対向する板部間に、弾性体及び摩擦力発生手段を配置して減衰性能を向上させても、装置の占有スペースを増加させることもない。
次に、本発明に係る第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、振動減衰装置を、サスペンションメンバを、車体フレーム5に弾性支持する弾性支持装置に適用した場合の例である。
図1は、弾性支持装置の配置を示す模式的な車両側面図である。図2は、その弾性支持装置の構成を説明する側面図である。
(構成)
車輪1を回転自在に支持するアクスル2を、図1に示すように、サスペンションリンクを介して、サスペンションメンバ3に対して揺動可能に連結する。そのサスペンションメンバ3を、複数の弾性支持装置4によって車体フレーム5の下部に弾性支持する。
上記弾性支持装置4は、図2に示すように、上下で対向する一対の取付けパネル6,7間に、上下一対の第1弾性体8,9、螺旋状の板バネ10、摩擦力発生部材11、及び第2弾性体12を設ける。
下側の取付けパネル7の上面に、下側の第1弾性体8を配置する。その第1弾性体8を上記下側の取付けパネル7にブラケット13で固定する。上記第1弾性体8は、ゴムから構成してある。そして、その第1弾性体8は、軸を上下に向けた短柱形状となっている。
その第1弾性体8の上面に、螺旋状の板バネ10の下端部が着座する。すなわち、第1弾性体8の上面は、板バネ10の着座部を構成する。板バネ10は軸を上下に向けて配置している。すなわち、板バネ10は、サスペンションメンバ3から上方の車体フレーム5に向けて螺旋状に延びている。
その螺旋状の板バネ10の上端部は、上側の第1弾性体9の下面に着座する。上側の第1弾性体9は、上側のブラケット14によって上側の取付けパネル6に取り付けてある。
上記摩擦力発生部材11を、図3(a)に示すように、フィルム16と、そのフィルム16の片面に被着した粘着層15と、から構成する。その摩擦力発生部材11は、上記板バネ10の表面に対し粘着層15を貼り付けることで、当該板バネ10の表面に被着している。フィルム16の厚さは、例えば数十〜数百μmとする。この結果、フィルム16は、面外方向に可撓性を持つ。
これによって、板バネ10のうち上下で対向する板部10aの表面に、粘着層15及びフィルム16が積層した状態となっている。なお、本実施形態では、第1弾性体8,9と対向する板部10aの面にも摩擦力発生部材11を積層してある。
さらに、螺旋状の板バネ10における上下で対向する板部10a間には、第2弾性体12が充填してある。すなわち、対向する板バネ10部の表面には、粘着層15を介してフィルム16を固定し、上下のフィルム16間に第2弾性体12を介挿する。
ここで、せん断剛性は次の関係にある。
フィルム16 > 第2弾性体12 > 粘着層15(粘弾性層)
さらに、上記一対の取付けパネル6,7、第1弾性体8,9、第2弾性体12、及び螺旋状の板バネ10の各中心部を同軸に貫通する貫通穴が形成してある。その貫通穴は、軸を上下に向いている。その貫通穴を、図2に示すように、上下軸部材17が貫通している。その上下軸部材17の上下両端部にはそれぞれフランジ18,19が設けてあり、上側のフランジ18は、上側の取付けパネル6の上面に対向配置し、下側のフランジ19は、下側の取付けパネル7に対向配置している。
そして、下側の取付けパネル6,7を、サスペンションメンバ3に対しボルト締結20などによって固定する。また、上側の取付けパネル6,7を、車体パネルにボルト締結21などによって固定する。これによって、サスペンションメンバ3を、上記構成の弾性支持装置4によって、車体フレーム5に弾性支持することになる。
ここで、上記フィルム16はシート材を構成する。粘着層15は粘弾性層を構成する。第2弾性体12は、弾性体を構成する。
また、螺旋状に延びる板バネ10における上下で対向する板部10aが、それぞれ一対の板部10aを構成する。すなわち、側面視において、上下に向けて複数組の一対の板部10aを備えることになる。なお、螺旋状に延びているので、複数組の一対の板部10aは連続した構成となっている。このため、連続した面積を大きくとれる。
(動作及び作用)
上下の各ブラケット13、14は、対応する第1弾性体8,9の横方向へのズレは拘束するが、板バネ10及び第2弾性体12の上下方向及び横方向の変形は拘束しない。
ここで、第1弾性体8,9、第2弾性体12、螺旋状の板バネ10及び摩擦力発生部材11を、振動吸収部と呼ぶこととする。
上下軸部材17は、振動吸収部の横方向への大変形を拘束する。また、上下軸部材17は、上下で対向する一対の取付けパネル6,7間の最大離隔距離も、上下のフランジ18,19部で拘束する。
