本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、インフラストラクチャ・モード下において、制御局がネットワーク内の各端末局のアクセス・タイミングを調停し、各端末局が互いに同期をとって無線通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
旧来の有線通信方式における配線から解放するシステムとして、無線ネットワークが注目されている。無線ネットワークに関する標準的な規格として、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15を挙げることができる。
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。制御局は、ネットワーク内にある複数の端末局のアクセス・タイミングを調停し、各端末局が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
また、無線ネットワークを構成する他の方法として、各端末局が自律分散的にピア・ツウ・ピア(Peer to Peer)で動作し、端末局自らがアクセス・タイミングを決定する「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定の制御局を利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。
例えばIEEE802.11におけるネットワーキングは、BSS(Basic Service Set)の概念に基づいている。BSSは、制御局が存在する「インフラストラクチャ・モード」で定義されるBSSと、複数のMT(Mobile Terminal:移動局)のみにより構成されるアドホック・モードで定義されるIBSS(Independent BSS)の2種類で構成される。
インフラストラクチャ・モード下では、制御局は、自局の周辺で電波の到達する範囲をBSSとしてまとめ、いわゆるセルラ・システムで言うところの「セル」を構成する。制御局の近隣に存在する端末局は、制御局に収容され、BSSのメンバとしてネットワークに参入する。すなわち、制御局は適当な時間間隔でビーコンと呼ばれる制御信号を送信し、このビーコンを受信可能である端末局は制御局が近隣に存在することを認識し、さらに制御局との間でコネクション確立を行なう。
インフラストラクチャ・モード時には、制御局のみが所定フレーム周期でビーコンを送信する。他方、周辺MTはAPからのビーコンを受信することでネットワークへの参入を果たし、自らはビーコンを送信しない。
図19には、インフラストラクチャ・モード時のIEEE802.11の動作例を示している。図示の例では、通信局STA0が制御局として動作し、他の通信局STA1並びSTA2が端末局として動作している。制御局としての通信局STA0は、同図右側のチャートに記したように、一定の時間間隔でビーコン(Beacon)を送信する。次回のビーコンの送信時刻は、ターゲット・ビーコン送信時刻(TBTT:Target Beacon Transmit Time)というパラメータとして制御局内で管理されている。そして、時刻がTBTTに到来すると、制御局はビーコン送信手順を動作させている。
制御局周辺の端末局STA1並びSTA2は、制御局が報知するビーコンを受信して、内部のBeacon Intervalフィールドとそのビーコンの受信時刻から次回のビーコン送信時刻を認識することが可能である。端末局は、(受信の必要がない場合には)PowerSaveモードに移行し、間欠的にのみ受信動作を行なうことにより、低消費電力化を図ることができる。具体的には、端末局は、次回あるいは複数回先のビーコン受信時刻(TBTT)まで受信機の電源を落としたスリープ状態(Doze)に入る。そして、PowerSaveモード下の各端末局が起床(Wake)するタイミングが制御局で一元的に管理される。
一方、アドホック・モードのIBSSにおいては、各端末局は、他の端末局とネゴシエーションを行なった後に自律的にIBSSを定義する。これらの端末局群は、一定間隔毎にTBTTを定める。そして、各端末局は自局内のクロックを参照することによりTBTTが到来したことを認識すると、ランダム・バックオフの遅延の後、未だ誰もビーコンを送信していないと認識した場合にはビーコンを送信する。
図20には、アドホック・モード時のIEEE802.11の動作例を示している。図示の例では、2台の端末局(MT)がIBSSを構成する様子を示している。この場合、IBSSに属するいずれか一方のMTが、TBTTが到来する毎にビーコンを送信することになる。また、各MTから送出されるビーコンが衝突する場合も存在している。また、IBSSにおいても、MTは必要に応じて送受信機の電源を落とすスリープ状態に入ることがある。
制御局を経由するインフラストラクチャ・モードでは、配下の各端末局は有線LANやインターネットなどのバックボーン・ネットワークに接続することができる。但し、制御局を介した無線通信が必要であることから伝送路の利用効率が半減してしまうため、アドホック・モードと比較してスループットが低下するという短所を持つ。一方のアドホック・モードでは、端末局同士が直接通信するため制御局中継によるオーバーヘッドが無くスループットが上がるが、有線LANやインターネットなどのバックボーン・ネットワークに接続できないという短所を持つ。
これら2つのモードそれぞれの長所を生かすことができる方式として、DLP(ダイレクト・リンク・プロトコル)方式がIEEE802.11e−D13.0にてオプション機能として定義されている。この方式では、インフラストラクチャ・モードを保ったまま端末局同士の直接通信リンクを設定し、直接通信することができるようになる。
端末局同士が直接通信すれば、制御局を経由することに伴うオーバーヘッドがなくなるので、直感的にはスループットが向上する旨を述べた。しかし、DLPを行なって直接通信を確立したとしても、通信相手が十分な電波の届く位置、且つ通信品質を得られる位置、すなわちダイレクト・リンク圏内にいないと、パケット・エラーの頻発などにより逆にスループットを下げてしまうことがある。このため、通信相手との直接通信の可否を確かめる方法が必要であると思料される。
例えば、制御局を経由して他の端末局に対してリンク接続し、リンク接続された他の端末局に対して直接無線通信が可能であるか否かを確認し、他の端末局との間で、直接無線通信によって所定の通信データを通信する無線通信装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
また、他の端末局が出す電波をあらかじめすべて受信し、受信できた端末局のリストを作成することで直接通信が可能な端末局か否かを判断する無線LANシステムについて提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。このシステムでは、制御局を中心に構成されたネットワークに複数の端末局が接続され、各端末局が相互に無線通信可能な範囲に存在している場合に、制御局による管理の下で端末局同士がアドホック・モードにより無線LAN通信を行なう。制御局によって送信されたネットワーク情報を受信した各端末局は、これに応答して少なくともアドレス情報を返信し、アドレス情報を受信した各端末局が、当該アドレス情報に基づいてアドレス・テーブルを作成し、アドホック・モードによる通信を行なう場合にこれを参照することにより、アドホック・モードで通信可能かどうかが判断される。
しかしながら、端末間で直接通信を行なうこれらの方式ではいずれも、無線パケットの種別や送信元の端末局のアドレスを取得するために、あらかじめ専用のパケットを投げてから制御局側の指示に呼応して端末局全員が専用パケットを送信しなければならないことや、実際に送受信したいデータがない相手端末局に対しても直送リンクのネゴシエーションや品質測定などを行なっており、システム全体で見ても処理の負荷が増大する傾向にあると思料される。
通信相手との直接通信の可否を確かめるさらの他の方法として、ダイレクト・リンク・プロトコル(DLP)モードを先に確立し、ICMP echo requestを直接通信で送信し、この返答の回数を数えて直接通信の可否を判断する通信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
しかしながら、上述した3種類の通信方式はいずれも、制御局側にDLPかそれに代わる専用の機能がないと動作が一切成立しないという問題がある。
また、IEEE802.11e−D13.0で規定するダイレクト・リンク・モードでは、リンク設定後は省電力(PowerSave)モードに入ることができないという問題がある。これは、インフラストラクチャ・モード下では各端末局が起床(Wake)するタイミングを制御局で一元的に管理しており、言い換えれば、端末局同士では通信相手の起床状態を知ることができないため、常時起床していないと確実にパケットを届けることができないことに依拠している。
特開2003−348103号公報
特開2004−72565号公報
特開2006−128949号公報
本発明の目的は、インフラストラクチャ・モードを保ったまま端末局同士で直接通信リンクを設定して直接通信することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各端末局が端末局同士で直接通信の可否を好適に確かめて、スループットの低下を招くことのない通信相手と直接通信リンクを設定することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、制御局側にDLPなどの専用の機能を用いることなしに、端末局同士で直接通信の可否を好適に確かめて、スループットの低下を招くことのない通信相手と直接通信リンクを設定することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各端末局が省電力モードに移行することが可能であるとともに、互いの起床状態を認識することなしに通信相手との直接通信を開始することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第1の端末局は、前記第2の端末局宛てのパケットを前記制御局経由で送信するとともに、前記制御局が前記第2の端末局宛てに当該パケットを転送してから所定期間が経過したときに前記第2の端末局から返信される確認応答パケットを受信したことに基づいて、前記第2の端末局がダイレクト・リンク可能な圏内にいることを検出する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない(以下、同様)。
インフラストラクチャ・モードでは、配下の各端末局は有線LANやインターネットなどのバックボーン・ネットワークに接続可能となるが、制御局経由でデータ伝送を行なうことから伝送路の利用効率が半減する。このため、インフラストラクチャ・モードを保ったまま端末局同士のダイレクト・リンクを設定し、制御局を介さずダイレクト通信を行なう通信方法が考えられる。
ところが、通信相手が十分な電波の届く位置、且つ通信品質を得られるダイレクト・リンク圏内にいないと、パケット・エラーの頻発などにより逆にスループットを下げてしまうことがある。このため、通信相手との直接通信の可否を確かめる方法が必要であると思料される。
本発明に係る無線通信システムでは、インフラストラクチャ・モード下で行なわれる制御局と端末局間の通常の送受信動作を利用して、ダイレクト・リンクを確立したい通信相手がダイレクト・リンク圏内にいるかどうかの判断を行なうようになっている。このような場合、通信相手とのダイレクト通信の可否を確かめる処理は、最小限の負荷で行なうことができる。また、所望の通信相手とのダイレクト・リンクを確立する前に事前に、ダイレクト・リンクの無線品質の測定を行なうことから、十分な通信品質が得られない通信相手とダイレクト通信を行なうことによるスループットの低下を回避することができる。
具体的には、本発明の第1の側面では、第1の端末局は、第2の端末局から返信される通常のAckパケットを受信待機すればよい。すなわち、専用のパケットを利用せずにダイレクト・リンクの検出処理を行なうことができるので、システム全体での処理の負荷を抑制することができる。
前記第1の端末局は、前記第2の端末局への伝送データが発生したこと、又は、前記第2の端末局からのデータ要求を受信したことに応じて、前記の検出動作を開始すればよい。
また、本発明の第2の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第1の端末局は、前記制御局経由で前記第2の端末局にダイレクト・リンクのテスト要求を送信し、前記制御局経由で前記第2の端末局から該テスト要求に対する確認応答を受信した後に、前記第2の端末局宛てにテスト・パケットをダイレクト送信し、
前記第2の端末局は、前記第1の端末局から受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報を記録し、該記録した情報を記載したレポート・パケットを前記制御局経由で前記第1の端末局に送信し、
前記第1の端末局は、前記レポート・パケットに記載されている情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクの評価を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
本発明の第2の側面によれば、第1の端末局は、ダイレクト・リンクを検出した第2の端末局を通信相手として、そのダイレクト・リンクの評価を行なうことができる。また、第2の端末局とのダイレクト・リンクを確立する前に事前に、ダイレクト・リンクの無線品質の測定を行なうことから、十分な通信品質が得られない通信相手とダイレクト通信を行なうことによるスループットの低下を回避することができる。
