JP2009121875A - 加圧ヘッドスペースガス全量導入システム - Google Patents

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Kazunori Hishikawa
和則 菱川
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Abstract

【課題】気液平衡後のヘッドスペースガス全量を吸着剤に濃縮捕集することを可能とした構造で、試料液を一定の低温度(40〜50℃)とすることで、試料液の溶媒の蒸発を抑え、底部から高純度ガスを導入して撹拌を行い、さらにこのガス圧によりヘッドスペースガスの圧力を0.2Mpa〜0.3Mpaの一定に保つことで、従来法に比べて60〜180倍のヘッドスペースガス量を再現性良く吸着剤に濃縮捕集することができる特徴をもつ方法である。
【解決手段】従来のヘッドスペース法に使用されている密封容器の底面が、上下に移動できる構造で、50℃の加温状態で、0.3Mpa以上の圧力に耐えて上下になめらかに動く材質と構造の上下駆動プランジャー10を持ち、試料液の攪拌のため、またヘッドスペースガスを加圧するため、高純度ガスが上下駆動プランジャー10の底部より導入される構造をもつ気液平衡用密封容器9を発明したことで問題を解決している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッドスペースガスを確保する密封容器の底面を、上下に移動できる構造とし、圧力、温度、容量が一定の同一条件にて、ヘッドスペースガス全量を、ガスクロマトグラフや質量分析計などに、導入するものである。
ヘッドスペースガスのサンプリング法として、スタテック法とダイナミック法が常用されている。スタテック法は、試料液をいれた密閉容器内の気液平衡後のヘッドスペースガスから0.5ml〜1.0mlをガスクロマトグラフや質量分析計などに導入し定量します。これは大量に存在する試料液の溶媒の影響を受けることなく、試料液中の微量の揮発性有機化合物を再現性良く定量できる方法で、一般的に広く使用されています。試料液を高温に過熱する方法や、塩を試料液に添加して塩析効果により気化を促進してヘッドスペースガスの濃度を上げる努力をしている。さらに、ヘッドスペースガスの採取ガス量を5mlまで増やす方法などにより低濃度試料に対処しているのが現状です。また最近は、分析の感度と再現性を改善するために、試料液毎にヘッドスペース圧力を一定にする工夫をしている。(例えば、特許文献1参照)一方さらに採取ガス量を増やすことで低濃度試料液に対応出来る方法として、ダイナミック法がある。これは密封容器を加熱して気化を促進し、ヘッドスペースガスに、連続的に高純度ガスを供給し、吸着剤充填捕集管に濃縮捕集する方法である。これはヘッドスペースガスを大量にガスクロマトグラフや質量分析計に導入することで、低濃度試料液に対応することが可能となります。
US Patent 2007184553 August 2007
以上に述べた従来のヘッドスペースガスのサンプリング法において、スタテック法にはヘッドスペースガスの温度と圧力が、ガスクロマトグラフや質量分析計による分析の感度及び再現性に大きく影響を与える。温度を高くすれば、試料液中の成分の気化が促進され分析の感度を良くするが、試料液の溶媒の気化も促進され、吸着剤の捕集効率を悪化させ、ガスクロマトグラフや質量分析計による分析の感度及び再現性を悪くする原因となる。圧力を一定にすることで、ガスクロマトグラフや質量分析計による分析の再現性を良くすることは可能であるが、低濃度試料液に対して、ガスクロマトグラフや質量分析計による分析の感度を良くする効果は期待できない。塩を試料液に添加する塩析効果は、試料液の溶媒の気化を抑えながら、溶質の気化を促進して感度を良くする方法として有効な手段である。しかし塩濃度をサンプル毎に一定濃度にするわずらわしさがあること、塩濃度を高くする必要があり、ニードル及び配管に悪影響を与えることなどの欠点があり、塩を添加しない方法と比べて、数倍の感度上昇は期待できない。ヘッドスペースガスの採取ガス量を5mlまで増やす方法は簡単であるが、密封されたサンプル容器(20ml)のヘッドスペースガス(10ml)からヘッドスペースガスの採取ガス量を5ml採取することは、ヘッドスペースガスが減圧になる為、再現性に問題を与える。ヘッドスペースガスの静圧を測定記録し、静圧よりやや高い一定圧力に統一することで再現性を改善しようとしている。しかし、システムが複雑になり、高価になることと、ニードルがサンプル瓶のシール用セプタムを貫通した状態で、加圧するためセプタムとニードルの間からヘッドスペースガスが全く漏れないことを前提条件としなければならない問題がある。またこの方法では、感度上昇は期待できない。採取ガス量を増やすことで低濃度試料液に対応出来る方法として、ダイナミック法は試料液の溶媒も大量に濃縮捕集されるため、吸着剤の捕集効率を悪化させ、さらにガスクロマトグラフや質量分析計の定量に問題を与え、再現性の良い定量が出来なくなる欠点を持っている。これらの問題点を解決する方法として、ヘッドスペースガスを確保する密封容器の底面を、上下に移動できる構造とし、圧力、温度、容量が一定の同一条件にて、ヘッドスペースガス全量を、ガスクロマトグラフや質量分析計などに、導入する加圧ヘッドスペースガス全量導入システムを発明した。