そして、上記振動吸収部は、サスペンションメンバ3からの振動を、第1及び第2弾性体12の弾性変形、及び板バネ10の弾性変形によって吸収する。
さらに、板バネ10の弾性変形に伴って、摩擦力発生部材11で発生する粘性抵抗による摩擦力によって振動を減衰する。
その摩擦力発生部材11の機序について説明する。
振動吸収部に軸方向の振動入力が入ると、図4に示すように、螺旋状の板バネ10も、上下方向に圧縮・伸展するように変形すると共に、捩れるように延在方向に変位する。このとき、板バネ10における、上下で対向する板部10aに着目すると、図3(b)に示すように、一対の板部10aは、上下方向に接近若しくは離隔するに伴い、その一対の板部10a間の成す角度θも変化し、その変化によって、一対の板部10aには、せん断方向の相対変位も発生する。
これによって、一対の板部10a間に位置する第2弾性体12も、上下方向に圧縮・伸展するように弾性変形して振動を吸収すると共に、図3(b)のように矢印方向のせん断変形が発生する。
さらに、その第2弾性体12と板部10aとの間に位置する摩擦力発生部材11は、上下方向の力が付与されつつ、第2弾性体12との間にせん断方向の相対変位が生じる(図3(b)参照)。この相対変位によって、フィルム16を面内方向に引っ張る結果、摩擦力発生部材11を構成する粘着層15がせん断方向に変形して、当該粘着層15が摩擦力を発生する。
すなわち、軸方向(上下方向)への入力変位に対し、上記摩擦力によって、弾性支持装置4への入力の一部が散逸し、入力の残りを摩擦力が反力として受ける。これによって、弾性支持装置4に入力した振動は、摩擦力発生部材11によって低減する。
ここで、シート状の摩擦力発生部材11に生じるせん断変位は、上記軸方向の入力変位が大きくても、相対する板部10a間に所定の距離を設けることで、薄いシート状の粘着層15が変形しても破損しない程度のせん断変位に変換が可能である。すなわち、上記構成は、上下方向に入力される変位を、板バネ10の面方向のせん断変位に変換することで、摩擦力発生部材11のせん断変位に変換する。このとき、相対する板部10a間の距離を所定の大きさに設定することで、摩擦力発生部材11を構成する薄いフィルム16および粘着層15に入力される変位を、これらが破損しない程度の大きさに設定することは出来る。また、第2弾性体12の剛性を下げることで、摩擦力発生部材11に発生するせん断変形量を調整することも出来る。
次に、車体フレーム5とサスペンションメンバ3に横方向の変位が発生して、弾性支持装置4に対し横方向の入力がある場合を考える。
この場合も、第2弾性体12がせん断変形し、上記のような軸方向の振動入力の場合と同様に、摩擦力発生部材11にせん断変形による摩擦力が発生することで、振動を減衰する。
上記構成のメカニズムの数学モデルを、図5に示す。この図5(a)は、マウントをバネ、ダンパー、摩擦要素で表したモデルと、振動固定部に連結される振動入力部品をマス、バネ、ダンパーで表した数学モデルである。図5(b)は、これらと等価なシミュレーション用モデルで有る。
これらの関係を表す微分方程式を、下記に示す。
Figure 2009127652
(第1実施形態の効果)
(1)板バネ10と第1及び第2弾性体8,9,12の弾性変形による振動吸収と共に、せん断変形によって摩擦力を発生する摩擦力発生部材11によって振動を減衰する。この結果、大きな入力変位を受けることが出来る。すなわち、摩擦力発生部材11を設けない場合に比べて、広い範囲の周波数帯と広い範囲の入力レベルに対応可能となる。
(2)またこのとき、板バネ10の対向する板部10a間の空間に、第2弾性体12及び摩擦力発生部材11を配置している。すなわち、摩擦力発生部材11による振動減衰機能を付与しても、弾性支持装置4が占有するスペースは増加せず、限られたスペースで、より大きな入力変位を受けられることができる。
(3)また、板ばねを螺旋形状とすることで、簡易に且つ少ない占有スペースで、上下で対向する板部10aを複数設定することが出来る。すなわち、限られたスペースで、摩擦力発生部材11の面積を有効に増大することが可能となる。摩擦力発生部材11の面積を増大することで、摩擦力発生部材11による振動減衰性能を向上させることが出来る。
すなわち、摩擦力発生部材11は、せん断方向入力による変形で反力を発生する場合は、せん断方向の全長が長いほど、より大きな反力を発生することができる。本実施形態では、摩擦力発生部材11は、螺旋状の板部10a材の表面に貼付されるため、小さなスペースでも摩擦力発生部材11の全長を長くすることができる。したがって、小さいスペースで、弾性支持装置4への振動等の入力に対する反力を大きくすることができる。
