JP2009115194A - 回転直線運動変換機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】サンシャフトの最大の移動量に制約が加えられることを抑制しつつ変換機構全体としての軸方向の長さを小さくすることのできる回転直線運動変換機構を提供する。
【解決手段】リングシャフト101の回転運動からサンシャフト102の直線運動への変換に際してリングシャフト101とプラネタリシャフト103との間ではリングギア112及び雌ねじ114とプラネタリギア132及び雄ねじ134との噛み合いにより力の伝達が行われる。プラネタリシャフト103とサンシャフト102との間ではプラネタリギア132及び雄ねじ134とサンギア122及び雄ねじ124との噛み合いにより力の伝達が行われる。プラネタリシャフト103には上記プラネタリギアとして接続部127側の端部と雄ねじ134との間に単一のギア132のみが設けられている。
【選択図】図1

Description

この発明は、リングシャフトの回転運動をプラネタリシャフトの遊星運動を通じてサンシャフトの直線運動に変換する回転直線運動変換機構に関する。
上記回転直線運動変換機構としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。以下、図4を参照してこの特許文献1のものを含めた従来の回転直線運動変換機構の構造について説明する。
回転直線運動変換機構は、円筒状のリングシャフト1、このリングシャフト1内において同リングシャフト1の軸線上に延びるように設けられるサンシャフト2、及びこれらリングシャフト1とサンシャフト2との間においてこれらリングシャフト1及びサンシャフト2の軸線と平行に延びるように設けられる複数のプラネタリシャフト3を備えている。これらのうちリングシャフト1は、その長手方向中央部の内周面に雌ねじ14が形成されたリングシャフト本体11と、同リングシャフト本体11の前側部分(図中右側部分)の内周面に固定された前側リングギア12と、同リングシャフト本体11の後側部分(図中左側部分)の内周面に固定された後側リングギア13とを備えている。また、サンシャフト2は、その外周面に雄ねじ24が形成されたサンシャフト本体21を備えている。このサンシャフト本体21の外周面において、雄ねじ24よりも前側(図中右側)には前側サンギア22が形成され、雄ねじ24よりも後側(図中左側)には後側サンギア23が固定されている。また、プラネタリシャフト3は、その長手方向中央部の外周面に雄ねじ34が形成されるとともに、その前側部分(図中右側部分)及びその後側部分(図中左側部分)の外周面にそれぞれ前側プラネタリギア32及び後側プラネタリギア33が形成されたプラネタリシャフト本体31を備えている。
これらリングシャフト1、サンシャフト2、及び各プラネタリシャフト3は、それらのねじ及びギアが互いに噛み合わされている。より詳しくは、リングシャフト1の雌ねじ14、前側リングギア12、及び後側リングギア13はそれぞれ、各プラネタリシャフト3の雄ねじ34、前側プラネタリギア32、及び後側プラネタリギア33に噛合している。また、各プラネタリシャフト3の雄ねじ34、前側プラネタリギア32、及び後側プラネタリギア33はそれぞれ、サンシャフト2の雄ねじ24、前側サンギア22、及び後側サンギア23に噛合している。
こうした構造の回転直線運動変換機構においては、リングシャフト1を回転運動させると、これに伴いプラネタリシャフト3が自身の軸線を中心に自転しながらサンシャフト2の軸線を中心に公転する遊星運動を行い、更にプラネタリシャフト3の遊星運動によりサンシャフト2が軸線方向に直線運動する。すなわち、リングシャフト1の回転運動がサンシャフト2の直線運動に変換される。
特開2007−113652号公報
ところで、こうした回転直線運動変換機構にあっては、リングシャフト1、各プラネタリシャフト3、及びサンシャフト2の各ねじ及び各ギアがそれぞれ各シャフトの軸方向に配設されていることから、変換機構全体としての軸方向の長さが大きいものとなっている。このため、回転直線運動変換機構を搭載するために大きなスペースが必要となり搭載性の点で改善の余地が残されている。なお、こうした問題に対して、リングシャフト、各プラネタリシャフト、及びサンシャフトの各ねじ及び各ギアの軸方向における長さをそれぞれ小さくすることも考えられる。しかしこの場合には、各ねじの軸方向における長さが小さくなることに伴って軸方向におけるサンシャフトの最大の移動量に制約が加えられるといった新たな問題が生じるため、好ましい対策とは言い難い。