従来のヘッドスペース法に使用されている密封容器の底面が、上下に移動できる構造とすることで、気液平衡後のヘッドスペースガス全量を吸着剤充填捕集管に濃縮捕集することを可能とした。これにより、採取ガス量をスタテック法の30〜60倍として、ガスクロマトグラフや質量分析計に導入することができる。また試料液の加熱は、一定の低温度(40〜50℃)とすることで、試料液の溶媒の蒸発を抑え、また試料液の底部から高純度ガスを導入して撹拌を行い、効率よく、再現性良く濃縮捕集できる。さらに、ボイルシャルルの法則(PV=nRT)からV(ヘッドスペースガスの容量)、T(液相とヘッドスペースガスの温度)が一定において、P(へッドスペースガスの圧力)が2倍となると、n(ヘッドスペースガス中の溶質、溶媒のモル濃度)は2倍になることから、高純度ガスの圧力を0.2Mpa〜0.3Mpaの一定に保つことで、さらに2倍〜3倍の採取ガス量を吸着剤充填捕集管に濃縮捕集することができる。
上述したように、本発明の加圧ヘッドスペースガス全量導入システムは、一般的なヘッドスペースガス分析法に比べて、密封容器の底面が、上下に移動できる構造とすることで、気液平衡後のヘッドスペースガス全量を濃縮捕集することができ、試料液の加熱は、一定の低温度(40〜50℃)とすることで、試料液の溶媒の蒸発を抑え、また試料液の底部から高純度ガスを導入して撹拌を行い、効率よく、再現性良く濃縮捕集でき、さらに高純度ガスの圧力を0.2Mpa〜0.3Mpaの一定に保つことで、2倍〜3倍の採取ガス量を濃縮捕集することができることで、再現性良く、検出感度において60倍から180倍の上昇を可能とする簡便な方法となった。
気液平衡用密封容器9の全体を、均一一定温度(40〜50℃)に加温する為のヒータ
ー12を持ち、気液平衡用密封容器9の上部には、流路を切り替えるためのバルブ8を、気液平衡用密封容器9内には、試料液や洗浄液を定量的に吸引及び排出し、0.2Mpa〜0.3Mpaの高純度ガスを吸引し、ヘッドスペースガス全量を完全に排出でき、さらに下部より調圧流量弁にて調圧された高純度ガスを供給できる接続口を有する、先端部が不活性樹脂製の上下駆動プランジャー10を装着したガラス製気液平衡用密封容器9を用いることで、加圧ヘッドスペースガス全量をガスクロマトグラフや質量分析計へ再現性良く導入することを可能とした。
以下、添付図面に従って実施例を説明する。オープントップ密封型試料瓶1に密封された試料液を一定量、予めヒーター12で一定の温度(40〜50℃ )に加温された気液平衡用密封容器9に導入する為、上下回転駆動ニードル2がオープントップ密封型試料瓶1のセプタムを貫通し、上下回転駆動ニードル2の先端がオープントップ密封型試料瓶1の底部で停止し、調圧流調弁4にて微圧に調整された高純度ガスが、切り替えバルブ3が開となって、試料液面を加圧する。切り替えバルブ7が開となり、上下駆動プランジャー10が下へ、一定量駆動することで、一定量の試料液がバルブ8を通り、気液平衡用密封容器9に導入される。切り替えバルブ3,7が閉となり、調圧流調弁6で、0.2Mpa〜0.3Mpaに調圧された高純度ガスが切り替えバルブ5が開となることで、上下駆動プランジャー10の底部から導入され気泡となり、気液平衡用密封容器9内の試料液中を撹拌上昇して、上下駆動プランジャー10が下へ一定量駆動停止し、気液平衡用密封容器9の試料液上部に一定量の0.2Mpa〜0.3Mpaに加圧されたヘッドスペースガスを保持する。切り替えバルブ5を閉とし、気液平衡が十分成り立つ時間静止する。気液平衡用密封容器9内のヘッドスペースガス全量を吸着剤充填捕集管11に吸着させる為、切り替えバルブ8を吸着剤充填捕集管11側へ切り替え、上下駆動プランジャー10が上へ一定量駆動する。更に切り替えバルブ5が開となり、高純度ガスが切り替えバルブ8から吸着剤充填捕集管11までの配管内のガスを掃気する。切り替えバルブ5が閉、切り替えバルブ8が上下回転駆動ニードル2側に切り替わり、気液平衡用密封容器9内の試料液を排出する為、上下回転駆動ニードル2が廃液ボトルへ移動し、切り替えバルブ5,7が開となり、上下駆動プランジャー10が最上部まで上昇する。次に上下回転駆動ニードル2が洗浄液瓶に移動し、洗浄液を気液平衡用密封容器9へ一定量導入しその後廃液ボトルへ排出する動作を繰り返し、気液平衡用密封容器9内及び上下回転駆動ニードル2から気液平衡用密封容器9への配管及び切り替えバルブを洗浄する。上下回転駆動ニードル2が次のオープントップ密封型試料瓶1に移動し、吸着剤充填捕集管11も次の吸着剤充填捕集管11に切り替わり、新しい試料液にて気液平衡用密封容器9内のヘッドスペースガス全量を吸着剤充填捕集管11に捕集する前述の動作を、必要な回数繰り返す。
本発明は、ガスクロマトグラフや質量分析計において再現性良く、高感度定量分析を可能としたヘッドスペースガス前処理法である。
加圧ヘッドスペースガス全量導入システム図
符号の説明

1 オープントップ密封型試料瓶
2 上下回転駆動ニードル
3 切り替えバルブ
4 調圧流調弁
5 切り替えバルブ
6 調圧流調弁
7 切り替えバルブ
8 切り替えバルブ
9 気液平衡用密封容器
10上下駆動プランジャー
11吸着剤充填捕集管
12ヒーター












Claims (1)

  1. ヘッドスペースガス分析において、ガス圧にて、数十度の温度下の液体や固体の試料を攪拌し、数気圧の加圧状態のヘッドスペースガス全量を濃縮することで、極微量ヘッドスペースガス定量分析を可能としたことを、特徴とする加圧ヘッドスペースガス全量導入システム。





























JP2007294275A 2007-11-13 2007-11-13 加圧ヘッドスペースガス全量導入システム Pending JP2009121875A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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