(4)また、摩擦力発生部材11の粘弾性層を粘着層15とすることで、摩擦力発生部材11の板バネ10への取付けが容易となる。すなわち、板バネ10の表面に貼り付けるだけ摩擦力発生部材11を取り付けることが出来る。
(応用例)
(1)螺旋状の板バネ10について、図6に示すように、軸方向端部のバネ剛性を小さく、軸方向中央部に近くなるほどバネ剛性が大きく設定する。すなわち、軸方向端部で対向する一対の板部10a間(図6中矢印A部分)のバネ剛性を低く設定する。
このように設定すると、振動減衰できる入力変位の範囲をより広く取れる。
その理由について、次に説明する。
板バネ10と第2弾性体12とが変形することで発生する粘着層15のせん断変位は、板バネ10を構成する対向する板部10a間の上下変形量が大きいほど大きくなる。一方、粘着層15で発生する摩擦力は、粘着層15に入るせん断変位が同じであれば、面積が大きいほど大きな反力を発生する。
そして、板バネ10の少なくとも軸方向端部側のバネ剛性を中央部に対し小さく設定すると、この部分の軸方向変位量は、図6(b)に示すように、中央部に比較しより小さな力で変形しやすくなる。この結果、接触する第2弾性体12を小さな入力のときでも大きく変位させる。これにより、入力変位が小さいときは、板バネ10の軸方向端部近傍の摩擦力発生部材11が主な反力を発生することとなり、より小さな振動入力に対して減衰力を発生させることが出来る。
また、大きな入力振動の場合は、板幅の軸方向中央部まで大きく変形することになるが、このとき、より大きく変形する端部によって、摩擦力発生部材11の伸び量が、板バネ10の剛性が一定のときよりも大きくなるので、より大きな変位入力も受けることができる。
なお、軸方向中央部側の一対の板部10aのバネ剛性を、相対的に低くして、軸方向に沿ったバネ剛性に異方性を持たせても良い。効果は同じである。
(2)図7に示すように、2重螺旋状に板バネ10を配置しても良い。符号10A及び10Bがそれぞれ独立した板バネ10を表している。
この構成とすることで、弾性支持装置4が占める空間を増やすこと無く、当該弾性支持装置4は、より大きな入力を受けることが出来るようになる。
その理由について、次に説明する。
上述の摩擦力発生のメカニズムにより、摩擦力発生部材11の面積が大きいほど摩擦力を大きく発生できる。
そして、図7に示すように2重螺旋状に板バネ10を配置することで、側面視で、一対の第1弾性体8,9間に配置する板部10aの数が増加する。この結果、摩擦力発生部材11を設ける面積が、板バネ10の面積分だけ大きく受けることができる。これによって、発生可能な摩擦力が増大して、より大きな入力を受けることが出来るようになる。
なお、板バネ10を3重以上同軸に配置しても良い。
(3)フィルム16は、高強度かつ低ヤング率のフィルム16(例えば、ポリイミドやポリアミド等の高分子材料またはアモルファス金属など)で構成し、また、フィルム16より剛性が小さい粘着層15または粘弾性体とを重ねて構成することが好ましい。
上記フィルム16としては、ポリイミドやポリアミド等の高分子材料またはアモルファス金属などが例示出来る。
弾性支持装置4に入力が付与されるとき、その下の粘着層15がせん断変形により反力を受けることになるので、フィルム16が長手方向に変位する。この変位は、フィルム16が低ヤング率であることから、接触部近傍で大きく、接触部から遠ざかるほど小さくなる。
このため、入力が小さいときには変位する粘着層15の面積が接触部近傍のわずかな部分であるため見かけの剛性が小さくなり、逆に入力が大きいときには、変位する粘着層15の面積が広範囲となり見掛けの剛性が増加する。これによって、広範囲な入力レベルの減衰が可能になるという効果が得られる。
また、周波数の変動に対しても、減衰のメカニズムが粘着層15の内部滑りであり、周波数によってチューニングを施す必要は無いという効果も得られる。
また、フィルム16を低ヤング率とすると、弾性体からの変位が一定でない場合に、局部的に伸びが異なることが出来る。例えば板バネ10の剛性を局所的に変え非線形とすることで、局部的な変形量の違いにより任意に弾性体の変形量を変えることができ、摩擦力発生部材11に局部的な大小異なる変位を与えることが出来る。そして、小さな変位の場合は、局所的な変位による小さな反力の大きさを発生させることが出来る。したがって、マウントに入力される最大入力で減衰できるようにマウントを大きな剛性で設計しても、より小さな入力も減衰できるようにチューニングを施すことが可能となる。