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サンシャフトの最大の移動量に制約が加えられることを抑制しつつ変換機構全体としての軸方向の長さを小さくすることのできる回転直線運動変換機構を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、筒状のリングシャフトと、このリングシャフト内に配置されるサンシャフトと、前記リングシャフト内において前記サンシャフトの周囲に配置されるプラネタリシャフトとを備え、前記リングシャフトの回転運動にともなう前記プラネタリシャフトの遊星運動を通じて前記サンシャフトを直線運動させる回転直線運動変換機構において、前記リングシャフトと前記プラネタリシャフトとの間では、前記リングシャフトの回転運動から前記サンシャフトの直線運動への変換に際して、前記リングシャフトの内周側に設けられた雌ねじ及びリングギアと前記プラネタリシャフトの外周側に設けられた雄ねじ及びプラネタリギアとの噛み合いにより力の伝達が行われ、前記プラネタリシャフトと前記サンシャフトとの間では、前記リングシャフトの回転運動から前記サンシャフトの直線運動への変換に際して、前記プラネタリシャフトの雄ねじ及びプラネタリギアと前記サンシャフトの外周側に設けられた雄ねじ及びサンギアとの噛み合いにより力の伝達が行われ、前記サンシャフトには前記サンギアとして、当該シャフトの一方の端部であって出力対象に接続される接続部と前記サンシャフトの雄ねじとの間に単一のギアのみが設けられ、前記プラネタリシャフトには前記プラネタリギアとして、前記サンギアに噛み合う単一のギアのみが設けられ、前記リングシャフトには前記リングギアとして、前記プラネタリギアに噛み合う単一のギアのみが設けられることをその要旨としている。
上記発明では、リングシャフトの回転運動をサンシャフトの直線運動に変換するための力の伝達を行うギアとして、サンシャフトには同シャフトの雄ねじに対して出力対象側に単一のサンギアのみが設けられ、プラネタリシャフトには同シャフトの雄ねじに対して出力対象側に単一のプラネタリギアのみが設けられ、リングシャフトには同シャフトの雌ねじに対して出力対象側に単一のリングギアのみが設けられているため、サンシャフト及びプラネタリシャフト及びリングシャフトにおいて雄ねじまたは雌ねじの両側にギアが設けられる従来の構造と比較して、回転直線運動変換機構の軸方向の長さを小さなものとすることができるようになる。また、サンシャフト及びプラネタリシャフト及びリングシャフトにおいて雄ねじまたは雌ねじについては、軸方向の長さを維持することが許容されるため、当該変換機構の小型化にともない軸方向におけるサンシャフトの最大の移動量に制約が加えられることを的確に抑制することができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転直線運動変換機構において、前記サンギア及び前記プラネタリギア及び前記リングギアが平歯車であることをその要旨としている。
上記発明によれば、ねじ同士の噛み合わせと比較した場合に噛み合わせの状態が安定したものとなるギア同士の噛み合わせについて、これがサンシャフトの中間部である雄ねじと接続部との間に設けられるサンギアを通じて維持されるとともに、このサンギアがねじ同士の噛み合わせと比較してより安定した噛み合わせの状態が維持される平歯車として形成されているため、当該回転直線運動変換機構の組み立て過程においてリングシャフトに対するサンシャフトの姿勢が傾いたものとなることを的確に抑制することができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の回転直線運動変換機構において、前記サンシャフトの他方の端部であって前記接続部とは反対側の端部が軸受部材により支持されることをその要旨としている。
上記発明によれば、サンシャフトにおいて雄ねじと接続部との間にサンギアが設けられているとともに、雄ねじに対してサンギアとは反対側の端部が軸受部材により支持されているため、リングシャフトに対するサンシャフトの姿勢が傾いたものとなることを的確に抑制することができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転直線運動変換機構において、前記プラネタリシャフトの一方の端部であって前記サンシャフトの接続部に対応する側の端部とは反対側の端部に前記雄ねじが設けられ、前記サンシャフトの端部のみが前記軸受部材により支持されることをその要旨としている。
