JP2009113489A - インクスティック - Google Patents

Abstract

【課題】インクスティックが供給路のセンサ領域を横切る速度とタイミングが変動した場合であっても、インクスティックの符号化センサ構成部の読取りに悪影響を与えないインクスティックを提供することである。
【解決手段】インクスティック１００は、底面１３８、上面１３４、横方向側面１４０、１４４、端面１４８、１５０を有し、符号化センサ構成部１０４が底面１３８上に設けられる。符号化センサ構成部１０４は、概ね直線状の列またはトラックの形に整列した複数のセンサアクチュエータ１０８、１１０、１１４、１１８を含む。そして、遷移表示領域１３４は、各トラックの先端センサアクチュエータ位置と末端センサアクチュエータ位置との間の符号化センサ構成部１０４に形成された空隙または凸部から成る。なお、インクスティック１００は、１つまたはそれ以上の挿入キー構成部１５４を含むものとしてよい。
【選択図】図４

Description

本発明は、概ね、相変化インクジェットプリンタ、該インクジェットプリンタに使用される固体インクスティック、および該インクジェットプリンタ内に固体インクスティックを供給する装填供給装置に関する。

従来、固体インク／相変化インクプリンタは、インクをペレットとして、あるいはインクスティックとして、固体の形態で受容するようにしている。固体インクペレットまたはインクスティックは、一般に、プリンタ用インクローダの挿入口を通して挿入し、そのインクスティックを、ヒータアセンブリ内の加熱プレートに向かって供給機構および／または重力により供給路沿いに押し込めるか、滑り込ませる。加熱プレートは、プレートに当たる固体インクを溶融して液体の形態にし、その液体はプリントヘッドに送られて記録媒体上に噴出する。

固体インク技術において直面している１つの問題はインクスティックの差別化と識別にあり、あるインクスティックが、それが使用されるイメージングデバイスに正しく装填されること、およびそのイメージングデバイスと適合性を有するものであることを保証することである。あるインクスティックが目的の供給路に正しく装填され、プリンタと適合性を有するものであることを確実にするため、様々な対策が講じられてきた。そのような対策の１つは、異なる色のインクスティックや不適合なインクスティックをプリンタの供給路へ挿入しないよう物理的に除外することである。例えば、インクスティックの正しい装填は、インクスティックの外表面にキー形成部、位置合せ部および配向部を組み込むことにより行われてきた。これらの構成部は、インクスティック上の異なる位置に配置された突起や凹部である。相変化インクプリンタのインクローダにおける対応するキーあるいは案内要素は、適切な周囲長キー要素を備えないインクスティックを除外する一方、インクスティックが供給路内に正しく位置合せされ、方向付けされることを確実にする。

しかしながら、様々な価格付けやカラーテーブルの選択肢が混在する世界市場により、インクおよび／またはインクパッケージのサイズ／形状はほぼ同じでありながら多様なインクタイプが市場に存在しうる状況が現出されている。その結果、インクスティックは、実質的に同じように見えながら、実際には、例えば市場の価格付けやカラーテーブルといった要因に基づく様々な相変化印刷システムに対応したものとなりうる。インクスティック形状、市場戦略、価格設定等が広範囲であるという理由のために、適切なインクだけがプリンタに受容されるようにインクスティックを差別化するに際しては、物理的なキーによる方法以上の識別法が要求される。

広範なインクスティック形状からもたらされる識別の必要性に対応して、センサ構成部を備えたインクスティックが開発されている。センサ構成部は、インク給送システムのセンサと相互作用するような形状を有するインクスティックの外表面に形成された１つまたはそれ以上の構成部から成る。インクローダにおける１つまたはそれ以上のセンサを作動させて、当該インクスティックに固有の情報に対応する信号、または信号を符号化したパターンのいずれかを生成するようにいくつかの構成部を配置することにより、インクスティックデータをいくつかの構成部の中に符号化してもよい。インクスティックにおける上記符号化されたインクスティックデータは、イメージング動作を制御する適切な装備を備えた相変化インクジェット印刷デバイスにおける印刷コントローラで読み取ってもよい。例えば、そのコントローラは、動作をイネーブル／ディスエーブルすることができるもの、動作を最適化することができるもの、あるいは上記インクスティック上の符号化されたインクスティックデータに基づいて動作パラメータを誘導もしくは設定することができるものとしてよい。