上記の広い範囲の入力レベルに対応できる特性は、フィルム16に接触する弾性体の剛性を非線形とすることや、弾性体の接触面積を入力変位に対して変化させることでも可能である。あるいは、板バネ10の両面に摩擦力発生部材11を接着し、板バネ10の端部と接触するように設けた弾性部材との(入力変位による過渡的な)接触面積の変化を利用しても発生させることでも可能となる。
(変形例)
(1)上記実施形態では、板バネ10の両面に摩擦力発生部材11を貼り付けているが、一方の面だけに摩擦力発生部材11を貼り付けても良い。
(2)また、摩擦力発生部材11の粘弾性層を粘着材で構成する場合を例示しているが、粘着材以外の粘弾性材で粘弾性層を構成しても良い。ただし、別途、粘弾性層を板部10aに被着する接着剤その他が必要となる。
(3)板バネ10は、例えばくの字形状などであっても良い。要は、面を対向させた少なくとも一対の板部10aを備えて、負荷された荷重によって、上記一対の板部10aの対向面の成す角度が変化するか、当該一つの板部10aにせん断方向の相対変位が発生できる形状となっていればよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様な部品については同一の符号を付して説明する。
第2実施形態は、振動減衰装置を、ショックアブソーバ31上端に設ける、バンパーラバー30に適用したものである。
図8は、バンパーラバー30を設けたショックアブソーバ31を示す模式的な車両側面図である。図9は、そのバンパーラバー30の構成を説明する側面図である。
(構成)
図8に示すように、車輪1を回転自在に支持するアクスル2に、ショックアブソーバ31の下端部を取り付ける。すなわち、ショックアブソーバ31を構成するシリンダ31aの下端部をアクスル2に取り付ける。そのシリンダ31aから上方にピストンロッド31bが突出し、その上端部を車体フレーム5に取り付ける。そして、そのピストンロッド31bの上端部に、バンパーラバー30を同軸に取り付けている。符号32はサスペンションスプリングを表している。
本実施形態のバンパーラバー30の基本構造は、上記第1実施形態の弾性支持装置4と同じである。
次に、振動減衰装置を構成する上記バンパーラバー30の構成について説明する。
軸を上下に向けた螺旋状の板バネ10を有する。その板バネ10上下両端部にそれぞれ第1弾性体8,9を被着する。また、板バネ10の表面に対し、フィルム16と粘着層15とからなる摩擦力発生部材11を被着した状態で、対向する板バネ10部間に第2弾性体12を充填している。第2弾性体12は、第1弾性体8,9よりも剛性が低い。
上側の第1弾性体8,9の上部は、取付け金具33に取り付けてある。その取付け金具33を、車体フレーム5に対して軸受34を介して支持させている。すなわち、取付け金具33は、ピストンロッド31bの軸を中心にして回転可能となっている。その取付け金具33の外周部には、サスペンションスプリングの上端部が当接する着座部が形成してある。その着座部35は、ゴム体からなる弾性体である。
また、上記バンパーラバー30の中央部は、ピストンロッド31bを遊挿可能な径の貫通穴が設けてある。その貫通穴に上記ピストンロッド31bの上端部が貫通している。そのピストンロッド31bの上端部は、車体フレーム5にボルト締結している。
(動作)
車輪1の上下ストロークによって、ショックアブソーバ31のシリンダ31aが上下にストロークする。そして、上記シリンダ31aが上方に大変位すると、シリンダ31aの上端部がバンパーラバー30の下側の第1弾性体8,9に当接して、第1弾性体8,9を上方に押し上げる力が発生する。これによって、バンパーラバー30は上下方向に圧縮変形する。このとき、板バネ10は、螺旋状の形状となっているので、軸方向に圧縮変形する際に、上下で対向する板部10a間にせん断方向の相対変位が発生する。なお、このせん断方向の相対変位量は、圧縮変形量が大きくなるほど大きくなる。
そして、第2弾性体12と摩擦量発生部材との間にせん断方向の相対変位が生じる。この相対変位によって、フィルム16を面内方向に引っ張ることで、摩擦力発生部材11を構成する粘着層15がせん断方向に変形して、摩擦力を発生する。
すなわち、ショックアブソーバ31のシリンダ31aが衝突する際の軸方向への入力変位に対し、この摩擦力によって、入力の一部が散逸し、入力の残りを摩擦力が反力として受ける。これによって、弾性支持装置4に入力した振動は、摩擦力発生部材11によって低減する。
(効果)