上記発明によれば、プラネタリシャフトの一方の端部であってサンシャフトの接続部に対応する側の端部に雄ねじが設けられているため、すなわち軸受部材により支持されるサンシャフトの端部の周囲にはプラネタリシャフトを構成する部位が存在していないため、上記軸受部材をできる限りリングシャフトの内部に配置することが許容されるようになる。そして、こうした軸受部材の配置態様を採用することによって、当該回転直線運動変換機構の軸方向の長さを小さくすることができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の回転直線運動変換機構において、前記サンシャフトの端部に併せて、前記プラネタリシャフトの一方の端部であって前記サンシャフトの接続部に対応する側の端部とは反対側の端部が前記軸受部材により支持されることをその要旨としている。
上記発明によれば、サンシャフトの端部に併せてプラネタリシャフトの端部も支持されるため、サンシャフトに対するプラネタリシャフトの姿勢が傾いたものとなることを的確に抑制することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の回転直線運動変換機構において、前記軸受部材は、前記リングシャフトの内周面に固定される第1の部位と、前記サンシャフトを支持する第2の部位と、これら第1の部位及び第2の部位の間に設けられて前記サンシャフトに対する自転及び公転を許容しつつ前記プラネタリシャフトを支持する第3の部位とを含むものであることをその要旨としている。
上記発明によれば、軸受部材により支持されつつプラネタリシャフトが自転及び公転するため、リングシャフトの回転運動をサンシャフトの直線運動に変換する際のプラネタリシャフトの挙動をより安定したものにすることができるようになる。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、この発明にかかる回転直線運動変換機構の第1の実施の形態について説明する。
回転直線運動変換機構は、筒状のリングシャフト101と、このリングシャフト101内に配置されるサンシャフト102と、リングシャフト101内においてサンシャフト102の周囲に配置される複数のプラネタリシャフト103とを備えている。またサンシャフト102は、その軸線がリングシャフト101内において同リングシャフト1の軸線L上に位置するように設けられている。また、プラネタリシャフト103は、その軸線がこれらリングシャフト101及びサンシャフト102の軸線Lに対して平行となるように設けられている。
そして、リングシャフト101の回転運動にともなう各プラネタリシャフト103の遊星運動を通じてサンシャフト102の直線運動が得られるようになる。すなわち、リングシャフト101の回転運動がサンシャフト102の直線運動に変換される。
サンシャフト102について、その本体(サンシャフト本体121)の一方の端部には、当該変換機構の出力対象に接続するための接続部127が設けられている。なお以降では、当該回転直線運動変換機構の軸方向において、サンシャフト102の接続部127側を前側Fとし、これとは反対側を後側Rとする。
サンシャフト本体121において、その外周側には雄ねじ124が形成されている。また、この雄ねじ124よりも前側Fには平歯のサンギア122が形成されている。また、このサンギア122よりも前側Fには他の部位に比べて径が大きく設定された拡径部125が設けられている。また、サンシャフト本体121の後側Rの端部には、他の部位に比べて径が小さく設定された縮径部126が設けられている。
プラネタリシャフト103について、その本体であるプラネタリシャフト本体131の外周側には、サンシャフト102の雄ねじ124と噛み合う雄ねじ134が形成されている。また、この雄ねじ134よりも前側Fには、サンシャフト102のサンギア122に噛み合う平歯のプラネタリギア132が形成されている。また、雄ねじ134はプラネタリシャフト本体131の後側Rの端部、すなわちサンシャフト102の接続部127に対応する側の端部とは反対側の端部から本体131の中間部までにわたり形成されている。このように、プラネタリシャフト本体131の軸方向において雄ねじ134よりも後側Rにはプラネタリシャフト103を構成する部位が存在していない。
リングシャフト101について、その本体であるリングシャフト本体111の内周側には、プラネタリシャフト103の雄ねじ134に噛み合う雌ねじ114が形成されている。また、この雌ねじ114よりも前側Fには、プラネタリシャフト103のプラネタリギア132に噛み合う平歯のリングギア112が設けられている。このリングギア112はリングシャフト本体111とは別体のものとして形成されている。
ちなみに、回転直線運動変換機構の組み立てに際しては、サンギア122とプラネタリギア132とを噛み合わせた状態でサンシャフト102とプラネタリシャフト103とをリングシャフト本体111の前側F端部からその内部に挿入する。そして、リングシャフト101に対するサンシャフト102及びプラネタリシャフト103の位置を調節する。そして、リングギア112をリングシャフト本体111の前側F端部からリングギア112とプラネタリギア132との間に挿入してこれを固定する。