インクスティックに組み込まれた符号化センサ構成部を読み取るには、一般に、インクジェットを供給路内の適切なセンサを通るように移動あるいは搬送させる必要がある。供給路におけるインクスティックの移動は、概ね、加熱プレートでのインクスティックの溶融速度に対応する。溶融サイクルは、プリンタが必要とする程度にしか実行されない。したがって、溶融サイクルが実行されないときは、インクスティックは供給路内で静止状態で留まってもよい。インクスティックの移動はまた、装填されるインクスティックが、既に供給路内に装填済のインクスティックと接触するまで“押し込まれる”装填動作に応答するものとしてよく、その供給路地点で当該インクスティックは他のインクスティックと共に上記溶融速度で移動する。

しかしながら、インクスティックが移動する速度やインクスティックが供給路のセンサと相互作用するタイミングが変動すると、符号化された構成部が不正に検出されたり読み取られたりする可能性が高くなる。

本発明に係るイメージングデバイスのインクローダに使用するインクスティックは、インクスティックが供給路のセンサ領域を横切る速度とタイミングが変動することによって、インクスティックの符号化センサ構成部の読取りに悪影響を与えないように、インクローダにおけるセンサに対するインクスティックの位置表示が提供されるように構成された遷移表示領域を備える。上記インクスティックは、相変化インクイメージングデバイスのインクローダの供給路において受容され、かつ供給路の挿入端から溶融端まで供給路内を供給方向に移動されるように構成されたインクスティック本体を備える。インクスティック本体は、先端と末端を備えている。インクスティック本体は、先端を供給方向、末端を供給方向とは反対方向に向けてインクローダ内に挿入されるように構成される。複数の第１のセンサアクチュエータがインクスティック本体の先端付近に配置され、かつそれらの第１のセンサアクチュエータは、上記インクスティック本体が溶融端に向かって移動して符号語の第１の位置に対応する第１の信号を生成するときに供給路における少なくとも１つのセンサと相互作用するようにインクスティック本体上に位置する。複数の第２のセンサアクチュエータがインクスティック本体の末端付近に配置される。これら第２のセンサアクチュエータは、上記インクスティック本体が溶融端に向かって移動して上記符号語の第２の位置に対応する第２の信号を生成するときに供給路における少なくとも１つのセンサと相互作用するようにインクスティック本体上に位置する。遷移表示部が、インクスティック本体上における複数の第１のセンサアクチュエータと複数の第２のセンサアクチュエータとの間に位置する。上記遷移表示部は、供給路における少なくとも１つのセンサと相互作用して上記第１の信号の生成から上記第２の信号の生成までの遷移を表わす遷移信号を生成するように構成される。

本発明に係るイメージングデバイスのインクローダに使用するインクスティックによれば、遷移表示領域を備えるので、インクスティックが供給路のセンサ領域を横切る速度とタイミングが変動した場合であっても、インクスティックの符号化センサ構成部の読取りに悪影響を与えず、符号化センサ構成部が不正に検出されたり読み取られたりすることを有効に防止することができる。

本実施形態の概略の理解のため、図面を参照する。図面全体にわたり、同一の参照番号は、同一の要素を示すために用いられている。本明細書において使用する用語「プリンタ（印刷機：printer）」は、例えばプリンタ、ファクシミリ、コピー機および関連複合機製品などの概ね再生装置を表わし、用語「プリントジョブ（印刷ジョブ：print job）」は、例えば再生される１つまたは複数の電子的アイテムを含む情報を表わしている。インクカートリッジまたはハウジングからプリントヘッドへのインクの送出あるいは転写への言及は、印刷システムに必要とされることがありながら本発明には直接の重要性をもたない溶融部、中間接続部、チューブ、マニホールドおよび／またはその他の構成要素および／または相関的要素を包括的に含んでなされることを意図している。