(1)ショックアブソーバ31の大変位をバンパーラバー30で規制する際の衝突による振動を、摩擦力発生部材11によって、有効に減衰することが可能となる。
(2)その効果は、上記第1実施形態と同様である。
また、第1実施形態で説明した応用例や変形例は、第2実施形態のバンパーラバー30にも適用可能である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部品については同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、サスペンションリンクの車体フレーム5への連結点に振動減衰装置としての弾性支持装置4を適用した例である。
図10はその設定部位を説明する模式的な車両側面図である。図11は本実施形態の弾性支持装置4を説明する模式的構成図である。
(構成)
車輪1を回転自在に支持するアクスル2に1端部を連結したリンク部材40を備える。そのリンク部材40は上方に延在する。そのリンク部材40の上部に対し、コネクティング・ロッド41の一端部が上下方向に回転自在に連結する。
そのコネクティング・ロッド41の他端部は、ブラケット42を介して車体フレーム5に連結している。すなわち、車体フレーム5の下部には、下方に突設するブラケット13を備える。そのブラケット42に、軸を車幅方向に向けた回動軸43を備える。その回動軸43に上記コネクティング・ロッド41の他端部を固定する。これによって、コネクティング・ロッド41の他端部は、上記回動軸43を中心にして上下に揺動可能となっている。
そのコネクティング・ロッド41の他端部と車体フレーム5との間に弾性支持装置4を設ける。
次に、その弾性支持装置4の構成について説明する。
渦巻き状に延在して、ぜんまい状態となった板バネ10を有する。その板バネ10は、一端部を上記コネクティング・ロッド41の固定し、そのコネクティング・ロッド41を中心にして渦巻き状に巻き付けるように配置してある。その板バネ10の外周側の端部12bは、車体側に固定する。すなわち、板バネ10は、コネクティング・ロッド41の他端部から車体側に向けて渦巻き状に延びている。
その板バネ10のうち、径方向で面が対向する板部10a間に、上記フィルム16と粘着層15からなる摩擦力発生部材11を被着すると共に、面が対向する板部10a間に第2弾性体12を充填する。
(動作)
例えば、リンク部材40が上方に変位して、コネクティング・ロッド41の一端部が上方に変位するように、当該コネクティング・ロッド41が上記回動軸43を中心にして上方に回動変位すると、薄巻き状の板バネ10は、締め付けられるように、つまり径方向で対向する板部10a間の間隔が小さくなるように変形しつつ、板部10aは周方向にも変位する。これによって、径方向で対向する板部10a間に周方向に沿ったせん断方向の相対変位が発生する。
この結果、第2弾性体12と摩擦量発生部材との間にせん断方向の相対変位が生じる。この相対変位によって、フィルム16を面内方向に引っ張ることで、摩擦力発生部材11を構成する粘着層15がせん断方向に変形して、摩擦力を発生する。
すなわち、車輪1のストロークに応じてリンク部材40が上下に振動する。これに応じて発生するコネクティング・ロッド41の上下方向への変位に対し、上記摩擦力によって、入力の一部が散逸し、入力の残りを摩擦力が反力として受ける。
同様に、リンク部材40が下方に変位して、コネクティング・ロッド41の一端部が下方に変位するように、当該コネクティング・ロッド41が上記回動軸43を中心にして下方に回動すると、薄巻き状の板バネ10は緩められるように、つまり径方向で対向する板部10a間の間隔が大きくなるように変形しつつ、各板部10aは周方向にも変位する。これによって、径方向で対向する板部10a間に周方向に沿ったせん断方向の相対変位が発生する。
これによって、リンク部材40から入力した振動は、摩擦力発生部材11によって低減する。
(効果)
(1)効果は、上記第1実施形態と同様である。
また、第1実施形態で説明した応用例や変形例について第3実施形態の弾性支持装置4にも適用可能である。