上記構造の回転直線運動変換機構において、サンシャフト102の拡径部125は円筒状の前側軸受部材140により支持されている。この前側軸受部材140は、リングシャフト本体111の前側端部とサンシャフト102の拡径部125との間に設けられている。また、サンシャフト102の縮径部126、すなわちサンシャフト102における接続部127とは反対側の端部である縮径部126は、後側軸受部材150により支持されている。この後側軸受部材150は、サンシャフト102の縮径部126のみを支持するものとして、リングシャフト本体111の後側端部とサンシャフト102の縮径部126との間に設けられている。また、有底円筒状に形成されてリングシャフト101の後側端部に内嵌されるカラー151と、円筒状に形成されて同カラー151に内嵌されるブッシュ152とにより構成されている。そして、このブッシュ152の内部にサンシャフト102の縮径部126が挿入され、これによって同縮径部126を軸方向に移動可能な状態で支持している。
また上述のように、プラネタリシャフト本体131において雄ねじ134よりも後側Rにはプラネタリシャフト103を構成する部位が存在していないため、これを受けて後側軸受部材150の配置態様は、同軸受部材150をできる限りリングシャフト101内に位置させるものとなっている。
このように、当該回転直線運動変換機構においては、サンシャフト102には回転運動から直線運動への変換に際してプラネタリシャフト103との間で力の伝達を行うサンギアとして、同サンシャフト102の一方の端部であって出力対象に接続される接続部127とサンシャフト102の雄ねじ124との間に単一のギア122のみが設けられている。また、リングシャフト101には回転運動から直線運動への変換に際してプラネタリシャフト103との間で力の伝達を行うリングギアとして、プラネタリギア132に噛み合う単一のギア112のみが設けられている。また、プラネタリシャフト103には回転運動から直線運動への変換に際してサンシャフト102及びリングシャフト101との間で力の伝達を行うプラネタリギアとして、サンギア122及びリングギア112に噛み合う単一のギア132のみが設けられている。
そして、モータの回転力によってリングシャフト101を回転運動させたとき、これに伴ってプラネタリシャフト103が自転しつつサンシャフト102の周りを公転していわゆる遊星運動をし、これに伴ってサンシャフト102がその軸方向に直線運動するようになる。ここで、リングシャフト101の回転運動からサンシャフト102の直線運動への変換に際して、リングシャフト101とプラネタリシャフト103との間では、リングシャフト101の雌ねじ114及びリングギア112とプラネタリシャフト103の雄ねじ134及びプラネタリギア132との噛み合いにより力の伝達が行われる。また、プラネタリシャフト103とサンシャフト102との間では、プラネタリシャフト103の雄ねじ134及びプラネタリギア132とサンシャフト102の雄ねじ124及びサンギア122との噛み合いにより力の伝達が行われる。
(1)この実施の形態の回転直線運動変換機構では、リングシャフト101の回転運動をサンシャフト102の直線運動に変換するための力の伝達を行うギアとして、サンシャフト102には雄ねじ124に対して出力対象側に単一のサンギア122のみが設けられまたプラネタリシャフト103には雄ねじ134に対して出力対象側に単一のプラネタリギア132のみが設けられ、またリングシャフト101には雌ねじ114に対して出力対象側に単一のリングギア112のみが設けられるものとした。これにより、サンシャフト102及びプラネタリシャフト103及びリングシャフト101において雄ねじまたは雌ねじの両側にギアが設けられる従来の構造と比較して、回転直線運動変換機構の軸方向の長さを小さなものとすることができるようになる。また、サンシャフト102及びプラネタリシャフト103及びリングシャフト101において雄ねじ124,134または雌ねじ114については、軸方向の長さを維持することが許容されるため、当該変換機構の小型化にともない軸方向におけるサンシャフト102の最大の移動量に制約が加えられることを的確に抑制することができるようになる。すなわち、回転直線運動変換機構の小型化と、サンシャフトの最大移動量の維持との両立を図ることができるようになる。