さて、図１を参照すると、相変化インクイメージングデバイス１０の一実施形態のブロック図が示されている。この相変化インクイメージングデバイス１０は、固体インクスティックを受容して動作ステージに載せるインク供給部１４を有する。インクヒータ１８は、インクスティックをその溶融点以上に加熱して液状化インクを生成する。溶融したインクは、重力、ポンプ作用、あるいはその両者によりプリントヘッドアセンブリ２０に供給される。イメージングデバイス１０は、ダイレクト印刷装置またはオフセット印刷装置であってよい。ダイレクト印刷装置においては、インクは、プリントヘッド２０により記録媒体の表面上にダイレクトに放出される。

図１の実施形態では、インダイレクトすなわちオフセット印刷装置が示されている。オフセットプリンタにおいては、インクはドラムの形態で図示する転写表面２８上に放出されるが、その転写表面２８は支持されたエンドレスベルトの形態をとることもできる。そのイメージ転写工程を促進するため、加圧ローラ３０が媒体３４をドラム２８上のインクに対して押圧して、インクをドラム２８から媒体３４へと転写する。

本機すなわちプリンタ１０の様々なサブシステム、構成要素および相関的要素の動作および制御は、コントローラ３８の支援を得て実行される。コントローラ３８は、例えば、中央演算処理装置（ＣＰＵ）、電子記憶装置、および表示装置またはユーザインタフェース（ＵＩ）を有するマイクロコントローラとしてよい。このコントローラは、スキャナやコンピュータなどのイメージソース４０と、上記プリントヘッドアセンブリ２０などのイメージングシステムとの間のイメージデータフローの読取り、捕捉、作成、および管理を行う。コントローラ３８は、他の本機サブシステムや本機の印刷動作を含む相関的要素のすべての作動、制御を行うための主マルチタスクプロセッサであり、したがってこれらの様々なシステムを制御するために必要なハードウェア、ソフトウェア等を含む。

図２を参照する。デバイス１０は、オペレーティングシステムおよび構成要素が直接または間接に載置されるフレーム４４を備える。固体インク給送システム４８が、インクスティックを装填ステーション５０から溶融ステーション５４まで前進させる。装填ステーションは、キー状開口６０を備えている。キー状開口６０のそれぞれは、インク給送システムの個々の供給路５８のうちその１つへのアクセスを制限する。それらのキー状開口６０は、開口６０のキー構造に合致するキー要素を有するインクスティックのみを受容するような形状を有する。その結果、キー状開口６０は、通路に挿入されるインクスティックを色やインク配合などの特定の構成に限定する役割を果たす。上記インク給送システム４８は、インクスティックを装填ステーション５０から溶融ステーション５４まで搬送するための複数の通路すなわちシュート５８を備えている。シアン、マゼンタ、ブラックおよびイェロー４色の各々に対して別個の通路５８がそれぞれ用いられる。溶融ステーション５４は、固体インクスティックを溶融し、その液体インクをプリントヘッドシステム（図示せず）へ供給するような形状を有している。

図２の実施形態において、装填ステーションは、挿入方向Ｌに沿ってキー状開口６０を通して挿入されたインクスティックを受容する。供給路は、インクスティックを装填ステーションから溶融ステーションへ供給方向Ｆに沿って搬送するような形状を有している。図２の実施形態においては、挿入方向Ｌおよび供給方向Ｆは異なる方向となっている。インクスティックは、例えば、挿入方向Ｌに沿って挿入し、ついで供給方向Ｆに沿って供給路を移動させることができる。代替の実施形態においては、供給路は、挿入方向Ｌおよび供給方向Ｆが実質的に平行となるように構成される。

インクスティックは、多くの形態を採りうる。上記インク給送システムに使用する固体インクスティック１００の実施形態の一例を図３に示す。インクスティックは、底面１３８と、上面１３４を有する。底面１３８と上面１３４は、図示のケースでは実質的に互いに平行であるが、他の輪郭、相対的関係を採ってもよい。さらに、インクスティック本体の表面は、平坦でなくてもよく、互いに平行あるいは垂直でなくてもよい。インクスティック本体はまた、横方向側面１４０、１４４および端面１４８、１５０などの複数の側端部を有する。側面１４０および１４４は実質的に互いに平行であり、上面１３４および底面１３８と実質的に垂直である。端面１４８、１５０もまた、基本的には実質的に互いに平行であり、かつ上面および底面、さらに横方向側面と実質的に垂直である。一方の端面１４８は先端面であり、他方の端面１５０は末端面である。インクスティック本体は注入成形、射出成形、圧縮成形、あるいは他の既知の技術により形成できる。