ここで、前記第2の端末局は、該テスト要求に対する確認応答に、前記制御局と前記第2の端末局間の無線リンクに関する情報を記載してもよい。このような場合、前記第1の端末局は、前記レポート・パケットに記載されている受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報と、前記制御局と前記第2の端末局間の無線リンクに関する情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクを制御局経由の通信と比較して、総合的に評価を行なうことができる。
また、本発明の第3の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、前記第1の端末局と前記第2の端末局の間ではダイレクト・リンクが確立しており、
前記第1の端末局は、前記第2の端末局宛に対するダイレクト通信要求を前記制御局経由で送信するとともに、前記第2の端末局から返信される確認応答を前記制御局経由で受信したことに応じて、前記第2の端末局とのダイレクト通信を開始する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
本発明の第3の側面によれば、ダイレクト・リンクが確立した後であっても、各端末局はPowerSaveモードに移行することができ、端末局同士が互いの起床状態を認識することなしに通信相手との直接通信を開始することができる。
前記第1の端末局と前記第2の端末局はダイレクト・リンクが確立している間も間欠的に受信動作を行なう省電力動作モードで動作している場合、前記制御局は、前記第2の端末局がAwake状態となるタイミングに合わせて前記のダイレクト・リンク通信の要求を転送するとともに、前記第1の端末局がAwake状態となるタイミングに合わせて前記の確認応答を転送するようにすればよい。
遅延を気にしないデータ伝送であれば、第1の端末局と第2の端末局間でダイレクト・リンクが確立した後であっても、それぞれの端末局はPowerSaveモードで運用することができる。第1の端末局がダイレクト・リンク通信を開始したいときには、その旨の要求は制御局経由で第2の端末局に転送される。制御局は、BSSに収容する各端末局の起床状態を一元的に管理しており、各端末局がAwake状態となるタイミングでダイレクト・リンク通信の要求並びにこれに対する確認応答を各端末局に転送することができる。
また、本発明の第4の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第1の端末局は、前記第2の端末局宛てにダイレクト・リンクをテストするためのテスト・パケットをダイレクト送信し、前記第2の端末局から返されるAckパケットを受信した回数又はその受信電力に基づいて、前記第2の端末局がダイレクト・リンク可能な圏内にいることの検出、及び、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクの評価を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
このような手順でダイレクト・リンクの検出とその評価を同時に行なう場合には、リンクが検出できないような状況下でもテスト・パケットを送信してしまうというリスクはあるが、データ受信先である第2の端末局の負荷を減らし処理を簡略化することができるという利点がある。
また、本発明の第5の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第1の端末局は、前記制御局経由で前記第2の端末局にダイレクト・リンクのテスト要求を送信し、前記制御局経由で前記第2の端末局から該テスト要求に対する確認応答を受信した後に、前記第2の端末局宛てにテスト・パケットをダイレクト送信し、
前記第2の端末局は、前記第1の端末局から受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報を記録し、該記録した情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクの評価を行なって、該評価結果を前記制御局経由で前記第1の端末局に送信する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
本発明の第5の側面では、本発明の第2の側面とは相違して、リンク確立可否の判断をデータ受信先である第2の端末局に委ねる構成となっているが、この場合、ダイレクト・リンクの確立要請/返答処理を評価処理に含めて簡略化することができる。
ここで、前記第1の端末局は、該テスト要求に、前記第1の端末局と前記制御局間の無線リンクに関する情報を記載してもよい。このような場合、前記第2の端末局は、受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報と、前記第1の端末局と前記制御局間の無線リンクに関する情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクを制御局経由の通信と比較して、総合的に評価を行なうことができる。
また、本発明の第6の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第1の端末局は、前記制御局経由で前記第2の端末局にダイレクト・リンクのテスト要求を送信し、
前記第2の端末局は、前記制御局経由で前記第1の端末局からの該テスト要求に対する確認応答を送信した後に、前記第1の端末局宛てにテスト・パケットをダイレクト送信し、
前記第1の端末局は、前記第2の端末局から受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報を記録し、該記録した情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクの評価を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
本発明の第6の側面によれば、データ受信先である第2の端末局側からテスト・パケットを送信して、データ送信元である第1の端末局でダイレクト・リンクの評価を行なうことも可能である。
ここで、前記第2の端末局は、該テスト要求に対する確認応答に、前記制御局と前記第2の端末局間の無線リンクに関する情報を記載してもよい。このような場合、前記第1の端末局は、受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報と、前記制御局と前記第2の端末局間の無線リンクに関する情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクを制御局経由の通信と比較して、総合的に評価を行なうことができる。
また、本発明の第7の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第1の端末局は、前記制御局経由で前記第2の端末局にダイレクト・リンクのテスト要求を送信し、
前記第2の端末局は、前記制御局経由で前記第1の端末局からの該テスト要求に対する確認応答を送信した後に、前記第1の端末局宛てにテスト・パケットをダイレクト送信し、
前記第1の端末局は、前記第2の端末局から受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報を記録し、該記録した情報を記載したレポート・パケットを前記制御局経由で前記第2の端末局に送信し、
前記第2の端末局は、前記第2の端末局から受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報を記録し、該記録した情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクの評価を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
本発明の第7の側面によれば、データ受信先である第2の端末局側からテスト・パケットを送信するとともに、第2の端末局でダイレクト・リンクの評価を行なうことも可能である。この場合、リンク確立可否の判断をデータ受信先である第2の端末局に委ねることにより、ダイレクト・リンク確立要請/返答処理を評価処理に含めて簡略化することができる。
ここで、前記第1の端末局は、該レポート・パケットに、前記第1の端末局と前記制御局間の無線リンクに関する情報を記載してもよい。このような場合、前記第2の端末局は、前記レポート・パケットに記載されている受信したテスト・パケットの数又はその受信電力を含む情報と、前記制御局と前記第1の端末局間の無線リンクに関する情報に基づいて、前記第1の端末局と前記第2の端末局間のダイレクト・リンクを制御局経由の通信と比較して、総合的に評価を行なうことができる。
また、本発明の第8の側面は、インフラストラクチャ・モード下でパケット伝送動作が運営される無線通信システムであって、
データ送信元となる第1の端末局と、データ受信先となる第2の端末局と、各端末局を収容して、端末局同士で伝送するパケットを中継する制御局を備え、
前記第2の端末局は、前記第1の端末局から前記制御局に送信された自局宛てのデータ・パケットを受信したことに基づいて、前記第1の端末局がダイレクト・リンク可能な圏内にいることを検出する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
本発明の第8の側面によれば、第2の端末局は、第1の端末局が自局宛てにデータ伝送を行なう際に、第1の端末局が制御局経由で届けようとしたパケットを受信待機すればよい。すなわち、本発明の第1の側面と同様に、専用のパケットを利用せずにダイレクト・リンクの検出処理を行なうことができるので、システム全体での処理の負荷を抑制することができる。
前記第2の端末局は、前記第1の端末局からのデータ・パケットを前記制御局経由で受信したこと、又は、前記第1の端末局へのデータ要求が発生したことに応じて、前記の検出動作を開始すればよい。
また、上記の本発明の各側面において、前記第1又は第2の端末局は、テスト要求並びにこれに対する確認応答、ダイレクト通信要求並びにこれに対する確認応答要求といった、ダイレクト・リンクの評価や確立の際に使用されるネゴシエーション用のパケットを、IEEE802.11n−D1.0で定義されているQoS Null Embedding Management Actionを利用して、データ・タイプのフレームにカプセル化して送信するようにしてもよい。この場合、IEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送ることができる。
また、本発明の第9の側面は、制御局に収容されてインフラストラクチャ・モード下で通信相手局に対してデータを送信するための処理をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータに対し、
前記通信相手局宛てのパケットを前記制御局経由で送信する第1の手順と、
前記制御局が前記通信相手局に転送した当該パケットを受信する第2の手順と、
前記第2の手順おいて当該パケットを受信してから所定期間が経過したときに前記通信相手局から返信される確認応答パケットを受信待機する第3の手順と、
前記第3の手順において確認応答パケットを受信したことに基づいて、前記通信相手局がダイレクト・リンク可能な圏内にいることを検出する第4の手順と、
を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
また、本発明の第10の側面は、制御局に収容されてインフラストラクチャ・モード下で通信相手局からデータを受信するための処理をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータに対し、
前記通信相手局から前記制御局に送信された自局宛てのデータ・パケットを受信したことに基づいて、前記通信相手局がダイレクト・リンク可能な圏内にいることを検出する検出手順を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第9乃至第10の各側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第9の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータにインストールすることによってコンピュータ上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る無線通信システムにおいて、第1の端末局として動作して、同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第10の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータにインストールすることによってコンピュータ上では協働的作用が発揮され、本発明の第8の側面に係る無線通信システムにおいて、第2の端末局として動作して、同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、インフラストラクチャ・モードを保ったまま端末局同士で直接通信リンクを設定して直接通信することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、端末局同士で直接通信の可否を好適に確かめて、スループットの低下を招くことのない通信相手と直接通信リンクを設定することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、制御局側にDLPなどの専用の機能を用いることなしに、端末局同士で直接通信の可否を好適に確かめて、スループットの低下を招くことのない通信相手と直接通信リンクを設定することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、各端末局が省電力モードに移行することが可能であるとともに、互いの起床状態を認識することなしに通信相手との直接通信を開始することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明に係る無線通信システムでは、制御局がIEEE802.11e規格のダイレクト・リンク・セットアップ(DLS)機能に対応していなくても、制御局に特別な機能を付加することなく、端末局同士のみでダイレクト・リンクを確立し、伝送帯域の使用効率を改善することができる。