本発明に基づく第1実施形態に係る弾性支持装置の設置位置を説明する車両側面図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る弾性支持装置の構成を説明する図である。 対向する板部間を説明する拡大図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る弾性支持装置の挙動を説明する図である。 摩擦力発生部材の数学的モデルを示す図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る弾性支持装置の変形例を説明する模式図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る弾性支持装置の変形例を説明する模式図である。 本発明に基づく第2実施形態に係るバンパーラバーの設置位置を説明する車両側面図である。 本発明に基づく第2実施形態に係るバンパーラバーの構成を説明する図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る弾性支持装置の設置位置を説明する車両側面図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る弾性支持装置の構成を説明する図である。
符号の説明
1 車輪
2 アクスル
3 サスペンションメンバ
4 弾性支持装置(振動減衰装置)
5 車体フレーム
6,7 取付けパネル
8,9 第1弾性体
10 板バネ
10a 板部
11 摩擦力発生部材
12 第2弾性体
15 粘着層
16 フィルム
17 上下軸部材
30 バンパーラバー(振動減衰装置)
31 ショックアブソーバ
31b ピストンロッド
40 リンク部材
41 コネクティング・ロッド
43 回動軸

Claims (8)

  1. 面を対向させた少なくとも一対の板部を備えて、負荷された荷重によって、上記一対の板部の対向面の成す角度が変化するか当該一つの板部にせん断方向の相対変位が発生する板バネと、
    その一対の板部間に介挿した弾性体と、
    上記一対の板部の少なくとも一方の板部の面と上記弾性体との間に介挿された、粘弾性体からなる粘弾性層と、
    その粘弾性層と弾性層との間に介挿され、上記弾性体よりも高強度且つ低ヤング率からなり面外方向に可撓性を有するシート材と、
    を備えることを特徴とする振動減衰装置。
  2. 振動部と固定部との間に介挿する振動減衰装置であって、
    上記振動部及び固定部にそれぞれ連結する一対の第1弾性体と、
    面を対向させた少なくとも一対の板部を備えて上記一対の第1弾性体の間に配置した板バネと、
    一対の板部の間に介挿されて、板状バネが荷重によって変形したときに少なくともせん断変形する第2弾性体と、
    上記一対の板部の対向する2つの面のうちの少なくとも一方の面と第2弾性体との間に介挿されて、上記一方の面に対する第2弾性体のせん断方向への相対変位によって変形して粘性抵抗によって摩擦力を発生する摩擦力発生部材と、
    を備えることを特徴とする振動減衰装置。
  3. 上記摩擦力発生部材は、上記板部の面に被着する粘弾性体からなる粘弾性層と、その粘弾性層と第2弾性体との間に介挿されて面外方向に可撓性を有するシート材と、を備えることを特徴とする請求項2に記載した振動減衰装置。
  4. 上記粘弾性層を形成する粘弾性体は粘着材であって、その粘弾性層を、上記板部の面に粘着により貼り付けることで上記板部の面に被着したことを特徴とする請求項3に記載した振動減衰装置。
  5. 上記シート材は、上記第2弾性体よりも高強度且つ低ヤング率であり且つ粘弾性層よりも高剛性からなることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載した振動減衰装置。
  6. 上記板バネは、振動部から固定部に向けて、螺旋状若しくは渦巻き状に延びていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載した振動減衰装置。
  7. 上記板バネは、上記対を成す板部を複数組有し、その複数組の板部間のバネ剛性について、一部の板部間のバネ剛性を相対的に低く設定したことを特徴とする請求項6に記載した振動減衰装置。
  8. 上記板バネを、複数の板バネを組み合わせて構成したことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載した振動減衰装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104832574A (zh) * 2015-04-20 2015-08-12 侨健新能源科技(苏州)有限公司 一种转向减震连接器
CN115289175A (zh) * 2022-08-26 2022-11-04 上海工程技术大学 一种车辆悬架减振支座

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