インクスティックは、使用時にそのインクスティックの正しい装填、案内および支持に役立つ多くの構成部を含むものとしてよい。これらの装填構成部は、インクスティック上の異なる位置に配置された突起および／または凹部であって、インクローダにおいて補完関係位置に配置されたキー要素、案内部、支持部、センサ、等と相互作用するようにした突起および／または凹部で構成してよい。例えば、図３に示すように、インクスティックは、１つまたはそれ以上の挿入キー構成部１５４を含むものとしてよい。スティックキー構成部は、装填ステーション５０のキー状開口６０と相互作用して、固体インク給送システムの上記挿入開口６０を通じてのインクスティックの挿入を許容または阻止する。図３のインクスティック実施形態において、キー要素１５４は、インクスティック本体の側面１４０に形成された垂直凹所またはノッチである。キー状開口６０の周囲の対応する補完的キー（図示せず）は、該開口６０の補完的突起部である。インクスティック上の任意の適切な位置において、任意の数または形状のキー構成部を採用してよい。

キー形成部、位置合せ部、および配向部といった構成部の使用に代えて、もしくはそれらに加えて、インクスティックは、可変制御情報または属性情報をインクスティック１００内に符号化するための符号化センサ構成部１０４を含んでもよい。以下に詳細に説明するように、符号化センサ構成部１０４は、上記可変制御情報をコントローラに運ぶように構成された１つまたはそれ以上の符号化された信号を生成するために、インク給送システムの供給路におけるセンサシステムと相互作用するような形状を有している。上記符号化された信号は、情報をイメージングデバイス制御システムに搬送するのに適切な任意の形態を採りうる。符号化センサ構成部は、供給路におけるセンサ位置に対応するインクスティック上の所定の位置に配置してよい。

図４および図５を参照すると、符号化センサ構成部１０４が、インクスティックの底面１３８上に示されている。ただし、上記センサ構成部は、供給路におけるセンサ配置に応じてインクスティックの任意の１表面または２表面以上に形成してもよい。符号化センサ構成部は、インクスティック上の当該インクスティックを識別する情報、例えば、シリアル番号、識別コードあるいは他のインデックス系統、インクスティックの由来、インクスティックの配合、製造日、在庫保管単位（ＳＫＵ）番号、等を埋め込むために使用することができる。

図５で最も良く分かるように、符号化センサ構成部は、概ね直線状の列またはトラック１２０、１２４の形に整列した複数のセンサアクチュエータ１０８、１１０、１１４、１１８を含む。以下に説明するように、トラック１２０、１２４のセンサアクチュエータ１０８、１１０、１１４、１１８は、供給路に配置されて符号化された信号を生成するトラックセンサ（図示せず）と相互作用するような形状を有している。図５のインクスティックでは２つのトラック１２０、１２４を有しているが、インクスティックは３つ以上のトラックを有してもよい。各トラックは前記供給方向Ｆと実質的に平行な通路を形成し、インク給送システムにおけるセンサ位置に対応するインクスティックの外表面のある位置に形成される。センサアクチュエータを上記供給方向に平行なトラックに配列することにより、１トラックのそれらセンサアクチュエータは、インクスティックが供給路に沿って推し進められるにつれて単一のセンサにより“読み取る”ことができる。

図５における符号化された信号構成部のトラックは、遷移表示領域１３４（以下に詳述する）により先端区域１３０と末端区域１２８とに分けられる。トラックの先端区域１３０および末端区域１２８は、１つまたはそれ以上のセンサアクチュエータを配置するために採用しうるトラック沿いの場所を含んで成る。１つまたはそれ以上のセンサアクチュエータを、各トラックの上記先端区域および末端区域の１つまたはそれ以上に配置することができる。しかしながら、センサアクチュエータは、先端区域および末端区域の両方に配置する必要はない。一部のトラックでは先端区域と末端区域のうちの一方のみにセンサアクチュエータを有し、他のトラックでは先端区域と末端区域のいずれにもセンサアクチュエータを有さないものとしてもよい。センサアクチュエータは、先端区域および／または末端区域におけるトラック沿いの任意の地点に配置してよい。例えば、インクスティックの先端と前記遷移表示領域との間においてトラックの先端区域に沿った任意の地点にセンサアクチュエータを配置してもよい。

