JP2009127537A - ベアリングレスモータを用いたポンプ - Google Patents

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真紹 竹本
Yoji Sato
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Abstract

【課題】ポンプ運転中における部品同士の接触を確実に防止できるベアリングレスモータを用いたポンプを提供することにある。
【解決手段】ポンプ100は、両吸込型のインペラ101を回転させるベアリングレスモータ120が該インペラの両側に配置され、回転シャフト102の両側に同極の磁性部材123、124がそれぞれ対向配置され、同極の磁性部材の反発磁力により回転シャフトの軸方向位置が受動制御される。これにより、回転シャフトの両端は同極の磁性部材の反発磁力により支持され、回転シャフトは中立位置に位置決めされる。同極の磁性部材の反発磁力は、両者間の距離が縮まることにより指数関数的に上昇するため、回転シャフトが軸方向に移動しても該移動を抑制して回転シャフトを元の中立位置に戻すように作用する。当該移動距離分の隙間を接触しそうな部品間に設けておくことにより、該部品同士の接触を確実に防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ベアリングレスモータが一体化されてシールレスとされたキャンドポンプ構造のポンプに関し、特に両吸込型のインペラを回転させるベアリングレスモータが該インペラの両側に配置されたポンプに関する。
キャンドポンプ構造のポンプに用いるモータがベアリングを有していると、ポンプが液体を給送する際に該液体がベアリング周辺に回り込んでオイル等により汚染されるおそれがある。そこで、係るモータにはベアリングの代わりにコイルによる磁気力を用いたベアリングレスモータが適している。ベアリングレスモータは、回転機能とラジアル軸受機能を兼ね備えたものであり、回転子の回転駆動を制御する作用と、回転子の径方向位置を制御する作用を奏する。このようなベアリングレスモータを用いたポンプは、一般的に回転軸の中央に回転子及び固定子が配置され、回転軸一端に羽根車が配置され、回転軸他端にスラスト磁気軸受が配置された構成となっている。
ところが、このような構成のポンプは、運転時に軸方向に流体力が発生し、スラスト磁気軸受への負荷が増大する。このため、ポンプの出力を大きくする場合は、スラスト磁気軸受を大型化して対応せざるを得ず、回転軸が長くなる傾向にある。そして、回転軸が長くなることにより回転軸の曲げ周波数が低下するので、該曲げ周波数で決まる回転速度限界も低下する。更に、回転軸の曲げによる偏心量が大きくなるので、回転軸の重量アンバランスが増大し、高速回転では大きな振動が発生する場合がある。
そこで、両吸込型の羽根車を回転軸の中央に配置し、2台のベアリングレスモータを該回転軸の両側に配置し、該回転軸を軸方向に位置決めする圧力バランス機構を備えたポンプが提案されている(特許文献1参照)。係るポンプによれば、ベアリングレスモータにより回転軸は径方向に非接触支持されるとともに、圧力バランス機構により回転軸は軸方向に位置決めされるので、スラスト磁気軸受を省略することができ、回転軸を短くすることができる。このため、回転軸の曲げ周波数が上昇し、該曲げ周波数で決まる回転速度限界も上昇し、高出力のポンプとすることができる。
特開2005−171825号公報
上述した圧力バランス機構は、羽根車の左右対称のシュラウドに、ケーシングの内面と隙間をあけて対面する左右対称の凸部を設けた構成となっている。このような構成において、回転軸が一方の軸方向に移動すると、該移動側の上記隙間が小さくなり、反対側の上記隙間が大きくなる。よって、該移動側のケーシング内の圧力が高くなり、反対側のケーシング内の圧力が小さくなる。そして、この圧力の大小により、回転軸は元の位置に戻される。ところが、このような圧力バランス機構は、ポンプ起動時やポンプ停止時等の低速回転時には機能し難いため、ケーシングの内面に凸部が接触するおそれがある。そして、係る接触により金属粉が発生して給送液を汚染するおそれがあり、特に半導体製造装置等に使用する場合は問題である。
また、半導体製造装置等においては、塩酸、硫酸、王水等の薬液を給送するポンプとして使用したい場合があり、その場合は羽根車の表面及びケーシングの内面を耐薬液性樹脂で被覆する必要がある。ところが、樹脂被覆されたケーシングの内面に樹脂被覆された凸部が接触した場合には、該被覆樹脂が損傷して薬液を給送することが不可能となるおそれがあり、半導体製造装置等に使用する場合は問題である。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その第1の目的は、ポンプ運転中における部品同士の接触を確実に防止できるベアリングレスモータを用いたポンプを提供することにある。