(2)サンシャフト及びプラネタリシャフト及びリングシャフトにおいて雄ねじまたは雌ねじに対して出力対象とは反対側にのみ上記力の伝達を行うためのギア(サンギア及びプラネタリギア及びリングギア)を設けた場合には、変換機構全体としての軸方向の長さを小さくすることが可能になるとはいえ、次のようなことが新たに問題となる。すなわち、サンシャフトとプラネタリシャフトとの間においてサンギアとプラネタリギアとが噛み合わされているとはいえ、ギア同士の噛み合わせと比較した場合に噛み合わせの状態が不安定となるねじ同士の噛み合わせについて、これがサンシャフトの中間部に存在しているため、当該回転直線運動変換機構の組み立てにともないプラネタリシャフトに外力が作用することに起因して、サンシャフトに対するプラネタリシャフトの姿勢が傾いたものとなることも想定される。
この点、この実施の形態の回転直線運動変換機構では、ねじ同士の噛み合わせと比較した場合に噛み合わせの状態が安定したものとなるギア同士の噛み合わせについて、これをサンシャフト102の中間部である雄ねじ124と接続部127との間に設けるようにしているため、当該回転直線運動変換機構の組み立て過程においてリングシャフト101に対するサンシャフト102の姿勢が傾いたものとなること、すなわちリングシャフト101の軸線とサンシャフト102の軸線とが実質的に整合した状態が維持されなくなることを的確に抑制することができるようになる。
(3)この実施の形態の回転直線運動変換機構では、サンシャフト102の端部である縮径部126を後側軸受部材150により支持するようにした。これにより、雄ねじ124に対して出力対象側においてギアの噛み合いが維持され、これに併せて雄ねじ124に対して出力対象とは反対側が後側軸受部材150により支持されるため、リングシャフト101に対するサンシャフト102の姿勢が傾いたものとなることをより的確に抑制することができるようになる。
(4)この実施の形態の回転直線運動変換機構では、プラネタリシャフト103の一方の端部であってサンシャフト102の接続部127に対応する側の端部とは反対側の端部に雄ねじ134が設けられ、サンシャフト102の端部に形成される縮径部126のみが後側軸受部材150により支持されるものとした。すなわち、後側軸受部材150により支持されるサンシャフト102の端部に形成される縮径部126の周囲にはプラネタリシャフト103を構成する部位が存在していないものとした。これにより、上記後側軸受部材150をできる限りリングシャフト101の内部に配置することが許容されるようになり、これを受けて後側軸受部材150を極力リングシャフト101内に配置するようにしているため、当該回転直線運動変換機構の軸方向の長さを一層小さくすることができるようになる。
<第2の実施の形態>
図2及び図3を参照して、本発明にかかる回転直線運動変換機構の第2の実施の形態について説明する。なお、図3は図2のA−A断面図である。また、図2において、先の図1において符号「1**」にて示される要素については符号「2**」(「**」は「01〜40」)を付すことにより、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
図2に示されるように、プラネタリシャフト203の本体(プラネタリシャフト本体231)には、雄ねじ234よりも後側Rに縮径端部235が設けられている。この縮径端部235は、プラネタリシャフト本体231の軸方向において後側Rの端部、すなわちプラネタリシャフト203の一方の端部であってサンシャフト202の接続部227に対応する側の端部とは反対側の端部に形成されている。リングシャフト本体211の後側端部とサンシャフト202の縮径部226との間には、サンシャフト202の縮径部126に併せてプラネタリシャフト203の縮径端部235を支持する後側軸受部材250、すなわち軸方向への移動を許容しつつサンシャフト202を支持するとともに、自転及び公転を許容しつつ各プラネタリシャフト203を支持する後側軸受部材250が設けられている。また、リングシャフト本体211の後側Rの端部には内部への異物の混入等を遮断するためのカバー260が設けられている。
ここで、図3を参照して後側軸受部材250の詳細な構造について説明する。
後側軸受部材250は、円筒状に形成されてリングシャフト本体211に内嵌される外側ブッシュ251と、円筒状に形成されて同外側ブッシュ251の内側に設けられる内側ブッシュ252と、これら外側ブッシュ251と内側ブッシュ252との間に設けられて各ブッシュに対して回転するベアリング部253とにより構成されている。このベアリング部253には、支持孔255により各プラネタリシャフト203の縮径端部235を支持する支持部254と、同支持部254の外周側に設けられる外側ベアリング256と、同支持部254の内周側に設けられる内側ベアリング257とにより構成されている。また、外側ベアリング256及び内側ベアリング257には、それらの周方向に等角度間隔に配置されたボール及びこれらボールを保持する内輪及び外輪が設けられている。