また、本発明に係る無線通信システムでは、ダイレクト・リンクを確立したい通信相手がダイレクト・リンク圏内にいるかどうかの判断を、インフラストラクチャ・モード下で行なわれる制御局と端末局間の通常の送受信動作を利用して、最小限の負荷で行なうことができる。このように通常の送受信動作を利用してダイレクト・リンクの無線品質の測定を行なうことから、所望の通信相手とのダイレクト・リンクを確立する前に事前に測定することができる。
また、本発明に係る無線通信システムでは、IEEE802.11e−D13.0で規定するダイレクト・リンク・モードとは相違して、端末局同士でダイレクト・リンクを一旦確立した後であっても、各端末局は(間欠的にのみ受信動作を行なう)PowerSaveモードを保ったまま動作することが可能になり、低消費電力化を実現することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示した図である。
図2は、図1中の端末局102並びに103として動作することができる無線通信装置の内部構成を模式的に示した図である。
図3は、データ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクを確立して、直接通信を行なうための処理の流れを示した図である。
図4は、データ受信先である第2の端末局103が主体となってダイレクト・リンクを確立して、直接通信を行なうための処理の流れを示した図である。
図5は、第1の実施例におけるダイレクト・リンク検出処理の詳細な手順を示した図である。
図6Aは、第1の実施例におけるダイレクト・リンク評価処理の詳細な手順を示した図である。
図6Bは、第1の実施例におけるダイレクト・リンク評価処理の詳細な手順を示した図である。
図7は、第1の実施例におけるダイレクト・リンク確立要請処理の手順を示した図である。
図8は、第1の実施例におけるダイレクト・リンク確立要請に対する応答処理の手順を示した図である。
図9は、第1の実施例におけるダイレクト・リンク確立後の第1の端末局102と第2の端末局103間で通信を行なう処理手順を示した図である。
図10Aは、第2の実施例におけるダイレクト・リンクの検出処理とダイレクト・リンクの評価処理を同時に実行する処理手順を示した図である。
図10Bは、第2の実施例におけるダイレクト・リンクの検出処理とダイレクト・リンクの評価処理を同時に実行する処理手順を示した図である。
図11Aは、第3の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理とダイレクト・リンクの確立処理を同時に実行する処理手順を示した図である。
図11Bは、第3の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理とダイレクト・リンクの確立処理を同時に実行する処理手順を示した図である。
図12Aは、第4の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理の手順を示している。
図12Bは、第4の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理の手順を示している。
図13Aは、第5の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理の手順を示した図である。
図13Bは、第5の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理の手順を示した図である。
図14は、第6の実施例におけるダイレクト・リンク検出処理の手順を示した図である。
図15は、本発明を適用可能である他の通信システムの構成例を模式的に示した図である。
図16は、インフラストラクチャ・モード下で、第1の端末局102から第2の端末局103へデータ・フレームを送信する様子を示した図である。
図17Aは、MACヘッダ部のフォーマットを示した図である。
図17Bは、ACKフレームのフォーマットを示した図である。
図18は、インフラストラクチャ・モード下で、第1の端末局102から第2の端末局103へデータ・フレームを送信する様子を示した図である。
図19は、インフラストラクチャ・モード時のIEEE802.11の動作例を示した図である。
図20は、アドホック・モード時のIEEE802.11の動作例を示した図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
図1には、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示している。同図において、参照番号101は制御局(AP)、参照番号102は第1の端末局(STA1)、参照番号103は第2の端末局(STA2)、参照番号104は制御局101に接続される有線LAN、参照番号105は制御局101によって開設されたBSS(Basic Service Set)であり、基本的にはインフラストラクチャ・モード下で動作する。以降の説明では、第1の端末局102が第2の端末局103に対して送信すべきデータを所持しているものとする。
なお、図1では、説明の簡素化のため、1台の制御局と、この制御局が開設するBSS内には通信相手となる一対の端末局102及び103のみが収容されているが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。1つのBSS内には3台以上の端末局が収容される場合も想定され、任意の端末局の組み合わせでデータ通信を行なう場合であっても、本発明を適用することはできる。また、2台以上の制御局が存在し、制御局間通信が行なわれるシステム環境下であっても、本発明を適用することができる(後述)。
図2には、図1中の端末局102並びに103として動作することができる無線通信装置200の内部構成を模式的に示している。図示のように、無線通信装置200は、データ処理部201と、伝送処理部202と、無線インターフェース部203と、制御部204と、メモリ205と、アンテナ206を備えている。
データ処理部201は、主にトランスポート層における処理を行なう機能モジュールであり、上位レイヤからのデータ送信要求に応じて、伝送パケットを作成する。
伝送処理部202は、主にMAC層における処理を行なう機能モジュールであり、データ処理部201で生成されたパケットに対してヘッダや誤り検出符号の付加などの処理を行ない、処理後のデータを無線インターフェース部203に提供する。
無線インターフェース部203は、主にPHY(物理)層における処理を行なう機能モジュールであり、伝送処理部202により受け取ったデータを変調信号にして、アンテナ206から無線伝送路へ送出する。
また、受信動作では、アンテナ206で受信した信号を無線インターフェース部203が復調処理し、伝送処理部202がヘッダの解析を行なう。そして、データ処理部201は復調信号から元の伝送データを再現して、上位レイヤに渡す。
なお、制御局101として動作する無線通信装置も、図2と同様に構成することができるが、ここでは詳細な説明を省略する。
図1に示した通信システムでは、基本的にはインフラストラクチャ・モード下で動作しており、制御局101は所定周期でビーコンを報知する。これに対し、各端末局102及び103は、ビーコンを受信することによって制御局101が近隣に存在することを認識し、さらに制御局101との間でコネクション確立を行なうことで、BSSのメンバとしてネットワークに参入する。
また、各端末局102及び103は、PowerSaveモードに移行し、間欠的にのみ受信動作を行なうことにより、低消費電力化を図ることができる。すなわち、端末局102及び103は、次回あるいは複数回先のビーコン受信時刻(TBTT)まで受信機の電源を落としたスリープ状態(Doze)に入る。以下では、制御局101は、PowerSaveモード下の各端末局102及び103が起床(Awake)するタイミングを把握しているが、端末局同士は互いの起床状態を把握できないものとする。
インフラストラクチャ・モードでは、制御局101の配下にある各端末局102及び103は、有線LAN104を通じてインターネットなどのバックボーン・ネットワークに接続することができる。また、端末局102から端末局103へデータ伝送する際に、制御局101の中継によりオーバーヘッドを解消するために、インフラストラクチャ・モードを保ったまま端末局同士のダイレクト・リンクを設定し、制御局101の介在なしに直接データを送信するダイレクト通信の仕組みが導入される。
但し、端末局102及び103がダイレクト・リンクを確立したとしても、通信相手が十分な電波の届く位置、且つ通信品質を得られる位置、すなわちダイレクト・リンク可能な圏内にいないと、逆にスループットを下げてしまうことがある。そこで、本実施形態に係る通信システムでは、通信相手とのダイレクト通信の可否を確かめる仕組みを導入し、ダイレクト・リンク圏内の通信局同士で直接通信を開始するようにしている。
本実施形態においてとりわけ特徴的な点は、インフラストラクチャ・モード下で行なわれる制御局と端末局間の通常の送受信動作を利用して、ダイレクト・リンクを確立したい通信相手がダイレクト・リンク圏内にいるかどうかの判断を行なうことにある。このような場合、通信相手とのダイレクト通信の可否を確かめる処理は、最小限の負荷で行なうことができる。また、所望の通信相手とのダイレクト・リンクを確立する前に事前に、ダイレクト・リンクの無線品質の測定を行なうことから、十分な通信品質が得られない通信相手とダイレクト通信を行なうことによるスループットの低下を回避することができる。
図3並びに図4には、インフラストラクチャ・モード下の通信システムにおいて、第1の端末局102と第2の端末局103の間でダイレクト・リンクを確立して、制御局101の介在なしにダイレクト通信を行なうための処理の流れを示している。図3は、データ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める場合を示し、図4は、データ受信先である第2の端末局103が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める場合を示している。
図3並びに図4のいずれの場合においても、リンクの確立(S306、S406)までには、「開始トリガ(S301、S401)」、「ダイレクト・リンク検出(S302、S402)」、「ダイレクト・リンク評価(S303、S403)」、「リンクの確立要請(S304、S404)」、「リンク確立要請への返答(S305、S405)」という5段階からなる処理を経てから直接通信が開始される。但し、幾つかの段階の処理を同時並行して実行するというシステム運用もある。
開始トリガ(S301、S401)は、各端末局102、103が無線LANの通常動作をしているところからリンクの検出動作を開始しようとするトリガとなる処理である。ダイレクト・リンク検出(S302、S402)は、互いがダイレクト通信できる範囲すなわちダイレクト・リンク圏内にいるかどうかの検出動作である。本実施形態では、ダイレクト・リンク検出(S302、S402)は、インフラストラクチャ・モード下で行なわれる制御局101と端末局102又は103間の通常の送受信動作を利用して実施される。ダイレクト・リンク評価(S303、S403)は、そのリンクの無線品質の評価を行なう動作であり、通信相手とダイレクト通信を行なってもスループットが低下しないかどうかを確認する。リンクの確立要請/返答(S304、S404)とは、一方の端末局が相手とダイレクト・リンクを確立したいという明確な意思表示を通信相手に伝える動作とそれへの返答動作である。
第1の実施例では、図3に示した手順に従ってデータ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める。以下、当該実施例において、リンクの確立に至るまでの「開始トリガ」、「ダイレクト・リンク検出」、「ダイレクト・リンク評価」、「リンクの確立要請」、「リンク確立要請への返答」の各処理について説明する。
開始トリガ
データ送信元である第1の端末局102は、データを送信すること(若しくは上位レイヤでデータ送信要求が発生したこと)自体をダイレクト・リンク試行のトリガとする。また、第1の端末局102がコンテンツ・サーバ系の役割をする場合などでは、クライアントである第2の端末局103からのコンテンツ取得要請のパケットを受信したことをダイレクト・リンク試行のトリガとしてもよい。トリガとなる条件を満足した場合には、第1の端末局102内のデータ処理部201は、制御部204に通知を行なって、ダイレクト・リンク検出処理S302を開始する。