また、その第2の目的は、薬液を安定的に給送することができるベアリングレスモータを用いたポンプを提供することにある。
上記第1の目的達成のため、本発明のベアリングレスモータを用いたポンプでは、両吸込型のインペラを回転させるベアリングレスモータが該インペラの両側に配置されたポンプであって、 回転シャフトの両側に同極の磁性部材がそれぞれ対向配置され、 前記同極の磁性部材の反発磁力により前記回転シャフトの軸方向位置が受動制御されることを特徴としている。
これにより、回転シャフトの両端は同極の磁性部材の反発磁力により支持され、回転シャフトは中立位置に位置決めされる。そして、同極の磁性部材の反発磁力は、両者間の距離が縮まることにより指数関数的に上昇するため、回転シャフトが軸方向に移動しても該移動を確実に抑制して回転シャフトを元の中立位置に戻すように作用する。従って、当該移動距離分の隙間を、接触しそうな部品間に設けておくことにより、該部品同士の接触を確実に防止することができる。
また、前記磁性部材は、モータケーシングの端面と、該端面と対向するモータシャフトの端面にそれぞれ埋設されていることを特徴としている。
これにより、従来の外付け型のスラスト磁気軸受とは異なり、埋め込み型のスラスト磁気軸受として構成できるため、ポンプの出力を大きくしても大型化することはない。
また、前記磁性部材は、前記モータシャフトと同心円環状に形成されて配置されていることを特徴としている。
これにより、磁性部材の加工及び磁性部材を埋め込む側の加工が簡易となる。
また、上記第2の目的達成のため、給送液が接触する部分が、耐薬液性樹脂により形成されていることを特徴としている。
部品同士の接触を確実に防止することができることから樹脂で形成しても問題は無く、例えば半導体製造装置等において薬液を給送するポンプとして使用することができる。
また、前記回転シャフトの回転方向及び径方向の不平衡力を相殺するための磁力の能動制御用のコイルが、前記回転シャフトの回転制御用のコイルと共に設けられていることを特徴としている。
これにより、両吸込型のインペラを回転させるベアリングレスモータが該インペラの両側に配置され、上述した各作用を奏するポンプを実現することができる。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係るベアリングレスモータを用いたポンプを示すカットモデルの斜視図及び断面図である。
このポンプ100には、2つの同一構造のベアリングレスモータ120が、両吸込型のインペラ101の両側に対称配置されている。ベアリングレスモータ120は、インペラ101が嵌入されている回転シャフト102を回転駆動すると共にラジアル磁気軸受及びスラスト磁気軸受として非接触支持するようになっている。このポンプ100は、半導体製造装置等において、塩酸、硫酸、王水等の薬液を給送するポンプとして使用される。
インペラ101は、左右対称に形成されており、左右両側から軸方向に吸い込んだ薬液を遠心方向(半径方向および外周の接線方向)に加圧する。即ち、吸込口103から吸い込まれた薬液は、内側ポンプケーシング104の両側の流路105を流れ、内側ポンプケーシング104の開口部106からポンプ室107内に軸方向に流れ、インペラ101により遠心方向に加圧され、ボリュート108を経て吐出口109より吐出される。インペラ101及び軸端101aの表面、即ち給送する薬液に接触する部分は、例えばフッ素樹脂等の耐薬液性樹脂で被覆されている。
ベアリングレスモータ120は、互いに対峙する内側の回転子121と外側の固定子122と、回転シャフト102の端部側に対向配置された同極(N極同士もしくはS極同士)の磁性部材123、124を備えている。そして、回転シャフト102を含む回転子121を覆うと共に一方の磁性部材123が埋め込まれる円筒状のカバー125が、インペラ101の軸端101aに嵌め込まれ、全体としてモータシャフト126を構成している。更に、このモータシャフト126を微小(1mm〜2mm)のギャップを隔てて覆うと共に他方の磁性部材124が埋め込まれる円筒状の内側モータケーシング127が、内側ポンプケーシング104に嵌め込まれている。そして、この内側モータケーシング127を含む固定子122を覆う円筒状の外側モータケーシング128が、外側ポンプケーシング129に嵌め込まれている。