センサアクチュエータは、例えば、フラグの移動や光検知システムの使用により直線的または間接的に信頼性の高いセンサ作動を可能とするような任意の適切な形状を有するものとすることができる。例えば、センサアクチュエータは、インクスティックの外表面上の突起または凹部から成るものとしてよい。センサアクチュエータのあるものは、光源からの光を光検出器上に反射するように形成した表面を有していてもよい。これに代えて、センサアクチュエータは、例えば、奥行、長さ、幅、または要素間間隔などのセンサアクチュエータの物理的寸法、あるいは寸法諸特性の任意の組合せなどに基づいて１つまたはそれ以上のセンサを作動させるような形状を有するものとしてもよい。一実施形態において、センサアクチュエータは、センサを作動してセンサ出力信号“Ｈ（高：High）”および／または“Ｌ（低：Low）”を出力するような形状を有するものとしてよい。例えば、図３〜５のセンサアクチュエータ１０８、１１０、１１４、１１８は、トラックの非挿入部領域が“Ｌ”信号を出力するような形状を有する一方、“Ｈ”信号を出力するような形状を有する挿入部を含んで構成される。ＨおよびＬのセンサ状態は、実施の状況に応じて、符号化センサ構成部の機能性に影響を与えることなく逆転させてもよい。２進法のデータでは、他のデータ表現法より実施が複雑にならなくて済み、検出可能な信号値が２つしかないためにＳＮ比が高い。しかしながら、任意の適切なデータ表現法を用いてもよい。

先端センサアクチュエータ１１４、１１８によって惹起されるセンサ作動とトラックの末端センサアクチュエータ１０８、１１０によって惹起されるセンサ作動とを区別するため、符号化センサ構成部には１つまたはそれ以上の遷移表示領域１３４が含まれる。遷移表示領域１３４は、トラックの先端区域１３０がセンサ領域を通過したこと、および次の作動がトラックの末端区域１２８に位置するセンサアクチュエータに基づいて起こりうることを示す表示を制御システムに提供するような形状を有する。トラックの先端区域１３０と末端区域１２８との間に遷移表示領域１３４を使用することで、１つのトラックセンサにおける先端区域および末端区域のセンサアクチュエータによる作動を区別することが、インクスティックが供給路のセンサ領域を横切る速度およびタイミングの変動に関係なく可能となり、この結果、単一のセンサを１つの特定のトラックと相互作用するように使用することができる。遷移表示領域が設けられるセンサトラックと、遷移表示領域が設けられないセンサトラックがあってもよい。

図３〜５の実施形態において、遷移表示領域１３４は、各トラックの先端センサアクチュエータ位置と末端センサアクチュエータ位置との間の符号化センサ構成部に形成された空隙または凸部から成る。この遷移表示領域は、各トラックの複数のトラックセンサと相互作用して先端センサアクチュエータと末端センサアクチュエータとの間の遷移を表わす信号を生成するような形状を有している。例えば、当該トラックの先端センサアクチュエータおよび末端センサアクチュエータが“Ｈ”信号を出力する形状を備えた実施形態においては、上記遷移表示領域は、各トラックセンサから同時に“Ｌ”信号を出力する形状を備える。したがって、制御システムにおいて、トラックセンサからの同時の“Ｌ”出力により、先端センサアクチュエータがセンサ領域を通過したこと、およびトラックセンサの次の作動が末端センサアクチュエータによって惹起されるであろうことが示されるという知識をプログラム化することができる。図６は、遷移表示領域１３４Ａ〜Ｃのいくつかの代替実施形態の例を示す。図に見られるように、遷移表示領域は、それがトラックセンサと相互作用して先端センサアクチュエータから末端センサアクチュエータへの遷移の表示を提供することが可能である限り、曲線状や角度付けあるいは丸み付けした表面を有するもの、またはこれらの表面の任意の組合せとしてよい。