ダイレクト・リンク検出処理
本実施例では、ダイレクト・リンク検出S302は、インフラストラクチャ・モード下で行なわれる制御局と端末局間の通常の送受信動作を利用して実施されるので、システムにとって最小限の負荷で済む。
図16には、インフラストラクチャ・モード下で、第1の端末局102から第2の端末局103へデータ・フレームを送信する様子を示している。図示のように、第1の端末局(STA1)102は、第2の端末局(STA2)103を中継先とするデータ・フレームを制御局(AP)101に送信する。
制御局101は、このデータ・フレームを受信し、MAC(Machine Access Control)ヘッダ部を解釈して、中継先が第2の端末局103であることを認識すると、MACヘッダ部の内容を修正して、このデータ・フレームを第2の端末局103宛てに転送する。第2の端末局103がPowerSaveモードで動作しているときには、制御局101は、第2の端末局103がAwake状態となるタイミングに合わせてデータ・フレームの転送を行なう。
そして、第2の端末局103は、データ・フレームを受信すると、短いフレーム間隔(SIFS:Short InterFrame Space)の後に受信確認Ackフレームを返す。第1の端末局102は、第2の端末局103が返信するAckフレームを受信することができれば、通信相手としての第2の端末局103が十分な電波の届く位置に存在すること、すなわちダイレクト・リンクを検出することができる。
図17Aには、MACヘッダ部のフォーマットを示している。このヘッダ中のAddress1フィールドには直近のフレーム送信先のアドレスが記載され、Address2フィールドにはフレーム送信元のアドレスが記載され、Address3フィールドにはフレームの中継先若しくは中継元のアドレスが記載される。したがって、図16に示すように、第1の端末局102から制御局101に送信したデータ・フレームのMACヘッダ領域には、(Address1,Address2,Address3)=(AP,STA1,STA2)が記載される。また、制御局101から第2の端末局103に転送されるデータ・フレームには、(Address1,Address2,Address3)=(STA2,AP,STA1)が記載される。一方、図17BにはAckフレームのフォーマットを示すが、図示のようにAckフレームにはフレーム受信先アドレスRA(Receiver Address)しか記載されないから、Ackフレームを受信してもその送信元ノードを特定することはできない。そこで、第1の端末局102は、(Address1,Address2,Address3)=(STA2,AP,STA1)が記載されたデータ・フレームを受信してからSIFSが経過したときにAckフレームの受信を試みることによって、第2の端末局103とのダイレクト・リンクの検出を行なうようにする。
このように第1の端末局102は、第2の端末局103から返信される通常のAckフレームを受信待機すればよい。すなわち、専用のパケットを利用せずにダイレクト・リンクの検出処理を行なうことができるので、システム全体での処理の負荷を抑制することができる。
図5には、第1の実施例におけるダイレクト・リンク検出処理の詳細な手順を示している。
第1の端末局102は、ダイレクト・リンク検出処理に入ると(ステップS501)、リンク検出タイマを開始し(ステップS502)、以降はこのタイマが満了するまで、第2の端末局103宛てのデータ・フレームを送信する度に(ステップS503)、以下の処理を必ず行なうようになる。
第1の端末局102から送信されたデータ・フレームは、制御局101により中継され(ステップS504)、第2の端末局103に到達する(ステップS505)。第2の端末局103がPowerSaveモードで動作しているときには、制御局101は、第2の端末局103がAwakeするタイミングに合わせてデータ・フレームを転送する。
第1の端末局102は、データ・フレームの中継が行なわれた後のパケットを監視する(ステップS506)。第1の端末局102内の伝送処理部202は、「MACヘッダ領域のAddress1フィールド=STA2、Address3フィールド=STA1」を検知することで、中継後のパケットであることを判断することができる。そして、第1の端末局102は、この中継パケットを検知したら(ステップS506のYes)、このパケットの受信からSIFSが経過した後に、第2の端末局103が送信するであろうAck又はBlock Ackフレームを検出できるかどうかを監視する(ステップS507)。
第1の端末局102内の伝送処理部202は、このAck又はBlock Ackを検知することができれば(ステップS507のYes)、第1の端末局102は第2の端末局103がダイレクト・リンク圏内にいると判断して、後続のダイレクト・リンク評価処理に移行する(ステップS508)。
他方、第1の端末局102内の伝送処理部202は、タイムアウトまでにAck又はBlock Ackフレームの検知を行なうことができなかったときには(ステップS509のNo)、第2の端末局103はダイレクト・リンク圏外である、あるいは有線LANに繋がったノードであると判断し、制御部204に通知する。制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存し、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのダイレクト・リンク検出対象から除外する(ステップS510)。そして、ダイレクト・リンク検出処理に失敗したとして、インフラストラクチャ・モード下の通常動作へ戻る(ステップS511)。
ダイレクト・リンク評価処理
第1の端末局102は、ダイレクト・リンク検出処理により、通信相手である第2の端末局103が十分な電波の届く位置にいることを検出すると、続くダイレクト・リンク評価処理では、第2の端末局103が良好な通信品質を得られる位置にいるかどうかを確認する。所望の通信相手とのダイレクト・リンクを確立する前に事前に、ダイレクト・リンクの無線品質の測定を行なうことから、十分な通信品質が得られない通信相手と直接通信を行なうことによるスループットの低下を回避することができる。
図6A及び図6Bには、第1の実施例において、ダイレクト・リンク評価処理の詳細な手順を示している。
第1の端末局102は、ダイレクト・リンク評価処理の開始を要求するためのDirect Link Test Requestパケットを、制御局101経由で第2の端末局103に送信する(S602)。具体的には、第1の端末局102内では、制御部204の指示によってデータ処理部201で当該フレームが生成され、伝送処理部202、並びに無線インターフェース部203を経て、アンテナ206から送信される。
ここで、IEEE802.11a/gの拡張規格であるIEEE802.11n−D1.0では、Management Action Bodyを伝搬するためのQoS Null Embedding Management Actionが定義されている。このQoS Null Embedding Management Actionを用いることにより、上記のDirect Link Test Requestをデータ・タイプのフレームにカプセル化して、IEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送ることができる。QoS Null内の管理フレームには、第1の端末局102がサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報、送信されるテスト・パケットの個数が記載されている。
QoS Nullフレームは制御局間通信では伝送されない。したがって、第1の端末局102が、第2の端末局103のことを無線ノードなのか有線ノードかを把握せずにQoS Nullフレームを用いて当該要求パケットを送信し、第2の端末局103が有線ノードであったとしても、無駄なパケットが制御局101の先の有線LAN104側に流れることを未然に防ぐという効果がある。
制御局101は、第2の端末局103がAwake状態のときにTest Requestパケットを転送する(ステップS603)。第2の端末局103は、制御局101経由でTest Requestパケットを受信すると(ステップS604)、その制御部204は、自らがそのテストを受けて良い状態にいるかどうかを通信状況から判断する(ステップS605)。そして、その可否判断の結果を、制御局101経由で、Direct Link Test Confirmパケットとして送信する(ステップS606)。制御局101は、第1の端末局102がAwake状態となるタイミングに合わせて、Test Confirmパケットを転送する(ステップS607)。
Direct Link Test Confirmパケットには、第2の端末局103でサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が記載されている。また、このTest Confirmパケットには、さらに制御局101と第2の端末局103間の無線リンクの統計情報も一緒に記載してもよい。この確認応答パケットも、上述のQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信することにより、データ・タイプのフレームにカプセル化してIEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送るとともに、有線LAN104への流出を防ぐことができる。
第1の端末局102は、Test Confirmパケットを受信することができたら(ステップS608のYes)、当該パケットの内容を解析して、第2の端末局103がリンクのテストが可能な状態かどうかを確認する(ステップS609)。
このとき、第2の端末局103がテスト可能な状態であったら(ステップS609のYes)、その後、第1の端末局102は、第2の端末局103がサポートしている伝送レートを用いて、第2の端末局103に対する複数個のテスト・パケットを、制御局101を経由せずダイレクト送信する(ステップS613)。
一方、第1の端末局102が第2の端末局103からのTest Confirmパケットを受信できなかったときには(ステップS608のNo)、通信相手が本発明の自律的ダイレクト・リンク・セットアップ(DLS)機能に対応していないと判断し、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作へ戻る(ステップS622)。この場合、制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存し、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのダイレクト・リンク検出対象から除外される(ステップS621)。
また、第1の端末局102は、第2の端末局103からTest Confirmパケットを受信することはできたものの(ステップS608のYes)、「テスト不可」の返答だった場合も(ステップS609のNo)、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作に戻る(ステップS622)。但し、この場合は第2の端末局103をダイレクト・リンク検出対象からは除外しない。
一方、第2の端末局103は、ステップS606でテスト可能のConfirmを返信したら(ステップS610のYes)、リンク・テスト・タイマを開始し、以後はこのテストが終了するまでの間はSleep(Doze)状態に入ることなく、Awakeを維持する(ステップS611)。
そして、そのままリンク・テスト・タイマが消滅するか(ステップS623のYes)、又は、第1の端末局102から最後のテスト・パケットであることを示すMoreData=0のデータ・フレームを受信して(ステップS614のYes)、テストが終了するまでの間は受信待ちを続け、受信したテスト・パケットの個数やその受信電力などを記録する(ステップS612)。なお、MoreDataフラグは、値が1のときはこの後にさらに送信したいデータがあることを示し、値が0のときは最後の送信データであることを示すものとする。
その後、受信待ちすなわちテストが終了すると(ステップS615)、第2の端末局103は、集計した情報をDirect Link Test Reportパケットとして送信する(ステップS616)。このTest Reportパケットは、制御局101経由で第1の端末局102に届けられる(ステップS617)。Test Reportパケットには、さらに制御局101と第2の端末局103間の無線リンクの統計情報も一緒に載せてもよい。
第1の端末局102は、Test Reportパケットを受信できたときには(ステップS618のYes)、このTest Reportパケットの記載を基に、リンクの確立要請を行なうか否かを制御部204において決定する(ステップS619)。Test Confirmパケット又はTest Reportパケットに制御局101と第2の端末局103間の無線リンクの情報も記載されている場合には、第1の端末局102は、制御局101経由とダイレクト・リンクのリンク性能とを比較して、リンクの確立要請を行なうか否かを総合的に判断することにしてもよい。
ここで、第1の端末局102の制御部204が第2の端末局103をダイレクト・リンクで通信するに足る相手だと判断したときには(ステップS619のYes)、ダイレクト・リンク確立要請S304に進む(ステップS620)。
