JP2009127451A - 流体混合装置及び脱硝装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流通路4の壁面6から内径側に突出して形成され、流通路4の連通方向の螺旋軸を有する螺旋状案内羽根1を備えるとともに、この螺旋状案内羽根1の内径側部位に、流通路4の連通方向に連続する連通開放領域7を形成し、当該螺旋状案内羽根1の位置よりも上流側の流通路4の壁面6に、噴出口5を設ける。
【選択図】図2
Description
かかる脱硝装置は、流体混合装置において排ガスと還元剤が均一に混合されなければ、充分な窒素酸化物の分解性能が得られない。又、触媒の劣化が局所的なものになり触媒の寿命が短くなるなどの、問題が生じる。更に、脱硝装置において、流通路において第1流体に対して発生する圧力損失が大きければ、その流通路の上流側にある燃焼機関の運転に支障を与える場合もある。
噴出口を、流通路の流路断面において邪魔部が配置された領域以外の開放領域又はその上流側に配置する(例えば、特許文献1を参照。)。
この技術では、第2流体を流通路全体に渡って良好に拡散させ、第1流体に対して第2流体を均一に混合することができる。また、このように噴出口と邪魔部とを配置すると、邪魔部を比較的小さくしても、第1流体に対して第2流体を均一に混合することができるので、流通路における第1流体に対する圧力損失の増加を抑制することができる。
すなわち、上記技術では噴出口を設けるのに、流通路の流体流路内にその流通路を横断して供給管5を設け、この供給管5に設けられた噴出口6から第2流体を噴出する。そこで、エンジンから排出される排ガスのように、第1流体が腐食性を有するガスの場合は供給管5が腐食されるおそれがある。さらに、第1流体、第2流体の種類によっては、供給管5に設けられる噴出口6が、腐食生成物によって或いは反応生成物によって目詰まりする場合がある。
前記流通路の壁面から内径側に突出して形成され、前記流通路の連通方向の螺旋軸を有する螺旋状案内羽根を備えるとともに、前記螺旋状案内羽根の内径側部位に、前記流通路の連通方向に連続する連通開放領域を形成し、
前記螺旋状案内羽根の位置よりも上流側の流通路の壁面に、前記噴出口を設けたことにある。
この構成にあっては、流路横断方向において、螺旋状案内羽根の突出高さが、螺旋状案内羽根への第2流体の侵入位置における第2流体の拡散領域の高さである拡散高さの過半とされることにより、第2流体の過半を羽根に沿って形成される螺旋流路内に取り込むことが可能となり、このように取り込まれた第2流体を径方向の反対側に壁面に沿って案内することで、十分な拡散混合を起こさせることができる。
4:5より大きいと、螺旋状案内羽根による混合能を得にくくなりがちであり、3:11より小さいと、圧力損失が増大する。
このように、螺旋状案内羽根を複数の案内羽根部から形成し、複数の隙間を設けることで、流れの混合をさらに促し、また、圧力損失を、隙間を設けない場合と比較して、低減することができる。
ここで、螺旋状案内羽根のターン数を複数回とする場合に、流路連通方向でみた隙間の位置が周方向の位相で重ならない位置とすることで、流体の素通りを避けることができる。
このように構成することで、圧力損失の低減を図りながら、さらに、周方向の複数箇所から流体を下流側に導いて、混合拡散を促すことができる。
1:16より小さいと、隙間を設ける効果(圧力損失の低減及び混合拡散効果)が低くなりがちであり、7:16より大きいと、混合効果が低下しがちである。
燃焼機関から排出され流通路を流通する排ガスに対して還元剤を混合する流体混合装置を備え、前記流体混合装置により混合された混合ガスを触媒反応により脱硝する脱硝装置であって、
前記流体混合装置として、以上説明してきた流体混合装置を、前記第1流体を前記排ガスとし、前記第2流体を前記還元剤とした形態で備えることで、第1流体と第2流体との混合を十分且つ安定的に得て、その混合ガスを触媒部に導いて脱硝を良好に行うことができる。
本願では、流体混合装置100として、第1実施形態及び第2実施形態を紹介する。ここで、第1実施形態は、本願にいう螺旋状案内羽根1が単一の部材から構成される例であり、第2実施形態は、螺旋状案内羽根1が、複数の案内羽根部2を組み合わせて構成されており、異なる案内羽根部2間に所定の隙間3を備えた例である。この螺旋状案内羽根1内に、本願にいう螺旋流路が形成される。
〔共通事項〕