こうした構造の後側軸受部材250により、軸方向への移動が可能な状態で内側ブッシュ252を通じてサンシャフト202が支持されている。また、自転及びサンシャフト202に対する公転か可能な状態でベアリング部253を通じてプラネタリシャフト203が支持されている。なお、外側ブッシュ251がこの発明にかかる第1の部位に相当し、内側ブッシュ252がこの発明にかかる第2の部位に相当する。また、ベアリング部253がこの発明にかかる第3の部位に相当する。
この実施の形態にかかる回転直線運動変換機構によれば、上記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)に加えて、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(5)この実施の形態の回転直線運動変換機構では、単一の後側軸受部材250によりサンシャフト202の端部である縮径部226と、プラネタリシャフト203の端部である縮径端部235とを支持するようにしている。これにより、サンシャフト202に対するプラネタリシャフト203の姿勢が傾いたものとなることを的確に抑制することができる。
(6)この実施の形態の回転直線運動変換機構では、後側軸受部材250として、リングギア212の内周面に固定される外側ブッシュ251と、サンシャフト202を支持する内側ブッシュ252と、これら外側ブッシュ251及び内側ブッシュ252の間に設けられてサンシャフト202に対する自転及び公転を許容しつつプラネタリシャフト203を支持するベアリング部253とを含むものを備えるようにしている。これにより、リングシャフト201の回転運動をサンシャフト202の直線運動に変換する際のプラネタリシャフト203の挙動をより安定したものにすることができるようになる。
<その他の実施の形態>
なお、この発明にかかる回転直線運動変換機構の実施の態様は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記各実施の形態では、サンシャフト本体121,221において前側軸受部材140,240に支持される部位が他の部位に比べて拡径されるとともに後側軸受部材150,250に支持される部位が他の部位に比べて縮径されているサンシャフト102,202を採用している。しかし、サンシャフトの構成はこれに限られるものではなく、他に例えば前側軸受部材140,240に支持される部位の径と後側軸受部材150,250に支持される部位の径とを同一のものとしてもよい。また上記各実施の形態とは反対に、前側軸受部材140,240に支持される部位が他の部位に比べて縮径されるとともに後側軸受部材150,250に支持される部位が他の部位に比べて拡径されるサンシャフトを採用してもよい。
・上記第1の実施の形態では、後側軸受部材150としてカラー151及びブッシュ152を備えるものについて例示したが、後側軸受部材150の構成はこれに限られるものではなく、他に例えばカラー及びブッシュを一体に形成するようにしてもよい。要するに、サンシャフト102の端部のみを支持するものであればよい。
・上記第2の実施の形態では、後側軸受部材250として外側ブッシュ251、内側ブッシュ252、及びベアリング部253を備えるものについて例示したが、後側軸受部材250の構成はこれに限られるものではなく、リングシャフトの内周面に固定される第1の部位と、サンシャフトを支持する第2の部位と、これら第1の部位及び第2の部位の間に設けられてサンシャフトに対する自転及び公転を許容しつつプラネタリシャフトを支持する第3の部位とを含むものであればその構成を任意に変更してもよい。
・上記各実施の形態では、サンシャフト102,202の端部に形成される縮径部126,226を支持する後側軸受部材150,250を備えるものについて例示したが、後側軸受部材150,250以外の軸受部材等によってサンシャフト102,202に対するプラネタリシャフト103,203の姿勢が傾いたものとなることを的確に抑制することができるのであればこれを割愛してもよい。
・上記実施形態では、リングギア112,212及びサンギア122,222及びプラネタリギア132,232を平歯車としたが、リングギア及びサンギア及びプラネタリギアの形状はこれに限られるものではなく、その他の形状のギアを用いることもできる。この場合にも、上記(2)の効果に準じた効果が奏せられるようになる。
この発明にかかる回転直線運動変換機構の第1の実施の形態についてその断面構造を示す断面図。 この発明にかかる回転直線運動変換機構の第2の実施の形態についてその断面構造を示す断面図。 同実施の形態の回転直線運動変換機構について図2のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。 従来の回転直線運動変換機構についてその断面構造を示す断面図。