また、端末局103がダイレクト・リンクで通信するに足る相手だと判断されなかった場合には(ステップS619のNo)、制御部204は第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存してから(ステップS621)、インフラストラクチャ・モード下の通常動作状態に戻る(ステップS622)。第2の端末局103のアドレスはメモリ205に保存されているので、次回以降は伝送処理部202でのリンク検出対象から除外される。
また、第1の端末局102は、Test Reportパケットを受信できなったときには(ステップS618のNo)、第2の端末局103とのダイレクト・リンクによるデータ通信を諦め、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作に戻る(ステップS622)。但し、この場合は第2の端末局103を以後のダイレクト・リンク検出対象からは除外しない。
なお、IEEE802.11a/gの拡張規格であるIEEE802.11nは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信を採用している。MIMOは、複数本の送受信アンテナの組み合わせで形成される複数の伝送ストリームをチャネル特性に基づいて空間多重する通信方式である。IEEE802.11n−D1.0では、Transmit Beamforming機能が定義されており、一方の端末からチャネル行列を励起するためのトレーニング系列を含んだパケットを送信し、他方の端末では各アンテナで受信したトレーニング系列を使ってチャネル行列を作成し、このアンテナ行列から空間多重又は空間分離するための重み行列を計算するようになっている。第1の端末局102並びに第2の端末局103双方がTransmit Beamforming機能を有している場合には、上述のステップS613において、第1の端末局102はテスト・パケットの送信にTransmit Beamformingを使用してもよい。これにより、ダイレクト・リンクの伝送品質をより向上させることができる。
ダイレクト・リンク確立要請/返答
通信相手と直接通信を行なってもスループットが低下しないことがダイレクト・リンク評価処理を通じて確認されると、リンクの確立要請/返答により端末局同士でダイレクト・リンクを確立したいという明確な意思表示を伝え合う。
図7及び図8には、第1の実施例において、ダイレクト・リンク確立要請処理とその応答処理の手順をそれぞれフローチャートの形式で示している。但し、各図では、データ送信元である第1の端末局102がダイレクト・リンク確立要請を行なうものとする。
要請処理では、第1の端末局102は、第2の端末局103に対するDirect Link Establishment Requestパケットを制御局101経由で送信する(ステップS701)。このパケットは、QoS Null Management Action(前述)にてカプセル化されて送信される。
ここで、第2の端末局103は、PowerSaveモード下で間欠的にのみ受信動作を行なっていてもよい。制御局101は、PowerSaveモード下の各端末局102及び103が起床(Wake)するタイミングを把握しているので、第2の端末局103が起床状態のときに合わせて、Direct Link Establishment Requestパケットを転送する(ステップS702)。
第2の端末局103は、制御局Establishment Requestパケットを受信したら(ステップS703)、これに対するAcknowledgementとして、Direct Link Establishment Confirmパケットを制御局101経由で送信する(S801)。
ここで、第1の端末局102は、PowerSaveモード下で間欠的にのみ受信動作を行なっていてもよい。制御局101は、PowerSaveモード下の各端末局102及び103が起床(Wake)するタイミングを把握しているので、第1の端末局102が起床状態のときに合わせて、Direct Link Establishment Confirmパケットを転送し(ステップS802)、第1の端末局102はこのパケットを受信する(ステップS803)。但し、Requestを送信した第1の端末局102がConfirmを受信するまでAwakeを維持することにすれば、ステップS801はダイレクト送信に置き換え、ステップS802を省略してオーバーヘッドを削減することができる。
この後、それぞれの端末局102及び103の制御部204は、相手をメモリ205内のダイレクト・リンクのリストに追加して(ステップS804、S805)、第1の端末局102と第2の端末局103の間でダイレクト・リンクの確立が完了する。以降は相手への通信は制御局101経由ではなくダイレクト・リンクを使用するようになる。
ダイレクト・リンク確立後の通信
図7及び図8に示した処理手順に従って、データ送信元である第1の端末局102とデータ受信先である第2の端末局103の間でダイレクト・リンクが確立した後は、制御局101による中継を省いて、端末局同士でダイレクト通信が可能となる。
図9には、第1の実施例において、ダイレクト・リンク確立後の第1の端末局102と第2の端末局103間で通信を行なう処理手順を示している。
遅延を気にしないデータであれば、第1の端末局102と第2の端末局103間でダイレクト・リンクが確立した後であっても、それぞれの端末局はPowerSaveモードで運用することができる。
第1の端末局102は、第2の端末局103に対して直送すべきデータが発生したときには、Awake状態に入ると、制御局101経由で第2の端末局103にDirect Link Wakeup Requestパケットを送信する(ステップS901)。
第2の端末局103は、PowerSaveモード下で間欠的にのみ受信動作を行なっていてもよい。制御局101は、第2の端末局103がDoze状態からAwakeするタイミングに合わせて、Direct Link Wakeup Requestパケットを転送する(ステップS902)。第2の端末局103がDoze状態に入っているときも、Wakeup Requestは制御局101から送信されるため、確実に第2の端末局103に届く。
第2の端末局103は、Direct Link Wakeup Requestパケットを受信すると、これに対する確認応答であるDirect Link Wakeup Confirmパケットを制御局101経由で第1の端末局102に送信する(ステップS903)。第2の端末局103は、このパケットを送信した以後、一定時間は第1の端末局102とのダイレクト通信に備えてAwakeを維持する。
第1の端末局102は、PowerSaveモード下で間欠的にのみ受信動作を行なっていてもよい。制御局101は、第1の端末局102がDoze状態からAwakeするタイミングに合わせて、Direct Link Wakeup Confirmパケットを転送する(ステップS904)。第1の端末局102がDoze状態に入っているときも、Wakeup Requestは制御局101から送信されるため、確実に第1の端末局102に届く。但し、Requestを送信した第1の端末局102がConfirmを受信するまでAwakeを維持することにすれば、ステップS903はダイレクト送信に置き換え、ステップS904を省略してオーバーヘッドを削減することができる。
第1の端末局102は、第2の端末局103からのDirect Link Wakeup Confirmパケットの受信を待ってから、データ・パケットの直送を開始する(ステップS905)。
第2の端末局103は、Direct Link Wakeup Confirmパケットを送信した以後、一定時間Awakeを維持しているので、第1の端末局102からのデータ・パケットを起床している間に確実に受信することができる。
その後、第2の端末局103は、第1の端末局102から受信したデータ・フレームのMoreDataビット=0に従って、Doze状態への移行を行なう。これにより、端末局は、通常のIEEE802.11の同様の動作手順によりダイレクト・リンク確立中でPowerSave動作を行なうことができる。
図9に示したように、第1の端末局102がダイレクト・リンク通信を開始したいときには、その旨の要求は制御局101経由で第2の端末局103に転送される。制御局101は、BSSに収容する各端末局の起床状態を一元的に管理しており、各端末局がAwake状態となるタイミングでダイレクト・リンク通信の要求並びにこれに対する確認応答を各端末局に転送することができる。言い換えれば、ダイレクト・リンクが確立した後であっても、各端末局はPowerSaveモードに移行することができ、端末局同士が互いの起床状態を認識することなしに通信相手との直接通信を開始することができる。
また、図5〜図9に示した処理手順を実施するに際して、制御局101側にDLPなどの専用の機能を用いる必要はない、という点を十分理解されたい。すなわち、データ伝送を行なう端末局同士でダイレクト通信の可否を好適に確かめて、スループットの低下を招くことのない通信相手とダイレクト・リンクを設定することができる。
第2の実施例においても、図3に示した手順に従ってデータ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める。その開始トリガは第1の実施例と同様とする。但し、第2の実施例では、ダイレクト・リンクの検出処理とダイレクト・リンクの評価処理を同時に実行するという点で、第1の実施例とは相違する。
図10A及び図10Bには、第2の実施例において、ダイレクト・リンクの検出処理とダイレクト・リンクの評価処理を同時に実行する処理手順を示している。
第1の端末局102は、ダイレクト・リンク評価処理の開始を要求するためのDirect Link Test Requestパケットを、制御局101経由で第2の端末局103に送信する(S1002)。Direct Link Test Requestをデータ・タイプのフレームにカプセル化して、IEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送ることができる(同上)。
制御局101は、第2の端末局103がAwake状態のときにTest Requestパケットを転送する(ステップS1003)。第2の端末局103は、制御局101経由でTest Requestパケットを受信すると(ステップS1004)、その制御部204は、自らがそのテストを受けて良い状態にいるかどうかを通信状況から判断する(ステップS1005)。そして、その可否判断の結果を、制御局101経由で、Direct Link Test Confirmパケットとして送信する(ステップS1006)。制御局101は、第1の端末局102がAwake状態となるタイミングに合わせて、Test Confirmパケットを転送する(ステップS1007)。
Direct Link Test Confirmパケットには、第2の端末局103でサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が記載されている。また、このTest Confirmパケットには、さらに制御局101と第2の端末局103間の無線リンクの統計情報も一緒に記載してもよい。このDirect Link Test Confirmも、上述のQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信することにより、データ・タイプのフレームにカプセル化してIEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送ることができる(同上)。
第1の端末局102は、Test Confirmパケットを受信することができたら(ステップS1008のYes)、当該パケットの内容を解析して、第2の端末局103がダイレクト・リンクのテストが可能な状態かどうかを確認する(ステップS1009)。
そして、第2の端末局103がテスト可能な状態であったら(ステップS1009のYes)、第1の端末局102は、第2の端末局103がサポートしている伝送レートを用いて、第2の端末局103に対する複数個のテスト・パケットを、制御局101を経由せずダイレクト送信する(ステップS1013)。
この時点では未だダイレクト・リンクは確立されていないが、第2の端末局103は、テスト・パケットが到達すれば(ステップS1012)、SIFS間隔でAckフレームを返信する。そして、第2の端末局103は、そのままリンク・テスト・タイマが消滅するか(ステップS1020のYes)、又は、第1の端末局102から最後のテスト・パケットであることを示すMoreData=0のデータ・フレームを受信して(ステップS1019のYes)、テストが終了するまでの間は受信待ちを続ける。第1の端末局102は、Ackフレームの受信を利用して、ダイレクト・リンクの検出動作と同時にダイレクト・リンクの評価動作を行なうことができる。具体的には、上記のステップS1013において、第1の端末局102は、テスト・パケットを送信する度に、第2の端末局103から受信したAckフレームの個数とその受信電力を記録しておく。そして、第1の端末局102は、テスト・パケットの送信を終了した後、受信したAckの個数からパケット誤り率(PER)を算出する(ステップS1014)。続いて、第1の端末局102は、PERと受信電力の情報に基づいて、ダイレクト・リンクの無線品質が十分かどうかを判断する(ステップS1015)。
第1の端末局102内の制御部204は、第2の端末局103をダイレクト・リンクで通信するに足る相手だと判断したら(ステップS1015のYes)、ダイレクト・リンク確立要請S304に進む(ステップS1016)。