回転子121は、回転子鉄心121a内に回転子表面より深く埋め込まれた断面円弧状の永久磁石を備え、固定子122は、回転子121を回転駆動する電動機コイル122aと回転子121の径方向位置を制御する位置制御コイル122bとを備えている。即ち、回転シャフト102の回転方向及び径方向の不平衡力を相殺するための磁力の能動制御用の位置制御コイル122bが、回転シャフト102の回転制御用の電動機コイル122aと共に設けられている。このようなベアリングレスモータ120は埋込永久磁石型(deeply−Buried Permanent Magnet Type)と称されている。尚、他の永久磁石型のベアリングレスモータとして、永久磁石の極間に突極を形成したInset型、永久磁石を回転子表面に浅く埋め込んだ埋込永久磁石型(shallowly−Buried Permanent Magnet Type)があり、これらも使用可能である。また、いずれのタイプのベアリングレスモータにおいても、外側に回転子を備え、内側に固定子を備えたものも使用可能である。
磁性部材123、124は、回転シャフト102と同心円環状に形成されている。そして、一方の磁性部材123は、カバー125の端面125a内側に、回転シャフト102と同心円環状に設けられた溝125b内に埋め込まれている。また、他方の磁性部材124は、内側モータケーシング127の端面127a外側に、回転シャフト102と同心円環状であって溝125bと対向するように設けられた溝127b内に埋め込まれている。このような構造によれば、磁性部材123、124や溝125b、127bの加工が簡易となる。これらの磁性部材123、124としては、例えばアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石等の永久磁石が使用される。尚、磁性部材123、124の形状は、回転軸対称の形状であれば、円環状に限らず、円盤状、扇状を環状に配列した形状、円板状や矩形状等を環状に配列した形状等でも良い。
モータシャフト126の外周面及び内側モータケーシング127の内周面、即ち給送する薬液に接触する部分は、例えばフッ素樹脂等の耐薬液性樹脂で被覆されている。尚、モータ回転力がさほど掛からない部材、例えばカバー125全体及び内側モータケーシング127全体をフッ素樹脂等の耐薬液性樹脂で形成しても良い。
以上のような構成のベアリングレスモータ120による回転シャフト102の支持及び駆動について説明する。ベアリングレスモータ120は、固定子122に備えた電動機コイル122a及び位置制御コイル122bにより2つの回転磁界を形成すると共にカバー125と内側モータケーシング127に備えた磁性部材123、124により2つの磁界を形成し、回転シャフト102に固着された回転子121を回転駆動すると共に径方向位置及び軸方向位置を制御する。即ち、固定子122に例えば2極と4極の回転磁界を形成することで、2極の回転磁界により回転子121を回転駆動すると共に、2極の回転磁界と4極の回転磁界との重畳により径方向の静止磁束分布を形成し、この大きさを制御することによりラジアル磁気軸受として回転シャフト102を任意の径方向位置に浮上支持する。
更に、カバー125と内側モータケーシング127との間に磁界を形成することで、スラスト磁気軸受として回転シャフト102を磁気バランスする軸方向位置(中立位置)で浮上支持する。ここで、同極の磁性部材123、124の反発磁力は、両者間の距離が縮まることにより指数関数的に上昇する。よって、例えば給送に不均衡が生じて回転シャフト102が軸方向に移動しても、移動側の上記反発磁力が急上昇して回転シャフト102を元の中立位置に戻すように作用して位置決めするため、回転シャフト102が内側モータケーシング127と接触するようなことはない。尚、給送に不均衡が生じて回転シャフト102が径方向に移動した場合は、図示しない変位センサにより回転シャフト102の径方向位置を検出して図示しない制御装置に送り、4極回転磁界(制御磁界)の大きさ及び位相の制御信号を固定子122に送ることにより、回転シャフト102を元の位置に戻して位置決めする。
以上のように本実施形態の両吸込型のインペラ101を回転させるベアリングレスモータ120が該インペラ101の両側に対称配置されたポンプ100によれば、回転シャフト102の両側にそれぞれ対向配置された同極の磁性部材123、124の反発磁力により回転シャフト102の軸方向位置が受動制御されるので、回転シャフト102は両端支持されて中立位置に位置決めされる。そして、回転シャフト102が軸方向に移動しても該移動を抑制して回転シャフト102を元の中立位置に戻すので、当該移動距離分の隙間を接触しそうな部品間に設けておくことにより、該部品同士の接触を確実に防止することができる。