符号の説明
1,101,201…リングシャフト、11,111,211…リングシャフト本体、12…前側リングギア、13…後側リングギア、14,114,214…雌ねじ、2,102,202…サンシャフト、21,121,221…サンシャフト本体、22…前側サンギア、23…後側サンギア、24,124,224…雄ねじ、112,212…リングギア、122,222,…サンギア、125,225…拡径部、126,226…縮径部、127,227…接続部、3,103,203…プラネタリシャフト、31,131,231…プラネタリシャフト本体、32…前側プラネタリギア、33…後側プラネタリギア、34,134,234…雄ねじ、235…縮径端部、140,240…前側軸受部材、150,250…後側軸受部材151…カラー、152…ブッシュ、251…外側ブッシュ、252…内側ブッシュ、253…ベアリング部、254…支持部、255…支持孔、256…外側ベアリング、257…内側ベアリング、260…カバー。

Claims (6)

  1. 筒状のリングシャフトと、このリングシャフト内に配置されるサンシャフトと、前記リングシャフト内において前記サンシャフトの周囲に配置されるプラネタリシャフトとを備え、前記リングシャフトの回転運動にともなう前記プラネタリシャフトの遊星運動を通じて前記サンシャフトを直線運動させる回転直線運動変換機構において、
    前記リングシャフトと前記プラネタリシャフトとの間では、前記リングシャフトの回転運動から前記サンシャフトの直線運動への変換に際して、前記リングシャフトの内周側に設けられた雌ねじ及びリングギアと前記プラネタリシャフトの外周側に設けられた雄ねじ及びプラネタリギアとの噛み合いにより力の伝達が行われ、
    前記プラネタリシャフトと前記サンシャフトとの間では、前記リングシャフトの回転運動から前記サンシャフトの直線運動への変換に際して、前記プラネタリシャフトの雄ねじ及びプラネタリギアと前記サンシャフトの外周側に設けられた雄ねじ及びサンギアとの噛み合いにより力の伝達が行われ、
    前記サンシャフトには前記サンギアとして、当該シャフトの一方の端部であって出力対象に接続される接続部と前記サンシャフトの雄ねじとの間に単一のギアのみが設けられ、
    前記プラネタリシャフトには前記プラネタリギアとして、前記サンギアに噛み合う単一のギアのみが設けられ、
    前記リングシャフトには前記リングギアとして、前記プラネタリギアに噛み合う単一のギアのみが設けられる
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構。
  2. 請求項1に記載の回転直線運動変換機構において、
    前記サンギア及び前記プラネタリギア及び前記リングギアが平歯車である
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構。
  3. 請求項1または2に記載の回転直線運動変換機構において、
    前記サンシャフトの他方の端部であって前記接続部とは反対側の端部が軸受部材により支持される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構。
  4. 請求項3に記載の回転直線運動変換機構において、
    前記プラネタリシャフトの雄ねじは、前記プラネタリシャフトの一方の端部であって前記サンシャフトの接続部に対応する側の端部とは反対側の端部から前記プラネタリシャフトの中間部までにわたり設けられ、前記サンシャフトの端部のみが前記軸受部材により支持される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構。
  5. 請求項3に記載の回転直線運動変換機構において、
    前記サンシャフトの端部に併せて、前記プラネタリシャフトの一方の端部であって前記サンシャフトの接続部に対応する側の端部とは反対側の端部が前記軸受部材により支持される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構。
  6. 請求項5に記載の回転直線運動変換機構において、
    前記軸受部材は、前記リングシャフトの内周面に固定される第1の部位と、前記サンシャフトを支持する第2の部位と、前記第1の部位と前記第2の部位との間においてこれら部位に対して回転可能に設けられて前記プラネタリシャフトを支持する第3の部位とを含むものである
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構。
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