一方、第2の端末局103をダイレクト・リンクで通信するに足る相手とは判断しなかった場合は(ステップS1015のNo)、当該制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存して(ステップS1017)、インフラストラクチャ・モード下の通常動作状態に戻る(ステップS1018)。第2の端末局103のアドレスは、メモリ205に保存されているので、次回以降は伝送処理部202でのリンク検出対象から除外される。
なお、第1の端末局102並びに第2の端末局103双方がIEEE802.11n−D1.0にて定義されているTransmit Beamforming機能を有している場合には、上記のステップS1013において、第1の端末局102はテスト・パケットの送信にTransmit Beamformingを使用してもよい。これによりダイレクト・リンクの伝送品質をより向上させることができる(同上)。
本実施例では、第1の実施例とは相違して、第1の端末局102側での受信電力の情報や制御局101と第2の端末局103間の無線リンクの情報を得ることはできず、リンクが検出できないような状況下でもテスト・パケットを送信してしまうというリスクがある。しかしながら、第1の実施例と比較して、ダイレクト・リンクの検出及び評価処理を実施する際の、受信側である第2の端末局103の負荷を減らし処理を簡略化することができるという利点がある。
このようにしてダイレクト・リンクの検出処理とダイレクト・リンクの評価処理を成功裏に終えた以降は、第1の実施例と同様に、図7及び図8に示した処理手順に従って、データ送信元である第1の端末局102とデータ受信先である第2の端末局103の間でダイレクト・リンクが確立するとともに、図9に示した処理手順に従ってダイレクト通信を行なうことができる。
第3の実施例においても、図3に示した手順に従ってデータ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める。その開始トリガ、並びにダイレクト・リンクの検出処理は、第1の実施例と同様とする。但し、第3の実施例では、ダイレクト・リンクの確立処理をダイレクト・リンクの評価処理と同時に実行するという点で、第1の実施例とは相違する。
図11には、ダイレクト・リンクの評価処理とダイレクト・リンクの確立処理を同時に実行する処理手順を示している。
第1の端末局102は、制御局101の中継で、第2の端末局103宛てのDirect Link Test & Establishment Requestパケットを送信する(S1102)。そして、制御局101は、第2の端末局103がAwake状態のときにDirect Link Test & Establishment Requestパケットを転送する(ステップS1103)。
このDirect Link Test & Establishment Requestパケットは、第2の端末局103に対するテスト要請であるTest Requestに加えて、リンク確立要請の意思を伝えるDirect Link Establishment Requestパケットを兼ねている。Direct Link Test & Establishment Requestパケットには、さらに第1の端末局102と制御局101間の無線リンクの統計情報も一緒に載せてもよい。
本実施例では、第2の端末局103がリンク確立に応じるかどうかを決定する。すなわち、第2の端末局103は、制御局101経由でDirect Link Test & Establishment Requestパケットを受信すると(ステップS1104)、その制御部204は、自らがそのテストを受けて良い状態にいるかどうか、及び、リンク確立に応じるかどうかを通信状況から判断する(ステップS1105)。そして、これらの可否判断の結果を、制御局101の中継によって、Direct Link Test Confirmパケットとして送信する(ステップS1106)。制御局101は、第1の端末局102がAwake状態となるタイミングに合わせて、Test Confirmパケットを転送する(ステップS1107)。
Direct Link Test Confirmパケットには、第2の端末局103でサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が記載されている。また、このTest Confirmパケットには、さらに制御局101と第2の端末局103間の無線リンクの統計情報も一緒に記載してもよい。この確認応答パケットも、IEEE802.11n−D1.0で定義されているQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信することにより、データ・タイプのフレームにカプセル化してIEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送るとともに、有線LAN104への流出を防ぐことができる。
第1の端末局102は、Test Confirmパケットを受信することができたら(ステップS1108のYes)、当該パケットの内容を解析して、第2の端末局103がリンクのテストが可能な状態かどうか、及び、リンク確立に応じるかどうかを確認する(ステップS1109)。
このとき、第2の端末局103がテスト可能な状態で且つリンク確立に応じる場合には(ステップS1109のYes)、その後、第1の端末局102は、第2の端末局103がサポートしている伝送レートを用いて、第2の端末局103に対する複数個のテスト・パケットを、制御局101を経由せずダイレクト送信する(ステップS1113)。
一方、第1の端末局102が第2の端末局103からのTest Confirmパケットを受信できなかったときには(ステップS1108のNo)、通信相手が本発明の自律的ダイレクト・リンク・セットアップ(DLS)機能に対応していないと判断し、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作へ戻る(ステップS1125)。若しくは、第2の端末局103からの返答が「リンク確立不可」であった場合も(ステップS1109のNo)、相手とのダイレクト・リンクが制御局中継による通信と比べて十分な通信品質を得られないと判断し、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常モードへ戻る(ステップS1125)。この場合、制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存し、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのダイレクト・リンク検出対象から除外される(ステップS1124)。
また、第1の端末局102は、第2の端末局103からTest Confirmパケットを受信することはできたものの(ステップS1108のYes)、「テスト不可」だった場合、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作に戻る(ステップS1125)。但し、この場合は、第2の端末局103が自律的DLS機能に対応していない訳ではないので、第2の端末局103をダイレクト・リンク検出対象からは除外しない。
一方、第2の端末局103は、ステップS606でテスト可能で且つリンク確立許可のConfirmを返信したら(ステップS1110のYes)、リンク・テスト・タイマを開始し、以後はこのテストが終了するまでの間はSleep(Doze)状態に入ることなく、Awakeを維持する(ステップS1111)。
そして、そのままリンク・テスト・タイマが消滅するか(ステップS1126のYes)、又は、第1の端末局102から最後のテスト・パケットであることを示すMoreData=0のデータ・フレームを受信して(ステップS1114のYes)、テストが終了するまでの間は受信待ちを続け、受信したテスト・パケットの個数やその受信電力などを記録する(ステップS1112)。
その後、受信待ちすなわちテストが終了すると(ステップS615)、第2の端末局103は、パケット誤り率(PER)を算出し、その制御部204によりテスト・パケットの受信電力の情報と合わせダイレクト・リンクの無線品質が十分かどうかの判断を行なう(ステップS1116)。Test & Establishment Requestパケットに第1の端末局102と制御局101間の無線リンクの情報も載っていれば、第2の端末局103は制御局101経由の場合とダイレクト・リンクのリンク性能を比較して総合判断することにしてもよい。
そして、第2の端末局103は、この判断結果を載せた第1の端末局102宛てのDirect Link Establishment Confirmパケットを制御局101に送信する(ステップS1117)。制御局101は、第1の端末局102がAwake状態となるタイミングに合わせて、このパケットを転送する(ステップS1118)。
第1の実施例とは相違して、第2の端末局103は、単に無線リンクのテスト結果をTest Reportとして返すのではなく、ダイレクト・リンクの無線品質が十分かどうかの判断まで行ない、判断結果としてEstablishment Confirmとして返す。
第1の端末局102は、制御局101からDirect Link Establishment Confirmパケットを受信すると(ステップS1119)、このパケット内に記述されているダイレクト・リンク確立の可否の判断結果を解釈する(ステップS1120)。
無線リンクの品質が第2の無線端末によってダイレクト・リンクを確立してもよいという判断されていた場合には(ステップS1120及びS1122のYes)、それぞれの端末局102及び103内の制御部204は、相手をメモリ205内のダイレクト・リンクのリストに追加して(ステップS1121、S1123)、以降は相手への通信はダイレクト・リンクを使用するようになる。このようにして、第1の端末局102と第2の端末局103の間でダイレクト・リンクの確立が完了する。
一方、無線リンクの品質が第2の無線端末によってダイレクト・リンクを確立してもよいとは判断されなかった場合には(ステップS1120及びS1122のNo)、第1の端末局102内の制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存して(ステップS1124)、インフラストラクチャ・モード下の通常動作状態に戻る(ステップS1125)。第2の端末局103のアドレスはメモリ205に保存されているので、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのリンク検出対象から除外される。
なお、第1の端末局102並びに第2の端末局103双方がIEEE802.11n−D1.0にて定義されているTransmit Beamforming機能を有している場合には、上記のステップS1113において、第1の端末局102はテスト・パケットの送信にTransmit Beamformingを使用してもよい。これによりダイレクト・リンクの伝送品質をより向上させることができる(同上)。
本実施例では、リンク確立可否の判断をデータ受信先である第2の端末局103に委ねることにより、第1の実施例と比較して確立要請/返答処理を評価処理に含めて簡略化することができることが利点である。
このようにしてダイレクト・リンクの評価処理を成功裏に終え、ダイレクト・リンクの確立要請/返答を経て、データ送信元である第1の端末局102とデータ受信先である第2の端末局103の間でダイレクト・リンクが確立した以降は、第1の実施例と同様に、図9に示した処理手順に従ってダイレクト通信を行なうことができる。
第4の実施例においても、図3に示した手順に従ってデータ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める。その開始トリガ、並びにダイレクト・リンクの検出処理は、第1の実施例と同様とする。但し、第4の実施例では、データ受信先である第2の端末局103側からテスト・パケットを送信して、データ送信元である第1の端末局102でダイレクト・リンクの評価を行なうという点で、第1の実施例とは相違する。
図12A及び12Bには、本実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理の手順を示している。
評価処理では、まず第1の端末局102が、制御局101の中継で、第2の端末局103宛てのDirect Link Test Requestパケットを送信する(ステップS1202)。具体的には、第1の端末局102内では、制御部204の指示によってデータ処理部201で生成されたこのフレームが、伝送処理部202並びに無線インターフェース部203を経てアンテナ206から送信される。そして、制御局101は、第2の端末局103がAwake状態のときにDirect Link Test Requestパケットを転送する(ステップS1203)。
このDirect Link Test Requestパケットの送信には、第1の実施例と同様に、IEEE802.11n−D1.0で定義されているQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信することにより、データ・タイプのフレームにカプセル化してIEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送るとともに、有線LAN104への流出を防ぐことができる。QoS Null内の管理フレームには、第1の端末局102がサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が載っている。