また、磁性部材123、124は、内側モータケーシング127の端面127a外側と、該端面127a外側と対向するカバー125の端面125a内側にそれぞれ埋設されているので、従来の外付け型のスラスト磁気軸受とは異なり、埋め込み型のスラスト磁気軸受として構成でき、ポンプ100の出力を大きくしても大型化することはない。即ち、一般的な外付け型のスラスト磁気軸受は、軸に固定された円盤と、その円盤を軸方向から挟み込むように対向配置された電磁石により構成される。このような外付け型のスラスト磁気軸受を有するポンプの構成では、回転シャフト全長が長くなるため、回転シャフトの危険周波数が低下し、高速回転が困難になる。また、外付け型のスラスト磁気軸受を追加したため、回転体全体の表面積が増えることになり、回転体全体を取り巻く液体の摩擦損失が増加し、その結果、ポンプのエネルギー損失も大きくなる。しかしながら、上述した埋め込み型のスラスト磁気軸受を備えることにより、外付け型のスラスト磁気軸受が完全に不要となる。この結果、回転シャフト102を短縮できるので、共振周波数を高くすることができ、また、外付け型のスラスト磁気軸受部分で発生していた液体の摩擦損失を皆無にできる。
尚、ケーシングのボリュート108をダブルボリュートタイプにすることで、インペラ101に作用する流体力のラジアル成分を大幅に減らすことができ、これにより、回転シャフト102のラジアル変位は微小となり、振動の少ないポンプとすることができる。このラジアル方向の振動低減の効果は、上述したようなダブルボリュートケーシングの形状でなくても、適正配置されたディフューザによっても同様な効果を得ることもできる。
上述した実施形態では、液体を給送するポンプ100を例に説明したが、気体や粉体等を給送するポンプにも適用可能である。また、ポンプに限らず、コンプレッサ、ブロア、ファン、ディスクドライブユニット、粉化機、ガス移送機、半導体製造装置、フライホイール、モニター装置用の回転ステージ、スピンドル、多段発電機、遠心分離機にも本発明は適用可能である。
本発明の実施の形態に係るベアリングレスモータを用いたポンプを示すカットモデルの斜視図である。 図1の断面図である。
符号の説明
100 ポンプ、101 インペラ、102 回転シャフト、103 吸込口、104 内側ポンプケーシング、105 流路、106 開口部、107 ポンプ室、108 ボリュート、109 吐出口、120 ベアリングレスモータ、121 回転子、122 固定子、122a 電動機コイル、122b 位置制御コイル、123、124 磁性部材、125 カバー、126 モータシャフト、127 内側モータケーシング、128 外側モータケーシング、129 外側ポンプケーシング

Claims (5)

  1. 両吸込型のインペラを回転させるベアリングレスモータが該インペラの両側に配置されたポンプであって、
    回転シャフトの両側に同極の磁性部材がそれぞれ対向配置され、
    前記同極の磁性部材の反発磁力により前記回転シャフトの軸方向位置が受動制御されることを特徴とするベアリングレスモータを用いたポンプ。
  2. 前記磁性部材は、モータケーシングの端面と、該端面と対向するモータシャフトの端面にそれぞれ埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のベアリングレスモータを用いたポンプ。
  3. 前記磁性部材は、前記モータシャフトと同心円環状に形成されて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベアリングレスモータを用いたポンプ。
  4. 給送液が接触する部分が、耐薬液性樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のベアリングレスモータを用いたポンプ。
  5. 前記回転シャフトの回転方向及び径方向の不平衡力を相殺するための磁力の能動制御用のコイルが、前記回転シャフトの回転制御用のコイルと共に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のベアリングレスモータを用いたポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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