センサアクチュエータの形状および配列を用いてデータ符号化法を実施してもよい。実施される符号化法に依存して、センサアクチュエータによるセンサの作動により、当該インクスティックに関する可変制御情報に対応する符号化された信号が生成される。この符号化された信号は、１つまたはそれ以上の波形など、情報をイメージングデバイス制御システムへ搬送するのにふさわしい任意の形態としてよい。インクスティックデータをインクスティック上に符号化するため、符号化センサ構成部において、種々の符号化法を実施することができる。実施される符号化法は、センサアクチュエータの個数、トラック数、センサ数など多くの因子によって決まる。

トラックセンサの作動の順序あるいはシーケンスに基づいて１つの符号化法を実施するために、図３〜５のインクスティックの符号化センサ構成部を用いてもよい。作動シーケンスに基づいて符号化法を実施するには、１トラックのセンサアクチュエータをその他のトラックのセンサアクチュエータから偏心させて、それぞれのトラックのセンサアクチュエータがインクスティックの供給路沿いの移動に応じて異なる回数だけそれらのセンサを作動させるようにする。とりわけ、トラックの先端区域におけるセンサアクチュエータを、トラックの末端区域のセンサアクチュエータだけでなく、互いに偏心させてよい。例えば図５において、トラック１２０の先端センサアクチュエータ１１８は、トラック１２４の先端センサアクチュエータ１１４よりインクスティックの先端部１４８に近く位置しているため、インクスティックがそれぞれの供給路に沿って移動するにつれて、先端センサアクチュエータ１１８がトラック１２０に対応するトラックセンサ（図示せず）を作動させ、その後でトラック１２４の先端センサアクチュエータ１１４がトラック１２４に対応するトラックセンサ（図示せず）を作動させる。同様に、トラック１２０の末端センサアクチュエータ１１０は、トラック１２０に対応するトラックセンサを作動させてから、トラック１２４の末端センサアクチュエータ１０８がトラック１２４に対応するトラックを作動させるように位置決めする。検出手段とは関わりなく、１センサ構成部に対し、１センサの多重遷移が発生してもよい。例えば、曲線状のセンサ構成部の場合、光学センサが、まず十分な反射光、ついでスティックが移動するにつれてセンサ作動には不十分な光、さらに移動するにつれ、再び反射光強度がセンサ作動に対し十分である領域に進入するように、それらの光を受容する。これらの追加的な可変および／または間欠的センサ遷移は、インクスティックセンサ構成部形状の一部として平坦化してもよいし、また、余分な信号処理が無視されるように、あるいはセンサ構成部コードの解釈に混同されないように制御システムに組み込んでもよい。

各トラックの先端区域および末端区域におけるセンサアクチュエータにより、それぞれのトラックセンサの作動の順序を変化させることにより、多数の作動シーケンスが選択可能である。３トラックまたはそれ以上を符号化センサ構成部に含め、それに対応するトラックセンサを供給路に含めることで、可能な作動シーケンスの数を増大させることができる。図７は、３トラック１６０、１６４、１６８を含む符号化センサ構成部の一例を示す。各トラックは、先端センサアクチュエータ１７４と末端センサアクチュエータ１７０とを含む。別の実施形態においては、符号化センサ構成部が、多数の先端および／または末端センサアクチュエータを有する１つまたはそれ以上のトラックを含んでもよい。例えば、図８は、２つのトラック１７２、１７６を含む符号化センサ構成部の実施形態を示す。図から分るように、トラック１７２は、多数の先端センサアクチュエータ１８６および末端センサアクチュエータ１８２を含んでいる。

さらに、選択可能な作動シーケンスの数における拡張は、１つまたはそれ以上の区域がそれぞれのトラックセンサを作動させるための１つのセンサアクチュエータを含まないようなシーケンスを備えることにより提供してもよい。例えば、図９は、トラック１８８の先端区域１７８が、センサアクチュエータ１９０を含まない符号化センサ構成部の一実施形態を示す。同様に、同時のセンサ作動を利用して、センサシステムの許容度に応じてさらに多くの拡張を提供してもよい。例えば、図１０は、２つのトラック１９４、１９８を含む符号化センサ構成部の一実施形態を示す。トラック１９４、１９８の末端センサアクチュエータ１９６は、各トラックセンサを実質的に同時に作動させるように位置決めされている。