第2の端末局103内の制御部204は、Direct Link Test Requestパケットを受信すると(ステップS1204)、いま自らがテストを引き受けて良い状態にいるかどうかを通信状況から判断して、その可否を記載したDirect Link Test Confirmパケットを生成し(ステップS1205)、制御局101を中継して、第1の端末局102宛てに送信する(S1206)。そして、制御局101は、第1の端末局102がAwake状態のときにDirect Link Test COnfirmパケットを転送する(ステップS1207)。
このDirect Link Test ConfirmパケットもQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信される。Direct Link Test Confirmパケットには、第2の端末局103がサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が載っている。また、このパケットでテスト可能であることを示す場合には、送信しようとしているテスト・パケットの個数も載せて送信される。また、Direct Link Test Confirmパケットには、さらに第2の端末局103と制御局101間の無線リンクの統計情報も一緒に載せてもよい。
第1の端末局102は、第2の端末局103からDirect Link Test Confirmを受信できたら(ステップS1208のYes)、続いて、このパケットの記載内容に基づいて第2の端末局103がリンクのテストが可能な状態かどうかを確認する(ステップS1209)。
このとき、第2の端末局103がテスト可能な状態であったら(ステップS1209のYes)、第1の端末局102は、リンク・テスト・タイマを開始し、以後テストが終了するまでSleepに入らずにAwake状態を維持し(ステップS1210)、パケットを待ち受ける(ステップS1211)。
一方、第2の端末局103からのDirect Link Test Confirmパケットを受信できなかった場合には(ステップS1208のNo)、第1の端末局102は、通信相手が本発明の自律的ダイレクト・リンク・セットアップ(DLS)機能に対応していないと判断し、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作へ戻る(ステップS1221)。この場合、制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存し、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのダイレクト・リンク検出対象から除外される(ステップS1220)。
また、第1の端末局102は、第2の端末局103からDirect Link Test Confirmを受信することはできたものの(ステップS1208のYes)、当該パケットが「テスト不可」の返答であった場合も(ステップS1209のNo)、制御部204に通知して通常動作に戻る。但し、この場合は、第2の端末局103が自律的DLS機能に対応していない訳ではないので、ダイレクト・リンク検出対象からは除外しない。
第2の端末局103は、自分がテストが可能である場合には(ステップS1212のYes)、第2の端末局103がサポートしている伝送レートを用いて、第1の端末局102に対して複数個のテスト・パケットを、制御局101を経由せずダイレクト送信する(ステップS1213)。
なお、第1の端末局102並びに第2の端末局103双方がIEEE802.11n−D1.0にて定義されているTransmit Beamforming機能を有している場合には、上記のステップS1213において、第2の端末局103はテスト・パケットの送信にTransmit Beamformingを使用してもよい。これによりダイレクト・リンクの伝送品質をより向上させることができる(同上)。
テスト・パケットを待ち受けている第1の端末局102は、そのままリンク・テスト・タイマが消滅するか(ステップS1219のYes)、又は、最後のテスト・パケットであることを示すMoreData=0のデータ・フレームを第2の端末局103から受信するまでの間(ステップS1214のYes)、受信待ちを続け、受信したテスト・パケットの個数や受信電力などを記録する。
そして、第1の端末局102は、テストを終了した後(ステップS1215)、受信したテスト・パケットの個数とDirect Link Test Confirmパケットに記述されていた送信テスト・パケット数を基に、パケット誤り率(PER)を算出する(ステップS1216)。
次いで、第1の端末局102内の制御部204は、パケット誤り率と受信電力を基にダイレクト・リンクを評価して、第2の端末局103に対してリンクの確立要請を行なうか否かを決定する(ステップS1217)。また、ステップS1208で受信したDirect Link Test Confirmパケットに第2の端末局103と制御局101間の無線リンクの情報も載っていれば、制御局101を中継する場合とダイレクト・リンクのリンク性能を比較して、総合的に判断するようにしてもよい。
そして、第1の端末局102内の制御部204が、第2の端末局103をダイレクト・リンクで通信するに足る相手であると判断したときには(ステップS1217のYes)、ダイレクト・リンク確立要請処理S304に進む(ステップS1218)。
一方、第2の端末局103をダイレクト・リンクで通信するに足る相手であるとは判断しなかった場合には、第1の端末局102内の制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存して(ステップS1220)、インフラストラクチャ・モード下の通常動作状態に戻る(ステップS1221)。第2の端末局103のアドレスはメモリ205に保存されているので、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのリンク検出対象から除外される。
このようにしてダイレクト・リンクの評価処理を成功裏に終えた後は、第1の実施例と同様に、図7、図8に示した処理手順従ってダイレクト・リンクの確立要請/返答を経て、データ送信元である第1の端末局102とデータ受信先である第2の端末局103の間でダイレクト・リンクが確立し、図9に示した処理手順に従ってダイレクト通信を行なうことができる。
第5の実施例においても、図3に示した手順に従って、データ送信元である第1の端末局102が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める。その開始トリガ、並びにダイレクト・リンクの検出処理は、第1の実施例と同様とする。また、第5の実施例では、第4の実施例と同様に、データ受信先である第2の端末局103側からテスト・パケットを送信するが、第1の端末局102ではなく第2の端末局103でダイレクト・リンクの評価を行なう点で相違する。
図13A及び図13Bには、第5の実施例におけるダイレクト・リンクの評価処理の手順を示している。本実施例に係る評価処理では、第1の端末局102によるリンク確立要請処理を同時に行なうようになっている。
まず、第1の端末局102は、制御局101経由で、第2の端末局103宛てのDirect Link Test & Establishment Requestパケットを送信する(ステップS1602)。そして、制御局101は、第2の端末局103がAwake状態のときにDirect Link Test & Establishment Requestパケットを転送する(ステップS1303)。Direct Link Test & Establishment Requestパケットは、第2の端末局103に対するテスト要請に加えて、リンク確立要請の意思を伝えるDirect Link Establishment Requestパケットを兼ねている。本実施例では、リンク確立に応じるかどうかは第2の端末局103が決定する。
Direct Link Test & Establishment Requestパケットの送信には、IEEE802.11n−D1.0で定義されているQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信することにより、データ・タイプのフレームにカプセル化してIEEE802.11の管理フレームのフォーマットのままで送るとともに、有線LAN104への流出を防ぐことができる。QoS Null内の管理フレームには、第1の端末局102がサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が載っている。
第2の端末局103内の制御部204は、Direct Link Test Requestパケットを受信すると(ステップS1304)、いま自らがテストを引き受けて良い状態にいるかどうかを通信状況から判断して、その可否を記載したDirect Link Test Confirmパケットを生成し(ステップS1305)、制御局101を中継して、第1の端末局102宛てに送信する(S1306)。そして、制御局101は、第1の端末局102がAwake状態のときにDirect Link Test & Establishment Requestパケットを転送する(ステップS1307)。
このDirect Link Test ConfirmパケットもQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信される。Direct Link Test Confirmパケットには、第2の端末局103がサポートする伝送レートの情報、対応する機能の情報が載っている。また、このパケットでテスト可能であることを示す場合には、送信しようとしているテスト・パケットの個数も載せて送信される。また、Direct Link Test Confirmパケットには、さらに第2の端末局103と制御局101間の無線リンクの統計情報も一緒に載せてもよい。
第1の端末局102は、第2の端末局103からDirect Link Test Confirmを受信できたら(ステップS1308のYes)、続いて、このパケットの記載内容に基づいて第2の端末局103がリンクのテストが可能な状態かどうかを確認する(ステップS1309)。
このとき、第2の端末局103がテスト可能な状態であったら、第1の端末局102は、リンク・テスト・タイマを開始し、以後テストが終了するまでSleepに入らずにAwake状態を維持し(ステップS1310)、パケットを待ち受ける(ステップS1231)。
一方、第2の端末局103からのDirect Link Test Confirmパケットを受信できなかった場合には(ステップS1308のNo)、第1の端末局102は、通信相手が本発明の自律的ダイレクト・リンク・セットアップ(DLS)機能に対応していないと判断し、制御部204に通知して、インフラストラクチャ・モード下の通常動作へ戻る(ステップS1321)。この場合、制御部204は、第2の端末局103のアドレスをメモリ205に保存し、次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのダイレクト・リンク検出対象から除外される(ステップS1320)。
また、第1の端末局102は、第2の端末局103からDirect Link Test Confirmを受信することはできたものの(ステップS1308のYes)、当該パケットが「テスト不可」の返答であった場合も(ステップS1309)、制御部204に通知して通常動作に戻る。但し、この場合は、第2の端末局103が自律的DLS機能に対応していない訳ではないので、ダイレクト・リンク検出対象からは除外しない。
第2の端末局103は、テストが可能である場合には(ステップS1312のYes)、第2の端末局103がサポートしている伝送レートを用いて、第1の端末局102に対して複数個のテスト・パケットを、制御局101を経由せずダイレクト送信する(ステップS1313)。
なお、第1の端末局102並びに第2の端末局103双方がIEEE802.11n−D1.0にて定義されているTransmit Beamforming機能を有している場合には、上記のステップS1313において、第2の端末局103はテスト・パケットの送信にTransmit Beamformingを使用してもよい。これによりダイレクト・リンクの伝送品質をより向上させることができる(同上)。
テスト・パケットを待ち受けている第1の端末局102は、そのままリンク・テスト・タイマが消滅するか(ステップS1314aのYes)、又は、最後のテスト・パケットであることを示すMoreData=0のデータ・フレームを第2の端末局103から受信するまでの間(ステップS1314のYes)、受信待ちを続け、受信したテスト・パケットの個数や受信電力などを記録する。
第1の端末局102は、第2の端末局103からのテスト・パケットの受信を終了すると(ステップS1315)、受信したテスト・パケットの個数やその受信電力などの集計した情報を記載したDirect Link Test Reportパケットを生成して、制御局101経由で第2の端末局103宛てに送信する(ステップS1316)。Direct Link Test Reportパケットには、さらに制御局101と第1の端末局102の間の無線リンクの統計情報も一緒に載せてもよい。
制御局101は、第2の端末局103がAwake状態のときに、Direct Link Test Reportパケットを転送する(ステップS1317)。