図1は、本願に係る脱硝装置200の構成を示す図であり、図2(第1実施形態)、図6(第2実施形態)は、この脱硝装置200の一部に組込まれている本願に係る流体混合装置100の構成を模式的に示した図である。
図1に示すように、当該脱硝装置200は、燃焼機関201(図示する例にあっては、発電機202を回転駆動させるためのエンジン203)から排出される排ガスに、本願に係る流体混合装置100を使用して還元剤を混合し、当該流体混合装置100により均一に混合された混合ガスを、触媒(還元触媒及び酸化触媒)204が配設される触媒部205に導いて、排ガスを無害化するものである。従って、本構成にあっては、燃焼機関201からの排ガスが本願における第1流体Aに該当し、排ガスに混合される還元剤が第2流体Bとなる。ここで、排ガスには無害化対象の窒素酸化物が含まれ、この窒素酸化物を無害化するための還元剤は、具体的には尿素と水との混合物となる。これら還元剤はガス状態で流通路に供給してもよいし、ミスト状態で流通路に供給してもよい。
この流体混合装置100には、流通路4内の一部領域に螺旋状案内羽根1が配置されており、この螺旋状案内羽根1により、流通路4を流れる第1流体Aに旋回成分を与えることが可能となるとともに、流通路4の壁面6に沿って流れ易い第2流体Bを流通路4の壁面6に沿って旋回させ、周方向に分散させるとともに、第1流体Aとの混合を図る構成とされている。本実施形態では、当該螺旋状案内羽根1が単一の部材として構成されている。
今、流通路4の壁面6から螺旋状案内羽根1の内径端までの長さを羽根の突出高さh1と呼ぶと、この突出高さh1は、噴出口5から噴出される第2流体Bの拡散領域Z(螺旋状案内羽根1の上流側近傍位置における第2流体の拡散領域)の流路横断方向の高さ(拡散高さと呼ぶ)hzに対して、少なくともその過半の高さとなるように構成されている(図3(b)及び図9(a)参照)。このように螺旋状案内羽根1の突出高さh1が設定されることで、噴出口5から噴出される第2流体Bの過半を螺旋流路内に取り込み旋回を与え、第2流体を噴出口5が設けられている流通路4の周方向位相とは反対側の位相部位にまで導いて、流通路4内での第2流体Bの均等分散を図ることができる。
図4は、本実施形態の流体混合装置100の混合状態を、数値解析手法にてシミュレーションしたものであり、図4(a)は、図9(a)に対応する流通路4に沿った分布を示す図面であり、図4(b)は、図9(b)に対応する触媒部205の入口における断面方向の分布を示す図である。これらの図から判明するように、第2流体Bは噴出口5の配設側とは反対側まで案内されており、触媒部205の入口で第2流体Bが断面全体にほぼ均一に分散されていることが判る。
図5(a)は、螺旋状案内羽根1の壁面6からの突出高さh1を変化させた場合の第2流体Bの濃度分布を検討した結果である。この例では、流路径を590mmとしている。また、第2流体の量は第1流体の量に対して、1(第2流体量):1000(第1流体量)としている。
同図において、横軸は突出高さh1を、縦軸は第2流体Bの濃度を示しており、第2流体Bの濃度として、最大濃度(濃度maxと記載)及び最低濃度(濃度minと記載)を示している。これら、最大濃度及び最小濃度が近づいている程、均一な混合を実現できていることとなる。
この図から螺旋状案内羽根1の突出高さh1に好ましい範囲があることが判る。突出高さh1が低い場合は、充分な混合を行うことができず、突出高さh1が高すぎる場合も、均一混合の効果が低下する。
図5(b)は、羽根1の突出高さh1を変化させた場合の圧力損失を検討した結果である。
同図において、横軸は突出高さh1を、縦軸は圧力損失を示している。この図から螺旋状案内羽根1の突出高さh1が高くなるに従って、圧力損失が増加することが判る。
以上、混合状態と圧力損失との両方を考慮して、それらのバランスのとれる範囲で、羽根1の突出高さh1を決定することが好ましいことが判る。
また、図3(b)からも判明するように、螺旋状案内羽根1の最上流側端1bの周方向の位相は、噴出口5の位相位置に対して、時計周りに約90度遅れた位置とされており、この位相位置に螺旋状案内羽根1の始端を設けることで、噴出口5から噴出される第2流体の過半を羽根1内に巻き込み充分な螺旋成分を与えることができる。
図6は、本願に係る流体混合装置100の第2実施形態を示した図面である。