符号化センサ構成部８０により示される選択可能な作動シーケンスのうちの１つを選択し、かつ、各トラックの複数のセンサアクチュエータを選択されたシーケンスでセンサを作動させるように構成あるいは配置することにより、符号化センサ構成部８０に情報を符号化してもよい。選択可能な作動シーケンスのそれぞれは、インクスティックに関連する制御および／または属性情報を示すように割り当てることができる。符号化センサ構成部により生成される作動シーケンスは、イメージングデバイス制御システムによって読み取り、その制御システムによって種々の方法で使用しうるインクスティックに関連する制御および／または属性情報に翻訳するようにしてもよい。制御システムは、例えばデータベースやテーブルなどのデータ構造に保存されたデータにアクセスするためのルックアップキーとして上記作動シーケンスを使用してもよい。データ構造に保存されたデータは、各符号語に対応する関連情報を伴った複数の選択可能な作動シーケンスから成るものとしてよい。

インクローダは、インクスティックの符号化センサ構成部との相互作用を行うセンサシステムを含んでいてもよい。図１１を参照すると、インクローダ２０４のセンサシステム２００は、印刷コントローラ２１０と連絡したセンサコントローラ２０８と、インクスティック２２８が供給路２３０に沿って推し進められるに従い符号化センサ構成部のセンサアクチュエータ２２０および／または遷移表示領域２２４を検出するための１つまたはそれ以上のトラックセンサ２１４、２１８を含んでいてもよい。トラックセンサ２１４、２１８は、機械的に設定可能なフラグ、光学センサ、あるいは任意の適切なタイプのセンサから成るものとしてよい。これらのトラックセンサは、センサアクチュエータ、遷移表示領域の存在および／または非存在に応じて信号を生成し、センサアクチュエータが供給路におけるセンサを通過するにつれて符号化センサ構成部のトラックのセンサアクチュエータがセンシングすなわち検出される。

上記トラックセンサ２１４、２１８は、インクスティック上のトラックの位置に応じて、上記供給路２３０内の任意の適切な場所に配置してよい。例えば、図１１の実施形態においては、インクスティックの底面に配置された図３〜５のインクスティックの各トラックを検知するように供給路の底部に隣接して配置されている。これらのトラックセンサは、供給路の挿入部領域の近くに位置するため、上記挿入部領域から前方への移動によりインクスティックの符号化センサ構成部の“読取り”が開始される。しかしながら、供給路の符号の読取りは、インクスティックの移動経路に沿った１つまたはそれ以上の位置で１回またはそれ以上の回数行われてもよい。

上記符号化センサ構成部の正確かつ確実な読取りをさらに促進するために、センサシステム２００は、供給路２３０の挿入部領域に近接して配置されて供給路内へのインクスティックの挿入を検出するようにしたインクスティック挿入センサ２３４を含んでもよい。このインクスティック挿入センサ２３４は、挿入部領域におけるインクスティックの存在を示すセンサコントローラ２０８向けの信号を生成するための形状を有する。挿入センサ２３４は、例えば供給路の挿入開口部直下に位置する機械的に設定可能なフラグまたは光学センサなど、任意の適切なタイプのセンサから成るものとしてよい。上記挿入部領域におけるインクスティックの存在を示す信号に応答して、センサコントローラは、例えば、インクスティックが供給路を移動するにつれて、トラックセンサをイネーブルにする、コントローラにおけるトラックセンサの状態をリセットする、インクスティックの既知の相対位置を信号化する、などの動作によりセンサの作動準備態勢を取ってもよい。

当業者には上記の実施に対して多くの変形が可能であることが認識されよう。したがって、本発明は、上記の図示された特定の実施形態に限定されるものではない。本発明は、可能な変形において、本明細書に開示された実施形態および教示の変更、代替、改変、改良、同等および実質的同等を包含するものであり、それらには現在のところ予測あるいは認識されていないもの、および例えば出願人／特許権者その他から生じる可能性のあるものも含まれる。