第2の端末局103内の制御部204は、Direct Link Test Reportパケットを受信すると(ステップS1318)、このパケットの内容に基づいて、第1の端末局102に対してリンクの確立要請を行なうか否かを決定する(ステップS1319)。ステップS1318において受信したTest Reportパケットに制御局101と第1の端末局102の間の無線リンクの情報も載っている場合には、第2の端末局103は制御局101経由の場合とダイレクト・リンクのリンク性能を比較して総合的に判断することにしてもよい。
そして、第2の端末局103は、その判断結果を記載したDirect Link Establishment Confirmパケットを生成して、制御局101経由で第1の端末局102宛てに送信する(S1320)。このDirect Link Establishment ConfirmパケットもQoS Null Embedding Management Actionを用いて送信される。本実施例では、無線リンクのテスト結果を受けたダイレクト・リンク確立の可否を第2の端末局103側で判断を行ない、その判断結果をEstablishment Confirmとして第1の端末局102に返す点で、第4の実施例とは相違する。
制御局101は、第1の端末局102がAwake状態のときに、Direct Link Establishment Confirmパケットを転送する(ステップS1321)。
第1の端末局102は、Direct Link Establishment Confirmパケットを受信すると(ステップS1322)、このパケットに記述されているダイレクト・リンク確立の可否の判断結果を解釈する(ステップS1323)。
第2の端末局103によってダイレクト・リンクを確立してもよいと判断されていた場合には(ステップS1323及びステップS1325のYes)、各端末局102及び103の制御部204は、それぞれの通信相手をメモリ205内のダイレクト・リンクのリストに追加し(ステップS1324及びS1326)、以降は通信相手への通信はダイレクト・リンクを使用するようになる。このようにして、第1の端末局102と第2の端末局103の間でダイレクト・リンクの確立が完了する。
一方、第2の端末局103によってダイレクト・リンクを確立してもよいとは判断されなかった場合は(ステップS1323及びS1325のNo)、第1の端末局102内の制御部204は、通信相手のアドレスをメモリ205に保存し、インフラストラクチャ・モード下の通常動作状態に戻る(ステップS1321)。次回以降は第2の端末局103のアドレスは伝送処理部202でのダイレクト・リンク検出対象から除外される。また、第2の端末局103内の制御部204は、メモリ205内のダイレクト・リンクのリストに追加しないので、以降は第1の端末局102への通信にダイレクト・リンクを使用しない。
なお、第4の実施例と同様に、第1の端末局102並びに第2の端末局103双方がIEEE802.11n−D1.0にて定義されているTransmit Beamforming機能を有している場合には、第2の端末局103はテスト・パケットの送信にTransmit Beamformingを使用してもよい。これによりダイレクト・リンクの伝送品質をより向上させることができる(同上)。
本実施例では、リンク確立可否の判断をデータ受信先である第2の端末局103に委ねることにより、第4の実施例と比較して、ダイレクト・リンク確立要請/返答処理を評価処理に含めて簡略化することができるという利点である。
このようにしてダイレクト・リンクの評価処理を成功裏に終え、ダイレクト・リンクの確立要請/返答を経て、データ送信元である第1の端末局102とデータ受信先である第2の端末局103の間でダイレクト・リンクが確立した以降は、第1の実施例と同様に、図9に示した処理手順に従ってダイレクト通信を行なうことができる。
第6の実施例では、図4に示した手順に従って、データ受信先である第2の端末局103が主体となってダイレクト・リンクの確立を始める。以下、当該実施例において、リンクの確立に至るまでの各処理について説明する。
開始トリガ
第2の端末局103は、制御局101により中継されてきた自分宛てのパケットを認識することを開始トリガにして、ダイレクト・リンク検出処理に進む。ここで、「制御局101によって中継されてきた」ことの判断には、伝送処理部202が自分宛てのパケットのMACヘッダ領域において「Address3≠BSSID」を検知することで判断することができる(BSSIDは、制御局に収容された端末局のアドレスである。図16に示したように、第1の端末局102からのパケットが制御局101の中継で届いた場合には、「Address3=STA1」となる)。
あるいは、第1の端末局102がコンテンツ・サーバのような役割をし、第2の端末局103が情報を引き出すクライアントである場合には、第2の端末局103は、自らがコンテンツ取得要請を出す動作を開始トリガにして、ダイレクト・リンク検出処理に進むようにしても良い。
上記の開始トリガとなる条件を満足した場合、第2の端末局内のデータ処理部201は、制御部204に通知を行ない、ダイレクト・リンク検出処理S402を開始する。このとき、自分宛てのパケットのAddress3フィールドに記載されているMACアドレスがデータ送信元となる第1の端末局102のアドレスを示しているが(前述)、この時点では第1の端末局102がダイレクト・リンク可能な圏内にいるかどうかはまだ不明である。
ダイレクト・リンク検出処理
本実施例でも、ダイレクト・リンク検出S302は、インフラストラクチャ・モード下で行なわれる制御局と端末局間の通常の送受信動作を利用して実施されるので、システムにとって最小限の負荷で済む。
図18には、インフラストラクチャ・モード下で、第1の端末局102から第2の端末局103へデータ・フレームを送信する様子を示している。図示のように、第1の端末局(STA1)102は、第2の端末局(STA2)103を中継先とするデータ・フレームを制御局(AP)101宛てに送信する。
一方、第2の端末局103は、上述した開始トリガによりダイレクト・リンク検出処理を起動すると、Awake状態を維持して、第1の端末局102から自分宛てに送信されるパケットの受信を試行している。図17Aを参照しながら既に説明したように、第1の端末局102から制御局101に送信される第2の端末局103宛てのパケットのMACヘッダ領域には、(Address1,Address2,Address3)=(AP,STA1,STA2)が記載されている。したがって、第2の端末局103は、第1の端末局102から制御局101宛てのパケットの受信を試み、そのパケットのMACヘッダ領域にAddress3フィールドに自分のアドレスが記載されていることを確認できれば、通信相手としての第1の端末局102が十分な電波の届く位置に存在すること、すなわちダイレクト・リンクを検出することができる。
このように第2の端末局103は、第1の端末局102から送信される通常のデータ・フレームを受信待機すればよい。すなわち、専用のパケットを利用せずにダイレクト・リンクの検出処理を行なうことができるので、システム全体での処理の負荷を抑制することができる。
図14には、第6の実施例におけるダイレクト・リンク検出処理の手順を示している。
第2の端末局(STA2)103は、ダイレクト・リンク検出処理S402に移行すると、リンク検出タイマを開始し(ステップS1402)、以降はこのタイマが満了するまで、制御局宛の中継前のパケットを監視し中継先が自分であるパケットが無いか監視する(ステップS1405)。
ステップS1405では、具体的には、第2の端末局103内の伝送処理部202が、受信動作において「Address3=自分のMACアドレス」であるパケットが無いかを監視する。このようなパケットは自分宛てではないが、第1の端末局102が制御局101に向かって送信したパケットを第2の端末局103が受信できれば、Address3フィールドには自らのMACアドレスが書かれているから(図18を参照のこと)、第1の端末局102が自分宛てのパケットを送ろうとしていることを認識することができる。
ここで、第1の端末局102が第2の端末局103宛てのデータ・フレームを、インフラストラクチャ・モード下の通常動作により、制御局101経由で送信する(ステップS1403)。制御局101は、第2の端末局103がAwake状態となるタイミングに合わせて、このデータ・フレームを第2の端末局103に転送し(ステップS1404)、第2の端末局103はこのデータ・フレームを通常動作により受信することができる。
このとき、第2の端末局103は、ダイレクト・リンク検出処理を起動しており、リンク検出タイマ満了までに、ステップS1403において第1の端末局102が送信したデータ・フレームを受信し、さらに伝送処理部202がそのパケットのMACヘッダ領域のAddress3フィールドに自分のMACアドレスが記載されていることを確認できたときには(ステップS1405のYes)、第1の端末局102が自分宛てのデータを持ち、且つ、ダイレクト・リンク可能な位置にいるということを認識することができる。この場合、伝送処理部202は、このようなパケットを検知できたことを制御部204に通知する。そして、第2の端末局103は、リンク評価処理へ進む(ステップS1407)。
一方、ステップS1403において第1の端末局102が送信したデータ・フレームを受信できない、あるいは受信できてもそのMACヘッダ領域のAddress3フィールドに自分のMACアドレスが記載されていることを確認できないまま(ステップS1405のNo)、リンク検出タイマが満了した場合には(ステップS1408のNo)、第2の端末局103は、通信相手である第1の端末局102がダイレクト・リンク圏内にいない、若しくは有線LANに繋がったノードであると判断し、制御部204に通知する。制御部204は、第1の端末局102のアドレスをメモリ205に保存し(ステップS1409)、リンク検出処理を失敗終了し、インフラストラクチャ・モード下の通常動作状態へ戻る(ステップS1410)。第1の端末局102のアドレスはメモリ205に保存されているので、次回以降は第1の端末局102のアドレスは伝送処理部202での直送監視対象から除外される。
このようにしてダイレクト・リンク検出処理が行なわれ、当該処理が成功裏に終了した後は、第1乃至第5の実施例と同様のダイレクト・リンク評価処理、並びにダイレクト・リンク確立要請/返答処理を、データ送信元である第1の端末局102とデータ受信先である第2の端末局103で役割を代えて実施することで、ダイレクト・リンクを確立することができる。
また、第6の実施例では、第1の実施例と同様に、図9に示した処理手順に従って、ダイレクト・リンク確立後の通信を行なうことができる。遅延を気にしないデータであれば、第1の端末局102と第2の端末局103間でダイレクト・リンクが確立した後は、それぞれの端末局はPowerSaveモードで運用することができる。
これまでは、説明の簡素化のため、1台の制御局と、この制御局が開設するBSS内には通信相手となる一対の端末局102及び103のみが収容されているが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。1つのBSS内には3台以上の端末局が収容される場合も想定され、任意の端末の組み合わせでデータ通信を行なう場合であっても、本発明を適用することはできる。また、2台以上の制御局が存在し、制御局間通信が行なわれるシステム環境、すなわちIEEE802.11標準の無線LANの基本単位であるBSSを、複数の制御局で相互接続したネットワーク構成(ESS:Extended Service Set)であっても、本発明を適用することができる。
前述のDirect Link Test Request/Confirm/Reportパケットや、Direct Link Establishment Request/Confirmパケットなどのネゴシエーション用パケットをデータ・フレームにカプセル化することに拡張すれば、有線ネットワーク越しにこれらのネゴシエーションを実施することができる。
図15には、本発明を適用可能である他の通信システムの構成例を模式的に示している。同図では、制御局1501は、参照番号1504で示すBSSを運営し、第1の端末局(STA1)1502及び第2の端末局(STA2)を収容している。また、他の制御局1506は、第3の端末局(STA3)を収容している。そして、2台の制御局1501及び1506が有線LAN1505経由で相互接続されており、ESSを構成している。
図示の例では、第3の端末局(STA3)1503は、第1の端末局(STA1)1502とは異なる制御局1506に収容されているが、第2の端末局(STA2)と同等の自律的DLS機能を有している場合には、第1の端末局1502からのパケットを直接受信できる位置にいれば、上述した第1乃至第6の実施例と同様の手順に従ってダイレクト・リンクを確立し、PowerSaveを利用した直接通信が可能である。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、無線LANシステムの代表規格であるIEEE802.11に従って構築される通信システムに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。インフラストラクチャ・モードで動作するさまざまな通信システムにおいて、端末局同士が制御局の介在なしに直接通信を行なう局面において、同様に本発明を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
101…制御局(AP)
102…第1の端末局(STA1)
103…第2の端末局(STA2)
104…有線LAN
105…BSS
200…無線通信装置
201…データ処理部
202…伝送処理部
203…無線インターフェース部
204…制御部
205…メモリ
206…アンテナ