この例にあっても、流体混合装置100は、流通路内に螺旋状案内羽根1を有して構成されている。但し、この例では、螺旋状案内羽根1が複数の案内羽根部2から構成されている。すなわち、図6からも判明するように、螺旋状案内羽根1は、複数の案内羽根部2を順次螺旋状に配設して構成されており、隣接する案内羽根部2間に、流通路4の連通方向において連通する隙間3が設けられている。この隙間3は、羽根1の突出高さh1全体に渡る隙間となっており、この隙間3を流体が流通路4の連通方向に流通可能である。さらに、図示する例では、流通路4の連通方向視で周方向4箇所に隙間3が設けられるとともに、上流側に位置する隙間3と下流側に位置する隙間3の関係では、互いにその位相が一致しないように構成されている。このように位相を異ならせ隙間3を設けることで、流体が流通路4の連通方向に吹き抜けるのを防止することができる。
さて、流通路4の連通方向視で、前記案内羽根部2が占有する領域に対する、前記隙間3が占有する領域の面積比は、1:16〜7:16の範囲とされている。このように、占有比率を選択することで、螺旋状案内羽根1により流れに与えることができる旋回効果と、圧力損失とのバランスを取ることができる。
本第2実施形態のように、螺旋状案内羽根1を構成するに、間に隙間3を備えた複数の案内羽根部2を備える場合は、その旋回能において先の第1実施形態よりは劣ることとなる。但し、螺旋が数ターン形成され、さらに、同一位相箇所に隙間3が設けられない構成を採用することで、第2流体Bにある程度の旋回を付与することができる。
図7は、本実施形態の流体混合装置100の混合状態を、数値解析手法にてシミュレーションしたものであり、図7(a)は、図9(a)に対応する流通路4に沿った分布を示す図面であり、図7(b)は、図9(b)に対応する触媒部205の入口における断面方向の分布を示す図である。具体的には、図4に示した第1実施形態の条件に加えて、先の、案内羽根部2が占有する領域に対する、隙間3が占有する領域の面積比を5:32とした。
これらの図から判明するように、第2流体Bは噴出口5の配設側とは反対側まで案内されており、触媒部205の入口で第2流体が断面全体にほぼ均一に分散されていることが判る。
さらに、第2実施形態で、ターン数を5とした構成での最大濃度と最小濃度との差は、第1実施形態で、図5(a)において突出高さを60mm程度とした場合の差に匹敵ものであった。従って、充分採用可能である。
2:案内羽根部
3:隙間
4:流通路
5:噴出口
6:壁面
7:連通開放領域
100:流体混合装置
200:脱硝装置
201:燃焼機関
205:触媒部
205a:触媒部入口
A:第1流体
B:第2流体
Z:拡散領域
Claims (7)
- 第1流体が流通する流通路に、前記流通路に配置された噴出口から、第2流体を噴出して前記第1流体に前記第2流体を混合する流体混合装置であって、
前記流通路の壁面から内径側に突出して形成され、前記流通路の連通方向の螺旋軸を有する螺旋状案内羽根を備えるとともに、前記螺旋状案内羽根の内径側部位に、前記流通路の連通方向に連続する連通開放領域を形成し、
前記螺旋状案内羽根の位置よりも上流側の流通路の壁面に、前記噴出口を設けた流体混合装置。 - 前記螺旋状案内羽根の突出高さが、前記螺旋状案内羽根への侵入位置における、前記噴出口から噴出される第2流体の流路横断方向の拡散高さに対して、少なくとも過半の高さとされる請求項1記載の流体混合装置。
- 前記流通路の連通方向視で、前記流通路の全断面積に対する、前記連通開放領域の面積比が、3:11〜4:5の範囲とされる請求項1又は2記載の流体混合装置。
- 前記螺旋状案内羽根が、前記流通路の連通方向において連通する隙間を挟んで配設される複数の案内羽根部から構成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の流体混合装置。
- 前記螺旋状案内羽根の一ターン内に前記隙間が複数設けられている請求項4記載の流体混合装置。
- 前記流通路の連通方向視で、前記案内羽根部が占有する領域に対する、前記隙間が占有する領域の面積比が、1:16〜7:16の範囲とされる請求項4又は5記載の流体混合装置。
- 燃焼機関から排出され流通路を流通する排ガスに対して還元剤を混合する流体混合装置を備え、前記流体混合装置により混合された混合ガスを触媒反応により脱硝する脱硝装置であって、
前記流体混合装置として、請求項1〜6のいずれか一項記載の流体混合装置を、前記第1流体を前記排ガスとし、前記第2流体を前記還元剤とした形態で備えた脱硝装置。
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