相変化インクイメージングデバイスのブロック図である。 インクローダを備えた相変化インクイメージングデバイスの一部の部分上面拡大斜視図である。 エンボス型可視配向表示器を備えた固体インクスティックの一実施形態の斜視図である。 図３のインクスティックの側面図である。 図３のインクスティックの底面図である。 図３のインクスティックの底面図である。 図３のインクスティックの遷移表示領域の代替実施形態を示す。 ３トラックを備えた符号化センサ構成部を有するインクスティックの実施形態を示す。 トラックが多数の先端および／または末端センサアクチュエータを備えてもよい符号化センサ構成部を有するインクスティックの実施形態を示す。 センサアクチュエータが１トラックの先端および／または末端のうちの１つに配置されない符号化センサ構成部を有するインクスティックの一実施形態を示す。 トラックがトラックセンサを同時に作動させるように配置されたセンサアクチュエータを含む符号化センサ構成部を有するインクスティックの一実施形態を示す。 図３のインクスティックの符号化センサ構成部を読み取るためのセンサシステムを含む供給路の一実施形態の上面図である。

符号の説明

１０ 相変化インクイメージングデバイス、１４ インク供給部、１８ インクヒータ、２０ プリントヘッドアセンブリ、２４ シートフィーダ、２８ 転写表面、３０ 加圧ローラ、３８ コントローラ、４０ イメージソース、１００ 固体インクスティック、１０８，１１０ 末端センサアクチュエータ、１１４，１１８ 先端センサアクチュエータ、１２０，１２４ トラック、１２８ 末端区域、１３０ 先端区域、１３４ 遷移表示領域。

Claims (4)

1. イメージングデバイスのインクローダに使用するインクスティックであって、
   相変化インクイメージングデバイスのインクローダの供給路において受容され、かつ該供給路の挿入端から溶融端まで該供給路内を供給方向に移動可能な形状を有するインクスティック本体であって、該インクスティック本体は先端と末端を備え、かつ該インクスティック本体は該先端を供給方向、該末端を該供給方向とは反対方向に向けて該インクローダ内に挿入されるインクスティック本体と、
   前記インクスティック本体の前記先端付近に位置する複数の第１のセンサアクチュエータであって、該第１のセンサアクチュエータは、前記インクスティック本体が前記溶融端に向かって移動して符号語の第１の位置に対応する第１の信号を生成するときに前記供給路における少なくとも１つのセンサと相互作用するように前記インクスティック本体上に位置する複数の第１のセンサアクチュエータと、
   前記インクスティック本体の前記末端付近に位置し、かつ前記インクスティック本体上に配列された複数の第２のセンサアクチュエータであって、該第２のセンサアクチュエータは、前記インクスティック本体が前記溶融端に向かって移動して前記符号語の第２の位置に対応する第２の信号を生成するときに前記供給路における前記少なくとも１つのセンサと相互作用するように前記インクスティック本体上に位置する第２のセンサアクチュエータと、
   前記インクスティック本体上における前記複数の第１のセンサアクチュエータと前記複数の第２のセンサアクチュエータとの間に位置する遷移表示部であって、該遷移表示部は、前記供給路における前記少なくとも１つのセンサと相互作用して前記第１の信号の生成から前記第２の信号の生成までの遷移を表わす遷移信号を生成するように構成した遷移表示部と
   を備えたことを特徴とするインクスティック。
2. 請求項１に記載のインクスティックにおいて、前記符号語が前記インクスティック本体に関連する可変制御情報に対応することを特徴とするインクスティック。
3. 請求項２に記載のインクスティックにおいて、前記可変制御情報が前記インクスティック本体に関連する在庫保管単位で構成されることを特徴とするインクスティック。
4. 請求項２に記載のインクスティックにおいて、前記複数の第１のセンサアクチュエータおよび前記複数の第２のセンサアクチュエータが前記インクスティック本体沿いのトラックに配列され、各トラックは、前記インクスティック本体上に位置する前記インクローダの前記供給方向と実質的に平行な通路を形成して前記供給路内の別個のセンサと相互作用するようにしたことを特徴とするインクスティック。

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